186回 文教科学委員会(私立学校法案 自主性と公共性のバランス等)

2014-03-25

○矢倉克夫君

おはようございます。公明党の矢倉克夫です。
ただいま議題になっております私立学校法の一部を改正する法律案、会派を代表して質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
まず、理念的な確認をさせていただきたいと思います。今回の法律の背景にある部分でございます。大臣にお尋ねいたします。
そもそも私学の自主性というのはなぜ認められているのか、御所見をいただければと思います。

○国務大臣(下村博文君)

私立学校は、私人の寄附財産等によって自発的に設立されたものであることや、独自の建学の精神に基づき多様で特色ある教育を実施していることなどの特性を有するものであるということから、その運営は自律的に行われるべきものであります。
このため、教育基本法や私立学校法においても私学の自主性の尊重が明記されているところでございます。具体的には、所轄庁の権限を国公立学校の場合より制限すること、解散命令等を行う場合には私立学校審議会等の意見聴取を義務付けることなどの仕組みが整えられております。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
他方で、私立学校法の目的には「公共性を高める」という文言、目的の中に含まれております。自主を重んじる私学に対して公共性を高める、一見相反するかのようにも読めるんですが、大臣は私学における公共性というものをどのように捉えていらっしゃいますでしょうか。介入の根拠にも関連するかもしれませんので、御答弁をいただければと思います。

○国務大臣(下村博文君)

私立学校も、教育基本法第六条に規定する公の性質を有するものでありまして、公教育の重要な一翼を担うものでありまして、その公共性を高めることが重要であります。
このため、私立学校も学校教育法の適用を受けるほか、私立学校法においては、理事や評議員などの規定を設け、私立学校を運営するにふさわしい学校法人の組織運営について定めるとともに、法令違反等の場合における解散命令など、所轄庁に一定の権限を与えているものであります。

○矢倉克夫君

自主を重んじる私学、他方で、社会の中での一構成員としてのルール、また存在するためのやはり必要な遵守すべきもの、事項、いろいろ様々、公共性を守る上で大事な部分はやはりあるんじゃないかなという御答弁であったと思います。
やはり重要な視点はこの自主性と公共性のバランスというものを考えていくこと、その観点を念頭に置きながら、今般新たに導入されました規定、具体的には六十三条に基づく立入検査、また六十条に基づく措置命令、それぞれの要件について簡単に確認をさせていただきたいと思います。
まず、先ほども石橋先生の方からお話もありました六十三条、特に「法律の施行に必要な限度において、」という文言でございます。ここに言う法律の施行とは、衆議院の文部科学委員会における我が党の中野洋昌議員の質問に対する答弁として、先ほども話もありました、措置命令、解散命令等の対象となり得るような事態に立ち至っている場合、それらの命令を行うために必要となる事実を確認するために、との意味であるという御答弁いただいております。
そうであれば、文言としてより明確な形で、措置命令、解散命令等、対象となり得るか否かの判断に当たり必要な限度という記載も可能ではあったかと思うんですが、今のような「法律の施行に必要な限度」という形での文言に至った経緯を御答弁いただければと思います。

○政府参考人(常盤豊君)

この法律に、必要な限度においてとは、今御指摘ございましたように、本法に定める措置命令や解散命令等の対象となり得るような事態に立ち至っている場合、それらの命令を行うために必要となる事実を確認するために行われるということを想定しております。
この改正案第六十三条の規定でございますけれども、他の法人制度における最近の規定例も踏まえまして法制的に検討した結果、「この法律の施行に必要な限度において、」というふうに規定をしたところでございます。

○矢倉克夫君

他の規定の文言を準用してという御答弁でありました。
ただ、やはり解釈の場合には文言が重視される部分があり、何を解釈として利用したかというところはなかなか見えない部分もひょっとして出てくるので、この「法律」という言葉だけですと法規全体になってしまいますから、ある程度やはり明確性というのは今後大事になってくるかなと思います。
この点はまた改めて後で確認もさせていただきますが、運用に当たっては、明確な、先ほど衆議院の方でも御答弁のあった、線に沿った上での運用という部分、しっかりと維持していただきたいというふうに改めて要望させていただきたいと思います。
それで、また今の関連の質問になりますが、この法律の施行に必要な限度においてという要件に該当し、そのための立入検査をした場合において、対象となる事実が存在するかを判断するための立入検査ということですが、当然ですが、その立入りもした場合も、先ほど来の目的に従った範囲での限定されたものであるということがやはり自主と公共性というバランスを図る上でも非常に大事な部分ではないかなと思っております。
特に、六十三条、任意捜査と違いまして、命令といえば強制に基づく措置であります。その範囲もしっかりと画していくための議論も必要であるかと思いますが、例えば別件捜査のようなことが起きないようにする必要もある。この点については、立入り範囲というものも含めて、範囲の適正化を図る上でどのような運用をされる御予定であるのか、御答弁をいただければと思います。

○政府参考人(常盤豊君)

報告及び検査でございますが、本法に定める措置命令や解散命令等の対象となり得るような事態、それらの命令を行う事態に立ち至っている場合に、それらの命令を行うために必要となる事実を確認するために行われるというものでございまして、限定的に行い得るものでございます。
具体的には、任意の報告の求めや調査では必要な書類等の提出が行われないなど、十分な対応がなされず、所轄庁が法人運営の実態を十分に確認できない場合に行われることを想定をしております。実際の運用に当たりましては、検査をより効率的かつ適正に行う観点から、検査の日程や場所、調査することが想定される項目や書類などについては事実上の行為としてあらかじめ当該学校法人に通知することになると考えております。
なお、報告及び検査の結果によりまして、その後に命令等を行う場合には、あらかじめ私立学校審議会等の意見を聴かなければならないということとしております。

○矢倉克夫君

引き続き、適正な手続面という面も認識をした上で御検討いただければと思います。
続きまして、六十条の措置命令の方に移りたいと思います。
この点も既に衆議院の方でも質問が出ているところですが、この要件のうち、運営が著しく適正を欠くと認めるとき、この点についても、また我が党の中野洋昌議員の質疑による答弁になるんですが、このように答弁をいただいております。私立学校の設置者として求められる要件を欠く場合であり、かつ自主的な改善が望めない学校法人に対して措置命令を行うというものでございました。
例えば、これはまた文言の問題になるんですが、同じような条文を持つ公益認定法などは、是正措置の発動の要件として、公益認定法第五条に掲げる基準のいずれかに適合しなくなった等、疑うに足る理由がある場合としております。今回の六十条は、ここで言う、済みません、疑うに足る相当な理由ですね、失礼しました、相当な理由という言葉は特に入っておらず、「認めるとき」というふうにしっかり書いておりますが、この趣旨は、さきに挙げた立入検査などで集めた資料により認定がされたときであるという趣旨と理解してもよろしいでしょうか。

○政府参考人(常盤豊君)

措置命令を行う場合の要件とそれから具体的に行い得る事例については、既に衆議院でもお答えをさせていただいているところでございます。
そして、このうちの運営が著しく適正を欠く場合とは、明白に法令違反とまでは言えないけれども措置命令を行い得る事例としての要件を満たしている場合、そのうち、私立学校の設置者として求められる要件に照らして適正を欠く場合で、具体的には、理事の地位をめぐる訴訟により必要な予算の編成や事業計画の作成がなされず教育研究活動に支障が生じている場合などが想定されるところでございます。
このような事態において措置命令を行う場合としては、単に漠然と疑いがあるという状態ではなく、学校法人の運営に著しく適正を欠く事態に立ち至っている場合であり、任意の報告の求めや調査、又は改正案第六十三条による報告徴取及び検査により必要な事実が確認された場合に行うことを想定をしております。

○矢倉克夫君

しっかり、この要件が満たされると認定された場合であるというふうに確認をさせていただきました。
今まで検討させていただいた要件の話、また手続の話等も含めて、非常に私学の自主性と、またそれを尊重しつつ公共性をしっかり維持していくといういわゆるバランスを取る上では、明確な基準の下、しっかりと判断されて執行されるという点は大事であると思います。
この辺り、これは今まで説明していただいた解釈基準等も例えば施行通知などで明確化すべきであるかと思いますが、この辺りについて御意見をいただければと思います。

○大臣政務官(上野通子君)

今回の法案が成立した際には、今回の制度改正の趣旨及び内容、留意事項等について施行通知を発出することとしており、文部科学省としての法令解釈について関係者に周知を図ることを予定しております。
施行通知の具体的な内容については、国会審議等も踏まえて検討していくこととなりますが、特に所轄庁が措置命令や解任勧告、報告及び検査を行うことができる場合について、それぞれの基本的な考え方やその具体例などについて盛り込むことを検討しており、どのような場合に報告や検査や措置命令を行うかについては各所轄庁がその権限と責任において判断するものであります。その際には、文部科学省が施行通知で示す法令解釈を踏まえて行うこととなります。
文部科学省としては、各種会議等において制度改正の趣旨や留意点を説明するとともに、施行通知の内容の周知徹底に努めてまいりたいと思っております。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。引き続き、是非よろしくお願いいたします。
また六十条、その具体的な必要な措置の内容として、こちらも衆議院の方で議論があった点なんですが、学校の経営に例えば必要な資産の不足によりまして教育研究活動への支障が生じている場合におけるこの必要な措置としてどういうものがあるかという質問に対しましては、改善計画を作成し必要な財産を備えるよう命ずるという答弁でありました。
これはあくまで、先ほど来申し上げましたとおり、六十条というのは自主的な改善が望めない状態での措置であるというふうに理解をしております。そのような自主的な改善が望めない状態の学校法人に対して、先ほどの衆議院の答弁ですと、改善計画を作成することを命ずるということでありますが、自主的な改善が望めないような状態の法人に対して改善計画を作成する等を命ずることにどれだけ実効性があるのか、実際上は中身のない、また裏付けのない計画が出てきてしまうのではないかというような懸念も一部ではあるかと思います。
今回のこの具体的な適用について、仮に堀越学園の事案において必要な措置を発するとしたとした場合はどうなったかという点も踏まえまして、御答弁をいただければと思います。

○大臣政務官(上野通子君)

そのような取組を、任意の行政指導によって、自主的に行おうとしない学校法人に対しては、今回導入する措置命令を発動することによって法的な強制力を持って改善計画の作成等を行わせることが可能となり、経営改善に向けた取組が当該学校法人においてより実効性を持って進められるものと考えております。
今質問のありました堀越学園の事例の場合には、御存じのとおり、数年間掛けて繰り返し経営改善の指導を行ってきたにもかかわらず長期にわたり有効な改善計画が作成されず、その結果、改善計画に基づく具体的な取組も行われないという状況にありました。
今回改正により措置命令が制度化された場合には、学校法人の運営の在り方について過去の再生事例なども踏まえて検討し、有効な改善計画を作成し実行することなど、必要な措置を命ずることが可能となるものと考えているところでございます。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
単なる改善計画の提出でよしということではなく、財政状況の悪化を招いた根本の理由含め、今のお話ですと、例えば堀越学園の場合であればどうしてこういう乱脈経営ができてしまったかとか、そういうガバナンスの面も含めてきちんとメスを入れていく対応をこの今回の法律によってまたできるという御趣旨であるとお伺いをいたしました。
引き続き質問をさせていただきます。
この法律の改正の立法事実、関係する部分かもしれません、立法事実としては、大臣も説明されましたが、運営が極めて不適切な学校に対する対処の必要があると。この運営が著しく適正を欠くと認めるときの典型として、衆議院の議論では、財政基盤の脆弱化とかガバナンスの欠如などが挙げられていたという理解でおります。
このうち特に私学の財政基盤が脆弱化していることについての現状の分析、また、今後どのようになるのかということについての分析等がございましたら御説明いただければと思います。

○政府参考人(常盤豊君)

我が国の十八歳人口は減少期に入っております。平成二十四年度は約百十九万人となっているところでございます。主な収入を学生生徒等の納付金に依存する私学にとりまして、単年度赤字となる大学等が増加傾向になるなど、従前に比べて厳しい経営状況となっております。平成二十四年度決算において、単年度収支、帰属収支差額がマイナスの大学数は五百八十八大学中二百八校、三五・四%となっております。
今後の傾向については、二〇二〇年頃までの十八歳人口はおおむね現状同規模で推移いたしますが、その後はまた減少傾向となると予測をされておりますので、厳しい経営状況が続くというふうに認識をしております。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
現状、少子化の影響もあるかとは思いますが、やはり各、特に私立大学、財政状況厳しいという現状認識であり、またこれも改善はどうなるかという状態ではあるかなと、横ばいか、それとも更に悪化するかというような分析であるかなというふうに認識をしております。
今後のまさに私立大学の財政再建のためにお伺いしたいんですが、国はどのような方向性を持っていらっしゃるのか。私立である以上、自主の下、国の関与というのは少なくして、あくまで自主、先ほど来よりも話がありましたとおり、自主的な再建が難しくなったときに今回のような六十条のような措置を発するという対応であるのか、それとも国の何か方針として、経営の健全化も含めて、専門家を派遣するための枠組みなども、そういうのを考えて、財政再建、財政がこれ以上悪くならないようにというような状況をつくる方向性を持っていらっしゃるのか、その辺りを含めて、大臣に御所見いただければと思います。

○国務大臣(下村博文君)

近年、十八歳人口が減少しているということに伴いまして、主たる収入が学生生徒などの納付金に依存する私立大学にとっては単年度赤字となる大学等が増加傾向にあるということで、従前に比べて非常に厳しい経営状況になっているところであります。
このことから、文科省として、私立大学等経常費補助金について、平成二十六年度予算では四年ぶりの増額となる対前年度九億円増の三千百八十四億円を計上するとともに、私立学校施設の耐震改築事業への国庫補助制度を新たに創設するなど、私学助成の充実に努めているところでもございます。
特に私立大学が、急速に変化する社会のニーズに的確に対応して、教育の質向上、国際化への対応や地域、産業界との連携などに関する財政支援を通じ、個性、特色ある教育研究を行うために必要な予算上の支援を取り組んでいく必要が、これは更にあるというふうに思います。
私立大学の経営支援については、文科省では、私学事業団と緊密に連携し、各学校法人の経営状況を分析し、個別の経営指導、助言など、経営改善に向けた取組の支援を実施しているところでございます。
今後は、今政府全体の中で議論もしていますが、女性の活用、それから社会人の学び直し等によって、もう一度スキルを学ぶという意味では、やはり社会と学校が連動しながら、もう一度大学に入って、大学院あるいは専門学校に入って学び直してまた社会に行くということを考えると、二十五歳以上でもう一度学び直しをつくるような環境ということで、新たな学生生徒の枠の拡大を図っていくということと、そもそも私学に対する助成金等の拡大を目指すということをもっと力を入れていく必要があると思います。
本来二分の一までということですが、現在は一〇%程度しか私学助成金が出されていない現状がありますので、是非、私学における助成等、文部科学省が更に力を入れて対応していかなければならないと、そういうふうに認識しております。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
大臣、最後に私学助成の話してくださいました。私学助成、やはり少ない部分はあるなという、これが直接な理由ではないんですけど、私学の例えば財政の基盤の脆弱化にひょっとしたら間接的に関わっている部分もあるかもしれないなと思います。その辺りやはり拡充が必要であるかなと思います。
今大臣、先ほど御答弁くださった、やはり女性とまた社会人の学びの機会としての大学の有用性というのも、これも非常に重要なポイントであると思います。財政の観点の系列でいえば、当然入学者が少なくなっているから財政悪くなっているわけですけど、その辺りの方面からも、女性であったりまた社会人の方がどんどんどんどんと入って学んでいく、そしてまた新たな知識も得た上でまた大学の財政も良くなっていくというこの方向性は非常にすばらしいものであるなと思います。
もう一点、確認といいますか、先ほどの六十条の必要な措置の前提の結論としては、やはり自主的な改善が見込まれない大学に対して財政再建計画を出すというような措置になるというところではございました。改めての確認なんですけど、やはり必要なのは、そういうような自主的な再建が望めないような状態になる前にしっかりとした経営のサポートをしていく体制をつくっていくことが、ある意味ではこれ六十条の実効性を図る上でも重要な部分ではないかなと思います。
先ほども御答弁いただいたんですが、この大学の経営の在り方、体制についてのしっかりした体制のサポートみたいなものについて、改めて大臣の御所見をいただいて質問を終わらせていただきたいと思います。

○国務大臣(下村博文君)

改めて大学のガバナンス改革については今国会で是非提出をさせていただきたいというふうに思っております。
その中で、大学経営が的確に対応できるような状況をどうつくっていくかということが問われてくるというふうに思いますし、また、今の御指摘の点も踏まえて、一方で、やはり私立学校というのは、自主性を重んじ、また寄附者の大学設置、私立学校設置の理念の下で行われるべきことですから、所轄官庁が結果的に必要以上に介入するようなことがやっぱりあってはならないと思いますし、その辺のバランスを取りながら、しかし、最終的にそのことによって一番学生や生徒が被害を被るということはあってはならないわけでありまして、そういうバランスの中で、私立学校が経営が健全にできるようなフォローアップについてしっかり検討してまいりたいと思います。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。以上で終わります。