190回 法務委員会(ヘイトスピーチ解消法案答弁)

2016-05-12

○矢倉克夫君

私は、ただいま議題となっております本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案に対し、自由民主党及び公明党を代表いたしまして修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりであります。
これより、その趣旨について御説明申し上げます。
本法律案は、いわゆるヘイトスピーチの解消が喫緊の課題であることに鑑み、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組について、基本理念を定め、及び国等の責務を明らかにするとともに、基本的施策を定め、これを推進しようとするものであります。
本法律案に対する本委員会での審議等を踏まえ、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の定義に「本邦外出身者を著しく侮蔑する」を加えるとともに、附則に検討条項を加える修正を行うため、本修正案を提出するものであります。
以下、主な内容について御説明申し上げます。
第一に、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の定義に「本邦外出身者を著しく侮蔑する」を加えることとしております。
第二に、不当な差別的言動に係る取組については、この法律の施行後における本邦外出身者に対する不当な差別的言動の実態等を勘案し、必要に応じ、検討が加えられるものとすることとしております。
以上が修正案の趣旨であります。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

○委員長(魚住裕一郎君)

これより本案及び矢倉君提出の修正案について質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。

○小川敏夫君

民進党・新緑風会の小川敏夫でございます。
まず、この法案の条文についてお尋ねしたいので、法制局に質問させていただきます。
この第二条に、「定義」と題して定義が記載してございます。「この法律において「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」とは、」と始まります。そこで、その後ずっと続くんですが、この文章の結語としまして、「本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動をいう。」ということでこの定義の文章は締めてあります。
そうしますと、この文章は、定義として、本邦外出身者に対する不当な差別的言動とは、結局、本邦外出身者を地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動をいうと、こういう文章になると思うんですが、これはいかがでございましょうか。

○法制局参事(加藤敏博君)

第二条の定義につきましては、この前、四月十九日の法務委員会におきまして法案発議者の矢倉先生の方から御答弁がございました。
それによりますと、不当な差別的言動があることで地域社会を分断するようなことがあってはならないという理念の下で、まず大きなくくりとして、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として本邦外出身者を地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動、この部分を挙げましたというふうに御説明がございました。また、それを表す典型例として、生命等に危害を加える旨を告知するなどの部分を記載したものでありますという御説明がございました。
発議者の御答弁でございますので、これに尽きるというふうに思っておりますが、御質問いただきましたので、若干敷衍して御説明を申し上げたいと思います。
この法律案は、前文の第一段落の一番最後の部分でございますが、ヘイトスピーチにより、本邦外出身者が多大な苦痛を強いられるとともに、地域社会に深刻な亀裂を生じさせていると規定しております。この法律案は、このような事実認識を前提としているものでございます。
このような事実認識を前提といたしまして、矢倉先生の御答弁にございましたとおり、地域社会を分断することがあってはならないという理念の下に、この第二条において、本邦外出身者に対する不当な差別的言動についての定義規定を設けたところでございます。
このようなことから、この定義においては、大きなくくりのものとして、本邦外出身者を地域社会から排除することを扇動する差別的な言動という部分を規定したものでございます。その上で、本邦外出身者を地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動の典型と言える具体的な例として、本邦外出身者の生命等に危害を加える旨を告知すること、これを規定しております。また、先ほど御提案がなされました修正案におきまして、本邦外出身者を著しく侮蔑することを規定しております。
なお、定義規定の前半の典型となる規定の具体例の一番最後に「など、」というふうに規定しております。これは、今申し述べました二つの典型的な具体例のほかに、本邦外出身者を排斥する旨を告知することなども当然この定義に入ってくるものと考えております。
以上でございます。

○小川敏夫君

私の質問の趣旨は、法律の文章ですから、この法律を制定した意義とかそうしたことをお尋ねしているわけではなくて、むしろその法律を制定した意義からするとこの文章の定義が少し狭過ぎるのではないかと、こういう観点から質問しておるわけでございます。
私があえて提案者でなくて法制局にお尋ねしたのも、この法律の文章として、結局は、その「「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」とは、」という定義の、この文章の主語に対応する結論の言葉は「本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動」だと、このようになると。そうしますと、いわゆるここでいう差別的言動は、本邦外出身者を地域社会から排除する、それを扇動することが不当な差別的言動、この法律でいう不当な差別的言動なんだというふうに結論となるわけでありまして、それで、この本邦外出身者を地域社会から排除することを扇動する不当な差別的行為の理由として修飾語がいろいろ付いていると。
ですから、この法律で、まさに「不当な差別的言動」と定義しているこの法律の適用範囲は、やはりこの文章においては、結論として「本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動」と、これだけを定義付けしているということになる。そうしますと、「本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動」、つまり地域社会から排除するという行為が言わば差別的言動であって、それに当たらない行為は差別的言動にはこの法文上は当たらないんじゃないかと、こういう観点から質問しておるわけであります。
法務省のこれまでのヘイトスピーチを許さないという態様ですと、威嚇、排除、侮蔑という三つの類型をヘイトスピーチとして捉えて、それに対して言わば様々な施策を講じておるわけでありますが、この法律の第二条の「定義」ですと、結論的には、「地域社会から排除する」というこの排除だけをこの法律の対象としておって、威嚇すること、侮蔑すること、その行為自体はこの法律の適用対象には外れているのではないかと、こういう観点から質問しておるわけでございます。
この文章の中に、確かに、「危害を加える旨を告知」し、また今回の修正で「本邦外出身者を著しく侮蔑する」という言葉が入りました。しかし、あくまでもこの言葉は結局はその理由の部分でしかないんで、この行為の態様としては結局、地域社会から排除することを扇動するという行為だけが対象となっているというふうにありますので、日本語の文章としてはあくまでも地域社会から排除する行為、これが対象なんだと。ですから、ただ単体として威嚇する行為、あるいは今回修正で入った著しく侮蔑する行為というものは、それ自体の単体の行為ではこの法律の対象から外れるのではないかと、このように思ったわけでございます。
じゃ、提案者の方に私のその懸念について御説明していただければ。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
小川委員の御疑問は、この「定義」にある「排除すること」ということの意味内容はまさに言葉として出ていけという言葉だけに限定されているのではないかと、それであれば狭過ぎるのではないかという御議論であったかと思います。恐らく、今法務省が実態調査で、ヘイトスピーチの分類として、排斥する言論と危害を告知する言論と侮蔑する言論という形で分析をしたわけですけれども、小川議員の御議論は、そのうちの一番最初の排斥という言葉だけ、文字として出ていけという言葉だけがこれは定義として限定しているのではないかというような御疑問であるというふうに理解もいたしました。
であれば、それはそういう意味ではございませんで、こちらはより広く、まさに地域で共生をしている人たち、その中にわあっと入っていってその人たちの人格もおとしめるような、そして、今法制局の方からもお話もありました多大な苦痛を強いて地域社会の共生に深刻な亀裂を生じさせるような、そして社会を分断させるようなことに向けられている言論、これを、そのような態様のものを広く捉えて地域社会から排除することを扇動するというふうに捉えています。
表現の内容が直接的に出ていけという言葉かどうかという意味ではなくて、そういったものも含めて広い意味合いで捉えている。侮蔑の表現もそうですし、危害を告知するというような、まさに対象者に対しての人格というものを否定して、あなたたちは存在意義がないから出ていけと、こういったような許されないような言論、こういったものは許されないという理念の下で、そういったものを広く捉える包括的な概念としてこれは排除することを扇動するというふうに捉えて定義をしております。
それで、先日も御説明したとおり、その典型例として、この「など、」で書かれている前に、当初は危害を告知する旨を、告知というのを挙げたわけですが、様々な御議論もいただいたその上で、さらにそれ以外に広がらず、これが典型例だということも明示する意味合いも込めて、今回、「本邦外出身者を著しく侮蔑する」という表現も修正として入れさせていただいたという趣旨でございます。

○小川敏夫君

この差別的言動に対処しようというお気持ちは共通していると思うんですよ。ただ、もっと分かりやすく言いますと、要するに、危害を加える旨を告知するとか本邦外出身者を著しく侮蔑する行為、これが地域社会を分断するような、地域社会から排除するという意味を当然包含するものなんだからこの表現で足りているという御趣旨に私は今の答弁を理解したんですが、しかし、どうでしょう、例えばこういう言動をする人物が、いや、地域社会から排除する気持ちなんか更々ないんだよ、どうぞその地域にいてください、私はただ嫌がらせをしたいんだと、そのつもりだけでやっているとしたら、地域社会から排除するという意思が全くないという、ただ困らせてやろう、嫌がらせしてやろうというような意味で侮蔑したり危害を加える旨を言ったような場合にはこの法律からは外れちゃうんじゃないかと、そういう意味で私はこの文章上ちょっと心配していますんで。
ですから、いや、そういうものも当然、もう社会の常識的な解釈から入るんだということであるならそれが望ましいんでありまして、是非、そういうことも入るんであればそういうことも入るということを明確に御答弁いただければと思います。

○矢倉克夫君

やはりこの定義に入るかどうかの判断は、当然ですけど、その言論を言っている人間に解釈の権限があるわけではありませんで、その人たちが、いや、嫌がらせ目的だからといってその解釈が正当になる、そんなものでは当然ございません。そうではなくて、やはり前後の文脈等もしっかりと含めた上で、まさに先生おっしゃった一般の解釈の下でこれに該当するかどうかというところであります。先生の御趣旨のとおりのものは含まれ得るというふうに理解もしております。

○小川敏夫君

終わります。

○有田芳生君

民進党・新緑風会の有田芳生です。
二〇一三年をピークにしまして日本中で差別の扇動であるヘイトスピーチが吹き荒れてまいりました。それから三年近くがたちましたけれども、例えば今年の四月二十九日、大阪梅田のヨドバシカメラ前で、やはりヘイトスピーチを目的とした、平和の日というくくりで街宣活動が行われました。それは、平和の日という、これはヘイトスピーチやるときには、例えば四月十七日、岡山では、拉致問題をテーマにして実際にはもうヘイトスピーチばかり語っているという異常な状況がずっと続いてまいりました。
しかし、四月二十九日、梅田のヨドバシカメラ前で行われたその街宣においては、ある人物、具体的に言いますと、京都朝鮮第一初級学校を襲撃し、徳島県教組を襲撃し、ロート製薬に抗議に行き強要罪で逮捕され、一年六か月の実刑判決を受けた人物が出所をしてまいりまして、そのヨドバシカメラ前での街宣活動に参加をしておりました。その彼がマイクを持って大きな声で在日コリアンの排斥を語り出したときに、周りにいた主催者がその発言を止め始めた。こんなことはこれまでありませんでした。これは、ヘイトスピーチの現場で戦い続けた方々、あるいは被害当事者たちの戦い、あるいはそれを支えた地道な専門家の方々、その大きな戦いがやはりそういう成果を生んだんだろうと私は判断をしております。
もちろん、大阪はヘイトスピーチ条例が制定されましたし、この四月二十九日というのは、与党法案が四月八日に提出をされて私たちが法務委員会でずっと議論をしてきた、そうした影響もやはりそういう差別をする人物たちにも深い影響を与え始めたんだと、私はそのように理解をしております。
そこで、この与党法案について具体的に質問をいたします。
まず、法務大臣にお伺いをいたしますけれども、ヘイトスピーチって何ですか。

○国務大臣(岩城光英君)

ヘイトスピーチの概念ですが、これは必ずしも確立されたものではございませんが、法務省の人権擁護機関におきましては、特定の民族や国籍の人々を排斥する不当な差別的言動を念頭に置いて、これらが許されないものであるとする啓発活動を行っております。
また、昨年度、法務省が公益財団法人人権教育啓発推進センターに委託して実施した調査におきましては、一般的にいわゆるヘイトスピーチと指摘されることの多い内容として、一つに、特定の民族や国籍に属する集団を一律に排斥するもの、二つに、特定の民族や国籍に属する集団の生命、身体等に危害を加えるもの、三つに、特定の民族や国籍に属する集団を蔑称で呼ぶなどして殊更に誹謗中傷するものという三つの類型があることを念頭に調査が実施されました。
ヘイトスピーチの対象とされている方々などに御協力いただいた聞き取り調査におきましても、多くの方々がヘイトスピーチと聞いてイメージするものとしてこれらの内容を中心に挙げられていたものと承知をしております。

○有田芳生君

次に、提案者にお聞きをしますけれども、国際人権法においては定義はされていないんだけれども、ヘイトスピーチを規制するということは三つの条約で明らかになっております。具体的に言えば、人種差別撤廃条約、ジェノサイド禁止条約、そして自由権規約です。
ヘイトスピーチの本質というのは国籍でくくるものではなくて民族である、私はそう理解しておりますし、国際人権法の観点からいってもそのようにこれまで認識をされてまいりましたけれども、そこでお聞きをしたいんですが、本与党の法案では本邦外出身者に狭められておりますけれども、その理由はどういうことなんでしょうか。

○矢倉克夫君

ありがとうございます。
まず、先ほど有田先生が冒頭でお話をいただいた事案、まさに我々も、まず回答に入る前にちょっと一言だけ。
私たちが目指しているのは、このような言論、対抗言論も許されないような気勢でわあっとやってくる言論、抵抗も発言も許されないような形で大勢でわあっとやるような言論はこれは許されないと、そういうような理念をつくる。多くの人は、それは悪いものだけど声を上げられなかったけど、それを上げてもらうような形で理念として掲げて、そういう社会をつくっていかなければいけないんじゃないかという思いでこの法律を今作らせていただいているところであります。
そういう意味でも、有田先生始めこの問題に尽力をされた方々の努力がどんどん社会に普及をしているというところであり、改めて有田先生のこれまでの活動に敬意を表したいというふうに思います。
その上で、本邦外出身者に狭めた理由ということでありますが、こちらは経緯に少し関わるところもありますので。私も公明党でありますけど、公明党も、一昨年にはこのヘイトスピーチに関してのプロジェクトチームをつくって、昨年の七月に内閣の方に対案を提出をいたしました、提言もいたした。すぐに予算措置をとって実態調査をしていただいたわけで、私も、八月にはこの場でヘイトスピーチに特化した形での理念法というような話もしたところであります。
そのときにやはり注意をしたことは、一つは表現の自由なんですけど、もう一つは、理念法である以上、国民全体の一体の意思としてこのような社会は許されないという意思を発現しなければいけない、そのためには全体の意思としての理念というものがしっかりと確認できるような形のものがまず大事であるというところであります。
その意味で立法事実というところを捉えたところ、ちょうど京都朝鮮第一初級学校事件で、やはりまさに地域社会で本邦外出身者の方々がその出身というものを理由にして差別をされている、このようなものは表現の自由の範囲外でもあり、法の保護にも値しないというような事実もあった、立法事実があったというところであります。ですので、理念を掲げる上ではまず立法事実があるところをしっかりとこれは明記をしていこうというところで、本邦外出身者という言葉をこれは付けさせていただいた。
ただ、あくまでこのような分断を生むような言論というものは許されないし、そのようなものは金輪際なくしていくような社会をつくっていこうという理念を我々高らかに宣言しようとしているところであります。この趣旨からも、ここでこういうような言葉が書かれているから、それ以外のものは、じゃ、許されているというような趣旨を当然出しているわけではございません。一つの立法事実として全体でしっかりと共有できるところをこれ明記をした、その意味でのこの文言を設けさせていただいたわけですが、それ以外のところが許されるというところではないというところをあらかじめ申し上げておきたいというふうに思います。

○有田芳生君

差別者団体、在特会などが例えば一番注目を最初に受けたのは、二〇〇九年、カルデロンちゃん一家排撃事件でした。これは、在留資格がない御両親の下で娘さんが生まれまして、御両親はフィリピンに帰らざるを得なかったんですけれども、カルデロンちゃんは中学に通っていたところに、差別者団体、在特会たちがヘイトスピーチを子供たちに向けて始めた、それが注目をされた最初なんですけれども。
もちろん、これまで東京の新大久保、大阪の鶴橋、あるいは川崎の桜本地区へのヘイトスピーチもずっと続いているという異常な状況があったんだけれども、在日コリアンの人たちだけではなくてオーバーステイの人たち、あるいは難民の人たち、そういう人たちへも攻撃が続けられてきました。あるいは、奈良の水平社博物館への攻撃が二〇一一年にありました。この間、四月二十五日に高松高裁で、徳島県教組襲撃事件については、これは拉致問題なんかも利用していたヘイトスピーチでしたけれども、高松高裁では、人種差別的行為というふうに控訴審判決で認定をされております。つまりは、在日コリアンだけではなくて、水平社博物館などなど様々な対象に対してヘイトスピーチが行われております。
人権擁護局長にお聞きをします。
アイヌ民族に対するヘイトスピーチというものもこの数年間ずっと、今でも続いておりますけれども、その実態、把握されていますでしょうか。

○政府参考人(岡村和美君)

法務省においてその実態を網羅的に把握しているとは言い難いところではございますが、内閣官房アイヌ総合政策室が平成二十七年に行いましたアイヌの人々千人を対象とする調査の報告書においては、ネット上でアイヌに対するデマや偏見が見かけられる、心の奥底の本音なのだろう、あるいは、銭湯でアイヌが入った後の湯には入らないでと言っているのを聞いたことがありましたなどの記載がございます。

○有田芳生君

提案者にお聞きします。
今、人権擁護局長が実態調査の中から語ってくれたアイヌ民族へのヘイトスピーチ、あるいは難民、あるいはオーバーステイの人たち、そういう人たちへの差別の扇動攻撃というのは、与党法案から判断をしてもこれは許されないという理解でよろしいですね。

○矢倉克夫君

まず、難民については、難民の後も、これは申請後の特別資格等もあります、適法にという部分にも該当をする。また、オーバーステイであったり、またアイヌの方々、また先ほども申し上げましたとおり、この法律は理念法として、このような人の人格というもの、これも尊厳もおとしめて、そして地域社会からも排除をしろというような目的の下で向けられた言論というものは、これは日本社会も分断するものであり許されないということを国民一体の意思としてこれは宣言するものであります。
その趣旨から考えて、文脈上、これに該当するというようなものであれば当然それは許されないということを強く宣言したものであるというふうに理解をさせていただきたいと思っています。

○有田芳生君

更に提案者にお聞きをします。
一部の国会議員は、例えばツイッターで、この法案、与党法案では米国軍人に対する排除的発言が対象になります、あるいは、許されないということを宣言することがこの与党法案の骨子なんだと。米軍基地に反対する人たちが今日も、今の時間も、辺野古のゲートの前で様々な行動をしておりますけれども、基地反対運動に対するヘイトスピーチというものを何とかしようというのがこの与党法案の目的の一つなんでしょうか。明確にお答えください。

○西田昌司君

この法案は、先ほどから説明してまいりましたように、いわゆる地域社会に適法に居住する本邦外出身者に対する不当な差別扇動でありまして、米軍の反対運動、基地反対運動とは、全く立法事実としてそういうことは想定しておりません。そして、かつ、一概にどういうことを彼らが言っているのか分かりませんけれども、いわゆる米軍の反対運動というのは、これは政治的な発言であり政治的な運動でありますから、そういうことをこの法律をもって、元々禁止規定はありませんけれども、そのことをやめようとかいうことを言っているものでは当然ございません。

○有田芳生君

この法務委員会に参考人として、在日のコリアンとして来てくださったお二人が、四月二十九日に私宛てにメールを下さいました。与党法案がどうなるんだろうかということで様々な議論がある中で、一人は、京都朝鮮第一初級学校襲撃事件されたときの保護者であり、そして参考人にも来てくださり、さらには刑法学者である金尚均さん。皆さんに資料をお配りしておりますが、読み上げます。金尚均さんのメールです。
「本法案が成立しても実効性がなく、無意味だし、与党のアリバイ、ポーズのための法案で、むしろマイナスだから反対する主張がありますが、私はそうは考えません。従来、このような法律が日本に全くなく、初めての試みです。その意味で最初の一歩と位置づけて、この度の法案をなんとしても国会で成立させることが急務と考えます。その意味で付帯条項をつけることに賛成します。 本法案が廃案になることを考えると、本法案が成立することのプラス面は社会にとって多大と考えます。 どうかよろしくお願いします。」。
もう一人、参考人で来てくださった川崎桜本にお住まいの崔江以子さん。ちょっと長いので、途中省略しながら御紹介をします。
「この法案や附帯決議について、新聞等報じられている指摘にあるように不十分な点はありますが私は胸がいっぱいです。私たち桜本の街はあの絶望が、希望で上書きされていく明日を喜び歓迎しています。会う人、会う人が私の手を握り「言葉にならない」と涙を浮かべます。あのヘイトスピーチによって沈黙を強いられた若者は「日本を嫌いにならなくて済んだ」と安どの表情で語りました。 なによりも胸を痛ませながら法案の行方を祈るように見守り、痛い足腰で杖をついて院内集会に参加したハルモニ方が喜びます。」。
「私たち川崎桜本地域はこの法案と附帯決議をもって、胸を張って、川崎市に「国がヘイトスピーチの根絶を宣言しました」「国が地方公共団体に着実に実施するよう定めました」と具体的な実効性のある対策を求め、共に根絶する立場で汗をかくことができます。」。
「ヘイトスピーチに触れてしまい自身が在日コリアンだという事を絶対に打ち明けられない。墓場まで持っていくと涙を流した大学生の人生が変わります。川崎市長さんへ「助けてください」と涙を流した」、息子さんの名前が書かれておりますけれども、「「法律がないから」と救われずに傷ついた心がやっと癒されます。十三歳の子どもが大人を信じたことを悔やまないで済む社会が実現します。」。
「胸がいっぱいです。涙が出ます。絶望で起き上がれずに、涙にくれた日々が終わり、希望への歩みを進める道が法案と附帯決議によって整えられました。これからこそが大切な一歩となります。ヘイトスピーチ根絶の道しるべとなる法案、附帯決議が全会一致で決まるその時を安寧に共にありたいと思います。」。崔さんの言葉です。
崔さんは、今日、この審議が始まったときも、川崎市長と対面をして、三万人の署名、三万筆の署名をお渡しして、これから川崎市にヘイトスピーチの抑止する条例を作ってください、自分たちで運動を進めていくんだと、その訴えをして、今この現場に急いで車で向かっているはずです。あるいは、もう来ていらっしゃるかも分かりません。
これは川崎の桜本だけではありません。東京でも神戸でも京都でも、ヘイトスピーチをなくそうという条例を作る運動がこれからも続いていきます。人権問題というのは終着点はありませんので、今日を出発点として、私たち国会議員は当然ですけれども、差別の現場で直接体を張って対峙する人たち、被害当事者、そして地道な専門家の方々とともに人種差別撤廃条約をこの日本に具体化する運動を更に進めていくことをお誓いしまして、質問を終わります。

○仁比聡平君

日本共産党の仁比聡平でございます。
今、有田議員からお二人の思いが紹介をされたように、ヘイトスピーチによる被害の深刻さと、当事者そして支援の皆さんの身を振り絞るようなヘイトスピーチ根絶をという声につき動かされてきたこの私たち参議院法務委員会の取組が、今日一つの節目を迎えようとしているわけです。
そこで、与党案について最後に確認をさせていただきたい二つの点、先ほどの有田議員の質問にも重なりますけれども、まず第一は、在日米軍のありようを批判する人々が米軍は日本から出ていけなどの声を上げる言動、これは、私が読む限り、本法案の前文の趣旨に照らしても、また法案二条に言う「本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動」と、この定義にも当たり得ないと考えるわけですけれども、実際には、先ほども御紹介のあった与党議員の発信などもあり、四月二十五日の沖縄タイムスの社説においても、与党の法案にその意図が隠されているのであれば、憲法で保障された表現の自由に基づき米軍基地問題で住民らが米軍は沖縄から出ていけなどと叫べばヘイトスピーチとされるおそれがある、国会審議でただされなければならない重要な点だと指摘をされているわけですね。
この問題について、自民党、公明党両発議者にきっちりとした御見解を伺いたいと思います。

○西田昌司君

先ほどもお答えしましたけれども、そもそもヘイトスピーチを抑制するこの法案、我々の法案の中に、米軍の問題というのが立法事実として初めから含まれておりません。そして、なおかつ、この文章を読んでいただいても分かりますけれども、そもそも適法に居住する方々を排除するという目的でやっているわけでありまして、米軍というアメリカの軍隊、そういう機関、そういうことは元々この中には入っておりません。
さらに、具体的なその中身を見ないと分かりませんけれども、いわゆる沖縄の基地などの前でされている活動というのは、これは政治的なそれぞれの活動であると、政治的な政策であったり、その政策に対する批判であったりだと思います。当然、そういうことは憲法上許される表現の自由の一番大事なところでありますから、我々自身がこの法案を作るときに一番気を付けたのは、まさにそうした様々な自由、表現の自由、それから思想、信条の自由、そうしたものが制約を受けない、その受けない中でどうやって実際に行われているヘイト事例を排除していくかということに腐心をしたわけでございます。
したがいまして、仁比議員が御質問されましたそういういわゆる米軍に対する排撃というのは元々入っておりませんし、政治的なそういう活動に対してこの法律が使われることもあり得ないという認識であります。

○矢倉克夫君

今、西田発議者の回答、答弁とほぼ趣旨同じではございますが、定義に沿って更に補足させていただきますと、二条は「本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、」と書いています。まさにその人の出身がどこかとか、そういうことを理由にした言動。今の米軍というものに対しては、これは出身云々というものにもそもそも当たらない。まさに米軍というものの存在に対しての評価を前提にしたこれは議論でありますし、政策として日米安保その他をどういうふうに捉えるのか、それはまさに政治的言論として御発言をされているものでもありますので、そういう点からもこれには当たらないという趣旨であります。
我々も、繰り返しになりますけど、表現の自由ということを、これをどのように保護するのか。当然ですけど、表現の自由と言うときに、その自由の対象としてあのようなヘイトデモとかをこれ念頭に置いて言っているわけではございませんで、私は個人的にはそういうのは保護に値しないものだというふうに思っていますが、ただ、名宛て人としては、いろんな方の、何人にも対してのこれ規制が掛かる、その全ての方の表現の自由に対してどうやって配慮をすればいいかという悩みからこのような形での立法になったところであります。
そのような趣旨からも、今のような言論が対象になるということではないということであります。

○仁比聡平君

定義との関わりで矢倉発議者から御答弁がありましたからちょっと重ねて確認ですが、西田発議者が政治的言論というのはこれは一番大事なものだと憲法上の保障の意義を語られたわけですけれども、これがこの対象になり得ないということについて、この法案に言う不当な言動ではあり得ないというふうにも思いますけれども、そういう理解でもよろしいのかということについては、矢倉さん、どうでしょうか。

○矢倉克夫君

まさにそのような趣旨で御理解をいただいて大丈夫であると思います。

○仁比聡平君

もう一点、米軍という機関、これを排除の対象というふうにはそもそも捉えていないというお話があったんですが、これはちょっと、ちょっとというか、こういうことなのかなと思いますのは、例えば沖縄タイムスの社説の部分に、そもそもヘイトスピーチはマイノリティーに対するものだ、米軍人は日米地位協定によって特権的な地位を与えられ、マイノリティーでもない、この表現については与党、もしかしたらいろいろ御意見があるのかもしれませんが、つまりマイノリティーに対する排除という言動、これがヘイトスピーチの大きな焦点であって、そういう意味ではこれは当たり得ないと。言ってみれば、強い者に対して国民の側、市民の側がこれを排除するという概念がヘイトスピーチではあり得ないと思うんですが、いかがでしょうか。

○西田昌司君

我々は、今申しましたように、政治的な表現活動について制限を加えるつもりは全くございません。
しかし、もう片っ方で、例えば米軍の話今出ましたけれども、アメリカ人出ていけとかいろんな発言もあろうかと思うんですよね。そのときにアメリカ人が、例えば今の仁比委員の発言ですと、マイノリティーじゃなくて強いから言ってもいいんだということにもならないと思うんですね。そうじゃなくて、マイノリティーであるかどうかというのは別で、要するに不当な差別的言動とは何かといえば、いわれないということなんですよ。本人がその責に負わない、全くいわれないことで差別的言動で侮蔑を受けたり、それから地域社会から排除を受けたりする、そういうことを我々は不当な差別的言動として、国民としてやめようじゃないかと、そういう差別的なことは恥ずべきことだという、そういう思いでこの理念法を作っているわけであります。
ですから、当然、米軍基地の話はそれとは全く違う話でありますから対象になりませんが、アメリカ人に対して何を言ってもいいのだということを我々は言っているつもりもまたないということは確認させていただきたいと思います。

○仁比聡平君

今おっしゃっているのは、それはそのとおりの話だろうと思うんですね。
あともう一点確認をしたいのは、今の問題とパラレルではありますけれども、政府の政策やそのありようを批判する人々の言動があります。これは政府対抗言論などともよく呼ばれますけれども、これも同じように当たり得ないと考えますけれども、いかがでしょうか。

○西田昌司君

全くそのとおりであります。
私も仁比議員も恐らくいろんなところで街頭遊説をやって自分の政策を言っておりますけれども、時には、野党のときには我々与党に対し批判もするし、当然皆さん方も政府に対し批判もあるわけでありまして、それを制限を加えたりしていたらこれは言論の自由そのものを否定することになりますので、全くそういうことにはなりませんし、想定もしておりません。

○矢倉克夫君

もうまさに全く想定もしておりませんし、そのような言論をしっかり自由に、言論は言論でやり合うということが民主主義であります。これは、まさにそういう対抗言論というようなものを許さないような形で社会を分断するような言論というのは駄目だということを理念でしっかり言っているわけですけれども、今先生がおっしゃっているのは、まさに民主主義の根幹たる言論の自由そのものであるというふうに思っております。

○仁比聡平君

ありがとうございました。
いよいよこの質疑そのものも終わろうとしているわけですけれども、最後にちょっと、通告はしておりませんでしたが、お二人にお伺いをする時間が少しありますので。
こうして私どもが立場は違えど取り組んできて、この大きな節目を迎えようとしているわけです。私は、この取組を踏まえて、国会の内外でこれからヘイトスピーチを根絶をするために一層力を尽くしていくということが私たち国会議員に求められていると思うんですね。とりわけこの問題を十分な審議を尽くしてきたこの参議院法務委員会のメンバーとして、是非御一緒にヘイトスピーチ根絶のために国会の内外で力を尽くそうではありませんかとお二人に呼びかけたいと思うんですけれども、それぞれ御決意を伺いたいと思います。

○西田昌司君

全く仁比議員の御発言に賛同いたします。要するに、我々は、いわゆるヘイトスピーチ、これなかなか禁止という形では、法律上、言論の自由の関係でできなかったわけですけれども、とにかくそういうものは日本人として恥ずべきものであると、そういう共通認識でやってきたわけでありますので、この法律が成案できましたら、是非その趣旨を多くの国民の方々に共有をしていただいて、ヘイトスピーチをしている方自身がそういう恥ずべき行為だということを認識していただいて、自ら自重していただきたいと思っております。

○矢倉克夫君

まさに我々こういう形で理念法を作った、それは、国民全体の共通認識としてこういう社会をつくっていこう、そのような言論を許さない社会を、みんなが声を上げていくような社会をつくっていこうという理念を掲げて、それに向けてしっかり全体で努力をして実現していこうということを高らかにうたい上げて、それがまた国民世論に更に醸成させていくということでこのような法案を作らせていただいたところであります。
当然ですけれども、主権者たる国民の代表として我々がまず中に入っていって、こういうような社会をつくるための第一歩であるということをこれから更に努力をしていって、実現に向けて全体でこれは議論をして、そして努力をしていこうということをしっかりと私からもまたお誓いを申し上げて、またお呼びかけをしたいというふうに思っております。

○仁比聡平君

終わりたいと思います。
お疲れさまでした。

○委員長(魚住裕一郎君)

他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(魚住裕一郎君)

御異議ないと認めます。
これより原案及び修正案について討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

○小川敏夫君

民進党・新緑風会の小川敏夫でございます。
私は、本法案、原案、修正案に賛成の立場で意見を述べます。
まず、本法案について問題点を指摘いたします。
本法案は、いわゆるヘイトスピーチについて、これを解消することを国民の努力義務とすることにとどめ、禁止する規定としていません。このため、努力をする意思のない者に対してヘイトスピーチをやめさせることの実効性はないとも思われます。これでは、本法案が成立、施行されてもヘイトスピーチが収まることはなく、法施行後も現状と変わらずにヘイトスピーチが繰り返されることが予想されます。
また、差別的言動の定義についても、文理上、地域社会からの排除だけを対象としているようにも読めるもので、疑問がないわけではありません。
こうした点から、ヘイトスピーチを規制するために立法措置等の更なる取組が必要であると考えております。
以上の指摘点があるものの、本法案にそれなりの意義がないわけではなく、本法案の成立を望む声もありますので、本法案に賛成するものであります。

○仁比聡平君

私は、日本共産党を代表して、与党提出の修正案及び修正部分を除く原案について、いずれも賛成の立場から討論を行います。
先ほども申し上げたとおり、与党案の提出は、当委員会の取組の中で、ヘイトスピーチによる被害の深刻さとその根絶を求める被害当事者、国民の声に迫られたからにほかなりません。その内容には大きな問題点がありますが、ヘイトスピーチの根絶に向けた立法府の意思を明確にする理念法としての意義を評価し、賛成するものです。
与党案には、適法に居住する本邦外出身者を対象とするというその骨格が、人種や民族を理由とする差別は許されないという憲法と人種差別撤廃条約の趣旨を曖昧にするのではないか、「不当な差別的言動」との用語が明確性を欠くのではないか、また、前文で「許されないことを宣言する」としながらヘイトスピーチの違法性を明確にしていないなどの問題点があります。
我が党は、ヘイトスピーチ根絶の運動や自治体決議、条例制定などの取組を踏まえ、与党案に対し、以下の修正を求めてまいりました。
一、法案の名称をヘイトスピーチ根絶に向けた取組の推進に関する法律などとすること。二、何人もヘイトスピーチを行ってはならない旨の規定を設けること。三、ヘイトスピーチの定義について、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」に換えて、人種若しくは民族に係る特定の属性を有する個人又は集団、以下、民族等としますが、この社会からの排除、権利、自由の制限、民族等に対する憎悪又は差別の意識若しくは暴力の扇動を目的として、不特定多数の者がそれを知り得る状態に置くような場所又は方法で行われる言動であって、その対応が民族等を著しく侮辱、誹謗中傷し、脅威を感じさせるものをいうとのような規定を置くこと。四、「適法に居住する」との要件は削除すること。五、地方公共団体の責務は、「努めるものとする。」に換えて、国と同様、「責務を有する。」ものとすること。
こうした法案修正は成りませんでしたが、質疑の中で、対象となる言動は本邦外出身者を地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動であり、扇動の定義も例示しているから、「不当な」や「差別的」という曖昧な用語がそれだけで要件とはならないこと、政府や在日米軍を批判する言動は対象たり得ないこと、アイヌ民族や難民認定申請者など在留資格の有無、争いにかかわらずヘイトスピーチは許されないこと、道路使用許可など行政処分あるいは司法判断において理念法が根拠規範となり得ることなどが答弁で確認をされたことを前向きに評価し、賛成をするものです。
ヘイトスピーチを根絶するために一層国会内外で力を尽くそうではありませんか。
その決意を表明し、賛成討論といたします。

○委員長(魚住裕一郎君)

他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
それでは、これより本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案について採決に入ります。
まず、矢倉君提出の修正案の採決を行います。
本修正案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕

○委員長(魚住裕一郎君)

全会一致と認めます。よって、矢倉君提出の修正案は可決されました。
次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。
修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕

○委員長(魚住裕一郎君)

全会一致と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。
以上の結果、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
この際、有田君から発言を求められておりますので、これを許します。有田芳生君。

○有田芳生君

私は、ただいま可決されました本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案に対し、自由民主党、民進党・新緑風会、公明党、日本共産党及び生活の党と山本太郎となかまたちの各派の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案に対する附帯決議(案)
国及び地方公共団体は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消が喫緊の課題であることに鑑み、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。
一 第二条が規定する「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」以外のものであれば、いかなる差別的言動であっても許されるとの理解は誤りであり、本法の趣旨、日本国憲法及びあらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約の精神に鑑み、適切に対処すること。
二 本邦外出身者に対する不当な差別的言動の内容や頻度は地域によって差があるものの、これが地域社会に深刻な亀裂を生じさせている地方公共団体においては、国と同様に、その解消に向けた取組に関する施策を着実に実施すること。
三 インターネットを通じて行われる本邦外出身者等に対する不当な差別的言動を助長し、又は誘発する行為の解消に向けた取組に関する施策を実施すること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

○委員長(魚住裕一郎君)

ただいま有田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕

○委員長(魚住裕一郎君)

全会一致と認めます。よって、有田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、岩城法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。岩城法務大臣。

○国務大臣(岩城光英君)

ただいま可決されました本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

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