【矢倉かつお】決算委員会(ソーシャルインパクトボンドの導入等)_20160425

2016-04-25 矢倉かつおチャンネル

190回 決算委員会(熊本地震の早期復旧/ソーシャル・インパクト・ボンド/政府開発援助等)

2016-04-25 国会質問議事録

○矢倉克夫君

公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いいたします。
私からは、行政的課題解決に向けての民間資金の活用の意義等、また特に、とりわけ交通インフラ、そちらをハード、ソフト一体で開発していくことの意義を主にお伺いしたいと思うんですが、まず初めに、その前に、熊本の地震発災から十日余りとなりまして、今現在でも震度一以上の地震がもう九百回近く起きているという状態でありまして、現地で被災されている方は本当に御心痛等がある状態であると思います。我々公明党も、連日のように現地入り、国会議員、地方議員、させていただいております。
国土交通省を始め関係省庁の方々の御尽力で交通インフラ等は徐々に徐々には復旧はしているところでありますが、まだ例えば支援物資もなかなか届かないというような状況もある。今既に、車の方でまだお暮らしになっている方もいらっしゃるという状態であります。住まいの確保というのも、今後また現地のニーズも踏まえながらしっかりと検討していかなければいけないところであると思います。
まず、国土交通大臣より、早期の復旧、そして対応についての御決意をいただければと思います。

○国務大臣(石井啓一君)

熊本地震によりまして四十八名以上の方が亡くなられ、千三百名以上の方が負傷されました。そのほか、熊本県によりますと、避難生活等における身体的負担による疾病により亡くなったと思われる方が十二名いらっしゃるということでございます。お亡くなりになられた方の御冥福をお祈りするとともに、被災された方に心よりお見舞いを申し上げます。
被災地では、現在でも約六万人の方が避難をしておられ、避難所での不自由な生活等による影響でお亡くなりになる方も出るなど、二次的避難所と応急的な住まいの確保が急務となっております。
二次的避難所の確保としまして、九州全域の旅館、ホテルへの被災者の受入れを関係団体に要請をし、二十一日より熊本県内において高齢者、体調の悪い方を中心に順次受入れを開始しているところであります。
応急的な住まいの確保につきましては、被災建築物の応急危険度判定、御自宅へお戻りになれる可能性があるかどうかということの判定ですが、これは、昨日までに益城町及び菊陽町において当初予定分を完了いたしまして、八市町村全体において一万八千百四十二件が実施済みとなっております。
公営住宅等につきましては、四月の二十二日時点で、全国で八千六百五十九戸の提供を発表し、九州では百九十二名の方の入居が決定をしております。
応急仮設住宅の建設につきましては、熊本県においては西原村の建設候補地五か所を確認をし、さらに、県の優良住宅協会において約百戸、プレハブ建築協会において約二千九百戸について工事に着手する準備があることを確認をしております。
また、交通インフラにつきましては、地震発生直後には高速道路、鉄道、空港の多くが通行止め又は運行休止となっておりました。
高速道路につきましては、最大七路線五百九十九キロメートルで通行止めでありましたが、復旧工事の進捗を見極めながら順次一般開放の見通しを発表しておりまして、九州自動車道につきましては四月中に全線を一般開放する見込みとなりました。
九州新幹線につきましては、現在、熊本―新八代間の応急復旧工事が全力で進められておりまして、作業が順調に進めば試験走行を経まして数日中に全線で運転が再開される見込みとなっております。
熊本空港につきましては、十九日から民間旅客便の運航を再開し、現時点で約七割、一日五十便程度を運航しているところであります。
このように、交通インフラにつきまして、今後も九州自動車道の全線一般開放や九州新幹線の全線運転再開など、一日も早い復旧に努めてまいります。
このほか、リエゾン、連絡員五十九名を二県十三市町村等に派遣し、被災自治体において情報収集や支援ニーズの把握を積極的に行っております。また、テックフォース、緊急災害対策派遣隊等を北海道から沖縄まで全ての地方整備局等から四百五名を派遣し、ドローンや無人施工機械等を活用しながら、自治体所管施設の被害状況調査の代行、救援ルートの確保、約一千百か所の土砂災害危険箇所の点検など、全力で被災自治体の支援に取り組んでいるところであります。
今後も、国土交通省といたしまして、住まいの確保を含め、被災地の復旧に全力で取り組んでまいりたいと存じます。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。引き続き、大臣の力強いリーダーシップをよろしくお願いいたします。
今日は決算委員会であります。決算委員会はお金の使われ方を審議するところでもある。とりわけ我々は決算の参議院と言われている。任期も長いし解散もないというところで長期的な視点に立ったお金の使われ方というのを議論をする場としても使命も与えられているというふうに理解もしています。
長期的な課題に即したお金の使われ方ということで今日一つ注目したいのが、ソーシャル・インパクト・ボンドであります。私、先日もこれ予算委員会で取り上げたんですが、ちょっと時間がなくて途中で止まってしまいましたので、こちらをまず先にやらせていただきたいというふうに思います。
資料一枚目から御覧をいただきたいというふうに思います。
こちらは幾らか簡略化した、また一部省略したソーシャル・インパクト・ボンドの概念図なんですが、要するに、ボンドと言われているんですけど、これは有価証券の債券ではございませんで、このような、ここに書かれている行政や出資者、NPOとか利用者、これ辺りで結ばれる成果に連動した形の投資契約であります。
何に投資をするかといえば、ここに書いてあるとおり、再犯率の低下や医療費の削減、養親探しなど、こういった社会的な課題、これに対しての成果が生じた場合についてはそれに応じて行政のコストが一部削減されると。その削減されたコストを一部出資者に償還をするというような、そういうような仕組みになっている、まさに官民連携の資金の出し方の一つだと思います。
このような革新的な取組なんですが、二枚目見ていただいて、こちらはイギリスで世界で初めてソーシャル・インパクト・ボンド、これを導入したときの概要であります。軽犯罪者再犯防止プログラムということで、再犯防止のために導入されたのが一番最初なんですね。私、党の方でも再犯防止強化プロジェクトチームの事務局長をさせていただいております。日本でも再犯防止は法務省の少ない予算の中で一生懸命やりくりしている、その中でどうすればいいかと悩んでいるときに、世界ではこういう形で民間資金を使ってこのような社会的課題を解決しているんだという、これは目からうろこな事案であったわけであります。
三枚目見ていただければ、日本の方でもだんだんと取組が拡大をしている。横須賀ではこれは特別養子縁組、福岡では認知症予防、尼崎では就労支援という形であります。このように、可能性を秘めたプロジェクトであります。課題は、どうやって社会的課題解決の成果を数量化、定量化して計算をしていくのかというような基準作りであるというふうに思っております。
今申し上げた課題の部分も含めて、まずこの点に関しての検討状況含めて、ソーシャル・インパクト・ボンドに対しての現状の取組とともに、この取組についての期待という部分について内閣府の方はどのように御認識をされているのか、答弁いただければと思います。

○政府参考人(浜田省司君)

お答え申し上げます。
現在、国、地方の財政が厳しい制約にある中にございまして、複雑化、多様化いたします社会的課題を解決いたしますためには、行政の対応のみでは限界がございます。民間の資金、人材、ノウハウを活用することが不可欠な状況にあると思っております。
こうした中で、御指摘ございましたいわゆるソーシャル・インパクト・ボンドにつきましては、既に経済産業省あるいは民間団体がパイロット事業に取り組んでおりますほか、厚生労働省の方でも検討を開始される段階にあるというふうに承知をいたしております。昨年の骨太の方針におきましても、いわゆる公共サービスのイノベーションを進めていくということが非常に重要なテーマとなっておりますので、こうした社会的課題の解決を図っていく新しい手法の一つとして我々としても大変注目をいたしているところでございます。
このソーシャル・インパクト・ボンドを含めまして、民間の資金を社会的課題解決に呼び込んでまいりますためには、問題解決に向けました活動の成果を定量的、定性的に把握し評価をすることが不可欠でございます。こうした社会的インパクト評価と言われる取組が民間公益活動のインフラとして定着していくことが必要であると考えてございます。
このため、内閣府におきましては、昨年末に共助社会づくり懇談会の下に社会的インパクト評価のためのワーキンググループを設けまして、この基本概念でございますとか普及に向けた課題、対応策をまとめた報告書を先般取りまとめましたところでございます。
この報告書におきましては、具体的な対応策といたしまして、例えば評価普及のために民間主体の推進フォーラムを立ち上げるということ、あるいはシンポジウムの開催をするというようなことなどが提言されていまして、現在、民間におきましてその実施に向けた検討が進められておるところでございます。
内閣府といたしましても、こうした取組に積極的に参画をいたしますとともに、評価事例を蓄積するために、本年度、この評価のためのモデル事業に取り組むことといたしているところでございます。
以上でございます。

○矢倉克夫君

今、内閣府の方から、このソーシャル・インパクト・ボンド、イノベーションを進めていく上でもというような御説明もあったところであります。評価の在り方についても今着実に進められているというような状況をお伺いもいたしました。
それで、麻生大臣に、まずこのソーシャル・インパクト・ボンド、ちょっとSIBと略させていただきたいと思うんですけど、SIBを例に、まず私からは、民間資金を行政サービスの提供の原資として活用する意義についてちょっと感じることを述べさせていただいた上で、大臣には後ほど、行政的課題解決に向けて民間資金を活用することの意義、どのようなものとお考えかをちょっとお尋ねしたいというふうに思っております。
まず、私、ソーシャル・インパクト・ボンドを通じて感じた民間資金を使う意義、一般的に感じることは、国家財政が非常に厳しくなっている中、それを歯止めをするという期待、増え続ける社会保障についての対策費という部分での期待というのはあると思います。ただ、それだけではなくて、先ほど内閣府からも話もありました。私が感じたのは、民間資金活用をするということの本質というのは、社会的課題解決に向けた様々な手法を生み出していくイノベーションの創造力だというふうに理解もしております。
その内容を二つほどちょっと申し上げたいというふうに思うんですけど、まず、行政がお金の出し手であると、やはりどうしても限界があるんですね。これは、行政というのは平等や公平でなければならないと。あと、税金を扱っている部分で失敗も許されないという雰囲気の中で、お金を掛けるにしても、ここに掛けるべきだというところを必要以上に選別をせざるを得ないようなところがやはり可能性としてはあるんだなというふうに思います。
それで、資料、また二にちょっと戻っていただきたいと思うんですけど、先ほどの資料を見て、イギリスの再犯防止の事例なんですけど、これ見て思うんですけど、元本償還の条件というところがどういうものかといえば、受刑者を三つのグループに分けて、一つのグループでも再犯率がこのプログラムを受けなかった同種の犯罪者と比較して低下をするかどうかというところがこれは償還になっている。
これは、あるサービスを受ける人と受けない人というその二つの部類に分かれて比較検証をしていく。逆を言えば、一部の人にしか行政サービスは受けれないというような事態であるわけですけど、これも聞いた話では、当初もイギリスでは、こういった一部の人にだけ受益させるようなプログラムというのは、やはり税金を使うとか、平等、公平を重んじるという立場からなかなか踏み出せなかったようですけど、やはり民間の資金を使うということで踏み出すことができて、結果、下に書いてあるとおり、全国平均に対して再犯率が二三%下回ったというのがあります。
重要なことは、やはり行政などでは、発想にとらわれない柔軟さで資金を投じることができるという、これが民間資金を使う一つのいい面でもあるかなというふうに思います。あともう一個は、ちょっと長くなって恐縮なんですけど、やっぱり民間から資金を集めるためには、行政成果を先ほど内閣府が言ったように見える化しなければいけないと。その結果、効果が上がらなかった場合なんですけど、原因を検証することができて、その次につなげることができる、失敗から学ぶことができるというところもこれは大きいと思います。
こちら、ちょっと資料にはなくて恐縮なんですけど、同じような再犯防止の事例で、アメリカの方でライカーズ島という刑務所に収監されている人、それについて施されたプログラムがありました。再犯減少を一〇%達成できれば払い戻すという条件だったんですけど、最終的には八・四%しか、八・四%でもすごいと思うんですけど、できなかったと。投資としては払戻しができないのでこれは失敗だったわけなんですが、ただ、客観的な状況を数値として把握して、ここまでしかできなかったということが見えることで、その後の課題解決にもやっぱりつながっていくという。
行政がお金を出したプロジェクトだったら、そこまで検証はしないでそのまま続けていくか、それとも知らないうちにやめていくのか、やはりそういうような事態がある。これは民間がやったから、客観化をして、それについての事後のいろいろと検証というのができるようになるというところであります。ちなみに、こういうようなお金を集めるには、当然、ただの経済価値を生むようなことだけを目的としているお金だけではなくて、社会的な課題というものを公益実現をするというお金を集めなければいけないわけですけど、こういった性質のお金を民間から集めることで失敗から学ぶということも可能になると。
長くなりましたが、ちょっとまとめますと、結局、民間資金の活用というのは、政府負担の肩代わりというだけではなくて、行政的課題解決のために民間からお金を受けるという流れをつくる、加速させていって、それがサービスを提供する側の人々のリスク許容度を広げていくと。言わば人々の行動に働きかけていってイノベーションを生んでいく余地というものをどんどん与えていく、そういうものであると思います。
組織とか活動に関しての学びや改善というものを生んでいくというふうに、こういうところに民間資金を活用する意味があるというところを私は申し上げたいというふうに思うんですが、そこで麻生大臣にお尋ねいたしますが、行政的な課題解決に向けてこういった民間資金のお金の流れをつくる、活用するということについてどのようにお考えか、御所見をいただければと思います。

○国務大臣(麻生太郎君)

PFI、プライベート・ファイナンス・イニシアティブという似たような、民間の金を集めて公的な施設を造るプライベート・ファイナンス・イニシアティブというものが今あります。このソーシャル・インパクト・ボンド、これソーシャル・インパクト・ローンとも言うんですが、これはイギリスで別名SILとも言っているんですが、これ始まってまだ五、六年しかたっていないんだと記憶しますが、これが定量的な成果をどう計算するかというところが、これは矢倉先生、一番要求されているところで、結果をきちんと検証できるようなものにしか使えないということになってくるんだと思いますので、出している人はこれ大体五百万ポンドですから、あれは五億円か五億四千万円ぐらいの金を集めたんだという話でしたけれども、こういったようなものをきちんとやっていくときに当たっては、少なくともいわゆる客観的な評価を担保できるかとか、いわゆる定量的にきちんとできるかとかいうところが一番継続的にやっていくときに難しいので、今、刑務所の再犯率の話を例に取られましたけれども、何もこれに限らずいろんなものに応用できると思いますので、公設民営とかいろんな形で、税によって行われる歳出に頼らず、若しくは公的な資金、税金に頼らず、こういったものでやった方がより効果的に、効率的に、柔軟にやれる、いろんないい面もあるという面はもう間違いないと思っておりますが、傍ら、今申し上げたような成果の評価というところがどうやって評価するかというのをきちんとするシステムをきちんと確立しないと、これは金を出している方のいわゆる投資なり、若しくは篤志家の方々の立場としては納得できないということになると非常に話が込み入るという点も、お金を預かってこれを運営する立場の方は、役人も入れたりNPOも入れたり、いろんな人が入れてやった場合の責任等々がきちんとやるという制度を確立しておくところが一番肝腎かなと、聞いていてそう思いました。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。民間資金を活用することが一定の意味はあるという前提の上で、今課題というところを御指摘いただいたところであると思います。
おっしゃるとおり、どのようにこれを定量化していくのかというところは大きな課題でありまして、今、内閣府の方でもいろいろとやってくださっている。それはなぜかといえば、やはり投資をする人が、その投資についての意欲というのを、まずは投資をしようと意欲をさせるためのインフラとして必要だというところであります。
次に、ちょっと麻生大臣にお伺いしたいのが、まさにそのような環境整備をする上では、やはり国がしっかりと関与もしていかなければいけないところはあるかと思います。最初からモデルケースができてそのままできるというよりは、いろんな事業者が関わる中で国が環境整備をするところはやっぱりしっかり関わっていくという、その辺りの役割分担もこれは一つである。
今おっしゃってくださった評価のところはそうであると思いますし、他方でまた、投資家がお金をしっかりとこれは出すような形に仕組みをするには諸外国もどういうことをやっているかといえば、やはり投資家の投資意欲を減退するようなものであってはいけないと。それで、例えばアメリカなどでも、ブルームバーグの財団とかがお金も入れて、投資家だけではなくて、そこで一緒にファンドをつくったりであるとか、また宝くじとか、そういうような資金を入れていくとか、いろんなクッションを入れて投資家が入りやすくするというような部分もこれは必要である。当然、評価が定まるというところがまず大前提にあるわけですけど、その上で資金の出し方というところもまた考えなければいけないし。
そこで、ちょっと一つお尋ねしたいのが、諸外国では、例えば最初の段階で、いろんなパイロット事業をやる中で、成果によらず行政が一定の額を支払うスキームであるとか官民ファンドをつくるとか、そういうような部分もあるわけなんですが、このような事業を自治体の方にも理解もいただく、いろんな方々に理解をいただくには、やっぱりいろんな成功事例をどんどん作っていかなければいけない。成功事例を作るためには案件がどんどんと進まなければいけない。そのためには、行政がある程度の呼び水をもって人にいろいろ来てもらうというような仕組みもやはり必要であるかと思います。
これから日本も、先ほど資料三の方で話したいろんな事業がある、パイロット化されていく事業がある中で、成功に導くために、そしていろんな方が関与していただくという呼び水のためにも、また、国がいろんな部分での初動の部分では関与というところも必要であるというふうに理解もしておりますが、麻生大臣の御所見をいただければと思います。

○国務大臣(麻生太郎君)

投資をする側なり、ローンなり、まあボンドとかいろんな表現があるんでしょうけど、こういったものをやる方の側に立てば、そこに少なくとも政府がかんで、政府のファンドが一部入っていますというのは一つの安心料みたいなもので、ああ、これ政府もやっているのか、何だ財務省がかんでいるのか、ああ、経産省がかんでいるのかとかいうようなものは、間違いなく一つの安心感を与えるネタにはなりますよ。まだそれくらいの信用はありますから、経産省でも。だから、そこは大事にされておかにゃいかぬところだと思いますので。
これは法務省で刑務所の再犯の話をしておられましたけれども、日本の場合は、これはアメリカと再犯の勘定はもう全然比率も違いますし、犯罪になって刑務所の中に入っている人の人口比が全く違いますので、アメリカと日本の場合は。なかなかそういった例としては少ない例なのかもしれませんけれども、少なくともこういったようなもので組むときには、間違いなく定量的なものという、先ほど第三者の評価という点については、これはやっぱり民間だけでやるよりは、政府なり公的機関のものを一部入れたものの方がより金も集めやすいし、評価というものに対して納得もしてもらいやすいという両面の効果はあるというのはうまく使ってしかるべきなので、これは法務省でいろいろ考えられるんだと思いますが、何も法務省に限った話じゃなくて、いろんなところで使える話だと思います。

○矢倉克夫君

大臣から、法務省に限らず、私も、これ全省的にいろんな部分で該当するようなサービスもあれば、ないと思います、その辺りの選別も必要だと思うんですが、それをやった上で、しっかりと着実にいい流れのお金の流れができる上でも国の方でもしっかりと関与をしていくべきであるし、そのような御趣旨でお話をいただいたと思っておりますので、引き続き是非御検討をいただければと思います。
それでは、時間もかなり少なくなってきておりますが、ちょっと次の質問に行きたいと思います。
資料でいうと、これ四番目を飛ばして五番目に行っていただきたいんですけど、こちらは、私、ODAの委員派遣で主にインドとベトナムに行ってまいりまして、インドでは百年に一度の大雨に遭って、身をもって現地でのインフラ整備を感じていたわけですけど、これ、ベトナムで広まっている写真であります。
これは何だと思われるかもしれないんですけど、上が日本企業が造られた橋であると。下は、特段国名は言いませんが、ほかの国だと。言わばこういうような写真が、これがどのような比較かという部分はまた詳細は分からないんですけど、このような写真が現地に広まっているというのは非常に意味があるなと。要するに、日本の技術はすばらしいということを私たち日本だけではなくて現地の方もよく理解もしてくださっている、これは誇らしいなというふうに私、思いました。
とともに、途上国の開発の利益は何か、現地の声は何かという、これ開発の文脈では追求するわけであります。時折、その開発の文脈というところでは日本企業の進出というものを考えてはいけないというような意見もひょっとしたら出てくるかもしれない。だけど、そうではなくて、やっぱりその開発の文脈においても、これはやっぱり優れた日本企業の海外進出を意図的にでも探求していく観点というのは私は重要なのではないかなという理解でおります。とりわけ、今こういった交通インフラとかの部分、人の安全、安心に関わるというようなところは大きいなというふうに思います。
それで、ちょっと時間もありませんので、国交大臣にお伺いもしたいんですが、今申し上げたような視点の中で、じゃ、どうやって開発の文脈で日本の優れた技術を外に出していくのかということを追求するそのやり方なんですけど、お金を付けるという部分では、国際開発協力の中でアンタイド化とか、いろいろそういう議論もある、なかなか制約がある中ではありますけど、私は、お金だけじゃなく、やはり人の力を、日本の優れた技術、能力を持っている人の力をどうやって現地の開発につなげていくのかという視点が重要であると思います。特に制度構築ですね。例えば、現地の方とお会いしたときには、現地の入札の在り方なんかも総合評価にするためにいろいろと検討されている日本の方もいらっしゃいました。
あと、やはり技術協力であります。ベトナムに行ったんですけど、ベトナムのハノイの鉄道が、これ日本の企業の方々が技術協力をした、システム等も含めて技術協力をしたことでフランスではなく日本になったという、そういう事実もある。一体として、パッケージとして支援をするということがやはり現地のニーズにも合うし、最終的には日本の優れたものがしっかりと広がっていくというようなことになるかと思っております。
国交大臣にお伺いもして、できれば麻生大臣にも、じゃ、国交大臣にちょっとお伺いしたいと思うんですが、やはりこういった川上からのソフト面、制度構築とか人材育成という、技術支援というもの、これも含めた総合パッケージを通じての支援というものが非常に重要であるというふうに思っておりますが、大臣の御所見をいただければと思います。

○国務大臣(石井啓一君)

インフラの海外展開は、海外の旺盛な需要を取り込み、我が国経済の活性化を図るため、政府を挙げて取り組んでいる課題であります。この課題につきましては、ハード面の整備に併せて、制度構築、人材育成まで含めたソフト面の支援を行うことが我が国の強みとなっております。
国土交通省といたしましては、建設関連制度や都市計画制度、自動車検査・登録制度等の制度構築や鉄道、道路、港湾など多岐にわたる分野における相手国政府等へのJICA専門家の派遣、相手国政府の研修員の受入れなど、積極的に取り組んでいるところであります。
今後とも、ハード面と、制度構築、人材育成等のソフト面をパッケージとしてより効果的に組み合わせ、インフラ海外展開をより一層強力に推進してまいりたいと思っております。

○国務大臣(麻生太郎君)

ハードだけではなくてソフトというような漠然とした言い方だと分かりにくいところはあろうかと思いますが、オペレーション、運転をやる。
新幹線というのを例に引かせていただければ、できて五十年間で、何百万本電車が通っているんだか知りませんが、一日の平均の遅れは全交通量足して五十一秒ですから、今に至るも。五十年間で一日の遅れが五十一秒ですよ。こんなものほかにありませんから。ほとんどもう正気の沙汰じゃないと思うぐらい正確に動くんですが、それが今、日本の持っている新幹線の技術。しかし、それは、技術をやるのは電車がすごいとか運転手がすごいとかいうんじゃなくて、それをオペレーションするという、そこがソフトの一番のものだと思うのが一つ。
今度、タイでODAの鉄道が取れていますけれども、タイがシーメンスを蹴って日本に取った最大の理由は駅中です。駅中、分からぬ人も多いと思いますので、それはちょっと別のときに調べてみてください。駅中、これがタイ政府が飛び付いた最大の理由です。したがって、これで就職ができる、一般の人が就職ができるというのが一番大きな理由。
だから、そういったものを含めて、日本の持っている技術というのは日本人より外国人の方が評価しているという点が多いと。私どもが今後とも大事にしておかなきゃならぬところはそこかなと思っております。

○矢倉克夫君

力強いお言葉をいただきました。
技術支援、制度構築等、人の派遣の部分についてもしっかりとまた財政措置も含めて是非御対応いただきたいというところをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございます。

かつおニュース VOL8

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