特定秘密保護法について(下)

2013-12-10

「特定秘密保護法は、戦前の『治安維持法』のように特定の思想信条を持っている人を逮捕するための道具になるのではないか」との懸念の声をいただきました。

これについて断言いたします。そんなことはありません。
今の憲法では、戦前と違い、「思想・良心の自由」が保障されています。
治安維持法のような法律は違憲であり、無効です。

「特定秘密保護法」という名前が混乱を生じている原因かもしれません。
まるで秘密国家を目指しているかのような名前ですが、この法律の内容を正確に表すのなら、「特定秘密保護法」ではなく、「機密情報漏洩防止法」ではないでしょうか。
かつて、「後期高齢者」という言葉をつくり、全国的に批判をあびたセンスの無さが、ここでも発揮されてしまったように思いますが、この法律は治安維持法とは全く性質の異なるものです。

もっとも、こういった懸念が生じてしまう、より重要な理由は、「何でもかんでも秘密にしてしまうのではないか」という多くの方が感じている不安だと思います。
たとえば原発の情報などは、今回の「秘密」の対象ではないのですが、「原発情報も特定秘密にあたってしまい、それを取得しようとしたら即逮捕となってしまうのではないか」との懸念の声も聞いております。
この不安は非常に重要なことです。

これについて、安倍総理の国会答弁が一つ参考になります。
安倍総理がいうのは、前回のメルマガでも言及した42万件にも及ぶ「特別管理秘密」ですが、その9割ぐらいは人工衛星からの情報で、残りの大半は暗号だということです。
今回の「特定秘密」は、その「特別管理秘密」よりも更に狭い範囲となります。

もっとも、「本当にそうか」という不安はまだあると思います。
権力は常に濫用のおそれがあるものです。
そこで、公明党の主張をいれ、「特定秘密」の指定のための公開ルールを定めることが義務づけられました。
ルールにきちんと従って指定がなされていたかを定期的にチェックし、最終的にその結果は、公表することとなりました。

さらに、30年間に及び特定秘密指定された秘密は、原則公開されます。
秘密指定が30年間未満の情報の公開もルールを決めるとの政府答弁がありました。
これにより、秘密は原則、歴史の検証をうけます。
これまで、自衛隊の情報などは、一定期間が過ぎれば廃棄されたようです。
報道によれば、数年間で3万件以上の情報が廃棄されてきたと言います。
しかし今後、こういうことが無くなります。これも今回の法律によって前進した点です。

その他、新聞報道にあるとおり、秘密指定の適正をチェックする独立機関の設立など、多くの仕組みを取り入れることとなりました。
報道機関等が特定秘密を取得することも「スパイ目的」でない限り処罰されないことも明記されました。
何のチェックもないまま、役所の判断で秘密管理していたころから比べると格段の違いです。

理想を言えば、秘密などなく全ての情報を公開する。また、仮に秘密をつくっても、何が秘密かは全部国民が判断できるようにすれば、この上ないことでしょう。
ただ、それは到底、無理な話です。
情報が外にもれないようにしなければいけないのに、その秘密をみんなで決めることなど出来ないのです。
みんながみんな信頼できる人であればいいのですが、そのなかで一人でも信頼できない人がいれば、そこからインターネットなどを利用して、あちらこちらに情報が広がってしまいます。
また残念ながら、実務を担っている各行政機関にしか、何を秘密にすべきか判断する能力がないことも事実です。

ですから、秘密の指定は行政がするしかないのです。
そのうえで、二重三重にチェックする仕組みを不断につくっていくことが国会に課せられた役割であると思います。

公明党の強い主張で、相当程度、この法律はチェック機能を果たせるものとなりました。
今後は、公文書管理法や情報公開法、国会法などあらゆる関連の法律を総点検し、よりよい情報公開のあり方をつくる必要があります。
ですから、繰り返しますが、この法律はあくまでも出発点なのです。

「公明党は、憲法9条改正まで賛成するのではないか」とおっしゃる声もあります。
しかし、平和主義を掲げた憲法9条の1項、2項を守ることは公明党の党是です。
憲法9条の1項、2項を削除するような動きは許しません。そこははっきりと申し上げたいと思います。

その他の国会報告は改めていたします。
年末に向けて、予算編成と税制議論が続きます。さらに頑張ってまいります!!

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