【矢倉かつお】法務委員会(災害対応における法曹養成・法テラスの活用等)_20191112

2019-11-12 矢倉かつおチャンネル

200回 法務委員会

2019-11-12 国会質問議事録

○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いします。
新たに御就任された森大臣、おめでとうございます。弁護士としての御知見、またこれまでの大臣も務められた経験、そして法務に対する熱意、全てにおいて御期待を申し上げております。引き続きよろしくお願いいたします。
私からも、災害からまず御質問させていただきます。
台風十九号から一か月が経過をいたしました。地元埼玉も連日回らせていただいて、いかにお声に寄り添って、そしてお助けをするか、支えるかということが、まず全力で傾けるところであるというふうに思います。
まず、大臣に決意をお伺いしたいんですが、前任の大臣、法務省の総力を結集してという形でおっしゃっておりました。森大臣には、この総力を結集すると同等若しくはそれ以上の決意を持って災害対応当たっていただきたいと思いますが、御決意をいただければと思います。

○国務大臣(森まさこ君)
台風十五号、十九号でお亡くなりになられた皆様に御冥福をお祈りするとともに、被災された皆様にお悔やみを申し上げたいと思います。
総理から辞令を二枚いただきまして、一枚が法務大臣を任ずる、もう一枚が復興、そして災害対応は全閣僚で取り組むものとするというものでございました。
今般の台風十五号及び十九号を始めとした一連の暴風雨により、私の地元である福島県など東日本大震災の被災地を含む東北、関東甲信越の広範な地域において甚大な被害が出たわけでございます。しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
今月七日に、私も参加した政府の令和元年台風第十九号非常災害対策本部会議において、被災者の生活となりわいの再建に向けた対策パッケージが取りまとめられました。
ちょうど私が大臣に就任する直前に、自民党の災害対策会議において、またその案に向けた提言が出されたのですが、そちらの方に私も関わっておりましたので、特に、被災した子供の心のケアや通学支援、授業料免除なども内容に盛り込んでいただいたところでございますので、しっかりと取り組んでまいりたいと思いますが、法務省においては、特に、台風十九号による被災を受けて、速やかに法務省災害対策本部を立ち上げて、復旧、生活再建に向けて、地域支援、法的支援を継続して行ってきているところでございます。
発災以来、毎日被災地を回ってきましたので、そういった現場を見てきた経験の上に立って、閣僚全員が復興そして災害対応をするという意識を共有して、また、法務大臣として、そして被災地選出の政治家として、東日本大震災や今般の一連の台風、豪雨災害などの大規模災害からの被災地の復旧復興や被災者の生活支援に引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

○矢倉克夫君
御地元福島で被災者に寄り添われていた経験も踏まえまして、更に御期待を申し上げたいというふうに思います。
再建に欠かせないことは、やはり個々の被災者の方々への法律相談でもあると思います。資料をお配りしております。こちら、静岡の永野さんという弁護士の方が作られた資料であります。被災者の方々が求めているこの支援というものが一覧になっている非常に見やすい部分でもありますが、さらには、この支援策一つ一つがカードになっていて、個々の事情に合わせてどうやってカードを切っていくか、こういうシミュレーションもできるようなものであります。
例えば、六十五歳のお一人住まいの方がいらっしゃるといたしまして、一番上の方の、障害物の除去であったり、応急制度支援など、このカードを切ることもできるわけなんですが、仮に切ってしまうと仮設住宅に入れなくなってしまう。仮設住宅に入ることで、入りながら、そして賃料も発生しない状況の下で、横にあるいろんな支援策を、これを受けながら生活を立て直すとともに、その後、例えば、公費で解体をして、その上で既に住宅において持っていた被災ローンは減免をするとともに、新しく住宅を建てたときには、六十五歳でありますので、リバースモーゲージ貸付けなどもする。こういういろいろな組合せができるのですが、最初のカードの切り方が違うと、そういうのはもうできなくなるという、先を見越したアドバイスをするためには、非常に有益なものであるなというふうに思っております。
これを踏まえまして、大臣にまた改めてお伺いもしたいと思うんですが、私思うんですけど、やはり被災者の方に法律相談する上で一番大事なのは、先の見えない不安というものに対してどうやって寄り添ってゴールを見ながら法律のベストな選択を示していくのかというところであります。これは、ただ知識を知っているというだけでは何もできなくて、個々の方の事情が何であるかということを寄り添って、それにとってベストな選択は何かということをしっかりと真剣に考える、これこそリーガルマインドであるというふうに私は思っております。
こういう意味でも、被災者支援のために弁護士等が生活再建のためのベストな選択肢をアドバイスすることが重要でありまして、そのようなことができる法曹人材を育成することが重要だと考えますが、大臣の御所見をお願いできればと思います。

○国務大臣(森まさこ君)
委員御指摘のとおりでございます。また、このカードも大変有用なものだというふうに思います。
被災者支援のための法制度は多岐にわたっておりますし、また、時間の経過とともに必要な支援が変わってくるという面がございます。そうした法制度に精通した弁護士による適切なアドバイスが極めて重要であると思います。
東日本大震災のときも、弁護士会が法律相談の支援に入ってくれたわけでございますが、福島県内の弁護士、自分たちも被災しておりまして十分な体制が組めないときに応援で他県の弁護士が来てくださったんです。そのときに私も受入れのお手伝いや随行もさせていただいたんですが、その中で委員御指摘の問題意識と同じ問題意識を共有をしております。適切なアドバイスができる資質、能力を備えた法曹人材を育成しなければならないなと思っているところでございます。
その上で、法務省としては、令和元年台風第十九号において、法テラスにおいて被災者の方々に資力の有無にかかわらず弁護士による無料法律相談を提供しているところでございますので、こういったサービスが、より効果的に実施するためにも、また法曹人材の養成ということにも力を入れてまいりたいと思います。

○矢倉克夫君
今ほど大臣から、法曹人材育成の必要性、お話をいただきました。
今日は文部科学省から佐々木さやか文部科学大臣政務官にもお越しいただいておりますが、お伺いをしたいと思いますが、そこを育成する場所はやはり法科大学院というところがあるというふうに思います。災害が今非常に多発している中にあって、この法科大学院において災害法制を教え、学ぶということも非常に重要であると思います。さらに、それがいろいろなケースに応じた、事情に寄り添った法曹を育成するという意味合いでも重要であるというふうに考えております。
この点に関しまして、文部科学省の見解をお伺いしたいと思います。

○大臣政務官(佐々木さやか君)
多様化する社会の法的需要に応えて様々な分野で活躍できる法曹の養成は重要でありまして、法科大学院には、委員御指摘の災害法制を始め、社会の様々な分野に対応できる、特色ある教育活動を展開することが期待されていると考えております。
こうした期待を踏まえ、各法科大学院では先端的な法領域に関する科目の充実が図られておりまして、その中には、例えば慶応義塾大学法科大学院で行われております災害復興法学など、災害復興の実務のニーズに即応できる事例解決能力の修得を目的とする科目を開設している、そういった例もあると承知をしております。
文部科学省といたしましては、各法科大学院が、社会の変化に対応しながら、それぞれの特色を生かして多様な教育を行い、有為な人材を育成、輩出できるよう、さきの通常国会で成立した改正法を踏まえ、めり張りある予算配分や好事例の普及などを通じまして、法科大学院教育の改善、更なる充実に取り組んでまいる決意でございます。

○矢倉克夫君
個々の事情に寄り添ってアドバイスができる法曹の育成という意味も込めて、是非、政務官にはリーダーシップを発揮していただければと思います。
次の質問に移ります。
先ほど大臣からも法テラスのことがお話がありました。まさに法テラスの利用促進、拡大というのは非常に重要であると思います。
他方で、私も被災地のいろいろ弁護士会にも話を聞いたんですが、千葉のように何週間か前にはもう千件以上相談が来ている、法テラスの、というところもあれば、ある県では、被害が大きかったんですけど、二週間ぐらい前の段階では一件しか来ていなかったというところもあります。どうしても、聞けば、なぜ相談しないかというと、うちは裁判所に訴えるようなことはまだないからしないという、法の話。そこにいらっしゃる弁護士は訴訟をする人だというやっぱり固定観念がやはりあって、なかなか行かないというところが実情であります。
例えば、その垣根を取るために、法テラスの方で働いてくださっている弁護士や司法書士の皆様など含めて、災害対応マネジャーであるとか、こういう呼称を付すことも考えられると思いますが、この点、法務省、どのように考えているか、御見解をいただきます。

○政府参考人(金子修君)
法テラスでは、今般の令和元年台風第十九号等の大規模な災害の被災者に対して資力の有無を問わない無料法律相談を提供しておりますが、そこでの主な担い手としては、契約弁護士のみならず、司法書士の方々にも御尽力いただいているところでございます。
委員御指摘のとおり、実際に被災された方々が敷居の高さを感じることなく、ベストの選択肢の提供も含めた支援を適切に利用できるように、可能な対策を検討していくことが重要だと考えております。その際に、委員御指摘のような呼称を設けることも一つの選択肢として考えてまいりたいと思います。

○矢倉克夫君
是非、引き続きよろしくお願いします。
あと、さらに、引き続き法テラスですけど、法テラスというものがあるということが分かっている方も非常に多くなってきているんですが、法テラスという呼称、テラスのイメージもある、あと太陽が照らすという温かなイメージがある、この呼称自体は非常にいいんですが、法テラスと聞いて、ここに法律相談ができる場所だというふうに一般にイメージする方がなかなか少ない、この呼称の在り方も考えなければいけないと思います。例えば、無料法律相談も実施していることが分かるような呼称を付けるというようなことも是非考えていただきたいというふうに思いますし、さらに、先ほど安江委員の質問に対しての法テラス周知、ホームページという話もありました。
このホームページ、今資料もお配りしているんですが、二枚に分けて。災害対応をやっているということの周知に関してなんですけど、例えば一枚目などは十九号に関しての欄もありますが、これは移動しているのですぐにこの欄も消えてしまうものでもあり、また、資力にかかわらず法律相談をする一年間が切れたら消えてしまうかもしれない。常設の、災害対応をしているということの欄をやはり設けた方がいいなと思います。
二枚目のところには東日本大震災等と書いてあるんですが、それ以外の災害についても対応するということも含めて、一枚目にいろいろボタンが置いてあるところの中にでも災害対応という欄を常設で設けることなども考えるべきだと思いますが、この点、法務省の見解をお願いします。

○政府参考人(金子修君)
まず、法テラスの認知度から御説明します。
平成十八年十月に運用を開始した法テラスの認知度は徐々に上昇し、平成三十年度の調査によれば、その名称に関する認知度は約五八%となっております。その名称につきましては、不十分とはいえ徐々に定着しつつあるのではないかと考えているところです。
もっとも、他方で、法テラスの業務に関する認知度は平成三十年度における調査でも約一六・七%にとどまっておりまして、こうした点を踏まえますと、委員御指摘のとおり、法テラスの認知度がいまだ十分とは言えないものと認識しております。
法務省としましては、法テラスによる法的支援がそれを必要とする方々に広く行き渡るよう、引き続きその存在を広く周知するとともに、その業務内容についての理解を深めていただけるような広報に取り組んでいく必要があるというふうに考えております。そのため、これまでの取組を着実に進めるほか、その業務内容についても理解していただくため、実効性のある広報をするにはどのような効率的かつ効果的な工夫があるかにつきまして、法テラスとともに検討してまいりたいと思います。
ホームページの記載についてですが、法テラスのホームページには、法的支援を必要とする方々が最適なサービスにたどり着けるよう、法テラスが提供する様々な法的支援の内容等を対象者、対象事項ごとに分類するなど、検索の便宜を図りつつ掲載するよう努めているところでございます。
委員御指摘の被災者支援につきましては、ホームページのトップページに東日本大震災等災害関連情報と記載したバナーを常設し、そこから様々な災害に関する情報にアクセスしやすいように配慮するとともに、現在では、令和元年台風第十九号に関する被災支援情報など、特にニーズが大きいと考えられるものに関しましてはより目立つ場所に専用のバナーを設置するなどして、被災者の方々のその時々のニーズに即したサイト構成に努めているものと承知しております。
被災者の方々が常に必要とする支援情報に容易にたどり着けるようにすることが重要というふうに考えておりますので、委員の御指摘も踏まえまして、今後も、法テラスとともに様々な工夫をすることで被災者に寄り添った支援情報が発信できるよう工夫してまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君
被災者の方は、一定の期間が過ぎれば法律的な問題が必要なくなるということではなくて、ずっと問題があるわけであります。常にもうここに行けば対応できるという常設の欄を引き続きお願いできればと思います。
児童虐待についてもお伺いする予定でありました。名執局長、来ていただいて申し訳ありませんが、児童虐待を受けた子供の傷をどうやって癒やすのか、これも法務省の仕事であるというふうに思います。この観点の質問はまた次回に譲らせていただくといたしまして、私からの質問を終わります。
ありがとうございました。

メールマガジン
メールマガジン
矢倉かつおNEWS
矢倉かつおNEWS
国会議事録
私の国会質問
矢倉かつおCHANNEL
矢倉かつおCHANNEL