安全保障に政治はいかに向き合うか その2

2015-07-27 メルマガ

矢倉かつおです。

先ほど、参議院本会議が開かれ、安全保障法制に関する参議院審議が、いよいよ開始しました。

衆議院では国会運営上の配慮もあり、審議時間の9割を野党に割り当てた結果、政府与党の説明時間不足もあり法案へのご理解はいまだ不十分です。

例えば、後方支援ひとつをとっても、国際社会の平和と安全のため自衛隊が活動できる場合は「国際連合の総会又は安全保障理事会の決議」がある時のみであり、しかも必ず国会の事前承認を必要とすることなどが十分に伝わらないままとなっています。「アメリカの戦争につきあわされる」と言った言葉だけが広まっています。PKO(国連平和維持活動)なども、停戦合意がなされ、紛争当事者が日本の活動を受け入れることに合意しているなど厳格な条件を満たしてはじめて活動を開始できることなど、あまり知られていません。自衛権の行使にいたっては、「集団的自衛権」という言葉の持つイメージだけが先行し、中身や歯止めに関する議論が吹き飛んでしまっている感もあります。

参議院においては国民に対する法案の説明のためにも与党がしっかり時間をとって質問をしていきたいと思います。

今日は、事実の問題として、公明党が与党の一角にいる今の政権下、日中、日韓関係をはじめ、近隣諸国との関係は明らかに改善されている点を強調したいと思います。

今回の安全保障法制整備に向けた動きがまるで、「近隣諸国と無用な摩擦を生み、すべてを敵にまわし、戦争に突き進む第一歩」であるかのように語られます。国際連盟を離脱し、日独伊三国同盟を締結し、世界を敵に回した戦前の姿と重ね合わせるかのような報道が一部にもあります。

しかし、冷静に外交関係をみてみたとき、事実は違います。例えば中国との関係です。

自公政権となり、中国との対話のパイプは着実に強くなっています。

尖閣諸島をめぐり、中国の空軍が領空侵犯を繰り返し、自衛隊がこれに対処する事態が頻発化しています。一歩間違えれば、重大な事故となりますが、これに対処するため、公明党の強い意向をうけ、本年一月には海上連絡メカニズムを「空海連絡メカニズム」と名称変更され、第四回の実務者協議が二年七か月ぶりに開催されました。また、6月19日には第五回協議を実施し、本メカニズムの運用開始に向けた関連準備作業を加速することに合意しました。

また、三月には日中の防衛担当者による日中安全保障対話が四年二か月ぶりに開催されました。お互いに秘密を持ち合うはずの防衛担当者同士が、率直に国防について情報交換をしあうパイプをつくったのです。これは画期的なことです。そして、これら改善の起点にあるのが、2013年の初頭に山口代表が中国において、当時の習近平総書記と会談したことであることは言うまでもありません。

また、韓国との関係も、一歩一歩改善しています。

過日の日韓国交正常化50周年においては、両国の首脳がそれぞれ記念行事にでて友好を演出しました。先日7月10日には、韓国の国会議員団が39名来日し、歴史認識を含め、両国に横たわる様々な問題を1日かけて議論することができました。私の参加した会合など、両国の思いがぶつかり、時に涙を流しながらの激論となりましたが、最後は握手をしました。「意見がちがっても信頼のもとぶつけあうことが大事」という対話の精神を確認しました。

前政権を思い出していただきたいと思います。

あまり批判はしたくないのですが、例えば、対中関係では、尖閣国有化を、当時の首相と中国国家主席が会った直後というタイミングに行いました。あえて火種をまき散らすやり方で外交を行った姿勢と情報分析の甘さは糾弾されるべきです。また、対韓関係では、首脳同士が会談をすればするほど非難をしあう結果となり、結果、竹島上陸をゆるしてしまいました。対米関係では、「トラストミー(私を信じろ)」と言いながら、幾度となく前言を翻し信頼関係を壊してしまいました。外交に必要な誠実さが見られませんでした。今、公明党が政権の軸にいることでこのような「孤立した状態」から着実に立て直しを図り、しっかりと成果をあげています。

そして今、安全保障法制の審議をはじめるにあたりあらためて強調したいことは、安全保障に必要なものこそ、徹底した外交であり、相互理解の精神であるということです。安全保障環境の変化は抑止力という「備え」を必要としますが、対話や双方の意思の確認がないまま「備え」ばかりに走ると、最終的に相互不信となり、お互いがエスカレートし、紛争回避が回避でなくなってしまうからです。外交と安全保障はまさに車の両輪なのです。

「備え」である抑止力を語る上で最重要なことこそ、相互の対話です。それを分かっているのが公明党です。どこまでも外交が基本である、これは今後の安全保障法制の審議でも力を込めて訴えるべきことです。

国民の皆様の不安払拭のため、公明党の使命役割を全力で訴え、誓いたいと思います。

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