189回 法務委員会(矯正医官不足の解消等)

2015-04-16

○矢倉克夫君
おはようございます。公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いいたします。
今日の法案、まず立法事実は極端な矯正医官不足。それによって生じました部分としては、まず医官の確保、個々の過重労働がかなり増えているというところ。また、それぞれ受刑者の健康状態にも影響をしている。さらには、看護師の皆様への教育とか研修の分野の影響もあるかというところであるかと思います。
今回の法案は、まず対処すべきところとしては、個々の矯正医官の方の勤務条件が硬直化している、とりわけ勤務時間帯であったり、また兼業規制について、そこを直すことで矯正医官のなり手を増やしていくというところであるかと思います。また、私、この部分は合理性もあると思っておりますので、法案自体には賛成をさせていただきたいと思っております。
その上でお伺いしたいんですが、今回のこの法案によりまして、今、現状直面している医官不足、これについて抜本的な解決となるのか、つまり劇的に欠員ゼロというような状態になるのか、この辺りを法務当局の御意見をお伺いしたいと思います。

○政府参考人(小川新二君)
矯正医官が不足している原因につきましては、矯正施設内で医療行為を行うのみでは医師としての能力を維持向上させることが難しいということで、そういった理由で民間の医師などが矯正医官になることをちゅうちょすることが多いということ、また矯正医官の認知度が低いということなどが挙げられると考えております。
本法案では、診療を行う兼業の許可に関する特例を定めることによりまして、矯正医官は簡便な手続の下で矯正施設外の医療機関におきまして自ら診療行為を行う機会を確保することができます。また、フレックスタイム制の適用によりまして、矯正施設外の医療機関等におきまして調査研究などを行うに当たりまして勤務時間を柔軟に割り振ることができるようになります。こういった特例は、矯正医官不足の解消に相当な効果を発揮すると考えているところでございます。
もっとも、本法案のみで全て解決が図れる問題ではないとも考えておりまして、広報活動、啓発活動、その他の活動を通じまして、矯正施設における被収容者に対する医療の重要性に対する国民の理解と関心を深めていくこと、また矯正医官を支える医療スタッフの充実であるとか医療設備の整備であるとかの執務環境の改善、その他様々な措置を講じてまいりたいと考えておりまして、こういったことによりまして矯正医官の人材確保に努めてまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君
もちろん、今お話あったとおり、広報啓発等、その他様々ないろんな政策と合わせ技でやっていかなければいけない話であるかと思います。
その上で、やはり、また更に大事なことは、まず医師不足というのは全国的な問題でもありますので、厚労省ともしっかりその辺りの話も協議も続けていかなければいけないというところ、あと地域医療との連携というものがやはり非常に大事になってくると思います。その意味でも、医師会ともしっかりと協議もするというような必要もあるかと思います。
この辺り、全体のパッケージをしっかりしていくという意味では、厚生労働省であったり医師会とどのように協議をする御予定であり、今どのようにされているのか、また御説明いただきたいと思います。

○政府参考人(小川新二君)
医師会との連携、協議等につきましては、矯正局と日本医師会との間でもいろいろ協議をしておりまして、法務省内で設置しました有識者会議におきましても日本医師会の方々にも御協力をいただいたという経緯がございます。また、現場の施設におきましても医師会等との連携を深めておりまして、特に地域医療との連携は極めて重要でありますので、各矯正施設におきましては、地元医師会あるいは大学医局、地域医療機関等々に対しまして医師の派遣の依頼を行うなど、連携を深めております。
また、一つ申し上げますと、医師の確保を始めとします矯正医療体制の充実に資するため、平成二十三年度から、各矯正管区におきまして矯正医療アドバイザーというものの委嘱を行っております。これは、それぞれ矯正施設所在地の医療に精通しております医師とか、大学病院医局等におきまして医師派遣の中心になっているお医者さんなどに委嘱をいたしまして、矯正施設への医師の派遣であるとか、あるいは地域医療機関と矯正施設の連絡調整等を行っていただいているものでございます。
以上でございます。

○矢倉克夫君
今、様々な取組をされているというところはあります。とりわけ、今お話にもありました、いろんな、嘱託医師の派遣であったりとか、そういう部分もこれから必要であると思います。先ほど三宅理事の方からも話もありました、内部で矯正医官を充実させていくという方向性も当然大事ではありますが、やはり、しっかり外部から非常勤のまた医師であったり嘱託の医師を派遣していただくというような方向性も大事であると思います。
その部分では、私いろんなところで話も聞いたんですが、やはり外部の方から、例えば一時間の診療のためだけに半日間潰すのはなかなか難しいであったり、そういうようなことを言っていらっしゃる方も非常に多いと。それは当然ですけれども、それだけ交通時間も掛かるようなところの方しか協力も得られないというようなことの事実もあるかと思います。もっと近隣の医師、医療機関の方からもしっかりと非常勤医師や嘱託医師を派遣していただく、そのようなこともしっかり、より充実させて考えていく必要もあるかと思います。
また、先ほども少し話もありました、例えば大学病院などを定年退職された医師の方、そのような方々にも御協力をいただく。定年制の話の問題とも絡んでくるかと思いますが、そのような非常勤医師や嘱託医師の派遣又は大学病院を定年退職された方の御協力というような部分、この辺りについて、ちょっと重なる部分もあるかもしれませんが、改めて、現状どういうような動きをされているのか、御説明いただきたいと思います。

○政府参考人(小川新二君)
常勤医師の確保は非常に重要と考えておりますけれども、片や常勤医師のみで矯正施設における医療需要を満たすことは困難でございますので、これまでも非常勤医師や嘱託医師にもお願いをしているところでございますし、今後もその確保も続けていきたいというふうに考えております。
そのために、これまで地域の医療機関の医師等にお願いをしまして非常勤医師での勤務等もお願いしているところでございまして、引き続き各矯正施設からお願いをしてまいりたいというふうに考えております。
また、大学病院等を退職した医師の活用等につきましても、先ほども御説明いたしましたけれども、任期付職員の活用などの手段で積極的に取り組んでいきたいと考えております。
定年引上げにつきましては、他の医療職との均衡等も考慮する必要がありますので本法案における実現は困難でございますけれども、法務省としましては、引き続き、人事院等の関係省庁とも協議しながら適切に検討してまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。

○矢倉克夫君
方向性としては、そのように引き続き、いろんな課題もあるかと思いますが、是非検討していただきたいと思います。
今申し上げましたとおり、地域医療との連携というのをどういうふうに図っていくのか、ここが非常に大事かと思いますが、今回の法案がこの地域医療との連携という観点からどのような意義を持っているのか、その部分について御所見をいただきたいと思います。

○政府参考人(小川新二君)
本法案は、地域医療連携という観点から積極的な意味も一つ持っているというふうに考えております。
と申し上げますのは、本法案は、病院や診療所などで行う兼業につきまして、法務大臣の承認によって行うことができるものとする兼業の特例を設けることとしているわけでございますけれども、多くの矯正施設は医師や医療機関の少ない地域に立地しておりまして、そういった地域におきましても深刻な医師不足の問題を抱えているというふうに承知しております。
本法案によりまして、矯正医官が地域の医療機関で医療業務に従事することが柔軟に行えるようになれば、地域の医療機関から矯正施設に医師を派遣してもらうということだけではなくて、逆の方向でより一層地域医療に貢献することが可能となるというふうに考えております。このように、地域医療に貢献することは、矯正医官が抱きがちであります社会一般の医療から疎外されているのではないかという疎外感の解消にもつながるのではないかというふうに考えております。
以上でございます。

○矢倉克夫君
確認ですけれども、今まで兼業規制があったことで、今議論になっているのは矯正医官の方が民間に兼業するという方向ではあるかと思いますが、ニーズとして、民間の外部の病院とかも矯正医官の方に勤務していただきたいというニーズがあったんですが、それが兼業規制でできなかったと。
今回これを、兼業規制を緩やかにすることで、民間からの矯正医官の方にまた来ていただいて働いていただきたいというような要請にも応えられることができて、人事交流の部分でも非常に地域とのつながりができていくというような話であったというふうに理解をしたんですが、その点、再度ちょっと確認をさせていただきたいと思いますが。

○政府参考人(小川新二君)
委員御指摘のとおりでございまして、これまでは矯正施設に外部の医療機関から来ていただくということが多かったわけでございますけれども、この法律で兼業が柔軟に認められるようになれば、矯正医官も地域医療に貢献することができるということでございます。

○矢倉克夫君
私は、その意味合いでも、今回の法案は地域医療との連携というところでも意味はあるものというところは確認をさせていただきました。より一層、人材交流というところはしっかり進めていただきたいというふうに思います。
その上で、私、根本解決という意味合いでは、地域医療の連携とともに、やはり国民の皆様に対して矯正医療というものがどのようなお仕事で重要なものなのかということも周知していただくということも非常に大事であると思います。
例えば、報酬の部分であったりを改善をするということで医官のなり手が増えるかというと、それだけはなくて、やはり医官それぞれ皆様に仕事に対しての誇りというものを持っていただく、社会的な意義がある仕事をやっているんだということを理解していただくことはやはり大事でありますし、その前提が今まだできていないんじゃないかと。国民の皆様に対しても、矯正医官という仕事のいかなる重要性というものをまだ御理解をいただけていない原因があるから、やはり矯正医官として仕事されている方に対しても、お仕事に対しての誇りというものが見えにくい部分もひょっとしたらあるのかもしれないなというふうに思っております。
その意味でも、広く国民に対して矯正医療の重要性や社会的使命というものもこれは啓発していくことが重要であるというふうにも思いますが、この辺り、法務省としてどのように進められているのか、また今後どれだけ力を入れていかれるのかというところを御説明をいただきたいというふうに思います。

○政府参考人(小川新二君)
矯正医官の確保のためには、広く国民に対しまして矯正医療の重要性や社会的使命などを啓発することが極めて重要であるというふうに考えております。
そういった取組の一環としまして、文部科学省の協力を得まして、国公立大学医学部に対する積極的な広報も実施しているところでございます。全国各地では、矯正管区長自らが管区の大学の医学部を訪問しまして矯正医療の意義を訴えて協力を求めたり、大学医学部における講演の機会を求めて矯正医官とともに講演を実施するなどの広報活動を行っております。
また、刑事施設におきましては、医師会あるいは大学の医学部、あるいは都道府県等の自治体等の関係機関と協議会を開催するなどして、矯正医療に対する理解と協力を求める中で重要性や社会的使命も説明しているところでございます。
さらに、医学会の場であるとか医学教育の場などにおきましても医療関係者への啓発を行っているほか、マスメディア等の取材に対する積極的な対応あるいは協力も行っているところでありまして、まだまだ不十分なところも多いかと思いますけれども、広く国民に認知いただけるような広報活動にこれからも努めてまいりたいというふうに考えております。

○矢倉克夫君
たしか宮城の方に視察に行ったときだったと思いますが、矯正医官をされている方の悩みの一つが、医師仲間とか、またそれ以外の部分の人の集まりがあったときにも、矯正医官、働いているというふうに聞くと、何か通常の民間の医療機関では働けなかったのでそういうところで働いているかのような印象を持たれているようなこともあるみたいなこともおっしゃっていました。
これは非常に残念なことで、本当に崇高な理念で、ある意味、制約がある状態を自ら買って出てやっていらっしゃる矯正医官の方の仕事ぶりが、誇りが傷つけられるというような状態が一番良くないことでもあると思います。その点での広報啓発活動、いかに大事な仕事で社会的に意味のある活動かということも、より具体的な、積極的なデータ等も駆使して、どれだけ社会に貢献しているのかというのももっと資料も更に集めていただいて、啓発活動というのをより良くしていただきたいというふうに、このように改めて要望をさせていただきたいと思います。
大臣にお伺いをしたいんですが、今、とりわけ私も、抜本的解決の意味では地域医療との連携とやはり広報活動というのが大事であると。何度か再犯防止の関係でもお話もさせていただいたところではあるんですが、再犯防止でもやはり何が大事かというと、福祉従事者を含めた地域との連携というものがやはり大事だということを改めて思ったところでありまして、この矯正医官の問題というものについてもやはり同じようなものがあるかなと思ったら、いかに地域と連携をし合っていくのかというところ。
この矯正医療というのは、保安とかその他の問題も、特殊のやはり目的もありますので、民間とは完全に一致なものはないとは思います。ただ、民間医療、地域医療との連携というものなくして保安という問題も目的もやはり達成できないと。そこをしっかりどれだけ連携をしていくのかというところは非常に大事かと思っております。
そのためにこそ法務省の更なる取組というのも必要であると思いますし、この矯正医療という目的を達しつつ、民間と地域との連携をし合っていく環境整備というのがやはり大事かなと。例えば、遠隔地医療とかなどでもよく使われているICTの利活用とかもしている例あるかと思います。そういうようなハード面の部分も含めて、今後、法務省としても、この法案提出で終わりとせずに、やっぱりこれまで以上に一皮むけた対応というものも、一歩更に進めた対応というのも必要かと思っております。
大臣から、この地域医療との連携がまた不可欠である、そのためにしっかりと政策をまた打っていくというようなことを御決意等も含めて一言いただければと思いますが。

○国務大臣(上川陽子君)
矯正医療の目的を達成するためにも、地域医療との関わりについては今後大変重要になるという認識につきましては共有をしているところでございます。
本当に、矯正施設内で患者さんが発生して、そして施設内で対応できない場合には地域の医療にお世話になるということ、これについては本当に御協力をいただいて治療をしていただいているところでございまして、これからもそういう意味で地域医療機関等の御支援をいただかなければいけない場面が多々あろうかというふうに思っております。その意味でも不可欠な関係づくりということであろうかというふうに思っております。
先ほど来、局長から答弁をさせていただいておりますけれども、これまでも、厚生労働省、さらには都道府県の医療関係部局、さらには日本医師会等の医療関係機関、さらには地域の様々な診療所の先生方という形で協力の依頼を行いまして、そして関係機関からも矯正医療に対しての御協力を理解していただいているというふうに考えております。十六年以降につきましては、各刑事施設の中におきまして、毎年、地域の関係機関を構成員とする医療に関する協議会開催ということにつきまして、矯正医療に対しての御理解を更に深めて御協力を仰ぐということに努力をしているところでございますし、平成二十三年度からにつきましては、各矯正管区の地域医療に精通した矯正医療アドバイザーの配置ということでそれぞれの調整をしていただいていると、こういうことも実行をしているところでございます。
この法案によりましてまた更に兼業が柔軟に行うことができるようになるということになりますと、矯正医官も地域の医療に対して貢献することが可能になるということでございますので、そういう意味では双方の連係プレーというのが大変密になっていく、そういうきっかけになろうということで、地域との医療の一層の連携強化ということに資するものと期待をしているところでございます。
こうしたことにつきましては、国民の皆様の何よりも御理解ということが大変大事であるということでございますので、私どもも先頭に立って御理解を求めるべく、それぞれの関係機関にいろいろな形でお願いに行ったり、あるいは協力のお願いに行きたいというふうに思っているところでございます。
さらに、医療の分野につきましては、地域との医療が連携が密になればなるほど、様々な医療の環境整備ということにつきましても連携をしていく場面が増えてくるかというふうに思っております。先ほどICTの活用ということにも触れていただきまして、遠隔での医療ということにつきましても、今取組が、研究も含めまして実証実験も進められているということでございますので、そういったところについても乗り遅れることのないように、そうした部分について環境整備の一つの大事な要素として検討をしていきたいというふうに考えております。
いずれにしても、地域の医療との連携強化につきましては、この法案も審議をいただいた暁には、しっかりと更に充実すべく努力をしてまいりたいというふうに決意をしているところでございます。

○矢倉克夫君
最後、大臣おっしゃったICTの利活用なども本当に重要な要素でもあるかと思います。法務省内でもこの分野における研究開発等もまた更にしっかりと進めていただきたいと思っておりますし、私も、もう少しまた勉強させていただいて、また御質問等をさせていただく機会があればさせていただきたいというふうに思っております。
最後、大臣にもう一個。今申し上げた、あと、国民周知の部分であります。
大臣は本当に現場にいろいろ入られて、いろんな方の御意見お伺いをされる方でもあると思いますし、やはり最後は大臣自ら様々なところで、この矯正医官のお仕事というのがやはり大事であるし、社会的に本当に意義のあることだということをよりまた積極的に語っていただくことということが非常に大事であると思います。政治の言葉というのは非常に重いと思いますし、その意味での大臣の御決意、御所見を含め、またいただければと思います。

○国務大臣(上川陽子君)
この矯正施設の医療につきまして、私も医療関係の様々な皆さんとの意見交換等も含めまして積極的に進めてまいりたいというふうに思っておるわけでありますが、何よりも現場の状況ということにつきましては、日本の中でも、総合的な病院の機能もございますし、また一般でいきますと診療所のような機能のところもありますので、様々なニーズに応じて適切な対応をしていくということが大変大事だというふうに考えております。
国民の皆さんに矯正医療の意味ということについてしっかりと御理解いただくためにも、また同時に、そこで働いていただく医師を始めとして医療関係の皆さんの現場での御苦労も含めまして、そういったことについてよく現場の声を聞かせていただきながら、施策にしっかりと反映できるように努めてまいりたいというふうに考えております。

○矢倉克夫君
終わります。