186回 文教科学委員会(給付型奨学金等)

2014-05-13

○矢倉克夫君

公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いいたします。
このゴールデンウイーク、オーストラリアに滞在いたしまして、多くの国会議員と会談をしてまいりました。日豪若手政治家交流プログラムという二十三年間続いている公式プログラムに基づくもので、大臣も過去に行かれていた。私も後輩という形になりますが、滞在の合間にシドニー大学を訪問いたしまして、教授陣や留学している日本人学生さん二十人弱と議論する機会を得ました。そこで感じたことを中心に、まず二、三御質問をしたいと思います。
最初に、社会人の留学サポートについてです。
留学生二十人弱のうち、四名ほどが会社を辞めて留学されている方でありました。女性が大半です。元の職場では自分輝くことができなかったので、自分の人生を自分で切り開こうと思ったと、力強く語ってくれました。
日本学生支援機構が二〇一二年三月に十八日間掛けて無作為に抽出した留学経験者千五百人ほどから行った海外留学者追跡調査によりますと、約二三%の留学生が会社を辞めて無職の状態で留学をしている。今や個人での社会人留学は当たり前の時代になったと思います。
その社会人出身の女性の方から言われたのが、日本は社会人留学に決して優しい国ではないと。例えば、日本学生支援機構が貸与型として留学支援金を提供していますが、学生支援機構によるものという面もあるんですが、卒業後二年以内の人が対象でありまして、社会人留学は門前払いだと訴えられました。
終身雇用も崩れまして、若者が自分の力でキャリアをつくっていかなければいけない時代になりまして、企業を辞めて留学する方への支援も充実させるべきと考えますが、この点、いかがでございましょうか。

○政府参考人(吉田大輔君)

社会経済のグローバル化に伴いまして日本企業等が世界に展開している中、個々の能力を高めましてグローバル化した社会で活躍する人材を育成することは喫緊の課題であるというふうに認識をしております。
今御指摘の、企業を辞めて留学をする社会人につきましては、そのような方も含めまして申請可能な奨学金制度といたしまして、海外の大学院で修士又は博士の学位取得を目的として一年以上の期間留学する者への支援制度を設けております。平成二十六年度の予算におきましても、この制度による支援を拡充したところでございまして、二十五年度までの二百人の枠を二百五十人に拡大をしてきているところでございます。
私どもとしては、昨年閣議決定されました第二期教育振興基本計画、あるいは日本再興戦略におきまして、二〇二〇年までに日本人の海外留学の倍増を目指すという目標がございますので、その点も踏まえながら海外留学の促進に取り組んでまいりたいと思っております。

○矢倉克夫君

今御説明いただいたのは、給付型の奨学金であると認識しております。その方向性、正しいと思いますので、是非一層受給者の数を増やすよう、よろしくお願いいたします。
留学という観点に限らず、社会人始め学ぶ人全ての学ぶ意欲を手助けするためには、可能な限り給付型の奨学金を増やすべきであると思います。返済に苦しむ人の話を多く聞くにつれまして、貸与型ではやはり夢をかなえる手助けにはなかなかならないのではないかという実感があります。
国の財政的制約の問題からやむを得ず貸与ということになったとしても、例えば条件を満たせば返還を猶予する、免除する、そういう条件付貸与や条件付給付と言ってもいいかもしれませんが、イメージとしては、昔あった教員になられた方には奨学金免除をされるというような制度があったと思います。ああいう形でのより柔軟な奨学金の設計の在り方、これも一層社会人含めた学ぶ人への支援のために考えるべきであると考えますが、大臣の御所見をいただければと思います。

○国務大臣(下村博文君)

私も、五月の連休、アメリカのワシントン、それからASEANではシンガポール、インドネシア、マレーシアに行きまして、二〇二〇年までに、これから六年後ですが、留学生を送り出しも倍にする、また迎え入れも倍にするということで、各国の担当大臣等と協議をしてまいりました。そのために、このバッジを付けていますが、「トビタテ!留学JAPAN」、これは官民ファンドですね。政府も、文部科学省も、今年、留学予算を倍増いたしましたが、民間からもファンド、寄附を積極的に今協力をいただいているところでありまして、このことによって、今年、取りあえず大学生対象に、これは給付型で奨学金で海外に送り出すということを始めました。
是非、これを将来的には拡充をして、矢倉議員御指摘のように、社会人まで広げていくようにすることによって、日本の、もう一度輝く自分を取り戻したい、それを留学によってチャンスをつかみたい、そういう意欲のある、志のある若者に対してフォローアップするような体制を考えていくことは非常に重要なことだというふうに思います。
まずはそういうふうな、今の学生から給付型の奨学金で留学生枠を広げていきたいと思っておりますが、将来は社会人まで広げていくことも視野に置いて検討してまいりたいと思います。

○矢倉克夫君

学ぶ人の意欲を満たしていく、夢をかなえるという意味合いで、是非今の大臣の御決意のまま御対応いただければと思います。
続きまして、同じまたシドニー大学での懇談に話を戻しますが、やはり多く受けた相談は、就職が心配であるという点です。就職活動をしたいが、留学生用のキャリアフォーラムについての情報もない、日本に帰る期間も短い中で就職する機会もない、卒業しても学位を尊重してくれないと、不安の声が非常に多くありました。
今、留学しよう留学しようという形で若者に促しているわけですが、留学した先のその後が就職難という点になりますと、無責任な対応というふうに言われかねない部分も出てくるかと思います。その辺りの留学生に対する就職支援、これについての国の対応を御回答いただければと思います。

○政府参考人(吉田大輔君)

御指摘のように、帰国後の就職支援を充実させることは大変重要でございます。
独立行政法人日本学生支援機構では、大学と企業の関係者が一堂に会し、学生等の就職及び採用活動について情報交換を行います全国就職指導ガイダンスを開催しているほか、厚生労働省ではハローワークを中心とした就職支援などを実施してきているところでございます。
また、国家公務員採用試験におきましても、外国の大学を卒業した者を採用する機会を増やすことを念頭に置きまして、秋に試験を実施する試験区分も設けられたところでございます。
また、就職・採用活動時期の関係につきましても、再チャレンジ担当大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣及び経済産業大臣の連名で、主要な経済団体や業界団体の長に対しまして、海外留学からの帰国者の就職活動の改善を図ることを目的とした、就職・採用活動開始時期の変更を要請したところでございまして、二十七年度からそれが変わってくるということになりますけれども、この要請に沿った運用が徹底されるよう、引き続き周知に努めることとしております。
また、先ほど大臣から御発言がございましたけれども、若者の海外留学支援制度ということで新たに官民ファンドを用いたプログラムを設けておりますけれども、この中で、社会が求める資質、能力を持ったグローバル人材の育成を図ることとしておりますが、このプログラムの中には、帰国後のインターンシップですとか、あるいは企業説明会の開催など、就職支援につながるような取組も盛り込んでいるところでございます。
文部科学省としては、これらの取組を通じまして、関係府省庁、産業界、大学等と連携し、日本人留学生の就職活動に対する不安を解消し、日本人の海外留学数の増加に努めてまいりたいというふうに考えております。

○矢倉克夫君

最後に、話題を変えまして、学童保育の問題、質問をしたいと思います。
小一の壁、小四の壁という言葉があります。子供が小学校に入る、あるいは学童保育の多くが対象は小学校三年までですので、これを過ぎると預け先がなくなり、親が仕事を辞めざるを得ないという問題がございます。この解消のため期待されるのが、学校の空き教室、この利用、学童保育所としての活用でございます。
予算委員会の場で、我が党の山本香苗議員からの質問に対し、大臣は、教室利用が現状まだ進まない、この理由につきまして、教育と福祉の関係間における意識の壁、言及くださいました。その過程の中でまた教育委員会の問題も言及されていたわけですが、この問題について具体的にどのように対策をお考えか、御所見をいただければと思います。

○国務大臣(下村博文君)

放課後児童クラブ等への学校の余裕教室等の活用については、今年三月の産業競争力会議において私の方から、厚生労働省と連携を図りながら、一体型を中心とした放課後児童クラブと放課後子ども教室の整備等を通じて最大限進めていきたいというふうにプレゼンをいたしまして、また今、政府としてそのように厚労省と一緒になって進めているところでございます。
教育と福祉の関係間における意識の壁、これがやはりあると。これを越えるために、さらに、今これ衆議院の方で審議中でありますが、教育委員会制度抜本改革案、この中で総合教育会議を設けるということになっております。これは、首長とそれから教育長が一体となってその地域における教育行政を進めるということでありますが、このような首長と教育委員会が十分に協議する機関を設けるということによって、学校の余裕教室等の積極的な活用が更に促進されるということに制度設計の中でなってくるというふうに期待をしております。
こうした学校の余裕教室等の活用の促進と併せまして、全ての子供たちを対象とした放課後の学習支援や多様なプログラムの充実も含めた総合的な放課後対策を推進してまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君

特に少子化はオールジャパンで取り組む問題ですので、縦割り等の意識がもし仮に存在するのであれば、打破する対策を引き続きよろしくお願いいたします。総合教育会議について今お話もありました。行政の縦割り解消という意味合いでのこの運用の在り方も、また引き続き議論をさせていただきたいと思います。
最後、一言だけ。
オーストラリアに行ってお土産いろいろ渡してきたんですが、一番実は喜ばれたのが、二〇一九年のラグビーのワールドカップのバッジを非常な興奮で皆さん受け取ってくださいましたので、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックとともに日本が世界に非常に発信するスポーツ大会として二〇一九年のラグビー大会、こちらの大成功もまた大臣のリーダーシップで是非よろしくお願いいたしますとお伝えして、質問を終わらせていただきたいと思います。

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