2018-03-23
○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。
質問に入ります前に、報道によりますと、アメリカが日本を含めた形で鉄鋼等の関税措置を発動するということでございます。これが事実であれば大変遺憾なことであるというふうに考えております。取ったか取られるかというような取引感覚で通商を語るということ、また、場合によっては自国の利益を図るには他国から取らなければいけないというような考えが仮に根底にあったとしたら、やはりこれは保護主義と言わざるを得ない。それに対してはしっかりと政府としても対峙をしていただく必要があるかというふうに思います。
通告していなくて大変恐縮ですけど、後ほど、大臣、RCEPのことをお伺いした後で所見をまたいただければというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、まず質問に入らせていただきたいというふうに思います。私も、前回の委員会で質問をさせていただいた償却資産に係る固定資産税の特例であります。
地元の埼玉にも戻りましたが、お話をしたら、事業者の人にも当然大変好評でありましたが、自治体にとりましても、例えば、今回、新規の取得の設備であります。ですから、既存の設備に掛かっていた固定資産税が取られるわけではないわけでありますし、あと、それによって設備取得が促進されて、三年が経過した、特例は三年でありますので、それでまだ償却し切れていなければその後は税金も入ってくると。自治体にとっても非常にいいという話もあるし、しかも三年間の間は経済産業省、中小企業庁が総務省といろいろ折衝していただいて交付税措置もするという形にもなっている。
ある埼玉の首長さんともお話もしましたが、その市は、元々設備に対する固定資産税については、一回徴収した後、一般財源使って戻している、そういうような取組も今までされていたんですが、今回の措置によってそのようなこともなくなり非常によかったと、こういうような声もいっぱいいただいたところであります。
その上で、ただ、いろいろ声があったのが、中小企業庁の方で各自治体に配付していただいたこのアンケートの締切りが三月七日。このアンケートを答えたところの自治体が、ものづくり補助金等で優先というようなことが書いてあり、余りに期間が短過ぎたんじゃないかというような話もあったところですが、それもこの前、我が党の秋野議員が本会議で質問されたとき、大臣から、そのようなスケジュール感があるということで、間に合わなくても一定期間内に回答があった場合はものづくり補助金等の優先採択に係る事務の参考にすると御答弁をいただいた。その部分でも懸念は一つずつ解消はされているところでありますが。
まず、この一定期間内というところの目安、もし御回答いただければいただきたいというふうに思うとともに、他方で、このスケジュール感が非常にきつきつになっている。例えば、今後、このアンケートが延長をするとしても、その対象のものづくり補助金とかの一般公募とかは、これは締切りが私の記憶している限りだと四月二十七日、非常に近くなっております。いざ自分が住んでいるところの自治体が手を挙げたと分かったときには申請まで余りに時間がないとか、いろいろと混乱してしまうような事業者の方もやっぱりいらっしゃるかというふうに思います。この短いスケジュール感の中で、どのようにそういう混乱がないように配慮をされるスケジュール感を持っていらっしゃるのか、方策を持っていらっしゃるのか、まず経済産業省にお伺いしたいというふうに思います。
○政府参考人(吾郷進平君)
お答えいたします。
御指摘のアンケートでございますけれども、固定資産税の特例に対する自治体の意向を確認いたしまして、ものづくり補助金等の優先採択の参考にするものでございます。三月七日の締切りに間に合わなかった自治体についても、一定期間内に回答があった場合には同様に優先採択の参考とすることを検討しておるところでございます。
先生御指摘のとおり、事業者の方が戸惑うようなことのないように運用することが重要であると考えております。事業者の方が自治体の意向を踏まえて補助金申請を準備する期間を一定程度確保する、これ先生おっしゃったとおり四月の二十七日の締切りでございますから、それよりも一定程度前にというふうに考えております。そしてまた、自治体の意向が表明されるその時期を中小企業庁のホームページで明示をすると、こういったことを通じまして丁寧に運用してまいりたいと考えております。
○矢倉克夫君
また、対象となる事業者の方の期待感というのが裏切られることのないように、しっかりした幅を持ったスケジュール感、余裕があるような形の、なかなかバランスも難しいと思いますが、是非工夫をいただければというふうに思います。
その上で、この施策、非常に良い施策である、これを反映していろんなところが今手を挙げていらっしゃるというふうにお伺いをしております。挙げていただくことは非常にいいわけですけど、予算がやはり限られている中で、どうしても手を挙げている自治体の事業者のところが優先になる部分では、手を挙げていない自治体、またいろんな事情で手が挙げられない、挙げることができない自治体に所在をされている事業者の方々に対してのやはり配慮というものも、それは、その存在している自治体が手を挙げたかどうかという、ある意味事業者とはちょっと離れたところの事情で補助金が受けられるか受けられないか、ゼロか一〇〇かというような形になってしまうのもやはり考えなければいけないところであるかなというふうに思います。
この辺りについても、中小企業庁としてどのように配慮をされるのか、お伺いをしたいというふうに思います。
○政府参考人(吾郷進平君)
お答え申し上げます。
平成二十九年度補正予算のものづくり補助金につきましては、予算規模を昨年度の七百六十三億円から一千億円に拡大するとともに、一件当たりの補助上限を最大三千万円から原則一千万円に見直すことで、なるべく多くの中小企業・小規模事業者の方々に御活用いただけるよう工夫をしているところでございます。
他方、先生おっしゃいましたとおり、固定資産税をゼロとする自治体に立地する中小企業・小規模事業者で設備導入計画の認定を受けると意思表示をした事業者につきましては、補助金申請書の審査の段階で加点を行うということで、これは事業者がより採択されやすい仕組みとすることとしているところでございます。固定資産税をゼロとしない自治体に立地をする中小企業でありましても、優れた計画であれば採択される可能性は一定程度あるというふうに考えております。
中小企業庁といたしましては、固定資産税の特例とものづくり補助金の施策を連携させることで、より幅広く中小企業・小規模事業者の設備投資を支援し、生産性革命の裾野を広げていきたいと考えているところでございます。
○矢倉克夫君
補助金に当たっての加点でありますその部分に当然優先されていないところが全くゼロになるということではなくて、加点がされないというところの制度設計かなというふうに思います。その上で、やはり加点がされるかされないか、されない部分でなかなか採択されにくいというようなこともないように、そこはきめ細やかにまた配慮をしていただきたいなというふうに思っております。
続きまして、この計画に当たっての市町村の負担の軽減ということについて、二点ほどお伺いをしたいというふうに思います。
一点目、今回のこの計画の構造ですけど、基本構造は、国が指針を出されて、その指針に合わせた形で市町村が基本計画を作られる、その基本計画に基づいて各事業者が計画を提出するという形であるかというふうに思います。国も今どういう形で指針を作られるか、また、法律が制定した後のものではあると、もう既に検討はされている部分はあるかというふうに思いますが、具体的に、その後、市町村が計画作るときに、市町村も今回手挙げているところ、いろんな規模の市町村があります。うちの埼玉にしましても、やはり人口一万人に満たないようなところであっても手を挙げてくださっている。そういう自治体も独自に計画を作らなければいけないとき、ある程度のノウハウというのはやはり提供、共有というのも必要なのではないかなと。
せっかく手を挙げたのにそういう部分ができなくて駄目になりましたなんということがないように、自治体がひとしくちゃんとした対応ができるような対応、支援というのも中小企業庁として考えなければいけないと思いますが、その辺りはどのようにされるのか、答弁いただければと思います。
○政府参考人(吾郷進平君)
御指摘のとおり、中小企業・小規模事業者が固定資産税の特例を受けるためには、まず市区町村の方で導入促進基本計画というのを策定していただく必要がございます。この計画には、設備投資促進の目標でありますとか計画期間でありますとか、対象となる業種あるいは設備などの内容を記載することを想定しておるところでございます。
市区町村がこの計画を策定するに当たりましては、経済産業省といたしましても、計画内容の記載例などを様式と併せて提示をしたり、あるいは不明点がある場合には個別の相談に応じるなど、丁寧な対応を検討してまいりたいと考えております。
○矢倉克夫君
是非よろしくお願いします。
あともう一点だけ、これは事業者が先端設備等導入計画というものを作る、これを市町村が認定するわけでありますけど、この認定はどういう要素を考えるかというと、その事業者が上げてきた計画の中で年率三%以上の労働生産性の向上が見込めるかどうか、こういう判断もしなければいけない。これを市町村がするために果たしてできるか、できるようにするためにはどうすればいいかということも考えなければいけないと思いますが、その辺り、中小企業庁はどのように対応されるのか、答弁いただければと思います。
○政府参考人(吾郷進平君)
市区町村の認定に当たりましては、税務及び財務等に関する専門的な知識を有する税理士等の士業でありますとか金融機関などを含んでおります認定経営革新等支援機関、これの活用などをいたしまして、市区町村における認定事務が円滑に進むようにしたいと考えておるところでございます。
○矢倉克夫君
今の税理士等を含めた関与というのがこれ必須であるというふうに思いますので、そのような形で制度設計をお願いできればというふうに思います。
この手続がしっかりと回るために、最後また条例とかも作らなければいけない、議会の方の了解なども必要になってくる、そういったいろんな関係者が関わる中で、そういう関係者の動きが全部マッチして初めて手を挙げた申請者の補助金が上がるという形になります。いろんな関係者の連携がしっかりできるようなことも配慮しながら、是非、いい制度でありますので進めていただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは次に、RCEP等についてお伺いしたいなというふうに思います。
改めて、先日、TPP11、署名をされました。もうこれで世界のGDPの一三%、そして日EU・EPA、これも交渉妥結という形で署名に向けて今動いているわけであります。ほぼGDPの三割という形で、大きな大きな経済連携の枠組みが日本を軸にしてどんどんできてきている。さらに、日本を軸としたルール交渉、公平公正な経済圏づくりとともに、このアジアで公正なルール作りをするというために必要なのはやはりRCEPであるというふうに思っております。
今、経済産業省中心に精力的に交渉されて、妥結に向けて動かれているというふうに思いますが、改めて、このRCEP交渉の現状と評価について参考人から答弁をいただければというふうに思います。
○政府参考人(渡辺哲也君)
お答え申し上げます。
RCEP交渉におきましては、今委員御指摘のように、ASEAN、日中韓、インド、豪州、ニュージーランド、十六か国が参加いたしまして、日本は市場アクセス、それからルールのバランスが取れた質の高い協定の早期妥結を目指して交渉を進めてきているところでございます。
世耕大臣からのASEANへの働きかけもございまして、昨年十一月のRCEP首脳声明におきましては、市場アクセス、ルール、それから協力の三本柱における成果を出すことが明記されております。ルールの分野におきましても、知的財産、電子商取引、税関手続・貿易円滑化などを含め交渉を進めているところでございます。
他方、RCEPにおきましては、ASEANの一部の国を含め様々な発展段階の国が参加をしておられまして、TPPと必ずしも同じようなレベルに対応することが難しい国があることも事実でございます。このような中で、我が国としましては、できる限り高いレベルのルールを実現するよう最大限交渉に当たっております。
○矢倉克夫君
世耕大臣始め皆様の主導により、その特にルールという部分でしっかりと枠組みをつくって進まれている経緯がつくられたということはお伺いをしたところであります。
今お話がありました、確かにTPP11とかに比べればこのルールのレベルというところではまた違うレベルにあるものなのかもしれませんが、そういうものを更に進めていく意味合いというものを、特にアジアの中でこのRCEPをやはり広げていくというのは、日本にとって見たら、個別にEPAを結んでいないRCEP関係の国というのは中国と韓国とニュージーランドであります。ニュージーランドはTPP11という形で今回枠の中に入ってきた中であるので、この中国と韓国とつながりをつくっていくという意味合いも込めて非常に意味があるかというふうに思っておりますが、改めて、今御答弁もあったところではあるんですけど、このTPPとは違うレベルでのRCEPというものを進めていく意義というものをまた参考人からいただければと。
○政府参考人(渡辺哲也君)
お答え申し上げます。
RCEP、今委員御指摘のように、世界人口の五割、それから貿易額の三割をカバーする広域的な経済連携を図るものでございます。十六か国には、今御指摘ありましたように、これまで日本と既存のEPAございません中国、韓国も含まれております。こういう国を含めまして広域的な経済圏を創設すると。これによりまして、市場アクセスだけでなくて、域内に進出する中小企業も含め日本の企業の方々のサプライチェーンを強化する、それからビジネス活動の円滑化を図っていきたいと考えております。
○矢倉克夫君
大臣に改めてお伺いしたいというふうに思いますが、TPP11が署名になる、それで本当に一部の専門家の方は、こういう通商のリソースというのはTPP11のアウトリーチ、拡大に割けるべきで、RCEPではなくTPP11だというようなことをおっしゃっている方も一部いらっしゃるんですが、私はそうは当然思わない。特にアジアというものの中で自由貿易、経済連携の枠をつくるには、いろんな国が、いろんな背景を持った国がやはり非常に多いと思います。資本主義もそうですけど、社会主義の国もあり、資本主義の中であってもある意味国家資本主義というような、いろんな資本主義のばらつきの中の国々をどうやって連携してつなげていくかというような枠組みをつくるときには、やはりいろんなレベルの経済連携というのをつくっていく必要はあるかなと、そういうような考えは持っているところであります。
このアジアにおいて、やはり多様性のあるアジアにおいてこのRCEP交渉を進めていく戦略的な意味というものを大臣から改めてお伺いをしたいというふうに思います。
○国務大臣(世耕弘成君)
やはりTPPに比べてこのRCEPというのは、中国、インドも入っている、そしてASEANが全体として入ってくるという意味で、日本にとって非常に価値の多い協定になってくるんだろうというふうに思っております。
ただ、先ほどから答弁しておりますように発展段階に差がありますので、その点にやはり配慮をした、少し移行期間とかあるいはキャパシティービルディングへの協力といったこともセットでやっていかなければいけないと思います。
去年はASEAN五十周年ということもありまして、かなり去年中にまとめようという機運はASEANを中心に非常に強かったんですが、残念ながら、市場アクセスが中心、関税をどれだけ撤廃するかということに議論が集中しておりましたので、去年、私の方からキーエレメンツという形で、やはりきちっと議論して合意を取るべき事項というのを全部洗い出しまして、ちゃんとやはりマーケットアクセスとそしてルールがバランスが取れていないといけないということを明確にさせていただきました。今年に入ってようやくルール分野の論点も大分絞られてきましたので、私としても、ASEANが求めている早期妥結については、ルールもバランスが取れているということを含めて支持をするということを表明したところであります。
今後とも、何とか年内に可能であればまとめられるように、RCEP交渉、精力的に進めてまいりたいと思っております。
○矢倉克夫君
大臣おっしゃったそのマーケットアクセスとルールのバランス、特にいろんなレベルのルールがある国が混在しているアジアの中で、しっかりした自由貿易のあるべきルールというものを日本が軸となって作って、作った枠の中で改めてそれをまたレベルアップしていくというアプローチがやはり非常に重要であると思いますし、今の大臣の思いのままに是非更に力強く進めていただければというふうに思っております。
その上で、改めて、冒頭申し上げましたとおり、こういうグローバル経済の中で、やはり企業がそれぞれどこでもしっかりと安全に動けるようなルールの在り方というのを今いろんな国が連携していく中で、やはり保護主義の動きというものが出てくるときに、それに対してはしっかり対峙をしなければいけないなと。日本がいろんな今経済連携協定を作って、自由貿易、そういう保護主義に対峙するんだということの旗頭として今動いている。そのときに、今、輸入に関しての関税措置という報道があるわけでありますが、それに対して大臣としてはどういう御所見を持っていらっしゃるか、それについてどのように対応されるのか、答弁いただければというふうに思います。
○国務大臣(世耕弘成君)
今回、米国の通商拡大法二百三十二条に基づく鉄鋼、アルミの追加関税、これが日本も対象となる形で発動されたということは、これはもう極めて遺憾だと申し上げざるを得ないというふうに思います。
私からは、ライトハイザー通商代表あるいはロス商務長官に対して、これ、ガットの安全保障例外というルールを使っていますので、この日本の、同盟国である日本の鉄鋼やアルミがアメリカの安全保障に何か悪影響をもたらすことはあり得ないんだということで、日本を国ごと除外するよう繰り返し要請をしてきたところであります。ライトハイザー通商代表は、国別の除外については四月末までに議論を収束させたいと議会で発言されたと承知をしておりますので、二十三日の関税引上げの時点で対象から除外はされなかったわけでありますけれども、引き続き対象からの除外を米国に粘り強く働きかけていきたいというふうに思います。
また、これ、除外になった国となっていない日本で何か、なった、ならないという単純な問題じゃないんですね。除外になった国は、よく見ていきますと、例えば、オーストラリア、ブラジル、アルゼンチンというのはアメリカから見たら貿易黒字の国であります。あるいは、メキシコ、カナダあるいは韓国、これはそれぞれもう今、NAFTA、KORUSの見直しという実際の貿易交渉をやっている。EUも何か今度新しい米・EU間での交渉を始めるということでありますから、日本はその状況にはないわけであります。日米経済対話というこのハイレベルなルールを世界へしっかり日本とアメリカで広げていくという、そういう対話しか行っていないという日本の特徴もあるというふうに思います。
あるいは、日本のもう一つの特徴としては、これは国別除外以外にもう一つ品目別除外というのがありまして、日本がアメリカへ持っていっている鉄鋼製品というのはかなり品質が高くて、アメリカの製造業から見ると代替不能なものが非常に多いんです。これは品目別で除外される可能性もありますし、あるいは除外されなくても、関税が掛かった状態でももう買わざるを得ないという状況になるのかなというふうに思います。こういったところを複合的によく見ていきたいと思っています。
ただ、日本は、先ほどから御指摘いただいているように、TPP11でも日EU・EPAでも、またRCEPでも、今、自由貿易交渉の旗手的立場にあります。こういった中でこの対抗措置の応酬というのは、はっきり言って何も生まない。日本はしっかり冷静に対応して、あくまでもWTOの枠内で問題の解決をしっかりと目指してまいりたいというふうに思います。
○矢倉克夫君
まさに、WTOの枠内で、ルールで基づいてしっかりやるという対応が必要であるかなというふうに思います。
アメリカが、例えば今いろんな、日本とそれ以外の国のお話もされましたけど、これをある意味武器にして、これと交換条件でいろんな交渉を有利に進めようと、そういう意図を持ってやってくることもあるかもしれません。そういうのは、いろいろと情報を注視しながら是非御対応いただければなというふうに思います。
引き続いて、ルール関係のお話、残りの時間で少しちょっと御質問をしたいというふうに思うんですが、特に標準化、今回、法律についても提出予定されているというところであるかなというふうに思いますが、この話を通じまして、やはり日本の、これからまた更に必要なのは、ルールを作っていくという姿勢を持つことはやはり重要かなというところの思いからいろいろ質問をしたいなというふうに思います。
私も役所にいさせていただいたときに、特にこの標準化の動きを、特にヨーロッパの動きを見て感じたんですけど、やはり彼ら、ルールは従うものではなくて、ルールを作るものだという形で官民一体で動いている姿勢が非常に強かったなというふうに思います。特にISOなどの、製品とかサービスに対しての国際規格ですね、国際標準のつくり方については、自分たちのヨーロッパ規格というものをEN規格とかいう形でつくって、それをISOにそのまま行っていくと。もう自分たちのものを、ISO、国際標準規格をある意味通させて、そのまま国際標準にしていくというような、非常にしたたかなやり方をよくされていたなというふうに思います。
当時、日本はそういう標準とか規格とかというところの意識は官民一体まだ少なかったんじゃないかなと比較のレベルでは感じていたわけなんですが、それを大きく変えていくのが今の政府の方針の動きになるのかなというところを認識しているところであります。
改めて大臣から、このルール戦略というものの中での標準化強化というものの位置付けについて御意見をいただければというふうに思います。
○国務大臣(世耕弘成君)
今御指摘のように、やっぱりEUは非常にルール作り、標準化づくり、上手ですね。いざというときには、彼らはぱっと、国別で投票するとすごい票数も持っていますから、標準化をリードするだけの力も持っているというふうに思っています。
そういう中で、今、標準化の役割が、単なる技術的に標準を整えるというだけではなくてマーケットを獲得するためのツールへと拡大しているというふうに思っていますので、この標準化には戦略的に取り組んでいくことがますます重要だと思っています。
日本の官民も今いろいろチャレンジをしていまして、日本が得意な、特にアジア地域においては、例えば空調とか省エネ機器、こういった分野で日本主導の標準を引用された規制が採用されるよう働きかけるとか、あるいは相手国の行政官を日本に招待をして、日本で研修を受けてもらうというようなこともやらせていただいています。
また、標準化が得意なヨーロッパと組むことも重要だというふうに思っておりまして、日独で合意をしたハノーバー宣言というのがありますが、こういったところでもヨーロッパともよく連携をして国際標準化、国際的なルール作りに向けて連携をしていくことが重要だというふうに思っております。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。非常に示唆に富むお話であったかなというふうに思います。
大臣おっしゃったヨーロッパと連携という部分も含めてかもしれませんが、また政府の方にお伺いしたいというふうに思うんですが、標準化の動きについて、ISOとか国際標準化機関の中での標準を取る動きについての強化の動きと、さらには、やはり民間が標準政策というものも重視する必要もあるかというふうに思います。その辺りの官民一体の評価の在り方、これをどのようにされるのか。あわせて、済みませんが、JIS規格をこういう動きの中で強化していく意味というものについて答弁をいただければというふうに思うんですが。
○政府参考人(末松広行君)
ISOとかIECなどの国際標準化においては、一国一票の投票による規格化が採択、決定されるという仕組みになっております。このような仕組みの中では、規格化のための取りまとめ役となる幹事になるということが極めて重要でありまして、まず、これまでは幹事の増加ということに積極的に取り組んでまいりました。その結果、ISO、IEC、両機関での我が国の幹事国数というのは、二〇〇六年と比較して三十八件増加して、現在は百一件となっております。
また、規格化を進める際の委員会の設置とかルールなどについては機関の上層委員会で決定されるため、日本でも国際標準機関の上層部での意思決定に積極的に関与すべきであり、会長ですとか理事等の重要ポストの獲得に努めてきているということがあります。こういうことを更に進めていくことが重要だというふうに思っております。
また、こういう国際標準化を進める上では、日本のJIS法の位置付けも今後重要になってくるというふうに思っております。
国際標準も国内標準もどちらも重要であることは言うまでもありませんが、世界市場の獲得という点でいうと、国内標準よりも国際標準をうまく使うということが重要でございまして、これに対して戦略的に進めていくということが大切でございます。
例えば、新しい技術分野での国際標準の検討をしようとする場合、各国で必要な試験データがなくて、利害関係者間の議論も行われていないというような場合、標準化に向けた委員会の設置の提案すら拒否されることがございます。こうした場合、国内標準を先に制定した上で国際標準を提案すると、制定の際の試験データや利害関係者の議論の蓄積が有効に作用し、国際標準化の検討が円滑に進められるということがございます。実際に、サービスロボットやLEDなどの例では、既にJISを制定したということから、国際標準化が円滑に行うことができました。
こうしたことから、今国会に提出させていただいている工業標準化法の改正でございますが、標準化の対象にデータ、サービス、マネジメントなどの分野を加えることによって国際標準と国内標準の対象分野の整合性を高める、また認定産業標準作成機関制度を導入することによってJISの制定を迅速化すること、こういうことによって日本が国際標準化に関する取組を強化していくことができるのではないかというふうに考えております。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。また法案の審査のときにもいろいろ議論をさせていただければ。
時間になりまして、本来であれば、あと、健康寿命延伸産業創出推進事業を経産省が進められている中で、その予算を使ってソーシャル・インパクト・ボンド関係の取組を推進されていることをお伺いしようと思っておりました。こちらも大変重要な取組であるというふうに思います。またの機会を通じてまた質問させていただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
以上です。