186回 文教科学委員会(地方教育行政法案 賛成討論)

2014-06-12

○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。
私は、自由民主党及び公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました政府提出の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案に対して賛成の立場から、また、みんなの党提出の修正案には反対の立場から討論を行います。
以下、政府提出案について主な賛成理由を申し上げます。
一点目は、独立した合議制執行機関としての教育委員会制度を堅持し、現行の教育委員会と首長の職務権限の配分を変更しないこととした点です。
政治的中立性、継続性、安定性の確保や、レーマンコントロールによる多様な民意の反映といった観点から、教育委員会制度の存在意義はいまだ失われるものではありません。本改正案において教育委員会制度が維持されたことを高く評価いたします。
二点目は、現行の教育委員長と教育長を一本化した新たな責任者たる新教育長の事務執行の適正化を図るための規定を設けた点です。
本改正案においては、教育委員による教育委員会会議の招集の請求権と委任事務の執行状況に関する教育長の報告義務について規定されております。また、教育委員会は、新教育長に委任した事務について、執行方針の策定、是正の指示、委任の解除を行うことが可能であることが確認されています。
今後、教育委員が、これらの権限の行使を通じて、教育委員会の事務執行の適正化のために積極的な役割を果たしていくべきである旨を周知徹底するとともに、新教育長及び教育委員の資質確保のための研修体制を整備することを政府に求めます。
三点目は、教育委員会と首長の連携強化のため、大綱の策定や総合教育会議における協議、調整という仕組みを新設したことについて、首長による教育委員会への権限の侵食を許すものではないことが制度的に担保されたことです。この点に関し、個別の教職員人事や教科書の採択は総合教育会議における協議の対象ではないことが確認されております。また、教育委員会と首長との間で合意に至らなかった協議調整事項については、それぞれが所管する事務について最終的な決定権を有することとなります。
今後、教育委員会と首長の相互理解の下に政策を進めていくためには、総合教育会議における運用上の工夫を積み重ねていくことが欠かせないということを付言したいと思います。
以上、本改正案に賛成する主な理由を申し上げました。
なお、みんなの党提出の修正案については、教育委員会制度は地方教育行政制度の根幹を成すものであり、設置するかどうかを自治体の決定に委ねるという制度設計には反対いたします。
今般の制度改革の発端は、いじめ自殺等の重大事案への対応において、現行の教育委員会制度における責任の所在の不明確さ、危機管理能力の不足、審議の形骸化等が指摘されたことにありました。
今回の改正案は、それらの指摘に対し適切な手当てを行った制度設計となっております。しかし、制度改正をして終わりではなく、今後の運用を通じて制度に魂を込めていかなければなりません。そのためには、教育委員会の活性化は欠かせません。また、教育委員会事務局体制の改革も必要です。
本改正案の成立が子供たちの幸福のための教育という視点に立った地方教育行政改革の契機となることを念願して、私の賛成討論を終わります。
御清聴ありがとうございました。

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