消費増税にあたり

2014-03-31 メルマガ

矢倉かつおです。

我が家の目の前の桜が一気に花開きました。春です。

明日より消費税が増税されます。よく頂くご質問に、あらためてお答えしたいと思います。長文、かつ少し複雑な内容になりますが、お許しください。

まず、何故、消費税をあげる必要があるか。
一言で言えば、増え続ける年金や介護、医療や子育てなど社会保障費用の負担を、これから生まれてくる子どもたち世代に押し付けないためです。

高齢化社会をむかえ、国の予算総額約96兆円(2014年度)のうち、社会保障費は、はじめて30兆円を超えました。この25年間で、およそ3倍となりました。今後、ますます増えます。

今、国は、この増え続ける社会保障費の多く(想定で、ほぼ半分)を、「国債」という借金でやり繰りしています。そして、その「借金」を返す義務があるのは、まだ生まれていない将来世代です。今を生きている現役若者や高齢者世代のための社会保障制度を支えているのが、これから生まれてくる世代なのです。そうではなく、今の社会保障は出来る限り、今生きている世代が支払う「税金」で、つまり消費税でまかなおう、と政治決断をいたしました。これが税と社会保障の一体改革といわれているものであり、今回の増税の理由となります。

1)    社会保障の「安定」のために
では具体的に消費税をどう使うか。消費税が5%から8%になると、「初年度は」およそ5兆円の増収となる予定ですが、この増収分はすべて社会保障の「充実」、「安定化」に使われます。

この5兆円のうち、2兆9500億円を、国民年金(具体的には、全ての年金受給者に支給される老齢基礎年金です)の財源として使います。国民年金は、その半分を皆様からいただいた「年金保険料」、残り半分を「国費」でまかなっています。しかし、その「国費」部分ですが、実は、「借金」に頼るだけでなく、「特別会計剰余金」という本来別の目的で使われるべきお金などをまわし、なんとかやり繰りしているという不安定な状態です。そこで、安定財源としての消費税が使われます。

残り2兆円のうち1兆3000億円ほどは、高齢化により自然に膨らむ医療や介護費などに充てるとともに、その他、借金で賄っている社会保障費の財源の安定化に充てます。これも、将来世代への負担を回避するためです。

2)社会保障の「充実」のために
残った7000億円のうち2000億円は、医師や介護士への報酬調整分(増税による経費増軽減のための)として使い、5000億円は、社会保障の「充実」にあてられます。例えば、医療費が高額になった場合でも、多くの世帯にとって、上限月最高8万円ほどだけ払えばよいわけ(高額療養費)ですが、この上限を更に5万円に下げます。他に、低所得者の方々の健康保険料低減や難病対策、父子家庭への遺族年金などの資金に消費税を充てます。そして特に大事な点は、やはり少子化対策です。子育て世代が安心して働けるよう、保育所の整備や保育士の確保など「待機児童解消加速化プラン」に使います。

ちなみに、消費税が10%となった時、この社会保障の「充実」は、育休手当の拡充や低所得の高齢者の方のための年金増額、また短期労働者の方への年金や健康保険拡充などが加えられ、総額2兆7000億円となる予定です。

以上が消費税の使い道になります。もとより未来への不安をなくすための消費増税ですが、現在の不安が増幅する事態は避けなければいけません。公明党として、低所得者対策などきちんと対応してまいります。

かつおニュース VOL2

2014-03-29 かつおニュース

通常国会前半戦を終えて(下)

2014-03-28 メルマガ

矢倉かつおです。前回に引き続き、通常国会前半を終え、主に予算についてご報告いたします。

2014年度予算は、総額約96兆円です。このうち国債の占める割合は、総額約41兆円(43%)であり、近年では久しぶりに、税収が、国債発行額を上回りました。国債という借金を払うのは、生まれてくる将来世代であり、未来につけを回して現在のお金のやり繰りをしている状況は可能な限り改善していかなければいけません。

予算の特色として、ものづくり企業支援等、中小企業対策が充実していることなどがまずあげられます。これらは公明党の主張の反映です。

野党の一部は、公共事業費が前年度に比べ13%増加していることを激しく批判します。しかし、この増加分の大半は、特別会計からの組み入れ、つまり、別の財布で賄っていた費用をこちら(一般会計)で賄うようにした結果であり、支出は実質的に増えていません。

更に言えば、「公共事業イコール悪であるというような、単純なレッテル張りからは本当に脱却しなくちゃいかぬ」(予算委員会での太田国土交通大臣答弁)と思っています。竜巻や台風、豪雪など近年の異常気象を考えると、尚更、その感を強くします。今回、公共事業費に占める防災・減災、老朽化対策の割合は、約47%から約53%に増加しました(そのほかは、物流ネットワークの整備など)。もちろん、この公共事業支出を景気回復につなげていくには、地方の零細な企業にもお金がまわるよう公共事業入札のあり方を考えるとともに、工期のあり方(現場を疲弊させる年度末駆け込みをなくす)なども考える必要があると思います。

予算のもう一つの特色は、社会保障と税の一体改革のもと、社会保障の「充実」と「安定」が図られていることです。このなかには、地域包括ケアシステムなども含まれます。社会保障費は今回、はじめて30兆円を超えました。今後も増加の見込みです。特に消費税の増税分5兆円の使い道については、次号メルマガで詳細を書かせていただきますが、「基礎年金国庫負担割合2分の1への引上げ(2.95兆円)」「社会保障の充実(0.5兆円)」「消費税率引上げに伴う社会保障費の増額(0.2兆円)」「後代への負担つけ回しの軽減(1.3兆円)」の4本柱となっており、全て、社会保障の充実・安定に使われます。一部の野党より、消費税増税のうち、社会保障に使われるのは2200億円だけだ、という批判がありますが、これは増税分のうち社会保障の「充実」に充てられる一部だけを切り取り、さも、それが全てであるかのようなことを宣伝するための批判です。

一つ残念だったことは、参議院の予算委員会の集中審議(テーマを決めて審議するうことです。5回行いました)において、「社会保障」をテーマにするよう与党がいくら求めても、野党が応じなかったことです。「社会保障」では、NHKの籾井会長や小松内閣法制局長への追求が出来ないため避けたのでは、との声もあります。
テレビが入っていることを意識して、ひたすら責め立てることだけに時間を費やすことはいかがなものかと思いました。

【矢倉かつお】予算委員会質問_20140312

2014-03-25 矢倉かつおチャンネル

186回 文教科学委員会(私立学校法案 自主性と公共性のバランス等)

2014-03-25 国会質問議事録

○矢倉克夫君

おはようございます。公明党の矢倉克夫です。
ただいま議題になっております私立学校法の一部を改正する法律案、会派を代表して質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
まず、理念的な確認をさせていただきたいと思います。今回の法律の背景にある部分でございます。大臣にお尋ねいたします。
そもそも私学の自主性というのはなぜ認められているのか、御所見をいただければと思います。

○国務大臣(下村博文君)

私立学校は、私人の寄附財産等によって自発的に設立されたものであることや、独自の建学の精神に基づき多様で特色ある教育を実施していることなどの特性を有するものであるということから、その運営は自律的に行われるべきものであります。
このため、教育基本法や私立学校法においても私学の自主性の尊重が明記されているところでございます。具体的には、所轄庁の権限を国公立学校の場合より制限すること、解散命令等を行う場合には私立学校審議会等の意見聴取を義務付けることなどの仕組みが整えられております。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
他方で、私立学校法の目的には「公共性を高める」という文言、目的の中に含まれております。自主を重んじる私学に対して公共性を高める、一見相反するかのようにも読めるんですが、大臣は私学における公共性というものをどのように捉えていらっしゃいますでしょうか。介入の根拠にも関連するかもしれませんので、御答弁をいただければと思います。

○国務大臣(下村博文君)

私立学校も、教育基本法第六条に規定する公の性質を有するものでありまして、公教育の重要な一翼を担うものでありまして、その公共性を高めることが重要であります。
このため、私立学校も学校教育法の適用を受けるほか、私立学校法においては、理事や評議員などの規定を設け、私立学校を運営するにふさわしい学校法人の組織運営について定めるとともに、法令違反等の場合における解散命令など、所轄庁に一定の権限を与えているものであります。

○矢倉克夫君

自主を重んじる私学、他方で、社会の中での一構成員としてのルール、また存在するためのやはり必要な遵守すべきもの、事項、いろいろ様々、公共性を守る上で大事な部分はやはりあるんじゃないかなという御答弁であったと思います。
やはり重要な視点はこの自主性と公共性のバランスというものを考えていくこと、その観点を念頭に置きながら、今般新たに導入されました規定、具体的には六十三条に基づく立入検査、また六十条に基づく措置命令、それぞれの要件について簡単に確認をさせていただきたいと思います。
まず、先ほども石橋先生の方からお話もありました六十三条、特に「法律の施行に必要な限度において、」という文言でございます。ここに言う法律の施行とは、衆議院の文部科学委員会における我が党の中野洋昌議員の質問に対する答弁として、先ほども話もありました、措置命令、解散命令等の対象となり得るような事態に立ち至っている場合、それらの命令を行うために必要となる事実を確認するために、との意味であるという御答弁いただいております。
そうであれば、文言としてより明確な形で、措置命令、解散命令等、対象となり得るか否かの判断に当たり必要な限度という記載も可能ではあったかと思うんですが、今のような「法律の施行に必要な限度」という形での文言に至った経緯を御答弁いただければと思います。

○政府参考人(常盤豊君)

この法律に、必要な限度においてとは、今御指摘ございましたように、本法に定める措置命令や解散命令等の対象となり得るような事態に立ち至っている場合、それらの命令を行うために必要となる事実を確認するために行われるということを想定しております。
この改正案第六十三条の規定でございますけれども、他の法人制度における最近の規定例も踏まえまして法制的に検討した結果、「この法律の施行に必要な限度において、」というふうに規定をしたところでございます。

○矢倉克夫君

他の規定の文言を準用してという御答弁でありました。
ただ、やはり解釈の場合には文言が重視される部分があり、何を解釈として利用したかというところはなかなか見えない部分もひょっとして出てくるので、この「法律」という言葉だけですと法規全体になってしまいますから、ある程度やはり明確性というのは今後大事になってくるかなと思います。
この点はまた改めて後で確認もさせていただきますが、運用に当たっては、明確な、先ほど衆議院の方でも御答弁のあった、線に沿った上での運用という部分、しっかりと維持していただきたいというふうに改めて要望させていただきたいと思います。
それで、また今の関連の質問になりますが、この法律の施行に必要な限度においてという要件に該当し、そのための立入検査をした場合において、対象となる事実が存在するかを判断するための立入検査ということですが、当然ですが、その立入りもした場合も、先ほど来の目的に従った範囲での限定されたものであるということがやはり自主と公共性というバランスを図る上でも非常に大事な部分ではないかなと思っております。
特に、六十三条、任意捜査と違いまして、命令といえば強制に基づく措置であります。その範囲もしっかりと画していくための議論も必要であるかと思いますが、例えば別件捜査のようなことが起きないようにする必要もある。この点については、立入り範囲というものも含めて、範囲の適正化を図る上でどのような運用をされる御予定であるのか、御答弁をいただければと思います。

○政府参考人(常盤豊君)

報告及び検査でございますが、本法に定める措置命令や解散命令等の対象となり得るような事態、それらの命令を行う事態に立ち至っている場合に、それらの命令を行うために必要となる事実を確認するために行われるというものでございまして、限定的に行い得るものでございます。
具体的には、任意の報告の求めや調査では必要な書類等の提出が行われないなど、十分な対応がなされず、所轄庁が法人運営の実態を十分に確認できない場合に行われることを想定をしております。実際の運用に当たりましては、検査をより効率的かつ適正に行う観点から、検査の日程や場所、調査することが想定される項目や書類などについては事実上の行為としてあらかじめ当該学校法人に通知することになると考えております。
なお、報告及び検査の結果によりまして、その後に命令等を行う場合には、あらかじめ私立学校審議会等の意見を聴かなければならないということとしております。

○矢倉克夫君

引き続き、適正な手続面という面も認識をした上で御検討いただければと思います。
続きまして、六十条の措置命令の方に移りたいと思います。
この点も既に衆議院の方でも質問が出ているところですが、この要件のうち、運営が著しく適正を欠くと認めるとき、この点についても、また我が党の中野洋昌議員の質疑による答弁になるんですが、このように答弁をいただいております。私立学校の設置者として求められる要件を欠く場合であり、かつ自主的な改善が望めない学校法人に対して措置命令を行うというものでございました。
例えば、これはまた文言の問題になるんですが、同じような条文を持つ公益認定法などは、是正措置の発動の要件として、公益認定法第五条に掲げる基準のいずれかに適合しなくなった等、疑うに足る理由がある場合としております。今回の六十条は、ここで言う、済みません、疑うに足る相当な理由ですね、失礼しました、相当な理由という言葉は特に入っておらず、「認めるとき」というふうにしっかり書いておりますが、この趣旨は、さきに挙げた立入検査などで集めた資料により認定がされたときであるという趣旨と理解してもよろしいでしょうか。

○政府参考人(常盤豊君)

措置命令を行う場合の要件とそれから具体的に行い得る事例については、既に衆議院でもお答えをさせていただいているところでございます。
そして、このうちの運営が著しく適正を欠く場合とは、明白に法令違反とまでは言えないけれども措置命令を行い得る事例としての要件を満たしている場合、そのうち、私立学校の設置者として求められる要件に照らして適正を欠く場合で、具体的には、理事の地位をめぐる訴訟により必要な予算の編成や事業計画の作成がなされず教育研究活動に支障が生じている場合などが想定されるところでございます。
このような事態において措置命令を行う場合としては、単に漠然と疑いがあるという状態ではなく、学校法人の運営に著しく適正を欠く事態に立ち至っている場合であり、任意の報告の求めや調査、又は改正案第六十三条による報告徴取及び検査により必要な事実が確認された場合に行うことを想定をしております。

○矢倉克夫君

しっかり、この要件が満たされると認定された場合であるというふうに確認をさせていただきました。
今まで検討させていただいた要件の話、また手続の話等も含めて、非常に私学の自主性と、またそれを尊重しつつ公共性をしっかり維持していくといういわゆるバランスを取る上では、明確な基準の下、しっかりと判断されて執行されるという点は大事であると思います。
この辺り、これは今まで説明していただいた解釈基準等も例えば施行通知などで明確化すべきであるかと思いますが、この辺りについて御意見をいただければと思います。

○大臣政務官(上野通子君)

今回の法案が成立した際には、今回の制度改正の趣旨及び内容、留意事項等について施行通知を発出することとしており、文部科学省としての法令解釈について関係者に周知を図ることを予定しております。
施行通知の具体的な内容については、国会審議等も踏まえて検討していくこととなりますが、特に所轄庁が措置命令や解任勧告、報告及び検査を行うことができる場合について、それぞれの基本的な考え方やその具体例などについて盛り込むことを検討しており、どのような場合に報告や検査や措置命令を行うかについては各所轄庁がその権限と責任において判断するものであります。その際には、文部科学省が施行通知で示す法令解釈を踏まえて行うこととなります。
文部科学省としては、各種会議等において制度改正の趣旨や留意点を説明するとともに、施行通知の内容の周知徹底に努めてまいりたいと思っております。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。引き続き、是非よろしくお願いいたします。
また六十条、その具体的な必要な措置の内容として、こちらも衆議院の方で議論があった点なんですが、学校の経営に例えば必要な資産の不足によりまして教育研究活動への支障が生じている場合におけるこの必要な措置としてどういうものがあるかという質問に対しましては、改善計画を作成し必要な財産を備えるよう命ずるという答弁でありました。
これはあくまで、先ほど来申し上げましたとおり、六十条というのは自主的な改善が望めない状態での措置であるというふうに理解をしております。そのような自主的な改善が望めない状態の学校法人に対して、先ほどの衆議院の答弁ですと、改善計画を作成することを命ずるということでありますが、自主的な改善が望めないような状態の法人に対して改善計画を作成する等を命ずることにどれだけ実効性があるのか、実際上は中身のない、また裏付けのない計画が出てきてしまうのではないかというような懸念も一部ではあるかと思います。
今回のこの具体的な適用について、仮に堀越学園の事案において必要な措置を発するとしたとした場合はどうなったかという点も踏まえまして、御答弁をいただければと思います。

○大臣政務官(上野通子君)

そのような取組を、任意の行政指導によって、自主的に行おうとしない学校法人に対しては、今回導入する措置命令を発動することによって法的な強制力を持って改善計画の作成等を行わせることが可能となり、経営改善に向けた取組が当該学校法人においてより実効性を持って進められるものと考えております。
今質問のありました堀越学園の事例の場合には、御存じのとおり、数年間掛けて繰り返し経営改善の指導を行ってきたにもかかわらず長期にわたり有効な改善計画が作成されず、その結果、改善計画に基づく具体的な取組も行われないという状況にありました。
今回改正により措置命令が制度化された場合には、学校法人の運営の在り方について過去の再生事例なども踏まえて検討し、有効な改善計画を作成し実行することなど、必要な措置を命ずることが可能となるものと考えているところでございます。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
単なる改善計画の提出でよしということではなく、財政状況の悪化を招いた根本の理由含め、今のお話ですと、例えば堀越学園の場合であればどうしてこういう乱脈経営ができてしまったかとか、そういうガバナンスの面も含めてきちんとメスを入れていく対応をこの今回の法律によってまたできるという御趣旨であるとお伺いをいたしました。
引き続き質問をさせていただきます。
この法律の改正の立法事実、関係する部分かもしれません、立法事実としては、大臣も説明されましたが、運営が極めて不適切な学校に対する対処の必要があると。この運営が著しく適正を欠くと認めるときの典型として、衆議院の議論では、財政基盤の脆弱化とかガバナンスの欠如などが挙げられていたという理解でおります。
このうち特に私学の財政基盤が脆弱化していることについての現状の分析、また、今後どのようになるのかということについての分析等がございましたら御説明いただければと思います。

○政府参考人(常盤豊君)

我が国の十八歳人口は減少期に入っております。平成二十四年度は約百十九万人となっているところでございます。主な収入を学生生徒等の納付金に依存する私学にとりまして、単年度赤字となる大学等が増加傾向になるなど、従前に比べて厳しい経営状況となっております。平成二十四年度決算において、単年度収支、帰属収支差額がマイナスの大学数は五百八十八大学中二百八校、三五・四%となっております。
今後の傾向については、二〇二〇年頃までの十八歳人口はおおむね現状同規模で推移いたしますが、その後はまた減少傾向となると予測をされておりますので、厳しい経営状況が続くというふうに認識をしております。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
現状、少子化の影響もあるかとは思いますが、やはり各、特に私立大学、財政状況厳しいという現状認識であり、またこれも改善はどうなるかという状態ではあるかなと、横ばいか、それとも更に悪化するかというような分析であるかなというふうに認識をしております。
今後のまさに私立大学の財政再建のためにお伺いしたいんですが、国はどのような方向性を持っていらっしゃるのか。私立である以上、自主の下、国の関与というのは少なくして、あくまで自主、先ほど来よりも話がありましたとおり、自主的な再建が難しくなったときに今回のような六十条のような措置を発するという対応であるのか、それとも国の何か方針として、経営の健全化も含めて、専門家を派遣するための枠組みなども、そういうのを考えて、財政再建、財政がこれ以上悪くならないようにというような状況をつくる方向性を持っていらっしゃるのか、その辺りを含めて、大臣に御所見いただければと思います。

○国務大臣(下村博文君)

近年、十八歳人口が減少しているということに伴いまして、主たる収入が学生生徒などの納付金に依存する私立大学にとっては単年度赤字となる大学等が増加傾向にあるということで、従前に比べて非常に厳しい経営状況になっているところであります。
このことから、文科省として、私立大学等経常費補助金について、平成二十六年度予算では四年ぶりの増額となる対前年度九億円増の三千百八十四億円を計上するとともに、私立学校施設の耐震改築事業への国庫補助制度を新たに創設するなど、私学助成の充実に努めているところでもございます。
特に私立大学が、急速に変化する社会のニーズに的確に対応して、教育の質向上、国際化への対応や地域、産業界との連携などに関する財政支援を通じ、個性、特色ある教育研究を行うために必要な予算上の支援を取り組んでいく必要が、これは更にあるというふうに思います。
私立大学の経営支援については、文科省では、私学事業団と緊密に連携し、各学校法人の経営状況を分析し、個別の経営指導、助言など、経営改善に向けた取組の支援を実施しているところでございます。
今後は、今政府全体の中で議論もしていますが、女性の活用、それから社会人の学び直し等によって、もう一度スキルを学ぶという意味では、やはり社会と学校が連動しながら、もう一度大学に入って、大学院あるいは専門学校に入って学び直してまた社会に行くということを考えると、二十五歳以上でもう一度学び直しをつくるような環境ということで、新たな学生生徒の枠の拡大を図っていくということと、そもそも私学に対する助成金等の拡大を目指すということをもっと力を入れていく必要があると思います。
本来二分の一までということですが、現在は一〇%程度しか私学助成金が出されていない現状がありますので、是非、私学における助成等、文部科学省が更に力を入れて対応していかなければならないと、そういうふうに認識しております。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
大臣、最後に私学助成の話してくださいました。私学助成、やはり少ない部分はあるなという、これが直接な理由ではないんですけど、私学の例えば財政の基盤の脆弱化にひょっとしたら間接的に関わっている部分もあるかもしれないなと思います。その辺りやはり拡充が必要であるかなと思います。
今大臣、先ほど御答弁くださった、やはり女性とまた社会人の学びの機会としての大学の有用性というのも、これも非常に重要なポイントであると思います。財政の観点の系列でいえば、当然入学者が少なくなっているから財政悪くなっているわけですけど、その辺りの方面からも、女性であったりまた社会人の方がどんどんどんどんと入って学んでいく、そしてまた新たな知識も得た上でまた大学の財政も良くなっていくというこの方向性は非常にすばらしいものであるなと思います。
もう一点、確認といいますか、先ほどの六十条の必要な措置の前提の結論としては、やはり自主的な改善が見込まれない大学に対して財政再建計画を出すというような措置になるというところではございました。改めての確認なんですけど、やはり必要なのは、そういうような自主的な再建が望めないような状態になる前にしっかりとした経営のサポートをしていく体制をつくっていくことが、ある意味ではこれ六十条の実効性を図る上でも重要な部分ではないかなと思います。
先ほども御答弁いただいたんですが、この大学の経営の在り方、体制についてのしっかりした体制のサポートみたいなものについて、改めて大臣の御所見をいただいて質問を終わらせていただきたいと思います。

○国務大臣(下村博文君)

改めて大学のガバナンス改革については今国会で是非提出をさせていただきたいというふうに思っております。
その中で、大学経営が的確に対応できるような状況をどうつくっていくかということが問われてくるというふうに思いますし、また、今の御指摘の点も踏まえて、一方で、やはり私立学校というのは、自主性を重んじ、また寄附者の大学設置、私立学校設置の理念の下で行われるべきことですから、所轄官庁が結果的に必要以上に介入するようなことがやっぱりあってはならないと思いますし、その辺のバランスを取りながら、しかし、最終的にそのことによって一番学生や生徒が被害を被るということはあってはならないわけでありまして、そういうバランスの中で、私立学校が経営が健全にできるようなフォローアップについてしっかり検討してまいりたいと思います。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。以上で終わります。

通常国会前半戦を終えて(上)

2014-03-25 メルマガ

矢倉かつおです。

春めいてきました。我が家の窓越しにみえる桜も、まもなく桃色の花を咲かせます。

今月20日、2014年度予算が成立、通常国会前半戦が終了しました。この過程において、12日、すでにご案内のとおり、直接、安倍総理に質問いたしました(テーマは「外交・防衛・公共放送」)。NHKテレビ中継をご覧くださった方々から、「よかったよ!」と多くお声をいただきました。元気いっぱいに質問することが出来たのは皆様のおかげです。本当にありがとうございました。

*質問の状況は、下記リンクよりご視聴いただけます。
http://youtu.be/Cqzp3wITgI4
(動画視聴は、通信費がかかる場合がありますので、ご注意ください)

今回、心がけた点は、一議員と総理ではなく、あくまで人対人、として、対話する思いで質問することでした。質問といっても、外交なのだと思います。パフォーマンス重視の非難ではなく、相手の心に入るやり方を自分なりに追求し、質問いたしました。

質問項目は、日中・日韓関係の改善と、被爆国日本として核なき世界に向けての取り組みの二つにしぼりました。

前者について、2006年秋における安倍総理(当時)電撃訪中の際、中国上海にいた私自身の経験に触れながら、相手の懐にはいる度量と勇気をもった外交を!首脳会談の実現を!と訴える私に対し総理は「日中・日韓・日中韓の関係がアジアの安定のために重要であり、同世代でもある習主席や朴大統領とは、大局的見地にたって関係がつくれるよう、努力・尽力していきたい!」と強く決意を表明しました。また、後者について、被爆三世の方の訴えを引用しながら、国際会議で核廃絶に向けての強いメッセージを発するよう総理に促しましたところ、総理から唯一の被爆国である我が国の立場、十分に主張する、との力強い答弁がありました。

今回改めて感じたことは、我々議員は当選後も党員支持者に支えていただいている、という点です。一国の総理を前にテレビで質問する、足が震えてもおかしくないですが、全く緊張しませんでした、なぜなら、質問しながら、党員支持者の皆様の顔が浮かんだからです。「自分は本当に力を与えていただいている、幸せだ」と実感しました。

初心忘れず、原点失わず、一層精進してまいります。国会はいよいよ後半戦、頑張ります。

186回 文教科学委員会(東京パラリンピック等)

2014-03-13 国会質問議事録

○矢倉克夫君

公明党の矢倉克夫です。大臣、よろしくお願いいたします。また、皆様よろしくお願いいたします。
まず、今ソチで、国際情勢いろいろ紛糾する中、パラリンピアンの皆様、一生懸命日本の国旗の下、思いを持って頑張っていらっしゃっております。大臣から一言、パラリンピアンの方々に激励のメッセージをいただければと思います。

○国務大臣(下村博文君)

パラリンピックの選手たちが自らの障害と向き合いながら無限の可能性に挑戦する選手の姿は、人々に大きな夢と感動、勇気を与えるものであるというふうに思います。
ソチ・パラリンピックにおいては、現在アルペンスキーの滑降男子座位とスーパー大回転男子座位の二種目で狩野亮選手が金メダルを獲得されたことを含め、日本選手全体として合計五個のメダルを獲得されております。見事にメダルを獲得された選手及び指導者の方々に対し、心からお祝いを申し上げたいと思います。
また、惜しくもメダルに手の届かなかった選手も含め、多くの日本選手が活躍されている。今後出場する選手の皆さんにもベストを尽くしていただきたいと思いますし、先日、安倍総理と一緒に壮行会、出席をし、全て二十人全員の選手が出席をされておられましたが、激励をしてまいりました。それぞれ個人個人のドラマの中で最大限の日頃の成果を出し切る大会になるように、まだ残された競技種目のパラリンピアンに対してはお願いと応援を申し上げたいと思います。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
大臣おっしゃったとおり、パラリンピアンの方々は本当にお一人お一人その背景といいますか、これまで様々なドラマを乗り越えられて、今一生懸命頑張っていらっしゃる。そのお姿、私も国民の一人として本当に心温かく見守って、頑張っていただきたいと思っております。
昨年の十一月の私、質問で、このパラリンピックの関係で何度か質問させていただきました。一つは、パラリンピック、ナショナルトレーニングセンターをパラリンピアンの方々が使えるようにというような質問ではございましたが、回答として、まずは、パラリンピック選手のナショナルトレーニングセンターの利用につきましては引き続き関係団体と連携を図っていく、このようにお答えいただきました。この点は引き続き関係団体の方々との協議をお願いしたいと思います。
先ほど橋本先生から、ナショナルトレーニングセンターについての宿泊代であったり食費の無料という御要望がありました。これはパラリンピックにとっても特にやはり重要な部分であろうかと思います。特にこの関係団体、やはりオリンピックに比べてもパラリンピックの方はやはり財力的な基盤も弱い部分もあり、結果としてアスリートの方々への負担に係る部分もあるということも考えられますので、その関連でも、先ほどの無料化という点もまた引き続き御検討いただきたいと思っております。
もう一点は、お答えいただいたのが、既存施設をナショナルトレーニングセンター競技別強化施設として指定し活用する、このようなお話でありました。国の中に一個あるナショナルトレーニングセンターとはまた別に、地域ごとの既存のある施設を利用していくという発想は非常に大事であると思います。
ただ、パラリンピアンの方々も、障害の程度であったり、また競技ごとでいろいろと様々な事情の状況があると思います。やはり何といってもパラリンピックのアスリートの方々に直接ニーズを聞くことが非常に重要であろうかなと思っておりますが、この辺り、先ほども質問一部あったんですが、現状どういうふうに今進められる御予定であるのか、御答弁をいただければと思います。

○大臣政務官(冨岡勉君)

矢倉委員の質問にお答えいたします。
委員御指摘のように、ナショナルトレーニングセンターをやっぱりパラリンピックのためにも造ろうという動きはございます。所沢にあります障害者リハビリセンター等も候補に挙がっているんですが、委員御指摘のように、やはり分散型にした方も使いやすいんじゃないかという意見も強うございまして、それの調査費用名目で調査研究費を計上しております。
したがいまして、今後、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会推進室や厚生労働省等も含めまして、関係団体とそういったニーズとマッチするようなセンターを検討していきたいと思っております。

○矢倉克夫君

引き続き、また調査等も含めて、是非よろしくお願いいたします。
二〇二〇年の東京には、やはりオリンピック大成功とともにパラリンピックを大成功させる使命があると思っております。この六年半の過程の中で、パラリンピック成功することで、やはり何といっても健常者の方、障害者の方が同じように社会の中で活躍できる社会をつくっていくということと、また障害をお持ちの方に対するボランティア精神というのをしっかりと社会の中で植え付けていくということが非常に大事であると思っております。
その中で、今日は関連で若干障害者に対しての教育を受ける権利という部分での質問をさせていただきたいと思います。
最初に、特別支援学級についてでございます。
現状、様々いろんなところのお声をお伺いすると、まだ特別支援学級に対しての、やはり設備等の面の、ハードの面も含めて、まだまだ拡充の余地はあるかなと思っております。
現状、例えば不足教室がどれくらいであったのか、平成二十四年の五月一日の段階でのデータ、ちょっと古くて恐縮ではございますが、その時点で四千六百三十三不足教室があったというふうにお伺いもしております。また、私、個人的にお伺いをした事例の中で、やはりまだまだ障害者に対しての、特に御児童さんの方々に対しての教育環境というのはやはり足りないんだなと思ったことがございました。
あるお母様なんですけど、千葉県の方です。お子さんが脳性腫瘍を患っていらっしゃるということで、なかなか学校、市立、地元の公立も受け入れることはできないというふうに拒否をされてしまって、一番近くにある特別支援学校が、じゃ、どこにあるかといったら、そこから往復で二時間ぐらい掛かってしまうようなところにある。往復で二時間掛かってしまうようなところにある。その場合に、じゃ、バスで迎えに来てくれるかというと、バスでも対応ができないというふうに学校に拒否をされてしまったということで、大変困って私のところに来られました。
我が党の、公明党の市議会議員さんがいろいろ動いてくださいまして、最終的には、週の二回はその地元の近くの特別支援学校の方に行き、それ以外は地元の公立学校の方に通うというような形で話も付きまして、何とかその場は抑えたんですが、やはりこのような事例があちらこちらで頻繁に起きているんじゃないかなということを改めて懸念をするところでございます。
そこで、まず現状、この特別支援学校拡充含めて、政策全般についていろいろ御説明をいただきたいと思います。

○政府参考人(前川喜平君)

障害のあるお子さん方の教育に関しましては、去る一月二十日に批准されました障害者の権利に関する条約におきまして、インクルーシブ教育システムの理念が提唱されております。この理念の実現に向けた取組が現在非常に重要であるというふうに考えております。
このインクルーシブ教育システムにおきましては、同じ場で共に学ぶことを追求するとともに、障害のある子供の自立と社会参加を見据えて、その教育的ニーズに的確に応える指導を提供できるよう、通常の学級あるいは通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった連続性のある多様な学びの場の整備が必要になると考えております。
このように、インクルーシブ教育システムにおきましては、特別支援学校も大きな役割を担うものでありますが、文部科学省では、これまでに外部専門家の活用等を通じた特別支援学校の機能強化を図るためのモデル事業等を実施しております。
また、御指摘のように、施設の不足というものが非常に問題でございます。施設整備の観点からは、引き続き特別支援学校の新増築への支援を行うとともに、平成二十六年度からは、新たに廃校でありますとか余裕教室を改修いたしまして特別支援学校として整備する事業に対しまして国庫補助する制度を創設することを予定しているところでございます。
今後とも、これらの施策を通じまして、インクルーシブ教育システムの構築に向けた特別支援学校の充実等に取り組んでまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
今インクルーシブという観点の理念も御説明いただきました。非常に大事な視点であると思います。やはり障害のある方は、ここだけの地域、という形で限定をされないで、同じような環境の中でお互い切磋琢磨し合うということは非常に重要であるかなと思っております。
今特別支援学校の件、廃校等も含めて、いろいろとこれは再生していくというような方向性であるというふうにお伺いもいたしました。先ほどちょっと話を挙げた千葉県の方は、県の予算を使って、何とか本来その方がお住まいのところの市で特別支援学校を造っていくことに今調整が付いたということでありますが、今のお話ですと、今後はまた国が更に補助もした上で廃校等も改修していくというような方向になったという点であると思います。非常に重要な点であると思いますので、引き続きその方向で進めていただければと思います。
続きまして、今のは児童の関係ではございますが、次に大学の関係、障害者の関係の設備について質問をさせていただきたいと思います。
私、アメリカに一時期留学をしたことがありますが、願書等を提出すると、各大学どこを見ても、あれっと思ったのは、ホームページ上では必ず障害者に対してのサポートというようなページがアメリカでは必ず入っておりました。日本ではなかなか見かけなかったなというふうに思っていろいろ調べてみましたら、アメリカではリハビリテーション法という法律、また、障害を持つアメリカ人法という形で、障害を持っている方と障害を持っていない方の学生さんに対しての教育機会を均等にするということを非常に理念としてうたっていらっしゃる。この根底には、障害を持っている方の自立を促すことが最終的には社会全般にとっての活力になっていくというような哲学みたいなものもあるというふうにお伺いいたしました。
対して日本は、障害者基本法十六条、教育に関しての条項はあるんですが、対象として明文上書かれているのは児童さん、生徒さん。学生という言葉はまだない状態ではございます。
そんな中、これから日本も大学の学生さんに対する障害対応、障害者の方々への対応というのは非常に重要であるかなと思っております。
データとしましても、今上げられている数で、大学に通われている障害者の方は平成十七年で五千四百四十四人いらっしゃった。それが平成二十四年では今一万千七百六十八人、倍増しているという。これは、元々障害を持たれた方が増えたということよりは、どんどんニーズが増えてきているというか、掘り起こされてきているという経緯があると思いますが。また、その中で発達障害の方が平成十八年では百二十七人であったのが、平成二十四年では何と千八百七十八人まで増えているというような状態でございます。
大臣の所信の中では、この大学生の障害をお持ちの方に対しての政策というのは直接明文では書かれていなかったと思いますが、改めて今、今後この問題について大臣としてどのように進めていかれるか、御所見をいただければと思います。

○国務大臣(下村博文君)

この件は矢倉委員と問題意識は全く同じでありまして、私は、昨年の十二月に福島に視察に行ったとき、小中高連携の特別支援学校に行きました。そのときに、その高校生たちの作品を見て驚いたんですね。自閉症の子とか、それから学習障害、発達障害、身障者、いろんな子供たちがいる特別支援学校でしたが、すばらしい芸術性を持った作品が埋もれているんですね。
しかし、結果的にはその子たちの高校卒業した後の行き先は軽作業所のようなところしかなくて、せっかくその持っている才能をもっと引き出すようなことをしたら、これは社会に迷惑を掛けているような存在というふうに当事者の方々、親御さんたち思っていますが、逆に社会を牽引するような優れた芸術才能、能力を持っていて、それをどう引き出してあげるかということが今後の我が国の課題だし、それは、その一人一人の障害者の方々が自立するということだけでなく、そのことによって社会貢献をするということにもつながっていくという意味で、これから大学教育についても力を入れるべきではないかということを改めて感じました。
今、大学においては、障害に関する専門的知識や経験を有する教職員やコーディネーターを配置する、あるいは手話通訳等の専門技術を有する支援者を確保するというようなことが重要だということで、それぞれ、日本学生支援機構や、あるいは文科省としても、平成二十五年度から、国立大学法人運営費交付金における専任の教職員の配置、また私立大学等経常費補助金における障害学生一人当たりの単価の倍増など、大学における障害学生支援体制の強化を図っているところでありますが、先進諸国に比べてまだまだ足らないというふうに思います。
そもそも、ほかの国でも、その障害に合った、例えば入学試験の形を健常者とは別の形で工夫しながら、一定レベルの障害者、これは学習障害児含めてですが、受け入れていると、つまり多様な学生を受け入れていると。それが結果的に大学のためになるし、また社会全体に対して、そういう学生をバックアップするということが、その学生たちが社会に貢献するその道筋をつくるという意味では、我が国は非常に遅れている部分があるという感じを私個人としても持っております。
是非、文科省としても、各大学の取組を更にバックアップをしながら、障害のある学生が安心して大学に学べるような、そういう環境づくりに努めてまいりたいと思います。
〔理事石井浩郎君退席、委員長着席〕

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
今大臣おっしゃったとおり、この障害を持たれている方のその潜在能力、非常にすばらしいものはあると思います。よく言われる話ですけれども、例えばエジソンとかアインシュタインなんかも実は障害を持っていたというふうに、話も、部分はある。そういうような方々が解き放たれた才能というのは、本当に社会にまたいい影響も与える部分はあるかなと、あとは環境整備であるんだなと思っております。
今大臣が、国立大学に対しては法人運営費の交付等されているというようなお話もありました。やはり大事なのは、良い取組をしている大学のノウハウ等をちゃんと共有していく在り方であるかなと思っております。その点では、例えば立教大学などが非常に良い取組をしている、その取組の在り方を、独立行政法人の日本学生支援機構、障害学生支援ネットワーク事業という形で、政府の方でもいろいろ共有をしていく枠組みもつくられているということではありますが、やはり一つそういうような形で各大学の自主運営によって専門のスタッフを配属をしていき、それを共有させていくというような取組はされているんですが、やはり課題として挙がっているのは、それぞれ各大学で専属のスタッフとして障害者対応の方がいらっしゃったとしても、やはり非常勤であったり、待遇面がまだまだ弱いという方が非常に多いという話をよく聞きます。一時期的にはその方々が対応しても、やはり長続きもしないで、ノウハウとしてもその大学に残らないというようなお声もよく聞いております。
昨年の一月の大学時報という雑誌に書かれている論文の中でのデータなんですが、日常業務のうち、障害学生支援が七割以上の方の給与というのをいろいろ分析をしたみたいなんですけれども、ほとんどが、百三十万円以下の方が最も多いという割合でありました。人事ローテーションで異動を繰り返す事務局スタッフや支援担当教員が含まれている半面、支援に当たる業務のウエートが高い人ほど非常勤職員として低い待遇を余儀なくされていることが分かると。こうした状況で専門的なノウハウや知識が学内に蓄積しないのは当然であり、障害学生支援に対して、特定の学生だけが恩恵を受ける付加サービス、非常勤職員やボランティアに任せれば十分と見る空気が大学内で根強い表れと思われているというような論文ではございます。
やはり一つの環境整備の在り方として、もうちょっと国で人材を育成するというような在り方も考えなければいけないのではないか、そういうような専門的な各大学の障害者政策に対してこれを支援する、アドバイスする、その専門の人たちを国でしっかりと支援をしていって派遣をしていくというぐらいの在り方も考えなければいけないのではないかと思いますが、大臣、御所見をいただければと思います。

○国務大臣(下村博文君)

おっしゃるとおりだと思いますね。アインシュタインやエジソンは学習障害児であったのではないかと、発達障害児ですね、言われておりますけれども、日本で生まれていたら、多分ドロップアウトしてしまって、学校教育になじめなくて、独自に家庭でフォローアップもなくて、ただの不登校児で苦労する人生になってしまったのではないかというふうに思うところがあります。今の日本の発達障害児も同じようなやっぱり環境のままいるのではないかと。しかし、その子たちのチャンス、可能性を磨くことによって、日本において第二、第三のエジソンやアインシュタインになる可能性がある子が実はそういうところからもたくさんいるかもしれないと。
そういう部分で、これは高等教育まで含めて、チャンス、可能性を広げていくということは、その人その人の人生にとって大切なことですが、同時に社会全体の豊かさにもつながっていくという視点から、これから多様な価値観の中で障害児等の支援をするということについてもっと力を入れるべきときに我が国は来ていると。大学教育においても、そういう意味で、多様な学生が受け入れられるような学校施設であり、あるいはハードやソフトの部分の対応、それから入学試験そのものの多様化を含めたですね、そういうことをすることによって障害児の方々が学ぶ権利がもっと獲得できるような、そういう支援をしていくことが非常に重要だというふうに思います。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。
次の質問に移らせていただきます。
大学の国際化に向けての話でございます。大臣、所信表明でもおっしゃっていらっしゃいましたが、今、グローバルな中で、やはりグローバル社会に勝ち抜く学生を育てていくということは非常に大事なことであるかと思います。
その上で、日本人が海外に出ていく、これも一生懸命促進していくことは大事であると思いますが、私、一方で、大臣もおっしゃっている海外の優秀な留学生が日本に来られる環境をつくっていくことは非常に重要であると思います。
一つは、日本人の全ての学生が、やはり経済的事情もあってみんな海外に行けるわけではないわけですが、それでも海外から来てくだされば、その方々と触れることでやはり異文化ということの、そこの出発点も見えてくるということは非常に大事であると思いますし、海外から来る優秀な方々が日本に来て、また定住をされた上でそこで力になっていっていただくということは、日本の力を更に多様化していく上でも非常に大きな意味があるのではないかと思います。
その上で、ある有名国立大学の総長とお会いしたときに、じゃ外国の留学生を日本にもっと来てもらうためには何が課題なんでしょうかとお伺いをしましたら、真っ先に住環境だというふうに言われました。やはり、外国の方が来て住居が一番困ると。私もアメリカにいたときは、大学に確かに寮がありまして、留学生用の寮があったんですが、日本の大学が必ずそのような形であるかどうかというようなことははっきりしないところであります。特に日本は、敷金であったり礼金であったり、そういうような契約慣行もありますので、そういうような在り方をしっかりとサポートするような体制というのが必要だと思いますが、この辺りどのような政策を打たれているのか、御意見いただければと思います。

○政府参考人(吉田大輔君)

外国人留学生の方が日本において安心して充実した留学生生活を送る上で、まさに住環境の整備というものが重要な課題であるということは御指摘のとおりでございます。
文部科学省におきましては、留学生の住環境確保に関する取組といたしまして、奨学金の支給等による経済的支援に加えまして、日本学生支援機構が保有する国際交流会館などを活用した宿舎の提供及び交流事業の実施を行いますとともに、大学等がアパートなどの民間宿舎を借り上げるに当たりまして、契約時の礼金、仲介料、保険料等に掛かります費用を補助する留学生借り上げ宿舎支援事業の実施も行っているところでございます。
さらに、留学生が民間の宿舎に入居する際に保証という問題が出てまいりますけれども、この関係につきましても、公益財団法人日本国際教育支援協会におきまして、留学生が民間の宿舎に入居する際の入居契約における保証人の負担を軽減するために、火災事故等による損害賠償に加えまして家賃の未払などを補償する留学生住宅総合補償事業を行っているところでございます。
私どもとしては、更にこういう関係の施策を進めまして、住環境の確保に努めてまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
確認なんですが、国際交流会館は今まだ事業としては残っているという理解でよろしいんでしょうか。

○政府参考人(吉田大輔君)

はい、前に事業仕分などで厳しく言われましたけれども、残っております。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
特に地方に関しては、やはり地価とかそういう部分も安い部分もあって、国として何か整備をするという部分は必要ないのかもしれないんですが、やはり都市部に関しては地価も高い部分もある。他方で、やはりいろんな大学が密集しているところもあって、そこに一つ留学生の拠点みたいなのがあれば、いろんな大学の留学生がそこで交流し合って留学生コミュニティーみたいなものも生まれるんじゃないかなと思います。そういう意味での留学生用の宿泊施設というのも、いろいろな制約もあるかもしれませんが、やはりしっかりと造って、国としても万全だという体制を外に示していくことは大事であるかなと思います。
あともう一点、海外の留学生をやはり引き入れるといいますか、先日、国際教養大学の方に視察、行かせていただきまして、改めて感じたんですが、あの大学の力の強さといいますか、学生が皆寄ってくるのは、ここに行けば留学に行ったと同じような感じで外国人の留学生の方々と非常に交流が持てるというようなことを言っておりました。外国人の留学生が来るということは、当然いろんな大学と海外の交流提携ができているということであると思います。いろんな大学との提携を、お話も聞きましたが、アメリカだけではなくてアジア、アフリカ、その他様々な、世界各地からの百何十校以上の学校との提携ができていたという、在籍している学生にしてみれば、留学している最中も国際教養大学の授業料だけ払えば、あとは生活費は当然自分で払うわけですが、その分の授業料という点では現地では徴収はされないと、そういうような形での各大学との提携ができていたというようなお話も聞きました。ただ、それらの学生の協定を結ぶ事務というのは、やはり現地の大学の事務員の方々が一生懸命開拓をされたというところであります。
今後、いろんな大学生を日本に引き入れるといいますか来てもらうためにも、やはり各大学の、そういう今、自主に任せている部分もあるかもしれない、そういうような、外国との大学との提携を結ぶ、協定を結ぶというような、そのようなノウハウ等も含めた共有の在り方や、また国からのしっかりした支援、サポートというのも必要かと思いますが、この辺りを今政策としてどうされているのか、いただければと思います。

○政府参考人(吉田大輔君)

今御指摘の関係につきましては、まず、文部科学省としては、各大学の取組の参考に供するために、交流協定などに基づくダブルディグリー等の外国の大学との教育連携の構築に関して留意すべき点を示したガイドラインを平成二十二年に策定をしております。
また、交流協定などに基づき外国の大学との質保証を伴った教育連携プログラムを開発、実施する大学を支援するために、平成二十三年度から大学の世界展開力強化事業を実施しているところでございますけれども、この事業では、様々な国、地域の大学との間で単位互換や成績管理の方法など質保証の枠組みを構築し、先導的な国際教育連携プログラムを実施する大学を目指してその取組を支援しているところでございますが、この事業採択校の個々のプログラムの概要や進捗状況につきましては他の大学の取組の参考となるようにウエブサイトで公表するとともに、各大学によってシンポジウムを開催するなど広く情報発信を行うよう求めているところでございます。こういった取組を更に進めてまいりたいと思います。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
最後に、大臣から。留学生三十万という目標があります。それに向けて一言いただければと思います。

○国務大臣(下村博文君)

少子化が進行し、社会や経済のグローバル化が進展する我が国において、優秀な外国人留学生を獲得し、我が国の成長に生かすことは極めて重要であり、二〇二〇年までに外国人留学生受入れ三十万人の目標を達成するために、我が国への留学が世界中の学生にとって魅力あるものとする施策としてこれから政府全体で取り組んでまいりたいと思います。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
以上で終わります。

186回 予算委員会(日中韓の関係改善/核兵器のない世界の実現へ)

2014-03-12 国会質問議事録

○矢倉克夫君

公明党の矢倉克夫です。
昨日、東日本大震災発災から三年が経過をいたしました。私、先週末も被災者の方にお会いをいたしました。福島から避難された方々でございます。とにかく安心が欲しいんだと涙ながらに訴えられまして、その思いを改めて聞いて、復興への決意を新たにいたしました。一人一人の思いに寄り添い、そして励まし、さらにはお約束をしたことを実現する、改めてお誓いを申し上げる次第でございます。
今日は、外交、防衛、公共放送がテーマでございます。
質問に入る前に、一言、御就任以来、地球儀を俯瞰する外交を展開される安倍総理のたゆまざる外交努力に心から敬意を表したいと思います。三十一か国も回られている。私を含め国民全体、本当に感嘆をいたしております。
総理も御訪問されたソチの地、今パラリンピックが行われておりますが、まさにその近くのクリミアでの情勢、大変緊迫をいたしております。報道でも、谷内国家安全保障局長、ロシアに派遣をされたとお伺いしました。まさに、是非、プーチン大統領と個人的にもお親しい安倍総理のリーダーシップの下、何としても外交努力、解決に導いていただきたい、このように改めてお願いを申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、質問に入らせていただきます。
まず、近隣諸国、特に中国、韓国との関係であります。
私、全国津々浦々回らせていただいて、いろいろお声をお伺いをいたします。一番お聞きするのは、景気回復、早く実感したいというお声。ただ、実は、二番目にお聞きする声は、とにかく近隣諸国と仲よくしてもらいたい。特に、私の亡くなった父は実は大正十五年、昭和元年生まれでして、母は昭和十年生まれなんです。二人とも、当然ですけど戦争世代。そういうような戦争を経験された方々から、特に若者世代のためにも仲よくしてもらいたい、こういう声を非常にお聞きいたします。
まずは外務大臣より、現状の日中、日韓関係、分析をいただければと思います。

○国務大臣(岸田文雄君)

まず、日中関係につきましては、日本にとって最も重要な二国間関係の一つであります。経済を始め様々な分野において日中の間には切っても切れない関係が存在いたします。例えば、我が国にとりまして中国は最大の貿易相手国です。また、日本から中国に進出している企業数も二万三千を超えております。各国の中で第一位という状況にあります。日中の間には年間約四百八十万人の人的往来があり、留学生交流ですとかあるいは地方自治体の交流ですとか、様々な交流が存在いたします。
また一方、日韓関係を見てみますと、日韓関係も、韓国、我が国にとりまして最も大切な隣国でありますが、国民交流あるいは経済分野等様々な分野で深い関係が存在いたします。こちらは、人的往来、年間五百万人を超えるという状況にあります。また、北朝鮮問題を始めとする東アジアにおける安全保障環境を考えましても、日韓関係が緊密であることは不可欠であると認識をしております。
こうした日中韓の関係は、こうした関係が安定することが三か国の国民にとって利益であるばかりではなくして、地域や国際社会の平和や安定や繁栄にも大きく影響するということからして、日中韓三か国は地域や国際社会の平和や安定や繁栄にも責任を負う立場であると考えています。
こうした状況ですので、確かに日中関係、日韓関係の間には大変難しい問題が存在し、そして難しい局面があります。しかしながら、こうした大切な関係にある日中関係、日韓関係、是非対話や交流を積み重ねていくことが大事だと思っておりますし、環境ですとか様々な実務的な積み重ねを行うことによって、是非高い政治のレベルでの対話につなげていかなければならないと考えているものです。
難しい局面にあるからこそ、是非政治の対話を大事にしたい。こういった思いを是非中国、韓国にも受け止めていただき、我々のこうした呼びかけに応じていただきたいと考えております。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
今大臣おっしゃいました日中、日韓関係、難しい局面、様々な課題がある、しかし政治の対話が必要であるという力強いお言葉であったと思います。いろいろ難しい局面はあるところではございますが、かすかながら光も見えてきているのかなという思いも私もいたしております。
例えば、こちらは今、先日のジャパン・タイムズの記事なんですが、中国の指導者が、見出しですが、日本と紛争をしないというポリシーを設定したという、そういうような見出しの記事がございます。
これは、外務省に事前に確認をいたしましたところ、昨年の十月、周辺外交工作座談会という、中国で開催をされております、習近平国家主席、また重立った共産党幹部、さらにはアジアに滞在している大使の方々が集まる重要な非公式会合においての習近平国家主席の反応であったというふうにお伺いをしております。人民日報等では公式な見解としては出ていないんですが、様々なインターネットの中での情報等を含めますと、日本について非常に言及もされているというようなことが報道でもございます。
その後、総理の靖国参拝等の契機もあったわけですが、今年一月、中国は民間外交、民間交流を突如停止もするというようなこともございましたが、三月になりまして、突然ですが、また農村青年部代表団の訪日など、民間事業を急遽復活させてまいりました。これなども、先ほどの習近平国家主席の意向が末端まで反映されたというふうにお伺いもしております。
また、韓国との関係についても、FTA交渉など様々実行、どんどん進んでいるところでございます。私も韓国の政府高官の方と直接お会いをしたんですが、韓国大統領の日韓友好に対しての強い思いというのを非常に、改めて直接お伺いをいたしました。
外務大臣もおっしゃっていましたが、アジア情勢、緊迫はしております。防衛力を維持することは当然ではございますが、相手国の国内情勢も分析しながら、僅かなきっかけもしっかりとつかんで友好への道を開く、それが国民生活の安心のためにも政治の役割であると思いますが、総理はこの点、日中、日韓関係、どのように安定させていくおつもりか、御意見をいただければと思います。

○内閣総理大臣(安倍晋三君)

矢倉委員の御指摘のとおり、日中関係、日韓関係、極めて重要な関係でありますし、こうした関係を発展をさせていくために様々なチャンスを捉えて関係を転換させていきたい、あるいは改善していきたいと、このように思っている次第でございます。
日韓関係、日中関係、隣国でございますから様々な課題が当然生じてくるわけでございます。そうした課題があったとしても、一つの課題があった、一つの問題があったからといって全ての関係を閉じてしまうということがあってはならないわけでありまして、課題があるからこそ、例えば首脳間の交流はしっかりとしていく、首脳会談あるいは外相レベルでの会談は行っていくべきであろうと、こう考えているわけでございます。
ですから、例えば日中関係におきましても、たとえ中国が防空識別区を一方的に設置をしてきたとはいえ、我々は、民間の交流あるいは文化交流等をこちらが一方的にそれを止めるということはもちろん一切していないわけであります。そういう状況だからこそ、防衛当局間の話合いを我々は求めているわけでございまして、韓国におきましても、基本的価値を共有する最も重要な隣国でございまして、本日、齋木外務次官を韓国に派遣をいたしまして、先方の外務次官との間で協議を行わせることにしております。政府としては、未来志向の日韓関係の構築に向けて引き続き尽力をしていく考えであります。
日中関係は確かに厳しい状況にあるわけでございますが、日中間で不測の事態が発生することは誰の利益にもならないわけでございますし、第一次安倍政権の際に日中首脳会談で私が提案をしたのでございますが、防衛当局間の海上連絡メカニズムについて、我々が、私が提案をしたわけでございますが、いまだ中国はその運用開始に合意をしていないのは大変残念なことでございますが、引き続き中国側に働きかけを続けていきたいと、このように思うわけでございます。
いずれにいたしましても、会談をやるための条件を付すのではなくて、まさに様々な課題を解決をするために首脳会談を開催すべきであると、このように考えておりまして、私の対話のドアは常にオープンでありまして、中韓両国にも同様の姿勢を取っていただきたいと思う次第でございます。

○矢倉克夫君

総理、ありがとうございます。今、首脳会談大事であるという力強いお言葉もいただきました。
今おっしゃっていた防衛当局間の海上メカニズム、これは非常に大事な分野であると思います。防空識別圏の話題もあります。その中で、偶発的な衝突がないようにするためにも、やはり航空機同士の連絡も取り合えるようなメカニズムというのはしっかりとつくっていく。これは継続的にまた御協議をいただければと思っております。
その上で、この首脳会談を含めどのように進めていくのか。やはり、いかに関係を進めて修復をするか。一つのヒントが先日の総理御答弁にあったと思います。総理は、我が党の河野義博議員、フィリピン台風被害に対する質問、また防災や減災対策についての共通の枠組みに関する質問に対しまして、中国、韓国との関係においても、防災対策の共有や共同研究等の取組を含め、できるところから互恵的な協力関係を発展させていくよう呼びかけていきたい、このようにおっしゃいました。全くそのとおりであります。
特に、異常気象や台風もあります。また、津波、竜巻もある。さらには地殻変動など人類共通の課題に対しまして取り組むことは、仲間意識や連帯意識を育む上でも大変に意義のあることであると思っております。
特に、日本にはそのような枠組みをつくる使命がございます。昨日、三年を迎えた東日本大震災、そのような中で得た知識、経験というのは、災害救助の在り方そのものとまた別に、震災被害からいかに復元をしていくのか、そのような知識、ノウハウもあると思います。例えば、住民の健康を守るべき病院その他が被災した場合の復旧の在り方をどうするか、そのような知識、経験は、まさに日本から世界に発信をして、共通をしていく財産であると思っております。
それに向けて大事な会合が来年の三月、仙台で行われます、まさに第三回の国連防災世界会議でございます。この会議は、本来であればニューヨークで行われる閣僚級の国連総会をこの日本で行う。今まで三回やっておりますが、第一回は横浜、第二回は阪神・淡路大震災後の神戸、そして今回は仙台、全てこの日本で行われる会議でございます。
総理、いかがでしょう。この会議は何としても成功させなければいけない。その成功を促す意義を込めて、日中韓首脳の間で防災対策をテーマにした何らかの合意ができませんでしょうか。そのために協議を開始すべきと考えます。
事務方レベルではこのような日中韓の枠組み、既になされております。今月の六日、日本の外務省において、中国、韓国、また日本の事務方が集まりまして、東京で震災が起きたとき、中国、韓国がどのように救助をするか、それについての事務レベルの協議されました。外務大臣も急遽御参加されて、このような枠組みが大事であると発言されたというふうにお話も聞いております。こういうような事務レベルでの会議、これを政治レベルででもしっかりとやっていくべきではないかと。
五月のOECDの閣僚会合もございます。九月下旬の国連総会、十一月にはASEANの関連首脳会議、G20の首脳会議もあります。そして秋、北京ではAPECの首脳会談など、幾らでも機会はございます。
改めて総理、このような日中韓の防災、これをテーマにした首脳の会談、こちらについての御意見いただければと思います。

○内閣総理大臣(安倍晋三君)

来年三月、仙台で行われます第三回国連防災世界会議では新しい国際的な防災の取組指針が策定される予定でございまして、極めて重要な会議になると思います。我が国としては、東日本大震災を始めとする幾多の災害を通じて得た貴重な経験や知見を世界と共有をし、そして国際社会において防災の主流化を積極的に推進していく考えであります。
委員御指摘のとおり、防災分野は中国、韓国との関係でも重要な協力分野の一つでございます。三月六日に東京で第二回日中韓三国防災机上演習を開催するなど、実務レベルでの防災協力を推進をしてきているところでございますが、今後とも中国、韓国との間で防災対策をテーマとした取組を進め、できるところから互恵的な協力関係を発展させていきたいと考えております。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。
日中韓の関係改善には、やはり何としても総理、安倍総理のリーダーシップが本当に大事である。総理のお言葉一つ一つがこの東アジアの安定にも本当に大きな大きな影響力を与える、このように私確信をいたしております。
そう思う理由が実はございます。私、二〇〇六年の秋当時、中国の上海に滞在をいたしておりました。当時の日中関係、余りよろしくございませんでした。小泉元総理の靖国神社参拝問題が尾を引きまして、余りいい関係ではなかったと思います。日本製品の不買運動なども起きた。私も現地で少なからず嫌な思いもいたしました。
そんな中、突如中国を訪問されたのが総理、安倍総理でいらっしゃいます。私驚いたんですが、その総理の訪中を受けた後の中国人の反応というのが大変に驚きまして、それまではいろいろ言い合いもしていた人たちも、みんな私に握手を求めてきました。アンベイ、アンベイジンサン、総理の中国読みなんですが、これはもう大変失礼、呼び捨てはみんなしていたんですけど、本当にすごいと、この状況で中国に来るということは本当に勇気の要ることだと、そういうようなことを言っておりました。なかなかできないと私に握手を求めて、そして何人かはありがとうというふうに言ってくれました。私も、個人の体験で大変恐縮なんですが、その経験を経て、やはり中国人も日本人と仲よくしたがっているんだなということを実感もした次第でございます。
私にとってもこの外交というのは、時には相手の懐に入る度量の広さ、そしてもう勇気というのが必要なんだということを私、総理に教えていただきました。総理、もうその総理であればこそ、むしろ総理でしかこの難局は私は乗り切れないと思っております。先ほど来も、対話のドアは常にオープンである、こういうふうにおっしゃってくださっております。こういった従来の御答弁、これの枠を超えて、より強く近隣諸国に対しての関係改善に向け積極的なメッセージをいただきたいと思います。是非総理、よろしくお願いいたします。

○内閣総理大臣(安倍晋三君)

朴槿恵大統領とは就任前に意見交換を行う機会がありました。また、就任後もサンクトペテルブルクのG20やバリのAPEC首脳会談の際に、これは社交ではありますが、会話を交わす機会はあったわけでございますし、またダボス会議では朴槿恵大統領の講演を伺いに参りました。
また、習近平国家主席とは、昨年九月のサンクトペテルブルクのG20の機会に握手をして挨拶を交わしたところでございます。日中戦略的互恵関係の原点に立ち戻って日中関係を発展させていくべきとの考え方を伝えて以来、残念ながら、より深く意見交換をする機会は設けられていないわけでございます。
先ほど申し上げましたように、それぞれの国に主張があるわけでございますが、しかしこの地域において、日中、日韓、日中韓が関係を強化をしていくことは、間違いなく地域の安定と発展、未来に資する、こういう共通の認識を持っているわけでありますし、それぞれの国益に資するということについても共通の認識があるんだろうと、このように思うわけであります。
習近平主席、また朴槿恵大統領とも私は大体同じ世代でもあります。このような三人のトップリーダーの間で密接な関係を何とか築いていきたいと、このように思うわけでありますし、そうした関係を築くことは、先ほど、繰り返しになりますが、申し上げましたように、地域の発展には間違いなくこれは資することになるわけでありまして、今後とも私も努力をしていきたいと思うわけでありますし、私としては、大局的な見地から、韓国及び中国との間で政治、経済、文化など、あらゆる分野において未来志向の協力関係を発展させていくべく、引き続き尽力をしていく決意でございます。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
日中、日韓の国内状況をつぶさに観察しますと、やはり国民的支持の高さもある、そして支持基盤も強固である、これはやはり総理のみでございます。そういう意味でも、海外に向けてしっかりとメッセージを発することができるのはまさに総理のみであると私は思っております。そういう意味で、引き続き関係改善に向けて御努力をいただければと思っております。
それでは、次の質問に移りたいと思います。核なき世界に向けての取組、質問をさせていただきます。
昨月の十三、十四日だったと思います。メキシコのナジャリットというところで日本を含む百四十六か国が一堂に会しまして、そこで第二回核兵器人道的影響に関する国際会議、開催をされました。核兵器というのは非人道的なものである、もう百四十数か国というこの大きな単位での国際的合意が確固となりました。さらには、会議に参加していない核五保有国、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国、これらの国にも幅広く参加を呼びかけていこうということが決議された大成功の会合であったとお伺いしております。
私も、この会議に参加をされたNGOの方から直接にお話をお伺いしたんですが、会議の流れを決定付けたのは、会議冒頭に行われた被爆者の方々の証言でございました。会議を、それを聞いた多くの参加国、大半の参加国は、被爆者という言葉を使って核廃絶に向けての誓いを新たにした。
その上で更に感動を呼んだのが、そこでいらっしゃっていた、参加をされていた長崎の高校一年生、小柳さんの英語スピーチ。ユース非核特使、ユースは英語で青年のユース、非核は非核三原則の非核でございます。このユース非核特使として参加をしていた小柳さんのスピーチでした。被爆三世である小柳さん、祖父母に対して、生き延びてくれてありがとう、大変な中、生き延びてくれたから自分がいるんだ、こういうような思いも訴えた上で、核兵器の非人道性を世界に向けて訴えていくことが被爆三世である使命だと高らかに訴える姿勢に多くの方々が賛同をされていたというふうにお伺いをしております。
ちなみに、このユース非核特使制度は、被爆者の高齢化が進む中、被爆体験を継承するため、岸田外務大臣がイニシアチブの下推進された制度であると承知をしております。
総理にお尋ねいたします。
オバマ大統領の訪日を調整中とお伺いしております。大統領と核廃絶に向けて様々お話をされると思いますが、大統領とこのユース非核特使、面会の機会を是非設けていただきたいと思います。未来へのメッセージとして両国の若い世代に核なき世界の理念を伝える、この意味で非常に重要だと思いますが、では、よろしくお願いします。

○国務大臣(岸田文雄君)

我が国は唯一の戦争被爆国であり、核兵器のない世界を目指すというこの大きな目標に向けて、世界、国際世論をリードしていく、こうした道義的な責任があると考えています。
そして、ユース非核特使につきましては、ただいま委員の方から御紹介をいただきました。核兵器使用の悲惨さを世代を超えて継承していく、こういった観点から昨年六月に立ち上げたわけですが、今日まで二十五人をこのユース非核特使として委嘱しております。
オバマ大統領自身も核兵器のない世界を目指すという目標を掲げています。この核兵器のない世界を目指すという目標においては、日本と米国、これは目標を共有しているわけですので、米国政府関係者とこうしたユース非核特使が面会するということは、核軍縮の機運を高めるという意味においては大変有意義な機会になると認識をしています。
ただ、オバマ大統領の訪日については、日程、それから日数等、詳細はまだ決定しておりません。よって、そうした具体的な日程について今の段階でちょっと申し上げることは難しいかと考えております。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
最後、質問させていただきます。
三月には核セキュリティ・サミットが行われます。オバマ大統領も出席を検討されているという報道がございます。私、国会審議の状況が許すのであれば、是非このサミットには総理に御出席いただきたいと思っております。その際には、是非核兵器廃絶、これを訴えていただきたい。前回、韓国で行われたとき、当時の野田総理、核兵器廃絶までは言及されなかったと聞いております。核の問題は、唯一の被爆国であるこの日本、世界の中で我が国にしかなし得ない発する価値というものがございます。我が国しかできない価値、これをしっかりと発信していくことが外交力であると思っております。
是非総理の御決意をいただければと思います。

○内閣総理大臣(安倍晋三君)

核兵器のない世界に向けた世界的な核不拡散、核軍縮を進める上で、核セキュリティー、いわゆる核テロ対策の強化を話し合う三月の核セキュリティ・サミットは極めて重要であるというふうに認識をしております。我が国は唯一の戦争被爆国であるとともに、原子力の平和利用に長い経験を有しており、このサミットに積極的に貢献すべき立場であると、このように思います。
このような核セキュリティ・サミットの重要性と我が国の立場に鑑み、もし国会の状況を含め諸般の事情が許せばこのサミットに出席をし、我が国の立場、十分に主張したいと考えております。

○矢倉克夫君

是非よろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。

寄り添い、励まし、実現する

2014-03-11 メルマガ

矢倉かつおです。

東日本大震災から今日で3年を迎えます。先ほど、追悼行事に参加してまいりました。お亡くなりなった方々のご冥福を改めてお祈り申し上げるとともに、被害に遭われた方々の希望のため、全力で働く決意です。

3年前の3・11、私は、経済産業省の16階にて執務中でした。あのあとテレビでみた津波の光景、忘れることが出来ません。

様々なところでお話ししておりますが、私が政治を志したきっかけの一つは東日本大震災です。最も国民が助けを求めているときに、復興を主導できなかった政治への憤りからでした。

その後、参議院選挙の予定候補となり、真っ先に訪れたのが、岩手の陸前高田市でした。申し訳ないことに被災者の方のお宅に泊めていただきました。30人ほどと懇談しましたが、皆さん、肉親を失った、親友を奪われた、家を流された等々、言葉に出来ない苦しみを味わった方ばかり、それでも、笑顔でした。

この笑顔の奥にどれだけの辛労があったのだろう、悲しみを乗り越え、必死に頑張ろうとされている、なんと強い方々だろう―――自然と涙が出ました。

先週末、埼玉県の入間市に避難をされている福島県の方々と懇談する機会をいただきました。「風化」と「風評被害」、二つの風に立ち向かう決意を冒頭、述べたところ、複数の方が涙ぐまれていました。胸が締め付けられるような思いでした。

聞く話全てが、切実でした。そのなかの一つに以下のようなものがありました。

「月に一回、南相馬市に帰っているが、いくら避難解除されても、もうあの家には住めない。ネズミだらけだし、水道管も使おうとしたら破裂してしまった。
そんな家だけど、津波で流されたわけではない、建物も損壊してない、だから私たちは修理も何もかも自己負担になってしまうのです。でも、修理に相当なお金がかかると言われてしまいました。」

政府は、昨年末、福島からの避難者の方々全員に帰還していただくという方針を転換し、帰還支援を復興の基本であることを維持しつつ、故郷を離れて新しい生活を開始する住民の方々のための支援も拡充する方針を閣議決定しました。ただ、福島避難者の方は、帰るか帰らないか決めている方々だけでなく、帰りたくても帰れない、二重生活をせざるを得ない方も多いことを忘れてはいけない、あらためて感じました。

どこまでも寄り添う思いをもって、引き続き、全ての人が安心できるよう党内でも議論をしていきたいと思います。

(お知らせ)
明日、NHKで中継されます予算委員会にて質問に立ちます。(15:00頃)
詳細は、明朝、お知らせさせていただきます!

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