190回 法務委員会(刑事訴訟法改正案)

2016-04-14

○矢倉克夫君

こんにちは。
刑事訴訟法審議入りということで、先日、可視化の状況とまた通信傍受の関係、視察へ行きまして、様々示唆をいただいたわけであります。今日は時間の関係もあり、通信傍受の方をお伺いしようと思っております。質問の通告、ちょっと順序を変えまして、まずは通信傍受の必要性、最後の方に予定していたところからお伺いをしようと思っています。
質問に入る前に一言ですが、当然、刑事裁判の原則というのは、十人の真犯人を逃すとも一人の無辜を罰するなかれと、十人真犯人が仮に逃れたとしても一人の無罪の人を罰してはいけないというのがこれ大原則だと思うんですが、悩ましいのは、私も刑事訴訟法を考える上で一つ考えているところは、やっぱり立法府にいる限りはそれだけではいけないのかなと。当然一人の無実の人も罰してはいけないわけなんですが、やはり国民に対しての安心、安全を守るという意味合いでは両方、人権保障と真実発見、これをやらなければいけないと。要するに、十人の真犯人を決して逃すこともなく一人の無罪の人も決して罰しないと、両方やらなきゃいけないというのはやはり悩ましい、難しいところであるなと。そういう制度設計をどうすればいいのかというところが課された課題であると思っています。
今回の刑事訴訟法についてですが、まず無罪の方を、無実の方を罰しないということのためには何が課題だったかといえば、やはり供述調書の過度な依存、これが自白強要、先ほど人質司法といいますか、そういうお言葉もあったわけですが、そういうようなものを排除するために今回可視化をやった。ここが第一の起点であって、他方で、それをやることで、従来は首謀者の人とかを検挙するにはやはり取調べしかなかったという経緯があってそういう取調べの過酷さが出たわけですけれども、今回それを可視化することで、他方で、取調べに依存していた部分を今度は合意制度という形で対応もし、また様々な事情に応じた通信傍受の拡大というところもやり、真実発見というところもしっかりと担保もする。手続的な適正は弁護人が様々な国選弁護についても関与する対象を広げるという意味合いでは、全体として見れば、冒頭申し上げた真実発見と人権保障というところを両方しっかりやっていくという、パッケージとしては非常にバランスの取れた法制になっているのではないかなというふうに私は個人的には理解をしているところであります。
以上申し上げた上で、冒頭申し上げたとおり、まず警察の方にお伺いをしたいんですが、今回の通信傍受、この必要性、とりわけ、従来対象犯罪は四種に、薬物、銃器、集団密航、組織的犯罪にこれ限定していたわけですけれども、今回これを拡大するというところになると思います。
私も、この四個に限定をしていた経緯部分、当然様々いろんな御意見がある中で、その当時にやはりとりわけ必要性を感じられたものに限定をしていたという経緯はあるというふうに認識しています。集団密航などもまさにそうであったと思いますが、ただ他方で、そうであれば、時代の流れに応じてこの必要性というものが更に広がっていけば、それに応じた考えも広がっていくというところは理解もできるところである。
それを前提にした上で、今回は特におれおれ詐欺、特殊詐欺を一つ、そして暴力団であったりあとテロ組織による組織犯罪を二つ目、最後、児童ポルノ、これが念頭にあるというふうに理解をしておりますが、それぞれについて拡大をした理由、その妥当性についてどのようにお考えか、警察庁、答弁をいただきたいと思います。

○政府参考人(三浦正充君)

まず、組織的な犯罪一般ということで申し上げますと、組織的な犯罪におきましては、その準備及び実行が密行的に行われまして、犯行後にも証拠を隠滅したり実行犯を逃亡させたりするといった工作が組織的に行われることも少なくなく、それらを実行するための手段としてしばしば携帯電話等の通信手段が悪用されております。また、末端被疑者を検挙しても、組織による報復等を恐れて、組織実態や上位者の関与の状況について供述を得ることは容易ではなく、通常の捜査手法によっては犯行の全容解明や真に摘発すべき犯罪組織中枢の検挙が困難であるといった捜査の実情がございます。
例えば、特殊詐欺につきましては、首魁や中核メンバーの下で掛け子、受け子等の複雑な構造の犯行グループにより組織的に敢行をされているわけでありますが、掛け子、受け子といった末端被疑者についてはある程度の数検挙できるわけでありますけれども、なかなかその上位の者、特に首魁、中核メンバーといったところの検挙がなかなか難しいというのが現状であり、それが、なかなか被害の拡大が収まらないという、そういう原因になっているというように認識をしております。
また、殺傷犯関係で申しますと、取調べにおいて自己や組織の上位者の関与について否認をすることが多いということでありますし、また、児童ポルノにつきましては、海外のサーバーに販売サイトを持つ、頻繁にアドレスの変更を行うなど被疑者らの特定や追跡が困難であるという事情がございます。
また、連続爆破テロのテロリストグループが更なる犯行を予告している場合や、テロに関連する爆発物原材料の組織窃盗を認知した場合等において通信傍受を捜査に活用することも想定をされるところでありますが、テロ組織につきましても、組織による報復のおそれ、あるいは組織的な隠蔽工作を行うために供述や情報を得にくいという実情がございます。
こうした理由から、通常の捜査手法だけでは犯罪組織中枢の検挙が困難であるという捜査の現状がございまして、通信傍受の対象犯罪をこうした犯罪類型にも拡大をしてその全容解明に資する証拠の収集を可能とする必要があると、このように考えているところでございます。

○矢倉克夫君

高齢化とともにいろんな、振り込め、おれおれ詐欺で被害に遭われた方も増えている。テロの世界的な脅威というのもありますし、また通信技術高度化で児童ポルノの問題もある。それぞれ御説明があったと思います。
今、一つ、上層部に対しての捜査というところがありました。他方で、携帯電話等を使うのは、まさに上層部の人が使うわけではなく、最末端でもないにしても、それよりもちょっと上ぐらいの人がというような部分もある。上層部に果たして検挙できるのかというようなところもあります。
警察庁にお伺いしますが、今までの通信傍受でどのような形で上の方にまでしっかりと捜査が行ったのか、過去に例があればお伝えいただければと思います。

○政府参考人(三浦正充君)

通信傍受の施行から平成二十七年までの間に、通信傍受を実施した事件に関して逮捕した人員数は計六百四十人でございます。その中で、これは網羅的に把握をしているものではございませんけれども、平成二十五年から二十七年までに警察が通信傍受を実施した事件に関して二十六年及び二十七年中に逮捕した人員数は二百十八名であったところ、そのうち、暴力団の幹部に当たるとして都道府県警察から報告を受けた者は三十名でありまして、通信傍受が暴力団等の犯罪組織中枢の検挙や組織の実態解明に一定の効果を上げていると考えております。
ちなみに、この逮捕人員数に占める暴力団幹部の割合は約一四%でありますが、刑法犯における暴力団員等被疑者検挙人員のうち幹部の占める割合の過去三年の平均が約八%でございますので、こうしたものと比べても、通信傍受によって幹部を比較的多く検挙できているという実績がございます。
あと、若干の事案で申し上げますと、この通信傍受を行った事案については、公判や捜査への支障等もございますのでなかなか具体的に申し上げることは難しいのでありますけれども、少し概略的に申しますと、例えば暴力団による薬物密売事案におきまして、組織的に複数件にわたって薬物密売を繰り返している実態を解明をするなどし、組長を始め配下の構成員等計二十六名の逮捕に至ったものを始めとして、大掛かりな薬物密売事案におきまして、組長を始めとする多くの構成員を逮捕した事例などがあるところでございます。

○矢倉克夫君

今、データと一般的な例を挙げて御説明いただきました。
他方で、もう既に議論もあるとおり、やはり通信傍受、一番の問題はプライバシーの問題、これ憲法上の問題でもあると思います。これについてはどのように担保をされていらっしゃるのか。無関係な会話等も混入しないような、不必要なところで通信傍受はしないようなというところでありますが、制度を設計されている法務省にお伺いもいたしますが、こちらについては、まず補充性という要件が一般的に課されております。これは従来もある要件ですけど、他の方法では著しく困難な場合でのみこのような手法が許されるというところですが、どのように認定をされるものであるのか、答弁いただければと思います。

○政府参考人(林眞琴君)

現行では、この補充性というものは、他の方法によっては、犯人を特定し、又は犯行の状況若しくは内容を明らかにすることが著しく困難であると、こういった場合に限り傍受をすることができるとされておるものでございます。
〔委員長退席、理事西田昌司君着席〕
この場合の他の方法によってはという部分でございますけれども、これは、犯人を特定したり犯行の状況若しくは内容を明らかにすることが著しく困難という場合に、その傍受令状請求の時点までにこの事案に応じて可能な限り取調べあるいは捜索、差押え、各種の照会、こういった捜査手段を尽くしてその捜査を行ってきたけれども、なおこの犯人を特定し、又は犯行の状況若しくは内容を明らかにするに至っていないと、そして、今後も通信傍受以外の手段によってはこういった犯人を特定したりすることができない、またあるいはそれが著しく困難であると、こういった場合をいうことになります。
この要件を満たすかについてどのように判断するかにつきましては、やはりそれまでにどのような捜査手法で具体的にどのような証拠が収集されどのような事実までが明らかになっているか、こういったことを踏まえまして、さらに、欠けている、それまで明らかになっていない部分というものを考えまして、それらを裁判所に対して具体的な事情に即して疎明資料で疎明をすることによって初めてこの補充性が満たされるかどうかが認定されるということになります。

○矢倉克夫君

今、どのように認定をするか、これまでどういうような証拠で認定をされたかとか、そういう情報の蓄積とか、そういう部分を前提にした上で、やはり内部でもしっかりこれは指導を徹底しなければいけない話であると思います。その辺りは今日は質問するわけではありませんが、別途、引き続きしっかりと体制を組んでいただきたいというふうに思います。
もう一つ要件として今回新たに加えられたのが、これは組織性の要件であります。これについては、あらかじめ定められた役割の分担に従って行動する人の結合体でなければいけないという要件にこれはなっている。これは法務省にまたお伺いしますが、なぜこれが必要であるのか、この認定はいかに図るのかを答弁いただければと思います。

○政府参考人(林眞琴君)

まず、この組織性の要件を改めて付け加えた部分につきましては、これはやはり通信傍受というものにつきまして、これが組織犯罪における対応をすると、そういった法の趣旨を全うするためにこのようなものを付け加えているわけでございます。
〔理事西田昌司君退席、委員長着席〕
その上で、当該罪に当たる行為があらかじめ定められた役割の分担に従って行動する人の結合体により行われるものということの意義でございますけれども、まず一つには、その対象犯罪が人の結合体、すなわち二人以上の者が結合して形成された集団により行われるものであること、そして次に、人の結合体を構成する者が、犯罪の実行に限らず、その準備や証拠隠滅等の事後措置も含めまして犯罪の遂行に向けて必要となる役割を分担し、またそれに従って行動すること、さらには、その役割分担があらかじめ定められたものであること、こういった三つの要件が必要となるものと考えております。

○矢倉克夫君

今のに関連してもう一つだけ林局長にお伺いしますが、例えば、今回、暴力団、テロ、そちらについての組織犯罪も入ったわけですけど、特に最近のテロ組織とかは、昔アルカイダなどは中央の指令があってそこから組織的に指令をするという、そういう縦の組織というのがしっかりしていたわけなんですけど、この前のベルギーの件なども、よく巷間言われているところでは、テロが起きたわけですけど、やはり現地ですよね。最近のテロ組織というのも思想を媒体にした緩やかな連合体みたいな形になっていて、やはりもう、ホームグローンと言われているんですけど、現地でその思想の感化された組織が動かしたと。後で犯行声明があったわけですけど、後付けのような犯行声明だったというふうに言われている。要するに、中央からの指揮命令系統というのがしっかりしていない中での連合体のようなものがあるわけですけど、そういうようなものが今の組織体という要件の中ではどのように評価をされるのか、これ一般論で結構ですけど、御答弁をいただければと思います。

○政府参考人(林眞琴君)

先ほど申し上げました組織性の要件の中で、まず一つ、通常、組織の場合の上下における指揮関係、指揮監督関係があるかどうか、こういったことについては今回のこの組織性の要件の中には含まれておりません。したがいまして、上下での指揮監督関係がなくても、先ほど申し上げた三つの要件の組織性の要件を満たせばこの要件に該当するということでございます。
また、組織ということで、継続的な結合体であることまでは要しておりません。したがいまして、例えば構成員の一部の変更が集団の同一性に影響を及ぼさないという意味での継続性までは不要と考えております。そういった意味におきまして、臨時的に形成される結合体ということでも、この今回の組織性の要件は満たすということになります。

○矢倉克夫君

現実の部分もそうですし、あと、今言ったような形の解釈であると思います。他方で、広がり過ぎないような形で、これは傍受令状に対しての疎明の在り方とか、そういう部分でしっかり指導をしていくというところであると思いますので、是非よろしくお願いいたします。テロの問題に対処するという意味合いでの必要性はあるというふうに私も理解もしております。
じゃ、次に、質問に移りたいと思います。これもまた法務省の方にお伺いもしたいと思うんですが、通信傍受手続の合理化についてになります。
冒頭申し上げましたとおり、全体の中で人権保障と真実発見というのをこれは確保する上での位置付けとして、通信傍受というのはこれ非常に必要であると思います。時代の状況に応じて必要性の部分があるので、当然濫用を避けなければ、やらなければいけない話なんですが、今まで通信傍受が、じゃ、どれくらい行われていたかというと、これ平成二十五年では実施事件は十二件という、諸外国に比べればやはり少なかったということがあります。
これはどういう背景かといえば、法制度上できなかったというよりは、法制でできた部分もあるけど、実際、現実なかなかできなかったというところがある。それは、なかなか立会人の方の負担であるとか、やはりそういうようなものもあったのではないかと、事実上の制約というところでありますね。そういう、現行が、今行っている通信傍受手続から生じた事実上の制約というものをどのように今回捉えられて、改正法によってどういうふうに対応されているのか、説明をいただければと思います。

○政府参考人(林眞琴君)

御指摘の現行法の運用上の問題点等につきましては、まず一つとしましては、現行法では通信傍受を実施する間は例外なく通信事業者が常時立ち会うということが必要とされておりまして、傍受の実施場所や立会人をする職員等の確保が一つには通信事業者の大きな負担となっている点がございます。また、傍受の実施場所や立会人の確保等のために、傍受を行う数週間前から捜査機関と通信事業者とで協議をする必要がございます。これが一つには通信傍受を迅速に行うことの上での障害ともなっている実情がございます。さらには、捜査員や立会人は、実際に立ち会いますと、実際に通話が行われるまでの著しく長い時間を多くは待機、電話が掛かってくる間の待機のために費やすと、こういった極めて非効率的な事情が生じているわけでございます。
そこで、今回は通信傍受法施行後の通信暗号技術の発展を踏まえまして、この手続の点で合理化、効率化を図るということを考えたものでございまして、これが実際に、一つには一時的な保存を命じて行う通信傍受という一つの方式でございますし、さらには特定電子計算機を使う場合におきましては、通信事業者の施設ではなくて捜査機関の施設においても、これを一つにはリアルタイムで特定電子計算機を用いて行う通信傍受、あるいは同じく特定電子計算機を用いて一時的保存を行いつつ行う通信傍受、こういった形で、現行も合わせますと四つの手法で行うことができるようにすることにしまして、この手続合理化あるいは効率化を図ることとしているものでございます。

○矢倉克夫君

今四つのというふうにおっしゃいました。一つが現行で、残りは、一つは一時的保存方式、残り二つはいわゆる特定装置を用いるものでありますが、特定装置を用いるリアルタイムの方式と一時的保存方式であると思います。ただ、他方で、現行はリアルに、まさにずっと立会人が常駐をしているということがあった、今回それが外れたというのはやはり一つ大きな変わり方であると思います。
また法務省、局長にお伺いもしたいんですが、この現行方式における適正化担保の手法の最たるものは、これは立会人であります。様々立会人が果たされた役割、これからも果たしていく役割はあると思うんですが、その役割について御説明いただければと思います。

○政府参考人(林眞琴君)

現行の通信傍受法におきまして、この立会人の役割でございますが、具体的に申し上げますと、一つは、傍受のための機器に接続する通信手段がこの傍受令状により許可されたものに間違いがないか、これを確認すること、二つ目には、許可されている期間、傍受令状で許可されている期間というものが実際に守られているのかどうか、三つ目には、該当性判断のための傍受が適正な方法で行われているかどうか、四つ目が、傍受をした通信等について全て録音等の記録がなされているかどうか、こういった四つの事項につきましてチェックするということがまずございます。それから、さらには、傍受の中断又は終了の際に裁判官に提出されることになります傍受をした通信を記録した記録媒体につきまして、改変を防止するために封印を行うこと、これが役割とされております。
以上の役割を果たすことによって、通信傍受の実施についてその適正を確保することとされております。

○矢倉克夫君

今、封印とともに、現場の傍受の適正化を立会人がまさに五感をもって図るというようなお話であったと思います。
とりわけ、いわゆるスポット傍受と言われているものであります。これもまた局長にお伺いもしますが、この前視察に行って現場見させていただいた。捜査官がヘッドホンで聞かれるわけですけど、捜査官が聞かれているところで立会人が近くでこれを見ているわけですけど、やはり現状、距離が離れている中において、本当にスポットで傍受をしているのかというところは果たしてすぐに見えるのかどうかというところは一つ多くの方が思われるところだと思うんですが、このスポット傍受をそういう形で外形的にチェックをしているということですけど、これ実際、本当に何をしているのか分からないというような確認できないような状態で、どのようにその適正化担保の手法を立会人の方が果たされているのか、その辺りについて御説明いただければと思います。

○政府参考人(林眞琴君)

現行の通信傍受法の下で、立会人は外形的にいわゆるスポット傍受、これは具体的にはその機器のスイッチのオン、オフをしているかどうか、こういったことをチェックしているわけでございますけれども、御指摘のとおり、仮に捜査官が傍受機器のスイッチのオン、オフを行っていないことをこの立会人が認識してそのことを指摘することができるという場合があるにしましても、実際に必要最小限で該当性の判断をするという、そのいわゆるスポット傍受が適正に行われているのかどうかということにつきましては、最終的にはこれは通信の内容を踏まえなければ判断できないわけでございます。
したがいまして、現行通信傍受法のやはりこの該当性判断のための傍受の適正というものは、基本的には傍受をした通信はこれは全て傍受の原記録に記録されて、それが裁判所にそのまま提出されて保管される、そのことを通じて事後検証が可能になるということによって初めて担保されているものと考えております。

○矢倉克夫君

まさに、その場ですぐに、例えば傍受の内容がどういうものかとか立会人も聞けるわけではありませんので、すぐになかなか判断できない、最終的には事後チェックだというような部分もあったかと思います。
それも後ほど、その事後チェックの辺りはまた後ほどお伺いもするといたしまして、他方で、また、そのような形での事後チェックの運用というのはしっかりこれ確保しなければいけないんですが、もう一つ、立会人の方がいらっしゃることによる効果というものでよく言われるのは、やはりその場に人がいるということが現場の捜査官に心理上の抑止、事実上の抑止になると。法的にいろいろと事後的にチェックをするという部分での抑止もあるんですが、そこに人がいるということで捜査官の心理にも働きかけて適正な傍受をするという事実上の抑止があるというような話もありますが、これについて、これも含めまして、立会人の今回果たした役割というのはどのように代替されるとお考えであるのか、これ局長にお伺いをしたいと思います。

○政府参考人(林眞琴君)

これまでの立会人の役割というものが、今回、特に特定電子計算機を用いる通信傍受の実施手続においてどのように代替されていくのかということでございますけれども、これにつきましては、まずは一つは、この特定電子計算機を用いる通信傍受の実施手続におきますと、通信事業者が傍受令状により許可された通信手段を用いた通信を、その令状で許可された期間に即して特定電子計算機へ伝送するということとされております。これによりまして、先ほど申し上げました立会人の役割のうち、傍受のための機器に接続する通信手段が傍受令状により許可されたものに間違いないかどうか、あるいは許可された期間が守られているかどうか、こういった点の適正はこれによって担保されると考えております。
また、現行通信傍受法におきまして、立会人が傍受をした通信等について全て録音等の記録がなされているかをチェックして裁判官に提出する記録媒体の封印を行うという、この役割につきましては、特定電子計算機で、法律で定めた仕様によりまして、傍受をした通信の全てとその傍受の経過を含めて、これが自動的に、かつ改変できないように暗号化されて記録される、こういったことによって担保されると考えております。
さらに、先ほど申し上げました、立会人は外形的な形で、実際にスポット傍受のための機器のスイッチのオン、オフを行っているかどうかということを外形的にチェックしているわけでございますが、この点につきましては、この特定電子計算機を用いる通信傍受の実施の手続におきまして、その該当性判断のために傍受したものも含めて、傍受をした通信が全て改変できない形で自動的に記録媒体に記録されて裁判官に提出される、それによって事後的に検証され得るということが確保されますので、立会人がいる場合と同様にその傍受の実施の適正が確保されるものと考えておりまして、こういった形で、立会人がいなくても通信傍受の適正を担保できる手当ては、この現行通信傍受法との比較におきまして手当てはなされていると考えております。

○矢倉克夫君

原記録のチェック、事後的チェックということですが、またこれ局長にお伺いしますけど、それを手続的に機会としてどのように確保されているのか、それも御答弁いただければと思います。

○政府参考人(林眞琴君)

裁判官が保管する原記録の事後的な検証でございますが、幾つかの場面がございます。
まず一つは、職権による審査という場合がございます。通信傍受法におきましては、他の犯罪の実行を内容とする通信の傍受が行われた場合、傍受の実施状況を記載した書面の提出を受けた裁判官は、職権で当該書面に記載された通信が現行通信傍受法の十四条に規定する通信に該当するかどうかの審査を行うこととしております。その際には、提出されております傍受の原記録などが用いられるということになります。
続きまして、通信当事者等による審査の場合がございます。これは、傍受をされた通信の当事者は、裁判官に提出された傍受の原記録を聴取、閲覧し、あるいは複製を作成して、この原記録から捜査官が不適正な傍受を行っていないかどうかをチェックすることができるわけでございます。
さらには、不服申立てに基づく審査がございます。検察官若しくは検察事務官又は司法警察職員がした通信の傍受に関する処分に不服がある場合、その者は裁判所にその処分の取消し又は変更を請求することができまして、その際、当該裁判所におきましては、提出された傍受の原記録を用いるなどして通信の傍受の適正か否かを審査することとなります。
さらには、公判手続を通じた審査がございます。これは、検察官が傍受記録の内容を公判手続において証拠として用いようとする際には、その事件の被告人やその弁護人は傍受記録の正確性の確認などのために傍受の原記録の聴取等をすることができ、その際、不適正な傍受が行われていなかったかどうかがチェックされ得ることとなります。そして、公判手続におきましては、傍受の過程に重大な違法があった場合には、違法収集証拠と判断されて傍受記録を証拠とすることができないこととなり得るわけでございます。
こういったことで、現行通信傍受法におきましては、各場面におきまして傍受が適正に行われたか否かを提供されている傍受の原記録を用いるなどして事後的に審査する手続を整備しているところでございます。

○矢倉克夫君

最終的には証拠の扱いとしてもチェックがあるということでありますが、一つ挙げていただいた不服申立ての件数です。これ最高裁にお伺いしたいと思うんですけれども、件数といいますか、不服申立てについてどのような件数があるのか、お答えいただければと思います。

○最高裁判所長官代理者(平木正洋君)

お答え申し上げます。
平成二十四年一月一日から平成二十八年三月十五日までの期間における通信傍受法二十六条に基づく不服申立ての件数を調査しましたところ、平成二十四年がゼロ件、平成二十五年が二百五十六件、平成二十六年が三件、平成二十七年及び平成二十八年がいずれもゼロ件となっております。

○矢倉克夫君

今、ゼロであったり二百五十六であったりかなり変動が、二百五十六件ですね、ゼロであったり、かなり変動があるというところであります。
いろんな要因があると思うんですが、今回、これも踏まえた上で衆議院の方でも修正があったかと思いますが、特に通信傍受に関しての当事者に通知すべき事項を加えたということであります。この趣旨をまた法務省の方から御説明いただきたいと思います。

○政府参考人(林眞琴君)

現行通信傍受法及び今回の最初の政府案におきましては、この通信の当事者に対する通知の際に、傍受記録の閲覧、聴取等をすることができる旨を通知することとはしておりません。これに対しまして、今般の修正におきまして、通信当事者に対する通知を行う際には、傍受記録の聴取、閲覧等ができること、傍受の原記録の聴取、閲覧等もできること、また不服申立てができること、こういったことを併せて通知することとしたものと理解しております。
この修正は、傍受の実施の適正を一層確保するという観点からのものであると理解しておりまして、捜査機関としては、当然のことながらこの規定に従いまして通信当事者に対する通知を適切に行うことになるものと承知しております。

○矢倉克夫君

事後チェックがやはり必要である、そのための手続、担保のための手続であるというふうに、妥当な修正であるというふうに思います。
今回、特に通信傍受の手続の合理化でこれ一番変わるのは、従来であれば通信事業者の施設のみだったのが、これ捜査機関の方の施設でも行えるというところが変わりであると思います。四六時中、捜査員がほかの人がいない中で作業をするというところです。
これを受けて、警察庁にお伺いしたいんですけれども、警察庁としても、通信傍受の開始前、実施期間中、そして終了の各段階における必要に応じた必要な指導を行うということを各種答弁でおっしゃっているんですけれども、それ具体的にまた改めて御説明いただきたいと思います。

○政府参考人(三浦正充君)

まず、前提として申し上げておきたいと思いますのは、警察施設で通信傍受を行う場合でありましても、全ての傍受結果を機械的かつ確実に暗号化処理をして記録するなどの特定電子計算機の有する機能によりまして現行法で立会人が果たす役割は漏れなく代替をされることから、傍受の適正性は確実に担保をされるというふうに考えております。
もっとも、新たな方式による通信傍受におきましては技術的に高度な機器を使用することなどから、その適正かつ効果的な実施を担保するため、専門的知見を有する職員が必要な指導を行う体制を整えるということを検討をしております。体制や指導方法を含む具体的な運用の在り方につきましては今後検討をしてまいりたいと考えておりますけれども、例えば、警察本部の適正捜査の指導を担当する警察官等で通信傍受を実施する事件の捜査に従事していない者、その事件を直接担当していない者に、必要に応じて、傍受の実施の現場等において法令、手続面の指導や機器の設定、接続等技術面の指導を行わせることなどを想定をしているところでございます。

○矢倉克夫君

内部での監視監督体制徹底という部分もそうですし、また、いろんな第三者からもしっかりとチェックを受けるような体制というのもやはりちゃんと取っていただきたいと思います。
その上で、次、特定電子計算機と言われているものに関連してちょっと御質問をしたいと思うんですが、先ほど通信傍受の手続の合理化で四種挙げていただいたうち、一つは現行、もう一つは一時的保存方式ですが、もう一つはその特定電子計算機、これ二つあります、それを利用したものであると。特徴としては、通信事業者の施設で傍受をされたものをこれ暗号化して、それを捜査機関の方に送るという形になります。
通信データをこれ送信して捜査機関の施設で傍受できるわけですけれども、これは警察庁の方にお伺いをいたしますが、送信時に通信が漏れないようにするにはこれはどのように工夫されているのか、工夫される予定であるのか、御答弁いただければと思います。

○政府参考人(三浦正充君)

警察におきましては、個人情報を始め多くの機密情報を保有をしておりますけれども、それらを取り扱う業務に用いるネットワークはそもそもインターネットとは接続をしておりません。したがいまして、近時大きな問題となっている標的型メール等のセキュリティーリスクとは遮断をされております。
新たな方式による通信傍受では、いわゆる閉域網というものを用いまして、ネットワークのインターネットからの分離等、これらの措置を講じることに加えまして、送受信される通信傍受に係る情報それ自体にも強固な暗号化を行うこととなっておりまして、セキュリティーについては万全を期しているところでございます。
なお、こういった方式につきましては、その安全性について、先日御視察をいただきましたように、IT技術を専門とする民間コンサルティング会社であるデロイトトーマツコンサルティング合同会社に調査研究を委託して確認を求めましたところ、情報漏えい対策の観点についても技術的に実現可能であり、これによる対策を漏れなく取ることによって通信傍受の適正性の担保が可能と結論付けられたものと承知をいたしております。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
法務省にまたお伺いしたいと思うんですけれども、やはり現場でいろいろと改ざんされるおそれもある部分はある、人がやることでありますので。それをどう制度的に担保するかというところですが、今回それを特定電子計算機の機能の部分でいろいろ担保されているという制度設計であると思います。法務省として、改ざんの危険性に対して今回の機能がどのように適正化を図るとお考えであるのか、御答弁いただければと思います。

○政府参考人(林眞琴君)

先ほど来申し上げましたように、傍受の適正を最終的に担保するものが、この原記録がそのまま、傍受した内容が全て原記録に記録されて、それが裁判官に提出される、そして保管されると、これが非常に最終的な担保でございますので、その間での原記録の改ざん防止というのは非常に重要な点でございます。
この点につきましては、現行法では立会人が封印をするというような形でこれを担保しているわけでございますが、それに代わるものといたしまして、今回法律案の中に特定電子計算機が備えるべき機能というものを法律で定めることとした上で、これによりまして、傍受した通信の内容と傍受の経過、こういったものを併せて記録媒体に自動的に記録する、そしてそれが即時に裁判所の職員が作成する暗号によって暗号化されて、その後、捜査機関がその改変を不可能とする機能、こういったものを法律に定めまして、こういった法律の定める機能を持つ特定電子計算機によって傍受を実施することによりまして改ざん、改変というものを防止するということとしておるところでございます。

○矢倉克夫君

警察庁にお伺いしますが、先ほど三宅理事の質問の中で、事後チェックがやはり大事である、であれば直接に裁判所の方に原記録をというような質問であったと理解もしておりますが、それに対して法務省の方からの答弁が、やはり今とかぶる部分は、自動的に暗号化しているから大丈夫であると、要するに機械が改ざんを許さないような形で設計されているから必要はないというような答弁であったと思います。
他方で、今回もう傍受が捜査機関の施設の中で行われている以上、理論的には、信頼性がある機械であってもそれを改造する可能性も当然ある、幾ら技術的、機能的に適正化を担保しても、その機械自体が改造されて機能を無力化するようなことが仮にあったとしたら問題であると思うんですけれども、それに対しては警察はどのようにお考えでしょうか。

○政府参考人(三浦正充君)

特定電子計算機の機能は通信傍受法改正法の第二十三条第二項に列挙されているわけでありまして、これは法定の要件ということでございます。
したがいまして、実際に通信傍受に使用する特定電子計算機にはそれ自体にも強固なプログラムの改変防止措置が講じられるわけではございますが、このほか、裁判所も関与する暗号システムなどとも連動をするものでございまして、したがって、警察において装置の改変やすり替えを行うといった余地はないというように考えております。また、よしんばそうしたことが行われたとしても、通信事業者との正常な暗号の送受信等ができなくなるわけでありまして、通信の傍受自体を行うことができない仕組みとなっております。
そうしたことで、そうした改ざん、機械の改変ということは物理的にも行われ得ないものというように考えております。

○矢倉克夫君

また警察にお伺いしますけれども、実際の機械が正常な機械であるかどうかというところ、これを裁判所が判断するには、警察としては裁判所の判断の前提としてどのようなことをされるのでしょうか。

○政府参考人(三浦正充君)

警察庁としましては、信頼できるメーカーにその機器の製造を発注をするとともに、仕様書どおりに当該機器が製造され、必要なセキュリティーシステムも導入をされていることなどについてメーカーから証明書を発行してもらうことを検討をしております。
通信傍受を実施する場合には、捜査機関は裁判所に対し、通信傍受に使用する特定電子計算機等の技術的な事項を含め、裁判官が新たな傍受の方法を許可するのが相当であると判断するに足りる資料を提供することが求められているところ、メーカーから発行された証明書などを用いてこれを説明することを想定をしております。
機器の適正性について、説明を受けた裁判官におきまして、当該機器の信用性、適正性について御判断をいただくこととなると考えております。

○矢倉克夫君

ちょっと最後の質問になりますけれども、通信事業者の負担についてであります。
法務省にお伺いしますけれども、今回、対象事件が拡大することによって負担も当然増える一方で、常時立会いの必要がなくなるわけであります。その部分では負担は減少するわけですけど、総じて事業者の負担というのをどのようにお考えになっていらっしゃるか、答弁いただければ。

○政府参考人(林眞琴君)

まず、今回の新方式の導入によりましては、特定電子計算機を用いる場合におきまして、現行法で必要とされている常時立会いというものが不要になりますので、その立会人となる職員の負担、あるいは立ち会わせる職員を確保する通信事業者の負担、あるいは傍受の実施場所を提供する通信事業者等の負担というものがなくなるものと考えております。
また、一時的保存というものを命じて行う通信傍受の実施手続におきましては、立会いの時間というものが、その待機時間が省かれますので大幅に短縮されることになりまして、こういった面での人員面等での負担は大きく軽減されるものと思います。
他方で、一方で、あわせて、対象事件が拡大するということに伴う負担がどのように増加するかということにつきましては、やはりこの点につきましては、対象事件の発生件数については様々な事情に左右されますので、それについて一概に確たることを申し上げることは困難であると承知しております。

○矢倉克夫君

最後、警察庁に。
今、制度としての事業者に対しての負担をどう考えるかというところありましたが、例えば具体的には、今回、特定装置を用いた方式もある、そうすると送信装置などいろんな設備的な投資の部分も出てくるわけですけど、このような設備負担について警察庁としては事業者負担をどのようにお考えか、最後、答弁いただいて、質問を終わりたいと思います。

○政府参考人(三浦正充君)

特定電子計算機を用いる通信傍受を実施するためには、裁判所が用いる鍵の作成装置でありますとか捜査機関が用いる特定電子計算機のほか、通信事業者が通信の暗号化や伝送に用いる機器や伝送のための回線等のシステム整備が必要になります。
これらの整備すべきシステムの中には、これはもとより国で負担、整備をすべきものもございますし、また通信事業者に一定程度の負担をお願いせざるを得ないものもあると考えておりますけれども、通信事業者にお願いをする場合には、その負担が過度なものとならないように配慮をいたしまして、事業者との十分な協議、調整を行ってまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君

終わります。