2015-09-01
公明新聞:2015年9月1日(火)付
参院で審議が続いている「平和安全法制」の関連法案についてQ&A形式で説明します。
A 日本の安全保障環境が厳しさを増しているため
日本を取り巻く安全保障環境が大きく変化し、厳しさを増しています。特に、北朝鮮の弾道ミサイル関連技術は飛躍的な進歩を遂げ、核実験も3回実施しています。中国の軍備増強と海洋進出も著しくなっています。
平和安全法制の整備によって、切れ目のない防衛体制を構築することで日米同盟の抑止力を高め、紛争を未然に防止することができます。また、日本の繁栄と安全には国際社会の平和が不可欠です。そのため、国際社会の平和と安全のために貢献することも必要です。
A 他国防衛を禁じた憲法解釈の根幹は変えていない
憲法9条が認めているのは自国防衛のための武力行使であり、他国防衛のための集団的自衛権の行使は禁じています。
この政府解釈の論理の根幹は今回の平和安全法制でも一切変更されていません。
昨年の閣議決定では、もっぱら他国防衛にならないための明確な歯止めとして「自衛の措置」の新3要件を定めました。
自衛隊が武力行使を許されるのは、わが国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が国民に及ぶことが明らかな場合に限られます。解釈改憲といった批判は的外れです。
A 自衛隊が海外で武力行使をすることはできない
海外での武力行使(いわゆる海外派兵)を禁じた憲法9条の政府解釈は何ら変えていません。
そのため、国際社会の平和と安全のために自衛隊が実施する貢献は、武力の行使であってはならず、国連平和維持活動(PKO)や、国際平和のために活動する外国軍隊への後方支援活動に限定されます。
特に、輸送や補給などの後方支援の場合、現に戦闘が行われている場所では実施しません。そのため、自衛隊の後方支援が他国軍隊の武力行使と一体化することもありません。自衛隊が外国の戦争に参加することはあり得ません。
A 平和憲法の下、自国防衛に徹する基本方針は不変
「自衛の措置」の新3要件は、あくまでも自国防衛のために自衛隊による武力行使が許される要件であり、憲法の専守防衛の大原則の枠内です。
戦後70年間、日本は平和憲法の下で、専守防衛に徹し、他国に脅威を与える軍事大国とはならず、非核三原則を守るとの安全保障政策の基本方針を堅持してきました。
この根幹は今後も一切変わりません。平和安全法制の整備により、万一の事態にしっかり備えると同時に、何よりも外交による平和的解決を最優先していきます。
後方支援とは
輸送や補給をすること。後方支援をする自衛隊は外国軍隊の指揮下には入らない。支援対象となる他国軍隊により現に戦闘行為が行われている現場では実施しないだけでなく、現実に活動を行う期間について戦闘行為がないと見込まれる地域を指定して自衛隊を派遣する。