211回 予算委員会

2023-03-28 国会質問議事録

公明党の矢倉克夫です。
令和五年度予算三案につきまして、自民、公明、与党を代表し、賛成の立場から討論を行います。
以下、主な賛成理由を申し述べます。
第一に、隠れた安全保障とも言える少子化問題に対応し、子育て支援を着実に前進させる予算となっている点です。
こども家庭庁の創設、出産育児一時金の引上げに加え、妊婦や子育て世帯に対し十万円相当の経済的支援を行う出産・子育て応援交付金を実施する費用として三百七十億円計上をしております。これは、妊娠時から出産、子育てまで一貫した伴走型の相談支援、特にゼロ歳児から二歳児への伴走型支援と経済支援を一体のものとして予算化するものです。ほかに、産後ケア事業の拡大や保育所の空き定員等を活用して未就園児を定期的に預かるモデル事業を実施するなど、当事者に寄り添った施策が随所に見られ、評価をいたします。
第二に、新たな成長産業育成とともに、賃上げを実現するために必要な施策を盛り込んでいる点です。
特に、GX経済移行債を発行し、民間のGX投資を支援する仕組みを創設するとともに、二〇五〇年カーボンニュートラル目標達成に向けた革新的な技術開発支援に四千五百六十四億円を措置するなど、経済成長と脱炭素を両立させるものとなっております。これと、個人のリスキリングへの支援を含む人への投資、五年一兆円施策パッケージを併せ着実に実施することにより賃上げを伴う労働移動円滑化を進める一方、下請Gメンを増員し、適正な取引や価格転嫁に対する監督を一層強化することなど、賃金を上げたくても上げられない中小企業・小規模事業者を支えるための施策を盛り込んでいることを評価いたします。
第三に、今後の物価高騰やウクライナ支援、新型コロナ対応などを見据え、対策を講じている点です。
一般予備費五千億円に加え、コロナ禍や物価上昇、ロシアによるウクライナ侵略により先行きの見通せない世界情勢等を踏まえ、新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費に四兆円、ウクライナ情勢経済緊急対応予備費に一兆円を計上しておりますが、これは不測の事態に対応できるよう万全の対策を講じるものであり、最終的に国民の生活を守るため必要なものであると考えます。
第四に、流域治水の本格実施、切迫する大規模地震から社会経済システムの機能不全を最小限に抑えるための対策に加え、事後保全型から予防保全型のインフラメンテナンスへの転換を図るなど、未来への投資として、国土強靱化、防災・減災関係予算四・七兆円を計上、激甚化、頻発化する風水害から国民の生命や財産を守るため必要不可欠なものとなっている点です。
第五に、安定的な輸入と適切な備蓄を組み合わせつつ、水田の畑地化支援により畑作物の生産を推進するとともに、肥料、飼料などの国内生産の拡大を推進するなど、国民の命を守るための食料安全保障の確立等に資する農林水産予算を二・三兆円計上している点であります。
第六に、安全保障、外交面の強化が図られる予算となっている点です。
新たな国家安全保障戦略が戦略的なアプローチとして第一に掲げるのは外交力であります。本予算が新時代リアリズム外交を展開するため外務省予算を前年度比四百八十五億円増の七千五百六十億円計上をしている点など、評価をいたします。
その上で、外交力と両輪を成す抑止力強化について、新たな防衛力整備計画の初年度として、継戦能力の向上を含め、必要な防衛費予算が計上していることを評価をいたします。
なお、政府は、本予算における防衛費増額分の財源を歳出改革や決算剰余金の活用、税外収入から捻出をし、新たな国民負担を求めておりません。引き続き、国民負担を最小限に抑える努力とともに、抑止力強化と近隣諸国との外交関係改善を両立、推進することを政府に求めたいと思います。
以上、令和五年度予算三案について賛成する主な理由を述べさせていただきました。経済安全保障の推進など、それ以外にも様々理由はございますが、ここでは省略をさせていただきます。
内外重要課題が山積する中、国民の生活と平和を守る政治の責任を果たすために、本予算の速やかな成立と着実な執行を求め、私の賛成討論といたします。よろしくお願いします。
以上です。

【矢倉かつお】予算委員会(防災・減災対策、防衛産業の育成等)2023/03/20

2023-03-20 矢倉かつおチャンネル

211回 予算委員会

2023-03-20 国会質問議事録

○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。
早速質問に入らせていただきます。
資料一を御覧いただきたいと思います。こちらは、以前も予算委員会で提出をさせていただいたものですが、土木学会の資料を基に、防災・減災対策でどれくらい災害による損害を減額できるか定量化したものであります。例えば、首都直下型地震で十兆円の備えをすれば、その減災額は二百四十七兆円、減災率にして三四%であります。ここで想定している損害というのは、資料二にありますように、直接被害だけではなく、消費の減少や企業収益の減少など、国力の低下を捉えております。
防災・減災にお金を掛けるに当たって非常に難しいことは、ふだんは効果が目に見えない、でも、起きてから慌てて掛けてもやっぱり遅いわけでありますから、災害が起きる前にがっと掛けてこそ、お金を掛けてこそ効果が最大化できる、その決断こそが政治であるというふうに思っております。改めて、大事なことは、効果を見える化することである。
まず、国土強靱化担当大臣にお伺いをいたしますが、政府において、このような防災・減災対策の効果の見える化、データ化をどのように図っているのか、お答えをいただきたいと思います。

○国務大臣(谷公一君)
お答えをいたします。
委員御指摘のとおり、防災・減災の効果を分かりやすく見える化して国民の皆様に理解をしていただくことは大変重要であると認識しております。
国土強靱化の五か年加速化対策で実施している百二十三の対策について、それぞれの事業の実施効果を数値目標として定めるとともに、毎年度その進捗状況を公表するなどして、事業の効果を分かりやすくするよう努めているところでございます。
また、過去の浸水被害において、審査前に対策をしていたら、被害額や原状回復費用のおよそ五分の一の整備費用で被害の発生を抑えることができたとの試算も公表するなど、効果を定量的に計測する取組も進めているところであります。
今後とも、より分かりやすく国民の皆様に防災・減災対策の効果をお伝えできるよう、直接被害や間接被害の算定など、被害の低減効果について関係省庁と連携して定量化を研究するなど、可能な限り分かりやすい数値目標の設定と公表に取り組んでまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君
今おっしゃっていただいた御試算含め、定量化というのが非常に大事だと思います。引き続き是非お願いをいたします。
財務大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、この資料一にあるように、防災・減災というのは将来の安心の基盤でありまして、まさに子育て支援と並ぶ未来への投資であって、両立して十分な予算を確保しなければいけません。政治の決断として重要だと思います。
改めて、防災・減災予算の重要性について大臣の所見をお伺いいたします。

○国務大臣(鈴木俊一君)
激甚化する、そして頻発化する風水害、それから切迫すると言われております大規模地震等から国民の命と暮らしを守ること、これはもう国の重大な責務であると認識をいたしております。そのような認識の下で、ハード、ソフト一体となった流域治水対策など、防災・減災、国土強靱化の取組を関係省庁と連携して推進することが重要だと考えます。
令和五年度予算におきましては、ハード、ソフト合わせた国土強靱化予算として約四・七兆円を計上したところです。
また、データの活用の重要性もあると存じておりますが、財務省としては、今後も関係省庁と連携して、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策を含めまして、防災・減災、国土強靱化の取組を進めてまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君
是非、将来世代へ残すものとして防災・減災予算、非常に重要ですので、引き続き更に一層の予算拡充を求めたいというふうに思います。
関連で、インフラの老朽化における予防保全の重要性についてお伺いいたしますが、資料三を御覧いただきたいと思います。
例えば橋、橋梁であります。老朽化のレベルに合わせて、健全な順にⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳとなりますが、右にありますように、措置が必要なⅢ、Ⅳを一年掛けてこれ七千修繕等しても、一方で、ⅠやⅡの橋が年間五千、新たにⅢ、Ⅳとなってしまう。これでは、全てが予防保全でよいⅡ以下に移行するには二十年以上掛かってしまうというわけであります。
Ⅲ、Ⅳへの措置と並行して、抜本的に、特にⅡへの予防保全予算を掛けるべきと考えますが、大臣、国土交通大臣に、老朽化対策における予防保全に対する重要性と、現行の五か年十五兆円の加速化対策でどこまで予防保全が進むのか、お伺いをいたしたいと思います。

○国務大臣(斉藤鉄夫君)
まず、前段の予防保全の重要性でございますが、我が国におきましては、高度経済成長期以降に集中的に整備されたインフラの老朽化が加速度的に進行しておりまして、インフラ老朽化対策は喫緊の課題です。インフラ老朽化対策を計画的かつ適切に進めるためには、将来必要となる費用を縮減することが必要であり、損傷が軽微な早期段階での手当てによって施設を長寿命化させる予防保全型のインフラメンテナンスが極めて重要です。
このため、国土交通省では、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策も最大限活用しながら、各インフラについて、事後保全型から予防保全型への本格転換を進めつつ、老朽化対策を集中的に推進しているところでございます。
後段の御質問の、この今の十五兆円でどれだけそれが進むのかという御質問でございますが、例えば地方公共団体が管理する道路の橋梁で申し上げますと、事後保全として緊急に又は早期に対策を講ずべきとされた橋梁のうち修繕などに既に着手している橋梁の割合は、いわゆる五か年加速化対策が始まる前の令和元年度時点では約三四%であったのに対し、五か年加速化対策が終了する令和七年度末には約七三%まで達する見込みでございます。予防保全への転換が進捗しつつあります。
引き続き、国民の命と暮らしを守るため、五か年加速化対策も活用しながらインフラの老朽化対策を着実に推進してまいりたいと決意しております。

○矢倉克夫君
今大臣おっしゃっていただいたとおり、これは事前に軽微なときにやる方がコスト的には非常に有効であるというところであります。
他方で、今どのように進んでいるかということで、七三%というようなお話もありましたが、もうこれは実際着手できている数であります。ですから、もっとやはり加速化させないといけないというふうに思っております。
改めて、財務大臣にお伺いしたいと思います。
今申し上げたとおり、将来的なコスト増大の回避のためには、やはり軽微な部分から予防保全というのが非常に重要で、新たな国土強靱化基本計画がこの夏にも作成をされ、五年間十五兆円後の後についても議論が進むというふうに私は理解もしておりますが、財務大臣にお伺いしたいのは、今申し上げました趣旨から、五か年加速化対策以降もより一層予防保全のために予算を確保すべきと考えます。大臣の御見解をお伺いいたします。

○国務大臣(鈴木俊一君)
予防保全型の対策の重要性につきましては、今国土交通大臣から御答弁がございました。高度成長期以降に集中的に整備されたインフラが今後一斉に老朽化することが見込まれる中におきまして、国民の命と暮らしを守り、社会の重要な機能を維持するためには、インフラに不具合が生じる前に対策を実施する予防保全型の対策を行うことが重要と認識をいたしております。
財務省といたしましては、今後も国交省を始めとする関係省庁と連携をして、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策に基づく予防保全型の老朽化対策を着実に進めるとともに、対策期間後におきましても、中長期的かつ明確な見通しの下、継続的、安定的に国土強靱化の取組を進めてまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君
政治家の責任は、限られた財源の中でいかに将来世代のための効果的な歳出を行うか、私は、子育て支援であり、それがまた国土強靱化であるというふうに思っております。是非、予防保全含め、更なる予算の確保を引き続き求めたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
それでは、次のちょっとテーマに移らせていただきたいというふうに思いますが、次は防衛産業の育成について防衛大臣にお伺いをいたしたいと思います。
資料四、こちらは日英伊の次期戦闘機の共同開発についてであります。
先日三月十六日に、日英伊の防衛大臣会合、これに関しての会合がなされたというふうに思っております。
防衛大臣にまずその成果についてお伺いするとともに、防衛産業こそ防衛力であるとの見解があり、私も賛成をするところでありますが、大臣の見解をお伺いしたいというふうに思います。

○国務大臣(浜田靖一君)
委員おっしゃったように、三月十六日の日英伊防衛相会談では、二〇三五年度までの次期戦闘機の開発完了を目指すため、三か国の結束と開発に向けた強い意思を確認することができました。
また、この会談には、次期戦闘機の開発を担当する我が国の三菱重工、英国のBAE社、イタリアのレオナルド社の代表も招き、政府が、政府、企業が一体となって緊密に協力していく点についても確認をしたところであります。
今回の日英伊防衛相会談は初めて三か国の防衛大臣が対面した重要な機会ですが、この場に開発担当企業を招いたことが象徴するように、政府としても、委員御指摘のように、防衛生産・技術基盤を言わば防衛力そのものと位置付けております。そのため、政府としても、新たな利益率の算定方式の導入や、本国会に提出した開発・生産基盤強化法案に基づく取組等を通じ、防衛生産・技術基盤を強化してまいりたいと考えておるところであります。

○矢倉克夫君
民間も入った会議だということで、非常に意義深かったと思います。
先日、この共同開発に参画するIHIの瑞穂工場を視察をいたしまして、推力十五トンを誇る最新エンジン、XF9―1を製造する過程を見て、改めて日本の防衛産業技術が他国企業を凌駕する可能性を見てまいりました、資料五でありますが。
最後に、防衛大臣に、防衛産業の育成等、技術基盤の保持、発展が日本経済にいかなる波及効果をもたらすか、政府の考えをお伺いするとともに、この共同開発を成功させるため、一層官民強化、連携を強化すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。

○国務大臣(浜田靖一君)
防衛省としては、次期戦闘機の国際共同開発を通じて、他国の英知を取り込みつつ、国際的に活躍する次世代エンジニアの育成や我が国防衛の足腰を支えるサプライチェーンの強化を図ることで我が国の防衛生産・技術基盤を維持強化していくこととしています。
また、議員御指摘のとおり、航空機産業は、高度な技術力と部品、素材に至る幅広い裾野を有する民間、防衛部門共通の産業基盤です。このため、次期戦闘機の開発において、様々な先端技術を投資するとともに、優秀な人材が育成されることで、防衛産業はもとより、産業界全般への幅広い波及効果が期待できます。例えば、F2の戦闘機の開発においても、一体成形複合材等の新技術が民間の他の分野にも応用されるという波及効果がございました。
これらの観点から、政府と我が国防衛産業が緊密に意思疎通を図ることが重要であり、我が国主導の次期戦闘機の開発に当たっても、官民オールジャパンの体制を探って国際協議等を進めているところであります。
防衛省としては、我が国の経済全般への広範な波及効果も期待される次期戦闘機の開発について、二〇三五年度までの開発完了を目指し、着実に推進してまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君
終わります。ありがとうございました。

【矢倉かつお】国土交通委員会(若者への住居支援、スマートホームコミュニティ等)2023/03/17

2023-03-17 矢倉かつおチャンネル

211回 国土交通委員会

2023-03-17 国会質問議事録

○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いします。
まず、大臣に若者と住まいについてお伺いをいたします。
国立社会保障・人口問題研究所の二〇二一年の出生動向基本調査では、理想の数の子供を持たない理由のうち、家が狭いから、これが若い世代で二一・四%。財務省の二〇二一年の研究でも、第一子出生時点での住居が狭いほど第二子出生数が制限をされております。背景には、広い家ほど住居費が高くなるという、で、手が出せなくなるという事情もあるかというふうに思っております。
まず、住居費負担が若者世代の子供を持ちたいという思いへの妨げになっていると言える、これに対する見解と、子供を持ちたいという若者世代、若年夫婦への居住支援を国土交通省としてどう進めるか、大臣にお伺いをいたします。

○国務大臣(斉藤鉄夫君)
住宅の広さは子育て世帯が重要と考えている項目の比較的上位に挙げられております。家が狭いことは理想の子供数を持たない理由の一つになっている、このように認識しております。このため、希望する広さの住まいの確保を支援できるよう、取得費用に係る負担軽減策として、省エネ性能の高い住宅を取得する際の補助や長期固定ローンにおける金利の引下げなどの支援を行ってまいります。
また、新築に比べて価格が低い既存住宅の供給が拡大するよう、空き家の有効活用など既存住宅市場の活性化についても積極的に進めてまいりたいと思っております。
今後とも、子育て世帯や若年世代の住まいに対する多様な希望がかなうよう取り組んでまいります。

○矢倉克夫君
今、空き家の有効活用というお話がありました。若者を含めた居住支援のためには、既存住宅の利活用、重要だと思っております。一方で、既存住宅の流通なかなか進まない現状がありまして、例えば原因としては、売主が個人の場合の保証の短さ、中には売主が全く責任を負わないという条件の取引もあったりもします。
まず、国土交通省にお伺いしたいと思うんですが、既存住宅の流通が進まない原因と解決策について国土交通省としてどのように認識をしているか、お伺いをいたします。

○政府参考人(塩見英之君)
お答え申し上げます。
既存の住宅の流通が進まない理由、幾つか考えられるところでございますけれども、まず一つは、売買の対象になりますような良質なストックが少ない、耐震性能を満たさない住宅でありますとか、省エネ、バリアフリーの性能が不十分な住宅等が多数あるということでございます。こういう住宅の質に関わります問題につきましては、リフォームへの支援を強化することによりまして、取引される対象にふさわしい良質なストックの形成を図ってまいりたいと存じます。
それから、消費者の皆様方の中には、既存の住宅の質や不具合に対する不安感が相当あるというお話も伺ってございます。こういった消費者の方の不安に対しましては、どういうところにその不具合があるかどうかということを明らかにするようなインスペクションでありますとか、万一瑕疵があった場合のその補填をする瑕疵担保の保険、こういうものの加入の促進などを図ってまいりたいと思います。
更に申し上げますと、既存の住宅の質が適正に評価をされない、適正に評価される市場環境が十分に整っていない、こういう御指摘もいただいているところでございます。既存の住宅の価格の査定が適正に行われますようなマニュアルの作成も行っておりまして、こういったものの普及にも努めてまいりたいと存じます。

○矢倉克夫君
既存の住宅、先ほど、不安感、安心感というところがありました。保証の話もしたわけですけど、そういうのを解決するためにもインスペクションなどをしっかりと拡充していくということも是非御検討いただきたいと思います。
あわせて、流通の進まない理由としてローンの問題もあるというふうに言われております。金融庁さん、今日来ていただいておりますが、特に築年数がたっている中古住宅ではローンを組めない金融機関もあるというふうに伺います。これは、金融機関が建物の耐用年数に応じた担保評価基準を採用しているからであるとも言われております。木造住宅の耐用年数は一般に二十二年間で、例えば築三十年の木造住宅は耐用年数を超えているため無価値となって金融機関は融資しないというようなことも事実としてあるようであります。
改めて、それに対する対応を金融庁にお伺いをいたしたいと思います。

○政府参考人(三好敏之君)
お答え申し上げます。
金融機関が採用する担保評価の基準につきましては、基本的には各金融機関の判断により決定されるものと認識しております。しかしながら、金融機関による融資審査において、中古住宅を含みます担保の適切な評価がなされることは重要であるというふうに考えてございます。
金融庁といたしましては、国土交通省を中心に中古住宅流通市場における課題への対応に向けた取組が行われる中で、必要に応じ国土交通省とも連携しつつ、金融機関と対話していく所存でございます。

○矢倉克夫君
是非、引き続き対話をするということで、課題の認識は共有はいただいたと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。適切にまた対応をいただければというふうに思います。
あわせて、また先ほど、今、国交省の方からもこの既存住宅の流通が進まない理由として、住宅の質の向上、維持向上が適正に評価される市場環境が不十分というようなお話がありました。
これに関連してになりますけど、そのためにもやっぱり空き家バンクの取組というのは非常に重要だというふうに思っております。それぞれの情報の共有し合う環境整備という意味合いでもですね。
例えば、私の地元の埼玉県とかでも、先ほどの質疑の中でも、こういったものに対しての市町村のノウハウの不足というようなお話も一部出たわけでありますが、それぞれ小さな団体、自治体だとノウハウが少ないんであれば広域にやっていかなければいけないという中で、秩父市とか横瀬町とか皆野町とか長瀞町とか小鹿野町が広域でちちぶ空き家バンクというようなものもつくったりもしております。こういった取組も是非参考にいただきながら国交省としては空き家バンクの拡充を進めていただきたいと思うんですが、空き家バンクを拡充するに当たっての課題について、そして解決策についてお伺いをいたしたいと思います。

○政府参考人(長橋和久君)
お答え申し上げます。
国土交通省では、各自治体が設置する空き家バンクの情報を横断的に検索できるよう、全国版の空き家・空き地バンクを整備しております。今年の二月末現在で九百四十九の自治体、これは参加率で見ると五三%になりますけれども、が参加するなど、各地域での取組が進んでいると認識しております。
一方、今御指摘もございましたけれども、空き家バンクを設置していない自治体のうち、特に規模の小さい自治体ではそもそも人員とかノウハウが不足しているという課題があると認識してございまして、こうした自治体を含め、空き家バンクの設置を更に促進していくことが必要であると考えております。
このため、昨年六月に空き家・空き地バンク導入のポイント集というものを作成し公表したところでありまして、そのポイント集の中では、先行自治体における空き家バンクの設置要綱の例を示すとか、あるいは、今委員御指摘ありましたちちぶ空き家バンクのように、先進的に自治体と地域の宅建業者の団体などが連携して空き家バンクの運営に取り組んでいるような事例も掲載するなど、今後設置を考える自治体が空き家バンクを設置しやすくなるような支援を行っております。
また、そのポイント集の内容あるいは先行自治体の取組例などを、オンラインの説明会をもちまして、複数回、昨年十二月から今年の二月にかけて開催しておりまして、合わせて三百を超える自治体に御参加いただいたというところでございます。
国土交通省としましては、引き続き、こうした取組を通じまして、空き家バンクの充実を図り、空き家の流通の一層促進をしてまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君
是非よろしくお願いいたします。
先日の予算委員会の中央公聴会でも、公述人の方がこの子育て支援の障害として住まいという観点を強調されておりました。是非、国交省としても、今、政府全体で子育て支援ということを言っているわけでありますので、対策強化を進めていただきたいというふうに思います。
また、ちょっと大臣にお伺いをしたいというふうに思いますが、今、子育て支援という観点でしたけど、より若者一般というところも含めてもやっぱり住居支援というのは非常に重要で、例えば、国会図書館でも調査していただいたんですけど、住居費負担が、例えば可処分所得に対しての割合で三十歳未満というのは一七%、固定費に占める住居費の負担というのは非常に大きいと思います。そういう点での賃料負担、支援一般というのが非常に重要でありますが、その関係も含めて大臣にお伺いしたいというふうに思いますけど。
今月三日の予算委員会で、私、総理に、横浜市旭区の左近山団地や埼玉県春日部市のUR武里団地の例を挙げまして、若者の賃料負担軽減と高齢者の安心確保を両立する仕組み、これを評価をお尋ねしました。配付資料一枚目にそのときの資料も書いてあるわけでありますけど、総理からは意義のある取組としての評価をいただいたところであります。
これを、総理の答弁も受けまして、改めて国交省として、このURでの事例の横展開を図るとともに、これら事業はUR、U35割などを活用したものであるところ、更なる推進を図るために、地方自治体との連携を含め、是非進めていただきたいと思いますが、大臣の御所見をお伺いいたします。

○国務大臣(斉藤鉄夫君)
URにおきましては、地域の関係者と連携、協力しながら、団地を活用して多様な世帯が安心して住み続けられる住環境の整備を進めているところでございます。
先日、委員が予算委員会で総理に質問されておりました左近山団地、武里団地、若い人たちがその団地に安い家賃で住んで、その代わり地域の活動にしっかり参加していただくと、こういう取組でございますけれども、こういう取組は、参加している若者や高齢者からも、外出、交流機会の増加や地域コミュニティーの活性化等を歓迎する声があると聞いておりまして、私としても大変意義が大きいと、このように考えております。
このため、地域と連携したこうした取組が横展開されていくよう、URから団地周辺の大学や自治体に対して、事例や家賃の割引制度に関する情報発信をより強化してまいりたいと、このように思っております。

○矢倉克夫君
是非よろしくお願いします。
この異世代が交流し合うということそのものの価値もやっぱり大きいと思いますし、例えばほかのURとかでも、今、高齢者の方、買物について非常に困難を抱えていると。この買手、家賃を安い形で入っていただいた若者に、例えば買物支援を高齢者のためにしていただくとか、そういういろんな相乗効果がやっぱり生まれてくると思うんですよね。一つの課題解決、賃料に対しての高騰の抑制というところが切り口としてあるかもしれないけど、そこからいろいろと、住まいということをキーワードにして異世代の交流をつくっていくことで複数の課題解決ができるというふうに思います。
あわせて、これはまた別の機会でと思うんですけど、外国では、異世代ホームシェアといって、郊外とかで独り暮らしをされているお年寄りの方に対して若い人が入っていって、見回りとかも含めて、しっかりサポートもしながら安い家賃で住むとか、そういう環境もありますので、そこ辺りの取組、また今後また検討したいと思いますので、是非御検討いただければというふうに思います。
次に、あわせてですけど、視点を変えて、これは今度は異業種の共創、共に創るについてでありますが、あわせて、先日の三日の予算委員会で私も総理に、高知県の大豊町や国交省の共創モデル実証プロジェクトなどで推進されているさいたま市のAIデマンドタクシーの取組を紹介しながら、交通分野など介護以外が将来の介護を支える可能性を訴えまして、若者の賃料負担軽減と、失礼、取組への支援とこの高齢者の安心確保を両立するに値する評価を尋ねたところ、総理から重要だという、関係府省との緊密な連携を図りたいとの答弁もいただきました。
AIデマンドタクシーなどを支える国土交通省の共創モデル実証プロジェクトの更なる予算拡充を求めるとともに、特に介護と交通分野の共創を図るため、国交省と厚労省の連携、これを求めたいと思いますが、大臣の所見を求めたいと思います。

○国務大臣(斉藤鉄夫君)
地域公共交通が、いろいろな分野、今、介護をおっしゃいましたけれども、医療とかその他の分野と協働して進めていくということが非常に重要だと思っております。
このため、令和四年度補正予算におきまして、御指摘の共創モデル実証プロジェクトに関する予算を大幅に拡充したところです。今後とも、交通と介護分野を始め、地域の連携と協働の取組をしっかり支えることができるよう、必要な予算の確保に取り組んでまいります。
また、今国会に提出しております地域公共交通活性化再生法改正法案におきましては、国の努力義務として、関係者相互間の連携と協働の促進を追加しているところでございます。
国土交通省では、地域交通が介護分野など異業種を含む関係者との共創を進めるため、従来から厚生労働省始め関係省庁と連携をしてきたところですが、改正法案の趣旨も踏まえ、引き続き、関係省庁間の連携を深めてまいりたいと思っております。

○矢倉克夫君
ありがとうございます。
その厚労省との連携の状況なども是非、関係の所管されている業界とかにもお伝えをいただく、こういう分野に参入があるんだということを理解することで新しいビジネスもやっぱり生まれてくると思いますから、そういう観点も踏まえて、是非、引き続き、この共創、共に創るのプロジェクト、推進をよろしくお願いを申し上げます。
最後、もう一つ、資料ですね、これまたお伺いもしたいと思いますが、資料二と三で今日配らせていただいております。さいたま市のスマートホーム・コミュニティの取組に関係してになります。
こちら、我が党の山口代表も視察をされたのですが、特に太陽光発電設備とか蓄電池などの分散型エネルギー源を組み合わせてこの街区内においてはエネルギーを共有する、そしてあわせて、例えばCO2削減という目的観も共有していく取組として非常に先進的なものであるなというふうに理解もしております。
まず、経産省に、そして環境省にこのスマートホーム・コミュニティの取組についての評価を伺いたいというふうに思います。

○政府参考人(南亮君)
お答え申し上げます。
先生御指摘のさいたま市におけるスマートホーム・コミュニティ街区の取組ですが、太陽光発電設備や蓄電池などの分散型エネルギー源を有効的に活用しており、分散型エネルギーシステムの観点から、電力の安定供給や災害時のレジリエンスの向上に寄与するものとして重要な取組と私たち認識しているところでございます。また、ダイナミックプライシングも取り入れておりまして、これらは、再生可能エネルギーの最大限の活用、さらには需要家の行動変容を促すと、そういった観点からも非常に有用な仕組みと考えております。
私たち経済産業省におきましても、例えば、既存の電力系統を活用し、地域にある太陽光発電設備や蓄電池などを組み合わせることで大規模停電時においても電力供給を可能にするような仕組みに対して支援などを行っているところでございます。
引き続き、関係省庁や自治体と連携しながら、導入支援策等を通じて分散型エネルギーシステムの構築を推進してまいりたいと思っております。

○政府参考人(小森繁君)
浦和美園における取組につきましては、住宅開発に併せて太陽光発電と蓄電池を導入してエネルギーマネジメントを行うことで、街区内で再エネを融通し、地域における再エネ最大化を活用するという優れた取組であると認識しております。
昨年四月に脱炭素先行地域にさいたま市の計画が選定されましたけれども、このような面的なエネルギーマネジメントを浦和美園の街区にとどまらず市内の全公共施設や大学などにも展開するものでございます。地域での再エネを最大限活用するモデルとして評価しているところでございます。
環境省としましては、こうした脱炭素先行地域に対して、地域脱炭素の推進のための交付金を始め各府省庁の支援策も活用して重点的に支援を行いたいと思っているところでございます。
以上でございます。

○矢倉克夫君
環境省、改めて、また追加でですけど、今まさに地方でそれぞれで取組もしておりますので、地方環境事務所などにもしっかりした伴走型の支援をお願いしたいというふうに思います。その点、一言だけお願いできますか。

○政府参考人(小森繁君) 今御指摘いただいたとおりでございまして、地方環境事務所には、今年度創設した地域脱炭素創生室、これによりましてきめ細やかに自治体等と伴走支援を行っているところでございます。脱炭素先行地域の実現とその横展開を図っていきたいと思っているところでございます。

○矢倉克夫君
ありがとうございます。
今ほど両省からもお話があったこちらの街区ですけど、こうした取組を構築することで消費電力の半分以上は太陽光発電でカバーできるようになって、不足分も再エネ由来の電力で購入することで、同街区では再エネ使用率実質一〇〇%と。これはみんなで共有し合う仕組みをつくったからでき得るところであるというふうに思っております。
あわせて、環境省からも話があったように、資料三にあるように、全体にこう広げていこうというこのさいたま市のコンセプトというのも非常に重要かなと思います。
最後に大臣にお伺いをしたいというふうに思いますが、こちらの取組、エネルギーの共有と併せて、CO2削減という目的の共有もそうなんですが、とりわけ街区としてコミュニティーの形成共有というところが非常にできているというのも大きいかなというふうに思いました。
私も、例えば感銘受けたのは、例えば建物の前の土地とかも含めて、住民同士で合意をし合って、共有し合っている。地役権を設定し合って、共有して、コモンスペースとしてつくっていくわけなんですよね。そのコモンスペースの中、車両も通るわけですけど、一般車両は通りませんから、そのコモンスペースにしたことで、例えば電線なども浅く埋設すればいいだけであるから、無電柱化なども進むなど副次効果もあるわけですけど、コモンスペースが多くできることで、例えば朝玄関に出たら隣の方もそこのコモンスペースにいて挨拶ができるとか、そういうような触れ合いの場というのも非常にできてきている。人と家庭がつながり合うコンセプトというのが非常に実現できているなというのは、私も現地に視察は行かせていただいたんですけど、実感もしたところであります。
こちらのさいたま市の取組は、良好な住宅環境を創出したスマートホーム・コミュニティ街区として、本年の住まいのまちなみコンクールで住まいのまちなみ賞、これを受賞したというふうに理解もしております。
改めて、大臣に、こういった個々の住宅がスペースを共有して、それを通じてエネルギーだけじゃなくて人や家庭がつながっていく、こういった町をつくるというこの理念、これに対しての大臣の評価と、環境省が言うようにそれを更にさいたま市などは地域全体に広げようとしているわけでありますが、こういう取組そのものを横展開を是非図っていただきたいというふうに思いますが、最後に大臣の御答弁を求めたいと思います。

○国務大臣(斉藤鉄夫君)
このスマートホーム・コミュニティのように、皆さんが少しずつ自分の土地を出し合って共有スペースをつくって、まあそれを、エネルギーとかそういう実利的なものもあるし、かつ地域のコミュニティー、触れ合いの一つの大きな場所にするということ、大変面白い試みだと思います。
このような共益的な空間は、電線類やエネルギーマネジメントに関する設備等の収容スペースとなり、良好な景観の形成に資するとともに、コミュニティー活動の拠点となることで町の価値を高めることになると考えております。この点から、スマートホーム・コミュニティの取組、これを地域に広げようとするさいたま市の姿勢は大変すばらしいものであると考えております。
国土交通省におきましては、このように空間を地域で管理し育てる、いわゆるエリアマネジメント活動を積極的に支援しております。スマートホーム・コミュニティの取組につきましては、関係各省の施策も有効に活用したエリアマネジメント活動のモデル的な事例として、今後積極的に周知していきたい、横展開を図っていきたい、このように考えております。

○矢倉克夫君
ありがとうございました。
私も現地に行って思ったのは、若い世代の人が非常に多くいらっしゃいました。通常よりも実は少し割高になるかもしれないですけど、みんなで目的を共有し、割高はこの建物がですね、共有し合って一つの目的を達成する、触れ合っていくということに価値を置く若い世代って非常に多いんだ、それが若い世代の住居率の高さになっているなというふうに思いました。
今日は、若者の住居支援とともにいろんな場面でいろんな者が支え合うことの価値の増幅ということも、話もテーマとしてさせていただいたところであります。住まいなどはそういう部分での一つの軸になるというふうに思いますが、是非今後もこういう部分を共有し合って、政策論議を深めていきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。

211回 予算委員会公聴会

2023-03-09 国会質問議事録

○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。
お二人の公述人の先生方、貴重なお話、大変にありがとうございました。
早速、私からは、まず大日向先生にお伺いをしたいというふうに思います。
先生、先ほどおっしゃった、女性の自分らしくという心の叫び、これはまさに他者の存在を大切にするという前提として重要だというお話は、もうそのとおりだなというふうに思っております。
改めて確認の意味も込めてなんですが、先生は学長としても多くの学生の方からもお話も聞かれているかというふうに思います。この学生たちの声から見える自分らしさということのイメージ、それとともに、それを支えるために必要な子育て支援のサービスであったり、また、その担い手の具体像というのをどういうものだというふうにお考えかを、まず改めて教えていただければと思います。

○公述人(大日向雅美君)
御質問ありがとうございます。
女性たちが求める自分らしい生き方ということでございますが、実に多様なんです。女性といっても様々で、一言でくくれない。個性も潜在力も実に多様です。
ただ、一つ言えることは、自分の力をどこにどう生かしたらよいか分からない、どういう活躍ができるのかというイメージが示されていないということだと思います。女性の生き方についてこれまで示されてきたイメージが余りにも画一的過ぎた。二〇二〇・三〇運動、残念ながら未達ですが、そこで示された画一的なイメージではないもっと多様なイメージを私は社会が示していくことだと思います。
そのためには、SDGs、これは、今こそ高校生、大学生に自分事として考えてもらうことが大切だと思います。世界には、社会にはこんなに問題があるんだ、それのどこに自分が一番尽くしたいのかと、そのためにどういう学びが必要でどういう資格が必要か、そういうことをまず私どもは大事にしたいと思っています。
それから、もう一つ大切なことは、自分らしい生き方とか自分が本当にやりたいことというのは社会に出てから見付かることが多いんです。三十代になって気が付いて、そこから学び直し、やり直せることです。子供がいるからできないではなくて、子供がいるからこそ見えてきたこと、そこをどうやって社会が応援するかです。普通のお母さんってそんなことしないわよ、子育てに専念すべきでしょというような子育て観はどうか一刻も早く払拭していただきたいと思います。
そして、子育てをしながらでも自分らしい多様な生き方を求めることができるためには、先ほど申し上げた、理由を問わない一時保育、様々な学び直しの機会、そうしたことを社会挙げて取り組んでいただけたらと思っております。
以上でございます。

○矢倉克夫君
まさにコーヒーを一杯飲むためだけの時間、それすらないその環境、そこに対しての支援ということも含めた意味合いもすごく重要だなというふうに改めて思わせていただきました。
もう一つ、大日向先生にちょっとお伺いしたいんですが、まさに今、女性像も画一的、そこを変えなきゃいけないと。男性とかも、この子育てというものに対する考え方も画一的だったところがあるかというふうに思います。それを、今まさに子育てに対する男性とか企業の意識改革というのもやっぱり非常に重要かなと。
今までは、子育てというのは、仮に関わるとしても自分は助ける側だという男性が非常に多くて、助けてやっているぐらいの感じになっているかもしれない。けど、そうすると、例えば育休取っても、実際、育休で育児をやるわけではなく、ただの休みになってしまってお母様方の負担になったり、企業も、育休を取らせる側は男が関わることに対しても意識もないものだから、結局育休取得というものは進まないと。本当に根本的に意識改革をしなければいけないと思うんです。
ですから、そういう点では、改めてこの子育てに対する男性とか企業の意識改革をどのように施策として進めていくべきかという点と、あわせて、先生が先ほど御紹介いただいた、あい・ぽーとステーションで、シニア世代の男性、これを通じて喜びと癒やしを得たというふうにお話がありましたけど、この方々が担い手として参画する意義を、今の文脈から改めて先生のお言葉でいただきたいと思います。

○公述人(大日向雅美君)
お答えさせていただきます。
男性の意識ということに関しては、私、以前、育児休業を取った男性のインタビューで忘れられない声を聞いたことがございます。どうしてあなたは育児休業をお取りになったんですかと伺ったときに、自分はパートナーと結婚するときにこういう約束をした、結婚して子供ができたときに、喜びはお互い倍にしよう、失うものがないようにしようと。それなのに、子供が生まれて、自分は子供が生まれてうれしい、父親になってうれしい、仕事も続けられる、でも、パートナーである妻が仕事を失う、これでは約束違反だと。
こういう男性の意識というのは本当に貴重だと思います。男性の育児参加は女性との人生の分かち合いだということを、社会挙げて、特に教育の場でも徹底していただけたらと思います。
もう一つお尋ねいただきましたシニア男性のことでございますが、今関わっておりますシニア男性たち、本当に優しいです。あっ、シニア男性みんなが優しいと申し上げているわけじゃなくて、中には優しくない方もおられるとも思いますけれども、いろいろ地域のこと、子供のこと、御自分の経験しなかったことを学んでくださって、本当に人としての喜びを味わっていらっしゃいます。現役時代は、うまく仕事ができると昇進した、昇給できた、よくやったと褒められる。でも、今地域で活動すると、ありがとうと言われる。人の役に立つ喜び、これはどの人生、どの世代でも必要だと思います。
こうしたミドル、シニア世代、老若男女問わずですね、その方々が地域を支えてくださる、あるいは、本田先生がずっとおっしゃっていらっしゃる教育現場の厳しさ、ここも担っていただける可能性は非常にあると思います。子育ての現場、教育の現場を地域に開いていただくことが本当に大切なときを迎えていると思っております。
以上でございます。

○矢倉克夫君
ありがとうございました。
先ほど、大日向先生からも、自分らしさということは、自分の、女性の皆様がお一人お一人のこの生きる選択肢とともに、社会に与える影響の多様性というのをいかに発揮していただくかというような趣旨の話もあったかというふうに思います。
お二人の先生にちょっとお伺いしたいんですが、女性活躍というと、今まで弱い立場にいた女性を何とか支えて活躍というような、ある意味、そういうニュアンスがどうしても出てくるんですけど、私は、やっぱりこれから女性の力が発揮できるような社会をつくることが全ての人の幸せにつながっていくと。やっぱり女性というのは、そういう社会の、今の社会を救っていく大きな力がある、だからみんなのために女性に活躍していただかなきゃいけないという、そういう理念だと思っているんです。
ちょっと、改めてお二人に、その辺りの女性活躍の意味合いについて教えていただければと思いますが。

○公述人(大日向雅美君)
お答えいたします。
本当にうれしいお言葉をいただきました。
女性の力というのは、これからニューノーマル時代、いろんな変動が起きるときにピンチをチャンスに変える力だと私は思っております。これまで、必ずしも一直線に生きてこれなかった、こう生きたいと思っても様々なライフイベントで変更しなくてはいけなかった、都度、女性たちはしなやかに、したたかに生きてきた。その力をニューノーマル時代、人口減社会には、まさに先生がおっしゃるように、女性に活躍の場を与えていただきたい。その潜在力をいかに引き出すか、そこに働き方改革、地域の、地域挙げての支援を発揮していただきたいと思っております。
以上でございます。

○公述人(本田由紀君)
これまで日本で事実として女性活躍という言葉で推進されてきた事柄は、中身をよく見ますと、子供を産め、ちゃんと育てろと、老人は介護しろと、外でも働けと、経済的にも役に立てという、社会の様々な諸課題を女性に、ごみ箱のように放り込むような事柄を女性活躍と呼んできたように思います。
実際に、これもやはり様々なデータで見ると、あらゆる公的な場所で、日本の女性は極めて存在感が薄いというか、人が少ないですね。管理職も教員もそうですし、医師もそうですし、議員もそうですし、どのような職種や立場を取っても日本の女性が少ないことは確かですから、そういう意味では、そこにもっと女性に出ていっていただくということは、これは不可欠ですが、それを女性活躍という言葉で呼ぶことに対しては、私は実のところやや疑問を持っています。それも、これまでごみ箱のように女性に何でもかんでもやらせてきたことの延長で女性活躍という言葉を使い続けるのであれば、そんなことは大間違いだと思っています。
私は、むしろ日本社会の異常さというのは男性側にあると。女性に何か改善すべき点があるから、そこにもっとてこ入れをして云々といったようなことは大間違いだと思っています。女性の進出を阻む男性側の在り方、企業も国会もそうですけれども、そのように男性が独占している状況そのものが問題です。異常なのは男性側。女性をいじってもっとやらせようという、その方針そのものが日本の女性を追い込んできているのではないかと。
そういう意味では、女性活躍という言葉をこれまでのニュアンスで使い続けることに対しては、私は大きな疑問があります。
以上です。

○矢倉克夫君
ありがとうございました。
最後、本田先生に住居の関係をお伺いしようと思ったんですが、ちょっと時間の関係もありますので。こちらは、私個人の思いとしては、先生のおっしゃった、この若者世代の住居支援というのも非常に重要だと、少子化対策という意味合いでも。例でも、住居が狭いから子供がなかなか、希望するような子供を育てられないという声も多かったという声もありました。この関係は、また政治の課題として、先生のお言葉も承ってしっかり頑張っていきたいというふうに思っております。
私からは以上でございます。改めて、ありがとうございました。

【矢倉かつお】予算委員会(子育て支援、AYA世代への終末ケア等)2023/03/03

2023-03-03 矢倉かつおチャンネル

211回 予算委員会

2023-03-03 国会質問議事録

○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いします。
まず、総理にお伺いします。
昨年の出生率が、出生数が八十万人を切りました。まず、総理、なぜ出生率が上がらないか、政府の原因分析等、その根本解決として政府は何を異次元に行う決意か、お伺いをいたします。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
少子化の背景には、経済的な不安定さ、出会いの機会の減少、男女の仕事と子育ての両立の難しさ、家事、育児の負担が依然として女性に偏っている状況、子育て中の孤立感や負担感、子育てや教育に係る費用負担の重さなど、個々人のこの結婚や出産、子育てのこの希望の実現を阻む様々な要因、これが複雑に絡み合っていると分析をしています。
御指摘のように、急速に少子化が進展をしています。昨年の出生数は八十万人を割り込み、子ども・子育て政策への対応、これは待ったなしの先送りできない課題であると認識をしております。そして、それに、その子ども・子育て政策ですが、内容や規模、これはもちろん重要であります。しかし、これまで関与が薄いと指摘されていた企業や男性、さらには地域社会、高齢者や独身の方も含めて社会全体の意識の変革を行う、こうした変革も含めて次元の違う対策を講じていく中で、何としても少子化トレンド、反転させていきたいと考えています。
施策や予算の内容が実際に国民の皆さんにとっても安心感や希望につながり、その結果として出生率の向上にも資する、こうした効果的な政策の内容をパッケージとして具体化し、その予算を踏まえて、六月の骨太方針までに将来的な子ども・子育て予算倍増に向けた大枠を提示したいと考えています。

○矢倉克夫君
理由は様々ということでありましたが、国民の安心感というお言葉がありました。その上で政策内容を具体化するということでありますが、厚生労働大臣にお伺いをいたします。
ワンオペ育児という言葉が広がって久しいです。昔は家族や地域が支えてくれたが、今はないと。コロナ禍で里帰り出産もできなくなった。子育てイコール孤独、過酷というイメージが定着をしております。事実、私も、片方で授乳をして、もう片手で食事を作らなければいけない、トイレにすら行けないという切実なお声をたくさん聞いてまいりました。
子育て支援対策として現金を配るということも大事でありますが、それだけでこの子育てイコール過酷という現状を打開できるかというわけではなく、何もしなければ今の若い世代はなかなか子供を産み育てようと思わないかもしれません。この不安払拭にどのように対応するのか、加藤厚生労働大臣の所見をお伺いします。

○国務大臣(加藤勝信君)
もう核家族化が進みと言われてまあ随分たちますけれども、また地域のつながりも希薄となる中で、孤独感や不安感を抱く子育て世帯、また、さっき委員からお話があったように、物理的にも手が足りないという場合にお困りになる世帯も少なくなく、安心して子育てができる環境整備、これが極めて重要でありますし、また様々な調査をしてもそうした声が出てきているというふうに認識をしています。
このため、必要とする全ての方が心身のケアや産児サポート等を行う産後ケア事業の支援を受けられるよう全国展開に取り組む、もうこれは既に母子保健法の改正等によって努力義務も課せられているわけでありますけれども。また、昨年の児童福祉法改正により創設した、主に支援の必要性の高い家庭に対して育児・家事支援を行う子育て世帯訪問支援事業について、令和六年度の施行に先駆けて令和三年度から既にモデル事業を実施しているところであります。
さらに、昨年の総合経済対策で出産・子育て応援交付金事業を創設し、妊娠届出より妊婦や特にゼロ歳から二歳の低年齢期の子育て家庭に対する伴走型相談支援と経済的支援とを一体的に行うこととし、現在、全国の自治体で取組を進めていただいているところではございます。
このように、全国で産前産後や子育て時期に育児・家事支援や経済支援を行う体制を構築できるよう、逐次政策を充実させてきているところであります。今後とも、全ての子育て家庭が孤独や不安感を抱えることがなく、また安心して子育てができる、こうした環境の整備をしっかり図っていきたいと思っております。

○矢倉克夫君
安心のために様々なメニューを充実させて環境整備をしていくというような御答弁でありました。
総理にお伺いをいたしますが、大事なことは、子育てに必要な労力をこれメニュー化して、その大半をサービスとして、ベーシックサービスとして提供できる体制をつくること、今話があった家事支援であったり、お子さんの預かりであったり、これ、場合によってはもう二十四時間対応があるぐらいでもいいと思いますけど、あなたが大変なときにほかの誰かが支えますと、社会が代わりに支えますという、異次元で示していくことであるというふうに思っております。
ただ、サービス充実も担い手がいなければ絵に描いた餅でありまして、子育て支援の全ての根幹は担い手育成であります。保育士さんや保健師さんなども当然でありますが、私が約三年前の厚生労働委員会でも訴えた産後ドゥーラなど、これを、子育てを支えている民間資格など、NPOによる家事支援なども寄り添う支援の担い手として必要であるというふうに思っております。
総理にお伺いいたしますが、今の趣旨を踏まえて、子育て予算倍増として今具体の例が挙がっているわけでありますけど、項目としては担い手育成こそ従来の倍以上の予算を掛けるべきと考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
子育て支援の充実に向けて、担い手の育成は重要な課題であると考えています。
例えば、保育士を志す学生に対する資金の貸付けを通じた資格取得の促進、保育や子育て支援分野に必要な知識、技能を習得するための子育て支援員研修の実施、また、支援が必要な子育て家庭に対するサービスの担い手となるNPO等の立ち上げ支援やこの従事者の確保に向けた研修の実施等に対する費用補助、こうした取組を進めているところです。
先ほど申し上げたように、これから内容を、子ども・子育て政策、内容をパッケージで示して、そしてこの予算倍増に向けての大枠を示すわけでありますが、こうした委員の御指摘等も念頭に置きながら内容の具体化進めていきたいと考えます。

○矢倉克夫君
念頭に置いていただけるということで、ありがとうございます。
是非、担い手育成、倍の予算を、子育て支援も人づくりに、子育てを担う人づくりにお金を掛けるべきであるというふうに思いますので、改めてよろしくお願い申し上げます。
もう一つ、厚生労働大臣に、これは今審議をする五年度当初予算の案の関係でありますが、資料一にお配りしております保育所等の空き定員等を活用した未就園児の定期的な預かりモデル事業についてであります。
確認ではありますけど、こちらの予算案、これ、定員に空きのある保育所等にと書いてありますが、未就園児を定期的に預かる事業を実施する事業が来年から開始するわけでありますけど、この等というのはどこまで含まれているのか。定員に空きがなくても空きスペースがあれば対象とすべきであるというふうに考えますし、また幼稚園等で既に独自に未就園児教室を実施しているところもありますが、こうした幼稚園等の取組も対象となることでよいでしょうか。御答弁お願いいたします。

○国務大臣(加藤勝信君)
今委員御指摘の事業は、専門家による良質な成育環境を確保し、他の子供とともに育つ機会を提供するとともに、育児負担を抱える保護者の方に対しても継続的に支援を行うことを目的としています。
この実施でありますが、保育所のみならず、幼稚園、認定こども園や地域子育て支援拠点などの多様な場所において事業実施を可能とする予定であります。また、保育所等において定員に空きのある場合のほか、定員に空きがなくても別途確保できるスペースがあり、保育士等の職員を配置できる場合、また従前から独自に未就園児教室を実施しているなど、実施の意向を持つ場合、これらも対象としていきたいと考えています。

○矢倉克夫君
保育所の空き定員と書いてあったので不安の声もあったわけですが、よかったです。ありがとうございます。
週一、二回の定期的な預かりというのは、これ、専業主婦の方々も含めて幅広く今までのニーズを更に掘り起こしていく事業だと思いますので、公明党の地方議員とも連携しながら展開もしていきたいというふうに思います。
では次に、質問また行きたいというふうに思いますが、総理にお伺いもしたいというふうに思います。
AYA世代、主に十五歳から三十九歳までのこのターミナルケア支援を含めた在宅医療支援について伺いたいと思います。
私の知り合いのめいごさんが三十二歳の若さでスキルス胃がんのためお亡くなりになりました。その闘病記が、「2冊のだいすきノート」との題で、今ここにも置いてありますが、出版もされております。
この私の知り合い、友人でもある全国骨髄バンク推進連絡協議会の元会長の大谷貴子さんの新聞手記というのがあるわけでありますが、このめいごさんは、この大谷さんの尽力もあって、最後の二か月半、家族と過ごすことができました。買物、外食、ディズニーランド、クリスマス。特に印象深いのは、残された四歳の双子のお子さんが、娘さんがいらっしゃったんですけど、お母さんが亡くなる二日前には、二階に組み立てられたお風呂でお二人でお母さんの足を洗ってあげた。心に私もじんときたのが、この葬儀の翌朝にそのお子さんたちが、ママが立って笑って、立って笑った夢を見たと、こうにこやかにおっしゃっていただいた、言っていたと。大谷さんはこれを聞いて、つらいママではなくて笑っているママの記憶が残ったというふうに言っていました。
これ、仮にですね、入院して亡くなっていたら、事情はいろいろあるかもしれませんが、ひょっとしたら、病院に行ったママが次に会ったときには亡くなっていたということもあって、違った記憶になったかもしれないわけなんですね。
私言いたいのは、このターミナルケアというと死に対する備えというような側面も強いんですけど、この話を聞いて、残された人が前に進んでいく、共に進んでいった時間を共有し合って、記憶を通じて、亡くなった方が生き続けるために大事な支援で、まさにベーシックサービスというふうに感じたわけであります。
できるだけこういうふうに家で過ごそうと決断を促したのが、横浜市にある若者の在宅ターミナル支援助成でありますけど、今日は、同様の制度を設けているさいたま市の取組を資料としてもお配りもさせていただいております。御参考にとしてというふうに思いますけど。
総理にお伺いしたいのは、具体の話というよりは、まず前にですね、このAYA世代にも適用される在宅療養支援の必要性についてどのようにお考えか、総理の御見解をお伺いしたいと思います。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
AYA世代のこのがん患者については、子育てや仕事などお一人お一人を取り巻く状況、これ多様であること、これらを配慮しながら治療や療養支援行う必要があると思います。
AYA世代を含むがん患者が自宅で療養できる体制を整備し、自宅療養を支援することは重要であると認識をいたします。

○矢倉克夫君
重要だというふうに御答弁いただきました。
もう一つ、お配りした資料三ですけど、それ、さいたま市とかの同様の制度を有している自治体の一覧があります。二〇二一年段階で二十自治体、ここから埼玉県の加須市なども加わるわけでありますけど、いわゆるAYA世代は介護保険の対象でもないため、この世代の終末ケアというのは制度の穴になっております。いかにこの穴を埋めるかは、もう保険とは何かという課題でもあって、中期的な課題として考えますが、まず当面の対応として、こういった先進的な取組をしている自治体への支援を国としてすべきではないかと考えております。
加藤厚労大臣にお伺いしたいんですけど、国としても基金を活用するなどして何らか支援を行うべきではないでしょうか。議論中のがん対策推進基本計画にも、AYA世代におけるライフステージに応じた療養生活への支援との記載があります。その趣旨を踏まえて是非御検討いただきたいと思いますが、よろしくお願いします。

○国務大臣(加藤勝信君)
委員がお示ししていただいたように、一部の自治体においては既に在宅療養支援に取り組んでおられる自治体があるということは承知をしております。
また、本年度末に取りまとめる予定の第四期がん対策推進基本計画において、AYA世代を含め、ライフステージに応じた療養環境への支援を進めていくこととしており、具体的には、来年度から、厚生労働科学研究において、AYA世代のがん患者の在宅療養の実態把握を行い、その結果をも踏まえて、希望する在宅医療を受けられるよう、在宅療養環境等の体制整備について検討するなど必要な対応を行っていきたいと考えております。

○矢倉克夫君
実態把握というお言葉ありました。よろしくお願いします。
是非、さいたま市でも一年間でこの世代でがんで二十人、三十人と実は亡くなっております。その上で、早く体制整備をお願いしたいと。これは引き続き是非具体化を進めて協議をしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
次に行きたいと思います。
介護の関係でありますけど、二〇四〇年時点で介護人材約七十万人足りないというふうに言われております。
まず厚労大臣に、介護人材不足解消のため大切なことは何かを御答弁をいただきたいと思います。

○国務大臣(加藤勝信君)
高齢化が更に進む中で介護ニーズが高まっていく一方で、それを支える中心となる生産年齢人口は減少していくわけでありますから、必要な介護サービスを安心して受けていくためにも、その担い手を確保するということが重要な課題であります。
介護人材の確保については、介護職員の処遇改善、また介護職のイメージアップや多様な人材の参入促進、ICTや介護ロボット等のテクノロジーを活用した職場環境の改善による離職の防止、介護福祉士修学資金の貸付け等による人材への育成などの支援、これが、どれを一つというよりも、新しい人に入ってきていただく、そして引き続き介護職として頑張っていただく、そうしたことを幅広く総合的に取り組んでいくことが必要だというふうに考えております。

○矢倉克夫君
今大臣の方からも、参入促進、多様な人材を幅広くというようなお言葉もありました。それは本当に大事だなというふうに思います。
私、人材育成の上でまた更に大事なのは、この介護の専門家が、自身がやらなくてもいいことをいかに他の人がサポートできるかというこの体制整備も重要だというふうに思っております。
特に、異分野との関係、資料四にありますが、これはさいたま市浦和美園地区でAIデマンド乗り合い交通の実証実験進めたものであります。公明党の地元市議団などが積極的に推進しておりますけど、これは国交省の共創事業、共創モデル実証プロジェクト、共に創ると。交通と他分野の共創で、主にこの交通の価値をいかに高めるかという視点からのものでありますが、他方で、これ民間のタクシー会社がビジネスとして利益を得られるように制度設計進める一方、高齢者の買物支援や介護施設の移動など、介護分野の価値も高めているわけであります。
この点、ビジネスとして介護に関わる取組として私も注目しているのが、高知県の大豊町の見守り介護の仕組みであります。こちら、これ総理にお伺いしたいと思っていますけど、限界集落という言葉を生んだ町ではありますが、高齢者の方の見守りを行政ができないと、まあ職員も足りないし、人々が様々なところに点在をしている。そこで、地元商工会と大豊町から運送会社に補助金を出して、その運送会社が御用聞きをする。ドライバーさんも十二名のうち十名が大豊町出身とのことですけど。それで、欲しい商品を聞いて地元商工会で買って、それを届けると。行政も商工会も運送会社も高齢者も、みんながウイン・ウインになっていくと。
この福祉を、専門者と当事者の一対一の関係でやるからなかなかしんどくなるわけでありますけど、地域に開いてやると、相互作用の中で見守り介護もビジネスになっていくというようなこともあるというふうに思います、この典型だと思います。
それでお伺いしたいんですけど、介護人材不足という課題解決のためにも、交通事業者だったり運送事業者、こういった介護事業者以外がビジネスとして積極的に高齢者支援や介護分野に関与することに向けて国も一層支援をすべきと考えますが、総理の御見解をお伺いしたいというふうに思います。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
高齢者の多様なニーズに対応し、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最後まで続けていける体制を整備するため、交通業者や運送業者、運送事業者など介護分野以外の多様な主体と連携し、高齢者の暮らしを支えていくことは重要であると考えています。
これまで、地域交通を軸として複数の主体が連携して地域課題の解決を目指す共創の取組についてモデル事業を実施してきたほか、市町村の生活支援コーディネーターが高齢者の生活支援ニーズと地域の多様なサービスのマッチングを行う、こうした取組などを行ってきたところです。
引き続き、関係府省が緊密に連携をし、分野横断的に高齢者の生活を支えることができるよう、必要な取組を進めてまいります。

○矢倉克夫君
公明党も各地方議会とかでこういう共創のプロジェクトを様々進めているので、是非、引き続きの応援もよろしくお願い申し上げます。
一方で、また資料五を御覧いただきたいんですが、これは横浜市旭区の左近山団地でありますけど、これ、若者に高齢者の生活支援をお願いする代わりに、UR都市機構の定期借家制度U35割などを組み合わせることで賃料を四万円弱安くしたりとかする、注目された取組だったりします。
同じような取組が埼玉県の春日部市のUR武里団地でも行われていると理解もしておりますが、政府の調査でも、この若者にのしかかる生活固定費のうち、住まいに係るものの比重が非常に大きくて、それが子育て含め将来設計にも影響を与えている実情が浮かんでおります。
その負担軽減と高齢者の安心確保を両立するこういった取組への意義について、総理の評価をいただきたいと思います。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
御指摘の取組は、横浜市等のUR団地において、URと地元自治体や大学、NPO法人等が連携して、UR団地に居住する学生が地域活動へ参加することを条件としてその学生の家賃負担を軽減しているものと承知をしておりますが、この取組は、若い世代のニーズに応じた住まいの確保と、地域コミュニティーの活性化を通じた高齢者が暮らしやすい環境の整備とを両立させようとするものであり、意義のある取組であると考えています。
政府としては、地域と連携したこうした事例の普及を含め、多様な世代が支え合い、安心して暮らせる住環境の整備、推進してまいりたいと考えます。

○矢倉克夫君
先ほどのは異分野同士の交流、今は異世代同士の交流で、それぞれが持っている課題を解決し得るという意味もある動きであるというふうに思います。
さらに、これを進めた異世代ホームシェアという取組も、海外であったりとか、今は日本のNPOでもあります。これは別の機会に国交委員会とかでもまた議論をしたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。
次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。
ヘイトクライムのことに対して、これは許されないという思いで質問もしたいと思いますが、資料六を御覧いただきたいと思います。
在日コリアンの方々が多く住んでいる京都府宇治市のウトロ地区では土地をめぐる抗争、係争が長年続いておりましたが、これは平成十九年の十一月付けで京都府と宇治市から国土交通省に対するこの要望書、住宅、住環境の改善などを求める要望書であります。これを受けた当時の国交大臣、公明党の大先輩でもある冬柴鐵三国交大臣のリーダーシップもありまして、住民の良好な住環境確保というのがこれ進んでいるというふうに理解もしております。
改めて、現状と住居支援に関する今後の方向性について斉藤国交大臣にお伺いをいたします。

○国務大臣(斉藤鉄夫君)
御質問の京都府宇治市のウトロ地区につきましては、平成十九年に京都府知事及び宇治市長から、当時の冬柴国土交通大臣に対して、良好な住環境の整備を進めるための支援などの御要望をいただいております。
その後、地元における検討、調査などを経まして、宇治市が平成二十七年からウトロ地区の住環境整備を進めることとなり、国としても、今申し上げた御要望を踏まえて、小規模住宅地区改良事業によりまして補助を行ってきたところでございます。
この事業では、宇治市が地区内の土地を借り上げて、地区の住民向けの公的住宅を建設するとともに、地区内の道路、排水路や公園の整備、それから従前からの不良住宅の除却などが進められてきたところでございます。この結果、今年度中には公的住宅が完成し、来年度には道路の整備や不良住宅の除却を完了させる予定と承知しております。
国土交通省としては、ウトロ地区の住環境の改善が着実に進むよう、引き続き必要な支援をしてまいります。

○矢倉克夫君
このウトロ地区には、今までの様々な歴史なども含めた展示も入っているウトロ平和祈念館というところがあります。非常に地域の交流の場にもなっているようなところに今なっております。
私、公明党のヘイトスピーチ、ヘイトクライムの関係のプロジェクトチームの事務局長もしておりますが、浜地雅一座長などとともに先月十日、行ってまいりました。そのときの写真が資料七で入れておりますけど、非常に明るい雰囲気の建物で、私たちが伺ったときも近くの大学生十名ほどが来ておりまして、先日、開館から八か月強で来館一万人を超えた、記念すべき来館者は関西大学の学生だったということでありますけど、そんなウトロ地区で放火事件がありました、一昨年の八月。
放火犯罪現場、まだ残っておりましたので、私、写真に、ここに撮らせていただいている、もう全焼です。ちょうどこれは、放火があったのは子供たちが普通であれば遊んでいるような時間帯のときだった。ちょうどそのときいなかったから死者は出なかったかもしれないけど、本当に危ない状況であり、一歩間違えれば子供が亡くなっていた。ここで書いてあるとおり、現地で住民の方々と懇談したわけでありますけど、もう様々な差別と闘って地域とつながる努力をされてきた。もうその気持ちを踏みにじって、思い込みの差別感情が犯行につながったことへの怒り、理不尽さというのを共有いたしました。
この犯罪の何より恐ろしいのは、実際に会ったこともない在日コリアンの人々にインターネットのゆがんだ情報から勝手に憎悪を強めて、ゆがんだ正義感から犯行に及んでいると。けど、同じような思い違いの思いが、ここにも書いてある展示のように、この種の言論であふれております。これら属性などの枠で人を人と思わなくなるこの差別の感情こそが戦争を始めとした全ての不幸の根源でもありますし、その根絶には、こういう犯罪、ヘイトクライムは許されないと総理率先で発信し続けることが大事だというふうに思います。この犯罪が正当化される日本であってよいはずはないと、恥ずかしいという思いを私はしております。
総理の強い決意と併せて、ウトロ平和祈念館へ是非訪問をお願いしたいと思います。総理のお考えをお願いいたします。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
特定の民族や国籍の人々を排斥する趣旨の不当な差別的言動、ましてや、そのような動機で行われる暴力や犯罪、これはいかなる社会においても許されないと考えます。
政府としては、外国人等の人権に関する動画やこのポスター、SNSでの発信等を通じて啓発活動を実施するなど、外国人等に対する偏見や差別の解消に向けて取り組んでいるところですが、捜査当局においては、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づきこれは適切に対処していくものであると承知をしています。引き続き、これらの取組をしっかりと行って、全ての人が輝く包摂的な社会をつくってまいらなければならないと強く思います。
そして、祈念館への訪問について御指摘がありましたが、この御指摘のウトロ地区を始め関係する皆様への連帯の表明については、適当な時期を捉えて対応したいと考えています。

○矢倉克夫君
表明の決意について是非検討いただきたいと思います。諸外国では、リーダーが現地に行って許されないと言うのもよく多く例があるところであります。お願いしたいと思います。
最後に、以上の総理の決意を踏まえまして、改めて法務大臣の見解を伺うとともに、啓発活動やヘイトクライムの実態調査などについて法務大臣から御意見をお伺いしたいと思います。是非お願いしたいと思います。

○国務大臣(齋藤健君)
まず、私からも、総理がお話しされましたように、特定の民族や国籍の人々を排斥する趣旨の不当な差別的言動、ましてや、そのような動機で行われる御指摘のような暴力や犯罪は、いかなる社会においても許されないものと考えているところであります。
総理からも御紹介ありましたが、法務省において、外国人等の人権に関する動画やポスター、SNSでの発信等を通じて啓発活動を実施するなど、外国人等に対する偏見や差別の解消に向けて取り組んでいるところでありますが、引き続きこうした取組をしっかりと進めていきたいと考えています。また、刑事事件として取り上げるべきもの、これはあるようであれば法と証拠に基づき適切に対処するものと承知をしているところであります。
犯罪被害を受けた方々、ここに思いを寄せて取り組んでいくということが極めて大事だと私は思っておりますので、このような方々の支援に関しましては、法務省だけではできないこともあろうかと思いますので、関係府省とも連携しながら、しっかりと適切に取組を進めていきたいと考えています。

○矢倉克夫君
被害者への寄り添う思いというのは大事だと思います。改めて、これは日本社会はどうあるかという社会の在り方の問題であります。そういう根底、社会の危険度がしっかり察知をして、政治家が、それをなくしていくということを強く発信してリーダーシップを取っていくということが政治の在り方だと思いますので、是非よろしくお願いを申し上げます。
防衛大臣、申し訳ありませんでした。次の機会で、防衛産業こそが民需をしっかり、また、防衛産業も、民需との関係というのもまた是非お伺いもしたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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