195回 経済産業委員会(事業承継・中小企業関係予算の拡大等)

2017-12-05

○矢倉克夫君
 こんにちは。公明党の矢倉克夫でございます。
委員の皆様、また大臣始め経済産業省の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
一年間農林水産大臣政務官をしておりまして、その関係もあって、本当に久しぶりの質問でございます。
経済産業省というところは、私も考えるところ、本当にいろんな産業を横串でつないでくださって、経済のつながりというのをつくってくださる、経済の付加価値をどんどん大きくする重要な役回りを担っていただいているというふうに思います。また、中小企業庁も含めて、地域の雇用や安定をしっかり支える、地域経済の循環をつくっていく本当に重要なお仕事をされているというふうに思います。私も委員の一人として、充実した審議を通じて経済政策全般の発展にしっかり寄与させていただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、質問は、今、目下課題となっております事業承継につきましてであります。
この前、日商、日本商工会議所とも話をしたんですが、この事業承継、非常に問題がある。税制はとりわけ、非常に間口がやはり狭くなっているので、三百八十万社と言われている中小企業の中でこの税制を使っているのは年間五百ぐらいだと、余りに要件が厳し過ぎるんじゃないかというようなお話がありました。雇用の維持要件であったり、また対象の株式が限定されているとか、その辺りの間口の話は是非、いろいろなところでも議論がありますから、必ず拡充をしていただくように御尽力をいただければというふうに思います。
今日まずお伺いしたいのは、税の話とはまた別に、承継全般として、今、税の話は、後継者が決まっている人の社の話でもある。やはりその前に、後継者が決まるかどうかというところも分からないような企業もたくさんあるわけであります。この前、中小企業を回ったんですが、三代目、二代目とか、様々な企業があるわけですけど、後継者が見当たらないと、そういうような企業がたくさんあります。いろんなアンケートによると、中小企業のうち、承継を考えている企業のうちでも、そのような企業は二割から三割ぐらいあるというようなアンケート結果もあるというふうにもお伺いもしておりますが。
これ、事業承継をまず考える上では、まず後継者が決まっていない企業への支援と、そして場合によってはこの承継後の支援も含めて切れ目なく支援をしていくということが重要だと思いますが、その辺りについての問題認識と、また御対応をどのようにされているのか、答弁いただければというふうに思います。
○政府参考人(安藤久佳君)
 お答え申し上げます。
御指摘のとおりだと思っております。
中小企業・小規模事業者の方が置かれた状況はまさに様々でございます。御後継者が決まっていない方につきましては、いわゆるマッチング事業、これを、同一地域だけではなくて、場合によってはかなり全国規模も含めて、その事業あるいはその技術を継承しようと思われるような新たな担い手の方を見付ける必要がございます。こういったことに対する御支援、あるいはそういった活動に対する様々な関係者の統合が大変大切でございます。
現在、事業引継ぎ支援センターというのが各都道府県にございますが、この機能を更に強化をさせていただく、さらに全国大でこれをつながせていただいて様々な事業の情報を相互に融通をさせていただく、こういった活動が大変大事でございます。
また、今、後半御指摘がございましたように、事業を承継した後もこれ大変大切でございます。新しい経営者になられた、あるいは経営層が若返ったと、こういった機会を捉えまして、経営革新あるいはITを使った新事業展開、業務の効率化、こういったようなことをこの機会に集中的に支援をしていく必要があると思っております。
今後例えば十年程度を、こういった施策、税制も含めまして、集中支援の大変大切な時期だというふうに認識をさせていただいております。
○矢倉克夫君
 全国規模でという形でおっしゃった、その部分は非常に重要だと思いますので、是非制度設計を引き続きよろしくお願いいたします。
また税の話に戻らせていただきたいというふうに思います。
大臣にお伺いしたいというふうに思いますが、最終的に猶予された後、その税を払わなくて済むというのは、倒産したりだとか、全額、全部を後継者に譲ったとか、そういうようなことに限られているわけであります。
例えばですけど、承継された後、もう何年、何十年とたった後、事業判断の一つとして、事業全体を継続するために事業の一部を売却しなければいけないというようなことがあります。そのような場合ですが、このときの売却額、株式の売却額が例えば二千万だとする、ただ、相続のときは一億幾らだというようなことの差額の変動はやはりあるわけなんですね。そういった場合に、猶予というのがこれで打ち切られて、掛かってくる相続税というのは相続時の非常に高い価格が掛かってくる可能性もある。それだけではなくて、やはりもう利子税というのもこれ掛かってくるわけです、年率一%弱という形。これが、相続された後、結局そういうような、売却した後、期間が多くなればなるほど非常に膨れ上がってくるわけです。例えば三十年間とかしたら、一億のものに対しては二千万から三千万台ぐらい利子税もばあっと掛かってくると。少なくとも、この利子税の算定の基準になるようなものについても売却のときの現状に合わせた形で評価替えをするなど、そのような配慮も踏まえて考えなければいけないのではないかなというふうに思っております。
実際上、中小企業にとっては、そのような将来不安に対しての資金を留めておかなきゃいけないという、ただでさえ資金調達が大変なのに留めておかなきゃいけないというリスクはやはり負わなければいけないという、それが心に乗っかっている限り承継というのはなかなか進まないんじゃないかなと、その辺りの配慮は必要であるかというふうに思います。
猶予打切りによる相続税算定に当たってのこの株式評価に当たりましては、その後の経営状況等を確認しながら、例外的に、相続時評価ではなく売却時であったりとか、そういうのを選択できるとか、そのような柔軟な対応をするように財務省に働きかけていただく必要はあるかというふうに思いますが、大臣の御所見をいただければというふうに思います。
○国務大臣(世耕弘成君)
 まさにこの事業承継税制というのは、今、年間五百と言っていただきましたが、入れて十年になるんですけれども、十年トータルで二千なんですね。最近ようやくいろいろ微修正を加えて少し増えてきて五百という状況でありますから、これ跡継ぎの決まっていない会社が百二十七万社あるという状況の中ではこれ本当に問題で、もっと使い勝手のいいものにしていかなければいけないと思っています。
その中で一番大きいのが、やはり現行の納税猶予制度の在り方、ここが一番使われない大きな理由ではないか。今御指摘のように、十年以上前の価値でいきなり相続税が飛んでくると、一億円の価値が十年前あっても今二千万でしか売れないかも分からない、そうしたらもう危なくてこういう税制はなかなか使えない、あるいは今おっしゃったように現金を手元に置いておく必要が出てくるということで、だったら使わないという形が出てきているんだろうというふうに思います。
中小企業団体とかからは、猶予じゃなくて免除というお話もいただいています。ただ、これはちょっとほかの相続税を納める人との公平性の観点からどうだろうかという議論が政府の中でもありまして、今経産省としては、政府の中で、実際のそのときの売却額に沿った形で課税をする、納税をしてもらうという形にできないか、現実的なところでそういう形にできないかということを今経産省としては財務省その他関係省庁と折衝中でございます。
○矢倉克夫君
 今、問題意識として同じ方向性を向いていただけているということを確認できました。是非、年末に向けて引き続き御協議をいただき、結論を出していただければというふうに思います。
引き続き、中小企業という視点からのまた税の話をさせていただきたいというふうに思います。次は、償却資産に係る固定資産税の件であります。
こちらも大臣の方にお伺いしたいというふうに思っておりますが、この前も予算委員会でも話も出ました。そちらと少し若干繰り返しになるかもしれませんが、やはり世界的になかなか例はないというふうに言われてはおります。特に中小企業ほどその償却資産というもの、全体の事業費用に対しての掛かる負担の割合というのはやはり大きい。それが償却がし尽くされるまでずうっと掛かっていくというような負担感というのは、やはり中小企業ほど大きく掛かっているかなというふうに思っております。
他方、これ、自治体にとっては基幹税ということであり、廃止、縮減というのは非常に慎重でもあります。
その中、この前も訪問した企業の中で、これは鋳物工場であったりするんですけど、結構設備も高額なものが多くて、二億とか三億とかするような設備もやはりある。今持っていらっしゃる設備を二十年、三十年とメンテしながら使ってられているわけであります。御本人、経営者としては、新しいのをしっかり取り入れてやりたいんだが、当然高額な設備投資も掛かるけど、新しいのが掛かると、また税が、償却資産税がやっぱり掛かってくると。メンテで回しているよりも税の方が高くなるとか、そのようなことをおっしゃりながら、具体的な詳細な計画、計算は聞いていなかったんですが、そういうような形で、税がやはり設備投資に対してのおもしになっている部分もあるんだなというのを私も一つ実感をしたところであります。
是非また引き続きお伺いしたいんですが、やはりこの部分に関して、今も三年で半分という形で特例はあるわけですけど、中小企業に配慮した形で地域経済発展のために是非もう一歩の政策という形を経産省として訴えていただきたい。
これの御所見とともに、財源減少を心配する自治体に対して配慮をしなければいけない。例えば、固定資産税も一・四から一・五であったりとかする、それについて、資産について掛かるわけですけど、それを徴収することによる財源効果と、あとはそれらを免除することで生まれる設備投資の、それによる企業収益が上がっていって、最後、法人住民税とかでも入っていくとか、そのような長期的に見た観点からするとどちらが財政にとってはいいかというようなことも、試算も踏まえてですね、自治体の方にも安心していただけるような工夫をしながら是非この辺りを更に進めていただきたいというふうに思いますが、大臣から御所見をいただければと思います。
○国務大臣(世耕弘成君)
 中小企業の三分の二は赤字状態でありまして、そういった企業にとっては、やはり固定資産税の負担というのは非常に重くなっているわけであります。
今おっしゃったように、新しい設備を入れたら、今までは償却が終わった資産だから固定資産税はほとんど掛かっていなかったところへ、また新品を入れると固定資産税の負担が重くなって、ただでさえ赤字で苦しいのに苦しくなるということで、どうしても生産性が上がるということが分かっていながらなかなか新規投資ができないというのが現状だったというふうに思っています。それを前回の税制改正で一歩踏み込みまして、この固定資産税の特例というのを入れまして、新しいいわゆる中小企業経営強化法の認定を受けて設備投資を行ったら、その分に関しては固定資産税二分の一というのをやりました。やっぱり効果があったと思います、二分の一であってもですね。
先ほど、事業承継税制は十年で二千社ですけれども、これは何と一万五千社がこの固定資産税の特例制度を早速使ってくれていますし、使った声をいろいろアンケートとかで調査をしますと、例えばある酒蔵で、やはり生産性が上がったので人手をよそへ回すことができたということで、造り酒屋さんが酒蔵観光の営業に全国回るスタッフを確保することができるようになって、そしてそれで観光客が酒蔵を見に来てくれるのが増えたとか、これは予算委員会でも申し上げましたけれども、土日返上でやらないと納期に間に合わなかったのが、やっぱり機械を新しくして、土日、週休二日しっかりと休めるようになったというような例もありまして、これをもう一段深掘りをして、二分の一と言わず、できればゼロに持っていくことができないだろうか。
先ほど、伊藤議員からも御指摘いただきました。あの後、総理が、世耕さんの答弁には中小企業の経営者はぐっと来たと思いますがと言っていましたが、一方で、私答弁しながら後ろから野田総務大臣の刺すような視線を感じていまして、これ、地方自治体にとっては大変な基幹税であるわけですから、そこは地方自治体の皆さんにも御理解いただけるように、私は長い目で考えてほしいと思っていますが、地方自治体にとっても固定資産税以上のメリットが感じられるような、例えばものづくり補助金を手厚く配分するとか、そういうことも含めて総合的に考えていきたいというふうに思っています。
○矢倉克夫君
 今、大臣御答弁で予算措置と併せてというような御示唆も踏まえました、そういう意味でも実際に配慮という点では重要だと思いますので、是非御検討をいただければというふうに思います。
もう一つ、同じ償却資産、償却資産税というか固定資産税に関してなんですが、これ申告期限につきましてです。固定資産税については、現行一月一日現在の資産についての状況を申告期限として一月三十一日までにこれは申告しなければいけないということなんですけど、これ結構な大変なことでして、年始で休みたいという部分もあるわけですけど、そういうのも返上して一月三十一日までに。だから、中小企業といっても、極端な場合、年一回しか決算を組めないというようなぐらいのところもあるわけですけど、そのような中での大変な負担になっているところはやはりあるかというふうに思います。
このような事業者さんにとっては、固定資産税の申告期限を、法人税又は所得税の場合もあるかもしれませんが、それの申告期限と合わせる、このようなことができれば、法人税や所得税の決算を組むときに併せて固定資産税の申告書をこれ作成すればよくなるので、事務負担というのはかなり減るのではないかなと。これ総務省に言わなければいけない話ではありますが、ただ、こういうような声を受けて我々もいろいろ働きかけをした部分もある中で、今総務省も検討会を設けられているというようなところは聞いております。
是非、中小企業の事務負担、これを配慮をしていただくという意味で、中小企業庁、経産省としてもこの点をしっかり、これは大企業を含めていろんな意見もあるかというふうに思います、その中で例えば選択でそのような形が選べるというような形であればいろんな意見に配慮できるというふうに思いますので、そういった点の主張を是非お願いできればというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(安藤久佳君)
 お答え申し上げます。
固定資産税の償却資産の基準日あるいはその申告期限、それと法人税について異なっているという実態がございます。そうしたことから、中小企業の皆様方、あるいは税理士、あるいは中小企業の団体の皆様方から事務負担の軽減を求める声が上がってきております。そういった声を背景といたしまして、今御指摘のような検討会が総務省で開催をされて、現在検討が進んでいると承知をしております。
私どもとしても、当然のことでありますけれども、中小企業・小規模事業者の皆様方の事務負担が最大限軽減されることが必要だと認識をしております。総務省としっかりと連携をしながら、少しでも中小企業・小規模事業者の皆様方の現場におきます事務負担が軽減されるように最大限頑張ってまいりたいと、このように思っております。
○矢倉克夫君
 引き続きよろしくお願いいたします。
あともう一つ、所得拡大促進税制であります。
雇用促進税制廃止というような報道が一部あったわけでありますけど、これ賃上げというところでは所得拡大促進税制はまた違うもので、是非これは拡大して延長していただきたいなというふうに思っております。
これも先ほどの例も報道ベースだけの話でありますが、特に中小企業の賃上げは、これ賃上げの率というのは上がってきているという理解でいるんですが、やはり大企業との格差は大きい、千人以上の大企業と五人から九人ぐらいの中小企業の年収格差というのは二百万ぐらいはやはりあるというような記憶でおります。その辺りについて、更に賃上げを促進するための税制というのを特段中小企業に配慮をいただきたい。
この点が一点とともに、あわせて、やはり中小企業の問題は、この賃上げとともに、なかなか人が来ない、人材不足。有効求人倍率が一・五二倍だといいましても、中小企業になかなか人が来ない。それは中小企業が人に対しての投資をする余力がやはりなかなかないところもあるかなというふうに思います。特に、一人に対しての費用というものの、その中での教育資産というのを見てみると、千人以上の企業と三十人以下の企業で額にして大体三倍から四倍ぐらい開きがある、このようなデータもいただいております。こういったことの対処としては、中小企業による人づくり分野への投資、これが重要であり、最終的にそれが中小企業への人材流入にも行くかなというふうに思います。
今回のこの税制を是非こういった人づくりの分野にも拡大をいただくことは重要な視点だというふうに思いますが、その辺りについて御見解をいただければというふうに思います。
○大臣政務官(平木大作君)
 今御指摘いただきましたとおり、中小企業の賃上げというのは徐々に進みつつあるわけでありますが、依然、大企業との賃金の格差というのは大きなものがございます。こうした中で、雇用の七割を支えます中小企業・小規模事業者が賃上げにしっかりと取り組みまして成長と分配の好循環をつくり上げていく、こういう環境をつくることはとても重要であるわけであります。
そこで、御下問の所得拡大促進税制でございますが、平成二十七年度の中小企業におけるこの適用実績、この件数が八万六千社以上に上っております。これは、もう賃上げのインセンティブとして、この所得拡大促進税制、極めて重要であるというふうに認識をしております。経済産業省といたしましても、中小企業・小規模事業者の更なる賃上げを強力に推し進めるために、今年度で期限を迎えます本税制の延長そして拡充を今求めているところでございます。
また、委員の方からは、賃金格差是正のためにも教育機会の拡充が重要であるということも御指摘をいただきました。この点につきましては、賃上げと併せまして、教育機会の拡充を図る企業を強力に後押しをいたしますために、社内研修の機会の充実など教育訓練に積極的に取り組む企業に対する上乗せ措置、これについても現在併せて要望しているところでございます。
中小企業の賃上げや人材投資の促進をするためにも、経済産業省としてしっかり対応してまいりたいと思います。
○矢倉克夫君
 ありがとうございます。是非、政務官中心になってしっかりまた頑張っていただければというふうに思います。
中小企業をいろいろ回りまして、いろんな声をお聞きしました。一つ、ああと思ったのは、やはり中小企業の予算が少ないんじゃないかなという声を非常に聞きました。それも、何か怒りというよりは、何かこれだけ頑張っているのに何でこれだけ、中小企業って本当に大事にされているのかなという切ない感じで言われると、もう非常に申し訳ないなという思いに至ったところであります。
やはり、本予算でも二千億とかそういうレベルではあるというふうに思いますが、これ大企業がない地方はあるかもしれないけど、中小企業がない地方というのはやっぱりないわけですね。地方をしっかり支えるには中小企業というのがしっかり基盤として足腰でなければいけない。そこの経済の循環というものがしっかり満ちていくためには、やっぱり中小企業というのが必要。
今、景気回復の実感というのを一番の課題であるというふうに思います。それをどうしていくかといえば、やはり中小企業をしっかり支えることが景気回復を実感する、それが多くの人の幸せにつながって社会の安定にもつながる。私は、中小企業こそがこういった政策目的をしっかりと実現するための公的機能をしっかり有しているんじゃないかなというふうに思います。
こういう公的機能を有する中小企業に対しての予算をどんどん増やしていくというような決意を、中小企業に熱い思いを持っている世耕大臣から是非いただきたいというふうに思いますが、よろしくお願いします。
○国務大臣(世耕弘成君)
 中小企業向けの予算が少ないとおっしゃいました。経産省全体の予算も結構かわいいものでして、私、初めて見たとき、えっ、これだけという感じだったんですけれども、その中で中小企業、少しでもたくさん取れるように頑張っていきたいと思います。
これは経産だけではなくて政府全体でということになりますが、今年度は千八百十億円でありました、中小企業対策費というものが。今、三十年度の要求で二千二百七十五億円出しています。これが今厳しい査定に遭っている状況でありますので、是非公明党の中でも応援をしていただければというふうに思います。
あともう一つ、やっぱり中小企業対策というのは予算だけじゃないと思うんですね。例えば、これは公明党さんからも御指摘をいただいて取り組んでいる下請取引条件の改善、これなんかはしっかり改善することによって大企業から中小企業へのお金の流れができていくというようなこともあるわけであります。こういったことも含めて、法律ですとか、先ほどから議論いただいている税制ですとか、あるいは金融といった、いろんな面プラス予算で中小企業をしっかりと応援をしていく必要があるというふうに思っております。
○矢倉克夫君
 ありがとうございます。
是非、我々もしっかりと政府と力を合わせて、中小企業こそが経済を支え、社会を支えている、それだけ公的な機能があるということで、ほかのところに比べると桁が違うんじゃないかというこの予算をしっかりと確保してまいるように努力してまいりたいというふうに思いますので、一致団結して、是非よろしくお願い申し上げます。
ちょっとがらっと、四十分って思ったより短いんだなと今焦りながらやっているところあるんですけど、がらっと視点を変えまして、今度は通商の方の話をさせていただきたいというふうに思います。
TPP11、ベトナムの方で閣僚大筋合意という形、最後少しどたばたがあったわけですが、閣僚レベルではもう全会一致で、拍手で大筋合意というような形になったというふうにお伺いもしております。
私は党のTPPの総合対策の事務局長もしております。自由貿易の恩恵をしっかり国民の皆様に理解いただくにはまず国内対策というのがしっかり必要。農業対策というのは、これは我々も政治の責任としてしっかりやらせていただきたいというふうに思います。
その上で、今回のTPP11は非常に大きな意義はあったかなというふうに思っております。私も二〇一〇年とか二〇一一年頃、そういう交渉に関わった時期も実はあったわけでありますけど、そのときのイメージでいうと、全体的に日本は何となく韓国に出遅れてしまったなというようなイメージがあったのかもしれない、バイでいろいろEPAをどんどん韓国は結んで、日本はなかなか結べないと。そのような中で、日本が今までWTO時代でずっと工業品を関税を下げてきた、そうすると、交渉になると切るべきカードがなかなかかえってなくなって不利な状況に置かれているというふうな八方塞がりの状況が一時期あったかというふうに思います。
TPP、そういう意味では、アメリカのある意味戦略的な意図をしっかりと取り込んで利用して、プルリの形で、日本に非常にメリットの強い形で合意することができた、ある意味劣勢を挽回したような形ができたというのは、それがまた日EUのEPAにつながっていっているというところは大きな戦略的意図は強かったかなというふうに思います。
是非、改めてこのTPP11の意義とともに、私が今日特に強調したいことは、これは国内にいる中小企業にとってもどういうメリットがあるのか、そのような部分も含めて御説明をいただきたいというふうに思います。
○政府参考人(渡辺哲也君)
 お答え申し上げます。
TPP11により、我が国から輸出される工業製品の九九・九%についての関税が撤廃されることになります。これにより、自ら輸出される中小企業の方の輸出の拡大が期待されるだけでなくて、取引先企業の輸出拡大を通じまして、そことお取引をされる中小企業の国内における受注増加ということも期待されるところであります。
それからさらに、TPP11におきましては、原産地ルール、我が国で部品を製造して、さらにTPP11の中のA国に輸出をしてそこで組み立てて、さらにB国へ持っていくと、こういうようなことが可能になります。メード・イン・TPP11ということでございます。これによりまして、例えば我が国の国内で基幹部品を製造される中小企業の方が国内に拠点を維持したまま輸出することが可能になります。
こういう意味で、今回のTPP11、中小企業の方に大変大きなメリットがあると考えております。
○矢倉克夫君
 ありがとうございます。
おっしゃるとおり、原産地規則の中で完全累積という形で取りますので、最終的に関税撤廃の利益を受けるためには、やっぱりTPP域内の国の付加価値が全部合わさった形でというふうになる。今までであれば、ある意味、TPP域外の国に仕事を奪われていたのが、TPP域内にある日本の中小企業にもしっかり仕事が戻ってきやすくていいというような環境整備がやはりできてきているのかなというふうに思います。
特に、中間財、部品とかそういうのをしっかり、強みを持っている日本の中小企業にとっては、これをしっかり活用して、世界でも勝っていけるような体制づくりというのを是非、省としても、省横断的ですね、政府としてしっかりまたやっていただけるように経済産業省にも働きかけていただきたいなというふうに思います。
その流れで、今申し上げたTPPのこのプルリの、メード・イン・TPPになるような網の目ですね、これをしっかりと最終的に国内にいる中小企業に持っていくには、もうこれは放っておけばなるというような話ではないと思いますので、やはり地域間の、中核企業と中小企業との連携であったりとか、海外に行っている企業とのつながり、日本企業のつながりというのも、これをしっかりサポートするような体制というのがなければいけない、ただ協定ができたからどうかなるという話ではやはりないかというふうに思います。
その辺りの企業間のつながりというのをつくる上で、どのような方針、施策を持たれているのかをお伺いしたいというふうに思います。
○政府参考人(渡辺哲也君)
 お答え申し上げます。
TPP11のメリットが、これまで海外展開に取り組んでおられない中小企業の方も含めて全国津々浦々に行き渡るように取り組んでいくことが、委員御指摘のように大変重要だと考えております。
一つには、これまで海外展開に取り組んでいない中小企業の方が新たな市場開拓のチャンスをつかんでいただくために、きめ細かい御支援をしていきたいと思います。例えば、全国の中小企業の方々に対して、まずメリットを御説明する、それから、新輸出大国コンソーシアムにおきまして、国内での事業計画の策定から海外の販路開拓に至るまで切れ目のない御支援を引き続きしっかりとやっていきたいと思っております。
それからもう一つ、委員御指摘のように、地域経済を牽引する地域の中核企業による海外販路開拓を支援することによりまして、地域の中核企業の方と、それからお取引をしている、あるいは連携をされている中小企業の方にも利益が及ぶようにしっかりと支援をしていきたいと思います。平成二十八年度から地域中核企業創出・支援事業というのを行っておりまして、国際市場に精通した専門家が海外市場も視野に入れた事業化の戦略の立案ですとか、それから販路開拓の支援等をしっかりと行っていきたいと考えております。
○矢倉克夫君
 是非よろしくお願いします。
企業と企業をつなげる、それぞれであれば一、一しかないものが、つながることで広がるというような、つなぐ役割というのも政府は非常に重要であります。眠っているものをまた掘り起こすというような、つながるという点の視点から見ても、是非今の施策を更に進めていただきたいなというふうに思います。
大臣にお伺いしたいというふうに思いますが、これまたTPP、国際連携の絡みなんですけど、この日本主導のルール作りというものについてであります。
今TPP11、御案内のとおりアメリカが離脱をしている状態であります。これを帰ってきてもらうというのも非常に重要でありますけど、その上で、アメリカが今いないこのときをしっかりチャンスと捉えて、日本主導で経済の連携の軸というものをアジア太平洋に広げていくということが非常に重要であるかというふうに思っております。
その第一歩が、やはり日本主導で自由で公正なルールをしっかり作っていく。アメリカはある意味ちょっと法体系も違うところもありますから、アジア太平洋の自由な公正なルール作りを主導できるのは日本だぐらいの気持ちでいろんな網の目をどんどんつくっていただきたい。TPPが当然ハイスタンダードの網としてあるわけですけど、やっぱりそれにまだ入り切れなくても、どんどんそれを拾っていくためのいろんな連携の網をいろいろつくっていって、それが重層的に複層的につながっていくという戦略を現実的にアプローチに取っていく必要もあるかなというふうに思っております。
その点でやはりRCEPというのは重要で、中国も入っている、中国を取り込むという意味合いも込めてでありますが、やはりそういうような観点から、一時期はアメリカ主導のTPP、中国主導だなんという誤った言い方もされていたわけですけど、そうではなく、日本主導でTPPとRCEPその他いろんな連携をしっかり主導していって、是非日本主導の自由な公正なルール作りというのを主導権を発揮していただきたいというふうに思いますが、大臣の御所見をいただければと思います。
○国務大臣(世耕弘成君)
 私、先日、ベトナムのダナンへ行きまして、APECの閣僚会合に参加してまいりました。そこで旧知の経済貿易閣僚たちと会って握手をすると、ちょっと野党の皆さんには申し訳ないんですが、彼らが言うのはおめでとうじゃないんですね、良かったと。日本で選挙結果がああいう形になって、みんな良かったという反応が非常に多かったです。これはやっぱり、割と保護主義的な選挙結果が世界各国で出ている中で、日本は自由貿易推進する安倍政権が政治的に引き続き安定的にやっていける結果が出たということを、みんなほっとしているという感じでありました。それだけもう自由貿易の旗手として日本の役割は大きいんだろうというふうに思っています。
そういう中で、RCEPでありますけれども、ちょっとTPPと違ってRCEPは、ASEANが今年五十周年だったということがありますので、早くまとめようと、中身、レベル低くてもいいから早くまとめようという動きもありました。また一方で、これをまとめることによって地域における影響力を誇りたい国もあったのは事実であります。
そういう中で、私はずっと今年の春から、RCEPを早くまとめることも重要だけど、やっぱり中身が関税だけじゃなくて、通関手続とかデジタルとかいろんな貿易ルールも入っていなきゃ駄目だということを特にASEAN諸国を中心に説得をしていきました。特にラオスとかミャンマーとかカンボジアといった国は、いきなりTPPと同じようなことはできないという立場。彼らに対しては、キャパシティービルディングでしっかりと支援をしますよという約束もしました。あるいは、ASEAN各国に対しては、ASEANはやっぱり中小企業が多いんだから、通関手続の手間とか、あるいは支店を開設できないんだからデジタルでやり取りする、そういうルールをきちっとできておかないと域内の中小企業にとって不利益が出ますよということも言いました。タイなんかは、今、日本のサプライチェーンがしっかり入っていて、タイ自身でかなり高度な製品ができてきているので、これも知財の保護というのをしっかりやっておかないとタイの企業にとってデメリットになるよと。
こういう説得をずっと続けた結果、最終的にやはりレベルの高いものを目指していこうと。今年ちょっと妥結はできないけれども、来年何とかレベルの高い内容を目指して議論をしていこうじゃないかという形になっています。まさにRCEPに関しては今、日本が主導権を少し取っているという状況になっているということを交渉担当者として日々実感をしているわけでございます。
○矢倉克夫君
 そういうような形で、ステップ・バイ・ステップというか、しっかりと日本主導で自由で公正なルール、そういうような、自由主義に沿ったようなものに取り込んでいくような主導権を是非握っていただきたいなというふうに思っております。
ちょっとまた最後、またこれ大臣に最後お伺いして終わりということになるかもしれませんが、時間の関係で。
先ほども伊藤先生からもコネクテッドインダストリーズというところの話もございました、分かりにくいというような。いろんなところで今つながりつながりというのは、私の質問の中でも出てきたわけでありますが、私は、このコネクテッドとインダストリーズというところは、非常に響きとしては、方向性としては可能性を秘めているものじゃないかなというふうに思っております。
是非、大臣からこの意義をおっしゃっていただくとともに、ちょっとここは通告していない部分で大変恐縮なところもございますが、私は農業の分野というものも非常に重要な要素があるかなというふうに思っております。
農業も働き方改革、人手が足りないというようなところを、今まで経験と勘で頼っていたものをいかにデータ化していって、従来の家族的なものでやっていたものをある意味大規模にしていく、それを担っていく、経営で担う人もいれば労働として働く、担う人もいるわけです。その労働として働く人に、今までたくみの技でしか継承されなかったものが分かりやすく継承していくためには、やはりデータ化をしてそれを共有していくというようなやり方も非常に重要です。
また、IoTなどを使って、最近何かドローンなんかで、ドローンを飛ばしてその圃場の窒素含量とかぱぱっと見て、そのデータを基にして、今度はまたドローンが飛んでそれに合った肥料をまいていくだとか、そういうデータ連携による今までの省力化とともに生産性を上げていくとか、そういうような可能性もあるというふうに思います。
最後の部分、大変に通告していなくて恐縮でありますが、コネクテッドインダストリーズというものがどういうものなのかということを御説明いただいた上で、それが経済に与えるインパクト、また、働き方や生産性、これを変えていかなきゃいけないというような産業、農業を含めてです、に与えていくインパクトというのを大臣の御所見をいただいて、質問を終わりたいというふうに思います。
○国務大臣(世耕弘成君)
 日本の製造業の強みは、やはり機械化をかなり世界に先駆けて進めてきたところだというふうに思っています。製造現場にかなり精密なデータが残っているんですね。今問題になっているデータ偽装の問題も何で分かるかといったら、正しいデータが全部工場の中に残っているので、突合すると分かるわけであります。
我々、設備投資減税とか、あと中小企業向けの固定資産税の特例とか、そういうことをやってきた結果、大分データの蓄積が進んできています。工場の中でデータが取れていると答えた企業が、二〇一五年は四〇・六%だったんですが、二〇一六年には六六・六%と非常に増えているんです。問題はそれが活用されていないということでありまして、企業がデータを利活用している割合ということで国際比較をしますと、アメリカが四一、ドイツが三一%に対して日本は一六%と。だから宝の持ち腐れになっているわけでありまして、コネクテッドインダストリーズという考え方は、いろんな切り口はあるんですが、まずこのデータをしっかりとビッグデータとして企業も連携して活用していこうよというのが基本的な考え方であります。
農業も私は例外ではないというふうに思っています。昔から精密圃場管理といって、メッシュ状にやって、それぞれの気温とか雨の降り方を全部確認して、それと作物の出来具合を見てベストな作り方どうすればいいかというのを見ていくとか、和歌山はミカン県なんですが、ミカン農家でもそれぞれどれぐらいの肥料をやった、どれぐらいの水をやった、どれぐらいの日照量があったというのをこれ全部センサーで記録をして、そしてでき上がったミカンの糖度とリンクをしていって、こういうところに植えるといいとか、こういう日当たりの場所にはこれぐらいの肥料をやるのがいいなんていうノウハウの共有というのも既に始まっています。
今までミカン農家ってやっぱり十年やって何とか半人前という感じだったんですが、それがそういうデータ活用することによって去年入った人でも同じようなミカンを作ることができるというようなことが起こっていますので、このデータを使ったイノベーションということを、これから物づくりだけじゃなくてサービス産業、農業でもしっかりと広げていきたいと思います。
○矢倉克夫君
 大臣、本当にありがとうございました。突然の振りにも本当に的確に答えていただき、ありがとうございます。
残りの時間で、おっしゃるとおり、やはり農業、私は農業というのは最大の物づくりの一つでもあるかなというふうに思っています。同じ産物を作っていても、やっぱりその土地ごとの状況の違い、それをいかに把握をして、御自身の一人一人の技術を通じて、同じものは全くないわけなんですね。土地が違い、水が違い、空気も違い、そして人が違えば全然違うものが、同じリンゴであっても何でもできてくるというような物づくり、これをしっかりと生産者の視点だけでなくていろんな産業から支えていくというような観点が農業の成長産業化にとっては非常に重要であるかなというふうに思っております。
コネクテッドインダストリーズという、直接農業の分野を担えるものではないですけど、その理念というのも是非農水省とも共闘しながら動いていただきたいなと。
あとやはり、生産者の所得向上という意味合いでは、農業の生産者の所得向上にはやはり第一次産業、第二次産業、第三次産業全部が連携していく姿勢というのはこれから重要であるかなと。企業の力も借りながらしっかりと生産性を高めていくというようなこともある。そういった部分でも、経産省はいろんな企業さんとも連携もある。そこをまた農水省と経産省と企業と、さらには生産者と連携していけるような枠組みというのを農水省、経産省で更に引き続いてつくっていただきたいということを要望申し上げまして、質問を終わりたいというふうに思います。
ありがとうございました。
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