186回 文教科学委員会(学校教育法案 大学教育の質的転換等)

2014-06-19

○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。
質問に入る前に、冒頭、一言。私、隣の新妻議員と、先々週、福島の富岡へ行ってまいりました。先週も、双葉から埼玉に来られている方のお話もお伺いもして、今週も予定が合えば月曜日、楢葉に行く予定ではあったんですが。特に、富岡など、住宅地の中で帰還困難区域と居住制限区域が分かれている、コミュニティーが分断されているという状況を見てまいりました。
そういう意味でも、本当に、寄り添っていく一人の政治家として、私、しっかりとこれからも復興に向けて寄り添う思いで頑張っていきたい、これを改めて決意として、まず冒頭述べさせていただきたいと思います。
質問、入らせていただきます。
五つ通告していたんですが、ちょっと冒頭の一つは、既にもう審議もされている部分もあるので飛ばさせていただきます。
次に、質問なんですが、先ほど、大臣、教授会への権限について、移譲は駄目である、委任は良いと。私、理解としては、この移譲というのは、要は譲り渡すこと、これは当然ですけど、権利は持っていても譲り渡すことができないということは、強行法規的に定めている例は、法律、ほかにもあると思います。
委任はできると。その上で、大臣、先ほどの御答弁では、この委任ができるための要件としては、最終的な決定は学長にある、その上で、その委任をする行為そのもののことだと思うんですが、委任することが学長の主体性であってということ、この二つがまず要件として挙げられているというふうに私は認識をいたしました。
それで、例えば、現行の学内規程、これが今どうなるのかということが現場の中でもいろいろ御関心があるところだと思います。今の大臣がおっしゃった二つの要件がしっかり満たされているかどうかというところが大事だと思いますが、これが有識者会議で、またガイドライン等でこれから検討されるという理解でおります。その上で、どのような点がポイントになるのか、文部科学省の見解をいただければと思います。

○政府参考人(吉田大輔君)
今回の改正案は、権限と責任の一致の観点から、大学の決定権者である学長がリーダーシップを発揮し、教授会を始めとした学内の組織との適切な役割分担の下で責任ある大学運営を行っていくことを目指すものでございまして、改正案が成立した際には、各大学におきまして改正の趣旨を踏まえた内部規則の点検が行われることが必要であると考えております。
先ほど来申し上げておりますように、文科省としては、法律成立後速やかに有識者会議を開催をし、各大学における内部規則の解釈や運用等も含めて見直しの在り方について検討を開始したいと思っておりますが、御指摘の論点についてもその中で取り上げて検討してまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君
様々、大学の自治という形で、いろんな事情もあって決断されている大学の事情もあるかと思います。その大学の現場がしっかりと混乱しないように、この辺りを、現場に混乱を与えないための明確なガイドラインというのを示していただけるように、今後もしっかり指導をいただければと思います。
二点目になります。国立大学法人法の改正に関しまして、国立大学法人における学長の権限濫用を抑える措置、具体的には学長選考会議やまた監事制度などが私はあると認識をしております。
特にこの監事について、これまでそれはどのように機能していたのか、機能をそもそもしていたのか、今後、機能を強化するためにはどういう措置が必要であると思っているのか、これも文部科学省から意見をいただければと思います。

○政府参考人(吉田大輔君)
国立大学の学長がその権限を適切に行使をしていく必要があるわけでございますけれども、その際、監事による監査や、それから学長選考会議による業務執行状況の評価などを適切に行っていくことは重要な課題であるというふうに考えております。
監事につきましては、これまでも国立大学法人法に基づきまして、財務諸表、決算報告書に関する意見を作成するほか、監査の結果に基づき学長に意見を提出するなど、国立大学法人の業務の適正化に役割を果たしてきたものと考えておりますけれども、先日、可決、成立いたしました独立行政法人通則法の改正に伴いまして国立大学法人法の改正も行われ、その中で監査報告の作成義務ですとか、あるいは役員による法令違反、不正についての学長及び文部科学大臣への報告義務の新設など、監事機能の強化を図るための措置も講じられたところでございます。こういった法改正を踏まえて、更に監事が役割を果たすことを期待しているところでございます。
また、今回の法改正によりまして、学長選考会議が主体性を持った選考を行うことを促進するということとしておりますけれども、中央教育審議会の取りまとめにおきましても、学長選考会議が学長の業務執行状況について恒常的な確認を行うことが求められておりまして、この点については施行通知等において周知を図り、各国立大学における取組を促してまいりたいと、こう考えております。

○矢倉克夫君
ガバナンスという点で、やはりガバナンスという言葉の中の肝は権限濫用へのチェックであると思います。その趣旨からも、その方面での対策もしっかりまた今後御検討をいただければと思います。
続きまして、今度はまた、やはり日本の大学の質の向上ということが今言われている、私も常々日本の大学生の学ぶ意欲をどうやって高めていけばいいのかなということは考えております。私も大学へ入ったときに非常に驚いたのが、大学でクラスで集まってまずやったことは、試験対策委員会というのを立ち上げて、それについての対応を協議をするという、大学ってそういうところなのかなというのを非常に衝撃を受けた記憶はあります。
他方で、その後、アメリカで学ぶ機会も与えていただいたんですが、皆さん、非常に学生勉強もされている。大変な勉強ぶりで、夜も寝ないでこんな分厚い本を百ページも読んできて、それで授業をするというような人々ばかりでした。
これは私ではなく私の友人の話なんですけど、私の友人があるアメリカの大学生にノートを見せてくれというふうに言ったら、非常な勢いで怒られて、君は僕がこのノートに、作るまでにどれくらいお金を掛けていると思っているんだと、もうふざけるなというふうに怒られたと、私ではなく私の友人が言われたわけですけど、そういうような経験もありました。
やはり大学生の学ぶ意欲をしっかり高めていく。なぜ日本の大学でこういうようなことになっているかといえば、私個人の意見ではありますけど、先ほど二之湯委員の問題意識もひょっとしたらかぶるのかもしれないんですが、やはり大学に入ってさえいれば大丈夫だという安心感がまだどうしても風潮として残ってしまっているのかなと思っております。これをどうやっていくか。裏を返せば、大学卒業した方とそうでない方のやはりある意味格差がまだある部分もあるのかなという部分も感じているところです。
私も社会の友人、出ている友人、いろいろいるんですけど、当然大学卒だけではなく大学出ていないで仕事をしている方もいっぱいいる。専門学校に行っている方が多いんですけど、料理学校を卒業して料理人になった方であるとか、IT卒業して非常にIT関係で頑張っていらっしゃる方、またアニメの専門学校へ行ってアニメ業界で非常に頑張っている方、皆さんいらっしゃって、本当に人格的にもすばらしい人たちばかり。ただ、いかんせん、実際の技能とかその掛けている時間に比べて給与面というのがやはり少ないなというふうな友人がいっぱいいる。何とかそういう人をしっかり押し上げていくことが、私、ある意味、日本の大学生が少し安住しちゃっているところに対してちょっと刺激を与えることにもなるんじゃないかなと、これがひいては大学の質を高めることにもなるのではないかなというふうに、一面ではありますけど、思っております。
それで、先ほど大臣、既にお答えくださったところと若干かぶるところはあるんですが、私も報道で確認しましたけど、政府の教育再生実行会議が、高校卒業後に進学できる職業教育学校の創設、今提言されていると。これは、そういうような大学ではないけど、しっかり技能を付けた方の社会的地位も高めるとともに、待遇もしっかり高めていくというような位置付けもあるかと思います。やはり、こういうような方々の技能が正確に職業や給与に反映される社会をつくっていくことが、ひいては大学の質を私は高めていくことになるとも思っておりますが、この点、大臣の御見解をいただければと思いますが。

○国務大臣(下村博文君)
おっしゃるとおりだと思います。特に、これから社会経済の高度化、複雑化、グローバル化が進む中で、様々な分野で高度な人材が求められるようになっております。ここで言う高度な人材とは、当然ながら学歴ではなく高い実力を備えた人材のことであります。だからこそ、高度人材の育成を担う大学の役割はますます重要であり、各国が競うように高等教育の充実に努めているのもそのためであるというふうに考えます。
我が国の大学は、先ほどもちょっと答弁をさせていただきましたが、アメリカに留学されていますからよく御存じでありますけれども、やっぱり日本の学生の方がそもそも勉強していないと。これは、大学側の問題である、学生の問題というよりはそういう大学のシステムの問題だと。つまり、学生の知力を最大限に伸ばすような教育が十分に対応としてできていない。それから、成績評価についても甘さ、それはもう指摘されております。
ある世論調査では、多くの国民が日本の大学は企業や社会が求める人材を育てることができていないという厳しい見方をしている、それが実態としてあると思います。その背景には、大学が社会の変化やニーズに的確に対応できておらず、学生から見ても大学での学習が実社会で役立つ必要なものと感じられていないと、そういう考えがあるのではないかと思います。各大学においては、このような社会からの厳しい評価を謙虚に受け止め、改革に努める必要があると思います。
具体的には、学生の能力を最大限に伸ばすため、大学での学習や実社会とのつながりを意識させる教育の充実や、能動的な活動を取り入れた授業や学習方法、それから双方向の授業展開、教育方法の工夫、改善、厳格な成績評価により学習を促す環境を充実する、そういうところも大学はもう努力をしなければならない。既にしている大学も相当ありますが、更に努力する必要がある。
文科省としても、大学教育の質的転換に取り組む大学への重点支援を更に高めていきたいと。また、厳格な成績評価の結果、留年者が増えた場合でも、文部科学省として定員管理を柔軟化して、予算を削減するというようなことはもうしないと。それから、大学入学者選抜の在り方を含む高大接続の抜本的見直し、大学入学試験そのものの見直し。それから、大学と地域、産業界との連携強化などを進め、学生の学習意欲を高める大学教育の実現を目指す。そういうことをまさにオールジャパンで取り組むときに来ているというふうに認識しております。

○矢倉克夫君
大臣、意気込みのある御答弁、大変にありがとうございます。
大学をしっかりサポートしていく中で、やはりどんな人でも頑張れば頑張るほど報われていくという社会をつくっていくこと、これ教育面から支えていくという意味合いでもやはり大事であると思います。
最後に、また大臣にお伺いしたいんですが、やはりいろいろ、様々これまで議論もあったとおり、例えばグローバルなランキングの中で日本の大学のランクはなかなか低いところもある、ランキングの様々な問題点もひょっとしたらあるのかもしれないですが、そういうような事実もあり、今回もこういう議論はやはりグローバル化の中で日本の大学の質そのものも高めていかなければいけないという問題意識が当然ある一方、大臣も今少しおっしゃってくださいましたが、各大学で非常にいい取組もしているところも当然あるかとは思います。
今後は、やはり海外の留学生に対して、しっかり日本の大学、こういうところも非常にいいところがあるんだということをアピールもして、来てもらう、その意味でも、内なるグローバル化を進めていくという意味合いでも日本の大学のいいところをしっかりまた海外発信していくということを、これもやはり国としてやるべきではないかと思っておりますが、大臣の御見解をいただければと思います。

○国務大臣(下村博文君)
既にボーダーレス化しているわけですから、国内外から優秀な学生をいかに集めるかということに対して日本の大学は更に努力をすべきだというふうに思います。そのために積極的に海外に発信する大学についても支援をしていきたいと思います。
今日でも多くの大学が海外に向けての情報発信を行っております。文部科学省が平成二十四年度に実施した調査では、インターネット上で英語などの外国語により教育研究活動等の情報を公表する大学数は全大学の半数近い三百六十五校に上がっております。また、昨年度までの事業である大学の国際化のためのネットワーク形成推進事業に採択された十三大学が合同で開設した英語によるウエブサイトには、世界から年間約三十五万件のアクセスがあります。さらに、近年では、海外に拠点を設けて情報発信や学生のリクルートを行う大学も増えつつあります。
このほか、日本学生支援機構においても、日本留学希望者向けに海外で留学フェア等を実施しているほか、英語などによる日本への留学をナビゲートするゲートウエー・ツー・スタディー・イン・ジャパンを開設しておりまして、アクセス数は年間約六十万件に達するなど、日本留学の情報発信に努めております。
文科省としても、今年度から開始するスーパーグローバル大学創成支援事業などによりまして、海外に向けての情報発信や海外展開を含め、我が国の大学の国際通用性、国際競争力を高める取組を強力に支援していくほか、留学コーディネーターの配置等による日本留学に関する情報発信の強化にも取り組んでまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君
ありがとうございます。
終わります。

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