190回 法務委員会(ヘイトスピーチ解消法案答弁)

2016-04-26 国会質問議事録

○委員長(魚住裕一郎君)

本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。

○小川敏夫君

民進党・新緑風会の小川敏夫でございます。
まず、公安委員長にお尋ねいたします。
先般の質疑の中で、ヘイトスピーチを規制できないか、あるいはヘイトスピーチを公然と行うヘイトデモをこれを不許可にできないかというような趣旨の議論がある中で、公安委員長は、そのデモを不許可にする、それは根拠となる法律がないからできないんだと、このような趣旨の御発言をいただいたというふうに思いますが、その趣旨についてもう一度改めて御説明いただけますでしょうか。

○国務大臣(河野太郎君)

公安条例というものがございますが、過去、最高裁判所がこの公安条例の合憲性を認めるに当たって、許可することが義務付けられており、不許可の場合が厳格に制限されているので、この許可制は実質において届出制と異なることがないというふうに判示しております。
そういうことを考えますと、表現しようとしている主張の内容においてこのデモを不許可にすることはなかなかできないのではないかというふうに承知をしております。

○小川敏夫君

その表現の内容においてということでありますが、その表現する行為が具体的に違法であるという行為であるということであれば、いかがでございましょうか。

○国務大臣(河野太郎君)

名誉毀損ですとか侮辱罪に当たるような違法行為があれば、これは警察として法と証拠に基づいて厳格に対応いたしてまいりたいと思います。

○小川敏夫君

違法行為であればという答弁を貴重に受け止めさせていただきますが、そうすると、例えば今審議しているこの法案は、ヘイトスピーチ等に対して努力義務でしないようにと、あるいはなくすように努めなさいということでございます。違法という評価がなくて、単に国民に努力を課したというだけの法律では、やはりそうしたデモの不許可にするという根拠にはなり得ないと、私はそういうふうに理解をするんですが、そういうことでよろしいでしょうか。

○国務大臣(河野太郎君)

同じように、表現しようとしている主張の内容だけによって不許可にすることはできないというふうに思います。

○小川敏夫君

公安委員長はこれで御退席いただいて結構でございます。

○委員長(魚住裕一郎君)

じゃ、御退席いただいて結構でございます。

○小川敏夫君

外務省の副大臣にお越しいただきました。
ヨーロッパ、特に例とすればドイツとフランスにおきましてヘイトスピーチを犯罪として処罰する法整備がなされておるようでございますが、その状況について御説明いただけますでしょうか。

○副大臣(武藤容治君)

他国の法律について、各国はそれぞれ固有の歴史的な体験を背景に憲法を始めとする法制度、法体系を有しております。このため、必ずしもその制度の詳細について把握できているものではございません。
その前提で申し上げさせていただきますが、外務省において把握している範囲では、ヘイトスピーチという用語は用いられておりませんが、これに当たると思われる行為について、先生おっしゃられたドイツ、フランスのいずれにおいても罰則規定が設けられていることと承知しております。
具体的には、ドイツでは刑法において、国籍、民族、宗教又は人種的起源によって特定される集団等に対しまして、特定の集団や個人等に属していることを理由に憎悪をかき立てるような行為に対し三か月以上五年以下の自由刑、いわゆる直訳でございますが、いわゆる拘禁刑に当たるものと思いますけれども、設けられていることと承知しております。
また、フランスにおいては、刑法及び出版の自由に関する法律において、出自、特定の民族、国籍、人種、宗教への帰属等を理由とする差別、憎悪又は暴力の扇動に対して一年の拘禁刑又は罰金刑が設けられているものと承知しております。

○小川敏夫君

ありがとうございます。
外務副大臣はこれで退席していただいて結構でございます。

○委員長(魚住裕一郎君)

どうぞ。

○小川敏夫君

さて、本法案の内容でございますが、それにちょっと先立ちまして、じゃ、法務大臣から、今、法務省としてはヘイトスピーチを許さないということで取り組んでいらっしゃいますが、その取り組んでいる、許さないというヘイトスピーチ、これを法務省としてはどのようなものがヘイトスピーチと考えているでしょうか。

○国務大臣(岩城光英君)

お答えいたします。
ヘイトスピーチの定義は必ずしも確立したものではございませんが、昨年度、法務省が公益財団法人人権教育啓発推進センターに委託して実施した調査におきましては、一般的にヘイトスピーチと指摘されることの多い内容として、一つに、特定の民族や国籍に属する集団を一律に排斥するもの、二つに、特定の民族や国籍に属する集団の生命、身体等に危害を加えるもの、三つに、特定の民族や国籍に属する集団を蔑称で呼ぶなどして殊更に誹謗中傷するものという三つの類型があることを念頭に調査が実施されております。
ヘイトスピーチの対象とされている方々などに御協力いただきました聞き取り調査におきましても、多くの方々がヘイトスピーチと聞いてイメージするものとしてこれらの内容を中心に挙げられていたものと承知をしております。

○小川敏夫君

それで、提案者にお尋ねしますが、この法案の第二条で、いわゆるヘイトスピーチの定義、本邦外出身者に対する不当な差別的言動というものについて定義してございますが、どうも今法務省が説明された、今現に法務省がヘイトスピーチの対象として取り扱っているそうした類型の行為よりもかなり狭いように感じるんですが、これはいかがでしょうか。

○西田昌司君

我々が挙げましたのは一つの例示でありまして、それ以外も、「など、」という言葉にありますように、その周辺のいろんな、著しく侮蔑するなど、様々なことがその中に入ってくると思います。例示のこの中に外れているからといってヘイトスピーチを我々は認めるものでもありませんし、またその以外のところのことを我々は認めるものでもないと。
ですから、要はこれ理念法でありますから、具体的なこういう例示を挙げまして、こういうことに関連するようないわゆるヘイトスピーチはやるべきでないということを宣言して、そして国民と一緒にそういう差別のない社会をつくっていこうということを目指すものであります。御理解いただきたいと思います。

○小川敏夫君

この条文からは侮蔑的な表現というのはどうもヘイトスピーチに入るとはちょっと読めないんですがね。
ちょっとこの条文に沿ってお尋ねしますが、この「差別的意識を助長し又は誘発する目的で」と、まあそこまではいいとして、その後、「公然と」、そこまでいいとして、その後ですね、「その生命、身体、自由、名誉又は財産に危害を加える旨を告知するなど、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動をいう。」というふうに書いてあります。
まず、そうすると、この書き方は、生命、身体、自由、名誉又は財産に危害を加えるというだけじゃ足らなくて、そういう危害を加える旨などを告知するなどして、かつ地域社会から排除することを扇動するというこの二つの要件が両方とも満たしたときに初めてこの二条の定義に当たると、こういう文章だと思うんですが、いかがですか。

○西田昌司君

まず皆さん方に御理解いただきたいのは、この法律の目的はあくまで理念法であります。そして、そのためにわざわざ禁止規定を書いていない。それはなぜかというと、そういう禁止規定で書いた場合には、今、小川委員が御指摘なさったように、その定義から外れた場合、それは禁止されていないのじゃないか、そしてそういうヘイトスピーチは逆に言えばお墨付きになるんじゃないかと、そういう解釈も生まれ得るわけであります。
しかし、我々は、これを禁止規定を設けずに宣言をして理念法という形にしたために、その周辺も含めて当然にこれはヘイトスピーチというものに全体の文脈から認められると。ですから、一言一句で、この言葉言ったらいいとかこの言葉は使わなければヘイトスピーチにならないとか、そういうことを私もインターネット上で言っている人を見たことあるんですけれども、それは大きな思い違いであります。
そうじゃなくて、これは総合的な文脈の中で解釈するものでありますし、そして、これは理念法であるからこそ、そういった解釈で、国民全体にいわゆるヘイトをやめようじゃないかと、そういうことは恥ずべき行為なんだということを呼びかけることができるわけで、余り細かい、これとこれとが重なったらこうじゃないかというような私は解釈は我々も提案者としてするつもりもありませんし、そうすべきではないと思っております。

○小川敏夫君

いやいや、そう解釈すべきじゃないし、そうすべきじゃないというんだったら、そう解釈できないような法律にすればいいんでね。
例えば、法務省は言っていましたよね、排斥、危害、誹謗という三つの類型と言ったわけですよ。三つの条件が重なったらヘイトとは言っていないんで、三つの類型があると言っているわけです。
この第二条の書き方はこの類型になっていないんですよ。だから、文章は、さっきも言ったけど、危害を加える旨を告知するなどというだけじゃヘイトに当たるんじゃなくて、さらに本邦外出身者を地域社会から排除することを扇動すると。だから、危害を加えるという告知するということと地域社会から排除するということが、二つこの要件を満たしたときに初めてヘイトになるという、そういう日本語の文章なんですよ。これ、理念法だからいいんだとか禁止法だからという話じゃなくて、やっぱり法律ですから、法律は文章によって決まるんでね。
今、西田委員が当然おっしゃられたように、法律で規定すると、ここでは、いわゆる不当な差別的言動とは、つまり国民がそういうことは許されないからしないように努めましょうというふうに努力義務を課した行為というのはこういう行為だというふうに規定すれば、そこに規定された以外の行為は別に法律は何も触れていないんで、逆に言えば許されるという反対解釈ができる余地があるわけですよ。ですから私は聞いているわけで、こういう書き方ですと、いわゆるヘイトスピーチの定義を非常に厳しく限定しているものですから、厳しく限定した分、例えば法務省が今普通にヘイトスピーチとして扱っているものも実はヘイトスピーチでないと、そういう扱いに読めるという条文になるから私は聞いておるわけです。
じゃ、どうぞ。

○矢倉克夫君

こちらの二条の読み方ですが、こちらは定義として、そのまさに定義の部分は、この「本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、」以下がこちら定義でありまして、「など、」より以前はこれは典型例というふうな位置付けでございます。というのも、今、法務省の方も実態調査などもいたしました。いろんなヘイトスピーチの内容なども調査して、今、三分類という形であったわけですが、とりわけ多かったのが、排斥をするものとやはり危害を告知する言動というのが多かった、そのような事情も踏まえて典型例としてはこちらを挙げているわけであります。
ただ、西田発議者からもありましたとおり、こちらは、当然ですが、この理念法で理念として、もうこのような排斥することを扇動する言動というのはこれは許されないということを理念として訴えた、それに文脈上該当するようなものはこれは広く捉えるということが、理念法であるが以上のこの立て付けになっております。
他方で、禁止規定等の、逆に反対解釈という話があったんですが、禁止規定、あらゆる人に義務が及ぶというような規定にすると、これは公権力がそれぞれの行為に介入をすることになって、どこまでがいけない言動かということをこれ明確にしなきゃいけない、そういうようなときになったときに初めてそれに対しての反対解釈という議論があるわけですが、理念法という立ち位置を取る以上は、反対解釈ということは法解釈としてはもうないという理解で発議をいたしております。

○小川敏夫君

例えば、この文章の結論は、いいですか、いろいろ告知するなど云々、理由としてとあるけれども、それで、「本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動をいう。」というふうに、これが結論ですよね。ここに、などは入っていませんよね。
そうすると、本邦外出身者を地域社会から排除することを扇動するというのがこれ結論的な要件じゃないですか。などが入っていないから、例えば地域社会から排除するということを言わないで、ただ単に侮蔑するような言葉は要件に入らないと思うんですが、どう読んでも入らないと思いますよ。どうでしょう。

○矢倉克夫君

その地域社会から排除するという言葉、それはまた、更に言えば、その人の、相手の存在を否定しているというような部分もある。その表現の対応いかんも全て含めて文脈上捉えるわけですが、根底にある部分は、その目の前の人の人格を排除して、そこの地域社会に存在するに値しないんだというような意図も当然入ってくるわけであります。そういうものと併せて、扇動の対応等も踏まえて、当然該当し得る表現であるというふうに理解もいたしております。

○小川敏夫君

お気持ちは分かりますが、文章はそうなっていないので、法律ですから。
例えば、細かい話を言いますと、地域社会から排除すると。じゃ、桜本から出ていけとか東京から出ていけという、地域社会から出ていけというのは分かるけど、日本から出ていけというのは、日本は地域社会ですか。

○西田昌司君

日本というのは社会であって、地域社会という、そういう小さなくくりではありませんが、当然日本から出ていけということは地域社会から出ていけということも含まれてきますので、当然それも入ってくると思うんです。
それで、小川先生の方から個別にいろいろ御質問あるんですけれども、私元々、何度も言いますけれども、皆さん方がかつて、今も出されているいわゆる人種差別撤廃法、これは禁止規定でされているわけであります。しかし、禁止規定でされているけれども、実はその実、中身的にはこれは禁止規定だけど理念法なんだということも前回の国会で御答弁、御説明されているわけなんです。そういう意味でいうと、私は余りその中身的には大きな差はないと思うんです。
しかし、問題は、禁止規定を作ってしまうと、先ほど、今、小川先生がおっしゃったように、明確にどれが、何が禁止の対象になるかという定義、そこが非常にはっきりさせなきゃならないわけです。しかし、我々が提案している方は禁止規定を設けずに理念法にとどめている。しかし、この理念法にとどめていることが、逆にいろんなそういう周辺のことも含めて、理念ですから、こういうことはすべきでないという話になってくる。
ただ、これを禁止規定していない、それは、何度も言いますけれども、いわゆる憲法の保障する表現の自由ですよね、思想信条の自由、様々なそういう基本的人権の一番根幹に関わるところを公権力が規定したり制限したりするということは、逆に言うと、いつ、誰もが、逆のことで同じように公権力からそういう制限を受けることだってあり得るわけなんです。だから、そういうことを考えて我々はあえて理念法にして、そしてもっと広く、法律の運用によってこの法律の目指すものを一つの解釈指針にして様々なこの法律を使っていただく。
先ほど河野委員長は、出られましたけれども、河野委員長もおっしゃっているのは、要するに、この法律ができたらしっかりとこの法律の理念にのっとって当然警察官にもそういう教育をしなければなりませんし、そうなってくると、様々な侮蔑罪とかそれから脅迫とか、そういう様々な法律の解釈をするに当たってもしっかりとそれを厳正に対応していくということになると、そのことを我々は期待しているわけであります。

○小川敏夫君

私は地域社会が日本に当たるのかと聞いただけなのに、何か延々と自分の法律を宣伝されていて、余りにもテーマが多過ぎて議論が困るんですけど。
ただ、西田議員は、河野委員長が云々かんぬんでちょっと重要な点を言いましたですね。侮蔑罪、まあ多分侮辱罪の間違いだと思うんだけれども、侮辱とか名誉毀損とか、特定の人に対する行為であれば現行法で対応できるんですよ。今困っているのは、そうした特定人を相手にする行為ではなくて、まさに刑法の侮辱罪あるいは名誉毀損に当たらない、まさに今、不特定多数に不快感を与える、あるいは排外的な言葉を浴びせ付けるというような行動をして練り歩くというような行為、不特定多数に対するこうしたヘイトが何らの対応もできないから困っているわけで、そうした立法を考えているわけですから。だから、侮辱罪の云々かんぬん、それで警察は一生懸命やるといっても、全く議論がかみ合っていないんですがね。
で、何か西田さんのお話しの長い長いお話の中で、何か私どもが出した案と今与党が出している案が大して変わらないというような御発言もありましたけれども、大して変わらないどころじゃなくてひどく変わるわけでありまして、先ほど公安委員長に確認しました。違法ということでなければ警察はデモの不許可もできないし、規制もできないということでありました。与党案のこの法律は、これ定義したいわゆるヘイトスピーチを違法とは宣言していないわけで、そうすると、この法律ができても、従来行われているこのヘイトデモ、これを不許可にする根拠には全くなり得ないし、それから今まで行われているヘイトスピーチが同じ形で繰り返されたとしても警察は何も規制ができない。
そうすると、この法律で、前回も質問しました、この法律について努力をしようとする気もない人、あるいはこの法律に逆らって殊更やろうという人に対して何の効果も及ぼさないですねと私は聞いたわけですが、そういう結論になりますね。
じゃ、聞き方を変えましょう。今行われているヘイトスピーチあるいはヘイトデモ、これをやめさせることができる法律なんですか。

○矢倉克夫君

やめさせることに寄与する法律であると思います。
今、小川委員がおっしゃったとおり、まさに問題点は、これまで特定人に対してのこのような差別的言動については法は意識を明確にしていたわけであります、どういうものであるのか。ただ、不特定については何も言っていなかった。これを今回初めて、不特定に対しての侮蔑的な表現等であってもこれは許されないものであるということ、これをしっかりと宣言したわけであります。
これがどのような役割をするかといえば、例えば騒音防止条例であるとか、様々な文脈で表現に対して規制をするとき、この規制の対象になるかどうかの価値判断にこれは当然影響してくる。いろんな既存の法律を解釈し、またその解釈が裁判で問題になったときに、このような理念法があり、不特定多数に対してのこのような言動というのは許されないものであると国がしっかりと言及をしたということが必ず裁判の方で判断をされるという理由があります。こういうような部分を含めて、おっしゃられているような効果をしっかりと発揮していくというふうに理解をしております。

○小川敏夫君

今行われているヘイトスピーチ、ヘイトデモ、これを防止することに寄与するというお話でしたけど、どういうふうに寄与するのか全く具体性がない話でして、この法案ができても、施行されても、ヘイトデモ、何一つ変わらずに行われますよ。行われたとして、それを何もこの法律を根拠に規制することができないと。
ただ、提案者がおっしゃる趣旨は、この許されないという精神が様々なところで、行政なりなんなりで反映されるでありましょうから、そうした精神が広まればいいですねぐらいの話であって、ヘイトスピーチをやめようと思っていない人がヘイトスピーチをやる、ヘイトデモをやろうとしているわけですから、法律で規制されなければ構わないといってやっているわけですから、そういう人たちに対して何の法律効果も及ぼさないですね。
ですから、寄与するとか、風が吹けばおけ屋がもうかるみたいな話じゃなくて、この法律の効果として私は聞いているわけです。ヘイトデモが申請されたらデモを不許可にする根拠になり得るかどうか、あるいはヘイトスピーチが行われている、それを規制するということの根拠になり得るかどうか、その法律効果、これについてもう一言でお答えください。私の質問について何かえらく長々と答弁するんで、私の質問について一言で端的にお答えください。

○西田昌司君

なかなか一言で答えられるような質問をされていないんですね。
それで、先ほど私は、民進党が出されているのと変わらないというのは、その方向性の話なんですね。それで、ちょっと思い出していただきたいんですが、平成二十七年の八月六日、参議院法務委員会、この本委員会で、これは仁比議員から質問があって、小川議員がこういうふうに答えられているんですよね。
してはならないという差別的行為をしたということがあっても、この法律で、つまり皆さん方が出された法律で、直ちに刑罰を科するという構造にはなっておりません。また、刑罰を科さないというだけでなくて、この法律をもって直ちに何らかのそうした差別的行為が行われたことに対する行政的な措置がなされるという意味の規制があるという趣旨でもございません。これは、ですから、具体的な処分がなされるというのではなくて、あくまでも、してはならないという理念を定めて、その理念に基づいて、これからの国の施策あるいはこれからの立法や条例の制定におきまして、様々なそうした行政の分野、立法の分野におきまして、この理念を生かした形で行ってほしい、こういう意味で理念を定めた理念法でございますと答弁をされているのは小川委員であります。まさに我々が言っているのも同じことを言っているわけです。
そして、なぜここで、それじゃ禁止じゃなくて理念にしたかというと、もし禁止規定を置きましたときには、しっかりとした定義をしなければならない、違法それから合法の判断をしなければならない、その外れるところの問題、それが出てきますし、また、まさに違法行為があった場合にはそれを排除しないと、違法と国が定めていることを放置するのかという話が次出てまいりますね。ですから、そういう様々な立法上の問題が出てくることを踏まえて我々は理念法にしていると。
そして、この効果はあるのかないのかということを一言でおっしゃれというふうにおっしゃいましたけれども、先ほど申しましたように、理念法でも行政の判断に、そこに作用して防止ができるという、そういう趣旨の発言を小川委員がおっしゃったように、我々もこの理念法で一つ一つ対応していく、そのことを申し上げたいと思います。

○小川敏夫君

私の発言の趣旨は、様々な場面で、行政で、そうした趣旨が浸透して効果が及ぶでしょうということは言いました。それしかできないとは言っていません。今回の与党の法案はそれしかできないんです。だから全然違うでしょう。
要するに、最後に結論らしきものをお話しされたけど、また重ねて聞きます。あるいはもう分かっているのかもしれないけれども、この法律ができても今行われているような形のヘイトデモ、このデモをこの法律を根拠に不許可にすることはできない、それから、今現に行われているようなヘイトスピーチがまた公道上公然と行われても、警察はそれを規制することができないと。このことは、今、西田委員も首を縦に振っていらっしゃるから、そういう趣旨でよろしいわけですよね。
ただ、そのことについて端的に答えないで、またあれこれあれこれいろいろ言うから私の質問時間がなくなっちゃうわけで。ですから、一言で言ってくれればいいんですよ。今、私は聞いているんですよ、この法律ができても今行われているこの態様のヘイトデモ、これを不許可にすることの根拠法律にはならないし、そして、今行われているような態様の公然と行われているヘイトスピーチ、これを警察が規制することができないと。
ですから、そういう場面においては法的な効果は持たないですねと聞いているわけだから、はいか、はいならもうその一言でいいんですよ。違うなら違うという理由を説明してください。

○西田昌司君

これは、イエスかノーか、クイズじゃないですから、そういうことじゃないんです。
つまり、今大事なことを委員おっしゃって、要するに、確かにこの法律ができても、また、もっと言えば、民進党の法律がもし成立したとしても、そういうヘイトデモをやる人は恐らくいるでしょう、これは。そういう方がいるのも事実だと思います。
しかし、我々は、この法律を成立させることによって、我々日本国民がそういうことは許さないと言っているわけなんですよ。そして、国権の最高機関である国会がそのことを法律として認めたと。この意味は物すごく大きくて、その結果、何が起こるかというと、先ほど言いましたように、様々な行政の立法や条例を作ったり、また、解釈することに大いに影響を当然与えていくことになると。
その結果、要はヘイトデモというのは、まず一つは、禁止じゃなくて、そういう方々に改心をしていただかなければなりませんから、結局、教育そして啓発、そういうことになるわけですけれども、世の中にはそれを幾らやっても直らない人がいますよ。しかし、これは、それを刑罰で直すんじゃなくて、やっぱり最後は、こういうばかなことをしてはいけないと彼らが悔い改めてもらわなければいけない問題でありますから、やはり、我々は、国会がこういう議論をして、この法律を皆さんと一緒に成立させていただいたと、その我々国会のこの意思が彼らの行動に私は影響を与えるものだと確信をしております。

○小川敏夫君

ヘイトスピーチをやって世論から非難を受けながら何とも思わずにヘイトスピーチをやっている人たちが悔い改めるのを待っていたら、いつになるんでしょうかね、終わるのは。終わらないと思いますよ。
それから、与党の法案と私どもの法案の大きな違い、決定的な違いは、私どもは刑罰は科していないけれども、いわゆるヘイトスピーチは違法だと、ですから禁止しているんですよ。与党の案は、違法だからといって禁止はしていないんです。ただ、なくなるように努力しましょうというお話ですから。
公安委員長も言いました、違法であれば対応できると。ですから、私どもの法案は、ヘイトスピーチは違法だ、国民はしてはならないといって法律で禁止したんです。ただ、刑罰は科していないだけです。与党の法案は、あなた方の法案は、本文の方で何か「許されない」というような表現があるけれども、結局、第三条で「努めなければならない。」と、ここに終わっているわけで、国民に対して禁止していないんですよ。ですから、もう何回も何回も議論させていただきました。努力をしない人、努力をあざ笑って繰り返す人には何の効果もないじゃないですかということを繰り返し質問させていただいたわけであります。
私の質問聞いているときにはうんうんうんうん首を縦に振るから、私の考えを賛成してくれるのかと思うと、何か話し始めると違うことをおっしゃるので、まあ、どうぞ、答弁してください。

○西田昌司君

つまり、小川委員が目指しておられることも我々が目指していることも大して変わりはないと思うんです。ただ、手法が、先生方のおっしゃるように禁止規定をもし書いてしまうと本当にいいんでしょうか。国家がこのことはしてはいけないと。その定義が、じゃ、ヘイトとは何かという話が非常に厳格に決めなきゃならなくなってきますね。そして、その決めたことは、まさに言論を国家が統制してしまうわけですよ。これはかなり大きな問題になりますし、私は、間違いなくこれは憲法違反問題だといって訴えられる可能性は大いにありますよ。そうなってしまうと、これは元も子もない。逆に言えば、もうヘイトは野放しでどうしようもないじゃないかという話に逆になっちゃうんですね。
そうじゃなくて、あえて禁止規定を設けないことによって、もう少し教育や啓発や、そういうモラルに訴えることによって広くヘイトスピーチを包み込んで、そして、国民の中でこういうことは恥ずべきことだからやめようと、そういう機運を盛り上げていくと、まさにそのことを小川先生自身も御自分の答弁で同じような趣旨のことをおっしゃっているわけですよ。だから、そこは……(発言する者あり)いや、もう一度読ませていただいてもいいんですけれども。やはりこうした種類の差別の禁止理念が法としてあるということが踏まえて、この法律や条例、規則等が定められていくと、十分その意義はあると、こういうことをおっしゃっております。
是非、御理解いただきたいと思います。

○小川敏夫君

提案者は、まさかヘイトスピーチそのものが表現の自由だとして許されるのか、ヘイトスピーチそのものが表現の自由として許されるものだとは考えていないと思いますがね。
質問時間がなくなりましたので。
先ほどドイツとフランスの立法例を紹介していただきました。ここではもう時間があと一分しかないので具体的に言いませんけれども、非常にざくっとした内容の規定でありますけれども、これで実際に刑罰法規として機能しているわけで、ドイツ、フランスがこういうようなヘイトスピーチを刑罰をもって禁止する規定があるからといって、ドイツやフランスが表現の自由を侵害する国だとは思いませんが。
どうでしょう、やはり最後の結論として言わせていただければ、みんなで努力しましょうといってみんな国民の多くがヘイトスピーチやめようとして努力をしているときに、努力をしないで努力する人をあざ笑うようにやっている人に対して、また改心するのを待っているようでは何の効果もないですねということを繰り返し質問させていただきました。それに対して明確な答弁がなかったのは残念でありますけれども、時間が来ましたので、私の質問は終わります。

○仁比聡平君

日本共産党の仁比聡平でございます。
前回に続いて法案の意味するところを発議者にお尋ねをしていきたいと思うんですが、まず、法案の第四条で国と地方公共団体の責務を定めようとしておられます。特にその二項についてお尋ねをしたいんですけれども、地方公共団体に何を求めるか、あるいは期待をするかという法律上の用語として当該地域の実情に応じた施策という概念がありますが、この当該地域の実情に応じた施策というのは発議者はどのようなものを考え、具体的にはどのようなことを想定をしておられるのでしょうか。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
当該地域ごと、それぞれこのような言論の対象になる方が人口の中でどれくらい比率があるかであるとか、どれくらい頻繁に行われているか、それぞれ地域ごとにあると思います。日本の中ではこのようなヘイトデモが行われていないような場面もある。そのような事情、事情を考慮して、例えばその事情に合った相談体制であるとか、そういうものを整備することを一つ考えております。

○仁比聡平君

もう少しお尋ねしたいんですけれども、つまり、例えば在日コリアンの集住地区が自治体の中に歴史的に存在するという自治体や、あるいはよくコリアンタウンというふうに称されるような大きな町があると、そこがにぎわいの場でもあるという地域もありますよね。一方で、そうした集住地区などはないんだけれども、けれども、そこでヘイトスピーチが許されていいはずももちろんないということだと思うんです。
ですから、地域によって様々な実情があるといいますか、実情がそれぞれであると。それから、戦前戦後にわたる歴史的な在日外国人の皆さんとの共生の取組あるいは過去排斥をしてきた経過などがそれぞれの地域で、歴史もあるいは取組の到達点も違うと。であるから、どんな取組を行うのかというのは、それぞれの地方自治体ごとにいろんな取組があり得るというような意味なのかどうか。改めて、法文の用語は「当該地域の実情に応じた施策」となっているわけで、これがどれほどの深みを持って発議者が提起をしておられるのか、もう一度お尋ねいたします。

○矢倉克夫君

仁比委員おっしゃるとおりの趣旨であります。
例えば、桜本などこの前も視察へ行かせていただいた、やはり外部からわあっと人が来て、元々そこで共生をしていた社会が分断されていく、子供たちの間でも友達であった同士が謝り謝られというような関係に追いやられる、こういう卑劣な行為、許されてはいけないと。そういうような場面では、相談体制通して、やはり共生という社会をどうやってつくっていくのかということをこれはしっかり行政と一体になって考えていくというような施策もまた考えなければいけない、その後の体制もつくらなければいけない。
他方で、この前お話のあった銀座とかで、じゃ、こういうようなヘイトデモがあった場合どういう対応があるのか。当然、銀座だから許されるという話ではありませんで、まさにこういうような言動はそういうような場面でも許されないということをこれは理念法として表した。
で、その理念法の文脈といいますか、これを、例えば騒音防止であるとか公安の、やはり全体の平和を乱す行為に対してどのように対処をするかというような文脈でこのような法律が作られる、そしてそれに応じて、その場の、銀座であるとかその辺りの自治体がしっかりと対応すると、それぞれごとの、地域ごとの対応の仕方はあるわけでありますし、それに応じた措置をとるということを趣旨としてこの法文は規定しているという理解であります。

○仁比聡平君

つまり、確認をすると、地域によって、この地域では許されないが別の地域では許されるという意味ではそれは毛頭ないと。で、地域の実情に応じて、法案の用語で言いますと、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組」、この解消に向けた取組の内容といいますか、講ずべき対応措置についてこれはいろんなことがあるだろうと、そういうことなのかなとも思うんですけれども、それぞれの地域においてヘイトスピーチは許されない、断固として許されないという立場に立って、そこそこの自治体が取り得ることを行うべきであると、そういう意味でしょうか。

○矢倉克夫君

まさに許されないということをここでしっかりと規定をし、その思いの下で地域も社会も、そして個人も一体となってこのような社会、そういうようなものを根絶していこうというところを訴えた理念であります。先生のおっしゃるとおりであります。

○仁比聡平君

ということであれば、その地方公共団体が取り組むその措置というのは、法的な根拠も、あるいは手法もいろんなことがあり得るんだろうと思うんです。
私たちが訪ねた桜本のような集住地域に迫ってくる、踏み込んでくる、そうしたデモ申請を許すのかという許可の問題があるでしょうし、あるいは公園などの使用許可という問題もあるでしょうし、あるいは、そうした集住地区ではないんだけれども、一般的に、公民館などの公的会館をヘイトを行っている集団が使用許可申請をしてきたときにどう対応するのか、あるいは、先ほど騒音防止条例などというお話もありましたけれども、銀座や新宿をそうしたヘイトデモを行うという行為に対してどう対処するのかなどなど、場面によっていろいろでしょう。
そのそれぞれの場面に応じた施策にこの提案されておられる理念法が生かされる施策というのが、この当該地域の実情に応じた施策の意味ということでしょうか。

○矢倉克夫君

おっしゃるとおりであります。

○仁比聡平君

そのそれぞれの、つまり、地方自治体とそのデモ申請者などとの関係で見ると、これは言わば法的関係になるんですよね。この許可、不許可というのは、これはつまり行政処分ということになって、西田発議者も前回からよくおっしゃられるように、これが、例えば不許可にしたことが不当であるといって争われる、そのことが裁判になり得るというような場面なわけですが、つまり、与党発議者がおっしゃりたいのは、そうした行政判断を行うとき、そしてその行政判断の当不当、あるいは適法、不適法が争われるときにこの理念法が規範として働くはずであるという、そういうことでしょうか。

○西田昌司君

まさに今、仁比委員がおっしゃったことを我々は期待しているわけであります。
ですから、要するに、表現の自由を公権力が規制したり、直接的にそういうことをすること自体はやっぱり憲法に抵触してくる。しかし、この理念を設けることによって、それぞれ具体的な行政が許可、不許可、道路使用許可だってそうですね。ただ、内容で一概に駄目だということはなかなかできないわけでありますけれども、トータルで総合的に判断してきたときにある一定の行政判断が出てくる。そのときの行政判断をしていただくときに、我々は、いわゆるヘイトは許さない、あってはならないというこの理念法を設けたことによって行政判断がなされて、そして、そのことについて、そのヘイトを行っている側がそれは不当な行政判断なんだと、我々の表現の自由、集会の自由を行政がそういう公権力によって禁止することはおかしいという裁判が出る場合も当然考えられますね。出てきたときに、我々が、国権の最高機関としての国会がこういう理念法を定めて、そういうヘイトというのはあってはならないのであると、そういうことを基に行政が判断し、そして裁判所も同じく我々の立法趣旨を基にして判断がされていくものと期待しております。

○仁比聡平君

まず、西田議員がよく御答弁の中で使われる公権力という言葉なんですけれども、広い意義でいいますと裁判所も公権力の一環だということになるんだと思うんです。今ずっとお使いになられている意味は、つまり行政機関が、国であれ、あるいは地方公共団体であれ、行政として表現の内容に立ち入って当不当の審査をする、そういうことはやるべきではないという、そういう意味合いで使っておられるわけですよね。

○西田昌司君

まさにそういうことです。行政府の側が当不当の判断をすべきではないと。あくまでそれは、最終的には司法の方の場の話になってくると思います。ですから、最終的には司法判断になるでしょうけれども、行政の側が自分たちで基準を設けて、こういうことはしてはいけない、してもいいとかいう、そういうところの形のことをすることは私は憲法違反になってくると思っています。

○仁比聡平君

今の点について各会派のところでいろんな議論があるということはもちろん一つのテーマなわけですが、ちょっと先に進みたいと思うんですけれども。
今、西田議員がおっしゃった意味で、つまり行政機関が表現内容にわたって審査をすることはない、そういう意味で理念法であるということと、今私がお尋ねしている地方公共団体の責務ですね、つまり、四条の二項の最後の部分を「努めるものとする。」という表現にしていること、つまり国は責務を有するんだが地方公共団体は施策を講ずるよう努めるものとすると、言わば努力義務のような形に規定をしていることとの間に私、論理的必然はないんだと思うんですよ。
といいますのは、先ほど来確認をしているとおり、求められる施策というのは、これは当該地域の実情に応じてそれぞれなわけですよね。これは当然なんです。それが憲法の定める地方自治の本旨に直接かなうものであるし、私たちが訪ねた川崎の取組を踏まえても、つまり、共生というものを実現をしていくのは、地域社会においていろんな闘いがあり歴史があって前進をしてくるわけで、それはつまりそれぞれのコミュニティー、自治、共生を大切にするという取組の中で行われるわけですよね。そうしたものとして当該地域の実情に応じた施策というものが求められるのであれば、それは、自治体それぞれがそれぞれですよというのは、それはそうなんだから、別に努めるものとするというふうに引かずに、腰を引くのではなくて、国と同じように責務を有するとはっきり書いても差し支えはないのではないかと思うんですが、いかがですか。

○西田昌司君

仁比委員がおっしゃるところもそのとおりだと私も思います。
ただ、これ一般論として、国はそういう様々な規則や法律で、ある種公権力として行政府として仕組みをつくって、ある種のこういう強制的な面がありますよね。ところが、いわゆる地方自治体の場合には、コミュニティーの、その社会の皆さんの中の仕組みでありますから、どちらかというと、そういう言葉よりも柔らかい言葉の方がなじみやすいのではないかと、そういう意味で使っているわけでありまして、だからといって、国はやるけれども地方公共団体はしなくてもいい、まあ努めるようにしてくれたらいいというような、何か腰の引けたつもりで言っているわけではもちろんございません。
ただ、今委員がおっしゃるように、要するに、地域社会というのは余り四角四面な法律で縛り付けるというよりも、皆さんがやっぱり長い間そこに住んでコミュニティーを築いてこられた、それをいかにして安寧な社会を続けていくかという、お互いがお互い、お互いさまで協力し合うという、そういう社会でありますよね。だから、努力義務のような形をしておりますけれども、我々が思っているのは、それを国の方には義務があるけれどもこちらの方には義務がないとか、そういうつもりで使っているわけではございません。

○仁比聡平君

ということであれば、これから行われる協議においてもきちんと検討の余地は十分あるなというふうに今受け止めたんですけれども。
地方自治体といっても、これはやっぱり大きな力を持っているんですよね。例えば、私の、九州、地元の例えば福岡市あるいは北九州市ということを考えたときに、市がどんなスタンスで物事に臨むのかというのは、これは決定的です。このときに、この大切な法案において、国は責務があるが地方公共団体は努めるものとするとされているというこの表現一つで地方公共団体の構えが変わるようなことになるならば、それは法案提案者の意図とも違うのだなと今改めて思ったわけですね。
例えば、前回も申し上げましたが、札幌市議会で当時の市会議員さんがアイヌ民族なんていないという趣旨の発言をされて、これがアイヌ民族に対する極めて悪質な、しかも政治家による、公人によるヘイトであるということが大問題になり、辞職勧告決議が出されたという経過があります。
こうした地方議会も含めて、あるいは首長がそうした言動を行うなんてもってのほかだと思いますけれども、特定の民族や人種に属することを理由にしてこうした社会から排斥するというような言動から守らなければならない行政の側が自らヘイトを行うということは絶対にあっちゃならぬということをはっきりさせる上でも、私はもう責務ときっぱりはっきりさせた方がいいと思うんですが、いかがですか。

○西田昌司君

今おっしゃったことは一考するべきところがあると私も思います。

○仁比聡平君

そうした中で、協議を続けていくことを求めて次のテーマに移りたいと思うんですけれども。
対象となる言動についてどのように定義をするか、これは法案の大きな課題なわけですが、私どもの法務委員会で、せんだって国連人権理事会特別報告者のデビッド・ケイ教授とお会いをいたしました。委員長始め理事の中心メンバー、私も含めて懇談をさせていただいた中で、このヘイトスピーチの規制をどう考えるのかということが大きなテーマになり、後、デビッド・ケイさんが記者会見をされた中で、ヘイトスピーチの定義が曖昧なまま規制すれば表現の自由に悪影響を及ぼす可能性があるというふうに指摘していると報じられています。また、獨協大教授の右崎正博さんが、不当な差別的言動という言葉は曖昧であり、言論と行為を区別すべきだというふうに指摘もされているんですね。
不当なという概念が、これが評価も含めて広範、曖昧ではないか、それから差別的という表現が、用語がこれ曖昧ではないかというこの懸念は、これは以前から示されているわけですけれども、このデビッド・ケイさんや右崎先生の指摘に発議者はどのようにお答えになるでしょうか。

○矢倉克夫君

まさにこのデビッド・ケイ氏のおっしゃっているところはそのとおりであるかなと。我々も懸念しているところはまさにこの点でありまして、表現のとりわけ内容に関する規制というもの、これが外延が明確でなければ、どこまでが公権力が介入する言論かというところの外延が明確でなければ、全ての言論の規制にもなるし言論に萎縮効果を生むと、ひいては民主主義に甚大な影響を与えるというところであります。まさにそういう問題点に立って、私たちは、表現の内容というものに着目した禁止に基づく法律ではなく理念法として法の立て付けをすることが、表現の自由をしっかりと遵守しながらこのような卑劣な言動というものをなくす社会をつくる上で唯一の手段であると、最善の手段であるというふうに理解もしてこのような形で法規をさせていただいた、そういう点では、デビッド・ケイ氏の発言はそのとおりであるというふうに思います。
そして、もう一つ、右崎先生の御発言であります不当な差別的言動というところでありますが、こちらの法律は不当な差別的言動というものをこれ定義付けておりまして、本邦外出身者を地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動という形であります。この不当なとか、そういった文言の曖昧さという部分ではなく、まさに扇動であるとかそのような形での定義も入れているところでありますので、曖昧であるという御批判はこれは当たらないというふうに理解をしております。

○仁比聡平君

今のお話は、つまり、不当なというのが、その裸で不当なというふうに評価される概念ではないという意味なんでしょうか。つまり、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として本邦外出身者を地域社会から排除することを扇動するものが不当なのであると、そういう意味でしょうか。

○矢倉克夫君

まさにそういう意味を込めて二条で定義条項という形で加えさせていただいたところであります。先生おっしゃるとおりです。

○仁比聡平君

先ほど、侮蔑あるいは侮辱というような概念をここで、この部分に盛り込めないのかという趣旨の議論もありますし、この定義をどう明確にしていくのかというのは協議の大きなテーマなんだと思うんですね。
そうすると、今の与党としては、この法文のここの部分をきちんと議論していくことで、許されないヘイトスピーチを明らかにし、外延を明確にしたいと、そういうことでしょうか。

○西田昌司君

この法案を提出しまして、民進党から、また御党、共産党からも修正項目の要求があったわけでございますが、実は今日の四時から我々与党のワーキングチームでそのことについて協議をすることになっております。その中で、今おっしゃったようなことも含め考えていきたいと思っております。

○仁比聡平君

ということなのですけれども、念のため確認をしておきたいと思うんですが、我が国の法制でこの不当な差別的言動という用語は極めてまれです。
法制局においでいただいていますが、この用語例というのはどのようなものがあるでしょうか。

○法制局参事(加藤敏博君)

不当な差別的言動という語句でございますが、これは一つの法令用語として用いているわけではございませんで、不当、差別的、それに言動という三つの用語を組み合わせた語句でございます。
その上で、不当な差別的言動という語句を用いた立法例としましては、いわゆる障害者虐待防止法、この法律の中で、定義規定の中で、「障害者に対する著しい暴言、著しく拒絶的な対応又は不当な差別的言動その他の障害者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。」というふうに定義規定を置いているところはございます。

○仁比聡平君

今お話しの、つまり、今御紹介のあったいわゆる障害者虐待防止法に唯一例があるということなわけですね。
近年制定をされたわけですけれども、この障害者虐待防止法における不当な差別的言動という概念が法制上どんなふうに位置付けられているか、つまり何のための規定として設けられ運用されているか、厚労省、お答えください。

○政府参考人(藤井康弘君)

お答え申し上げます。
いわゆる障害者虐待防止法第二条第七項及び第八項におきましては、虐待の通報義務の対象となってまいります障害者福祉施設従事者等又は使用者による障害者虐待に当たる行為が定義をされております。
この中で、いわゆる心理的虐待につきましては、「障害者に対する著しい暴言、著しく拒絶的な対応又は不当な差別的言動その他の障害者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。」と定義をされておりまして、この不当な差別的言動は著しい心理的外傷を与える言動の例として規定をされてございます。

○仁比聡平君

つまり、今の現行法で例のある規定は、障害福祉事業を利用する方、その事業者からサービスの提供を受ける方、いわゆる利用者ですね、利用される障害者、高齢者の場合もあるでしょうけれども、そうした方に対してその事業を行っている側、それを従業員というふうに呼んでいるわけですが、つまり、サービスを提供される、しかも、介護度や障害の度合いにもよりますけれども、極めて弱い立場にある方々に対してサービスを提供する、言わば支配をする側による不当な差別的言動という意味で主体が限定をされているわけですね。あるいは、障害者を雇用している使用者がその雇用関係にある従業員、障害のある従業員に対して虐待をする、ここを捉まえて不当な差別的言動という概念がある、そうした場合に通報義務があると。
そういう意味では、不当な差別的言動という概念は主体の面でも限定をされているということだと私は理解するんですが、厚労省、そういう理解でおおむね間違いないですか。

○政府参考人(藤井康弘君)

先ほど御答弁申し上げたとおりでございますが、この障害者虐待防止法におきましては、障害者福祉施設従事者等又は使用者による障害者虐待に当たる行為が定義をされておりまして、その中で、いわゆる心理的虐待につきまして、その一つの例示としてこの不当な差別的扱いということが規定をされてございます。

○仁比聡平君

つまり、私の指摘はそうは間違ってはいないという趣旨なんだと思うんですよ。ですから、対象となる許されない行為を、言動をきちんと明確にするというのは、これまで与党発議者がお話しになっていた基本的なお立場を踏まえながら、やっぱりもっともっと議論して、きちんと定めていかなければならないと改めて私思うんです。
ちょっとそことの関わりもあって、この二条の定義に与党の皆さんは「公然と」という用語を使っておられます。具体的に言うと、「公然とその生命、身体、自由、名誉又は財産に危害を加える旨を告知する」という文案になっていまして、ここに言う「公然と」という意味が何なのか。私は、不特定多数の者が表現の内容を知り得る状態に置くような場所又は方法による言動というふうに捉えるべきだと思うんですけれども、与党の皆さんの意味するところはどうなんでしょうか。

○矢倉克夫君

一般に、公然とというのは、不特定又は多数人が認識できる状態という意味であるというふうに解釈されているというふうに理解もしております。ですので、こちらの「公然と」という意味は先生の御指摘のとおりであると思います。

○仁比聡平君

不特定多数の者が表現の内容を知り得る状態に置くような場所又は方法というのは様々なものがあるわけですけれども、矢倉発議者、そういう理解でよろしいですか。

○矢倉克夫君

そのような見解で結構です。

○仁比聡平君

あと、具体的な中身については、各党協議の中で更に詰めた上で、こうした委員会の場で確認をできるように議論していきたいなと思います。
そうした中で、私どもとしては、前回に指摘をさせていただいた、例えばアイヌ民族に対するヘイトスピーチ、あるいは難民認定や在留資格が争われている外国人に対するヘイトスピーチ、これが許されないということは当然であって、まずここ確認しましょう。
自民党、公明党、それぞれ発議者、許されないと、規定の仕方をどうするかはおいておいて、アイヌ民族や難民認定、在留資格が争われている外国人に対するヘイトスピーチが許されないと、この認識は同じですね。

○西田昌司君

そのとおりであります。許されるものではありません。

○矢倉克夫君

全く許されるものではありません。

○仁比聡平君

そのことを明確にする必要がやっぱりあるんですよ。適法に居住するという要件を法律上の文言にしてしまうと、つまり適法に居住するという要件が在留資格をめぐって争われているときにはその者に対するヘイトスピーチは許されるのではないか、この許されないという対象に入らないのではないかというような議論が現にあるわけですよね。
ですから、この適法に居住するというこの文言そのものは、これは私は削除すべきだと思うんですが、それは私の提案であって、日本共産党の提案であって、与党はお立場がいろいろあるんだ、これから協議をされるんだと思うんですけれども、ここはやっぱり議論をしていく課題だという御認識ではあるんですか。

○西田昌司君

今、仁比委員がお示しになったような議論がインターネット上でされていると。つまり、適法に住んでいない人ですね、いわゆる不正に入国されたとか、そういう方だったらヘイトスピーチをしてもいいんだというようなことをインターネット上で情報が蔓延していることを私も承知しております。しかし、当然のことでありますけれども、それを我々は認めるものではありません。要するに、適法であるかないかというのは、適法でない場合には入国管理法違反ですから、そのことはそのこととしてその法律でしっかりとした措置をされるというのは、これ当然だと思っております。
しかし、だからといって、その方々にヘイトスピーチを浴びせかけて、それがいいのかというとそれはまた別の話でして、これは禁止規定ではありませんから禁止はしておりませんけれども、当然そういうことは許されるものではないと。要するに、これはモラルの話なんですよね。日本人としてのモラルをこの理念法で掲げているわけであります。
したがいまして、今おっしゃいましたように、我々が立法事実として想定していたことのほかにも、今おっしゃっているような様々な、アイヌの方々の話もそうでありましょう、そういう事実があることは私も事実だと思います。ですから、ここは、この法律は理念法でありますから、今私が発議者として申し上げているこの答弁も含め、この法律の運用の仕方、これを理念法として運用していくときに、様々な皆さん方からの意見も踏まえて、例えばこの法律の運用に対する附帯決議を付けていただくなり、また今我々が発議者として申し上げていることを踏まえて運用していただければ、私は法律のその隙間は埋まっていくものと期待しております。

○仁比聡平君

協議を続けたいと思うんですけれども、つまり西田議員がおっしゃらんとするモラルの問題というこの言葉なんですけれども、私なりに翻訳しますと、民主主義社会、市民社会の根底である互いの人格を尊重するというこのモラルなり、あるいは憲法用語で言えば人格権ということにもなるでしょうし、あるいは良心、あるいは倫理というふうに置き換えてもいいんだと思うんですけれども、これを踏みにじって、社会から排除しよう、排斥しようとするヘイトスピーチに対して我々がどう根絶のために力を尽くすのかということが問われている下で、法の規定ぶりということはこれは極めて重要だと。
ですから、いや、この部分は許されるんじゃないか、これは大丈夫じゃないかというふうに抜け穴だとかを探そうとするような、そういうやからに対して駄目だということをこれははっきりさせると、そういう規定に仕上げようじゃないかと私呼びかけたいと思うんですが、いかがですか。

○西田昌司君

おっしゃることは全く私も賛成であります。また、そういうつもりでこの法律を提案させていただいております。
つまり、立法事実は、先ほど言いましたように、元々はいわゆる在日の方々に対するヘイトスピーチであったわけですけれども、それ以外にもあることは事実であります。それをやっていく場合に我々が一番感じましたのは、要するにモラルでありますから、モラルだから理念法にしておりますが、モラルを法律の規制にしたり、それを行政府側が、ここから外側は駄目だという禁止規定を作ったり、それを排除するような措置をつくったりするのは、今度は逆に公権力が個人の生活を縛ったり規制したりする、そういう表現の自由に関わることになってくる。
ですから、そこはあえてしていないわけでありますけれども、今言われたような様々な我々が想定していなかったことも含め、それは広くこの理念法の中で包み込んで解釈していくべきだと思っておりますし、そういう形の解釈は当然ここから私は読み取っていけるものだと思っております。

○仁比聡平君

その今の後段の部分がいろんな議論になっているところなんだと思うんですよ。
例えば、西田議員が繰り返しておっしゃるような戦前の治安維持法体制というのはどんなものだったかと。最高刑死刑と、極刑をもって、しかも特高警察が私ども日本共産党を始めとした国民の思想、そして結社そのものを弾圧すると。予防拘禁含めて身柄を拘束して絶対に外に出さないという弾圧体制なんですよね。これをイコール言論統制になってはならないというふうに引っ張ってこられると、この規制のありようの問題がちょっと議論がしにくいんじゃないのかなと思ったりもするんです。
というのは、この法案も前提にしている教育あるいは啓発というのも、教育でいいますと、例えば子供たちが中心でしょうけれども、子供たちの人格に直接働きかけるというとてもデリケートで大切な営みなのであって、この教育の場面で例えば教師が子供たちに、何を許されない、なぜ許されない、それをなくすためにはどうしたらいいという、そうしたことを語りかけ、そしてその子たち一人一人のものに本当にしていく、これは教室の中で教えればいいというものではないですよね。教科書に書いてあるのを覚えればいいということじゃないじゃないですか。そうではないということを私たち桜本の取組でも学んできていると思うんですけれども、そういう意味では、教育というのはとても深い取組ですよね。
これを例えば地方公共団体立の、市町村立の学校などで行っていくことということになる、私立だって求めることになるでしょうと。というときに、何が許されないのかということを定義を明確にするということは、この教育においても、あるいは啓発においてもですけれども、これは大事なのであって、罰則の構成要件の明確性というのとは意味合いの違うものとして、私は、ヘイトスピーチの明確性、何が許されないのかをはっきりさせるということは大事だと思うんですよね。そこはいかがですか。

○西田昌司君

非常に大事な御指摘だと思います。しかし、そこを定義してとやったところで、私はこれは本当に外側、外側が出てくると思っています。
しかし、一番私は大事なのは、教育の話、啓発の話もそうですけれども、もう少しこれかいつまんで言うと、やっぱり思いやりだと思うんですね。自分がその相手の立場になったときにどうかということですよ。だから、ヘイトをしている人に私は申し上げたいのは、もしあなた方がヘイトをされる側にいた場合、何を感じるかですよね。何もしていない、平穏な、そして合法的に、適法に暮らしておられる方に向かってそういう言葉が浴びせかけられたときに、普通の人間ではやっぱり耐えられないですよね。そういうことは許されない。それを彼らやっている方が感じていただくべきなんですね。それを我々教育とか啓発という言葉で表しておりますけれども、だから、その相手の立場になって考える思いやりですよね、そういうところがやっぱり大事なことだと思うんです。
だから、それはまさにモラルの問題であり理念の問題であり、そして国民全体がそういう差別のない社会をつくらなければならないという、国民全体がそういう努力義務があるという、そういう意味でここに書かせていただいたのは、私が言いましたように、そういう思いやりの心、お互いさまなんですから、我々のこの日本の国で、地域社会で平穏に暮らしている、それはどなたにもあるわけですよ、そういう暮らすことができる権利は。それをしっかり守っていくというのを我々は目指しているわけであります。
したがいまして、余り細かい規定で、このヘイトの定義というのは私はこの法律の趣旨からすると小さな問題で、むしろ思いやりの心という方を我々は訴えるべきではないでしょうか。その方がより理解ができるんだと思うんです。

○仁比聡平君

法とは何かという、これ、委員長、是非我々の中でよく議論して定めていかなきゃいけないんじゃないでしょうかと御提案をしておきます。
私どもが与党の皆さんに御提案をしている定義というのを改めて申し上げると、ヘイトスピーチとは、人種若しくは民族に係る特定の属性を有する個人又は集団、例えば民族などというふうに呼ぶとして、その民族などの社会からの排除、権利、自由の制限、民族などに対する憎悪又は差別の意識若しくは暴力の扇動を目的として、不特定多数の者がそれを知り得る状態に置くような場所又は方法で行われる言動であって、その対応が民族等を著しく侮辱、誹謗中傷し、脅威を感じさせるものをいうといった定義、この一字一句こだわるわけじゃないんですが、こうしたものに置き換えてはどうかなという提起をしております。
それは、人種、民族による差別という人種差別撤廃条約にも通ずる理念を折り合える形でこの法文の中に盛り込むということ、それから、社会からの排斥、権利、自由の制限、憎悪又は差別の意識若しくは暴力の扇動という、こうした要素を明記することによって、人間の尊厳の根底にあるアイデンティティーを排斥しようとするもの、攻撃し排斥しようとするものであるというヘイトスピーチの本質をきちんと明らかにできるからだと私は考えているんですね、是非御検討いただきたいと思うのですが。
最後に、そうした定義を明確にしながら、行政機関が直接言論の違法性を認定するという仕組みは取らないという理念法なわけで、教育、啓発についても、これやっぱり違法であると。与党の皆さんの案でも、前文において、あってはならず、あるいは許されないことを宣言するというふうにおっしゃっているのであって、それはつまり違法だと、この法には反するよと言っていることと私はほぼもう同義なんじゃないかと思うんですけれども、先ほど来の議論のように禁止規定は置かないとおっしゃるんですが、これは、そのようにおっしゃって門前払いするつもりではないと思うんですが、これから行われる協議でもきちんと議論をするべき大きなテーマだと思うんですが、いかがですか。

○西田昌司君

このところは我々も一番公明党との間で、二党協議で一番実は詰めてきたところであります。禁止規定を置かない、あくまで理念法であると。それはなぜかといえば、法律で言論の自由を規定して禁止するということをやってしまうというのは、この法律に限らず、全ての法律において私たち問題だと思っております。
今、日本には、かつてはそういう治安維持法があったかもしれませんが、今そういう法律はありません。これからも作るべきではないと思っています。ですから、この法律においてもあえて禁止規定に係るようなものは作らなかったというところで、このところだけは我々譲ることができないと思っています。
しかし、かといって、禁止規定を設けていないからといってヘイトを許しているわけではない。これは、理念においてしっかり駄目だということを宣言して、そして教育、啓発、先ほど言ったように思いやりの心ですよね、そういうことをみんなが持ち合えば、結果としてこのヘイトを根絶できるのではないかと、そういう思いで作っているというところを御理解いただきたいと思います。

○仁比聡平君

禁止規定を置かない、あくまで理念法であると西田議員が繰り返されるんですけれども、野党案、民進党さんたちを中心にした案にあるように、理念法で禁止規定を置くというようなこと、当然あるんですよ。これ、だから、理念法だから禁止規定を置かないという理屈にはならない。それは論理必然ではない。やっぱりそのことを前提として、ここの点は本当に極めて重要な点ですから、大いに議論をしていかなきゃいけないと思っています。
私たち日本共産党は、民族差別をあおるヘイトスピーチを根絶するために、立法措置を含めて政治が断固たる立場に立つことが必要であると政府にも求め、私たち自身も政治家としてその先頭に立つべきだと、議論と運動を求めてまいりました。
今回、与党案が提出をされ、こうやって実質審議に入る中で、いわゆる野党案、そして与党案とともに刑訴法案がこの委員会で並行審議をされるという状況になっているのは極めて異例のことだと思うんですけれども、それは、何よりヘイトスピーチによる被害の深刻さとその根絶を求める当事者、国民の皆さんの強い声によって動かされてきた大きな一歩だと思います。
だからこそ、私たちは、このヘイトスピーチ根絶に向けた第一歩、一歩前進を実らせるために、今国会でより良い法律案をできる限り全会一致で成立をさせるという立場で、深い協議をしっかり行っていくべきだという立場でこれから臨んでいきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げて、質問を終わります。

○有田芳生君

民進党・新緑風会の有田芳生です。
昨日、高松高裁で画期的な判決が下されました。二〇〇六年に在特会などが徳島県教組を襲撃をしてヘイトスピーチのあらん限りを尽くし、さらには、そのときには拉致問題までもが利用されました。それに対して、昨日の判決では、損害賠償額が一審よりも二倍近くになったということと同時に、大事なのは、人種差別撤廃条約の精神に基づいて、在特会などの行為、言動というものが人種差別的であると、そう認定されたことです。
今日、与党案の審議が行われていて、今ずっと拝聴しておりまして、問題点、課題というのはかなり明らかになったというふうに思います。一つは、後で詳しくお聞きをしますけれども、与党案にある適法居住要件。
さらには、小川委員からも話がありました、私たちの野党案には明記をされていたヘイトスピーチは違法なんだと、そういう規定がないところなんですが、ただ、人種差別撤廃条約をこの問題を考えるときの精神にした場合、与党案にある、先ほども仁比委員が指摘をされておりました、前文のところで「このような不当な差別的言動はあってはならず、」というのがあり、さらに数行後に「このような不当な差別的言動は許されない」とあります。
許されないということを人種差別撤廃条約の規定に基づいてその精神を生かすならば、例えば人種差別撤廃条約第二条一項の(d)にありますように、国と地方公共団体はこういう差別を、人種差別も禁止し、終了させると。これは、日本が人種差別撤廃条約に加入をしているわけですから、国と地方公共団体の責務になっているんですよね。
ですから、その精神を生かすならば、この与党案の差別的言動はあってはならず許されない、法務省の言うヘイトスピーチ許さないと、そのことを条約の精神に基づいて判断するならば、これは違法だという理解でよろしいですね。提案者にお聞きします。

○西田昌司君

人種差別撤廃条約の精神は、我々、もちろん尊重しております。ただ、今おっしゃったように、禁止規定のことについては我々留保しているわけなんですよね。ですから、その部分についてその条約は、我々はこの禁止規定を置いてやるという形にはなっていないというふうに理解しております。

○有田芳生君 人種差別撤廃条約で日本政府が留保しているのは四条の(a)項、(b)項であって、今お示ししたのは第二条の一その(d)、各締約国は、全ての適法な方法、状況により必要とされるときは立法を含む、により、いかなる個人、集団又は団体による人種差別も禁止し、終了させると。
ですから、これからやはり人種差別撤廃条約の精神をこの与党案をこれから考えるときにも基本にすべきだなというふうに判断しているということを初めに指摘をしておいて、河野太郎国家公安委員長来てくださっておりますので、実効ある中身にしていくために何が必要なのかということについてお聞きをしたいというふうに思います。
その前に、一つ前提ですけど、今年三月二十七日、東京新宿の職安通りでヘイトスピーチのデモが行われました。そのとき、女性たち四人が、少なくとも私が確認しているだけで、傷害、けがを負いました。それに対して、警視庁新宿署にこの当の女性たち三人が氏名不詳の警察官三名を刑事告訴いたしました。警察官が刑事告訴され、さらには、私が確認しているだけでも既に現場検証なども行われておりますけれども、現場警察官が、そこにも写真を示しておきましたけれども、喉輪で女性の首を絞める、あるいは後頭部を打つというような事態が起きたことに対して、国家公安委員長としてどのような所感をお持ちでしょうか。

○国務大臣(河野太郎君)

この三月二十七日のデモに関しましては、今警視庁において事案の解明に向けて必要な捜査が行われているというふうに認識をしております。
デモですとかあるいはそのデモに対する抗議活動の中で違法な状況が発生をした場合には、この解消をしなければなりませんが、それに当たっては、関係者の皆様の安全にきちんと配慮できるように警察をしっかり指導してまいりたいと思います。

○有田芳生君

違法な状況が起きていないときに警察官によって喉輪が行われ、首を絞められた。明確な写真もあります、動画もあります。韓国のテレビでも放送されました。それについてどうお考えですか。

○国務大臣(河野太郎君)

今、この事案につきましては警視庁が捜査をしていると思いますので、個別の事案についてお答えをするのは差し控えたいと思います。

○有田芳生君

喉輪で首を絞めるというのがいいというわけはないというのが前提ですけれども、写真を示したので、上の方の二枚を御覧ください。左側は、今年の三月二十七日、東京都新宿区、職安通りですね、喉輪が行われた現場、右側は、四月十七日、岡山市で行われたやはり在特会の前会長桜井誠氏などが行ったヘイトスピーチの警備の状況です。
見ていただいたら分かりますように、国連の人種差別撤廃委員会で委員から何度も、日本のヘイトスピーチの現状については警察が差別主義者たちを守っているようにしか見えない、そのような現実があります。新宿署の左側の写真を見ていただいたら一目瞭然です。
一方で、右側は岡山県警ですけれども、ヘイトスピーチをやっている集団、それに抗議をする集団、警察官が交互にお互いを見ながら事故が起こらないような対応を取っております。更に言えば、東京新宿で女性たちが傷害を負ったのと同じことですけれども、岡山県警の四月十七日の現場の状況は、女性たちに対しては女性警察官が対応されているという、そういう丁寧な取組が行われていたんです。
これは私が確認するだけでも、札幌あるいは福島では、ヘイトスピーチをやる人たち、それに反対をする人たち、警察官交互に見ているものですから、先ほど申しましたように、国連の人種差別撤廃委員会の委員の皆様のように、日本では差別をしている人たちを警察官が守っているというふうにしか見えないんですよね。だから、そのようなきめの細かさが大事だというふうに思います。
今日は、資料のもう一枚に、四月十九日に院内集会、今こそ人種差別撤廃基本法の実現をパートフォー、ここに中根寧生さん、中学二年生ですけれども、発言をされたその全文を御紹介をいたしました。その中学生の目から見ても、桜本にやってきたヘイトスピーチ集団は、ゴキブリ朝鮮人、たたき出せ、死ね、殺せと警察に守られながら叫んでいました、さらに、警察はそんな大人を注意してくれませんでした、さらに、警察がヘイトスピーチをする人を守りながら桜本へ向かってきました。やっぱりそのように見られている現状があるんですよね。
一方で、河野大臣にお聞きをしたいんですけれども、やはり警察官にヘイトスピーチあるいはヘイトクライムについての教育というのがなされているのかどうかなんですよね。差別をやっている者と差別に反対する者、どっちが悪いのかというような基本的なことから、例えばアメリカなんかでは、連邦レベル、州レベル、地方自治体レベルでヘイトクライムについての研修プログラムがある。それで皆さん研修をなさっている。あるいは、ニュージャージーでは、新任の警察官には全員にヘイトクライム対応の歴史などの研修が行われている。だから、日本でもうずっとこういうヘイトスピーチあるいはヘイトクライムが起きている現状の下で、これからの課題として、警察官に対してもそういった教育が必要だと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(河野太郎君)

警察職員に対しましては、人権の尊重あるいは関係法令に関する教育のほか、デモ現場における対応などに関する教育をこれまでも行ってきたところでございます。
こうしたヘイトデモのようなものが多く見られるようになった今日、その実情に合わせた教育をしっかりやってまいりたいと思っております。

○有田芳生君

先ほど、小川委員からもこれで、与党案でヘイトスピーチのデモを止めることができるんだろうかと率直なお考え述べられたというふうに思います。
そのことについて幾つか細かくお聞きをしていきたいんですが、まず現実の問題として、東京の新大久保、コリアン、在日コリアンの方々が商売をなさっているところに、二〇一三年の二月、三月を頂点にしてずっと毎週のようにヘイトスピーチのデモが行われてきました。しかし、多くの抗議あるいは警察の指導もあったんでしょう、二〇一三年の九月をもって新大久保でヘイトスピーチのデモはできなくなっております。
しかし、不思議なことに、二〇一五年の十二月二十日、そして写真でもお示しをしました今年の三月二十七日、東京の新宿の職安通りで、ずっと焼き肉店とかコリアンショップがあるその横をヘイトスピーチのデモが通っていったんです。私たちもそこで抗議をしましたけれども、そういうときに、先ほど大臣は、公安条例に基づいてデモの許可制で、実質上届出制であって、したがって最高裁も合憲だとしているというふうに答弁されました。
しかし、明らかに在日コリアンたちが御商売なさっている、日本人も含めて多くの買物客がいるところに、そういう確実にヘイトスピーチをやるデモが通ろうとしたときに、デモの指導、コースの変更というのはなされるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(河野太郎君)

交通の円滑な確保ですとか、違法行為、犯罪行為を防止する観点から助言をするということはございますが、最終的には申請者の意思が尊重されることになりますので、条例等の要件を満たしていれば、これは許可をしなければならないということになっております。

○有田芳生君

それは現実とは違いますね。新大久保でヘイトスピーチのデモができなくなったのは、警察の方から明らかなデモコースの指導があったからだと理解していますが、まあ細かいことは御存じないでしょうから、そういうことができるんだということを指摘をしておいて。
もう一つ、先ほど小川委員に対して国家公安委員長は、最高裁も合憲だとしているから、デモの許可制であって、表現内容のいかんで不許可とすることはできないとおっしゃいました。しかし、この与党案がもし法律になったとき、表現内容を根拠にして不許可にできないにしても、表現内容というものを特定して、これを使わないことを条件にして許可をするという運用できるでしょうか。

○国務大臣(河野太郎君)

それはなかなか難しいと思います。

○有田芳生君

そうしたら、ヘイトスピーチのデモはなくなっていかないんですよ。公安条例を変えるとか、あるいは公園を使用したいというときに公園の使用条件を変えるとか、あるいは約束をして条件を付けて、それを破った場合には次はデモもさせない、あるいは公園使用もさせない、そういう運用できるんじゃないんですか。

○国務大臣(河野太郎君)

犯罪行為の防止やあるいは円滑な交通の確保ということを考えて助言等をすることはできますが、最終的には申請者の意思を尊重して許可をしなければならぬということになっております。

○有田芳生君

京都朝鮮第一初級学校襲撃事件の最高裁の決定でも、ヘイトスピーチは何かということが、人種差別撤廃条約に基づいて具体的にこれはヘイトスピーチだという確定はしているんですよ。だから、そういうことと、今度与党案が通ったときの各地の公安条例あるいは公園使用条件というものが変わっていかなければ、ヘイトスピーチのデモは終わらないですよ、確信犯でやるわけですから。西田委員、いかがでしょうか。

○西田昌司君

先ほどから答弁をさせていただいておりますが、我々のこの与党案には禁止規定はございません。しかし、理念、前文でしっかりそのことをうたい、国民として差別のない社会をつくっていこうという責務を我々は負っているわけであります。
それが成案されました場合は、当然のことながら、警察においてもこの法の趣旨が警察の現場の警察官にも教育され、そのことを受けて、この法律で禁止はできなくてもほかの様々な法律があるわけでございます、そして騒音防止条例から、侮蔑じゃなくて侮辱罪ですよね、それから様々なそういう法律を駆使して私は警察が取締りもやってくれるものと期待しております。

○有田芳生君

繰り返しになりますけれども、もう一度西田委員に、ヘイトスピーチのデモをなくしていく、減らしていくイメージとしてお聞きをしたいんですが、例えばこの与党案が成立をしたとする、そうすると、先ほども言いましたけれども、ヘイトスピーチをする集団というのは、まず公園の使用許可を求める、そしてさらにはデモ申請を公安委員会に行うわけですよね。だけど、そこで、例えばこの間の岡山にしたって拉致問題をテーマにしているわけですから、それは河野大臣がおっしゃるように許可されますよ。だけど、現場にいればヘイトスピーチ丸出しのデモが続くわけですよ。あるいは、二年前ですけれども、東京の新宿でも、公園使用許可で、そこでは集会やってはいけないという条例になっているんだけれども、実際には集会やってからデモに向かっているんですよね。新宿区の職員に、あれ、約束違うじゃないと言っても、いや、そうなんですけれどもと言うだけで口を濁してしまう。
だから、そこで、この法案が成立したならば、やはりそういう公園使用許可あるいはデモ申請についても、これは各地方自治体が決めていくことでしょうけれども、やはりこれまでどおりのやり方はやりにくくなるということを広げていかなければいけないと思っているんですが、そのイメージとして、西田委員、いかがでしょうか。

○西田昌司君

これも再三答弁させていただいておりますが、この法律でスピーチの内容で規制するということはできないわけであります。しかし、ヘイトスピーチ自体を我々はあってはならないと、こう宣言しているわけでありますから、その教育を受けた警察官が、この法律では禁止できなくても様々なほかの法律の違反規定が、もしそれに抵触する行為があれば、当然のことながら警察官がその警察権を行使してそれなりの対応をしてくれるものと思っております。
そして、そういうことがされた場合、今度はそのことについて、多分相手方は確信犯でありますから、自分たちの言論が不正に止められたと、そういう形の裁判があるかもしれませんよね。そういう裁判を通じて、今度は、我々が作ったこの法律が、裁判官にも、国権の最高議決機関がヘイトスピーチというのは駄目だということを言っているわけでありますから、そのことを受けた判例が重なってくると、そういうことの積み重ねが結局はヘイトスピーチというものを社会から根絶させていくことになるのではないかということを期待しているわけであります。

○有田芳生君

河野国家公安委員長に一般的なイメージとしてお聞きをしたいんですけれども、今、多くの当事者を何年にもわたって苦しめてきているヘイトスピーチの街宣やデモなんですけれども、それをなくしていく、少なくしていくためにはどんなことができ得るとお考えでしょうか。

○国務大臣(河野太郎君)

このヘイトスピーチというのは大変恥ずべき行為であるというふうに認識をしておりますが、現在もこうしたデモに当たっては違法行為がないように助言をしているところでございます。こうしたデモの中で刑罰に触れるような違法行為、犯罪行為があれば、あらゆる法令を駆使して厳正に対処するよう警察を指導しているところでございまして、引き続きしっかりとやってまいりたいと思っております。

○有田芳生君

そこで、提案者にお聞きをしますけれども、違法行為があればそれは現行法で対処できるわけですけれども、ヘイトスピーチというのは、特定の個人になされる場合もありますけれども、不特定多数の集団に対して行われるわけですよね、民族あるいは国籍も含めてですけれども。そのときに一番大きな課題だろうと思いますのは、やはり適法居住要件だと思うんです。
今日の委員の皆様方には、昨日、法務大臣も含め、河野太郎国家公安委員長も含め、この数年間行われてきた適法居住要件に関する映像、ヘイトスピーチの実態をお配りをいたしました。西田委員も見てくださったということで、ほかの委員の方からも見ましたよということをお聞きしましたけれども、要するに、例えば今年、与党案が出てから二日後に浦和駅の東口で行われた外国人犯罪対策本部なるもののヘイトスピーチだと、短いですから御紹介しますけれども、こう言っている。日本に不法に滞在する外国人に対する糾弾、不法滞在外国人の追放、外国人犯罪者の糾弾、こうしたものはね、ヘイトスピーチだとかヘイト規制とか、そういったものはね、全くあの規制の対象外ですと。
つまり、不特定の多数に行うものがヘイトスピーチなんだから、その不特定多数の人たちが適法居住しているかどうかなんていうのは分からないじゃないですか。いかがでしょうか。

○矢倉克夫君

私もDVD見させていただいた、本当にこういう言動は許せないなという思いをしたところであります。
今、問いは、そのような不法な滞在した者に対してのものでも該当するというような問いということでよろしいんでしょうか。

○有田芳生君

時間の関係で早口になってしまうものですから、もう一度お尋ねしますと、ヘイトスピーチというのは不特定多数の人に向けられているものですよね。だけれども、その不特定多数の人たちが適法に居住しているかどうかというのは誰が分かるんですか。

○矢倉克夫君

まず、そもそも今回の法律は、適法に居住するというような文言が今入っております。ただ、これは、立法事実として我々が想定していたのは、まさに在日の方々に対してのこのような許されない言動、そのような形からこういうような形もしました。ただ、何度も申し上げているとおり、理念法として、こういった言動が許されるような社会はあってはならないと、排斥するような言動はあってはならないという理念を掲げて、その理念を実現するためにあらゆる施策を取っていくということをこれ訴えたわけであります。
ということで、今おっしゃってくださったようなデモが対象にならないというようなことではございません。その不特定の者が適法かどうかというところは、判断という部分は、そういう部分では必要もないという理解であると思います。

○有田芳生君

皆さんにお配りしたDVDの中で、昨年十二月六日のこれは鶯谷で行われたときのシュプレヒコール、一つだけ御紹介しますと、不法入国外国人の在日を日本からたたき出せ、これは与党案では許されるんでしょうか、許されないんでしょうか。

○矢倉克夫君

許されない言動であると思います。

○有田芳生君

ですから、与党案、素直に読むとやはりそういう疑問が出てきてしまうんですよね。だから、そこのところをやはり穴埋めをしていって実効性のあるものにしていかなければならないというふうに私は考えております。
私たちは六項目にわたる修正要求をお出しをしております。日本共産党からも修正要求が出ておりますので、今日の審議などで明らかになって、ああ、そこはそうだなというところがあれば、是非ともより良い方向に持っていっていただきたいというふうに思います。
矢倉委員にもう一点だけ確認をしておきたいんですが、その適法居住要件についてですけれども、不法入国者イコール非適法居住者ではないと、そういう理解でよろしいですね。

○矢倉克夫君

不法入国者イコール非適法入国者、それは概念の範囲として一体ではないということで、それはそういうことであると思います。

○有田芳生君

だから、不法入国者、つまり皆さんの法律案では適法に居住する人を対象にしているわけですよね、これ、法案は。適法に居住するその出身者又はその子孫に対して排除することを扇動する不当な差別的言動はあってはならないということですよね。だから、適法に居住する人でなければ、ヘイトスピーチ、だけど、いけないとおっしゃっているわけですよね。だから、そこをやはりもう少しきっちりと区別をされるべきだと思うんですよ。

○西田昌司君

先ほどこれも質問に答えたんですけれども、要するに、適法に居住していない違法入国者の方々がもしおられたら、それは当然入国管理法で本国に送還なり法的な措置がされるべきことだと思っています。しかし、だからといって、その方々に罵声を浴びせることが許されるものかといえば、そうではないということなんです。
ですから、その方々に対して、例えば私がヘイトをする側として、私は違法入国者、不法入国者に対してけしからぬと言ってがなり立てることは許されるんだというような論法をインターネット上で言われたりなんかしているようでありますけれども、それは全く通用しないと。我々は、そういうヘイトスピーチはもちろん許されるものではないということをこの法律の適用するときに考えなければならないということです。

○有田芳生君

この間の質疑でもお尋ねしましたけれども、与党案が出て直ちに反応があった大きな特徴の一つは、ヘイトスピーチをもう職業的にやっている連中がお墨付きをもらったと、そう言っているわけなんですよ。だから、そこのところをしっかりと対応しなければ、ヘイトスピーチをやっているレイシストたちに抜け道を与えることになると思うんですよね。ですから、そこをはっきりさせたいんですけれども。
難民申請者の中には不法入国をせざるを得ない方が、これは日本だけじゃありませんけれども、シリアの問題を含めて国際問題になっている難民問題というのはそういう本質ですよね。そこに対して、適法居住者じゃないからヘイトスピーチ幾らでもやっていいんだというふうにやっている連中は理解してしまっている、そのことについてどうお感じですか。

○矢倉克夫君

まず、反対解釈という手法そのものがおかしいんであります。これは、申し上げましたとおり、禁止規定というのは、何人も何々してはいけないとか、そういう禁止規定である場合はここまでが公権力が禁止をする範囲の言論だという、そうすると、それ以外は禁止されないんだねという反対解釈はあり得るかもしれないですけど、これは理念法として、まさにこのような社会をつくっていこうと、こういうような排斥するような言論はなくしていこうという社会を理念としてうたって、それに向けたあらゆる施策をやっていくというところであります。だから、そもそもが、立て付けとして、ここに適法と書いてあるからそれ以外はやっていいんだというようなことをお墨付きを与えたということは法としてはあり得ない話であります。
その上で、今の難民申請の部分などは、まず適法かどうかというところの問題としてちょっと限定してお答えをさせていただければ、これは当然いろんな事情があるから不法に来られるという部分もある。ただ、それも仮滞在という立場もありますし、一時庇護上陸とか様々な立場でいらっしゃっているわけであります。そういう部分ではまさに適法というふうにこれは言っていいというふうに思います。

○有田芳生君

だから、適法に居住するということをお書きになったからそういう疑問が生まれ、さらにはヘイトスピーチの職業的な人たちがお墨付きをもらって、これから幾らでもこれまでどおりできるんだと、結果的にヘイトスピーチを行う人たちに対して本当にお墨付きを与えてしまっているというふうに捉えられているという、現実なんですよ、それは。
ですから、適法居住要件という問題は、要するに、誰に対してもヘイトスピーチは駄目なんですよ。だから、それはもう人種差別撤廃条約に基づいて、それは基本の基本なんですよね。だけど、この法案のままだと、今のままだと非正規滞在者に対する差別が助長されるおそれもあるからこういう質問をしているんです。
ですから、もう一点確認したいんですけれども、矢倉委員あるいは西田委員、どちらでも構いませんけれども、要するに、今お二人がおっしゃっていることを違った言葉で言うならば、在留資格に関わりなく外国の出身であることを理由とする不当な差別的言動は許されない、そう理解してよろしいですか。

○西田昌司君

難民申請とか今おっしゃいましたけれども、我々がなぜ適法かというのを書いたかというと、まず、先ほど言いましたように、やはり違法に不正に国内に入国されること自体を我々は認めるわけにはいかない、これは当然のことだと思います。それを認めてしまうと、これは法律として成り立たないし、我々の国民生活自身の秩序安寧が保たれないおそれも出てくる。ですから、これはやっぱり適法かどうかというのは、この入国管理法等様々な法律の適用はしっかりしなければならないと思っております。
しかし、逆に、だからといってそういう方々に対してヘイトをすることを、それを公然と認めるということでもないわけなんですね。ですから、これは、先ほど矢倉委員から説明ありましたけれども、我々が理念法としていることと関連しているわけでございますが、要するに、この理念の掲げているところを拡大解釈をして、そういう方々も含めて我々はヘイトは許さないということは、国民の言論の自由とかそういうことを制限するものではありません。むしろ、モラルをしっかり高めて日本人として恥ずべき行為をしないようにしようという、こういう倫理規定でありますから、そのことに拡大的に解釈することには何ら問題はないと思っています。
逆に、今おっしゃっているような議論というのは反対解釈論をされているわけですけれども、それはあくまで禁止規定、皆さん方が禁止規定を設けるべきだというところから発想をされている発想でありまして、そういう禁止規定を設ける場合には、禁止規定があるからそこから外れたものはやってもいいということになるじゃないかという、そういう解釈されているんですが、我々は禁止規定を設けていませんから、そうじゃなくて、あくまで理念でありモラルであり啓発であると、こういうことですから、ここは拡大的に解釈をしていただいて私は対応すべきだと思っております。

○有田芳生君

適法居住要件を入れているから、ややこしくなるんですよ。
じゃ、違った視点からお尋ねをします。
適法に居住するかどうかというのは個々人が、例えば難民にしても脱北者でもそうですけれども、入ってくるときは不法な形かも分からないけれども、個人個人が日本の法律に基づいて適法な手続に従って最終的には裁判所が判断するものですよね、違いますか。だから、対象とする集団を適法に居住するかどうかという条件で線引きするところから混乱が生じているわけで、やはり多くの当事者の方々もこの適法居住要件というのが一番気になるというふうにおっしゃっている。
もう時間来ますので、だから、そこのところも、今日四時からだそうですけれども、与党の協議の中で私たちの修正についても是非とも検討していただきたい。
もう一つ、第二条の、先ほどもお話出ましたけれども、定義についても修正を是非ともお願いしたいというふうに思います。
先ほどるる指摘がありました第二条の定義の中では「公然とその生命、身体、自由、名誉又は財産に危害を加える旨を告知するなど、」ということで、排除、扇動、不当な差別的言動をいうという第二条の定義なんですが、法務省がこの間発表されましたヘイトスピーチに関する実態調査報告書、ここの中では、ヘイトスピーチについての定義はいまだ未確立だけれども、しかし法務省の文書の中では、先ほど小川委員も指摘をされました、一つは特定の民族などに対する排斥、そしてさらには生命、身体等に危害を加える、もう一つ、三番目の類型として特定の民族等に属する集団を蔑称で呼ぶなどして殊更に誹謗中傷する内容、その三点目が与党案では明確ではないんですよね。
ですから、私たちはそこは修正要求として、是非とも定義はそこのところは変えていただきたいというお願いをしておりますので、その検討も是非ともお願いいたします。いかがでしょうか。

○西田昌司君

しっかり検討したいと思います。

○有田芳生君

もう時間が来てしまって、岩城法務大臣あるいは人権擁護局長などにもお尋ねをしたかったんですけれども、もう一つ与党案に課題があると思いますのは、インターネット対策なんです。
私たち野党の法案には、インターネット上のヘイトスピーチ、あるいは差別の扇動というものをどう対処していかなければいけないのかという、なかなか難しい課題ではあるんですけれども、やはりこれも新しい時代の課題として迅速に対応しないと差別の扇動がまき散らされたままになる。在特会などを始めとするヘイトスピーチをもう職業的にやっている人たちが、この間、数年間にわたって、今でもインターネット上で差別の扇動、ヘイトスピーチが流れているわけですから、これに対する的確な対応というものもこれはお互いに考えていかなければいけないことだと思いますが、いかがでしょうか。

○西田昌司君

大変問題があるということは承知しております。これはヘイトに限らず、様々な分野でインターネット上の情報というのは問題があるということは承知しておりますが、しかし同時に、非常にこの規制というのは難しいということもあり、これからの課題だと考えております。

○有田芳生君

仁比委員も語っていましたけれども、この法案審議、そして私たち野党案も含めて、人種差別撤廃条約をこの日本でようやく具体化していく半歩、それが始まったというふうに思いますので、これからさらに、いろんな委員会を含めて、日本から人種差別、ヘイトスピーチをなくすためにお互いに努力をしていきたいということをお伝えして、質問を終わります。

190回 法務委員会(刑事訴訟法改正案参考人質疑)

2016-04-26 国会質問議事録

○矢倉克夫君

矢倉克夫です。
四人の参考人の先生方、貴重なお話、本当にありがとうございます。私からは、まず渕野参考人に二問お答えを、その後、西村参考人にちょっとまずお伺いもしたいと思います。
まず一点目ですが、通信傍受、私、やはりこのようなことを考えざるを得ないような理由というのは、当然ですけれども、話のあった組織犯罪が非常に増えている、とりわけ上層部に対しての立証というのが難しいという現実はあるという部分はあると思います。渕野先生、先ほども、今回の対象犯罪について罪名という観点から御意見をいただいたわけであります。今回、御意見としては、新しく入った罪名のものには軽微な犯罪が多いからというようなこともあったと思うんですが、他方で、おれおれ詐欺であったり児童ポルノであったり、非常に組織的な犯罪となり得る罪名もあると。そのような事案について、じゃ、現実にどのように立証していけばいいというふうにお考えであるのか。これがまず一点目であります。
もう一点目は、やっぱりプライバシーとの関係、個々のプライバシーの侵害というところ、これはもう大変に重視をしなければいけない問題であります。他方で、それの担保として令状主義というのがある。今回新しく加わった組織性の要件も含めて、令状でしっかりと記載していって裁判官の目で見るというところで適正を担保するというところでありますが、先生の御意見は、その令状主義自体が機能をしていないと。先ほども無関係なものも入るというところもあったわけですけれども、じゃ、例えばその令状の特定の在り方にしても、現実に、なかなかこのときに関係する通信を得るとかそういうことはやっぱり分からないから、ある程度概括にしなければいけない。じゃ、どの程度の令状の在り方であれば機能しているというふうにお考えであるのかをちょっと御意見をいただいて、それを受けて西村参考人から御所見をいただければと思います。

○参考人(渕野貴生君)

まず、組織的犯罪について上層部までたどり着くための立証をどうするかということですけれども、これは、二つの観点からお答えをしたいと思います。
一つは、やはり現在、捜査機関が現在の刑事訴訟法の下で与えられている捜査権限を本当に的確に、そして最大限に活用したときに、本当にこういった組織犯罪について解明できないというような事実があるのかどうかということをまずはしっかりと検証する必要があるかと思います。
現在、捜査機関は、伝統的な捜索、差押えだけではなくて、例えばサーバーに対する差押えというような新しい手法、これは二〇一一年だったと思いますけれども、の刑事訴訟法改正で新たに認められた、サーバーからデータを送ってもらってそれを差し押さえるというような、そういった手法も与えられておりますので、こういった手法を駆使して本当に摘発できないのかということをやはり一件一件きちんと検証していく必要があるであろうというふうに思います。
それから、令状主義との関係で、どこまで令状に書き込めば特定したことになるのかということですが、これは、率直に申しますと、特定をすることは不可能であるというふうに考えます。どうしても会話というのは、まだ発生していないものに対してそういう会話が行われるかどうかの判断を強いるものでありますので、令状だけで特定性を完全にカバーするということは非常に極めて難しいというふうに思います。であるからこそ、そこを、規範的な令状の厳格な要件だけでは絞り切れないというところを立会い等の物理的な障害を設けて濫用にわたらないようにするという、これはいささか変則的なやり方ではあるんですけれども、そうしなければ結局適切なコントロールができないという通信傍受の特性を踏まえて議論をする必要があるというふうに考えます。

○矢倉克夫君

じゃ、今の御意見を受けて、西村参考人、御所見をいただければと思います。

○参考人(西村幸三君)

私は、二年前にもやはり訪米調査をいたしまして、通信傍受によって組織犯罪がどのように上層部まで摘発される流れになるのかということをヒアリングしてまいりました。
アメリカの捜査機関が現在非常に重視しているのは、いかに組織犯罪の上層部の犯罪収益を剥奪してしまうか、当然、懲役刑だけではなくて、いかに剥奪するかということを重視していると。それには、実行犯段階と上層部あるいはその周辺者の人のつながりをどれだけ解明するかが決定的に重要であるというふうに捜査官はほぼ口をそろえて言われております。
その人と人とのつながりを、じゃ、通信傍受だけで実現できるかというと、実はそうではありません。でも、通信傍受は決定的に重要な役割を果たしています。
例えば、通信傍受だけではなくて、アジトを突き止めるGPS傍受なども併せて、あるいは張り込みですね、物理的な張り込み、これによってアジトを突き止める。そうすると、そこに出入りする者、そのアジトの賃貸借を契約している者、車で乗り付ける者、じゃ、その車の所有者は誰なのか、その車に乗った者は誰なのか、こういうことが次第次第に解明されていきます。振り込め詐欺のアジトを突き止めてほしいと私がさんざん警察に言っても、できないんですという、もうパンクしてできないんですというのが十年前の話でした。
これは一つの本当に例えなんですけれども、通信傍受が万能ではありません。でも、大変重要な一つの捜査手段としてアメリカの捜査官は、もう伝統的な捜査手法として、張り込みなどの一つとしてこれは必要なんだと、組織犯罪を本当に解明して上層部の逃げ得をなくすのにはやはり必要な捜査手法であると当然のように言われていたのが大変印象的でした。
以上です。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
西村参考人にもう一点、令状の関係、もし何かございましたら御所見をいただければ。

○参考人(西村幸三君)

通信傍受で拡大されました罪状、今回の通信傍受法において拡大されました罰条につきましては、あらかじめ定められた役割分担に基づく数人の共謀という規定になっております。これは大変厳格な定めだと考えます。もちろん、団体が何なのかとか団体が継続しているのかという要件までは、これは入っていませんね。
ただ、通信を利用して犯罪が遂行されているその団体を特定せよといっても、それが本当にその団体なのかが分からない中で通信傍受を始めないと、現に行われている振り込め詐欺、恐喝、こういったものに取りかかることすら許さないと。団体を証明しなさい、一体どういう団体で、それがどういう継続性を持つのか疎明しないと摘発してはいけませんと言っている間に大量の振り込め詐欺が迅速に遂行されます。迅速な着手、これをしていただかないといけないわけです。
そういう意味では、余りに過剰な要求をしたら捜査が当然潰れてしまう、できなくなってしまう。だから、振り込め詐欺の被害者も、当然、適用罰条どころか、余り厳しくしたら結局救済されない。立会人の確保をしないといけなくて、日程調整に数週間を要するこれまでの現状を放置しては、結局、やり得、逃げ得を許すということになるわけです。
令状の要件というのは、こういう立法事実をよく考えて決めていただかないといけないというふうに私は考えております。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。渕野参考人もありがとうございます。
川出参考人にちょっとお伺いしたいんですけど、今の渕野参考人の御意見の中で、立会人の位置付けについて、特定の要件との関係で微妙なバランスを取るための立会人の位置付けというような御意見があったわけですけど、現行法に基づいてこの立会人はどのような理論的な位置付けであるのか、今の渕野参考人の御意見について、御所見をいただければと思います。

○参考人(川出敏裕君)

立会人がいることで事実上の障害になって、本来的に特定が難しい通信傍受というものなので、それが、何というんですか、事実上抑制されているという御意見だったんですが、まず、例えば特定が十分にできていない、それで本来正当な理由のないような会話についてまで傍受されてしまうと、そういう前提で、ただ、その立会いがあることで事実上それが制約されるといっても、結局、それは無関係な通話が聞かれるという部分がなくなるわけではありませんから、その意味での総量規制というのは、私は、元々の出発点というのと必ずしも整合していないというふうに思います。
それともう一つは、意見の中で申し上げましたが、事実上障害があるということによって補充性が担保されているというのは、そもそも補充性の要件の解釈としてはおかしいだろうというふうに思いますので、そこは渕野先生と意見を異にするということになると思います。

○矢倉克夫君

最後、浜田参考人、いろんな法律を作る上で、やはり当然ですけど、捜査機関が信用できないから法律を作ってはいけないというわけにはこれはいかないとは思うんですね。
ただ、他方で、しっかりと法律を作って制度はしっかり確立しながら、捜査機関の濫用というのは、これはしっかりと確認しなければいけない、この両方でやっていかなければいけないと思うんですが、特に、そういう部分での今後の運用の在り方について、大変時間が短くて申し訳ありません、一言ちょっと御示唆をいただければと思います。

○参考人(浜田寿美男君)

法の人間じゃないのでかみ合う話なのかどうか分かりませんけれども、これまでの自白の問題に関して言いますと、任意性、信用性で判断するというところで、その部分をくぐり抜けた形で冤罪事件が頻繁に起こり、かつ、それが再審段階に至ってもなおかつ正されないままに至っている事件が相当あるというふうに思うんですね。
その意味では、任意性、信用性判断でチェックするという在り方が、これまでの在り方はある部分破綻をしているんじゃないかと私は思う。その点で可視化がなされるというのは非常に大事なことだと思うんですが、もう一つ、それに加えて、先ほどちょっと言ったことですけれども、捜査官は、無実の主張があったときに、それの裏付けをするということを、つまり消極証拠に対して誠実に対応するということを是非具体的な、こういう訴訟法という法律で規定できるかどうか分かりませんけれども、推定無罪という原則があるぐらいですから、無実の方向の主張に対する裏付けを、言わば一つの文化としてだけじゃなくて一定の規制として、その主張があったときにはそれを裏付けることをしなきゃいけないというようなことを組み込んでいただけたら随分変わるのになというふうなことを思っております。

○矢倉克夫君

丁寧にありがとうございました。

メールマガジン
メールマガジン
矢倉かつおNEWS
矢倉かつおNEWS
国会議事録
私の国会質問
矢倉かつおCHANNEL
矢倉かつおCHANNEL