2024-12-19
○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。
法務委員会では久しぶりの質問になります。どうぞよろしくお願いいたします。
私、法務省というのはこの重要度をどんどん増していると思っておりまして、今まで、特にもう地方も含めると五万人以上のこの職員という理解でおります。まさに人が石垣、人材の官庁である。あわせて、様々な政策の基盤をつくっている。例えば、入管は安心、安全ということにも関わりますし、更生保護とか再犯防止などは、これは住まいの確保という点とそれ以外の社会保障との連携というところも、孤立対策というところも関わる。また、所有者不明は公共事業等にも関わってくるところで、政策官庁としての重みも非常に増しているというふうに思っております。
今回、そういう趣旨も含めて、与党として、これ例年やっているところでありますが、例えば、自民党であれば森まさこ元大臣も含めた各法務大臣の経験者の方、公明党は山口那津男常任顧問と谷合正明参議院会長、そして私を含めて、平公務員担当大臣とまた斎藤財務副大臣の方にこの法務の予算拡充ということを申し上げさせていただいたところであります。
今日は、それも念頭に置いて、東財務大臣政務官にも今日お越しいただいております。後ほど御質問したいと思いますが、幾つか項目を質問したいと思います。
まず、関連するところで、要望書の中にあったのは、矯正施設を含めた施設の耐震化、長寿命化になります。これは、働く人たちの環境をしっかりつくっていく、宿舎も含めてですね、職員宿舎も含めてであります。
ここからお伺いしたいと思うんですが、昭和五十六年以前に建設された旧耐震基準の官署施設、収容施設、全体の四割以上と理解もしております。その中で、耐震補強工事ができている割合、できていない割合というのは、数だけで、これ数だけで結構ですので、答弁をいただくことができればと思います。
○政府参考人(上原龍君)
お答え申し上げます。
法務省の施設全体で七百七十一施設ございます。そのうちでございますが、現行の耐震基準制定、昭和五十六年以前の施設でございますが、その数でいいますと、委員御指摘のとおり、四割を超えるという数になっております。
その上で、耐震補強工事等ということで申し上げますが、検察庁や法務局といった官署施設、こちら四百九十六施設ございますが、この施設につきましては、建て替え工事や耐震改修工事を行うなどした結果、各施設の建物の面積ベースということになるんでございますが、令和元年度末で九五%、令和五年度末で九七%の建物が現行の耐震基準を満たすということになっていますが、依然として三%の建物が耐震基準を満たしているとは言えない状況になっております。
また、刑務所や拘置所といった収容施設、こちら二百五十七施設ございますが、こちらも各施設の建物の面積ベースでお答えいたしますと、令和元年度末で約八四%、令和五年度末で約八九%の建物が現行の耐震基準を満たすに至っていますが、依然として約一一%の建物が耐震基準を満たしているとは、失礼いたしました、先ほど二百五十七と言ったところ、収容施設二百七十五でございます。失礼いたしました。依然として約一一%の建物が耐震基準を満たしているとは言えない状況にあると、そういう状況でございます。
○矢倉克夫君
それぞれ三%、一一%というところ、残るのはそれぐらいというところまで来た。事前に、ここまで来るのにどれぐらい年月掛かったかとお伺いしたんですけど、平成三十年以前の統計がないということで分からないということでありましたが、確認する限り、年に一%ずつぐらいということも聞きました。相当年数を掛けてここまで来たんだと思います。
私、この問題関心持ったのは、当選してすぐに川越刑務所の方に伺って、当時の職員宿舎、もう階段もぼろぼろ、ひび割れしている、和式トイレしかない、手すりもさびついていて布団も干せない、こういうような状況を見て、やはり職員の皆さんがしっかりと働けるような環境をつくることが最終的には国民の安全につながるということでお訴えもさせていただきました。
今、耐震の話でありましたが、ほかにも老朽化という施設もあると思います。改めて、今申し上げた川越刑務所の今の状況とそれ以外の他の施設の老朽状況についてお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(上原龍君)
お答え申し上げます。
川越少年刑務所につきましては、特に老朽化が進んでいた職員宿舎につきましては令和四年八月に建て替え工事が終了し、また、老朽化が進んでいる被収容者の食事を作る工場、炊事工場につきましても建て替えを計画しており、必要な予算についても措置されているという状況でございます。これ以外の建物につきましても、建て替え工事や改修工事が進んでいないものはございますが、引き続きこの川越少年刑務所について計画的に工事を進めてまいりたいと考えております。
また、この川越少年刑務所以外の法務省施設につきましても、委員御指摘のとおり、四割以上の施設が昭和五十六年以前に建設されたものでございまして、その一部につきましては建て替え工事や改修工事等を進めてきたものの、依然としてこれらの工事が進んでいない老朽化施設もございます。このような施設につきましても、着実に施設整備が実施できるよう計画的に工事を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○矢倉克夫君
大臣に伺いたいんですが、今川越刑務所は建て替えということで話があったんですけど、将来的な費用増加をこれ防ぐためには、従来の施設の建て替えということだけでなく、老朽化予備軍へのこの改修、補修というのも重要と考えています。特にまた、施設は災害発生時の避難場所等としても機能確保をする必要もあるわけでありますけれども、こういう観点も踏まえて今の予算規模で十分と言えるのか、大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(鈴木馨祐君)
矢倉先生御指摘のとおり、施設を維持管理するために必要なコストをどう抑えていくかという観点からも、施設の機能や性能に不具合が生じる前にそういった老朽化対策等々、この改修等の対策を講じておくことも大事だと思っております。特に矯正施設は、これ再犯防止施設の基盤とともに、災害時においても地域の避難場所としても機能している施設でありますので、これは極めて重要だと思っております。
そうした中で、法務省としては、耐震化そして老朽化対策として、計画的に耐震改修工事や建て替え工事を進めてきたところでありますけれども、まさに今後も、国民が法務省に求める役割を十分果たすことができるように、着実に法務省の施設整備、これ所要の予算、これをきちんとこれからも確保していきたいと思っております。
○矢倉克夫君
その所要の予算というのが重要なところで、しっかり戦略的に取っていかなければいけないと思います。
御案内のとおり、五か年十五兆円のこの予算、来年度が最後、まあ補正でやりますので来年度という期限でありますが、最終でございますけど、今年度中に中期計画がこれまた策定もされる、その上で次の規模に向けてしっかりとこれ予算を取っていくということを改めて大臣の決意も含めてお伺いしたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
○国務大臣(鈴木馨祐君)
先生御指摘のように、法務省のこの施設、極めて大事なものであります。そうした中にあって、この重要性等々に鑑みて、しっかりとこの予防的な対応も含めて、耐震化そして老朽化対策を計画的かつ効率的に進め、国民が法務省に求める役割を十分に果たすことができるように、私としてもきちんと努力を全力で尽くしてまいりたいと思います。
○矢倉克夫君
是非よろしくお願いします。
続いて、また、申入れの中にも入れている入管の人的、物的な整備というところでございます。とりわけ人的な部分ということも念頭に置きながら質問をしたいと思いますが、まず、日本の難民審査に関して今掛かっている平均時間、難民認定審査のこの平均時間についてお伺いをしたいというふうに思います。一次審査についてでございます。
○政府参考人(杉山徳明君)
難民認定申請の審査期間について、令和五年中における一次審査の平均処理期間は約二十六・六月となっているところでございます。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。
これ私、実は過去にも同じ質問をして、二〇一五年であったと思いますが、そのときの答弁は七・三か月でございました。もうそれだけ延びてしまっている、長期化している。
まず、これだけ長期化している要因というのは改めて確認をしたいと思いますし、解決に向けた課題ということも答弁をいただければと思います。
○政府参考人(杉山徳明君)
審査が長期化する要因につきまして、一概に申し上げることは困難でありますが、例えば、難民認定申請者数それ自体が増加していること、また申請者の置かれた立場に十分配慮した事情聴取を行う必要がある等の事情により審査に一定の時間を要する案件があることが挙げられるところでございます。
難民認定申請の処理期間を短縮するため、入管庁におきましては、これまで累次にわたり審査体制の強化や効率化を図ってまいりました。これに加えまして、国籍別の主な申立て内容を踏まえたいわゆる出身国情報の収集、活用や、審査手法の見直しなどに取り組んでいるところでありまして、更なる処理促進に努めてまいりたいと考えております。
○矢倉克夫君
今、体制の効率化などのお話もあったんですが、やっぱりそもそも対応するための難民調査官がやはりもっと増やしていかなければいけないというところもあるかと思います。
私が前回質問した二〇一五年の翌年の二〇一六年から、難民申請の方、最大のときには一万九千まで増えている。その一方で、例えば令和五年の難民の申請に対する処理数、これは八千百八十四名であります。一万以上申請があっても、それぐらい。これでも、その前の年よりは増えている。そうすると、やはり過去のものがどうしても積み重なってしまって、それが全体的な処理の日数を増やしているということにやっぱりなると思います。これを解決していくためには、やはり対応する人を多くこれは増やしていかなければいけないというふうに思っております。
改めて、特に難民調査官というのは、入国審査官の方の中で一定の経験を持った方がなられるわけですから、そういう意味では、入国に関わる方そのものもやはり増やしていかなければいけない。こういうことも踏まえて、改めて徹底した職員の増員が必要だと思いますが、大臣、現実的にどのように動くのか、答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(鈴木馨祐君)
適正な出入国在留管理行政、これを実施する上で、今答弁にもありましたような体制もですけれども、同時に、職員数、これも、きちっとこれは増員が必要、こういった体制整備、極めて大事だと考えております。
私どもといたしましても、これまでもこうした体制整備を求めておりますけれども、出入国在留管理行政に求められる役割を適切に遂行するためにも、引き続き、こうした体制整備、努力をしてまいりたいと思っております。
○矢倉克夫君
関係して、大臣に改めて、国として共生社会を推進する目的と実現に必要なこと、これはどのようにお考えかをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(鈴木馨祐君)
こうした共生社会、外国人との共生社会ということ、まさにこの日本人と外国人とが互いに尊重し、安全、安心に暮らせる社会でなくてはならないと考えております。
こうした社会を実現をしていくためには、外国人の人権にしっかりと配慮をしていきながら、ルールにのっとって外国人を受け入れて、そして適切な支援を行っていくこと、これ極めて大事だと思います。同時に、ルールに違反をする、そうしたものについては、これは厳正にきちんと対処していく、こういったことが極めて大事になっていくと思います。
まさに総理からも、選ばれる国としてということがありましたけれども、まさにそういった意味での、社会の中で暮らしていく中でのこうした共生社会、これをどうつくっていくのか。同時に、そのためにも、やはり不法な在留も含めて、そうしたところには厳正に対処していく。まさにその両輪ということが極めて大事だと思っております。
法務省といたしましては、外国人の受入れ環境整備に関する総合調整機能、これ自治体であったり、あるいはほかの官庁との関係もありますけれども、まさにそうした総合調整機能を発揮しながら、外国人との共生社会の実現、これからもしっかりと目指してまいりたいと思っております。
○矢倉克夫君
私、共生社会の実現ということで目指すものは、人権の尊重と併せて、日本社会の在り方として、差別感情が増幅しない社会をつくるということが非常に重要だと思っております。そのためには、日本人と外国人が相互に信頼し合える関係をつくる。やはり、ルールというものも守り合うというのも私も重要だというふうに思います。
そういう点で、今日は、今後もまた引き続きですけど、この難民という問題に関しても、難民認定基準そのものが厳しい、そこもしっかり議論もしつつ、あわせて、やはり経済目的で来られる方、そういう方々が増えることで、本来保護すべき難民ということが保護し得なくなる環境もある。場合によっては、来られる方が、難民として来られる方もみんな難民以外の認定で来るんじゃないかという意識が国民に広まってしまうと、難民制度そのものの信頼性がやはり阻害されることもあるかというふうに思います。
そういう意味でも、適正な運用、しっかり難民の、本来難民として受け入れられる人が受け入れられるような在り方というのを、これは共にしっかり議論をしていきたいと思っております。これはまた別の機会で議論もしたいと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
今の観点も踏まえて、また要望書の方に戻らせていただくんですが、入管の関係ではもう一つ要望もさせていただきました。
それは、二〇三〇年までの導入を目指しているJESTAになります。これ、与党提案では、JESTA、まず円滑に入ってきていただく、そのための入管の効率化というのも併せてでありますが、スクリーニングの強化というのもこれうたっているところです。
改めて、導入意義、これをお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(杉山徳明君)
委員から御指摘いただきましたJESTA、いわゆる電子渡航認証制度のことでございますが、これにつきましては、電子的方法で外国人に身分事項、渡航目的、活動内容等の情報をあらかじめ申告させ、事前に審査を実施して渡航の可否を判断する仕組みでございます。
これを導入することによりまして、テロリストや不法滞在を企図する外国人等の入国を未然に防ぐ効果があることに加えまして、増加が見込まれる外国人観光客の審査の円滑化も期待されるところでございます。
○矢倉克夫君
入ってこられる外国の方々に御負担がないように審査を円滑化する一方、やはり制度の安心、入国の安心というところも含めて国民に理解をいただくという意味での意義として私も捉えております。そういう点でも、是非、意義を訴えていただきたいと思います。
そのためにも、二〇三〇年までというふうに言っているんですが、私はもっと早めれば早めたいと思っているんですけど、課題、導入への課題とその解決方法をお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(杉山徳明君)
電子渡航認証制度の導入に当たりましては、制度設計につきまして、例えば、どのような方々を対象とするのか、どのような認証手続とするのか、認証を受けた方々の上陸手続をどのようなものとするか等、多岐にわたる事項について検討していく必要がございます。加えて、制度運用に当たりましては、システム開発や、利用者、航空会社等への十分な制度周知等も重要な課題となっております。
こうした課題に的確に対応していくためには、諸外国の制度調査等を含め、様々な角度から検討を進めていく必要がありまして、そのために必要な人的体制の整備や予算の確保に努めてまいりたいと考えております。
○矢倉克夫君
この件も是非、予算の確保をお願いしたいと思います。
また、共生社会というところで、一方で、やはり共生の環境づくりというのが当然大事になってきます。かつても議論があった中で一つだけ提示したいのは、調停委員にこの外国人の方を登用すること、これについては、最高裁、従来からもいろいろ意見も述べられているわけでありますけど、公権力の行使に当たるため認められないということでありました。
改めて、最高裁に、調停委員の機能の何が公権力の行使なのかを答弁いただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君)
お答え申し上げます。
調停委員の法令上の権限、職務内容等といたしましては、調停委員は、裁判官とともに調停委員会を構成して調停の成立に向けて活動を行い、調停委員会の決議はその過半数の意見によるとされていること、調停が成立した場合の調停調書の記載は確定判決と同一の効力を有すること、調停委員会の呼出し、命令、措置には過料の制裁があること、調停委員会は事実の調査及び必要と認める証拠調べを行う権限を有していることなどが挙げられるところでございまして、これらによれば、調停委員は、公権力の行使又は国家意思の形成への参画に携わる公務員に該当すると理解しているところでございます。
○矢倉克夫君
まず、公権力、最終的には合意形成はこれ当事者の合意でありますから、調停委員というのはその説得活動をするということ、これが公権力の行使と言えるのか。また、過料も科すのもこれ裁判所であります。そこの部分も含めて調停委員そのものの公権力の行使と言えるのか。一つ一つまた議論はしなければいけないことはあるかというふうに思います。
ほかの制度との関係もあるかもしれませんが、私は、国際結婚というのも今後増えていっています。一方で、離婚の際などの調停というのも考慮すると、外国人の方にこの調停委員ということをこれもやっていただくこと、これも需要はあるというふうに思っておりますが、改めて、最高裁、見解を求めたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君)
お答え申し上げます。
調停委員の任命に当たりましては、法律の専門家ばかりでなく、豊富な社会経験、人生経験を持つ良識豊かな方や、法律以外の分野での専門的な知識、経験を備えた方を迎える必要があると認識をしております。
外国籍の方を調停委員に任命できるかどうかということは、先ほどお答えしたとおりでございますけれども、委員御指摘のとおり、今後も国際化の進展等の社会の変化に応じまして、当事者が多様な価値観を持っていることも踏まえ、そのニーズに応えることができるよう、多様な人材を調停委員として確保するよう努めてまいりたいと考えております。
○矢倉克夫君
ちょっとこの問題は引き続きしっかり訴えていきたいと思いますが、是非また検討をいただきたいと思います。
次に、また申入れの中でもう一つ挙げたのは、再犯防止というところで、様々多岐にわたるので今日は保護司の関係だけ、ちょっと時間、何問か飛ばすかもしれませんが、お答えいただきたいと思います。
最近、闇バイトなど、この犯罪というものに対する、犯すことに対する障壁が非常に低い、特に若い人が多くそういう形で巻き込まれてしまう、巻き込む、そういう犯罪もあります。こういったことがないように、やはり同じ世代の、近い世代の保護司さんというのも必要、若い世代の保護司の確保というのも重要になってくると思います。これについてどのように考えているのか、法務当局にまず問いたいと思います。
○政府参考人(押切久遠君)
お答えいたします。
保護司については、保護司数の減少傾向と高齢化が進んでおり、現役世代を含めた適任者の確保が大きな課題となっております。
本年十月に取りまとめられた持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会報告書においても、いわゆる現役世代が早い時期からできるだけ長く保護司活動を継続していくことが重要であることから、仕事をしながらでも保護司活動が可能となるような環境の整備に努めることとされました。
委員御指摘のとおり、保護司は、若年層を含む多様な保護観察対象者の改善更生を図るための処遇活動に携わることから、年齢層を含め、幅広く適任者を確保していくことが重要であると考えております。今後も、報告書の内容を踏まえ、保護司の適任者確保に向けた取組を着実に進めてまいります。
○矢倉克夫君
じゃ、保護司、一つ飛ばしまして、今回、その持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会報告書では無報酬がこれ見送られたというふうに、報酬制が見送られたというふうに伺っているところであります。
申し訳ない、二問飛ばしまして、大臣にもお伺いもしたいと思うんですが、この報酬制の見送りについては、無報酬だからこそ保護観察対象者やその家族が心を許してくれたり、地域で正しく評価してもらえる、保護司の使命というところで議論もあったところでありますが、一方で、やはり実費の補償に加えて、やはり報酬というところもしっかり明確にすることが若い人も入ってくる上ではやはり重要であるし、それは保護司の理念とは相反しないとも考えているんですが、保護司、この報酬制についての大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(鈴木馨祐君)
今回、この検討会においてもこの報酬制を導入するかどうか、これは極めて大きな論点でありました。今回の報告書においては、先生御指摘のように、報酬制はなじまないとする結論ということとなりましたけれども、今回、この結論については検討会での議論の積み重ねでありますので、これを尊重していきたいと思っております。
その一方で、この報酬制の議論も含めて、この報告書の中では、今後、我が国の社会情勢や人々の価値観の変化等に対応していく必要があることから、少なくとも今後、少なくとも五年ごとに、保護司の待遇を含め、保護司制度の在り方やその維持発展のための方策等について検討することという形で盛り込まれております。
保護司の待遇、まさに今の報酬制も含めてどう、この若い世代の方々、しっかりと参画いただけるか、極めてこれ大事な話でありますので、今後とも、この不断の見直し、そうした五年後ということになって、五年ごとということになっていますけれども、しっかりとこれからそうした見直しに向けて努力をしてまいりたいと思っております。
○矢倉克夫君
理念と反しない形で、また保護司になりやすい環境をつくっていく、あと、働きながらやれる環境も含めて、報酬の話だけでなくて、それをやっていかないと保護司制度そのものがなくなってしまう、それぐらい今瀬戸際にあるということをまず御認識いただいて、引き続きの御努力をよろしくお願い申し上げたいと思います。
ちょっと話題も変えまして、改めて選択的夫婦別姓についても、これ、我が党は、この選択的夫婦別姓、先ほどもいろんな委員の話などもありました。これ、同姓であることで実際の困難がある方がいらっしゃる、そして事実婚を選ばざるを得ないような人がいらっしゃる、そういう方々に選択を広げていく、これは政治の責任でもあるというふうに思いますし、選択的夫婦別姓自体、是非しっかりやるべきだと思っております。
その上で、平成八年の法制審の答申において、別氏夫婦の間に生まれた、失礼、答申の趣旨、これについて、子の氏について、特に婚姻時に統一化を図るというふうにした趣旨を答弁をいただきたいと思います。
○政府参考人(竹内努君)
お答えいたします。
平成八年の法制審議会の答申におきましては、別氏夫婦の間に生まれた子は、夫婦が婚姻の際に子が称する氏として定めた父又は母の氏を称することとされ、兄弟姉妹の氏の統一化が図られております。
この趣旨でございますが、子が未成年の間は、兄弟姉妹の氏を統一することによって家族としての一体感が醸成され、子の健全な育成の上で有益であるという考え方にあると承知をしております。
また、婚姻の際に子の氏を定めることとされた趣旨は、仮に、子の出生の都度、父母の協議により子の氏を定めるものとした場合には、子の出生時に父母が協議をすることができないときやその協議が調わないときは、出生した子の氏がいつまでも定まらず、子の氏が宙に浮く状態が生じ得ることから、そのような事態を避け、子の氏の安定を図るとの考え方にあると承知をしております。
○矢倉克夫君
今の、一つの見解としてそういうふうに法制審でも挙げているところでありますが、改めて、選択的夫婦別姓、これはもう若い世代を中心にして賛成の意見が非常に多い。
その上で、反対する御意見の方の中には、夫婦別姓そのものは許容するにしても、子の氏の在り方が、ルール化というところがまだ見えないというふうに御意見もあるところも一つかなというふうに思っております。そういう点では、子の氏の在り方をどういうふうに合意形成を図っていくか、これはこの問題の根幹の一つであるというふうに私自身は思っております。
これはまた更に深めていきたいと思うんですが、今法制審の議論を聞いた、これは党として何か私たちがこれをサポートするとか、そういう趣旨で聞いたわけではなく、あくまで争点を見える形にするために今お伺いもしたところです。党としては、また与党内だけでなく、各野党の皆様にもしっかりいろいろ協議も働きながら、合意形成の要を担っていきたいということだけ今日は申し上げさせていただきたいと思います。
その上で、最後、残りの時間、東政務官、大変ありがとうございます。
改めて、今日は、いろんな法務行政に関わる人員、設備のこと、重要性などもいろいろ議論もさせていただきました。人が大事な法務、その上で様々な政策の要にもなっている法務行政、これは政策官庁としてもというふうに申し上げたのは、冒頭申し上げたとおりであります。ここの予算をしっかり確保させていただくことが、人々の安全とともに様々な社会基盤をつくっていく上では重要であるというふうに思っております。
是非、今後の法務行政に関する予算の拡充ということを政務官からお伺いもして、質問を終わりたいというふうに思います。
○大臣政務官(東国幹君)
委員御指摘のとおり、法務行政は国民が安全、安心に暮らせる社会の基盤でもありますし、滞りなく行政が遂行できるための体制を整備することは重要であるというふうに考えているところであります。
例えば、再犯防止に向けた取組について申し上げますと、法務省においては、令和五年三月に決定されました第二次再犯防止推進計画に基づいて、再犯防止に向けた様々な施策を推進しているものと承知をしているところであります。
来年六月施行の拘禁刑の趣旨を踏まえた矯正処遇の充実、保護司等の連携を深めながら、息の長い支援の実施等の取組が再犯防止の観点からも重要であるものと認識しているところであります。
また、法務省が所管する各施設には、法務局や検察庁等の官署施設に加えて刑務所等の収容施設が存在をしておりまして、法務行政を行う上でその重要な実施基盤であるにもかかわらず、その老朽化等が課題になっているものと認識しております。
このほかにも、法務行政においては、デジタル化の促進等、新たな社会的要請もあり、変革を迎えている時期でもありますので、厳しい財政状況の中で効果的な取組が実施できるよう、法務省ともよく議論をしてまいりたいと思います。
以上でございます。
○矢倉克夫君
是非よろしくお願いします。以上で終わります。