186回 文教科学委員会(科学技術振興機構法案 革新的新技術研究開発業務等)

2014-02-07 国会質問議事録

○矢倉克夫君

公明党の矢倉克夫です。
下村大臣始め文部科学省の皆様の常日頃からの文部科学行政に対する尽力に心から敬意を表したいと思います。また、今日は、お忙しい中、内閣府から後藤田副大臣、また倉持政策統括官、また経産省から安永審議官、大変お忙しいところ、ありがとうございます。
時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。
今回審議されている法律案、私は、この法律案は、法文上、革新的新技術研究開発業務と定義されている、この意味するところは、その成功によって社会や産業の在り方そのものをもうひっくり返すような爆発的なインパクトを持つ、ただ、成功の見込みはなかなか高くはないかもしれないけど革新的なイノベーション、このような革新的新技術研究開発業務に充てる基金を創設するための法律案と理解をしております。
私からは、この基金、適切な運用をされるために確認すべき事項、三点ほど御質問をさせていただきたいと思います。
まず、この革新的新技術研究開発業務、ImPACTと言われているということですのでImPACTと今後呼びたいと思いますが、このImPACTの特筆すべき特徴というのは、プログラムマネージャーと言われている方を選定し、そのプログラムマネージャーに大幅な権限と責任を与えて、その目利きと裁量で優秀な技術と人材を結集させるということ、このように理解をしております。
これとはまた別に、似たものとして、先ほど来からも話も出ています最先端研究開発支援プログラム、いわゆるFIRSTと呼ばれているもの。山中教授などもこのFIRSTを利用されて研究されたということでありますが、このFIRSTは、あくまで研究者の方、そして研究者の方のやっていらっしゃる研究内容を注目されて選定を、その方に対して補助金等を切るというようなものである。
これに比して、このImPACTは、まさにPM、プログラムマネージャーはどういう事業を営んでいこうとしているのか、どういうものをつなぎ合わせていこうとしているのか、そのような全体のマネジメント、それを注目をして、その方の資質その他にある意味懸けてお金を渡すという、その点がFIRSTと大きな違いであると思います。
そう考えますと、当然このImPACTが成功するためには、PM、プログラムマネージャーの資質、この方がどういう研究をしようとしているのか、それによって成功するかどうか大きく左右される、PMがどういう方かというところが非常に大きなところであるなと。
その点で、内閣府、後藤田副大臣としてこのプログラムマネージャーに求められる資質というものをどのようにお考えか、まずお考えをお伺いしたいと思います。

○副大臣(後藤田正純君)

ありがとうございます。
矢倉委員におかれましては、本ImPACTの御趣旨を御理解いただいて、本当に有り難く思います。
今のPMのいわゆる資質ということになろうかと思いますけれども、これはやはり、先ほど来もお話出ていますが、やはり触媒的な機能を発揮して、本当にインパクトのある化学反応を起こすということだと思います。
その中で、やはりまずは全体のプロジェクトをプログラムする構想力というのはまず必要だと思いますし、また、研究者、PMが選んできた研究者の目利きもそうでございますが、そういった方々を束ねるリーダーシップということも大事だと思いますし、また、そのためにはマネジメントの経験や実績、また潜在的能力、柔軟な構想力と、こういうものも大事だと思います。
加えて、やはりこれは国の税金を使っているわけでございますので、やはり国民の皆様にも対外的に分かりやすい説明ができる、そういう説明力、そういったことも大事だと思いますし、加えて、あらゆる分野の方々とのコミュニケーション能力、まあアカデミアンというのはなかなかそういった社会性といいますか、そういったところに欠けるというところもよく言われることでございますが、そういう両者というんですか、実用化に向けての産業界だとかまたアカデミアン、それをちゃんと両方認識できる人。
例えば、先般の小保方さんの例でいいますと、例えばあの女性をリーダーにしたというのがすごく、これは誰がしたのかなという、こういったことに着目したときに、多分今までのアカデミアンの世界ではなかったんではないかなと。彼女が言っていたように、ある外国の研究者には何百年の科学の歴史を愚弄していると。そういう方を、本当にどういう人か、これも分析したいと思いますけれども、そういった方々にまずなっていただいて、加えて、我々は、先ほどもお話出ましたけれども、三段階にわたっての公募に対しての選定というものをそういう基準で厳格に選んでいきたいと、このように考えております。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
今副大臣がおっしゃってくださったとおり、小保方さん、STAP細胞、研究開発成功された。私も、あの報を聞いて、彼女自身の地道な努力、大事だなと思いましたが、やはり陰のMVPは、ああいう一時期酷評された研究、それをされている方を採用してずっと支えていった理化学研究所その他の周りの環境であるなと思います。
プログラムマネージャーを選ぶとき、知識とか経験とかノウハウとか、そういう部分はあるんですが、やっぱり大事なのは、ある意味人間力というか、いろんな見込みが分からないような研究でもとにかくやってみようと、私が責任持つからやってくれと励ませるような、そういうような力のある方も必要だなと。特に研究者、元々は上下関係がいっぱいある方をそういうふうに束ねるわけですし、また、場合によっては競合の会社とかを束ねて一つのプログラムをつくっていく方なので、大変な資質を持っていらっしゃる方でなければこのプログラムマネージャーというのは務まらないと思いますが、公募期間も短い中だと思うんですけど、是非そういうすばらしい方を選んでいただくように、何とぞお願いを申し上げたいと思っております。
続いて、二点目の質問に入らせていただきます。
今お話もありましたプログラムマネージャー、大変な資質を要求される方ではあります。他方、大変な権限も持っていらっしゃる。その上で、今回のプログラムマネージャーとして想定されている方は、例えば新規事業を新しく立ち上げられた方であったり、そういう民間で活躍されている方であるなと。非常に権限も持ったそういうような方々に対しては、これはその方がどうかという問題以前に、立場上与えられた権限を御自身の事業等に使われるという危険性が潜在的にはあるかと思います。いわゆる利益相反の問題なんですが、こういうような問題に対して対処をする上でどのようなことをお考えか、この辺りをお聞かせ願いたいと思います。

○政府参考人(倉持隆雄君)

御説明申し上げます。
いわゆる利益相反の問題、大変重要なところでございまして、このImPACTの制度設計の議論をしております総合科学技術会議の有識者議員の間でも常にそれを念頭に置いて検討が進められているところでございます。
繰り返しになりますが、ImPACT、本当にイノベーションの創出を目指すということで、このプログラムマネージャーの構想を実現するためにトップレベルの研究開発力と様々な知識の結集を求められていると、そういうものでございます。そのために、このプログラムマネージャーとのいわゆる利害関係の有無をいわゆる画一的な基準で判断してしまうということによって本当に求められる最高の技術であるとか人材の結集の妨げになることは必ずしも適当ではないんじゃないかと、こういう認識で検討が進められております。
こういう考えの下で、先ほど申しましたように、総合科学技術会議の下でプログラムマネージャーの選定であるとかプログラムの決定時の審査プロセスというものを作っていくわけでございますけれども、そのプロセスを通じて具体的な計画の合理性、妥当性を確認して、まさに利益相反という批判を招かないように適切に対応することが必要だと、そのための審査をしっかりやっていくことを考えているところでございます。

○矢倉克夫君

利益相反の問題は、その選任の段階と、また選任された後、プログラムを進行する段階。選任段階ではまずそういう方かどうかということを、何か利益相反の問題があるようであれば、その辺りの事情を、問題ないということを説明させるというふうな対応も必要であろうと思います。プログラムが進行した後、利益相反の可能性があれば、そのたびに外部の専門家の方なども呼んで、しっかりと利益相反がちゃんとクリア、チェックできるような体制もつくっていく。こういうような体制を法的にも、法的というかルールの観点でいろいろと担保できるような在り方も今後また検討いただきたいと思います。
次、三点目でありますが、特許の問題をお伺いしたいと思います。ちょっと時間が限られてきてしまっているんですが。
今回、このような研究によって仮に特許権が発生した場合の扱いなんですけど、これについては、私は、産業技術力強化法がございますが、この法律に基づいて、科学技術振興機構から委託を受けて実際に研究をしている研究者や企業の方に帰属をするという理解でおります。その点は正しいか、御回答いただければと思います。

○政府参考人(倉持隆雄君)

御指摘のとおり、日本版バイ・ドール条項を適用いたしまして、委託先、すなわち大学であるとか企業等の研究開発実施機関側に帰属させることを考えております。
ただ、国費を投入して実施するプログラムであることに加えまして、産業競争力強化であるとか社会的課題解決に資する成果の創出を目指すものであることから、創出される知財が幅広く利活用されるということが重要と考えておりまして、実施権を受託元であるJSTが保有するなど、知財権を実施しやすくする仕組みが必要と考え、今検討を進めているところでございます。

○矢倉克夫君

産業技術力強化法に基づいた対処が原則になると思うんですが、問題点として考えているところは、例えば技術特許が帰属をした企業等が買収された場合、原則の産業技術力強化法に基づくと、買収された場合などは、本来であれば必要な国への報告なども、承認なども要らなくなるというようなことになっております。
様々な理由があってこういう法律になっているんだと思うんですけど、今回、国のお金を使って研究させたもの、それに対して発生をした特許が買収であるとかそういうものによって全く関係ない企業に行ってしまうということが仮にあったとしたらそれは問題なのではないかと、使い方としてどうかという点はあると思うんですが、この辺りについてはどのようにお考えか、御見解をお伺いしたいと思います。

○政府参考人(倉持隆雄君)

研究開発プログラムで得られた知的財産権の売却や買収などの移転が行われる際には、まさに技術流出によって我が国の国際競争力に支障が生じないような措置が必要であるというふうに考えております。このため、委託元であるJSTの承認を必要とする、移転後も知的財産権に係る権利及び義務関係は継承されるといった旨を当初の委託契約の中に盛り込む方向で今検討を進めているところでございます。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。是非御対応をまた引き続き御検討いただければと思います。
最後に、下村文部科学大臣、昨年の臨時国会の冒頭で、世界で最もイノベーションに適した国をつくるというふうに力強くおっしゃってくださっておりました。まさに今回事業体であるJSTを所管する担当大臣として、改めて御決意、また意気込み等をお伺いできればと思います。

○国務大臣(下村博文君)

このImPACTは、長期的な観点から革新的なテーマを設定し、PMに大きな権限を与える、その下で挑戦的な研究開発を今後五年間にわたり集中的に推進するというものであります。
文科省としては、プログラムの実施に当たり、JSTの持つ知見を最大限に活用しながら、産業や社会の在り方に大きな変革をもたらすイノベーション創出につながる成果が得られるよう、総合科学技術会議と連携して取り組んでまいります。

○矢倉克夫君

ありがとうございました。
是非、日本から、世界にとっても非常に貢献できるような優れた技術が生み出されるよう、この事業が成功に導くことを祈りまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございます。

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