189回 予算委員会公聴会(切れ目ない安全保障体制等)

2015-03-26

○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。
秋山先生、柳澤先生、今日は貴重なお時間いただきまして、本当にありがとうございます。大変に示唆に富まれたお話をいただき、有り難いなと改めて思っております。
主に秋山先生にお伺いをしたいと思うんですが、先生のお話をお伺いして一つ感銘を受けたのが、特に安全保障環境の変化ということをよく言われているわけですが、その場合、国内では防衛の関係が非常に議論をすることが多いわけですけど、先生の場合、それを、同じ状況を捉えた上で、日本の外交政策をその環境の中でどうするのかというふうに捉えられていたのは非常に感銘を受けました。
特に、日本がとりわけその中でどのようにしていくのかという話、一つの実用的な話としては投資という部分というふうに捉えた枠組みで分かりやすく教えてくださいまして、戦後秩序の中では日本も敗戦国という立場、その部分ではマイナスはあるわけですが、それを乗り越えていく価値というのは何なのかということを教えてくださったという点は非常に感銘を受けたところであります。先生のおっしゃった、日本が何をもって外交力を高めていくかという部分で、核軍縮という話をされたという理解でおります。
それで、まず前提でお伺いしたいんですが、日本が核軍縮の枠組みで外交力を維持していく、それは当然ですけれども、核保有国を入れ込んでいく形でやらなければいけない、核保有国には入るインセンティブも与えなきゃいけないわけですけど、それは、現状の認識としての確認なんですが、まず、今までの核の力というのが国と国との間の抑止力であったものが、今は核の流出の問題もあって、それぞれ、同じような核保有国であっても、国と国との抑止力という部分以外に、流出をした核がテロ組織とかに使われるというような共通の新たな敵が出てきていると。それに対してどうするかという枠組み、そこに入れ込むという意味合いで、核保有国も一緒に共有の理念を持てるというような御理解が前提にあったかと思うんですが、そこは正しいかどうか、まず教えていただきたいと思います。

○公述人(秋山信将君)
御質問ありがとうございます。
今のお尋ねのいわゆる流出ニューク、核の流出、あるいはテロリスト、非国家主体が核兵器を持つかもしれないというリスクですけれども、これは明らかに国際社会において共有されている認識であります。特に、最近のテロリストの活動が活発化しているということと、それから核の利用、原子力の利用が広がっているということで、核爆発以外にも放射性物質をまき散らすような核テロというリスクというものはより身近に感じているようになっているというのは、中東あるいはヨーロッパにおいて顕著であるというふうに考えております。
この問題を国際社会で協調して対応していくということと同時に、やはり核兵器のもたらす脅威というのは、先ほど申し上げましたとおり、単に核があるから抑止をされているという関係ということだけではなくて、核をめぐる非対称的な関係というものが恐らくより国際秩序において不安定化をもたらす、誤解やいろいろな計算違いによって紛争がエスカレートするリスクというのをもたらされるということでありますので、やはり、いかに核兵器国の間での安全保障関係を安定的にしていくのか、とりわけ米中が今後大きな焦点になっていくかと思いますけれども、これについて我々は一生懸命考えていく必要がありますし、日本はこの関係においては安全保障上当事者でございますので、日本としてもアイデアを提示していく、そのための構想を考えていく必要があると考えております。

○矢倉克夫君 その核という部分での日本の発信力を高めていって、それを日本の地域安全保障にまた高めていくという、この枠組みつくっていく上では、今既存にある枠組みの中でそのような議論ができるのか、それとも日本独自で新たに枠組みを設定していく必要があるのか。前者であれば、どういう枠組みを利用してそういうような議論をこれからしていくべきなのか。アイデアをちょっといただきたいと思いますが。

○公述人(秋山信将君)
今度、四月の末から一か月間、核兵器不拡散条約の運用検討会議がニューヨークで開かれますけれども、こうした多国間の場においては、恐らく実質的には政策的な議論の深まりということは期待できないかというふうに正直言って思います。他方で、そういう場において、核兵器の在り方について理念的な議論を深めていくということはあるかと思います。
ただ、我々が直面している安全保障上の核の脅威というものに関していえば、これは例えばそうした多国間の枠組みだけではなくて、中国との安全保障対話であるとか、アメリカと日本の間でのこうした核のリスク、核の脅威に対して共通理解を深め、さらにこれが地域の安全保障においてどのような役割を果たしていくのか、あるいはその役割を減じていくためには中国に対してどのような働きかけをしていくのか、すなわちヘッジとそれからそうした中長期的なコミットメント、アシュアランスですね、関与というものを、両方進めていく必要があるというふうに考えております。

○矢倉克夫君
まず一つ確認ですけど、核保有国に対して、核のリスクを高め、しっかり認識させるという、その部分での日本の強みというのは、やはり日本が唯一の被爆国である、核の非人道性を知っているというところ、そこをまず強調すべきだという点かと思いますが、それで正しいのかという点と、中国との関係でそういうような枠組みをつくっていく、その中で日本の今現状の外交力でここを克服しなければいけない、その枠組みをしっかりつくっていく上ではまだまだ日本の外交力高めなきゃいけないところもあると思うんですが、その辺りの課題等を教えていただければと思います。

○公述人(秋山信将君)
核の非人道性をめぐる問題、これは国際社会において最近特に関心が高まっている問題であります。日本は唯一の被爆国としてそうした問題に対してどのような姿勢を取るのかというのは注目されておるわけですが、他方で、核抑止力、拡大抑止に依存しているということで矛盾が指摘されているところではございます。
ただ、核の非人道性の問題、これは恐らく核だけにとどまらず、現在の戦闘においてコラテラルダメージを最小化していくという流れの中において考えた場合に、より核兵器が使いにくくなってきているという状況は恐らく流れとしてはあるのではないかと。
当然、他方で、さっきのロシアの例にありますけれども、引き続き核兵器の役割を維持していく、あるいは今後より大きくしていくという流れがありますので、これに対しては、やはり一つは、核兵器の使用をめぐる規範というものに対して、単に人道問題からのアプローチというよりは、戦略論でありますとか、あるいは国際法における核兵器の位置付けでありますとか、そうした精緻な議論を積み重ねていく必要があるというふうに思います。
二つ目の点ですけれども、日本が克服すべきという点ですが、やはりこれは、一つは構想力というか、多角的なチャネルで中国やアメリカとより安全保障に関して議論を深めていくための資源というのをどういうふうに我々振り向けていくのか。例えば、シンクタンクの層の薄さでありますとか、あるいはいろいろな、国会議員の先生方も恐らく先方のカウンターパートと交流を重ねておられるかと思いますけれども、そうしたところにおける対話の厚さでありますとか、そうしたものを今後、より厚くしていくということが必要ではないかというふうに考えております。

○矢倉克夫君
ありがとうございます。
柳澤先生、先ほどお話をお伺いしました、今、切れ目ない安全保障体制をつくる、私も、これをつくりつつ、いかに歯止めを掛けるのか、この二つのバランスというのが非常に難しいなと思っております。先生が先ほど御指摘くださった論点というのは、どれもこれも本当に大事な部分であるなと、一つ一つそれをしっかり詰めていって、条文の形にもした上で国民の皆様にしっかり説明すると、そのような過程が非常に大事であるなと改めて勉強させていただいた思いであります。
最後、手前勝手な部分もありますが、公明党に対しましての御期待、その部分での一言をいただければと思います。

○公述人(柳澤協二君)
今いわゆる与党の中で公明党が、言葉は適当かどうか分かりませんが、しっかりエンジンブレーキの役割を果たしていただくことを国民は期待しているんだと思います。そういう姿がしっかり見えるということが大変重要だろうというふうに思っております。

○矢倉克夫君
ありがとうございます。終わります。

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