選択的夫婦別姓 導入検討へ議論加速

2025-02-12

意見まとめ与党合意めざす

今国会では、選択的夫婦別姓制度の導入検討が議論の一つとして注目されている。1996年に法制審議会(法相の諮問機関)が答申を行ってから30年近く経過。この間、公明党は2001年に制度導入を盛り込んだ民法改正案を衆院に提出したが、成案に至らなかった。今年1月には議論加速へ党内に選択的夫婦別姓制度導入推進プロジェクトチーム(PT、座長=矢倉かつお参院議員)を設置。現在、導入推進に向けて精力的に議論している。

同姓の仕組み今も

そもそも選択的夫婦別姓とは、夫婦が同じ姓を名乗る現行制度に加え、婚姻関係にある夫婦が別姓を望む場合に、それぞれが結婚前の姓を称することを認める制度。1898年に制定された旧民法で「家制度」が導入され、妻は夫の家に入り、夫婦は共に「家」の姓にする考え方を採用した。戦後の民法改正で、夫婦は夫か妻のいずれかの姓を選択できるようになったが、夫婦同姓の仕組みは引き継がれている。

不利益が顕在化

一方、国際的に見ると、夫婦同姓を義務化しているのは日本のみ。内閣府の調査では、婚姻届を提出した夫婦のうち約95%の女性が改姓している。女性の社会進出に伴い、婚姻後も働き続ける女性が増える中、婚姻前の姓を使えないことが婚姻後の生活やビジネス上の不便、アイデンティティーの喪失などの不利益を被る弊害が顕在化しているとの指摘がある。

このため現在、党PTでは旧姓の通称使用拡大に伴う課題や、子どもの姓の決め方などについて有識者や関係団体からヒアリングを実施している。この中で経団連などからは、事業者で従業員の戸籍姓と旧姓を二重管理する不利益があるほか、旧姓併記は単独記載ではないため、税や社会保障の手続きなど公的な部分において通称使用の拡大では「根本的な解決にはならない」と指摘。選択的夫婦別姓制度の早期導入を求める声が上がった。

斉藤鉄夫代表は党PTの会合で制度導入に関して「社会の根幹に関わる問題について与党が意見を固め、野党との合意形成を図るべきだ」と主張。党として早期に意見集約し、自民党に議論を働き掛ける考えを示した。

ゼロベースで協議

会合では、別姓を選んだ夫婦の子どもの姓を婚姻時に決定するなどとした96年の法制審の民法改正案要綱は「十分考慮に値する」との意見が多数を占めた。現在は、公明党の民法改正案や法制審の要綱案を参考にゼロベースで協議している。

政局の動きに利用させず

党推進PT座長 矢倉かつお 参院議員

選択的夫婦別姓は、婚姻の際、同姓と別姓の「どちらも選べる」制度だ。生まれながらの姓(氏)を個人のアイデンティティーと捉える人にとっては、姓を変えなければいけないという精神的苦痛を回避できる。

旧姓の通称使用拡大で良いのではないかとの意見もあるが、公的な姓は“戸籍姓のみ”である以上、パスポートや住民票などに旧姓単独で記載できず、不動産登記などにも限界がある。外国では旧姓を証明する手段もない。そもそも、アイデンティティーの喪失に対する解決にはならない。

別姓にした際の主要課題は、子どもの姓をどうするか。家族の一体性や戸籍制度を守るべき価値と、別姓を求める個人の人格的利益をどう両立させるか――政局的な動きに利用されないよう、公明党が主導し、与党で成案を得て野党とも議論していく。その幅広い合意形成の要を担う決意だ。

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