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189回 法務委員会(司法修習生の待遇改善等)

2015-03-26 国会質問議事録

○矢倉克夫君
公明党、矢倉克夫です。よろしくお願いします。
予算委員会の関係で質疑の順序を変えさせていただきました。理事各位始め、皆様の御協力に感謝申し上げます。
また、今日は、外務省と厚労省の方もお越しいただきました。ありがとうございます、お忙しいところ。
まず冒頭、質問に入る前に一言。私、政治評論家の森田実さんとも親しく、また御指導いただいているんですが、先日、森田実さんから、今回、刑務所の老朽化等対策、予算が非常に倍増されたということを、大臣、各位皆様の法務省の予算獲得に向けての御尽力に敬意を表するとともに是非感謝を申し上げてくださいというふうに言われましたので、冒頭まず改めて、大臣、各位皆様の御尽力に感謝申し上げたいと思います。
早速質問に入らせていただきます。
まず大臣から、今法曹教育、様々な議論があるわけですが、この法曹教育を受けた方々の能力その他が社会においていかに有用的なのかというところを御所見をいただければと思います。

○国務大臣(上川陽子君)
委員から冒頭、矯正施設に関する予算につきまして言及をいただきまして、また森田先生からの御意見ということで触れていただきまして、ありがとうございます。一生懸命頑張ってまいりたいと思います。
ただいまの御質問の件でございます、法曹養成課程を経て培われるべき能力、リーガルマインドとは何かということでございます。多様な国民の様々な御要請、また広範に及びます様々な国民の皆さんの御要請に対しまして、それに応えることができるような高度の専門的な法律知識があること、そして同時に幅広い教養を備えているということ、さらに国際的な素養もあるということ、そして豊かな人間性や、また職業倫理を備えているというものであるというふうに承知をしているところでございます。
このような能力でございますが、法曹が法の支配の直接の担い手として、また国民の社会生活上の医師として、個人やまた企業等の諸活動に関連する個々の問題について適切な法的サービスを提供することで紛争の発生を未然に防止するとともに、紛争が発生した場合におきましては、適正、迅速かつ実効的な解決を図ったり、あるいは国際社会におきまして内外のルール形成、そして運用、こうしたものに携わる、そうした役割を果たすために必要なものであって、社会において一般的にも大変有用なものであるというふうに考えております。

○矢倉克夫君
大臣、今紛争というカテゴリーを中心にお話しされました。もう全くそのとおりであると思います。
私も法曹の端くれでもありますが、法律を勉強する前は、私個人にとっても法律というのは全く専門外、全然関係ない世界の話だと思っていたんですが、法律を勉強して改めてびっくりしたのは、国の統治やまた社会保障という大きな分野から、本当に日常ささいにある、物をあげたり買ったり売ったりするような、そういうようなささいな行動の中にも全部法の網というのがあってルールというのがあるんだなということを実感もいたしました。
とりわけ、それを裏返しますと、やっぱり法曹の、また法曹教育を受けた人というのは社会のあらゆる分野に共通する法の素養というものを持っている、この能力の有用性というのは社会にあらゆる分野に汎用性があるものであるなというふうに思っております。という意味でも、法曹三者という枠にとらわれないで、実業界、ビジネスであったり、また役所の世界であったり、様々な分野にこれを生かしていくべきでもあるし、そういうような分野に入っていこうというような人をどんどんと育てていくというのは国策にも合致することであると思います。
大臣も所信で、法曹教育の関係で、この分野の重要性は国の形をつくるものであるというふうにおっしゃっておりました。その点もまさにそのとおりであるかと思います。
ただ他方、今問題といいますか、今日は問題提起まずさせていただきたいのは、その法曹教育を受けるということを志願している人がやはり減っているという状態であると思います。最近の司法試験の出願者数でありますが、平成二十四年は一万一千二百六十五人出願でしたが、平成二十五年には一万三百十五人、平成二十六年には九千二百五十五人というふうに毎年千人ごとどんどん減少をしている。まず、この背景にあるものをどのように捉えられているのか、お答えをいただきたいと思います。

○政府参考人(萩本修君)
法曹志願者の減少につきましては、平成二十五年六月の法曹養成制度検討会議の取りまとめにおいて分析がされておりまして、それによりますと、一点目として、司法試験合格状況における法科大学院間のばらつきが大きいこと、二点目として、全体としての司法試験合格率が高くなっていないこと、三点目として、司法修習終了後の就職状況が厳しいこと、四点目として、その一方で法科大学院において一定の時間的、経済的な負担を要すること、これらのことから法曹を志望して法科大学院に入学することにリスクがあると捉えられていることが原因であると分析されているところでございます。

○矢倉克夫君
今、萩本さんからお話がありました。様々な要因があるわけですが、やはり経済的要因というのが非常に強いかなと思っております。
日弁連がアンケートを取ったものが今手元にあるんですが、例えば修習生の方、まず修習期間中は今貸与という形になっております。その期間の貸与額、これがまず平均三百五万円、これが重い借金として乗っていると。その上で、法科大学院のときに奨学金を受けられている方、ほぼ半数がやはり受けられている。それら合計を踏まえますと、多い方では本当に一千万近く負担もされている。半数以上、六〇%以上の人が二百万から六百万の経済的負担を持っているという。この状態でありますと、その後、将来就職も含めて不安を抱える状態で修習しなければいけない、それであればやめるというような選択も当然出てくる。実際、司法修習、合格をされたのに、その後の経済的不安から修習そのものも辞退するという人が五十人ぐらいもう、昨年辺りでしたが、いらっしゃったというようなことも聞いております。
私自身も、修習生であったときには非常に経済的に不安定な状態で、家の事情もあったりとかして不安定だった状態でありまして、私個人の思いとしても、修習生、この経済的不安というのを払拭しない限り、私自身もその後の修習生活を送れなかったというところもあり、何とかそういうような不安にならないような思いを持った修習生の安定性というのは確保してあげたいなという思いでおります。
今、貸与制という形にはなっております。給与制を廃止して貸与制とした当時の背景としましては、想定されていた当初の合格者というのが三千名ぐらいであった。それぞれ三千名に、昔の給与、恐らく月額二十万にプラス手当というものの状態で三千名支給をしたら、額として百億以上はやはり掛かると。これは余りに財政的には厳しいんじゃないかというような話があったかと思います。
その後、まず立法事実の変化としては、合格者三千名というものが半数近くに今なっている部分もある。また、それぞれの修習生、デフレの状況もあるかもしれませんが、修習生が生活で大体どれぐらいお金を掛けているのかというところに関しましては、住居費等を抜きましたら大体十万ちょっとぐらいだというようなアンケートの結果もあります。
そういうような結果から考えると、当初百億以上掛かっていたものが、今の推計でいえば三十億から大体四十億ぐらい、そういうふうに額も相当下がっている。こういうような状態を踏まえますと、立法事実も変わっているわけでありますし、この貸与制というものをまた給付制にして、若しくは手当という形にするということも考えるべきじゃないかと思いますが、この辺り御所見いただければと思います。

○政府参考人(萩本修君)
司法修習生に対する給費制から貸与制への移行に当たりましては、今委員御指摘のとおり、司法修習生の大幅な増加ということが一つの根拠とされていたわけですけれども、そのほか、法科大学院制度の創設や日本司法支援センターの創設など、司法制度改革によって生ずる新たな財政負担があることから、そうしたことについて国民の理解を得るためにも、司法制度全体に関して合理的な財政負担を図る必要性があることなどが根拠とされ、それらを総合的に考慮した結果とされているところでございます。したがいまして、現在におきましても、そうした根拠はなお失われていないと考えております。
加えまして、司法修習生に対する経済的支援につきましては、貸与制を前提としつつも、平成二十四年に裁判所法の改正によりまして修習資金の返済猶予事由が拡大され、また翌年、平成二十五年には最高裁判所において移転料の支給等の措置が実施されたところでして、司法修習生に対する経済的支援は相当程度図られているところではないかと考えております。
したがいまして、法務省としましては、こうした経済的支援の実施状況を見守ってまいりたいと考えているところでございます。

○矢倉克夫君
様々御検討されているというところでありますが、貸与という部分、維持される限りは、なかなか不安というのはやはり覆らない部分はあるのかなと思います。
大臣にもお伺いしたいと思うんですが、私、先日、議員集会があって、そこで一人、司法修習辞退者の声というものがありました。これを今紹介するお時間ないので全文は読まないんですが、一文、その方のお母さんの、法曹はお金がある人しか入れないんだねというような言葉、これは非常に印象に残った部分はお伝えしたいと思います。
あと注目すべきは、この司法修習というのは、義務という言葉が正しいかどうか分からないですけど、この期間を経なければ法曹になれないという期間、逆に言うと、その期間は一年間拘束をされるという時間帯でもあると、一人一人の修習生にとっては。そういうような形で制度を設けている限りは、それに見合ったような経済的支援をするというのは、やはり私は合理性もあると思います。
その上で、もう一点申し上げたいのは、先ほど冒頭、大臣からもおっしゃった、法曹教育を受けた人というのは社会的にも非常に素養のある方、やはりその人に対しての投資というものも、これはしっかりと観点を持っていかなければいけない。国全体でも、何に投資をするかという観点から考えれば、これほど、言葉が正しいかは取りあえずおかせていただいて、確実な投資先というのはやはり私はないのではないかなというふうに思います。そういう意味合いでも、司法修習生の経済的支援ということを大臣の方でもしっかり進めていただくという部分、また一言いただきたいと思います。

○国務大臣(上川陽子君)
ただいま委員の方から、大変大事な法曹養成、そして同時に、経済的な支援を含めていろんな声が上がっているということについて御紹介をいただきました。
先ほど、御説明をいたしたところでございますけれども、貸与制を前提にしながら、様々な経済的な支援措置ということにつきましても最高裁におきまして実施するということで期待をされるということでございますので、そうしたことも踏まえまして、貸与金の返還も始まっていないという状況でもございます。まずは、最高裁と連携をしながら、これらの措置の実施状況をしっかりと見ていくということが重要ではないかなというふうに思っております。

○矢倉克夫君
今日、実は財務省の人にも来てもらおうかと思っていたんですが、財務省に言ったら、財務省としても、法務省がしっかり意見を表明してくれない限りは我々も何も言うことがありませんと言われて呼べなかったと。
問題は、法務省として、しっかりこの問題についてもより積極的に財政当局等にも訴えていくという姿勢をもっと強くしていかなければいけない部分はあるかと思います。その辺り、法務省として、さらに、そういう財政的な部分の考慮もあるんですが、しっかりしていくということをまたちょっと、もう一点、大臣、一言いただきたいと思います。

○国務大臣(上川陽子君)
この法曹養成というのは大変大事な基盤であるというふうに考えております。そういう意味では、この制度そのものがしっかりと趣旨にのっとって運用することができるようにしていくということの中の一つの課題として、今のような御指摘があったものというふうに思っております。
繰り返しになるものでございますけれども、貸与金の返還が始まっていないという状況でございまして、移転料の支給等の経済的支援の措置を講じた現段階におきましては、そうした措置の実施状況ということをまずしっかりと見ながら進めてまいりたいというふうに考えております。

○矢倉克夫君
また経緯を見ながらということでありました。私もしっかりまた注視をさせていただきたいと思います。
続きまして、大臣の所信の中でまた改めて司法ソーシャルワークの話もされておりました。司法ソーシャルワークの質問ではなく、そこの背景にある部分はやはり司法と福祉の連携というところ、この根底が大事だという思いからこのような所信もされたものであると私も思っておりますし、その点はまさにそのとおりであると思います。
その関係で、成年後見制度に少しお尋ねをしたいことがあります。
まず、この成年後見制度の概要について御説明をいただきたいと思います。

○政府参考人(深山卓也君)
成年後見制度は、御案内のとおり、認知症等の精神上の障害により判断能力が不十分であるため契約等の法律行為における意思決定が困難な者につきまして、その判断能力を補い、その財産の管理をする制度でございます。
成年後見の開始の審判というのは、本人、配偶者、四親等内の親族等のほか市区町村長もすることができることとされておりますし、さらに、家庭裁判所において選任する成年後見人は、個別具体的な事案に応じまして、被後見人の親族、弁護士や司法書士等の専門職、あるいは市民後見人、すなわち一般市民で社会貢献として自ら後見人となることを希望した方などが選任されているというふうに承知しております。

○矢倉克夫君
申立てに当たっては、この親族申立てと市区町村の長が申し立てる、その二つがあり、また後見人になる方という分類から考えれば、親族の方が後見人になる市民後見人、また専門家の後見人という分類が大枠あるというようなことであったかと思います。
それで、今、お手元の資料を御覧いただきたいと思います。
冒頭、今あった申立ての分類のうちの一つ、市区町村長の申立ての件数が非常に伸びているという状態、割合、総数もどんどん伸びているということであります。これは、裏を返せば、親族の申立てというものが割合的には減って、市区町村長の割合が増えているというようなことであると思います。
まず、この背景について、厚労省の方から御説明いただきたいと思います。

○政府参考人(苧谷秀信君)
市町村長申立ての件数につきましては、今お話がございましたように、制度創設当初の平成十二年は二十三件でございましたが、平成二十五年は五千四十六件となっており、増加傾向にございます。
このように成年後見制度における市町村長申立てが増加している背景でございますが、一つに、市町村長申立ての広報啓発が行われ、申立て制度の普及定着が進んでいること、それから二つ目に、認知症高齢者や独り暮らし高齢者の増加に伴い、介護保険サービスやその他の高齢者福祉サービスの利用ニーズが高まっていることなどが主な理由だと考えております。

○矢倉克夫君
今、広報啓発と介護保険の利用という部分もあったと思います。
私、もう一つ言わざるを得ないところは、現場の声をいろいろ聞くと、なぜ市区町村長申立てというふうになるかというと、やはり財産のない高齢者の方、その方に対する後見というものを、大変残念な事態ではあるんですが、親族の方とかが拒否をされるという部分、そういう部分の本当に身寄りのない方とかも含めた方が市区町村長申立てというような形にならざるを得ないというような部分もやはりあるかと思います。
そのような中で、私もいろんな方と、とりわけ司法書士の先生であったり弁護士の先生、現場でやっていらっしゃる方に何人かにお伺いをしたんですが、そこで一つお伺いをした中で改めて感じたのは、市区町村長申立てをするときに、申立てという手続を開始してから実際後見人が選任されるまでの期間が非常に長くなっているというようなことがありました。
私が聞いた案件の中で、そのような後見が必要だということを認識した上で、じゃ実際、後見人が付いて手続が開始されるまで市区町村長申立てをした場合どうだったかというと、一番長い年限で二年間掛かったという事例がありまして、具体的には、平成二十四年にその方、民生委員が見付けて、民生委員から市役所に連絡をしたにもかかわらず、後見人が結局選任されたのはその二年後の平成二十六年の九月十七日、これが一番長い期間であったんですが、こういうような、先ほど冒頭申し上げたとおり、やはり一番サービスを必要とするような方が市区町村長申立てをしているのに、それへの対応がこのような事態になっている部分もあると。
理由は二つぐらいあるかなと思って、一つは、市区町村長申立て、それを受ける市役所側の体制というのがやはりまだまだ、マンパワーの部分かもしれない、またそれぞれノウハウが足りないという部分であると思います。
ここの体制がまだ改善の余地があるというところもあるかと思います。
これについて、現状どういうような対応をされているのか、この辺り、厚労省から。

○政府参考人(苧谷秀信君)
今御指摘のございました市町村長申立てにつきましては、認知症の高齢者世帯、それも単身の世帯、それから親族間の紛争、高齢者虐待等の問題を抱え、対応が困難な事案が比較的多いというふうに聞いてございます。
このため、市町村におきましては、弁護士等の専門家の技術的支援を受けるための体制整備を進める、あるいは成年後見支援センターによる専門相談を行うなどの取組が行われていると承知しておりますが、なお、こういう職員のマンパワー不足、ノウハウ不足に対応しましては、厚生労働省といたしましても、このような市町村による先進的な取組につきまして、平成二十三年度に創設しました市民後見推進事業を通じて支援をしてきております。
さらに、平成二十七年度予算案におきましては、この事業に代わり、都道府県に設置します地域医療介護総合確保基金を活用しまして、新たに権利擁護人材育成事業を設けまして、都道府県等と連携しながら、市民後見人の育成と普及により一層取り組むことといたしてございます。

○矢倉克夫君
今、市民後見人の普及という部分がありました。それとはまた別に、専門家の後見人の方がより良く入る体制というのもまたこれからつくっていく必要があろうかと思います。
それで、あともう一個の理由なんですけど、先ほど申し上げた例含めていろんな方がおっしゃっていたのが、なぜ遅れたか。遅れた理由というのは、まず申立てが遅くなった最大の理由は、申し立てる方御本人にお金がなくて、専門家に依頼しにくかったと。なぜなら、報酬がやはりどうしても下がってしまう。そのようなことを受ける専門家の後見人の方の報酬というのがやはり少ない部分で、結局、皆さんたらい回しになってしまって、それが受けられないんじゃないかと。役所の人がそういうふうにおもんぱかって、その後、申立ての手続になかなか踏み込めなかったというような実態があるかと思います。
この実態を改善するためにも、今、現状は、例えば司法書士の方、弁護士の方、専門家の方、後見人をされるわけですが、特に先ほど申し上げた市区町村長申立てのような、財政的にやはりお金のない方、けれど、一番保護が必要な方であればあるほど報酬が少ないというような状態がある。その結果、実入りのいいものだけをみんなで取り合って、本当に大事なところに皆さんなかなか手を差し伸べない。これは専門家倫理の部分もあるんですが、それはひとまずおかせていただいて、そういうような方でもしっかりとサポートするような体制になるような、報酬体系部分も含めてやはり整備していかなければいけないと思います。
まず、これに対してどのような支援があるのか、こちらも厚労省からいただきたいと思います。

○政府参考人(苧谷秀信君)
今御指摘ございました、今後増加する認知症の方を始めとしました高齢者等の権利を擁護するため、成年後見制度を利用しやすいものとしていくことは非常に重要であるというふうに考えてございます。
このため、介護保険法に基づきます市町村による地域支援事業、この中に成年後見制度利用支援事業を位置付けまして、成年後見制度の利用が必要と判断される低所得の高齢者に関します成年後見制度の申立ての経費、それから成年後見人の報酬等を今現在助成しておるところでございます。このような取組を通じまして、後見に係る費用を負担するなど、成年後見制度の利用が進むよう支援してまいりたいと考えてございます。

○矢倉克夫君
これ、ここで項目取り上げましたのは、今もうずっと厚労省にばかり聞くような形になっているわけですが、やはり法務省としてもこの問題をより積極的に関わっていただきたいなと思っております。
とりわけ後見受任をする士業、例えばそのような方がしっかりこの分野に入り込むというような支援、これをしていく、入り込むことで本来起きなかった紛争の問題というのが起きない、未然に処理される可能性もあるかと思います。そのような体制をしっかり取れるように、いろんな専門家の方が入れるような体制支援というのをやっぱりしていかなければいけないなというふうに思います。
他方で、横領の問題とかそういうのもあったりとかする、そういう部分にはしっかり適切に配慮しなければいけないわけですが、その上で、法務省としてもこの後見人を受任する士業への支援を拡充するなど予算面も含めてより積極的に動いていただきたいと思いますが、その辺り、大臣からいただきたいと思います。

○国務大臣(上川陽子君)
社会が非常に高齢化が進み、また障害の方々とともにも歩む社会づくりという意味では、先ほどおっしゃった司法とそして福祉の連携という司法ソーシャルワーク、そしてその中でも成年後見人の制度というものは、非常に大事な制度であるというふうに考えております。
先ほど来のお話がございましたとおり、市区町村長により申立てが適切に行われ、それが実効あるものとしていくために、また同時に、そうしたニーズの増大に伴いまして、士業の方にも積極的に担い手としての役割を果たしていただくためにということでございまして、先ほど来、厚生労働省の方からも御指摘がございましたけれども、後見人の報酬の一部助成でありますとか、あるいは成年後見人の担い手の確保のための施策ということでございまして、そうしたものを踏まえて、また成年後見制度そのものを法務省が所管しているということでございますので、引き続きこの制度の周知徹底を図るとともに、厚生労働省等と必要な協力をしっかりと果たしてまいりたいというふうに思っております。

○矢倉克夫君
まさに制度を所管されている法務省として、他省との連携、もうこれはやっぱりしっかりしていかなければいけないなと。この分野、その部分で、所管所管という部分だけでいってしまうと、本当に大事な人への保護というのが抜け落ちてしまっているんじゃないかなという問題意識はありますので、省内含め、また他省との連携の会議の場等も設けるなど、様々な工夫をしてより一層の意見交換を是非今後もしていただきたいと思います。
最後、続きまして、技能実習制度について、今回、法案等も提出される分野ではありますが、若干御質問させていただきたいと思います。
まず、またまた冒頭、大臣からいただきたいんですが、やはり今この問題、この制度について議論になっている部分というのは、ほぼ多くは実習生として来られた人の労働環境、劣悪なもの、違法な部分をどう取り締まるかというような話がやはり多くなっている。
ただ、他方、この制度というのは実は国際貢献というふうに銘打たれているものでもあります。その国際貢献という理念、これをプラスにどうやって実現していくかというような話よりも、むしろそういうような分野だけに話が行ってしまっているというようなところは正直、残念であるなと思っているところではあります。そのような現状について、大臣から一言いただきたいと思います。

○国務大臣(上川陽子君)
委員御指摘をいただきましたこの技能実習制度、本来の趣旨でございますが、技能等の開発途上国への移転によりまして積極的に国際貢献を図っていくということが本来の目的ということでございます。
しかしながら、残念なことではございますが、この技能実習制度におきまして、受入れ機関が制度本来の趣旨を理解せず、安価な労働力としてこの技能実習生を受け入れ、また賃金不払等の不適正な事案を発生させているということでございまして、こうした御批判もなされているところでございます。
法務省におきましては、厚生労働省等関係省庁とも連携をいたしまして、技能移転による国際貢献という、この本来持っている技能実習制度の趣旨の徹底を図る見直しを行うことといたしておりまして、技能実習制度の見直しについての関係法案につきましては、今月の六日に国会に提出したところでございます。
法務省といたしましても、この見直しを通じまして、技能移転によりまして国際貢献という制度本来の趣旨にしっかりと沿った適正な受入れということについて実現を図ってまいりたいというふうに考えております。

○矢倉克夫君
この問題はやはり、民民の関係で今まで割と基本で来ていたわけですが、正直この国際貢献という理念の実現も、果たして民間だけでやるものなのか、もっと政府が関わるべきなのではないかというような問題意識が基本ございます。
私、理事始め委員各位の皆様とも視察に行かせていただいて、この技能実習制度の現場、見させていただいた。非常に良い運用のされている会社でありまして、労働環境等も含め感銘も受けたわけですが、一つ良かったと思ったのが、そういうようなそこの実習生で来られた方の一人が、そこで日本語を勉強されて通訳という形になって、帰国後はその国の会社等で働かれているという、キャリアを積まれたという実例も聞いて、良かったと思います。
要するに、技能、何を国際貢献で学んでいただくかというようなところでありますが、今の議論の並行だと、やはり、まさに働く技術、それを得てもらうこと、それが国際貢献の在り方の一つの、それで完結しているかのような部分の認識もひょっとしたらあるんじゃないんですか。
私は、国際貢献というふうに銘打つ以上は、それ以上の何かものを持っていただいて外国の方に帰っていただくというような高い目標も持たなければいけない、その一つの表れが先ほど言った日本語を学んで通訳という職を得て、そこから人生を切り開いたという外国人の方がいるというような姿勢、そういうようなものもやはり大事なのではないかと思います。
今のは日本語という言語の話でしたが、それ以外も、例えば、まさにこの日本という文化をこの技能実習制度を通じて触れる、また地域の人との関係というものを触れることで日本を通して世界を知って、国際人として更に目を開いた上で帰られる外国人の方、それがどんどんどんどん増えるということになって初めて国際貢献の制度と言えるわけですし、それは民間でやる話ではなくて、やはり国でしっかりやっていかなければいけない話なのではないかと思っております。
その上で、今少し申し上げましたが、例えばもうちょっと国としても研修生同士の横のつながりの構築や地域社会との連携、そのような部分を踏まえた在り方というものも支援するようなこともやはり必要ではないかと思っておりますし、また日本への理解も深めて国際人として成長していく手助けをする制度の在り方というものも、これも必要かと思いますが、その辺り、今現状どのようにされているか、またどうすべきかを厚労省と、また外務省からいただきたいと思います。

○政府参考人(中山峰孝君)
お答え申し上げます。
議員御指摘のとおり、技能実習生が地域社会に溶け込むこと、そして相互に交流、理解を深めることは大変意義があることだと厚生労働省としても考えておりますし、またそれがまさに制度趣旨である国際貢献に資するものだと考えております。
厚生労働省及び法務省といたしましては、この技能実習生の見直しに先立ちまして合同の有識者懇談会を開きました。その際に、その報告書におきましてこのように指摘されております。監理団体や実習実施機関による実習生と地域社会との共生に向けた取組を推進すべきであるということでございます。
厚生労働省及び法務省といたしましては、こうした指摘も踏まえまして、連携して技能実習生の地域社会との共生に向けて取り組んでいきたいと考えておるところでございます。

○政府参考人(鈴木哲君)
外務省といたしましても、技能実習生を含む外国人の受入れに際しまして、日本社会や地域コミュニティーとの相互理解を促進するとの点について、外国人の受入れと社会統合に関する国際ワークショップを毎年開催するなど、啓発活動も行ってきております。
さらに、自治体等との連携も含めまして、引き続き取り組んでまいりたいと思っております。

○矢倉克夫君
他方で、今この問題、例えば米国などは人身取引だというふうに言ったりもしている部分もある。そういう部分は今日は質問はいたしませんが、また外交努力として、そうではないんだという部分も含めて発信もしっかりやはりしていただきたいというふうに思っております。
それで、最後にまた大臣にお伺いしたいんですが、今日は法務省というよりは他省にいろいろとお聞きするような質問の時間帯が多かったわけですが、これからも分かるように、法務省が所管している案件というのも、やはり他省でいろいろ連携をしていかなければいけない案件がこれだけ多いという部分もあるかと思います。
その中において、今の技能実習制度も、法案の部分についてはまた今後更に審議をさせていただきますが、本来の趣旨に合う形にするということは、法務省もより積極的に関わっていって、他省と連携もした上でやっていくというような姿勢がやはり更に大事であるかと思っております。その辺り、法務省としてどう取り組むというところを、また大臣に最後一言いただきたいと思います。

○国務大臣(上川陽子君)
先日の、私、所信表明の中でも申し上げさせていただいたところでございますけれども、グローバル化が進んでいるわけでございまして、人と情報がボーダーレスに行き交う、そういう時代を迎えているところでございます。そういう中にありまして、外国人材の受入れにつきまして、この技能実習制度も含めまして大変大事な取組であるというふうに思っております。
先ほど来のお話ありました、技術を学んでいくと同時に日本の中でその技術を習得するという、そういう時を過ごしていただくわけでありますので、ある意味では異文化との接触というふうになるわけでございます。そういう中で、また持ち帰っていただいて、日本との関係についても深まり、またその橋渡しの役割を果たすことができるような人材という、そうした姿も期待したいというふうに思っておりますので、各省庁としっかりと連携をして対応してまいりたいというふうに思っております。

○矢倉克夫君
終わります。

189回 予算委員会公聴会(切れ目ない安全保障体制等)

2015-03-26 国会質問議事録

○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。
秋山先生、柳澤先生、今日は貴重なお時間いただきまして、本当にありがとうございます。大変に示唆に富まれたお話をいただき、有り難いなと改めて思っております。
主に秋山先生にお伺いをしたいと思うんですが、先生のお話をお伺いして一つ感銘を受けたのが、特に安全保障環境の変化ということをよく言われているわけですが、その場合、国内では防衛の関係が非常に議論をすることが多いわけですけど、先生の場合、それを、同じ状況を捉えた上で、日本の外交政策をその環境の中でどうするのかというふうに捉えられていたのは非常に感銘を受けました。
特に、日本がとりわけその中でどのようにしていくのかという話、一つの実用的な話としては投資という部分というふうに捉えた枠組みで分かりやすく教えてくださいまして、戦後秩序の中では日本も敗戦国という立場、その部分ではマイナスはあるわけですが、それを乗り越えていく価値というのは何なのかということを教えてくださったという点は非常に感銘を受けたところであります。先生のおっしゃった、日本が何をもって外交力を高めていくかという部分で、核軍縮という話をされたという理解でおります。
それで、まず前提でお伺いしたいんですが、日本が核軍縮の枠組みで外交力を維持していく、それは当然ですけれども、核保有国を入れ込んでいく形でやらなければいけない、核保有国には入るインセンティブも与えなきゃいけないわけですけど、それは、現状の認識としての確認なんですが、まず、今までの核の力というのが国と国との間の抑止力であったものが、今は核の流出の問題もあって、それぞれ、同じような核保有国であっても、国と国との抑止力という部分以外に、流出をした核がテロ組織とかに使われるというような共通の新たな敵が出てきていると。それに対してどうするかという枠組み、そこに入れ込むという意味合いで、核保有国も一緒に共有の理念を持てるというような御理解が前提にあったかと思うんですが、そこは正しいかどうか、まず教えていただきたいと思います。

○公述人(秋山信将君)
御質問ありがとうございます。
今のお尋ねのいわゆる流出ニューク、核の流出、あるいはテロリスト、非国家主体が核兵器を持つかもしれないというリスクですけれども、これは明らかに国際社会において共有されている認識であります。特に、最近のテロリストの活動が活発化しているということと、それから核の利用、原子力の利用が広がっているということで、核爆発以外にも放射性物質をまき散らすような核テロというリスクというものはより身近に感じているようになっているというのは、中東あるいはヨーロッパにおいて顕著であるというふうに考えております。
この問題を国際社会で協調して対応していくということと同時に、やはり核兵器のもたらす脅威というのは、先ほど申し上げましたとおり、単に核があるから抑止をされているという関係ということだけではなくて、核をめぐる非対称的な関係というものが恐らくより国際秩序において不安定化をもたらす、誤解やいろいろな計算違いによって紛争がエスカレートするリスクというのをもたらされるということでありますので、やはり、いかに核兵器国の間での安全保障関係を安定的にしていくのか、とりわけ米中が今後大きな焦点になっていくかと思いますけれども、これについて我々は一生懸命考えていく必要がありますし、日本はこの関係においては安全保障上当事者でございますので、日本としてもアイデアを提示していく、そのための構想を考えていく必要があると考えております。

○矢倉克夫君 その核という部分での日本の発信力を高めていって、それを日本の地域安全保障にまた高めていくという、この枠組みつくっていく上では、今既存にある枠組みの中でそのような議論ができるのか、それとも日本独自で新たに枠組みを設定していく必要があるのか。前者であれば、どういう枠組みを利用してそういうような議論をこれからしていくべきなのか。アイデアをちょっといただきたいと思いますが。

○公述人(秋山信将君)
今度、四月の末から一か月間、核兵器不拡散条約の運用検討会議がニューヨークで開かれますけれども、こうした多国間の場においては、恐らく実質的には政策的な議論の深まりということは期待できないかというふうに正直言って思います。他方で、そういう場において、核兵器の在り方について理念的な議論を深めていくということはあるかと思います。
ただ、我々が直面している安全保障上の核の脅威というものに関していえば、これは例えばそうした多国間の枠組みだけではなくて、中国との安全保障対話であるとか、アメリカと日本の間でのこうした核のリスク、核の脅威に対して共通理解を深め、さらにこれが地域の安全保障においてどのような役割を果たしていくのか、あるいはその役割を減じていくためには中国に対してどのような働きかけをしていくのか、すなわちヘッジとそれからそうした中長期的なコミットメント、アシュアランスですね、関与というものを、両方進めていく必要があるというふうに考えております。

○矢倉克夫君
まず一つ確認ですけど、核保有国に対して、核のリスクを高め、しっかり認識させるという、その部分での日本の強みというのは、やはり日本が唯一の被爆国である、核の非人道性を知っているというところ、そこをまず強調すべきだという点かと思いますが、それで正しいのかという点と、中国との関係でそういうような枠組みをつくっていく、その中で日本の今現状の外交力でここを克服しなければいけない、その枠組みをしっかりつくっていく上ではまだまだ日本の外交力高めなきゃいけないところもあると思うんですが、その辺りの課題等を教えていただければと思います。

○公述人(秋山信将君)
核の非人道性をめぐる問題、これは国際社会において最近特に関心が高まっている問題であります。日本は唯一の被爆国としてそうした問題に対してどのような姿勢を取るのかというのは注目されておるわけですが、他方で、核抑止力、拡大抑止に依存しているということで矛盾が指摘されているところではございます。
ただ、核の非人道性の問題、これは恐らく核だけにとどまらず、現在の戦闘においてコラテラルダメージを最小化していくという流れの中において考えた場合に、より核兵器が使いにくくなってきているという状況は恐らく流れとしてはあるのではないかと。
当然、他方で、さっきのロシアの例にありますけれども、引き続き核兵器の役割を維持していく、あるいは今後より大きくしていくという流れがありますので、これに対しては、やはり一つは、核兵器の使用をめぐる規範というものに対して、単に人道問題からのアプローチというよりは、戦略論でありますとか、あるいは国際法における核兵器の位置付けでありますとか、そうした精緻な議論を積み重ねていく必要があるというふうに思います。
二つ目の点ですけれども、日本が克服すべきという点ですが、やはりこれは、一つは構想力というか、多角的なチャネルで中国やアメリカとより安全保障に関して議論を深めていくための資源というのをどういうふうに我々振り向けていくのか。例えば、シンクタンクの層の薄さでありますとか、あるいはいろいろな、国会議員の先生方も恐らく先方のカウンターパートと交流を重ねておられるかと思いますけれども、そうしたところにおける対話の厚さでありますとか、そうしたものを今後、より厚くしていくということが必要ではないかというふうに考えております。

○矢倉克夫君
ありがとうございます。
柳澤先生、先ほどお話をお伺いしました、今、切れ目ない安全保障体制をつくる、私も、これをつくりつつ、いかに歯止めを掛けるのか、この二つのバランスというのが非常に難しいなと思っております。先生が先ほど御指摘くださった論点というのは、どれもこれも本当に大事な部分であるなと、一つ一つそれをしっかり詰めていって、条文の形にもした上で国民の皆様にしっかり説明すると、そのような過程が非常に大事であるなと改めて勉強させていただいた思いであります。
最後、手前勝手な部分もありますが、公明党に対しましての御期待、その部分での一言をいただければと思います。

○公述人(柳澤協二君)
今いわゆる与党の中で公明党が、言葉は適当かどうか分かりませんが、しっかりエンジンブレーキの役割を果たしていただくことを国民は期待しているんだと思います。そういう姿がしっかり見えるということが大変重要だろうというふうに思っております。

○矢倉克夫君
ありがとうございます。終わります。

安全保障法制整備の方向性Q&A

2015-03-22 ニュース

2015年3月22日(日)付公明新聞

問1 なぜ安保法制整備が必要なのか

国民の命と暮らしを守るため、切れ目ない対応を可能にする

日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増しています。大量破壊兵器や弾道ミサイルなどの開発・拡散は急速に進み、テロの脅威も深刻です。

その中で、国民を守るためには安保法制に“隙間”があってはなりません。例えば、警察や海上保安庁では対処できない場合、自衛隊がすぐに協力できる体制がないと、国民の生命・財産は守れません。

そこで昨年7月、平時から有事まで切れ目のない法整備の方向性を提起した閣議決定が行われました。

閣議決定について、明治学院大学の川上和久教授は「現実を見据えた解決への一歩」と高く評価。劇作家・評論家の山崎正和氏も「(憲法が許容する)個別的自衛権の今まで欠けていた部分を補完、拡充するもの」と指摘しています。

この閣議決定を基に今回、与党協議会が再開され、合意文書が取りまとめられました。

問2 どのような法整備をするのか

日本の平和と安全を確保し、国際平和協力へのさらなる貢献めざす

与党協議会が取りまとめた文書は、自民、公明両党が現時点で共有するに至った認識を基に、安保法制整備の方向性を示した中間的なものです。

政府が進める法整備は、(1)武力攻撃に至らない侵害への対処(2)日本の平和と安全に資する活動を行う他国軍隊に対する支援活動(3)国際社会の平和と安全への一層の貢献(4)憲法第9条の下で許容される自衛の措置(5)その他関連する法改正事項――の5分野に及びます。

日米安全保障条約を軸にして、国民の生命を守る体制をより一層、強化するとともに、人道復興支援など国際社会から高い評価を得ている平和協力の分野でさらなる貢献をめざします。

取りまとめ文書に基づき政府が主要な条文案を示す4月中頃には与党協議会を再開し、さらに緻密な議論を進めます。

5月半ばに法案の国会提出をめざします。

問3 自衛隊の海外派遣が無制限に広がらないか

(1)国際法上の正当性(2)国民の理解と民主的な統制(3)隊員の安全確保――の3原則が厳格な歯止め

自衛隊は日本の平和と安全を守るための実力組織です。それだけに自衛隊を海外での活動に参加させる以上、たとえ、その目的が武力行使ではなく、国際平和協力や人道復興支援のためであっても、慎重を期す必要があります。そこで公明党が与党協議の場で強く求めてきたのが3原則です。

一つは国連決議に基づいているなど、国際法に照らして正当性があるかどうか。二つ目は、国民の理解を得るため、国会の関与など民主的統制を明確にすること。さらに三つ目で、活動に参加する自衛隊員の安全を、これまで以上に確保することを求めました。与党の取りまとめに盛り込まれたこの3原則は、自衛隊の海外派遣が無制限に広がらないようにするための厳格な歯止めとなります。今後の安保法制整備に当たっては、法律の中に自衛隊の派遣の目的、要件、手続きを明確に書き込んでいくことが必要です。

問4 海外で戦争をする国になるのではないか

専守防衛を維持する新3要件など法案に「過不足なく盛り込む」方針

政府はこれまで、「海外での武力行使は憲法第9条の下ではできない」と解釈し、昨年の閣議決定でもこの解釈を変えていません。

「海外で戦争する国になった」との批判が一部にありますが、全く的外れです。

閣議決定は「自衛の措置」発動の厳格な新3要件【別掲】を定め、自衛隊の武力行使は、どこまでも日本が武力攻撃を受けたと同様な事態の場合に限られることを明らかにしました。これは専守防衛の範囲内です。安倍首相も「他国の防衛それ自体を目的とする集団的自衛権の行使を認めるものではない」と国会で明言しています。

今後の安保法制整備では、専守防衛を維持した新3要件と共に、安倍首相、内閣法制局長官の国会答弁の趣旨も過不足なく盛り込まれます。

「自衛の措置」発動の新3要件
(1)我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合

(2)これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないとき

(3)必要最小限度の実力を行使する

人間の安全保障リードせよ

2015-03-21 ニュース

公明新聞:2015年3月21日(土)付

質問する矢倉氏=20日 参院予算委

質問する矢倉氏=20日 参院予算委

参院予算委で矢倉氏
再エネの積極的導入促す

参院予算委員会は20日、安倍晋三首相らが出席して、「外交・安全保障」などに関する集中審議を行い、公明党の矢倉克夫氏が質問に立った。

この中で矢倉氏は、仙台市で開かれた国連防災世界会議で、防災政策の新指針「仙台防災枠組」を採択したことに触れ、「あらゆる開発政策に防災の観点を導入する『防災の主流化』は重要な視点だ」と力説。その上で、政府開発援助(ODA)の20%を人間の安全保障分野に充てるなど、「会議を契機に、防災の主流化を含めた『人間の安全保障』を日本から発信していくべきだ」と訴えた。

安倍首相は「この分野に力を入れてこられたのは公明党」と述べ、「外交の重要な柱として積極的に推進していく」と答えた。

また矢倉氏は、2020年以降の温暖化対策を話し合う国際会議(COP21)が年末に開かれることから、「(福島の)原発事故を経験した日本が再生可能エネルギーを積極的に導入して温暖化対策に取り組むべき」とし、30年の総発電量における再エネ比率の目標を30%とするよう求めた。

3.20予算委員会_不戦

2015-03-20 矢倉かつおチャンネル

【矢倉かつお】予算委員会_20150320

2015-03-20 矢倉かつおチャンネル

189回 予算委員会(安全保障法制の厳格な歯止め/人間の安全保障/再生可能エネルギーの発展/不戦の誓い等)

2015-03-20 国会質問議事録

○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。
予算委員会、テレビ入りでの質問は、昨年三月以来、一年ぶりとなります。よろしくお願いいたします。
まず、チュニジアで起きたテロ、日本人を含む尊いお命、犠牲となられました。全く許し難い蛮行であります。犠牲者の方の御冥福と、また被害に遭われた方の一日も早い回復、及び御遺族の方に対してまた心から哀悼の意を表したいと思っております。
総理より、この件、一言いただければと思います。

○内閣総理大臣(安倍晋三君)
チュニジアのテロ事件で三名の日本人が命を落とし、そして三名の日本人が負傷されました。犠牲となられた方々に心からお悔やみを申し上げ、御冥福をお祈りしたいと思います。
また、いかなる理由があったとしてもテロは断じて許されません。そして、強く非難をいたします。
事件の発生を受けまして、チュニス市について発出されている危険情報を、「十分注意してください。」から「渡航の是非を検討してください。」に引き上げたところでございます。在外邦人の安全確保に万全を期すとともに国際社会と連携を深めながら、テロとの闘いに万全を尽くしてまいります。

○矢倉克夫君
テロ組織も、かつてのような排他的な組織というものから、むしろ過激思想を媒体とした緩やかな連合体、このようなものになっていくに当たりまして、個人活動家も増える。そのような結果、安全と言われているような場所でもテロの危険というのが更に増大している部分もあるかと思います。より一層渡航者の皆様の安全喚起、よろしくお願いしたいと思います。
さて、今、テロの話もありました。まさに安全に関する環境というものも変わりつつあるという部分でもあるかと思います。今まさにこの安全保障について慎重な、またあるべき法制の協議がなされている状態であると認識をしております。
我々公明党、この部分について三つ原則お訴えをしております。一つは、まさに自衛隊派遣の正当性。そして二つ目は、国民の同意、民主的コントロール。三点目は、自衛官、この安全確保、もうこれが大事であるという点。この部分は総理も、また閣僚の皆様も始め十二分に御理解をしていただいているところであるかと思います。
私、ただ、地元に帰りまして様々お声をお聞きするんですが、多くの方にとってはやはり情報のソースというのは報道の部分もあり、何が起きているのかやっぱり不安に思われている方も多いかと思います。
やはり、今回協議をされていると言われているところは非常に広範でありまして、平時もあれば有事もあり、グレーゾーンもある。また、自衛権の行使の部分もあれば、それ以外の部分もある。また、我が国の平和に資する活動の部分もあれば、国際平和の安定に寄与する活動もある。また、後方支援とも言われている部分も類型は様々であるかと思います。そのような今議論されているのは、いろんな類型ごとに、それぞれにいかに類型に応じた歯止めを掛けていくのか、これに今慎重な御議論を私はされているというふうに理解をしております。
他方、やはり内容も複雑でありますので、国民の皆様にとっては漠然とした、戦争をする国になるんじゃないかなという不安が残っているというところ、そこはやはり克服しなければいけないところでもありますし、政治の責任としてしっかり責任を果たしていかなければいけないと思います。
その上で、総理にお尋ねをしたいんですが、この国民の皆様への理解の深化、そしてまた歯止めはしっかりと掛けるべきは掛けていくんだという力強い御決意、これが必要かと思います。総理から一言いただきたいと思います。

○内閣総理大臣(安倍晋三君)
ただいま委員からお話がございましたように、安全保障法制を進めていく上においては国民の理解が不可欠であり、かつ、自衛隊が行動していく上においては更に国民的な支持が必要であると、このように考えております。今後とも、国民の皆様に丁寧に真摯に御説明をしていきたいと思います。
特に今回の安保法制につきましては、今委員が御指摘になられたように、いわゆるグレーゾーンから集団的自衛権の一部行使容認を含む大変広範なものであります。我が国の存立を守るために、集団的自衛権の行使一部を容認するものから、例えばPKO活動、そしてまた後方支援に関わるもの等々多岐にわたるわけでありますが、その多岐にわたる中におきましても、自衛隊の活動に関わることでございますから、当然、明確な歯止めと同時に、国会のそれぞれの関与について今まさに与党で議論をしているところでございますが、与党の議論の中におきまして、国民の皆様に分かりやすい明確な歯止め等についてお示しをすることになると、このように思っております。

○矢倉克夫君
ありがとうございます。
この国民の同意、理解というのは、まさに活動される自衛官の方々にとっても非常に重要な意味があるかと思います。日々活動されるときに、その活動が国民の理解を得ているんだという安心感、これは非常に大事でもありますし、また皆様方、自衛官の方々の安全確保という部分でも非常に大きな意味合いを持っているかと思います。その意味も込めて、是非引き続きしっかりとよろしくお願いしたいと、このように思います。
さて、今日は安全保障と外交の集中審議ということであります。私からは外交について幾つかお尋ねをしたいと、このように思います。
質問の軸は、日本が世界に発する価値というもの、外交において何であるのか、この点、三点ほどテーマに分けて御質問をさせていただきたいというふうに思っております。
一点目は、まず防災であります。
東日本大震災発災から四年経過いたしました。いまだ、我々公明党といたしましても、この震災からの闘いというのは二つの風の闘いであるというふうに認識をしております。一つは風評被害、もう一つは風化、風化に対しての闘いというものが大事であるというふうに理解しております。私は、この風化というものは、単に記憶にとどめるという意味合いではなく、やはり震災から得た教訓をいかに深めていってそれを伝えていくのか、そして防災に、具体的に取組につなげていくのかという、この観点が非常に大事であると思っております。
その上で、先日、仙台で第三回の世界防災会議、大成功裏に開催を、そして終了をすることができました。関係者の皆様の御尽力に改めて敬意を表するものであります。我々公明党も、例えば地方議員三千名いるわけですが、皆様、防災士の資格も持っている、皆様というか、多くの方が持っていらっしゃる。そして、世界防災会議にも政党として唯一フォーラムも開催させていただくこともできました。
今回、被災地で行われた世界防災会議、非常に大きな意義があると思いますが、議長を務められた山谷防災大臣よりお言葉をいただきたいと思います。

○国務大臣(山谷えり子君)
三月十四日から十八日まで仙台市で開かれました第三回国連防災世界会議でございますけれども、国連加盟国百九十三か国のうち百八十七か国が参加されまして、また世界二十五か国からの大統領、首相、首脳級、また百名を超える閣僚の参加、国際機関代表、認証NGO等六千五百人以上、関連事業も含めますと延べ約十五万人の方々に御参加いただきました。当初は四万人くらいかなと考えていたんですが、約十五万人ということでありまして、我が国で開催されました国連関係の国際会議としては最大級となりました。都市化、気候変動、またグローバリゼーションなどの中で世界の災害リスクが高まっている、こういう中で防災の主流化、被害の最小化、また復旧復興のスピードアップ化、これを図っていかなければならないんだという世界の本当に大きな問題意識が高まっているからだというふうに思っております。
本会議においては、国際社会において各国の開発政策や国際協力に防災の視点が反映され、防災の取組が開発施策に組み込まれ実施される防災の主流化を目指し、新たな国際的な防災の枠組みである仙台防災枠組二〇一五―二〇三〇、つまり、あと十五年間この仙台防災枠組をみんなでしっかりと取り組んでいこうじゃないかと、そして、高いレベルでのコミットメントを示した仙台宣言を採択するなど大きな成果がございました。
今、私、十八日までと申しましたのが、正確には、本当に実りある議論が熱く交わされまして、実際には十九日の午前零時半まで会議が行われ、そして私が議長として記者会見が終わったのは午前一時半でございました。防災の主流化、これはコストではなくて投資なんだと、そして事前防災、被害の最小化、そしてビルド・バック・ベター、より良い復興という概念、災害に遭う前よりもより良い復興ですばらしい状態にしていこう、そしてまた、多様な主体の参画、様々な国や地方の自治体だけではなくて、市民、NGO、メディア、企業、様々な参画によってそれを成し遂げていくんだという確認と具体的行動につながる方針が、枠組みが示されたわけでございます。
我が国にとりましては、東日本大震災を始めとする幾多の災害から得られた知見や技術等を世界と共有するとともに、東日本大震災の被災地の復興の現状や取組を発信する重要な機会となりました。本国連防災世界会議は様々な成果を上げまして、国際社会における防災の主流化を進めていく上で重要なターニングポイントになったと思います。一里塚になったと思います。これから、秋の国連総会、またCOP21等でも、こうした防災の主流化という考え方は主流の中に位置付けられていくのではないか、大きな議論になっていくのではないかというふうに思います。
我が国は、様々な自然災害に遭いやすい環境にございます。そして、我が国は、それから得られた知見、ハード、ソフトの組合せ、あるいは技術、ノウハウ、これを世界に強く発信しまして、委員がおっしゃられるように、この防災の分野で日本は国際貢献をしていくんだ、できるんだということを発信し、世界のみんなを幸せにしていきたいと思います。

○矢倉克夫君
今大臣おっしゃってくださいました、今まで三回とも日本でされていたわけですが、今回は首脳級の方も多く来られた非常に盛大な、そして非常に実りのある会合であったと思います。
大臣から様々にいろいろ御説明をいただいた、特に私も示唆をいただいたのが、この防災の主流化という観点、大変に重要な視点であると思います。あらゆる開発政策やまた計画などにはこの防災の観点というのを導入するということ、とりわけ、例えば途上国などはやはり目の前の貧困というものをどういうふうに対処をしていくのかというところにやはり目が、どうしてもそれは必要性として仕方ないところではありますが、この防災という部分、災害の部分というのは、偶発的であったりしてなかなか対策としては後回しになる部分があると。
ただ、一回起きてしまうと、まさに、目的とする貧困の部分もそうですが、開発の部分も全てなぎ倒してしまうような災害、こういう部分こそ、やはり先進国も含めて途上国にしっかりと対策をしていく防災対策というのは大事なんだと、そこを主流に持っていくという観点というのは、やはり日本から発信するべき価値でもあり、大事な部分であるというふうに私も思っております。
それで、この観点からも含めてなんですが、今回日本が提案された仙台防災イニシアティブ、これについて岸田外務大臣から御説明いただければと思います。

○国務大臣(岸田文雄君)
今回、第三回国連防災世界会議の機会に、我が国の防災分野での貢献策として、安倍総理から仙台防災協力イニシアティブを発表いたしました。二〇一五年から四年間で、防災関連分野で二十億ドルの資金協力と四万人の防災・復興人材育成を表明した次第です。
このイニシアティブにおきまして、日本の知見と技術を世界に共有しながら、国際社会とともに災害に負けない強靱な社会を構築していく姿勢を打ち出した次第ですが、その中にありまして今までの防災の議論との比較において特筆すべき点としましては、一つは、今委員の質問の中にもありました、災害が発生するたびに一つ一つ対応するんではなくして、長期的な視点で防災に投資することが重要だという考え方、そして先ほど山谷大臣の答弁の中にもありました、より良い復興、ビルド・バック・ベターと称しておりますが、災害後が災害に強い国あるいは地域づくりのための抜本的な措置を実施する良い契機となるという考え方、さらには女性のリーダーシップ、これを強調した点、この点が特筆すべき内容だと考えています。

○矢倉克夫君
防災の主流化という観点も含め、様々な日本の知見を生かしたすばらしいプログラムであると思います。
今日はお手元に資料を配らせていただいております。最近、バヌアツの方で御案内のとおりサイクロンが起きて、九割建物が倒壊するというような被害もありました。こちらなんかも、特に島嶼部など、やはり脆弱性というものがあるかと思います。一回、こちらが、このような写真も、今パネル等にはしていないんですが、あのようなサイクロンが起きて九割も建物が倒壊する、そのような中での支援等の在り方というものを、やはり今回の知見も生かしてやっていくべきではないかと思っております。
また、五月にはいわきで島サミットが行われるというふうに聞いております。まさに今回の仙台の防災会議もそうですが、日本の知見を、防災という知見をこの島嶼部の皆様、また今度は被災地のいわきでやる、これも非常に象徴的な意味合いもあると思いますし、これは是非成功をしていただきたいと、このように思っております。
さて、今回の会議を通じまして、やはり防ぐ体制を取る、そして教訓を伝えていくという日本の、風化、この闘いの精神が国際社会にしっかりと伝わっているということが私も確認をさせていただきました。
さて、総理、世界防災会議、大変に大成功をいたしまして、私はこれは日本であるからこそできたものだと思います。私もお会いしたある政府の方が、もう日本はあの震災から立ち上がってたくましく一歩一歩でも進もうとしていると、その日本が言うから説得力があるんだというふうにおっしゃっておりました。
あともう一つは、やはり日本が持っている強さというのは、これ日本も、総理も会議で冒頭でおっしゃっていた人間の安全保障という観点、非常に強くあります。
これまでも日本は、防災を含めた人間の安全保障というところではトップランナーを歩んでおりました。人間一人一人を恐怖や欠乏などの幅広い脅威から守り、一人一人の豊かな可能性を実現する社会、これをつくっていくと。国連決議でも、武力の行使とはまた別にこういう理念がしっかり大事なんだということを安全保障ではうたわれていたところではあります。国連事務総長も、日本は人間の安全保障のチャンピオンであるというふうにおっしゃっています。
私も、この防災会議を契機に、防災の主流化を含めた人間の安全保障、これを日本から積極的に発信していく価値であるということを更に具体的に訴えていくべきだと思いますし、その行動をまたしていくべきだと思っております。例えばODA、政府開発援助、二〇%程度を人間の安全保障にしっかり充てていく、このような姿勢もあるかと思います。このような点も含めて、総理の御所見を伺いたいと思います。

○内閣総理大臣(安倍晋三君)
人間の安全保障、安全保障の前に国家ではなくヒューマン、まさに人間というこの概念を打ち出したわけでありまして、これは国連におきましても主流的な考え方、概念となりつつあると、こう思います。人間一人一人に焦点を当て、その保護と能力の強化を通じ、人々が持つ豊かな潜在能力を存分に開花させることを目指す理念であり、矢倉委員も、また御党もこの分野について力を入れてこられたわけでございます。
政府としては、人間の安全保障を外交の重要な柱として積極的に推進していく考えであります。今般閣議決定した開発協力大綱においても、人間の安全保障の推進を基本方針の一つとしています。その観点から、来年度の一般会計政府予算案においても、ODA予算の二〇%以上を人間の安全保障の推進に充てることにしております。

○矢倉克夫君
ありがとうございます。
この人間の安全保障を引き続き柱として、しっかり訴えていきたいと思っております。
次に、二つ目は環境でございます。
今、とりわけ温暖化対策、本年十二月には国連の気候変動に関する会議、いわゆるCOP21、開催をされます。COPというのは英語で言えば締約国会議、条約の締約国の会議という意味合いの頭文字を取ったCOP、これの二十一回目の会合ということでCOP21であります。こちらがフランスのパリで開かれるというふうにお伺いをしております。
今、この会議をめぐる各国の現状と、また日本の状態、それをそれぞれ外務大臣と環境大臣よりいただきたいと思います。

○国務大臣(岸田文雄君)
まず最初に、先ほど仙台防災協力イニシアティブの答弁の中で、私の方から四年間で二十億ドルの資金協力と申し上げたようでありますが、正確には四十億ドルの資金協力でありました。おわびを申し上げ、訂正をいたします。
そして、今の御質問についての答弁でありますが、本年末に、御指摘のようにパリでCOP21、開催されます。二〇二〇年以降の新たな国際枠組みに合意すべく交渉が行われているところです。そして、これ既にCOP19の段階で確認されているわけですが、各国は自国の温室効果ガス削減目標について、COP21に先立ち準備ができる国は三月末までにこうした目標を提出するということになっております。
そして、各国の動きですが、EU及びスイスは既に削減目標を提出しています。米国は三月末までに提出することを表明しています。また、豪州は今年、二〇一五年半ばまでに公表するとしております。そして、中国は二〇一五年第一・四半期に公表するよう努力をする、こうした表明を行っていると承知をしております。

○国務大臣(望月義夫君)
気候変動問題は人類が直面する重大かつ緊急の課題でございまして、今年のCOP21で全ての国が参加する公平かつ実効的な枠組みの構築が極めて重要でございます。
昨年私が出席いたしましたCOP20、ちょうど衆議院の解散の選挙のときでございましたけれども、その間に私出席させていただきました。国連の潘事務総長を始め、各国の大臣とバイ会談、九か国ぐらい、様々な国の皆さんから日本はどうだというような形でお話合いをさせていただきました。新しい枠組みの合意に向けて世界各国の熱意と意欲が非常に強いと、これ何とかまとめなきゃいけないと、そういったものを感じたところでございます。
先ほど外務大臣の方から御説明されたとおり、これまでスイス及びEUが、これは非常に野心的な約束草案を提出いたしました。米国も三月末までに提出する意向を表明をしております。こうした国の、各国の動きは新たな枠組みの議論の促進につながるものと私たちは評価をしております。
世界の主要排出国であるとともに、優れた、潘事務総長も日本の国はすばらしいテクノロジーがあると、そういうような話をしていただきましたが、低炭素技術を有する我が国としてもCOP21の成功に向けて積極的に貢献をしていきたい、このように思っております。

○矢倉克夫君
今、EU等のお話もありました。今回のCOP21も開催国はフランス、その前の六月だったと思いますが、G7がドイツで行われると思いますが、そこでの議題も気候変動になっている。いろいろな部分でEU、更に議論を主導していこうという動きもあるかと思います。
また、アメリカなんかも、京都議定書はやはり批准はできなかった。内部のいろいろ問題があったと思うんですが、今回は今までとは違って目標、努力目標という言葉が正しいかどうか分からないですけど、各国が決めて、そこを努力をしていくという姿勢に改めたことでアメリカも入るようになりました。
また、中国が、昨年の十一月だったと思いますが、アメリカと中国で温暖化削減について合意をするということも世界に非常に驚異、驚きを与えたわけですけど、日本だけは今のところやはり時期をいつ頃にするかというのはなかなか見えないというところはあるかと思います。今おっしゃったとおり、日本はこの部分で先進的にやる必要はあると思います。
その辺り、環境大臣、どのような対策が必要か、また改めていただきたいと。端的にお願いいたします。

○国務大臣(望月義夫君)
この新たな目標につきましては、その検討を今先生おっしゃったように加速するというような形で、昨年十月から中央環境審議会、それからまた産業構造審議会の合同専門家会合で議論を行っているところでございます。これまでにもう既に五回の会合を開催して、省エネルギー対策、再生可能エネルギーの導入、地球温暖化防止のための国民運動などについて様々議論をいただきました。
今後も、COPの決定、各国の動向や将来枠組みに係る議論の状況、そしてまた、エネルギー政策やエネルギーミックスに係る国内の検討状況を踏まえて、新たな削減目標をできるだけ早く、もう我々も相当早急にやるようにということでやっておりますが、取りまとめることを目指して検討を深めていきたい、このように思っております。

○矢倉克夫君
取りまとめに御尽力をいただければと思います。
やはりこの日本、いかに目標を設定するのかというところ、とりわけ大事な部分は、今大臣からもお話のありました再生可能エネルギー、この部分は非常に大きいかと思います。これをどの程度しっかりと導入をしていくのかというところも大事な要素であるかと思います。震災とともに原発事故を経験いたしました日本といたしましても、この再生可能エネルギーを積極導入することで温暖化対策もしていくという部分、これも世界に発する私は価値であるというふうに改めて思っております。
昨年の与党のワーキングチーム、こちらでも再生可能エネルギーの比率を二〇三〇年に三〇%にすべきと議論もいたしました。政府にその辺りの野心的な検討というものも要望をした部分であります。
総理も、今国会の施政方針演説において、あらゆる施策を総動員して、再生可能エネルギーの最大限の導入を進めてまいりますとおっしゃってくださっております。この再生可能エネルギー三〇%程度、この辺り、しっかりと目標にすべき部分もあるかと思いますが、総理の御所見をいただければと思います。

○内閣総理大臣(安倍晋三君)
再生可能エネルギーは、エネルギー安全保障の強化、そして今委員が御指摘になったように、低炭素社会の創出の観点から重要な電源であります。
このため、政府としては、再生可能エネルギーの最大限の導入を進め、二〇三〇年の発電電力量の約二割を更に上回る水準の導入を目指すこととしています。そのため、固定価格買取り制度を軸に、技術開発や規制改革等を組み合わせて、今後とも再生可能エネルギーの最大限導入を目指して全力を挙げていく考えであります。
なお、再生可能エネルギーの具体的な導入比率を含むエネルギーミックスについては、現在、審議会において専門家による具体的な議論を進めているところでございまして、各エネルギーの特性やバランスを十分考慮をしつつ、現実的かつバランスの取れたエネルギーミックスを取りまとめていく方針でございます。

○矢倉克夫君
先日、ドイツのメルケル首相、訪日をされました。ドイツなどは北部の方に風力発電が非常に多い。その北部の風力をいかに南部に持っていくのか、その技術革新というものが再生可能エネルギー発展に非常に大きな要素だと思います。
この再生可能エネルギーというのは、やはり地域偏在が大きいというものを、それをどのように克服していくのか、電力系統問題もありますし、地域連合という辺り、その辺りの環境整備というものが非常に大事であると思います。そこの辺りにまた政治の部分でしっかりとリーダーシップを発揮していただいて、再生可能エネルギー推進にまた引き続き御努力をいただきたいと、このように思っております。
では、最後に三点目。私が最後三点目にやはり世界に発すべきと思う部分は、やはりこれは不戦、戦争をしないというところ、ここは大きな要素であるかと思います。
先日、ある東南アジアの国の外務大臣とお食事する機会に恵まれました。非常に国民レベルでも友好的な関係を取ってくださっている国であります。やはり、戦後七十年たっているこのときが非常に大事であるというふうにおっしゃいました。その国の方々も、日本と近隣諸国、この関係がどうなるのかということを注視しているというふうにおっしゃっておりました。私も、そのお話を聞いて、アジアの方々、やはり世界の方々、とりわけこの日中、日韓、この関係がどうあるのかということを注視をしていただいているんだなということを改めて実感もいたした次第であります。
世界も注視する日本と中国、日本と韓国の関係、これをいかに胸襟を開いて語り合う仲にするかというのは、言うまでもなく両国間の国民にとって非常に重要な部分もありますが、やはり世界にとって、不戦という誓いをしっかり発揮していく、その意味合いでも大きな大きな強い意味があるんじゃないかなというふうに思った次第であります。
それで、先ほども話も出ましたが、世界防災会議で、山谷大臣、今回、中国の閣僚の方が三年ぶりぐらいだと思います、防災担当大臣、李大臣だったと思いますが、いらっしゃって、会談されたと思います。そのときのお話をいただければと思います、御感想等も含めて。

○国務大臣(山谷えり子君)
第三回国連防災世界会議の期間中、十余りの国や国際機関の要人と会談を持つ機会がありまして、中国の李立国民政部長、閣僚に当たる方でございますけれども、会談を行いました。
本会談においては、国際社会における防災の主流化、開発や日々の暮らしに防災という視点を入れていくことが重要だという防災の主流化の推進、防災への事前投資や、より良い復興、ビルド・バック・ベターの重要性などについて意見交換をいたしました。また、本年日本で開催予定の日中韓防災閣僚級会合へ李立国民政部長の参加を招請するとともに、実務レベルでの防災協力の推進についても話をしたところであります。防災分野で緊密な連携が取れるというふうに考えております。
今後とも、このような機会を捉え、引き続き防災分野の協力を進めていきたいと考えております。

○矢倉克夫君
私も、昨年三月に質問をさせていただいたとき、この世界防災会議、このような国益とまた人類益、こういう共通の課題でやはり語り合う必要性というものをお訴えをさせていただきました。やはり今、中国の閣僚も来てお話もされたということで、深い意義があるかと思っております。総理も、昨年、APEC、習近平国家主席と会談をされており、様々な分野で日中関係、動きが生じていると思います。
例えばこの一月には海上連絡メカニズム第四回の実務者協議が二年七か月ぶりに開催、海上連絡メカニズム、空路の部分も含まれると思いますが、この辺り開催もされた。また、昨日は四年二か月ぶりに日中安全保障対話、開催をいたしました。また、明日は日中韓の外相会談等もされるというふうな、そう受けております。このような形で動き出した形がある。少なくとも一年前よりも更に動きは生じているというふうに思っております。公明党もまた、与党の幹事長が四年ぶりにまた中国の方で会談もされるということも聞いております。この流れをしっかりとつくっていかなければいけない、確実なものにしていかなければいけないと思っております。
もとより、外交ですので、ただ仲よくしようといって仲よくなれるわけではなくて、やはり当然、中国に日本と付き合うことがメリットがあるというふうに思わせる必要はあるかと思います。防災の話もそうですし、経済の部分の話も何といってもそうかと思います。中国の日本の対中投資がかなり落ちてき出しているところ、これは投資をてこにしたやはり影響力の低下という部分もあります。それはしっかり日本の企業が中国に投資をしやすいような環境を政府間でやっていく、そのようなことを通じて、投資を更に促進していくことで対中に対する影響力というのも大きくなってくると思います。また、中国、環境問題も、PM二・五、非常に問題になっています。この辺りは日本がしっかり主導をしていく。これはやはり中国にとっても、また韓国にとっても、日本に頼らなければというふうに思わせるやはり要素である。そういうところをしっかりと使っていくことがやはり大事であるかと思っております。
その上で、時間もなくなりました、最後に総理にお訴えをしたいこと、やはり大事なことは、指導者の相互信頼関係構築、これに向けた信念、これであるというふうに思います。やはりリーダー同士がどのような信念を持って何を目的にして語り合うかという、この覚悟というのが非常に大事になってくると思います。
昨年、総理、私の質問に対しまして、習近平主席、また朴槿恵大統領とも私は大体同じ世代でもあると、このような三人のトップリーダーの間で密接な関係を何とか築いていきたいと、このように思うと、そうした関係を築くことが地域の発展に間違いなくこれは資すると、引き続き尽力をしていく決意である、こう力強くおっしゃってくださいました。
外交というのは、国内世論とのまた違う部分も、ひょっとしたら動きや要素も出てくるかもしれませんし、しかも相手がいることでなかなか難しいところではありますが、是非、総理に当たりましては、この不戦という思い、これをしっかりと日本から発していって共有をし、そしてまた共有させるという深い気迫を持って、是非とも日中関係、日韓関係改善にまた御尽力いただきたいと思います。
最後、一言いただければと思います。

○内閣総理大臣(安倍晋三君)
日本は戦後ひたすら平和国家としての歩みを進めてきたわけでございます。そして、自由で民主的な国をつくり、人権を守り、法を尊ぶ国としてきたところでございますが、その中におきまして、多くの国々に日本のこれからの更なる役割が期待されているところでございますが、当然、その中で、例えば日中関係について多くの国々が関心を寄せているわけであります。それは、地域の平和と安定において、日本と中国が健全な関係を持っているかどうかということになってくるわけであります。そういう意味におきましては、まさに日中も地域と平和と安定にお互いに責任を持っているということではないかと思います。
こうした観点も含めまして、昨年、APECの際に習近平主席と会談を行いまして、戦略的互恵関係の原点に立ち戻って両国関係を発展させていくということになりました。そして今御紹介をいただきました海上連絡メカニズム、上空も含めまして、これは第一次安倍政権のときに呼びかけたものがやっと今度初めて実施されることになったところでございます。
また、朴槿恵大統領とも、幸いマルチの会議の中の晩さん会でゆっくりと胸襟を開いてお話をする機会も得たところでございます。
日本側は常に対話のドアはオープンにしているわけでございますが、その中で、今委員が御指摘になったように、首脳同士が信頼関係を構築をしていくことがまず大切ではないかと、このように思っております。むしろ、課題や問題があるからこそ、首脳同士が話をするべきだと思います。
明日、約三年ぶりに日中韓外相会議がソウルで開催されます。三か国間の実務的な協力案件や地域・国際情勢について外相間で議論が行われることは大変喜ばしいと思っております。この外相会談の中で、日本としては、環境、防災、さらにはテロ対策あるいはFTAなど、実務的な協力案件や地域・国際情勢について意見交換を行い、日本とつながっていくことのメリットを感じてもらいたいと、このように思っております。

○矢倉克夫君
終わります。ありがとうございます。

統一選 実現力の公明勝利を

2015-03-16 ニュース

公明新聞:2015年3月16日(月)付

山口代表ら 激戦に挑む予定候補と訴え

公明党議員は行動力、実現力が違う!―。公明党の山口那津男代表らは14、15両日、統一地方選で大激戦に挑む予定候補者の応援に駆け付け、必勝への力強い支援を呼び掛けた。

安藤県議への絶大なる支援を訴える山口代表=15日 埼玉・新座市

【埼玉県新座市】山口代表は15日、埼玉県新座市内で開かれた時局講演会に出席し、あいさつ。県議選で定数2の激戦に挑む安藤ともき県議が、必勝への決意を述べた。

席上、山口代表は、公明党が他党にはないネットワークの力で、学校耐震化やプレミアム付き商品券を推進してきたことを紹介。その上で、「安藤県議は、1期4年間で5000件もの市民相談を受け、それに一つ一つ応えてきた。若さと行動力、粘り強さを持っている」と述べ絶大なる支援を呼び掛けた。

この問題こう考える(5)派遣法改正

2015-03-09 ニュース

2015年3月9日(月)付 公明新聞より

「生涯ハケン」は的外れ
教育訓練を義務付け 正社員希望者に道開く
公明党はブラック企業対策を着実に推進

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今国会への再提出が予定されている労働者派遣法改正案に対し、「労働者を派遣のまま使い続けるもの」「生涯ハケン」などの批判がありますが、全く的外れです。

改正案は、正社員を希望する人には正社員への道を開き、派遣という働き方を望む人の処遇の改善を促すものです。

現行制度は、通訳や秘書など「専門26業務」であれば、派遣労働者の働ける期間の制限がありません。それ以外の一般的な人材派遣業務であれば、一つの仕事につき上限が原則1年、最長3年となっています。現行制度の課題としては、(1)「専門26業務」が分かりにくい(2)派遣労働者の能力開発に関する定めがない(3)雇用安定の取り組みが不足―と指摘されています。

そこで改正案では、派遣元(派遣会社)に有期で雇用されている派遣労働者については、派遣先の同じ職場で働ける期間の上限を全ての業務で3年に設定。これにより派遣労働の固定化を防ぎます。

また、計画的な教育訓練やキャリア形成に関する相談支援の実施などを派遣元に義務付け、正社員を望む派遣労働者を後押し。併せて、派遣労働者の正社員化に取り組む派遣先への「キャリアアップ助成金」も拡充します。

さらに、期間制限3年を迎える派遣労働者の生活を守るため、派遣先への直接雇用の依頼や新たな派遣先を提供するといった「雇用安定措置」を、派遣元に義務付けます。全ての派遣事業を許可制にして、派遣元の質の向上も進めます。

若者を使い捨てにする、いわゆるブラック企業について、不安をあおるだけの無責任な主張に対し、公明党は具体的な対策を進めてきました。

例えば、公明党はハローワークへの在職者向けの相談窓口の設置や、無料電話相談などを実現。今国会では、公明党が法制化を提言した青少年雇用促進法案の提出・成立をめざしています。若者の雇用に関する初めての法案で、若者が安心して就職できるルール作りが柱になっています。

この問題こう考える(4)安全保障のあり方

2015-03-07 ニュース

2015年3月7日(土)付 公明新聞より

他国防衛は許されず
憲法の下、専守防衛に限定
「外国で戦争ができる国」との批判は誤り

昨年7月1日の安全保障法制整備に関する閣議決定について、「政府は『憲法第9条の下で集団的自衛権の行使はできない』としてきたこれまでの政府解釈を閣議決定で変更し、集団的自衛権の行使を容認した。日本は外国で戦争ができる国になった」とする批判が一部にあります。しかし、これは全くの誤りです。

政府は憲法第9条の下で許される武力行使は自国防衛に限られ、他国防衛のための武力行使はできないと解釈してきました。閣議決定はこの政府解釈を厳守したもので、専守防衛という安全保障の基本は何ら変えていません。

その上で閣議決定は、核、弾道ミサイルなどの大量破壊兵器の拡散、拡大する国際テロやサイバー攻撃、大国間の軍事バランスの変化といった厳しい安全保障環境に対応するため、憲法第9条の下で許容される「自衛の措置」の限界について新たな考えを示しました。

まず第1に、日本に対する直接の武力攻撃だけでなく、他国に対する武力攻撃が発生した場合でも、これにより「日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が覆される明白な危険」があれば、「自衛の措置」として自衛隊に武力行使を認めました。

しかし第2に、その「自衛の措置」は、国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がない場合に限られ、第3に、必要最小限度の実力行使にとどまるべきことも定められています。

憲法第9条の下で許される「自衛の措置」は、この3要件が満たされた場合に限られます。この「自衛の措置」は、国際法上、集団的自衛権が根拠となる場合があります。しかし、決して「他国の防衛それ自体を目的とする武力行使」ではなく、丸ごとの集団的自衛権の行使を認めたものでもありません。どこまでも憲法上は自国防衛のための「自衛の措置」の範囲内です。

この3要件があるため、自衛隊が憲法第9条が禁じる海外派兵を実施することはできません。公明党は、今後の安全保障法制の整備においても、これらの原則を的確に反映させていきます。

この問題こう考える(3)年金制度

2015-03-06 ニュース

2015年3月6日(金)付 公明新聞より

支給を増額、生活守る
給付と負担を均衡させ基盤強化
「世代間の助け合い」維持、将来の給付水準も確保

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今年4月分から年金支給額が減ると言われていますが、それは間違いです。2015年度の年金額の改定では、平均的な支給額は、国民年金が1人当たり608円増の6万5008円、厚生年金が夫婦2人の標準世帯で2441円増の22万1507円となります。

ただ、マクロ経済スライドというルールが15年度から初めて適用されるので、マクロ経済スライドを実施しない場合に比べると国民年金で月額約600円、厚生年金で同約2000円ほど抑制される計算です。

年金は物価や賃金上昇の状況に応じて毎年支給額を調整します。04年の改正により、将来世代の負担が過重にならないよう、保険料の上限を決めて、その範囲内で支給額を決めるようになりました。このような仕組みの中で、長期にわたって給付と負担の均衡が図られるよう、現役世代の人口と、年金を受け取る人々の平均余命の伸びに応じた調整率を、賃金や物価による上昇率から控除するマクロ経済スライド(名目額を下回らない範囲で)が併せて決まりましたが、物価が下がるデフレ経済が続いたため、凍結されてきました。

この仕組みを実施することによって、将来世代の年金の給付水準の確保につながります。

年金は、高齢者や障がい者、一家の大黒柱を失った遺族などの暮らしを経済的に支える大事な制度です。また、年金制度は世代間の助け合いの仕組みであり、少子高齢化が進む中で、年金の長期的な持続可能性を確保し、将来世代の給付水準を確保するうえで、マクロ経済スライドは欠かせないものです。

年金の支給額と現役世代の負担を調整し、年金制度の基盤を強固にすることが重要です。

この問題こう考える(2)介護報酬引き下げ

2015-03-05 ニュース

2015年3月5日(木)付 公明新聞より

サービス低下つながらず
月1.2万円の職員処遇改善を実現
事業別加算で従来並みの収入確保も可能に

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介護サービス事業者に支払う「介護報酬」が4月に改定され、2.27%の引き下げとなります。これを受け、「介護報酬引き下げはサービス低下につながる」との指摘がありますが、報酬引き下げイコール、サービス低下という話ではありません。

世界で例のない超高齢社会を見据え、社会保障制度の維持と安定のためには、時にかなった改革が必要です。介護分野においては、より適切なサービス提供と、それを支える介護人材の確保、処遇改善が喫緊の課題です。

そこで2015年度予算案では、他分野に比べ低く抑えられている介護職員の給与について、1人当たり月額1万2000円程度を別枠で確保し、引き上げます。また、今回の報酬改定では、より利用ニーズが高い認知症の人向けのサービスに取り組む事業者や、在宅生活を支える定期巡回・随時対応サービスを行う事業者などには報酬を手厚く加算することで、これまで並みの収入を確保することが可能となっています。利用者の視点で見れば、サービス向上が期待できる内容です。

介護保険制度が始まった00年度の介護費用は約3兆6000億円でしたが、14年度には10兆円に。全ての団塊の世代が75歳以上となる25年には21兆円にまで達する見込みです。毎月の保険料も、現在の約5000円から8200円程度に増えるともいわれています。

介護報酬はサービス利用料や保険料に直結しています。報酬を1%引き下げれば、国民負担は年間約1000億円軽減できます。今回の改定で、65歳以上の介護保険料は当初、全国平均5800円となるところが、230円抑えられ、5500円程度となる見通しです。

40歳から64歳までの保険料上昇も抑えられます。

これからも公明党は、必要な介護サービスを充実させつつ、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けられる社会づくりに全力で取り組んでいきます。

【矢倉かつお】憲法審査会質問_20150304

2015-03-04 矢倉かつおチャンネル

この問題こう考える(1)社会保障と消費税

2015-03-04 ニュース

2015年3月4日(水)付 公明深新聞より

財源に「別の道」なし
法人・所得税では支えきれず
公共事業費、防衛費を全部削っても無理!

政策課題に関する一部野党やマスコミの主張について、その問題点や公明党の考えを紹介します。

選挙が近づくにつれ、消費税に頼らなくても社会保障を維持できる「別の道がある」と主張する三つの“まやかし”論が横行します。

少子高齢化が進み、税金や保険料を納める現役世代の人口が減る一方、年金や医療、介護など社会保障に充てる国の費用が毎年、1兆円規模で増えています。国の2015年度予算案で見ると、社会保障予算31.5兆円に対し消費税8%分の税収は国・地方合わせて約22兆円です。どうやって22兆円もの財源を捻出するのでしょうか。

“まやかし”論の第1は、社会保障の財源を確保する方法として「公共事業予算や防衛費を削れ」という主張です。しかし、15年度の公共事業費は約6兆円、防衛費は約5兆円。仮に、これら全部を削っても消費税の半分程度に過ぎません。公共事業費のうち、防災・減災対策など国民の生命や財産を守る予算を大幅に削ることもできません。

第2に「大企業、金持ちに増税しろ」と言います。例えば、消費税を5%から10%に5%引き上げる分を法人税で賄おうとすれば、法人税率が現在の2倍以上となり、日本企業の競争力低下や海外移転を招いて働く場を失うことにつながります。同様に、所得税では所得税率が2倍近くに跳ね上がり、現役世代を直撃し、課税を免れる富裕層の海外逃避が加速。日本経済は不景気のどん底に突き落とされます。

第3に消費税が「公共工事など他の目的に使われている」という主張も“まやかし”です。「税制抜本改革法」(12年8月に成立)をよく見るべきです。消費税は年金、医療、介護、少子化対策だけに充てることが法律に明記されており、社会保障以外の目的には使われていません。

“まやかし”論の最大の欠陥は、社会保障の負担と給付の全体像がないことです。10年後、20年後の日本の社会保障をどう守っていくのか、明確なビジョンを示さず有権者受けを狙うのは、あまりにも無責任です。

189回 憲法審査会(参考人質疑 憲法における人権の制約等)

2015-03-04 国会質問議事録

○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。
お二人の先生方、貴重なお時間頂戴いたしまして、本当にありがとうございます。様々な示唆を与えていただきました。
時間の関係もありますので、早速質問を入らせていただきたいと思います。お伺いしたいのは、日本国憲法における人権の制約についてであります。
御案内のとおり、公共の福祉による制約というのは明文化もされているわけですが、これについては、なぜそもそも公共の福祉とならないのかという点では、人権と人権の衝突の調整であるというところを宮沢先生もおっしゃっている部分が今まで基本であったかと思うんですが、他方で、例えば、町の美観の維持であったり、性道徳もまた維持するという、人権の衝突以外の場面についてまた制約も受けるというような考え方もあると思うんですが、この辺りについてはどのようにお考えなのか。公共の福祉というふうにどう捉えていらっしゃるのかという部分も含めて、まず百地先生から、その後、水島先生からいただければと思います。

○参考人(百地章君)
ありがとうございます。
公共の福祉論ですが、実は学説の唱えるところ、通説、宮沢説を通説とするならば、宮沢説の主張するところと判例とは大きく異なっておりまして、宮沢説では公共の福祉というのは人権相互の矛盾、衝突を調整するものであると、実質的公平の原理であると言っていますね。確かに、そう書かないと司法試験にも通らないようでございますけれども。
しかし、実際の最高裁判決を見たら、例えばチャタレー事件であれば、あれはわいせつ文書の規制、表現の自由の規制ですよね。あのときに、人権相互の衝突の調整になっているかどうか。わいせつ文書の規制の法益ですよね。何のために規制を行うかというと、これは、性的秩序を保護し、最小限度の性道徳ですか、これを、済みません、ちょっと上がっておりまして、性的秩序を守り、最小限度の性的道徳を維持すると、だったと思いますけれども、そういった表現をしておりまして、ここには人権相互の衝突という発想はありません。
そのように、最高裁は、例えばデモ行進にしても、公安条例にしましても、これ、例えば同じ道路を通過する歩行している人たちとの調整のために規制が許されるなんていう議論ではなくて、公共の安寧秩序を維持するためにデモ行進の規制は許されるというのが最高裁の判例であります。
したがいまして、その辺、私は、学説の言うところは一つの説明としては分かりますが、やはり多くの国民、常識的な国民を納得させる説明にはなっていないと、最高裁の言っていることが私は妥当だと思っております。
もう一つは、済みません、宮沢教授については、私に言わせると、国家論がないからこういう議論になっている。つまり、人権以上の価値は存在しない、国家といえども人権よりも下にあるんだという、そういった議論をされているわけですね。この国家というのが政府のことであるならば、つまり国民、その政府の下に国民があるというのはおかしいんじゃないかという議論になるかもしれません。しかし、国民共同体としての国家というものを考えるならば、その国民共同体の例えば存続、維持のために人権が一時的に制約されるということはあり得るわけでありまして、この国家論の不在が宮沢教授のこういった議論をもたらしているんじゃないかなというふうに私は考えているところであります。

○参考人(水島朝穂君)
国家論を前提にしながら憲法をという百地参考人のお立場というのは、憲法学界の中では常に存在してきた少数説でありますけれども、基本的に憲法学の観点から公共の福祉というものを考えたときに、初期の最高裁判例のように、むき出しの公共の福祉によって人権は当然制約されるという議論は卒業いたしまして、御承知のような宮沢教授の影響だけではなくて、最高裁の判例の中でも、先ほど公共の安寧秩序で最高裁も当然だというのはこれミスリーディングでありまして、新潟公安条例判決も東京都公安条例判決もそれぞれ論理違うんですけれども、明治憲法下のような、あるいは自民党改憲草案のような公共の秩序や安全というのをむき出しで、むき出しでデモ行進やわいせつやそういうものにするという時代はもうとっくに卒業しているはずでありまして、六〇年代以降の最高裁の判例を見ても、いろんな意味でもそれぞれの利益の調整についてはかなり工夫をされるようになっていますから、その意味で、公共の福祉による制限を絶対認めない的な議論で憲法学は近年やっておりません。
分かりやすいあれを出せば、わいせつです。わいせつでチャタレー判決があったときのあの公共の福祉、かなり最高裁は大きく大上段に振りかぶってきたわけですけれども、近年、わいせつについては、例えばジェンダー論の観点なども含めて、女性に対するあれは差別なんだという観点からキャサリン・マッキノンの議論などが出てきたり、見たくもない子供に対して見せないという利益とか、これ正当な利益ですから、これも人権侵害だと言う憲法学者はおりませんので、近年、この詳しいことは省略いたしますけれども、このわいせつの合憲性、違憲性をめぐる議論におきましても、むき出しの公共の福祉論ではなくて、それぞれの権利の性質に応じた制約のありようというものを基本的に議論する方向と流れは学説、判例において出ておりまして、したがって、してはならないのは、公共の安寧秩序とか、自明の解釈不能な前提をつくることです。
ですから、公共の安全、秩序と言っちゃった瞬間、安全というものの解釈権を持った政権側に自由になりますから、公共の福祉というこの曖昧な、今のあれでいえば、デモ行進等についてもいろんな利益の挙証の中で規制が必要かそうでないかを裁判所も工夫したり悩む。私に言わせますと、裁判所もみんな悩むことが、やる。悩まないようにすっきりと言葉を換えたらこれ守らなくなるし、裁判所もすぐ判決が出ちゃうんですよ。つまり、判決が時間が掛かり、こっちの裁判所とこっちが違うということに憲法というのは実は過剰でない、寡黙である。そこに実は社会が上手に生きていく意味があって、まさか私たちも児童ポルノ禁止法みたいな議論がなるとは、実は十年前、二十年前は、わいせつの議論で、授業では触れたことありませんでした。でも、近年ではこの議論必ず入れてきます。質が変わってきているんですよね。
ですから、そういう意味でいうと、やっぱりもっと生産的な公共の福祉や人権制約も議論したいということで、やっぱりむき出しの公共の福祉論はもう卒業しなきゃいけないと思っております。
よろしいでしょうか。

○矢倉克夫君
済みません、時間が来ておりますので、じゃ、一点だけ。
公明党も基本的人権の尊重というのは人類普遍の原理だと思っておりますので、その部分、今の先生方の御意見の中で、人権と人権の衝突以外の人権制約の場面が出てくる可能性という問題があるということ自体は理解をさせていただきました。その後の何をもって制約するかということはまた慎重に検討するべきことだということだけをお伝えして、終わりたいと思います。
ありがとうございます。

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