211回 予算委員会

2023-03-03

○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いします。
まず、総理にお伺いします。
昨年の出生率が、出生数が八十万人を切りました。まず、総理、なぜ出生率が上がらないか、政府の原因分析等、その根本解決として政府は何を異次元に行う決意か、お伺いをいたします。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
少子化の背景には、経済的な不安定さ、出会いの機会の減少、男女の仕事と子育ての両立の難しさ、家事、育児の負担が依然として女性に偏っている状況、子育て中の孤立感や負担感、子育てや教育に係る費用負担の重さなど、個々人のこの結婚や出産、子育てのこの希望の実現を阻む様々な要因、これが複雑に絡み合っていると分析をしています。
御指摘のように、急速に少子化が進展をしています。昨年の出生数は八十万人を割り込み、子ども・子育て政策への対応、これは待ったなしの先送りできない課題であると認識をしております。そして、それに、その子ども・子育て政策ですが、内容や規模、これはもちろん重要であります。しかし、これまで関与が薄いと指摘されていた企業や男性、さらには地域社会、高齢者や独身の方も含めて社会全体の意識の変革を行う、こうした変革も含めて次元の違う対策を講じていく中で、何としても少子化トレンド、反転させていきたいと考えています。
施策や予算の内容が実際に国民の皆さんにとっても安心感や希望につながり、その結果として出生率の向上にも資する、こうした効果的な政策の内容をパッケージとして具体化し、その予算を踏まえて、六月の骨太方針までに将来的な子ども・子育て予算倍増に向けた大枠を提示したいと考えています。

○矢倉克夫君
理由は様々ということでありましたが、国民の安心感というお言葉がありました。その上で政策内容を具体化するということでありますが、厚生労働大臣にお伺いをいたします。
ワンオペ育児という言葉が広がって久しいです。昔は家族や地域が支えてくれたが、今はないと。コロナ禍で里帰り出産もできなくなった。子育てイコール孤独、過酷というイメージが定着をしております。事実、私も、片方で授乳をして、もう片手で食事を作らなければいけない、トイレにすら行けないという切実なお声をたくさん聞いてまいりました。
子育て支援対策として現金を配るということも大事でありますが、それだけでこの子育てイコール過酷という現状を打開できるかというわけではなく、何もしなければ今の若い世代はなかなか子供を産み育てようと思わないかもしれません。この不安払拭にどのように対応するのか、加藤厚生労働大臣の所見をお伺いします。

○国務大臣(加藤勝信君)
もう核家族化が進みと言われてまあ随分たちますけれども、また地域のつながりも希薄となる中で、孤独感や不安感を抱く子育て世帯、また、さっき委員からお話があったように、物理的にも手が足りないという場合にお困りになる世帯も少なくなく、安心して子育てができる環境整備、これが極めて重要でありますし、また様々な調査をしてもそうした声が出てきているというふうに認識をしています。
このため、必要とする全ての方が心身のケアや産児サポート等を行う産後ケア事業の支援を受けられるよう全国展開に取り組む、もうこれは既に母子保健法の改正等によって努力義務も課せられているわけでありますけれども。また、昨年の児童福祉法改正により創設した、主に支援の必要性の高い家庭に対して育児・家事支援を行う子育て世帯訪問支援事業について、令和六年度の施行に先駆けて令和三年度から既にモデル事業を実施しているところであります。
さらに、昨年の総合経済対策で出産・子育て応援交付金事業を創設し、妊娠届出より妊婦や特にゼロ歳から二歳の低年齢期の子育て家庭に対する伴走型相談支援と経済的支援とを一体的に行うこととし、現在、全国の自治体で取組を進めていただいているところではございます。
このように、全国で産前産後や子育て時期に育児・家事支援や経済支援を行う体制を構築できるよう、逐次政策を充実させてきているところであります。今後とも、全ての子育て家庭が孤独や不安感を抱えることがなく、また安心して子育てができる、こうした環境の整備をしっかり図っていきたいと思っております。

○矢倉克夫君
安心のために様々なメニューを充実させて環境整備をしていくというような御答弁でありました。
総理にお伺いをいたしますが、大事なことは、子育てに必要な労力をこれメニュー化して、その大半をサービスとして、ベーシックサービスとして提供できる体制をつくること、今話があった家事支援であったり、お子さんの預かりであったり、これ、場合によってはもう二十四時間対応があるぐらいでもいいと思いますけど、あなたが大変なときにほかの誰かが支えますと、社会が代わりに支えますという、異次元で示していくことであるというふうに思っております。
ただ、サービス充実も担い手がいなければ絵に描いた餅でありまして、子育て支援の全ての根幹は担い手育成であります。保育士さんや保健師さんなども当然でありますが、私が約三年前の厚生労働委員会でも訴えた産後ドゥーラなど、これを、子育てを支えている民間資格など、NPOによる家事支援なども寄り添う支援の担い手として必要であるというふうに思っております。
総理にお伺いいたしますが、今の趣旨を踏まえて、子育て予算倍増として今具体の例が挙がっているわけでありますけど、項目としては担い手育成こそ従来の倍以上の予算を掛けるべきと考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
子育て支援の充実に向けて、担い手の育成は重要な課題であると考えています。
例えば、保育士を志す学生に対する資金の貸付けを通じた資格取得の促進、保育や子育て支援分野に必要な知識、技能を習得するための子育て支援員研修の実施、また、支援が必要な子育て家庭に対するサービスの担い手となるNPO等の立ち上げ支援やこの従事者の確保に向けた研修の実施等に対する費用補助、こうした取組を進めているところです。
先ほど申し上げたように、これから内容を、子ども・子育て政策、内容をパッケージで示して、そしてこの予算倍増に向けての大枠を示すわけでありますが、こうした委員の御指摘等も念頭に置きながら内容の具体化進めていきたいと考えます。

○矢倉克夫君
念頭に置いていただけるということで、ありがとうございます。
是非、担い手育成、倍の予算を、子育て支援も人づくりに、子育てを担う人づくりにお金を掛けるべきであるというふうに思いますので、改めてよろしくお願い申し上げます。
もう一つ、厚生労働大臣に、これは今審議をする五年度当初予算の案の関係でありますが、資料一にお配りしております保育所等の空き定員等を活用した未就園児の定期的な預かりモデル事業についてであります。
確認ではありますけど、こちらの予算案、これ、定員に空きのある保育所等にと書いてありますが、未就園児を定期的に預かる事業を実施する事業が来年から開始するわけでありますけど、この等というのはどこまで含まれているのか。定員に空きがなくても空きスペースがあれば対象とすべきであるというふうに考えますし、また幼稚園等で既に独自に未就園児教室を実施しているところもありますが、こうした幼稚園等の取組も対象となることでよいでしょうか。御答弁お願いいたします。

○国務大臣(加藤勝信君)
今委員御指摘の事業は、専門家による良質な成育環境を確保し、他の子供とともに育つ機会を提供するとともに、育児負担を抱える保護者の方に対しても継続的に支援を行うことを目的としています。
この実施でありますが、保育所のみならず、幼稚園、認定こども園や地域子育て支援拠点などの多様な場所において事業実施を可能とする予定であります。また、保育所等において定員に空きのある場合のほか、定員に空きがなくても別途確保できるスペースがあり、保育士等の職員を配置できる場合、また従前から独自に未就園児教室を実施しているなど、実施の意向を持つ場合、これらも対象としていきたいと考えています。

○矢倉克夫君
保育所の空き定員と書いてあったので不安の声もあったわけですが、よかったです。ありがとうございます。
週一、二回の定期的な預かりというのは、これ、専業主婦の方々も含めて幅広く今までのニーズを更に掘り起こしていく事業だと思いますので、公明党の地方議員とも連携しながら展開もしていきたいというふうに思います。
では次に、質問また行きたいというふうに思いますが、総理にお伺いもしたいというふうに思います。
AYA世代、主に十五歳から三十九歳までのこのターミナルケア支援を含めた在宅医療支援について伺いたいと思います。
私の知り合いのめいごさんが三十二歳の若さでスキルス胃がんのためお亡くなりになりました。その闘病記が、「2冊のだいすきノート」との題で、今ここにも置いてありますが、出版もされております。
この私の知り合い、友人でもある全国骨髄バンク推進連絡協議会の元会長の大谷貴子さんの新聞手記というのがあるわけでありますが、このめいごさんは、この大谷さんの尽力もあって、最後の二か月半、家族と過ごすことができました。買物、外食、ディズニーランド、クリスマス。特に印象深いのは、残された四歳の双子のお子さんが、娘さんがいらっしゃったんですけど、お母さんが亡くなる二日前には、二階に組み立てられたお風呂でお二人でお母さんの足を洗ってあげた。心に私もじんときたのが、この葬儀の翌朝にそのお子さんたちが、ママが立って笑って、立って笑った夢を見たと、こうにこやかにおっしゃっていただいた、言っていたと。大谷さんはこれを聞いて、つらいママではなくて笑っているママの記憶が残ったというふうに言っていました。
これ、仮にですね、入院して亡くなっていたら、事情はいろいろあるかもしれませんが、ひょっとしたら、病院に行ったママが次に会ったときには亡くなっていたということもあって、違った記憶になったかもしれないわけなんですね。
私言いたいのは、このターミナルケアというと死に対する備えというような側面も強いんですけど、この話を聞いて、残された人が前に進んでいく、共に進んでいった時間を共有し合って、記憶を通じて、亡くなった方が生き続けるために大事な支援で、まさにベーシックサービスというふうに感じたわけであります。
できるだけこういうふうに家で過ごそうと決断を促したのが、横浜市にある若者の在宅ターミナル支援助成でありますけど、今日は、同様の制度を設けているさいたま市の取組を資料としてもお配りもさせていただいております。御参考にとしてというふうに思いますけど。
総理にお伺いしたいのは、具体の話というよりは、まず前にですね、このAYA世代にも適用される在宅療養支援の必要性についてどのようにお考えか、総理の御見解をお伺いしたいと思います。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
AYA世代のこのがん患者については、子育てや仕事などお一人お一人を取り巻く状況、これ多様であること、これらを配慮しながら治療や療養支援行う必要があると思います。
AYA世代を含むがん患者が自宅で療養できる体制を整備し、自宅療養を支援することは重要であると認識をいたします。

○矢倉克夫君
重要だというふうに御答弁いただきました。
もう一つ、お配りした資料三ですけど、それ、さいたま市とかの同様の制度を有している自治体の一覧があります。二〇二一年段階で二十自治体、ここから埼玉県の加須市なども加わるわけでありますけど、いわゆるAYA世代は介護保険の対象でもないため、この世代の終末ケアというのは制度の穴になっております。いかにこの穴を埋めるかは、もう保険とは何かという課題でもあって、中期的な課題として考えますが、まず当面の対応として、こういった先進的な取組をしている自治体への支援を国としてすべきではないかと考えております。
加藤厚労大臣にお伺いしたいんですけど、国としても基金を活用するなどして何らか支援を行うべきではないでしょうか。議論中のがん対策推進基本計画にも、AYA世代におけるライフステージに応じた療養生活への支援との記載があります。その趣旨を踏まえて是非御検討いただきたいと思いますが、よろしくお願いします。

○国務大臣(加藤勝信君)
委員がお示ししていただいたように、一部の自治体においては既に在宅療養支援に取り組んでおられる自治体があるということは承知をしております。
また、本年度末に取りまとめる予定の第四期がん対策推進基本計画において、AYA世代を含め、ライフステージに応じた療養環境への支援を進めていくこととしており、具体的には、来年度から、厚生労働科学研究において、AYA世代のがん患者の在宅療養の実態把握を行い、その結果をも踏まえて、希望する在宅医療を受けられるよう、在宅療養環境等の体制整備について検討するなど必要な対応を行っていきたいと考えております。

○矢倉克夫君
実態把握というお言葉ありました。よろしくお願いします。
是非、さいたま市でも一年間でこの世代でがんで二十人、三十人と実は亡くなっております。その上で、早く体制整備をお願いしたいと。これは引き続き是非具体化を進めて協議をしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
次に行きたいと思います。
介護の関係でありますけど、二〇四〇年時点で介護人材約七十万人足りないというふうに言われております。
まず厚労大臣に、介護人材不足解消のため大切なことは何かを御答弁をいただきたいと思います。

○国務大臣(加藤勝信君)
高齢化が更に進む中で介護ニーズが高まっていく一方で、それを支える中心となる生産年齢人口は減少していくわけでありますから、必要な介護サービスを安心して受けていくためにも、その担い手を確保するということが重要な課題であります。
介護人材の確保については、介護職員の処遇改善、また介護職のイメージアップや多様な人材の参入促進、ICTや介護ロボット等のテクノロジーを活用した職場環境の改善による離職の防止、介護福祉士修学資金の貸付け等による人材への育成などの支援、これが、どれを一つというよりも、新しい人に入ってきていただく、そして引き続き介護職として頑張っていただく、そうしたことを幅広く総合的に取り組んでいくことが必要だというふうに考えております。

○矢倉克夫君
今大臣の方からも、参入促進、多様な人材を幅広くというようなお言葉もありました。それは本当に大事だなというふうに思います。
私、人材育成の上でまた更に大事なのは、この介護の専門家が、自身がやらなくてもいいことをいかに他の人がサポートできるかというこの体制整備も重要だというふうに思っております。
特に、異分野との関係、資料四にありますが、これはさいたま市浦和美園地区でAIデマンド乗り合い交通の実証実験進めたものであります。公明党の地元市議団などが積極的に推進しておりますけど、これは国交省の共創事業、共創モデル実証プロジェクト、共に創ると。交通と他分野の共創で、主にこの交通の価値をいかに高めるかという視点からのものでありますが、他方で、これ民間のタクシー会社がビジネスとして利益を得られるように制度設計進める一方、高齢者の買物支援や介護施設の移動など、介護分野の価値も高めているわけであります。
この点、ビジネスとして介護に関わる取組として私も注目しているのが、高知県の大豊町の見守り介護の仕組みであります。こちら、これ総理にお伺いしたいと思っていますけど、限界集落という言葉を生んだ町ではありますが、高齢者の方の見守りを行政ができないと、まあ職員も足りないし、人々が様々なところに点在をしている。そこで、地元商工会と大豊町から運送会社に補助金を出して、その運送会社が御用聞きをする。ドライバーさんも十二名のうち十名が大豊町出身とのことですけど。それで、欲しい商品を聞いて地元商工会で買って、それを届けると。行政も商工会も運送会社も高齢者も、みんながウイン・ウインになっていくと。
この福祉を、専門者と当事者の一対一の関係でやるからなかなかしんどくなるわけでありますけど、地域に開いてやると、相互作用の中で見守り介護もビジネスになっていくというようなこともあるというふうに思います、この典型だと思います。
それでお伺いしたいんですけど、介護人材不足という課題解決のためにも、交通事業者だったり運送事業者、こういった介護事業者以外がビジネスとして積極的に高齢者支援や介護分野に関与することに向けて国も一層支援をすべきと考えますが、総理の御見解をお伺いしたいというふうに思います。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
高齢者の多様なニーズに対応し、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最後まで続けていける体制を整備するため、交通業者や運送業者、運送事業者など介護分野以外の多様な主体と連携し、高齢者の暮らしを支えていくことは重要であると考えています。
これまで、地域交通を軸として複数の主体が連携して地域課題の解決を目指す共創の取組についてモデル事業を実施してきたほか、市町村の生活支援コーディネーターが高齢者の生活支援ニーズと地域の多様なサービスのマッチングを行う、こうした取組などを行ってきたところです。
引き続き、関係府省が緊密に連携をし、分野横断的に高齢者の生活を支えることができるよう、必要な取組を進めてまいります。

○矢倉克夫君
公明党も各地方議会とかでこういう共創のプロジェクトを様々進めているので、是非、引き続きの応援もよろしくお願い申し上げます。
一方で、また資料五を御覧いただきたいんですが、これは横浜市旭区の左近山団地でありますけど、これ、若者に高齢者の生活支援をお願いする代わりに、UR都市機構の定期借家制度U35割などを組み合わせることで賃料を四万円弱安くしたりとかする、注目された取組だったりします。
同じような取組が埼玉県の春日部市のUR武里団地でも行われていると理解もしておりますが、政府の調査でも、この若者にのしかかる生活固定費のうち、住まいに係るものの比重が非常に大きくて、それが子育て含め将来設計にも影響を与えている実情が浮かんでおります。
その負担軽減と高齢者の安心確保を両立するこういった取組への意義について、総理の評価をいただきたいと思います。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
御指摘の取組は、横浜市等のUR団地において、URと地元自治体や大学、NPO法人等が連携して、UR団地に居住する学生が地域活動へ参加することを条件としてその学生の家賃負担を軽減しているものと承知をしておりますが、この取組は、若い世代のニーズに応じた住まいの確保と、地域コミュニティーの活性化を通じた高齢者が暮らしやすい環境の整備とを両立させようとするものであり、意義のある取組であると考えています。
政府としては、地域と連携したこうした事例の普及を含め、多様な世代が支え合い、安心して暮らせる住環境の整備、推進してまいりたいと考えます。

○矢倉克夫君
先ほどのは異分野同士の交流、今は異世代同士の交流で、それぞれが持っている課題を解決し得るという意味もある動きであるというふうに思います。
さらに、これを進めた異世代ホームシェアという取組も、海外であったりとか、今は日本のNPOでもあります。これは別の機会に国交委員会とかでもまた議論をしたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。
次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。
ヘイトクライムのことに対して、これは許されないという思いで質問もしたいと思いますが、資料六を御覧いただきたいと思います。
在日コリアンの方々が多く住んでいる京都府宇治市のウトロ地区では土地をめぐる抗争、係争が長年続いておりましたが、これは平成十九年の十一月付けで京都府と宇治市から国土交通省に対するこの要望書、住宅、住環境の改善などを求める要望書であります。これを受けた当時の国交大臣、公明党の大先輩でもある冬柴鐵三国交大臣のリーダーシップもありまして、住民の良好な住環境確保というのがこれ進んでいるというふうに理解もしております。
改めて、現状と住居支援に関する今後の方向性について斉藤国交大臣にお伺いをいたします。

○国務大臣(斉藤鉄夫君)
御質問の京都府宇治市のウトロ地区につきましては、平成十九年に京都府知事及び宇治市長から、当時の冬柴国土交通大臣に対して、良好な住環境の整備を進めるための支援などの御要望をいただいております。
その後、地元における検討、調査などを経まして、宇治市が平成二十七年からウトロ地区の住環境整備を進めることとなり、国としても、今申し上げた御要望を踏まえて、小規模住宅地区改良事業によりまして補助を行ってきたところでございます。
この事業では、宇治市が地区内の土地を借り上げて、地区の住民向けの公的住宅を建設するとともに、地区内の道路、排水路や公園の整備、それから従前からの不良住宅の除却などが進められてきたところでございます。この結果、今年度中には公的住宅が完成し、来年度には道路の整備や不良住宅の除却を完了させる予定と承知しております。
国土交通省としては、ウトロ地区の住環境の改善が着実に進むよう、引き続き必要な支援をしてまいります。

○矢倉克夫君
このウトロ地区には、今までの様々な歴史なども含めた展示も入っているウトロ平和祈念館というところがあります。非常に地域の交流の場にもなっているようなところに今なっております。
私、公明党のヘイトスピーチ、ヘイトクライムの関係のプロジェクトチームの事務局長もしておりますが、浜地雅一座長などとともに先月十日、行ってまいりました。そのときの写真が資料七で入れておりますけど、非常に明るい雰囲気の建物で、私たちが伺ったときも近くの大学生十名ほどが来ておりまして、先日、開館から八か月強で来館一万人を超えた、記念すべき来館者は関西大学の学生だったということでありますけど、そんなウトロ地区で放火事件がありました、一昨年の八月。
放火犯罪現場、まだ残っておりましたので、私、写真に、ここに撮らせていただいている、もう全焼です。ちょうどこれは、放火があったのは子供たちが普通であれば遊んでいるような時間帯のときだった。ちょうどそのときいなかったから死者は出なかったかもしれないけど、本当に危ない状況であり、一歩間違えれば子供が亡くなっていた。ここで書いてあるとおり、現地で住民の方々と懇談したわけでありますけど、もう様々な差別と闘って地域とつながる努力をされてきた。もうその気持ちを踏みにじって、思い込みの差別感情が犯行につながったことへの怒り、理不尽さというのを共有いたしました。
この犯罪の何より恐ろしいのは、実際に会ったこともない在日コリアンの人々にインターネットのゆがんだ情報から勝手に憎悪を強めて、ゆがんだ正義感から犯行に及んでいると。けど、同じような思い違いの思いが、ここにも書いてある展示のように、この種の言論であふれております。これら属性などの枠で人を人と思わなくなるこの差別の感情こそが戦争を始めとした全ての不幸の根源でもありますし、その根絶には、こういう犯罪、ヘイトクライムは許されないと総理率先で発信し続けることが大事だというふうに思います。この犯罪が正当化される日本であってよいはずはないと、恥ずかしいという思いを私はしております。
総理の強い決意と併せて、ウトロ平和祈念館へ是非訪問をお願いしたいと思います。総理のお考えをお願いいたします。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
特定の民族や国籍の人々を排斥する趣旨の不当な差別的言動、ましてや、そのような動機で行われる暴力や犯罪、これはいかなる社会においても許されないと考えます。
政府としては、外国人等の人権に関する動画やこのポスター、SNSでの発信等を通じて啓発活動を実施するなど、外国人等に対する偏見や差別の解消に向けて取り組んでいるところですが、捜査当局においては、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づきこれは適切に対処していくものであると承知をしています。引き続き、これらの取組をしっかりと行って、全ての人が輝く包摂的な社会をつくってまいらなければならないと強く思います。
そして、祈念館への訪問について御指摘がありましたが、この御指摘のウトロ地区を始め関係する皆様への連帯の表明については、適当な時期を捉えて対応したいと考えています。

○矢倉克夫君
表明の決意について是非検討いただきたいと思います。諸外国では、リーダーが現地に行って許されないと言うのもよく多く例があるところであります。お願いしたいと思います。
最後に、以上の総理の決意を踏まえまして、改めて法務大臣の見解を伺うとともに、啓発活動やヘイトクライムの実態調査などについて法務大臣から御意見をお伺いしたいと思います。是非お願いしたいと思います。

○国務大臣(齋藤健君)
まず、私からも、総理がお話しされましたように、特定の民族や国籍の人々を排斥する趣旨の不当な差別的言動、ましてや、そのような動機で行われる御指摘のような暴力や犯罪は、いかなる社会においても許されないものと考えているところであります。
総理からも御紹介ありましたが、法務省において、外国人等の人権に関する動画やポスター、SNSでの発信等を通じて啓発活動を実施するなど、外国人等に対する偏見や差別の解消に向けて取り組んでいるところでありますが、引き続きこうした取組をしっかりと進めていきたいと考えています。また、刑事事件として取り上げるべきもの、これはあるようであれば法と証拠に基づき適切に対処するものと承知をしているところであります。
犯罪被害を受けた方々、ここに思いを寄せて取り組んでいくということが極めて大事だと私は思っておりますので、このような方々の支援に関しましては、法務省だけではできないこともあろうかと思いますので、関係府省とも連携しながら、しっかりと適切に取組を進めていきたいと考えています。

○矢倉克夫君
被害者への寄り添う思いというのは大事だと思います。改めて、これは日本社会はどうあるかという社会の在り方の問題であります。そういう根底、社会の危険度がしっかり察知をして、政治家が、それをなくしていくということを強く発信してリーダーシップを取っていくということが政治の在り方だと思いますので、是非よろしくお願いを申し上げます。
防衛大臣、申し訳ありませんでした。次の機会で、防衛産業こそが民需をしっかり、また、防衛産業も、民需との関係というのもまた是非お伺いもしたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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