2014-11-13
○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いいたします。
今日はテロ資金処罰法についての議論となります。
冒頭、まず、国際テロといえば、多くの方が思い浮かべられるのがセプテンバーイレブンですかね。私も少しだけニューヨークに滞在したことがありまして、働いていた場所から、窓から見えるのがニューヨークのグラウンド・ゼロでした。窓を、そちらを見ながら仕事をしていたことを思い出します。
あのテロ発生当時も、同じ職場に働いていた人が救助に行こうとしてそこで亡くなったというような話も聞き、顕彰されている碑も見たこともありました。私の友人も、アメリカ同時多発テロ当時、当時でまだ富士銀行だったと思うんですが、働いておりまして、まさにワールド・トレード・センターにいて九死に一生を得たという大親友が一人おりました。
本当にこういうことが起きるんだと世界の人が震撼したような事案ではあったと思います。ただ、率直なところ、これまでは私も、日本社会というのとはまたやっぱり違うところにある事件かなという思いが少しだけは、一部はやっぱりあったのもまた事実ではあります。
ただ、最近少し衝撃的だったのが、少しというか、衝撃的だったのが、大学生がイスラム国の関係でシリアに行こうとしたというところでありました。当初は日本の中でもそういうテロ組織の方に派遣するようなネットワークがあるというように想定はしたんですが、話を聞くと、動機としては、むしろ就活に困ったり、そういう部分で絶望感にさいなまれていったというところ、私、その話も聞いて逆にまた衝撃を受けたんですが、ある意味、怒りだとか不安だとか、一般的に見られるような感情から飛び越してテロ行為に入ろうとする、そういうような部分も出てきているんじゃないかと。
これについては、近畿大学の教授なども歴任された、今現在、中東研究センターの副センター長もされている保坂修司先生がおっしゃっておりますが、自分の怒りや不安、欲求不満や閉塞感を解消する場所として自分のアイデンティティーと全く関係ない場所が選ばれることも少なくないと、そうした若者たちに戦う場所や死ぬ場所、生きがいや死にがいを示す大義を現在のシリアやイラクが提供していると、今回の日本の大学生の例がまさにそうである、このようなことをおっしゃっておりました。
私も、テロの問題を考えるに当たっては、現実の現象とはまた別に、深層社会でどういうことが起きているのか、やはりそういうことも考えなければいけない、日本の深層部分にもテロの関係と何か関わってくるような違った動きがひょっとしたらできてきているんじゃないかという危機感だけはやはり常に持って考えていかなければいけないと思っております。そういう一種の社会問題もこれからまた別途議論はしていかなければいけない、この点は、まず、テロの問題を考える上で非常に重要だということを冒頭申し述べさせていただきたいと思っております。
そこも一部念頭に置きながら、今日は法案の方の審議でございます。法案審議について、細かな部分も含め、また、既にもう質問になっているところもあると思いますが、確認の意味も込め、改めて確認をさせていただきたいと思います。
まず、今回の法改正、企図されているところ、ざっくり申し上げれば、客体を広げ、また主体も広げていくというその点であります。そのうちの客体につきまして、現行法、客体は資金のみでございます。この資金とは何であるのか、その解釈について御説明をいただければと思います。当局からよろしくお願いします。
○政府参考人(林眞琴君)
現行法上の資金でございますが、資金とは、一つに、その経済的価値が特定の使途のために利用されることを予定して提供、収集される現金その他の支払手段というものがございます。そのほかに、そのような現金その他の支払手段が果実として得られること、又はそのような現金等に換価されることを予定して提供、収集されるその他の財産をいうものと解されております。
○矢倉克夫君
現金というお金そのものではなく、換金性、換価性も考えた上で、ある意味有体物や無体物であっても、換金されるようなものであれば含まれるという趣旨でこれまで解釈されてきたものと思っております。
現状、今条約としても、テロリズムに対する資金供与の防止に関する条約なども見ても、今の現行法の資金という解釈と同じような内容のものを資金として締約をされている。そういう部分では、条約の中身とは特段変わりもないというような理解も一部あるとは思うんですが、今回、それに加えまして、その実行に資するその他の利益、このような文言を加えた趣旨を御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(林眞琴君)
その他の利益でございますが、資金以外の土地、建物、物品、役務その他の利益ということとされておりまして、この土地、建物、物品、役務というのはその利益に含まれるものの例示であります。したがいまして、この利益の中には、利益は一切の有形無形の利益がこれに該当するわけでございますが、本改正法案の罰則におきましては、このうち、テロ行為等の実行に資する利益のみがその対象となるものでございます。
○矢倉克夫君
再度確認なんですが、今までも現金以外のものは利益として入っていたと。実行に資する利益というのは、これまでは、最終的には現金以外のものを渡したとしても、それを換金した上で実行しようというような趣旨のものという客体を捉えていたわけですが、今回は、まさに不動産であれば不動産、その不動産をテロ行為そのものとして使ってくれという場合に提出する、そういうようなものも含めて客体として捉えているというような理解でありますが、その点、再度確認させていただきたいと思います。
○政府参考人(林眞琴君)
御指摘のとおりでございまして、これまでは現金への換価価値というものに、換価性に着目して資金を捉えておりました。
それに加えまして、今回そういった、例えば公衆等脅迫目的の犯罪行為、その実行行為者をその犯行の前後においてかくまうためのアジトとして利用される土地、建物そのもの、こういったものについて、あるいはテロ行為に利用され得る武器、こういったものそのものについて、その他の利益の中の一つとして客体に加えるというものでございます。
○矢倉克夫君
そのようなものを客体に加えた実質的理由を再度御説明いただきたいと思います。ただFATFに言われたからとかそういうわけではなく、より実質的な理由がまたあるかと思っております。その辺りを御説明いただければと思います。
○副大臣(葉梨康弘君)
諸外国では、この資料によりますと、実際にテロ組織に対して爆弾とか武器を提供しているという、そういう事例もあるということでございまして、資金以外の利益であってもテロ行為の実行に資するものを提供する行為、あるいは提供させる行為についても、テロ行為の実行を助長、促進する危険性が資金の提供、収集に係る場合と同等かなというふうに私どもも考えております。
加えて、今御指摘ございましたように、FATFからも現行のテロ資金提供処罰法の資金の定義が限定的であるというような指摘もなされているところであって、これを踏まえまして、テロ行為の実行を助長、促進する行為を防止する観点から、資金以外の土地、建物、物品、役務その他の利益についても客体に追加することとしております。
○矢倉克夫君
例えば、今もテロ行為というのは、その場で全ての組織がそろって、テロ組織がそろって実行するというわけではなく、高度なネットワークも発達していますから、遠隔地からテロ行為をするような場合もあると。実際上のアジトというか、そこはそこであるわけでありますが、そことはまた違うところで組織をするような場合があると。仮にそういうふうな事態を想定した場合に、日本がアジトを提供することそのものを罪としていなければどうなるかというと、これはテロ組織の感覚からしたら、そういうような場所にアジトを設定すればよりネットワークとしては使いやすいんじゃないかというような理解もあるかと思っております。
今回このようなより客体の拡大をしたということは、日本がそういうところもしっかり処罰をしているんだと、こういうようなことを国際社会に示して、日本がそういう部分での抜け穴にならずに、ある意味テロ組織の温床にならない、そのような予防的な意味もある、このように理解もしておりますが、この辺り、再度御確認させていただきたいと思います。
○副大臣(葉梨康弘君)
ここの委員会の審議でも何回も御審議されておりますとおり、確かに今までこのテロ資金処罰法で事件化した事例というのもございませんし、またこの客体を広げなければいけないというようなことで、そういうような必要性が、実際の必要性といいますか、実際の捜査の段階でそれを広げたら事件にできたんじゃないかというようなものも、捜査の対象になったということはないという答弁もあったかと思いますけれども、まさに委員御指摘のように、一つのやっぱり我が国が抜け穴となってはならないということは非常に大きなポイントでございまして、私どもとしても、今回客体を広げるということで、我が国がテロ対策の抜け穴とならないように考えてまいりたいと思っております。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。広がる国際ネットワークの中で抜け穴とならないような趣旨であるということを改めて確認をさせていただきました。
次に、主体の方の話に、時間の関係もありまして移らせていただきたいと思います。
従来、現状の、現行法のいわゆる主体とされているものはテロ企図者である、また一次提供者、ここに限定をされているという理解であります。今回これを広げたという点、これについて今までの御議論確認させていただくと、まずこういう御意見があるという理解でおります。今回の二次提供者であったりその他の者を改めて定義付けて犯罪を独立のものとして扱う必要もなく、例えばこれまで現行法の一次提供者、これ犯罪を独自に行うわけですが、これに対する幇助という形で構成もしてもよいのではないかと。刑法の総則の方で幇助犯、すなわち正犯の実行を促進するための犯罪、こういうものが規定されていると、これについてこのような形で構成をすればよいのであって、改めて独立の犯罪にする必要はないのではないかというような見解があるかと思っております。
幇助であるか、それとも今回のような形での犯罪にするかという部分での違いは、最終的には、例えば二次提供者が資金を一次提供者に提供したと、その一次提供者が実行に着手をした場合、これまで共犯の理論では、実行に着手をした場合、正犯が着手をした場合だけ犯罪とされる、処罰をされるというようなことになると思います。それと、今回は、そう至らなくても、二次提供者が一次提供者にお金を提供したと、その後、一次提供者が実際テロ企図者にお金を渡さなくても、一次提供者の犯罪としては成立する余地があるというところ、ここがまず実質的な違いであるかと思っております。
刑法理論、共犯理論、正犯というものと共犯というものの関係で、実行従属性の問題にも関わるような理論であるかと思いますが、この部分について、まず、ちょっと時間の関係もありますので実質的な部分で御質問させていただきたいと思うんですが、今回、このテロに当たって、テロ組織の行為、資金の処罰に関して、二次提供者とその他の者について、一次提供者にお金を渡したと、しかしその後、一次提供者がテロ企図者にお金を渡すような行為をしなかったとしても、それでも処罰をしなければならないという、このような判断に至った理由等もまた御説明をいただければと思います。
○政府参考人(林眞琴君)
今御指摘のございましたように、二次協力者などが一次協力者に対して資金提供しても、その資金が一次協力者の下にとどまっている、すなわち、テロ企図者に対して資金の提供が、資金移動がないと、こういった場合の当罰性、可罰性の問題だと思います。
まず、一次協力者が、例えば一次協力者の下に多額の資金提供がなされて、それがテロ資金としてテロ企図者に資金提供される前の段階で、こういった段階で、当然、たまたま摘発される、それが発覚するということがございます。こういった場合に、たまたまそのテロ企図者に対して一次協力者からの資金提供がなされていないという一事をもってそれを処罰をしない、処罰対象とならないとなりますと、こういった非テロリストである一次協力者におきましては、テロ企図者に対して資金提供をするまでの間は全く不可罰でございますので、極めて安心してテロ資金の収集等ができる形になってしまいます。
これはやはり、そういうものを許しておくということになりますと、テロ行為の助長につながり、また促進につながるということでありまして、また、テロリストから見ましても、そういった資金にアクセスする機会が非常に増えるということになりますので、今回、そういう形から、一次協力者から実際のテロ企図者に対しての資金提供がなされない段階においても、独立の処罰規定を設けることによって犯罪化するということでございます。
○矢倉克夫君
テロの犯罪の結果の重大性というもの、そのこともまた考慮した上で、じゃ、実際、テロ企図をしている者に対してお金が渡るとか、そういうような部分までいかないと処罰ができないという体制になってしまうと、予防の観点からも余りに問題が大きいと、要はそのような観点かと思っております。
これの関係でもあるんですが、葉梨副大臣、十月三十一日の衆議院の法務委員会において、今回のような主体の広がりという部分についてこのようにおっしゃっております。非テロリストが収集するということになれば、二次協力者、その他の協力者ということまで網を掛けていかなければ、テロの防止、撲滅ということにはなかなか資することにはならないという理解というふうに御発言をされております。
ここの部分、今のところにも関わると思いますので、改めて御説明をいただければと思います。
○副大臣(葉梨康弘君)
今局長からも答弁あったとおりですが、FATFの勧告というのは四点ございます。
一つは先ほどの客体の問題と、それから、今おっしゃられた非テロリストによる資金の収集の問題、それから間接的な資金、それから、後で申し上げますけれども、組織に対する提供ということですけれども、その二番目の点で、やはり二次協力者、つまり実行行為者でないテロリストに対する協力者、この方に、二次協力者に対する資金の提供ということについても、これは一次協力者の提供罪の実行を容易にする目的で一次協力者に資金を提供するなど、あるいはその他の協力者が資金がテロ実行のために利用されるものとして資金等を提供するもので、いずれもテロ行為の実行を助長、促進するものとして当罰性、可罰性があるもの、当罰性があるものというふうに考えています。ですから、ここで、FATFから、非テロリストによるテロリストのための資金の収集が犯罪化されていないということの指摘があったということでございます。
今度の改正案は、そういうことで網を広げているわけですけれども、実際、先ほどの委員会での答弁にもありましたとおり、主観的要件等で相当な構成要件、ハードル、非常に主観的要件をしっかりはめておりますので、際限なくこの網が広がるというわけでは全くございません。
また、さらに、FATFの指摘の四点目ですが、テロ行為以外の目的でテロ組織及び個々のテロリストのために資金を提供、収集することが犯罪化されているかどうか不明確であるとの指摘については、やはり当罰性の観点から慎重な検討を要するために今回はこれに対応することをしていないということでございます。
○矢倉克夫君 ありがとうございます。
テロ組織というものも様々な、私も少しだけ調べるところではあるんですが、やはりいろんな変遷もあるみたいで、例えば、これは平成二十一年の防衛白書だと思うんですが、アルカイダのものについても、従来の指揮系統でぴったり上意下達でやるような組織というものにはなく、言わば排他的な組織という形ではなくて、現在のアルカイダというのは、中枢機能は存在しているかもしれないけど、その中枢機能から更にいろんなところに組織が分散していってどんどん広がっていると。アルカイダの影響を受けた組織、個人などの間に明確な指揮系統などの関係はなくて、緩やかなネットワークを構成しているというようなことも言っております。
どんどんいろんな裾野が広がっている中において、やはり、まずはしっかりと網を掛けるという部分も含めた上で、歯止めもしっかり掛けるというこのバランス感、これもやはりテロ防止という意味では私も大事な部分ではないかなと、このように感じているところであります。
その上で、今副大臣もおっしゃってくださったやはり大事な部分は、必要性、テロという重大性に、部分では処罰の必要な部分ではありますが、やはりそれが拡大し過ぎないようにしていくという点も、これも当然重要な話であります。その点、しっかり歯止めがなされているのかどうか。
まず、これについては、目的という主観的なところでの歯止めというような部分になってくるかと思います。この目的の立証についてはどのようになされるのか、御説明をいただければと思います。
○政府参考人(林眞琴君) 目的を含みますこういった主観的構成要件の立証の在り方についてでございますけれども、こういった主観的要件、主観的な構成要件につきましては、捜査の過程におきまして、捜査機関によって様々な証拠資料に照らしまして慎重に検討、判断されるものであります。
その判断におきましては、もとより被疑者本人の供述というものもございますが、それのみならず、例えば被疑者と関係者との間の電子メールの文面でありますとか、あるいはこれらの者が作成した日誌でありますとかメモでありますとか、こういった被疑者の主観面を推認させる各種の客観証拠、あるいは共犯者、あるいは関係人、参考人の供述、こういったものを総合考慮する中でこういった主観的構成要件の立証をすることになります。
こういった点につきましては、他の犯罪におけるこういった故意も含めましての主観的な要素を立証する場合と変わるところはないと考えております。
○矢倉克夫君
今回、改正案の中の特に懸念という部分では、五条の一項、二項、これは、今おっしゃった目的というのは特に求められておらずに、資金又は公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行の、あっ、失礼しました、五条一項ですね、一項と二項そのものですけど、これはあくまで目的は要請をされていない。このような中で、先ほども少し話のあった募金行為等が犯罪になるのではないかというような懸念もあるわけですが、ここの辺りについては、じゃ、どの程度の主観要件が必要なのか、そこも御説明をいただければと思います。
○政府参考人(林眞琴君)
五条の犯罪のために必要な主観的な要件、あるいはその他の要件についてでございますけれども、まず、五条の、テロ行為の実行のために利用されるものとしてと、こういった要件のことから、こういった場合、資金の提供等の時点におきまして、その当該資金がこの実行のために利用されるようなテロ行為が現実に実行される可能性というものが存在することが必要でございます。その上で、その行為者におきまして、その資金提供当時におきましてテロ行為が何らかの者によって実行される可能性があること及びその提供に係る資金等が何らかの形で当該テロ行為の実行のために利用されるものであること、こういったことをこの行為者が認識、認容していることが必要となります。
○矢倉克夫君
これは、その点では、テロに使われる可能性があるものだという明確な認識があるという部分、この部分での、その程度までは必要であるということで、明確でもないようなものにお金を渡すような行為そのものが、これで犯罪が成立するということではないというようなことで理解もさせていただきました。
あともう一点なんですが、そもそもが、当然ですけど、今回の犯罪、テロに関しての目的そのものを、また主観的要件そのものを処罰するわけではないという点、明確なところだと思います。
既に議論も出ているところではあるんですが、二次提供者が一次提供者に対してお金を渡したはずではあるが、その一次提供者がそもそもテロの意図を持っていなかったという場合、そのような場合も処罰できるのかどうかというところ、議論もあったと思います。この辺りについても、再度ですが、確認の意味で御質問させていただきたいと思います。
○政府参考人(林眞琴君)
当然、二次協力者が例えば一次協力者に資金を提供する場合に、一次協力者であるということの認識が必要でございます。この一次協力者の認識というものは、そのものが、あっ、失礼、今のは認識でございました。
まず、一次協力者というためには、実際にテロリストが存在していて、そのテロリストに対して資金を提供する意図というものが、持っている者が一次協力者でございます。そういった事実の欠ける者についての資金提供については、それゆえ、二次協力者が一次協力者と思って資金を提供しても、一次協力者にそのような意図がなければ、その提供した二次協力者とされる者については犯罪は成立しないということになります。
○矢倉克夫君
二次提供者が一次提供者をそのような者として思っていた、もうその部分では主観の部分は満たされているわけですが、他方、対象である一次提供者が実際はテロ行為を促進させるような人ではなかったと、その部分では客観的な構成要件が満たされていないから、これも処罰には当たらないと、そういう部分であります。端的に言うと、意図そのものを目的にしたわけではなく、あくまでテロというものに対しての危険性、それを着眼した上での処罰範囲であるという理解はさせていただきたいと思っております。
どこまでも立証の部分はやはり客観的にやるというところも先ほどの点では確認させていただきました。この辺りは、歯止めという部分では、やはり、今後の捜査等も含め、立証の在り方も含めた運用面でも是非ともしっかりやっていただきたいと、このように思います。
最後に、大臣にお伺いをしたいんですが、やはり冒頭申し上げました大学生のようなこともあります。一般の感情からテロという行為に飛び出してしまうような部分のハードルの低くなっているというような事象もやはりある。先ほども少し申し上げたテロ組織というものも、何か今までのようなピラミッド型のような排他的なものという、このテロとテロ以外というのが明確に分かれるような形ではなく、どんどん裾野が広がっているような、国際的にはどんどん広がっていっているような事象というのもこれは見える部分ではあるかと思います。
政府としても、当然ですけど、テロがいかに脅威があるのか、一回起きてしまったらもう取り返しの付かなくなるようなものであるというような部分も、これまでの議論でやはり政府としても認識はされているというようなことは理解もいたしました。
こういう観点からすれば、当然ですけど、検挙がなかったから何かしなくてもいいというような話では私はないと思っております。むしろ、何か検挙がなされたようなことが起きてしまったということは、日本の社会の深層にもう既にテロが起きるような土壌ができ上がっているというような、そういう点では完成してしまっているような部分の一部が何か出てきたときに初めて検挙というような形になるので、この部分に関しては、一切こういうことが検挙されないような形を取るということがやはり私は政府がやるべきことであると。今回の法律も、そのために改正を更にするというような理解もさせていただいているところであります。
その意味も踏まえまして、今後このような法律についてどのように執行もされるのか、その辺りの御決意と、テロ撲滅に対しての御決意も含めまして、大臣から最後、一言いただければと思います。
○国務大臣(上川陽子君)
委員から多くの論点につきまして、確認も含めての様々な御指摘がございました。
法律案が一日も早く制定し、また、それに基づいて適正にそれが執行され、そしてテロリストに対してテロの手段を与えない、武器を与えないということについて、こうした断固たる決意で臨みたいというふうに思っております。立法ができたからといって、それが直ちに効果が上がるということではありません。まさに執行という場面の中で大変重要なステージに入るというふうに思うところでございます。
今回の改正法の違法行為に係る捜査あるいは情報収集を始めとしたテロ対策が何よりも大事だというふうに考えております。そして、そうしたテロへの対策に当たりましては、法の執行機関におきまして、このテロ事件に関して必要な捜査等を迅速かつ的確に行うということをするとともに、テロに関する国内外の情報を幅広く収集し、それを適切に、的確に分析をすると。先ほど来御指摘がございました大変ハードルが低くなっているような状況もありますし、関わることに対しての、そして同時に、テロ組織の態様もいろいろな態様に変わってきているということがございますので、そうした情報についても、様々なところからの情報提供も含めまして、的確に収集し、分析をし、対応していくということが不可欠であるというふうに思っております。
情報については様々な内外の共有をしていくということも大変大事だというふうに思っておりまして、今回の改正法の趣旨、そしてテロをめぐる国内外の情勢の大きな動きということも絶えず念頭に置きながら、引き続きテロ対策に万全に取り組んでまいりたいと思っております。
発生してからでは遅いということでありますので、事態が生じるということの脅威に対して適切に対応していくということの中で、法をしっかりと守っていきながら適正に活動してまいりたいというふうに思っております。
○矢倉克夫君
ありがとうございました。終わります。