185回 国家安全保障に関する特別委員会(情報秘匿の必要性と知る権利のバランス等)

2013-11-28

○矢倉克夫君

公明党の矢倉克夫でございます。大臣、連日お疲れさまでございます。
まず最初に、早速質問に入らせていただきます。昨日もお尋ねをしたんですが、法案の必要性についてです。
私、昨日も夜、二百人ぐらいの会合を二つ出ましていろんな国政のお話を聞いたんですが、やはり質問の集中はこの法案についてでございました。多くの方は、大半の御質問は、知る権利どうやって保護するのかという許容性の問題よりは、むしろ何で必要なのかというところ、そこをもうちょっと具体的に知りたいというような質問が非常に多かったです。
総理からも御答弁いただいたとおり、情報共有、各国からの情報提供の前提としてこういう秘密保全制度、非常に重要である、そのようなこともお伝えもしました、私も聞いたというふうに。私自身も、テロの危険の増幅、アメリカにいるときも自分の体験として感じたこともございますし、そういう辺りも含めてお話ししたんですが、やっぱりもう少し具体的な事実に即して、こういう事態が過去に生じた、ある事態が生じたときに外国から情報の提供がなされなかったという具体的な事実がもしあれば、今回のこの法律の経緯に至った具体的な事実みたいなものも絡めて、今回の法案の必要性について御答弁いただければと思います。

○政府参考人(鈴木良之君)

お答えします。
外国との情報共有につきましては、情報が各国において保全されることを前提に行われているところでございまして、本法案により情報を適切に保護する体制を整備することで、我が国の情報保全体制に対する各国からの信頼を確立し、より幅広く質の高い情報の取得が可能になるものと考えております。
例えば、日米両政府間におきましては、情報保全に対する共通の信頼を増進することを目的として二〇一〇年三月に情報保全についての日米協議を設置し、政府横断的なセキュリティークリアランスの導入やカウンターインテリジェンスに関する措置の向上を含む情報保全の更なる改善に向けた方策について意見交換を実施しているところでございます。
こうした中、平成二十三年六月の2プラス2共同声明におきまして、情報保全のための法的枠組みの強化に関する日本政府の努力を歓迎し、そのような努力が情報共有の向上につながることを期待した旨言及され、本年十月の同委員会共同発表におきましても、情報保全の法的枠組みの構築における日本の真剣な取組を歓迎する旨言及されているところでございます。
さらに、例えば本法案が施行されることになれば、万が一、在アルジェリア邦人に対するテロ事件のような事件が将来発生した場合に、外国の関係機関等から我が国に対し秘匿度の高い情報がより適切な形でより迅速に提供されることが期待されます。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
引き続き、やはり具体的にどういう事実があったか等も含めて説明をまた誠実にしていただければと思っております。
必要性の部分はまたより一層引き続き具体的に詰めていきたいと思いますが、法案、今後いろいろ審査していく上でやはり大事な部分は、昨日も申し上げましたけれども、情報秘匿の必要性と知る権利のバランス、特に国民の皆様が本当に御懸念なのは、知る権利が侵害されているのか、必要以上に知る権利が侵害されているのではないかという点、それがなされないような仕組みをしっかりつくるということがバランスを図るということであると思っております。
私も、当初の政府原案、まだ国会開会前に見せていただいたとき、非常にびっくりしたのは、秘密指定、行政の機関の長がすると、それに対しての基準すら全くなかったわけですが、公明党の主張も入れまして、今十八条になっています有識者に基づいた基準というものも仕組まれました。今回の修正過程も含めて、この基準はまた内閣の策定に基づいて、また総理が改善命令も出すと。最終的には、この基準に基づいた運用の状況も国会に報告もし、公開もする、そういう形で、適正な手続に基づいて秘密指定がなされているのか、一定程度の担保はなされている部分はあるかと思っております。
その上で、更に今後この基準をどうしていくのかという点は非常に重要な部分であるなと。特に、法案を作った中で、今後また更に内閣で検討をして基準を具体化していく上でですが、一番最初にどういう基準を作るのかというのは非常に重要であると思っております。
特に、この部分について基準の中でしっかりと検討していくことが行政の秘密指定の恣意性を排除する上では重要である。どういう項目が必要か、御答弁をいただければと思います。

○政府参考人(鈴木良之君)

お答えします。
本案に基づきます運用基準につきましては、有識者の御意見をいただきまして策定する予定となっておりますが、その中におきましては、特定秘密の指定、解除及び適性評価につきまして定めることとなりますが、具体的な特定秘密の情報ごとに応じました指定の期間や取扱いの方法等について、情報に応じた適切な基準を設けたいと考えております。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
指定は、特にいろいろ主観的な事情も定義の中に特定秘密として含まれていますので、そういう辺りも今後一層入れていかなければいけないとは思っております。その後、今後しっかりと基準も含めていくべきであると私は改めて思っております。
それで、その次に、行政の恣意性排除の上で、やはり最終的には、大臣ちょっと今いらっしゃらないのであれなんですけど……(発言する者あり)昨日、最終的に行政の恣意性排除の上では、やはり指定を得た上で、指定した情報が公開をされて歴史の検証を受けるという点は非常に重要であると思っております。その上では、最終的には指定された情報も公開されるという、その部分は、確実にまた履行される部分は必要であると思っております。
今回の修正案で四条の六項、先ほど来からも一部御説明ありましたが、指定三十年を超えて内閣の承認が得られずに延長できなかった行政文書、これも公文書管理法上の歴史的文書という形の扱いをした上で公文書館等に移すと。これは、最終的には歴史的文書、全て当然公開はされるわけですけど、三十年秘密指定されたということで、当然のように同じような扱いをして公文書として公開されるというような部分は担保された情報であるし、意義はある部分であると思います。
ただ、やはりその三十年を超える以前の段階、秘密指定をして、その後、延長を五年ごとにしていくわけですが、その三十年を超えるまでの段階で、延長自体はしないでいるという事態もあり得ます。そのときに、じゃ仮に廃棄をされてしまった場合、一旦指定をされて見えないところに行った、そのまんま廃棄をして、まさに物として消えてしまうというような、そういうような事態も可能性としては存在する場合もあると思います。
改めて、答弁の部分も含めてちょっとまた御確認を、これ公文書管理法上の今後のまた検討の部分に入ると思いますので、御検討をいただければと思います。

○副大臣(岡田広君)

お答えいたします。
三十年未満で特定秘密の指定が解除され、文書の保存期間が満了したものについては、ほかの行政文書と同様に歴史公文書等については国立公文書館等に移管されることとなり、それ以外の文書については、廃棄する際に内閣総理大臣に協議し、その同意を得ることになるものと考えておりますが、先日の衆議院の委員会におきまして、特定秘密の指定期間が三十年未満の文書であっても、長期間特定秘密として指定されるものについては、その歴史資料としての価値を踏まえ、国立公文書館等への移管が適切に行われるよう、ルール作りも含めて検討してまいりたいということで考えております。

○矢倉克夫君

引き続き検討を、やはり制度を更に、この今回の保全法とはまた別に、いろんな諸制度もしっかりと検討し続けていって全体的な情報公開の在り方というのも考えていく、セットとして考えることが非常に重要であると思っております。御検討をいただければと思います。
次、昨日も、質問の一つで国会の関係も質問させていただきました。特に、本案で十条、国政調査権との関係で、国会が情報提供要請をした際の関係も含めて質問させていただきまして、大臣、御答弁の中では、この法案によって国会に対する情報提供が妨げられるのではないかというような質問の趣旨に対しては、これまで、国会法に基づいて文書の提出が国家の重大な利益に悪影響を及ぼす旨の内閣声明、それによって提出が拒まれていたものも、秘密会等の手続を経ることで公開される部分もあるというような御答弁もいただきました。
ちょっと趣旨もまた含めて確認したいんですけど、御回答の前提には、今までの国会法で国家の重大な利益に悪影響を及ぼす旨というふうに認定をされる情報範囲よりは、今回の特定秘密の範囲というのは当然狭いというような御前提があると思うんですが、この認識でよろしいでしょうか。

○国務大臣(森まさこ君)

はい、そのとおりでございまして、国会法百四条の場合よりも狭くなりますので、この声明を出すことなく国会の求めに応じ秘密会に特定秘密を提供することになるということです。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
その限られた情報の中で、ただ、やはりどうしても違和感、違和感というか、違和感というとちょっと間違いではあるんですが、十条の中でやはり更に説明が必要な部分だなと思う部分は、今おっしゃったとおり、最終的には、国会法で提供されないようなものも、この十条の手続を経れば開示をされる余地はあるという部分はあると思います。
ただ、要件上は、やはり行政機関の長が我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたときに初めてそうなる部分はある。開示が理論的にはできるんですけど、最終的に行政機関の長による裁量が入り込むという部分で、実質上、一歩を、国会に開示される内容が、可能性が広がったという可能性があったとしても、それが打ち消されているんじゃないかという懸念も生じますが、この我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認められるとき、具体的にはどういう場合を想定されていらっしゃいますでしょうか。

○国務大臣(森まさこ君)

原則としては、国会から求めがあれば、国会における保護措置は当然国会の中で講ぜられることになっていると思いますので、国会から求めがあれば秘密会に提供をすることになります。今回の修正案ではそのように提供をするものとするというふうにもなって、その趣旨が明確化されました。
そして、お尋ねの我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたときという意味でございますけれども、この著しい支障を及ぼすおそれがあるときとはどういうときがあるかと逆から申し上げますと、サードパーティールール、例えばサードパーティールールと申しまして、外国から情報をいただいた、それを特定秘密にしているというときに、外国が提供するときに、これはその他の者には出さないでくださいというような条件を付ける場合がございます。その場合で、国会に対してもそれが出せない場合というものが当てはまると思いますけれども、それ以外の場合は、通常、国会から求めがあれば、これは国会の保護措置が講じられていると思いますので、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないというふうに認定をされるというふうに思います。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
御趣旨、これは解釈としては非常に、更にこれからはっきりと明確になっていけばより良いとは思いますが、先ほどの、国会法で拒否される情報の範囲よりも特定秘密がまず狭いというこの前提、これは行政の恣意性をいかにまた排除していくのかという要件も非常に絡んでくると思います。これが確定した上で、この我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないという部分がしっかりと裁量の余地がないほど限定されるのであれば国会に提供される余地も出てくるかと思います。これ、運用いかんによっては国会の情報のコントロールというのもしっかり強化する役割も持ってくる部分はあると思いますので、しっかり今後も明確な運用ができるような議論が必要であると思っております。
時間ではございますが、秘密保全法、非常に世の中も関心もあるところであり、今後はこの法律の部分も含めて、また公文書管理法も、国会法も、様々な法律としっかり一体となって議論をしていくことは必要であると思います。
より良い情報の在り方について私も検討していきたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
どうもありがとうございます。

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