190回 法務委員会(民法改正・再婚禁止期間等)

2016-05-31 国会質問議事録

○矢倉克夫君
おはようございます。
今回の民法改正、我が党も、昨年の最高裁判決受けて、年末の十二月十七日に大臣宛てに提言を、早期に改正ということで求めさせていただいた経緯もございます。まずは、このような形で法改正提出をいただき、そして今日参議院でも審議をできる、評価をさせていただきたいというふうに思います。
百日の再婚禁止期間、百日の期間短縮というところでありますが、昨年の最高裁判決から、実際法務省の方でも、事実上通達等で、婚姻届はもう受理するというようなことも通達されていた、それもあって、前婚の解消又は取消しの日から百日を超えて六か月を経過していない女性を当事者とする婚姻届出数、昨年の十二月から本年の四月まで七百三件の方が実質的に認められている。これ、裏を返せば、今回の法改正までにこれだけ多くの方が婚姻届を出したいけれども出せなかったというような実質的なニーズがあったんだと思います。
こういうようなお方の声を受ける意味での改正も非常に評価もしていきたいと思いますし、むしろ推定の七百七十二条の二項の規定からしたら、計算上百日を超えるところは合理的関連性がないのはもうこれも明らかであったところでありますので、ここの部分が短縮できたことは、むしろもっと早くにもやれるべきだったところかもしれないとは思います。
もう一点、今回、法改正でやはり評価をさせていただきたいと思うのが七百三十三条の二項、これは先ほども三宅理事からも質問もありました。「女が」というふうにこれ条文上書いておりますが、前婚の解消又は取消しのときに懐胎していなかった場合、再婚禁止期間の規定を適用しないというふうに規定された部分でもあります。
まず、この部分について、御趣旨を法務省から説明をいただきたいと思います。

○政府参考人(小川秀樹君)
お答えいたします。
再婚禁止期間を設けました立法の目的は嫡出推定の重複を回避するためであることから、嫡出推定の重複が生じ得ない場合であれば再婚禁止期間の規定を適用する必要はないというふうに考えられるわけでございます。
民法第七百七十二条第一項により、妻が婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定されるわけですが、女性が前婚の解消又は取消しのときに懐胎していなかった場合には、以後、その女性が懐胎したといたしましても、懐胎した子は前の夫との婚姻中に懐胎した子ではないということになりますので、懐胎した子が前の夫の子と推定されることはございません。
したがいまして、このような場合には嫡出推定の重複が生じ得ないということから、再婚禁止期間の規定を適用しないこととしたものでございます。

○矢倉克夫君
この部分の改正に対しましては、このような内容であるということが公表された以降、例えば去年の再婚禁止期間をめぐる訴訟で原告だった方、代理人を務めた作花弁護士という方も、報道ではありますけれども、離婚時に妊娠していない人がほとんどで、多くの女性を救うことになる、画期的な内容だというふうに評価もされているところであります。
ちなみに、また局長にお伺いしたいんですけれども、こちらの法文では「懐胎していなかった」という文言になっておりますが、これは事実上懐胎できないという場合もこれ含む御趣旨であるというふうに理解もしておりますが、結論だけで結構ですので、答弁をいただければと思います。

○政府参考人(小川秀樹君)
御指摘の懐胎できない場合というのは、女性に子供が生まれないことが生物学上確実な場合を意味するというふうに理解しておりますが、そういうことでございますと、改正後の民法第七百三十三条第二項第一号の「懐胎していなかった場合」には、今申し上げました懐胎できない場合も含まれ、再婚禁止期間の規定は適用されないものというふうに考えております。

○矢倉克夫君
ありがとうございます。今回の改正で、多くの方がまた新たに婚姻届を出すことができるということが認められた方向でもあると思います。
一点、また、今のアの部分との関連での確認でありますけど、従来、この民法七百三十三条については、法務省の方でも、運用上、この明文で書かれているところ以外のところでも再婚禁止期間の適用をこれしないで婚姻届を受理するという運用がなされていたという理解、先ほど来からも質問もあったとおりであります。例えば、長期にわたる音信不通の事実が認定されて夫の悪意の遺棄を理由とする離婚判決があった場合であったり、夫の三年以上の生死不明を理由とする離婚判決があった場合、また、先ほども話もありました六十七歳の場合、高齢の方の場合である等、この場合については証明書等も必要なく今まで届出が認められていたというところ、これは理解もしております。
仮にこれをカテゴリー一という形にしましたら、今回、先ほど申し上げた七百三十三条の二項のア、これを設けられた。こちらは証明書が必要でありますけど、一部重複する部分もあるかもしれませんが、新たな概念としてこのような規定も設けて、こちらについては証明書というのが必要だと。カテゴリー、先ほどのが一であれば、カテゴリー二というものもこれは設けて、それぞれの違いとしては証明書が要るか要らないかというところ、違いとしての概念も設けた上で再婚禁止期間が適用ないという規定を設けたという趣旨と理解もしておりますが、これについて確認をさせていただきたいと思います。法務省、よろしくお願いします。

○政府参考人(小川秀樹君)
御指摘のとおり、現在でも婚姻の解消又は取消しの日から六か月以内の女性でも再婚が認められる例がございます。御指摘ありました、例えば六十七歳の女性の場合などは医師の証明書を求めておりません。
他方、改正後の民法第七百三十三条第二項に該当するか否かにつきましては、一定の定まった様式による医師の証明書に基づいて判断することを予定しております。先ほど申し上げました類型、要するに、従前、医師の証明書がなくとも再婚禁止期間内にされた婚姻届出について受理していて、これらの類型についてどうするかということでございますが、これらの類型について常に証明書を求めることといたしますと、結論として従来よりも不利益な取扱いとなり妥当ではございませんので、今回の法改正以後も、先ほどのでいいますとカテゴリー一の取扱いについては従前と同様の取扱いを行うこととしております。

○矢倉克夫君
今局長からも答弁ありました。今回の改正は、七百三十三条の二項のアが入ることで従来の取扱いに変更があるということではないということであると思います。従来の取扱いは証明書もなく認められた、それはそのままの運用としてしっかりと確認もした上で、新たな分野として、再婚禁止期間が適用されない場面を適用するカテゴリーとして別のものを設けて、その際は証明書が必要だというふうな理解として改めて整理もさせていただいたところであります。
その上で、この証明書でありますが、先ほど三宅理事からも具体的に今予定もされている書面なども提示をされながら御説明をいただいたところであります。非常に、ある意味アンケートに答えるような形、一定の様式がしっかりと定まって、判断にばらつきがないような形になっている様式であるかと思います。こちらについては、今、関連の団体と協議も既に済みであり、今後公表もされてしっかりと運用もされていく部分であると思います。
内容については先ほど御質問あったところでお答えもいただいたので、私としては、じゃ、今後、これについてどのように公表をされていき周知を図っていくのか、その辺りの対応について御予定されているところあれば答弁をいただきたいというふうに思います。

○政府参考人(小川秀樹君)
今回の法改正に合わせまして、日本医師会など関係機関と協議をして、民事局長通達におきまして、証明書について一定の様式及び戸籍窓口での取扱いを定めることを予定しております。その様式、内容については既に整っているところでございます。
今回の改正後の民法第七百三十三条第二項に関する戸籍事務の取扱いにつきましては、改正法の施行時には法務省ホームページにより、広く国民一般への周知を行うことを予定しております。また、事前に法務局を通じまして市区町村にも情報提供を行っておりますほか、日本医師会などの関係機関に対しましても情報提供及び各医師への周知の依頼も行っておりまして、改正法施行後直ちに混乱なく改正法に基づく取扱いが行われるように配慮しているところでございます。

○矢倉克夫君
しっかりと今回の法改正、趣旨とともに、このような様式でできるんだという具体的な手続も含めて、是非引き続き周知の在り方を検討していただきたいというふうに思います。
じゃ、その上で、次にちょっと質問を移らせていただきたいと思うんですが、今回の再婚禁止期間の法改正は嫡出推定のこれ重複を避けるというところが趣旨でございます。嫡出推定についての、これに関連するところとしてちょっとお尋ねをしたいところが無戸籍の問題でございます。
大臣も所信で無戸籍のことを捉えられていたわけですが、これが関連といいますのも、今回の無戸籍というものが今までデータとしてどれくらい把握されているかというところでありますと、六百八十六名、まあ六百九十人弱というようなデータがある。あるデータによると、そのうちの七六%の方が無戸籍となっている理由というのは何かといえば、やはりこの嫡出推定、DV等様々な暴力で父親と母親の婚姻関係が破綻している、しかし離婚もしていない、そういうような状態で元夫の嫡出推定が及ばないようにするためにどうすればいいかという判断から出生届を出さなかったというような事情があったという理由もございます。
まず、この無戸籍も、今六百九十名弱といったところでありますけど、自治体の方々から大体二割ぐらいから回答をいただいてこれぐらいの数が把握できているというところでありますので、本来であればもっと多くの方が無戸籍という状態になっているかもしれないというところであります。
今、嫡出推定との関係でお話もしたわけですが、この無戸籍の理由が、経緯としてはそういう部分もあるかもしれませんが、その上でさらにDVの問題等様々複合的な問題もあるかと思います。今日は、嫡出推定そのものというよりは、まず、現に今申し上げたとおり、表れている数としても六百九十名弱、これも氷山の一角と言われている、そういった方々に対して今後いかに戸籍を取っていただけるような手続を取っていくのか、ここについて少し質問をさせていただきたいと思います。
まず、現状、法務省の方としても戸籍を取っていただくために様々なサポートをされているかと思います。まずは、どういう方が戸籍を持っていないのか、この情報収集、その後の具体的な手続の連携とかアドバイスの在り方などもそうでありまして、非常に重要な部分もあるかと思います。これについては、どのような手続があるのか等も含めて、周知その他どのようになされているのか、法務省の方から答弁をいただきたいと思います。

○政府参考人(小川秀樹君)
いわゆる無戸籍者の方の問題につきましては、これまでもその実態についてきめ細やかに把握するよう努めますとともに、全国各地の法務局においてこれは相談を受け付けまして、一日でも早く戸籍を作るために一人一人の無戸籍の方の実情に応じまして懇切丁寧に手続案内を行うなど、無戸籍状態の解消に取り組んでまいりました。特に無戸籍の方との間での連絡を取るということは非常に重要でございますので、法務局で把握しております無戸籍の方とは少なくとも三か月に一回は連絡を取るようにしておりまして、無戸籍の方に寄り添った取組を行っているところでございます。
さらに、法務省といたしましては、無戸籍者ゼロタスクフォースというものを設置いたしまして、関係府省と連携し情報を共有するなどして無戸籍であることによる不利益状態の解消に努めているところでございます。

○矢倉克夫君
三か月に一回というところです。やはり、戸籍がなかった事情で行政との接点も今までなかった方も多いかと思います。そういう方々と本当に今までの経緯に寄り添って対応していくというところは、今後も是非お願いもしたいと思います。
やはり、その後具体的な手続に入るとしまして、例えば元夫の戸籍には入りたくないというような方もあるかもしれない、その場合には親子関係不存在の手続などもこれしなければいけない。また、戸籍に、手続をするときにも、母親との関係も、当然ですけど証明をしなきゃいけない場合も出てくる、経緯が長年たつといろいろ証明もできない部分も出てくると思いますから。ただ、出生の証明などができないときには、その部分では親子関係の存在の手続などもしなきゃいけない、あらゆる面で裁判の手続なども関わってくるかもしれないと思います。
ただでさえ行政というものに対しての接点がなかった部分も多い方が、今度はまた戸籍を得るために裁判をしなければいけないというとき、経済負担なども含めてやはり心の壁というのが存在する。そういう場合には、例えば法テラスなどで弁護士費用の立替えなども制度もあるかと思います。また、裁判所で印紙代などは訴訟救助などもいろいろ手続があるかと思いますが、そういった所要の既にある手続なども、複雑なところもしっかりと教示もしながら全面的にサポートしていく、戸籍を得るための必要なものについては国がしっかりとサポートしていくというような姿勢もこれは必要である。そういった裁判の部分での援助について、法務省として今どのように取り組まれているのか、答弁をいただきたいと思います。

○政府参考人(小川秀樹君)
お答えいたします。
各地の法務局の窓口におきましては、無戸籍の方からの相談があった場合には、無戸籍解消の方法といたしまして、御指摘がありました親子関係不存在の確認ですとか、あるいは強制認知といった裁判の手続の案内などを丁寧に行っておりますほか、これは裁判手続に係る費用の問題がございますので、そういった点についての相談があった場合には、御指摘ありましたいわゆる法テラスでの民事法律扶助制度ですとか訴訟救助といった制度についても御案内をしておりまして、無戸籍者の方に寄り添った形での取組を行っているところでございます。

○矢倉克夫君
もろもろ今進めている制度をしっかりと、まずはどういう方が無戸籍の状態で悩まれているのかということ、これ、情報収集もしっかり重要であると思います。是非他省とも連携もしていただきたいというように思います。
大臣に改めて、所信でも述べていただいている問題でもありますが、御決意を是非いただきたいと思うんですけど、この無戸籍の問題というのは非常に各省とも連携をしなければいけない。DV等が原因になってそうなっているという事情もあります。
また、この無戸籍の方が、文科省が調査したところによると、文科省のサンプルデータ百四十二人のうち七人が未就学だったと。戸籍がないことで、様々事情があるかと思いますが、中学の途中まで通学していなかった、最長七年半ですね、そういうような方もいらっしゃる。無戸籍であることによって社会的な基盤というものが失われ、そしていろんな社会生活の中でも支障が生じているということもある。もう住民票も取れない、そうすると携帯電話も買えなかったりする。そういった生きていく上で本当に必要なものもされることもなく、自分の存在すらこれは否定されるというような孤独な気持ちにどんどんどんどんなっていく、そういうような方が分かっているだけで今六百九十人ぐらいいらっしゃる。これはもう本当に氷山の一角。そもそも戸籍がなかったわけですから、行政との接点がなかなかないような方々である。ただ、二割だけのサンプルで六百九十だからそれで単純に五を掛ければいいという話では恐らくない、もっといらっしゃるというようなところであるかと思います。
我が党も、大口国対委員長を始め超党派で、この問題について法務省しっかりと対応いただきたいということを昨年、当時の、上川前大臣にも申入れもいたしました。全省で挙げていかなければいけない、その中心にやはり法務省がしっかりと立っていただきたいというところでもございますが、改めてこの問題の解決についての大臣の御決意をいただきたいと思います。

○国務大臣(岩城光英君)
無戸籍の方につきましては、委員より御指摘のありましたとおり、国民としての社会的基盤が与えられておらず社会生活上の不利益を受けている、そういった状況で、人間の尊厳にも関わる重大な問題であると認識をしております。
この問題につきましては、これまでもその解消に向けまして情報を集約し、一人一人の実情に応じて戸籍に記載されるための丁寧な手続の案内をしたり、関係府省を構成員とする無戸籍者ゼロタスクフォース、これを設置して関係府省との間で連携強化を図るなどの取組を行ってまいりました。
これからも引き続きその実態についてきめ細やかに把握するよう努めますとともに、全国各地の法務局において相談を受け付け、一日でも早く戸籍を作ることができるよう、一人一人の無戸籍の方に寄り添い、懇切丁寧に手続案内を行うなど、無戸籍状態の解消に取り組んでまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君
今大臣から、無戸籍の方に寄り添いというようなお言葉がありました。もうまさに寄り添う思いで、是非解決に向けて引き続き御尽力をいただきたいというふうに思います。ありがとうございます。
次の質問、残りの時間を使ってもう一つだけちょっと御質問をさせていただきたいと思います。
この再婚禁止期間の判決があった後、時を同じくして夫婦別氏についても判決がございました。こちらについて、まず大臣から最高裁判決の評価をもしございましたらいただければと思います。

○国務大臣(岩城光英君)
御指摘の最高裁判決におきましては、夫婦同氏を定める民法第七百五十条の規定は憲法に反しないと、そういった判断がされたものであります。もっとも、判決におきましては、五名の裁判官から、夫婦同氏制を定めた民法の規定は婚姻の際に夫婦が別の氏を称することを認めないものである点におきまして、国会の立法裁量の範囲を超え、憲法第二十四条に違反する旨の意見が示されております。このように五名の裁判官が現行の夫婦同氏制を違憲とする意見を述べたことにつきましては真摯に受け止める必要があろうと考えております。
他方、この判決におきましては、選択的夫婦別氏制度の導入の是非につきましては、嫡出子の仕組みなどの婚姻制度や氏の在り方に対する社会の受け止め方に依拠するところが少なくないとの指摘がなされております。この問題は、我が国の家族の在り方に深く関わるものでありまして、最高裁判決におきましても各裁判官から様々な指摘がなされ、国民の間でも意見が分かれていますことから、最高裁判決における指摘や国民的な議論の動向を踏まえながら慎重に対応してまいる必要があるものと、そのように考えております。

○矢倉克夫君
ありがとうございます。まさに今大臣おっしゃった国民的な議論というところ、これはやはり我々も立法府の人間としてしっかりとやっていかなければいけない問題であると思います。
この夫婦別氏というものに対しては様々な意見もあり、例えば家族間の一体感がなくなる、親と子の間の氏が違う等で、それについては、国民世論としてはそういうようなことを御認識されているのは大体四割ぐらいの方、他方で、子供の保護というところから考えるともうちょっと数が増えまして、六、七割ぐらいは子供という観点からは影響があるのではないかというような世論もあるのもやはりこれは事実。そういった世論がある以上、しっかりまたこれは議論もしていかなければいけないと。
他方で、私の友達なども例えば、弁護士とかの友達もやはり多いんですが、この氏を選択する、姓を選択するという自由、それが認められないというところから、法律婚そのものをやはりしないで事実婚状態という方も結構いらっしゃいます。実際として、法律婚を回避した上で、お子さんが生まれた場合は姓がやはり別々になるというようなこともある。
これは本当に難しい問題で、最後は私、一言だけ述べさせていただきたいんですけど、女性の方、事実上はもう九割、ほぼ一〇〇%が女性の方が姓を変えなければいけない、選択しなきゃいけないという、自由がこれ侵害されている、他方で子供の保護という部分、両方ある。ただ、これはなかなか比べようもない難しい価値を両方比べざるを得ない、こういった非常に難しい問題であると思います。他方で、現に姓を変えなければいけないということに苦痛を持っていらっしゃる方がいらっしゃる、その方々に対してどう寄り添っていくかというやはり政治の姿勢がこれは必要であるなと。非常にデリケートな問題である以上しっかりとした、皆さん方に寄り添っていく議論という姿勢というのもやはりこれは必要であるなというふうに思います。
我が党も、代表以下、この選択的夫婦別姓というところはこれまでもしっかりとお訴えをさせていただいた。党としてもそういった世論の中の動きもしっかり踏まえ、全ての方に寄り添うような気持ちでこの問題は議論をしていきたいということだけを最後お伝え申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。

共生社会の実現へ

2016-05-31 メルマガ

矢倉かつおです。

先ほど、今国会では最後となる国会質問を終えました。戸籍のない「無戸籍」の人の苦悩など大臣に伝え、迅速な解決を訴えたところです。

第190回通常国会は、明日、閉会いたします。
いよいよ参議院選挙です。

国会会期中の150日間、それこそ分刻みで動きました。
特に、二つの議員立法について、条文作りから関与したことは貴重な経験でした。
二本のうちの一本が、提案者として成立させた「ヘイトスピーチ解消法」です。

ヘイトスピーチ(ヘイトデモ)とは、平穏な住宅街などに大勢で押しよせ、スピーカーなど大音量で「○○人を殺せ。」などと罵る、許せない言動です。

「恐怖で夜、一人で歩けない。」「殺されるのがこわくてエレベータにも乗れない。」との被害者の声、幾度も聞きました。
特に、被害に遭われた13歳の少年が「助けてください。」と涙ながらに訴えるのを聞き、胸が張り裂けそうな思いとなりました。
「個人の尊厳を踏みにじる、共生の地域社会を分断するような言動は絶対に許せない!!」、そう強く決意しました。

この「ヘイトスピーチ」問題、いち早く動いたのが実は、公明党です。一昨年の段階ですでにプロジェクトチームを立ち上げ、政府に様々な提言を行いました。
「この問題に対処する議員立法をつくろう!」そういった声が党内よりあがったのは昨年上旬でした。
それをうけ、昨年8月6日、参議院法務委員会において、「ヘイトスピーチのない社会」の理念を謳う法律をつくるべきであると強く訴えました。

しかし、議員立法をつくることは、想像以上に大変でした。

遠山清彦プロジェクトチーム座長を中心に、まず、連立を組む自民党を説得しました。

野党とは、粘り強く協議を重ねました。

野党はすでに法案を提出しておりましたが、「著しく不安を覚えさせる」程度の表現も禁止するものであり、権力が通常の表現にも不当に介入する危険を否定できませんでした
この問題を利用し与党の意見割れ、分断をはかろうとした動きも野党のごく一部にあった、との見方もあります。真偽は不明ですが、問題をさらに複雑にしたと思います。

しかし、「ヘイトスピーチは許さない」、この一念が全てを動かし、最後は委員会における全会一致で法律は成立いたしました。

私自身は、提案者として答弁にもたちました。
審議は参議院で3日間、衆議院で1日間でした。自分の言葉で語りました。
この法律をめぐり怒号飛び交う集会にも参加をし、「成立させてほしい」渾身の訴えもさせていただきました。

議員立法をつくるとは、法律に魂を打ち込むことだ、と学ばせていただく日々でした。

早速、法律の効果はあらわれています。
実は、6月5日に川崎市でヘイトデモを行うとの予告がありました。
しかし、地元川崎の公明党の市議団の方を中心に、市長に「法律の趣旨を踏まえる」よう求めた結果、市長はデモ隊による公園許可申請を却下しました。

法律の理念が、魂が、明らかに多くの人の心を動かしています。

あくまでこれは第一歩です。差別その他人々の心にある壁を取り払い、共生社会の実現にむけ頑張ります。

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