187回 法務委員会(再犯防止等)

2014-11-11

○矢倉克夫君
おはようございます。公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いいたします。
私、昨日、事務局次長をさせていただいている再犯防止議連のメンバーとともに埼玉県の川越市にある少年刑務所を視察してまいりました。杉良太郎さんも御一緒でして、杉さん、御存じの方は御存じなんですけれども、五十五年間も刑務所視察等をずっと続けられて、この道ではもう大家と言ってもいいぐらいの方であります。
それで、職業訓練や矯正教育の状況など様々現状を見てまいりまして、終了後懇談をしたんですが、杉さんも強調されていて、また議連の座長である保岡先生も強調されていたことがありました。それは、刑務所というのは、かつてのイメージですと悪いことをした人を押し込めて懲らしめるというようなものでもあったかもしれないが、やはり世界一安全な国日本をつくるというためには、もう何度も強調しておりますように、今、犯罪の六割が再犯です。ですから、刑務所も、そういうようなイメージとはまた変わって、これからは更生するための施設として捉え直さなければいけないということを非常に強調されておりました。
この観点から、さらに、これ杉さんのお言葉を借りて、五十五年間刑務所をずっと見てこられた経験からおっしゃっていた言葉ではありますが、昔の入所者に比べて犯罪を犯す人の依存症というのが非常に強くなっていると。窃盗であったりストーカーであったり、依存に基づいて犯罪を犯しているという人が非常に多くなっている、これは顕著な傾向であるということを杉さん、強調されておりました。その上で、昨日議論になったのが、やはり入所した人のカウンセリングの体制をしっかりとつくっていくことだと、そのための人員確保が大事であるということが議論になりました。
昨日行った川越の少年刑務所なども様々な矯正教育をしておりまして、例えば薬物依存の離脱の矯正教育であったり、性犯罪の再犯防止の指導の矯正教育であったりします。ただ、本来であれば個別にやるべきような話だと思うんですが、どうしてもグループでやらざるを得ないと。人数的なものもやはりあるのかなと、その体制の面で。
この観点からまずお伺いしたいと思うんですが、この川越の少年刑務所に限らず、一般的なお話でも結構なんですが、このカウンセリングの体制、今現状どうであるか、また今後どのような取組をされるのか、法務省の方からお伺いをしたいと思います。

○政府参考人(西田博君)
お答えいたします。
刑事施設におきましては、受刑者に対するカウンセリング的な業務を行っている職員は、主に心理学を専門とする調査専門官、それとあと臨床心理士等の資格を持った非常勤の処遇カウンセラーでございます。
少し具体的に配置状況を御説明させていただきますと、平成二十六年度、本年度ですけれども、刑事施設八十庁に百九十三名の調査専門官を、また七十八庁に百十一名の処遇カウンセラーを配置しておるところでございまして、そこでそれぞれ受刑者の処遇調査ですとか、施設内で不適応を起こした受刑者に対するカウンセリング等の業務を行っているところでございます。
また、高齢者や障害者等の自立困難な者もおりますので、その者に対して出所後の社会復帰に向けた相談とか助言を行う職員としまして、刑事施設十二庁に十二名の今度は福祉専門官、六十九庁に九十四名の非常勤の社会福祉士を、また八庁に八名の非常勤の精神保健福祉士を配置したところでございます。
なお、本年度は三庁の女子刑事施設において、各施設が所在します地域の医療、福祉等の専門家の協力を得ることができるようなネットワークづくりをいたしまして、看護師とか保健師、介護福祉士等の地域の専門家に、心身の問題を抱えた女子受刑者に対する個別指導を行っていただくという女子施設地域支援モデル事業というものを立ち上げまして、これを新たに開始したところでございます。
こういった状況でございますけれども、まだまだ十分とは言えないというふうに考えておりますので、平成二十七年度要求におきましては、福祉専門官十四名の増員、非常勤の社会福祉士四名の増配置、また新たに四庁におきまして女子施設地域支援モデル事業を実施するために必要な経費を要求したところでございます。
御指摘ありましたとおり、まだまだこれから充実化させなきゃいけませんので、当方といたしましても、いろんな方策について鋭意検討してまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。

○矢倉克夫君
今御説明ありました、着実に進んでいるということは理解させていただいたんですが、やはり先ほどのような背景もあります。やっぱりいろんな多様な支えてくださる方を、どんどん人材を確保しなければいけないという方向であると思います。より引き続き努力をいただきたいと思います。
また、今、女子のお話もありました。地域で支えるという取組、非常によいと思います。ほかのところで聞いた話ですと、男子の場合の受刑者、入所者の人は、住居不定であったりそういうのが理由になるんですが、女性の場合は、やはり家庭内のストレスとかそういう部分で、心理的なものでも影響を与えるというようなお話も聞きました。そういう部分でのサポートを更に拡充させていって、男性の方にもしっかりと拡充できるようなモデルケースとしていただければと思っております。
それで、人の確保という話から今申し上げたんですが、やはりいろんな方に職員として入っていただくためには、職員の方の待遇の改善というのも当然これから必要になってくるかと思います。
それで、ちょっと今お手元に配らせていただいた資料がございます。昨日、川越の少年刑務所を回って印象的だったのが、施設が非常に老朽化しているという点。今、四枚の写真、お配りしております。
これは刑務所の職員の宿舎の写真になります。御覧のとおり、お分かりになりますとおり、壁はぼろぼろ、階段も本当に今にも崩れ落ちそうな感じの状況ですね。それで、和式トイレでもありますし、ベランダなんかはこれもうさびついてしまっていて、布団はとても干せないような、そのような状況でした。杉さんと一緒に状況を確認したんですが、杉さんも、こんな状況ですと、若い職員の人が例えば結婚してお嫁さんをここに連れてこれるかというと、これは無理だよねというようなことも非常に言っておりました。本当にそのとおりであるなと。
あと、今日お手元にはちょっと配らせてはいただいていないんですが、森田実さんという方が評論家でいらっしゃる、御案内のとおりなんですが。この方も私は個人的にもお付き合いもさせていただいているんですが、十月二十一日付けの日刊建設工業新聞というものを書かれておりました。
そこにこのまさに川越の少年刑務所のことを書いているんですが、トイレは和式です、風呂はありますが脱衣所はありません等々、その上で、刑務官らの矯正職員は刑務所に隣接した公務員住宅に住まなくてはなりません、二十四時間緊張状態の中で刑務官としての使命を果たしています、このような公務員の住宅としては余りにも劣悪であります、崩壊寸前の住宅では優れた若い人材を集めることは難しいのではないかと思います、中略させていただいて、国会議員と予算を決定する財務省の皆さんに訴えます、川越少年刑務所と職員宿舎を是非御自身の目で見てください、このような形でも書かれておりました。
職員の方にお聞きしたところ、やはり二十代の方、新しい職員の方が、いざ職員になってもどんどん辞めていかれる率が非常に今多いと。今後、この刑務所を支えて、まさに世界一安全な日本を支えていくために必要な人材である方々が辞めていかざるを得ないような状況にある、このようなことを言っております。
この点、改善が必要かと思いますが、この辺りをどのように今検討をされているのか、また御説明をいただければと思います。

○政府参考人(黒川弘務君)
お答えいたします。
法務省所管の施設には、委員御指摘のとおり、昭和五十六年以前築のもので、現行の耐震基準を満たしていない施設が多数存在しております。法務省施設の整備は、災害時における来庁者及び職員等の生命、身体の安全確保や、被収容者の逃走防止等のために重要でございますし、また、特に今御指摘がありました矯正施設の職員宿舎の整備は、職員の士気の維持などの施設運営上の観点からも重要であると認識しております。
平成二十七年度においては総額約三百四十五億九千六百万円を概算要求し、これら施設の整備に向けて努めているところでございます。概算要求では、老朽度を総合的に検討し、整備の必要性が高いと考えられる矯正施設の職員宿舎の整備などの経費を計上しているところでございます。
法務省としては、いまだ老朽化が著しく現行の耐震基準を満たしていない施設が多数存在しておりまして、これらの施設の整備を短期間で完了することはなかなか困難でございますので、引き続き財政当局の御理解を得ながら所要の予算の確保に努めてまいりたいと考えております。
以上です。

○矢倉克夫君
今、一部若干御説明があったんですが、例えば庁舎なども約半数がまだ現行の耐震基準も満たしていないと。宿舎なども、全宿舎一万二千戸のうち約一二%、これは経年に達していると、様々、非常に老朽化が。これまで入所者の人の数が一時期わあっと増えたときは新しいものを造るというような方向だったと思いますが、やはりこれからは、今は減ってきている部分、逆に今度は老朽化のものをしっかり復旧していくという方向が大事かと思っております。今は、済みません、宿舎の話ではなく施設の話になりましたが。
当然ですけど、この刑務所の老朽化というのも問題であると思います。例えば、以前、宮城だったと思いますが、地震で塀が崩れてしまった、老朽化のせいで塀が崩れてしまったというようなことも聞いております。そういう事態になると、やはり地域の安全にも非常に影響も出てくる。
是非、今日お集まりの委員の方にも御理解いただきまして、その上で、法務省には財務省への働きかけをしっかりとお願いしたいと思っております。この件はこの程度で終わらせていただきたいと思います。
次に、ちょっと順序を変えまして、法曹養成の関係、質問させていただきたいと思います。
法曹養成といいますか、先週も質問させていただいたとおり、法曹を今養成していくのは、やはり様々な国際訴訟の部分も含めて法曹人材の育成というのは大事かと思っております。その上で、いかに多様な人材を確保するのかというところが大事なんですが、お伺いしたいのは、様々いろんな部分でも議論になっている司法修習生に対する経済的支援についてでございます。
今、昔に比べてロースクールに通わなければいけなくなる、そのためにも三百万から千二百万ぐらいやはり借金を抱えているという人が非常に多くなっている状態。他方で、所得というものが、昔に比べれば例えば弁護士になった場合も少なくなってしまったと。そういうようなときに、経済的支援というものがある程度図られない限りは多様な人材を確保するということはなかなか難しいかと思っております。
この辺りについて、今どのような検討をされているのか、御説明をいただければと思います。

○政府参考人(大塲亮太郎君)
司法修習生に対する経済的支援につきましては、平成二十三年八月に、法曹の養成に関するフォーラムにおきまして、貸与制を前提にしながら、修習資金を返還することが経済的に困難である事由として最高裁判所の定める事由があるときはその返還の期限を猶予することができるようにすべきであるとされたことを受けまして、そうした返還猶予事由の拡大を行う内容の裁判所法の改正が行われたところであります。
また、昨年七月の法曹養成制度関係閣僚会議におきまして、貸与制を前提にしつつ、司法修習生に対する経済的支援の一環として、移転料の支給等の措置を最高裁判所において実施することが期待されると決定されまして、最高裁判所において既に実施に移したものと聞いております。
これらの措置が実施されたばかりでありますので、現時点では、最高裁判所と連携しつつ、これらの措置の実施状況を見ていく状況にあると認識しております。

○矢倉克夫君
ありがとうございました。
私の個人的な経験で恐縮なんですけど、私も修習生時代、その前にいろいろ実家の事情等もあって借金等もあった部分があって、多分、それを返しながらの部分であったので、いろいろ支援がなければその後なかなかキャリアを積むということはできなかったのではないかなと思っております。そういう点でも、いろんな可能性のある人がその芽を潰さないような助成をしっかりと体制としてはつくっていただきたいと思います。
個人的な意見としては、例えば今は文部科学省が、奨学金の関係なんですけど、所得連動型で返還をすると、将来的な所得が見合ったときに初めて返還をするとか、そのようなアイデアも出しております。そういうようなアイデアも、これから具体的には貸与制が開始をして運用が始まってくる部分ではあるから、それ以降の検討にはなるかとは思いますが、その辺りのことも、制度設計の部分も含めて、是非引き続き、司法修習生始め有為な人材の経済的支援という部分、御検討をいただければと思います。
続きまして、また全然違う話になりますが、ちょっと時間もありませんので冒頭だけになってくると思いますけど、無戸籍のお話をしたいと思います。
一部報道でもあるところですが、まず、先月二十四日でしょうか、全国的に無戸籍者についての調査、これを法務省の方でされていると思います。その状況について端的に御説明をいただきたいと思います。

○政府参考人(深山卓也君)
今お話がありましたとおり、法務省では、本年七月三十一日に課長通知を発出いたしまして、市区町村や児童相談所などが業務の過程で無戸籍の方の存在を把握した場合には、その市区町村の戸籍担当者がその情報を集約して、さらにそれを法務局に提供するという仕組みによって全国的に無戸籍者の存在に関する情報を集約するということ、それから、その際には無戸籍の方に戸籍に記載をされるための手続を案内をするという取組を開始したところです。この取組の結果、十月十日現在、全国で二百七十九名の無戸籍の方を把握しているところです。
もっとも、この数は全国の市区町村の千八百九十六のうち約一割に当たる百八十七の市区町村からの情報提供によるものですけれども、一部の市区町村では、個人情報保護条例との関係から法務局に対する情報提供をちゅうちょすることがあるというようなことも聞きましたので、市区町村に対する情報提供の要請が法的根拠、具体的には戸籍法に基づく権限行使であるんだということを法務局から全国の市区町村に周知をしているところでございます。
法務省としては、今後とも、この取組、継続しておりますので、無戸籍者の一層の把握に努めてまいりたいと思っております。

○矢倉克夫君
今御説明いただきました、全国で二百七十九名。ただ、今もお話があったとおり、市町村の大体一割ぐらい。しかも、自ら相談のために自治体に来られた方の数であります。ですから、まさに氷山の一角の問題で、専門家によっては一万人ぐらいは無戸籍の方がいるのではないかということであります。
今日、ちょっと質問の時間がありません。大臣、大変恐縮ではありますが、ちょっと私の方だけでまずしゃべらせていただいて、次につなげたいと思うんですが。
無戸籍というのは、存在自体が行政の網からもやはり抜けてしまっているというような状態。先月も先々月も、大阪であったり神戸であったり、この無戸籍の方が戸籍に入るために、お母さんから見たら元夫との間の親子関係を否定するための裁判を訴えて、やっと三十何年たって、生まれて三十何年たって戸籍が回復したというようなことがありました。もうそれまで三十何年間、例えば住民票も取れないので、就職もできない、携帯電話も取ることができない。もう本当に普通であれば普通にできるようなことが全くできないというような方が一万人以上は、恐らく推計としてはいるんじゃないかというような状況。しかも、それはその方の責任ではないという状況があります。
これをしっかりと改善していくためには、例えば裁判を起こすときには裁判の手続等についてもしっかりと援助もする方向、その上で、戸籍の届出の在り方もやはりこれから考えていかなければいけないかと思います。
この件は引き続きしっかりとまた議論もさせていただきたいと思っておりますが、是非、こういう方が今後発生しないような体制、これをしっかりと法務省の方でもまた御議論いただきたいと思っております。この点をまずお願いいたしまして、中途半端になってしまいましたが、質問を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。