【矢倉かつお】法務委員会_20150326

2015-03-26 矢倉かつおチャンネル

【矢倉かつお】予算委員会公聴会_20150326

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189回 法務委員会(司法修習生の待遇改善等)

2015-03-26 国会質問議事録

○矢倉克夫君
公明党、矢倉克夫です。よろしくお願いします。
予算委員会の関係で質疑の順序を変えさせていただきました。理事各位始め、皆様の御協力に感謝申し上げます。
また、今日は、外務省と厚労省の方もお越しいただきました。ありがとうございます、お忙しいところ。
まず冒頭、質問に入る前に一言。私、政治評論家の森田実さんとも親しく、また御指導いただいているんですが、先日、森田実さんから、今回、刑務所の老朽化等対策、予算が非常に倍増されたということを、大臣、各位皆様の法務省の予算獲得に向けての御尽力に敬意を表するとともに是非感謝を申し上げてくださいというふうに言われましたので、冒頭まず改めて、大臣、各位皆様の御尽力に感謝申し上げたいと思います。
早速質問に入らせていただきます。
まず大臣から、今法曹教育、様々な議論があるわけですが、この法曹教育を受けた方々の能力その他が社会においていかに有用的なのかというところを御所見をいただければと思います。

○国務大臣(上川陽子君)
委員から冒頭、矯正施設に関する予算につきまして言及をいただきまして、また森田先生からの御意見ということで触れていただきまして、ありがとうございます。一生懸命頑張ってまいりたいと思います。
ただいまの御質問の件でございます、法曹養成課程を経て培われるべき能力、リーガルマインドとは何かということでございます。多様な国民の様々な御要請、また広範に及びます様々な国民の皆さんの御要請に対しまして、それに応えることができるような高度の専門的な法律知識があること、そして同時に幅広い教養を備えているということ、さらに国際的な素養もあるということ、そして豊かな人間性や、また職業倫理を備えているというものであるというふうに承知をしているところでございます。
このような能力でございますが、法曹が法の支配の直接の担い手として、また国民の社会生活上の医師として、個人やまた企業等の諸活動に関連する個々の問題について適切な法的サービスを提供することで紛争の発生を未然に防止するとともに、紛争が発生した場合におきましては、適正、迅速かつ実効的な解決を図ったり、あるいは国際社会におきまして内外のルール形成、そして運用、こうしたものに携わる、そうした役割を果たすために必要なものであって、社会において一般的にも大変有用なものであるというふうに考えております。

○矢倉克夫君
大臣、今紛争というカテゴリーを中心にお話しされました。もう全くそのとおりであると思います。
私も法曹の端くれでもありますが、法律を勉強する前は、私個人にとっても法律というのは全く専門外、全然関係ない世界の話だと思っていたんですが、法律を勉強して改めてびっくりしたのは、国の統治やまた社会保障という大きな分野から、本当に日常ささいにある、物をあげたり買ったり売ったりするような、そういうようなささいな行動の中にも全部法の網というのがあってルールというのがあるんだなということを実感もいたしました。
とりわけ、それを裏返しますと、やっぱり法曹の、また法曹教育を受けた人というのは社会のあらゆる分野に共通する法の素養というものを持っている、この能力の有用性というのは社会にあらゆる分野に汎用性があるものであるなというふうに思っております。という意味でも、法曹三者という枠にとらわれないで、実業界、ビジネスであったり、また役所の世界であったり、様々な分野にこれを生かしていくべきでもあるし、そういうような分野に入っていこうというような人をどんどんと育てていくというのは国策にも合致することであると思います。
大臣も所信で、法曹教育の関係で、この分野の重要性は国の形をつくるものであるというふうにおっしゃっておりました。その点もまさにそのとおりであるかと思います。
ただ他方、今問題といいますか、今日は問題提起まずさせていただきたいのは、その法曹教育を受けるということを志願している人がやはり減っているという状態であると思います。最近の司法試験の出願者数でありますが、平成二十四年は一万一千二百六十五人出願でしたが、平成二十五年には一万三百十五人、平成二十六年には九千二百五十五人というふうに毎年千人ごとどんどん減少をしている。まず、この背景にあるものをどのように捉えられているのか、お答えをいただきたいと思います。

○政府参考人(萩本修君)
法曹志願者の減少につきましては、平成二十五年六月の法曹養成制度検討会議の取りまとめにおいて分析がされておりまして、それによりますと、一点目として、司法試験合格状況における法科大学院間のばらつきが大きいこと、二点目として、全体としての司法試験合格率が高くなっていないこと、三点目として、司法修習終了後の就職状況が厳しいこと、四点目として、その一方で法科大学院において一定の時間的、経済的な負担を要すること、これらのことから法曹を志望して法科大学院に入学することにリスクがあると捉えられていることが原因であると分析されているところでございます。

○矢倉克夫君
今、萩本さんからお話がありました。様々な要因があるわけですが、やはり経済的要因というのが非常に強いかなと思っております。
日弁連がアンケートを取ったものが今手元にあるんですが、例えば修習生の方、まず修習期間中は今貸与という形になっております。その期間の貸与額、これがまず平均三百五万円、これが重い借金として乗っていると。その上で、法科大学院のときに奨学金を受けられている方、ほぼ半数がやはり受けられている。それら合計を踏まえますと、多い方では本当に一千万近く負担もされている。半数以上、六〇%以上の人が二百万から六百万の経済的負担を持っているという。この状態でありますと、その後、将来就職も含めて不安を抱える状態で修習しなければいけない、それであればやめるというような選択も当然出てくる。実際、司法修習、合格をされたのに、その後の経済的不安から修習そのものも辞退するという人が五十人ぐらいもう、昨年辺りでしたが、いらっしゃったというようなことも聞いております。
私自身も、修習生であったときには非常に経済的に不安定な状態で、家の事情もあったりとかして不安定だった状態でありまして、私個人の思いとしても、修習生、この経済的不安というのを払拭しない限り、私自身もその後の修習生活を送れなかったというところもあり、何とかそういうような不安にならないような思いを持った修習生の安定性というのは確保してあげたいなという思いでおります。
今、貸与制という形にはなっております。給与制を廃止して貸与制とした当時の背景としましては、想定されていた当初の合格者というのが三千名ぐらいであった。それぞれ三千名に、昔の給与、恐らく月額二十万にプラス手当というものの状態で三千名支給をしたら、額として百億以上はやはり掛かると。これは余りに財政的には厳しいんじゃないかというような話があったかと思います。
その後、まず立法事実の変化としては、合格者三千名というものが半数近くに今なっている部分もある。また、それぞれの修習生、デフレの状況もあるかもしれませんが、修習生が生活で大体どれぐらいお金を掛けているのかというところに関しましては、住居費等を抜きましたら大体十万ちょっとぐらいだというようなアンケートの結果もあります。
そういうような結果から考えると、当初百億以上掛かっていたものが、今の推計でいえば三十億から大体四十億ぐらい、そういうふうに額も相当下がっている。こういうような状態を踏まえますと、立法事実も変わっているわけでありますし、この貸与制というものをまた給付制にして、若しくは手当という形にするということも考えるべきじゃないかと思いますが、この辺り御所見いただければと思います。

○政府参考人(萩本修君)
司法修習生に対する給費制から貸与制への移行に当たりましては、今委員御指摘のとおり、司法修習生の大幅な増加ということが一つの根拠とされていたわけですけれども、そのほか、法科大学院制度の創設や日本司法支援センターの創設など、司法制度改革によって生ずる新たな財政負担があることから、そうしたことについて国民の理解を得るためにも、司法制度全体に関して合理的な財政負担を図る必要性があることなどが根拠とされ、それらを総合的に考慮した結果とされているところでございます。したがいまして、現在におきましても、そうした根拠はなお失われていないと考えております。
加えまして、司法修習生に対する経済的支援につきましては、貸与制を前提としつつも、平成二十四年に裁判所法の改正によりまして修習資金の返済猶予事由が拡大され、また翌年、平成二十五年には最高裁判所において移転料の支給等の措置が実施されたところでして、司法修習生に対する経済的支援は相当程度図られているところではないかと考えております。
したがいまして、法務省としましては、こうした経済的支援の実施状況を見守ってまいりたいと考えているところでございます。

○矢倉克夫君
様々御検討されているというところでありますが、貸与という部分、維持される限りは、なかなか不安というのはやはり覆らない部分はあるのかなと思います。
大臣にもお伺いしたいと思うんですが、私、先日、議員集会があって、そこで一人、司法修習辞退者の声というものがありました。これを今紹介するお時間ないので全文は読まないんですが、一文、その方のお母さんの、法曹はお金がある人しか入れないんだねというような言葉、これは非常に印象に残った部分はお伝えしたいと思います。
あと注目すべきは、この司法修習というのは、義務という言葉が正しいかどうか分からないですけど、この期間を経なければ法曹になれないという期間、逆に言うと、その期間は一年間拘束をされるという時間帯でもあると、一人一人の修習生にとっては。そういうような形で制度を設けている限りは、それに見合ったような経済的支援をするというのは、やはり私は合理性もあると思います。
その上で、もう一点申し上げたいのは、先ほど冒頭、大臣からもおっしゃった、法曹教育を受けた人というのは社会的にも非常に素養のある方、やはりその人に対しての投資というものも、これはしっかりと観点を持っていかなければいけない。国全体でも、何に投資をするかという観点から考えれば、これほど、言葉が正しいかは取りあえずおかせていただいて、確実な投資先というのはやはり私はないのではないかなというふうに思います。そういう意味合いでも、司法修習生の経済的支援ということを大臣の方でもしっかり進めていただくという部分、また一言いただきたいと思います。

○国務大臣(上川陽子君)
ただいま委員の方から、大変大事な法曹養成、そして同時に、経済的な支援を含めていろんな声が上がっているということについて御紹介をいただきました。
先ほど、御説明をいたしたところでございますけれども、貸与制を前提にしながら、様々な経済的な支援措置ということにつきましても最高裁におきまして実施するということで期待をされるということでございますので、そうしたことも踏まえまして、貸与金の返還も始まっていないという状況でもございます。まずは、最高裁と連携をしながら、これらの措置の実施状況をしっかりと見ていくということが重要ではないかなというふうに思っております。

○矢倉克夫君
今日、実は財務省の人にも来てもらおうかと思っていたんですが、財務省に言ったら、財務省としても、法務省がしっかり意見を表明してくれない限りは我々も何も言うことがありませんと言われて呼べなかったと。
問題は、法務省として、しっかりこの問題についてもより積極的に財政当局等にも訴えていくという姿勢をもっと強くしていかなければいけない部分はあるかと思います。その辺り、法務省として、さらに、そういう財政的な部分の考慮もあるんですが、しっかりしていくということをまたちょっと、もう一点、大臣、一言いただきたいと思います。

○国務大臣(上川陽子君)
この法曹養成というのは大変大事な基盤であるというふうに考えております。そういう意味では、この制度そのものがしっかりと趣旨にのっとって運用することができるようにしていくということの中の一つの課題として、今のような御指摘があったものというふうに思っております。
繰り返しになるものでございますけれども、貸与金の返還が始まっていないという状況でございまして、移転料の支給等の経済的支援の措置を講じた現段階におきましては、そうした措置の実施状況ということをまずしっかりと見ながら進めてまいりたいというふうに考えております。

○矢倉克夫君
また経緯を見ながらということでありました。私もしっかりまた注視をさせていただきたいと思います。
続きまして、大臣の所信の中でまた改めて司法ソーシャルワークの話もされておりました。司法ソーシャルワークの質問ではなく、そこの背景にある部分はやはり司法と福祉の連携というところ、この根底が大事だという思いからこのような所信もされたものであると私も思っておりますし、その点はまさにそのとおりであると思います。
その関係で、成年後見制度に少しお尋ねをしたいことがあります。
まず、この成年後見制度の概要について御説明をいただきたいと思います。

○政府参考人(深山卓也君)
成年後見制度は、御案内のとおり、認知症等の精神上の障害により判断能力が不十分であるため契約等の法律行為における意思決定が困難な者につきまして、その判断能力を補い、その財産の管理をする制度でございます。
成年後見の開始の審判というのは、本人、配偶者、四親等内の親族等のほか市区町村長もすることができることとされておりますし、さらに、家庭裁判所において選任する成年後見人は、個別具体的な事案に応じまして、被後見人の親族、弁護士や司法書士等の専門職、あるいは市民後見人、すなわち一般市民で社会貢献として自ら後見人となることを希望した方などが選任されているというふうに承知しております。

○矢倉克夫君
申立てに当たっては、この親族申立てと市区町村の長が申し立てる、その二つがあり、また後見人になる方という分類から考えれば、親族の方が後見人になる市民後見人、また専門家の後見人という分類が大枠あるというようなことであったかと思います。
それで、今、お手元の資料を御覧いただきたいと思います。
冒頭、今あった申立ての分類のうちの一つ、市区町村長の申立ての件数が非常に伸びているという状態、割合、総数もどんどん伸びているということであります。これは、裏を返せば、親族の申立てというものが割合的には減って、市区町村長の割合が増えているというようなことであると思います。
まず、この背景について、厚労省の方から御説明いただきたいと思います。

○政府参考人(苧谷秀信君)
市町村長申立ての件数につきましては、今お話がございましたように、制度創設当初の平成十二年は二十三件でございましたが、平成二十五年は五千四十六件となっており、増加傾向にございます。
このように成年後見制度における市町村長申立てが増加している背景でございますが、一つに、市町村長申立ての広報啓発が行われ、申立て制度の普及定着が進んでいること、それから二つ目に、認知症高齢者や独り暮らし高齢者の増加に伴い、介護保険サービスやその他の高齢者福祉サービスの利用ニーズが高まっていることなどが主な理由だと考えております。

○矢倉克夫君
今、広報啓発と介護保険の利用という部分もあったと思います。
私、もう一つ言わざるを得ないところは、現場の声をいろいろ聞くと、なぜ市区町村長申立てというふうになるかというと、やはり財産のない高齢者の方、その方に対する後見というものを、大変残念な事態ではあるんですが、親族の方とかが拒否をされるという部分、そういう部分の本当に身寄りのない方とかも含めた方が市区町村長申立てというような形にならざるを得ないというような部分もやはりあるかと思います。
そのような中で、私もいろんな方と、とりわけ司法書士の先生であったり弁護士の先生、現場でやっていらっしゃる方に何人かにお伺いをしたんですが、そこで一つお伺いをした中で改めて感じたのは、市区町村長申立てをするときに、申立てという手続を開始してから実際後見人が選任されるまでの期間が非常に長くなっているというようなことがありました。
私が聞いた案件の中で、そのような後見が必要だということを認識した上で、じゃ実際、後見人が付いて手続が開始されるまで市区町村長申立てをした場合どうだったかというと、一番長い年限で二年間掛かったという事例がありまして、具体的には、平成二十四年にその方、民生委員が見付けて、民生委員から市役所に連絡をしたにもかかわらず、後見人が結局選任されたのはその二年後の平成二十六年の九月十七日、これが一番長い期間であったんですが、こういうような、先ほど冒頭申し上げたとおり、やはり一番サービスを必要とするような方が市区町村長申立てをしているのに、それへの対応がこのような事態になっている部分もあると。
理由は二つぐらいあるかなと思って、一つは、市区町村長申立て、それを受ける市役所側の体制というのがやはりまだまだ、マンパワーの部分かもしれない、またそれぞれノウハウが足りないという部分であると思います。
ここの体制がまだ改善の余地があるというところもあるかと思います。
これについて、現状どういうような対応をされているのか、この辺り、厚労省から。

○政府参考人(苧谷秀信君)
今御指摘のございました市町村長申立てにつきましては、認知症の高齢者世帯、それも単身の世帯、それから親族間の紛争、高齢者虐待等の問題を抱え、対応が困難な事案が比較的多いというふうに聞いてございます。
このため、市町村におきましては、弁護士等の専門家の技術的支援を受けるための体制整備を進める、あるいは成年後見支援センターによる専門相談を行うなどの取組が行われていると承知しておりますが、なお、こういう職員のマンパワー不足、ノウハウ不足に対応しましては、厚生労働省といたしましても、このような市町村による先進的な取組につきまして、平成二十三年度に創設しました市民後見推進事業を通じて支援をしてきております。
さらに、平成二十七年度予算案におきましては、この事業に代わり、都道府県に設置します地域医療介護総合確保基金を活用しまして、新たに権利擁護人材育成事業を設けまして、都道府県等と連携しながら、市民後見人の育成と普及により一層取り組むことといたしてございます。

○矢倉克夫君
今、市民後見人の普及という部分がありました。それとはまた別に、専門家の後見人の方がより良く入る体制というのもまたこれからつくっていく必要があろうかと思います。
それで、あともう一個の理由なんですけど、先ほど申し上げた例含めていろんな方がおっしゃっていたのが、なぜ遅れたか。遅れた理由というのは、まず申立てが遅くなった最大の理由は、申し立てる方御本人にお金がなくて、専門家に依頼しにくかったと。なぜなら、報酬がやはりどうしても下がってしまう。そのようなことを受ける専門家の後見人の方の報酬というのがやはり少ない部分で、結局、皆さんたらい回しになってしまって、それが受けられないんじゃないかと。役所の人がそういうふうにおもんぱかって、その後、申立ての手続になかなか踏み込めなかったというような実態があるかと思います。
この実態を改善するためにも、今、現状は、例えば司法書士の方、弁護士の方、専門家の方、後見人をされるわけですが、特に先ほど申し上げた市区町村長申立てのような、財政的にやはりお金のない方、けれど、一番保護が必要な方であればあるほど報酬が少ないというような状態がある。その結果、実入りのいいものだけをみんなで取り合って、本当に大事なところに皆さんなかなか手を差し伸べない。これは専門家倫理の部分もあるんですが、それはひとまずおかせていただいて、そういうような方でもしっかりとサポートするような体制になるような、報酬体系部分も含めてやはり整備していかなければいけないと思います。
まず、これに対してどのような支援があるのか、こちらも厚労省からいただきたいと思います。

○政府参考人(苧谷秀信君)
今御指摘ございました、今後増加する認知症の方を始めとしました高齢者等の権利を擁護するため、成年後見制度を利用しやすいものとしていくことは非常に重要であるというふうに考えてございます。
このため、介護保険法に基づきます市町村による地域支援事業、この中に成年後見制度利用支援事業を位置付けまして、成年後見制度の利用が必要と判断される低所得の高齢者に関します成年後見制度の申立ての経費、それから成年後見人の報酬等を今現在助成しておるところでございます。このような取組を通じまして、後見に係る費用を負担するなど、成年後見制度の利用が進むよう支援してまいりたいと考えてございます。

○矢倉克夫君
これ、ここで項目取り上げましたのは、今もうずっと厚労省にばかり聞くような形になっているわけですが、やはり法務省としてもこの問題をより積極的に関わっていただきたいなと思っております。
とりわけ後見受任をする士業、例えばそのような方がしっかりこの分野に入り込むというような支援、これをしていく、入り込むことで本来起きなかった紛争の問題というのが起きない、未然に処理される可能性もあるかと思います。そのような体制をしっかり取れるように、いろんな専門家の方が入れるような体制支援というのをやっぱりしていかなければいけないなというふうに思います。
他方で、横領の問題とかそういうのもあったりとかする、そういう部分にはしっかり適切に配慮しなければいけないわけですが、その上で、法務省としてもこの後見人を受任する士業への支援を拡充するなど予算面も含めてより積極的に動いていただきたいと思いますが、その辺り、大臣からいただきたいと思います。

○国務大臣(上川陽子君)
社会が非常に高齢化が進み、また障害の方々とともにも歩む社会づくりという意味では、先ほどおっしゃった司法とそして福祉の連携という司法ソーシャルワーク、そしてその中でも成年後見人の制度というものは、非常に大事な制度であるというふうに考えております。
先ほど来のお話がございましたとおり、市区町村長により申立てが適切に行われ、それが実効あるものとしていくために、また同時に、そうしたニーズの増大に伴いまして、士業の方にも積極的に担い手としての役割を果たしていただくためにということでございまして、先ほど来、厚生労働省の方からも御指摘がございましたけれども、後見人の報酬の一部助成でありますとか、あるいは成年後見人の担い手の確保のための施策ということでございまして、そうしたものを踏まえて、また成年後見制度そのものを法務省が所管しているということでございますので、引き続きこの制度の周知徹底を図るとともに、厚生労働省等と必要な協力をしっかりと果たしてまいりたいというふうに思っております。

○矢倉克夫君
まさに制度を所管されている法務省として、他省との連携、もうこれはやっぱりしっかりしていかなければいけないなと。この分野、その部分で、所管所管という部分だけでいってしまうと、本当に大事な人への保護というのが抜け落ちてしまっているんじゃないかなという問題意識はありますので、省内含め、また他省との連携の会議の場等も設けるなど、様々な工夫をしてより一層の意見交換を是非今後もしていただきたいと思います。
最後、続きまして、技能実習制度について、今回、法案等も提出される分野ではありますが、若干御質問させていただきたいと思います。
まず、またまた冒頭、大臣からいただきたいんですが、やはり今この問題、この制度について議論になっている部分というのは、ほぼ多くは実習生として来られた人の労働環境、劣悪なもの、違法な部分をどう取り締まるかというような話がやはり多くなっている。
ただ、他方、この制度というのは実は国際貢献というふうに銘打たれているものでもあります。その国際貢献という理念、これをプラスにどうやって実現していくかというような話よりも、むしろそういうような分野だけに話が行ってしまっているというようなところは正直、残念であるなと思っているところではあります。そのような現状について、大臣から一言いただきたいと思います。

○国務大臣(上川陽子君)
委員御指摘をいただきましたこの技能実習制度、本来の趣旨でございますが、技能等の開発途上国への移転によりまして積極的に国際貢献を図っていくということが本来の目的ということでございます。
しかしながら、残念なことではございますが、この技能実習制度におきまして、受入れ機関が制度本来の趣旨を理解せず、安価な労働力としてこの技能実習生を受け入れ、また賃金不払等の不適正な事案を発生させているということでございまして、こうした御批判もなされているところでございます。
法務省におきましては、厚生労働省等関係省庁とも連携をいたしまして、技能移転による国際貢献という、この本来持っている技能実習制度の趣旨の徹底を図る見直しを行うことといたしておりまして、技能実習制度の見直しについての関係法案につきましては、今月の六日に国会に提出したところでございます。
法務省といたしましても、この見直しを通じまして、技能移転によりまして国際貢献という制度本来の趣旨にしっかりと沿った適正な受入れということについて実現を図ってまいりたいというふうに考えております。

○矢倉克夫君
この問題はやはり、民民の関係で今まで割と基本で来ていたわけですが、正直この国際貢献という理念の実現も、果たして民間だけでやるものなのか、もっと政府が関わるべきなのではないかというような問題意識が基本ございます。
私、理事始め委員各位の皆様とも視察に行かせていただいて、この技能実習制度の現場、見させていただいた。非常に良い運用のされている会社でありまして、労働環境等も含め感銘も受けたわけですが、一つ良かったと思ったのが、そういうようなそこの実習生で来られた方の一人が、そこで日本語を勉強されて通訳という形になって、帰国後はその国の会社等で働かれているという、キャリアを積まれたという実例も聞いて、良かったと思います。
要するに、技能、何を国際貢献で学んでいただくかというようなところでありますが、今の議論の並行だと、やはり、まさに働く技術、それを得てもらうこと、それが国際貢献の在り方の一つの、それで完結しているかのような部分の認識もひょっとしたらあるんじゃないんですか。
私は、国際貢献というふうに銘打つ以上は、それ以上の何かものを持っていただいて外国の方に帰っていただくというような高い目標も持たなければいけない、その一つの表れが先ほど言った日本語を学んで通訳という職を得て、そこから人生を切り開いたという外国人の方がいるというような姿勢、そういうようなものもやはり大事なのではないかと思います。
今のは日本語という言語の話でしたが、それ以外も、例えば、まさにこの日本という文化をこの技能実習制度を通じて触れる、また地域の人との関係というものを触れることで日本を通して世界を知って、国際人として更に目を開いた上で帰られる外国人の方、それがどんどんどんどん増えるということになって初めて国際貢献の制度と言えるわけですし、それは民間でやる話ではなくて、やはり国でしっかりやっていかなければいけない話なのではないかと思っております。
その上で、今少し申し上げましたが、例えばもうちょっと国としても研修生同士の横のつながりの構築や地域社会との連携、そのような部分を踏まえた在り方というものも支援するようなこともやはり必要ではないかと思っておりますし、また日本への理解も深めて国際人として成長していく手助けをする制度の在り方というものも、これも必要かと思いますが、その辺り、今現状どのようにされているか、またどうすべきかを厚労省と、また外務省からいただきたいと思います。

○政府参考人(中山峰孝君)
お答え申し上げます。
議員御指摘のとおり、技能実習生が地域社会に溶け込むこと、そして相互に交流、理解を深めることは大変意義があることだと厚生労働省としても考えておりますし、またそれがまさに制度趣旨である国際貢献に資するものだと考えております。
厚生労働省及び法務省といたしましては、この技能実習生の見直しに先立ちまして合同の有識者懇談会を開きました。その際に、その報告書におきましてこのように指摘されております。監理団体や実習実施機関による実習生と地域社会との共生に向けた取組を推進すべきであるということでございます。
厚生労働省及び法務省といたしましては、こうした指摘も踏まえまして、連携して技能実習生の地域社会との共生に向けて取り組んでいきたいと考えておるところでございます。

○政府参考人(鈴木哲君)
外務省といたしましても、技能実習生を含む外国人の受入れに際しまして、日本社会や地域コミュニティーとの相互理解を促進するとの点について、外国人の受入れと社会統合に関する国際ワークショップを毎年開催するなど、啓発活動も行ってきております。
さらに、自治体等との連携も含めまして、引き続き取り組んでまいりたいと思っております。

○矢倉克夫君
他方で、今この問題、例えば米国などは人身取引だというふうに言ったりもしている部分もある。そういう部分は今日は質問はいたしませんが、また外交努力として、そうではないんだという部分も含めて発信もしっかりやはりしていただきたいというふうに思っております。
それで、最後にまた大臣にお伺いしたいんですが、今日は法務省というよりは他省にいろいろとお聞きするような質問の時間帯が多かったわけですが、これからも分かるように、法務省が所管している案件というのも、やはり他省でいろいろ連携をしていかなければいけない案件がこれだけ多いという部分もあるかと思います。
その中において、今の技能実習制度も、法案の部分についてはまた今後更に審議をさせていただきますが、本来の趣旨に合う形にするということは、法務省もより積極的に関わっていって、他省と連携もした上でやっていくというような姿勢がやはり更に大事であるかと思っております。その辺り、法務省としてどう取り組むというところを、また大臣に最後一言いただきたいと思います。

○国務大臣(上川陽子君)
先日の、私、所信表明の中でも申し上げさせていただいたところでございますけれども、グローバル化が進んでいるわけでございまして、人と情報がボーダーレスに行き交う、そういう時代を迎えているところでございます。そういう中にありまして、外国人材の受入れにつきまして、この技能実習制度も含めまして大変大事な取組であるというふうに思っております。
先ほど来のお話ありました、技術を学んでいくと同時に日本の中でその技術を習得するという、そういう時を過ごしていただくわけでありますので、ある意味では異文化との接触というふうになるわけでございます。そういう中で、また持ち帰っていただいて、日本との関係についても深まり、またその橋渡しの役割を果たすことができるような人材という、そうした姿も期待したいというふうに思っておりますので、各省庁としっかりと連携をして対応してまいりたいというふうに思っております。

○矢倉克夫君
終わります。

189回 予算委員会公聴会(切れ目ない安全保障体制等)

2015-03-26 国会質問議事録

○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。
秋山先生、柳澤先生、今日は貴重なお時間いただきまして、本当にありがとうございます。大変に示唆に富まれたお話をいただき、有り難いなと改めて思っております。
主に秋山先生にお伺いをしたいと思うんですが、先生のお話をお伺いして一つ感銘を受けたのが、特に安全保障環境の変化ということをよく言われているわけですが、その場合、国内では防衛の関係が非常に議論をすることが多いわけですけど、先生の場合、それを、同じ状況を捉えた上で、日本の外交政策をその環境の中でどうするのかというふうに捉えられていたのは非常に感銘を受けました。
特に、日本がとりわけその中でどのようにしていくのかという話、一つの実用的な話としては投資という部分というふうに捉えた枠組みで分かりやすく教えてくださいまして、戦後秩序の中では日本も敗戦国という立場、その部分ではマイナスはあるわけですが、それを乗り越えていく価値というのは何なのかということを教えてくださったという点は非常に感銘を受けたところであります。先生のおっしゃった、日本が何をもって外交力を高めていくかという部分で、核軍縮という話をされたという理解でおります。
それで、まず前提でお伺いしたいんですが、日本が核軍縮の枠組みで外交力を維持していく、それは当然ですけれども、核保有国を入れ込んでいく形でやらなければいけない、核保有国には入るインセンティブも与えなきゃいけないわけですけど、それは、現状の認識としての確認なんですが、まず、今までの核の力というのが国と国との間の抑止力であったものが、今は核の流出の問題もあって、それぞれ、同じような核保有国であっても、国と国との抑止力という部分以外に、流出をした核がテロ組織とかに使われるというような共通の新たな敵が出てきていると。それに対してどうするかという枠組み、そこに入れ込むという意味合いで、核保有国も一緒に共有の理念を持てるというような御理解が前提にあったかと思うんですが、そこは正しいかどうか、まず教えていただきたいと思います。

○公述人(秋山信将君)
御質問ありがとうございます。
今のお尋ねのいわゆる流出ニューク、核の流出、あるいはテロリスト、非国家主体が核兵器を持つかもしれないというリスクですけれども、これは明らかに国際社会において共有されている認識であります。特に、最近のテロリストの活動が活発化しているということと、それから核の利用、原子力の利用が広がっているということで、核爆発以外にも放射性物質をまき散らすような核テロというリスクというものはより身近に感じているようになっているというのは、中東あるいはヨーロッパにおいて顕著であるというふうに考えております。
この問題を国際社会で協調して対応していくということと同時に、やはり核兵器のもたらす脅威というのは、先ほど申し上げましたとおり、単に核があるから抑止をされているという関係ということだけではなくて、核をめぐる非対称的な関係というものが恐らくより国際秩序において不安定化をもたらす、誤解やいろいろな計算違いによって紛争がエスカレートするリスクというのをもたらされるということでありますので、やはり、いかに核兵器国の間での安全保障関係を安定的にしていくのか、とりわけ米中が今後大きな焦点になっていくかと思いますけれども、これについて我々は一生懸命考えていく必要がありますし、日本はこの関係においては安全保障上当事者でございますので、日本としてもアイデアを提示していく、そのための構想を考えていく必要があると考えております。

○矢倉克夫君 その核という部分での日本の発信力を高めていって、それを日本の地域安全保障にまた高めていくという、この枠組みつくっていく上では、今既存にある枠組みの中でそのような議論ができるのか、それとも日本独自で新たに枠組みを設定していく必要があるのか。前者であれば、どういう枠組みを利用してそういうような議論をこれからしていくべきなのか。アイデアをちょっといただきたいと思いますが。

○公述人(秋山信将君)
今度、四月の末から一か月間、核兵器不拡散条約の運用検討会議がニューヨークで開かれますけれども、こうした多国間の場においては、恐らく実質的には政策的な議論の深まりということは期待できないかというふうに正直言って思います。他方で、そういう場において、核兵器の在り方について理念的な議論を深めていくということはあるかと思います。
ただ、我々が直面している安全保障上の核の脅威というものに関していえば、これは例えばそうした多国間の枠組みだけではなくて、中国との安全保障対話であるとか、アメリカと日本の間でのこうした核のリスク、核の脅威に対して共通理解を深め、さらにこれが地域の安全保障においてどのような役割を果たしていくのか、あるいはその役割を減じていくためには中国に対してどのような働きかけをしていくのか、すなわちヘッジとそれからそうした中長期的なコミットメント、アシュアランスですね、関与というものを、両方進めていく必要があるというふうに考えております。

○矢倉克夫君
まず一つ確認ですけど、核保有国に対して、核のリスクを高め、しっかり認識させるという、その部分での日本の強みというのは、やはり日本が唯一の被爆国である、核の非人道性を知っているというところ、そこをまず強調すべきだという点かと思いますが、それで正しいのかという点と、中国との関係でそういうような枠組みをつくっていく、その中で日本の今現状の外交力でここを克服しなければいけない、その枠組みをしっかりつくっていく上ではまだまだ日本の外交力高めなきゃいけないところもあると思うんですが、その辺りの課題等を教えていただければと思います。

○公述人(秋山信将君)
核の非人道性をめぐる問題、これは国際社会において最近特に関心が高まっている問題であります。日本は唯一の被爆国としてそうした問題に対してどのような姿勢を取るのかというのは注目されておるわけですが、他方で、核抑止力、拡大抑止に依存しているということで矛盾が指摘されているところではございます。
ただ、核の非人道性の問題、これは恐らく核だけにとどまらず、現在の戦闘においてコラテラルダメージを最小化していくという流れの中において考えた場合に、より核兵器が使いにくくなってきているという状況は恐らく流れとしてはあるのではないかと。
当然、他方で、さっきのロシアの例にありますけれども、引き続き核兵器の役割を維持していく、あるいは今後より大きくしていくという流れがありますので、これに対しては、やはり一つは、核兵器の使用をめぐる規範というものに対して、単に人道問題からのアプローチというよりは、戦略論でありますとか、あるいは国際法における核兵器の位置付けでありますとか、そうした精緻な議論を積み重ねていく必要があるというふうに思います。
二つ目の点ですけれども、日本が克服すべきという点ですが、やはりこれは、一つは構想力というか、多角的なチャネルで中国やアメリカとより安全保障に関して議論を深めていくための資源というのをどういうふうに我々振り向けていくのか。例えば、シンクタンクの層の薄さでありますとか、あるいはいろいろな、国会議員の先生方も恐らく先方のカウンターパートと交流を重ねておられるかと思いますけれども、そうしたところにおける対話の厚さでありますとか、そうしたものを今後、より厚くしていくということが必要ではないかというふうに考えております。

○矢倉克夫君
ありがとうございます。
柳澤先生、先ほどお話をお伺いしました、今、切れ目ない安全保障体制をつくる、私も、これをつくりつつ、いかに歯止めを掛けるのか、この二つのバランスというのが非常に難しいなと思っております。先生が先ほど御指摘くださった論点というのは、どれもこれも本当に大事な部分であるなと、一つ一つそれをしっかり詰めていって、条文の形にもした上で国民の皆様にしっかり説明すると、そのような過程が非常に大事であるなと改めて勉強させていただいた思いであります。
最後、手前勝手な部分もありますが、公明党に対しましての御期待、その部分での一言をいただければと思います。

○公述人(柳澤協二君)
今いわゆる与党の中で公明党が、言葉は適当かどうか分かりませんが、しっかりエンジンブレーキの役割を果たしていただくことを国民は期待しているんだと思います。そういう姿がしっかり見えるということが大変重要だろうというふうに思っております。

○矢倉克夫君
ありがとうございます。終わります。

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