196回 経済産業委員会

2018-05-10

○矢倉克夫君
 おはようございます。公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いいたします。
法案に入る前に、先ほど吉川先生が質問されたソーシャル・インパクト・ボンド、私も前回質問させていただいたんですが、大変重要な取組であるかというふうに思っております。是非、経済産業省が有力な動力の一つとなって、政府全体の取組として更に進めていただくことをまず大臣に御要望を申し上げたいというふうに思っております。
その上で、本日、法案の審議でございます。生産性向上特別措置法と産業競争力強化法でありますが、私からは、特に生産性向上特別措置法上のまた規制のサンドボックスについて、また議論をさせていただきたいというふうに思います。
まず、大臣の規制一般についての御認識をお伺いしたいなと。といいますのも、主に経済発展という文脈で規制を語るときには、いろんな規制の捉え方、様々あるわけですけど、極端な見方をすれば、規制というのは存在そのものが悪だと、これがなくなればなくなるほどいいんだというような御意見も一部はやはりあるかなというふうに思っております。ただ、私は、やはり時代の変化に応じて更に規制が必要になる部分もあり、残さなきゃいけない規制も当然ある、そのバランスの上でどういうふうに規制を変えていくのかというバランス感覚も必要かというふうに思っております。
先ほどのような規制は悪だという感覚は私は間違えていると思っているんですが、その辺りについて、大臣の規制一般についての御認識、お伺いしたいというふうにまず思います。

○国務大臣(世耕弘成君)
 私も、規制がもうそのものがすなわち悪だという立場には立たないわけであります。これは、経済の発展の歴史の中で、やはり市場原理に任せていただけでは世の中大変なことになるということが起こってきたわけですね。古くは独禁法なんかもそういう考え方から出てきている。あるいは、資本家と労働者の関係においても、これ市場原理に任せていると労働者はどんどんどんどん搾取をされていく、資本を持っていない労働者は搾取をされていくということでいろんな労働の規制というのが掛かってきた、そういう歴史があるわけでありまして、規制というものについては、基本的には国民の安全ですとか健康の確保ですとか、あるいは現代的なテーマでいけば環境の保全、こういった目的のために整備をされるものであって、こういったものを達成するためには、規制というものは一定程度必要だというふうに思っています。
ただ一方で、この規制というものも時とともに移り変わっていく、場合によってはやはり古くなってしまうということもあるんだろうというふうに思っています。特に、もう長い間余り見直されることなくずっと続いてきた規制の中には、もしかすると、従来の手法ではなくて、規制が成立した時点で想定されなかったような革新的な技術を利用することで、その規制が本来目的としていた国民の安全とか健康の確保といったことを別の方法でより一層適切に達成することができるものもあるというふうに思っています。
特に今、今ある規制の中にはインターネットを前提にしていないものなんというのはたくさんあるわけでありますし、この第四次産業革命という中で、国内外の技術ですとか情勢変化のスピードが物すごい勢いで増している中で、この日本が豊かで活力ある国であり続けるためには、規制の見直しとか規制の改革というのはやはり不断に続けていかなければいけない、時代に適合した規制の在り方というものを常に模索をしていかなければならないというふうに考えております。
特に、この新しい技術と規制の関係が今の時代に適合しているかどうかを検証していくためには実社会において実証することが有効だというふうに考えておりまして、この第四次産業革命に対応して、実証データを活用して、規制の緩和だけではなくて、きちっとした、時代に合った制度整備につなげる仕組みであります今回のサンドボックス制度というのも役割があるんではないかというふうに思っています。

○矢倉克夫君
 ありがとうございます。
大臣に規制一般についてお伺いした後、では、今回の制度の理由はいかんということをちょっと次にお問いをしようと思っておりましたが、大臣が今多く答弁をいただいたので、事務方の方に、今の、私、大臣の御認識を前提にした上で、ちょっと更問い的にまたお伺いしたいというふうに思うんですが。
大臣が今おっしゃっていただいた中で、規制は、古くなった中で、新しい手法によって更にその規制の目的をより一層適切に実現し得る場合があるというお言葉がありました。すごい重要な視点だというふうに私思います。規制が当初できていた、やはり文言ですから、その文言からいろんな解釈が生まれるわけですけど、いろんな時代の変化で当然限定解釈し得るような場合も出てくる。
しかし、それが役所の中で解釈ではグレーとして結局は認められないものだというような運用がある中、一切、そのグレーのところでもちょっと実証をしてみて研究してみようというような余地も今後は出てくるわけであります。そのための制度としての実証であるという、それを繰り広げることで本来目的達成し得るような規制に新たに変わっていくことになるんじゃないかというような趣旨だというふうに私、大臣のお言葉、今お伺いしたところでありますが。
お伺いしたいのは、実証である、それは規制の目的を達成するための実証であって、規制を即撤廃するであるとか、そういうようなことに直につながるようなものではないということ。そういう趣旨で、例えば法律の方も、この十一条の四項なんですけど、主務大臣が最後認定するに当たってですが、その認定要件では、あくまで十一条の四項の三号で「新技術等関係規定に違反するものでないこと。」という、既存の法規定に違反するかどうかということが認定するに当たっての基準になっているわけであります。
この規定を設けている趣旨というのは、あくまで実証イコール即規制の撤廃になるということを想定していない。むしろ、規制の目的を、別途適切に達成できるものであればそういう余地もあるかもしれないけど、そうでなければこれは本来の制度の趣旨には合わないものなんだということを私は前提にしているという理解でおりますが、更問いで恐縮ですが、事務方から答弁いただければと。

○政府参考人(中石斉孝君)
 お答えいたします。
今大臣の御答弁でもありましたように、私どもの基本的な認識としましては、新しい技術が出てきたと、その技術について、これが規制との関係がどうなんであるかということにつきましては、まず実社会で実証を行って、新しい技術と規制の関係を検証することがやっぱり大事じゃないかと。それが、規制といったものがアプリオリにこれが駄目というわけではありませんが、新しい時代に即応した規制や制度の整備につながっていくんではないかというふうに思っています。
今回のこの制度をつくりました背景としましては、今委員からも御指摘がありましたように、新しい技術でありますので、なかなか既存の規制との関係が明確でないということがございました。
例えば、事業者からの声を聞いておりますと、事業者が提案いたしましても、規制所管官庁は新しい技術が必ずしも詳しくない、理解が十分ではない。そして、そのこともあって、担当レベルでは新しい技術と規制の関係がはっきりしないままになってしまっているということでありました。そのために、事業者は、実社会で実証を行おうとしても、なかなか規制官庁の方からこれはオーケーだと、可能だということも言っていただけずに、結果として、これは法令違反になってしまうのではないかということを懸念してしまいまして、国内での事業活動、実証を諦めてしまうと、こういうことが多々あったわけでございます。そして、この実証データというのが国内で得られないということが更に悪循環としまして、規制官庁の方でも、国内で実績がない、実証データがないということで、規制が新しい時代に即応したものなのかということも検証、検討ができなかったということで考えております。
そうした中で、委員御指摘のとおり、今回の十一条の四項三号で規制の法令に違反するものでないことという規定もありますけれども、今回、新しい新技術の実証制度においては、私どもの考えとしましては、期間や参加者等を限定することなどによって規制対象、本来は永続的といいますか通常の事業であるものを対象としているものを、今回、実証というもので一つのくくりをつくって、既存の規制との適用関係では少し考え方を変えて、まずは実証ができる余地がないものかということを探っていきたいというふうに考えているところであります。
そういった中で、今回のさらに制度の趣旨としましては、規制はあらかじめこれはなくすものだとか廃止するものだということでありませんので、やはり適切な措置をきちっと講じた上で、まずは実証を取って、エビデンスを取ってみて、そして議論を始めていこうということでありまして、私どもとしては御理解いただけると思います。

○矢倉克夫君
 ありがとうございます。
エビデンスを取って、そのことに進む目的、ただ、先ほど大臣がおっしゃったように、目的を更に適切に実行できるようなものであるかというところの検証だというふうに私は思っております、改めて。
その上で申し上げたいのは、世間では、やっぱりこの制度が濫用されて、とにかく規制を何でもかんでも撤廃する道具になるんじゃないかというような御懸念があるわけであります。私は、そうではないということを明らかにする上で、改めて安全に対する規制に対するこの関係性というのをちょっと確認したいなというふうに思っております。なぜならば、安全を守るという目的そのものはいつの時代であっても変わらないわけであります。
その上でのことでお伺いしたいのが、やはり先ほども吉川先生がお話があったライドシェアの話、私からも質問をしたいなというふうに思います。
国交省さん、今日来ていただいているわけでありますが、いわゆる白タクの行為というもの、それについて規制をする上で、例えば許可制にしたり、また、タクシー事業者、運行管理や車両整備管理や保険加入を義務付けたりとか、ドライバーを、そのようなことについての規制があるわけでありますが、こういった規制を取っていらっしゃる背景とともに、その中でこのライドシェアというものがどういうふうに評価され得るのか、それについての国土交通省の見解をお伺いをしたいというふうに思います。

○政府参考人(早川治君)
 お答えをいたします。
我が国の道路運送法におきましては、輸送の安全を確保し、道路運送の利用者の利益の保護及びその利便の増進を図るということを目的といたしておりまして、自家用自動車を用いた有償運送については、道路運送法の目的である輸送の安全の確保、利用者の保護等の点で問題があることから、原則として禁止をいたしております。
自動車を使用して有償で旅客運送を行うということに当たりましては、委員御指摘もありましたけれども、運行管理や車両整備管理等について責任を有する者を選任し、運行管理及び車両の整備管理についての措置を的確に実施するといったようなことが義務付けられております。また、運送事業者は、自動車損害賠償保障法の下で、運行供用者として自らの管理下にあるドライバーの起こした事故に関して厳格な民事上の責任を負うということとされているところでございます。
その意味で、自家用車を用いたいわゆるライドシェアにつきましては、今申し上げましたような運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態を前提といたしております。
したがいまして、国土交通省といたしましては、このような形態の旅客運送を有償で行うということは、安全の確保、利用者の保護等の観点から問題があり、極めて慎重な検討が必要と考えているところでございます。

○矢倉克夫君
 ありがとうございます。
特に安全の部分というもの、特に車両の運行というものについては非常に影響が甚大であり、生命、安全についての影響、仮に一旦発生した場合は非常に大きな影響が起き得る場合であるかなというふうに思っております。
仮にこの法案の前提で関係する人の同意を得た上で実証しても、外に出て運転をすればその同意外の人にも損害が及ぶ場合もあり得る。その中で、一般の比率に基づいた損害だけで済むかというような話もある。例えば、生命保険とか損害保険等では金銭的な保障は得られても、それはあくまでも損害の一部にとどまっているものであって、事故によってはもう精神的な打撃とか生命的な損失についての保障はしようがないというような、そういうリスクは幾ら実証であったとしても仮に起きた場合は起こり得るものではあるというふうに思います。
そういう中で、仮に実証であったとしても、規制を緩和するという形であったとしても、このような生命、安全の分野について安易に規制を緩和するというような方向でこの実証が運用されてしまうのは非常によくないなというふうに私も思っておりますし、その部分をしっかりと担保する形での制度の運用をこれから考えていかなければいけないし、そうあるべきだという今理解で改めて思っております。
その上で、先ほどの話の質問にも戻りますが、私の意見としましては、このような、元々本制度は、規制の目的が更に適切に運用されるためには新たなチャレンジが必要だと、そのための実証としてはいいかもしれませんが、安易な実証によって規制の目的そのものが没却されるような運用であってはいけない。とりわけ、安全性やそういうものを配慮をするための規制というものは、しっかりと守られるべきことを慎重に守った上で運用しなきゃいけないという前提に立った上で考えなければいけないなというふうに思っております。
そういう観点から、特にこういう安全の部分に関しては、主務大臣が事業者の申請内容が規制法令に違反していると例えば判断した場合は革新的な事業活動評価委員会の意見を聴く前提にはなっておりますが、その意見を聴く形は取った上で、さらにはやはり認定しないと決めた場合はこれが最終判断になるという理解でおりますが、この辺りについての経産省の御意見をいただきたいというふうに思います。

○政府参考人(中石斉孝君)
 実証に当たりまして生命や身体の安全が重要というのは確かにおっしゃるとおりでございます。また、その実証に当たりましては、委員御指摘のとおり、事業者に対し、参加者の同意を得ること、実証実験の管理監督を行うことなど、実証を適切に実施するために必要となる措置を求めております。
それで、主務大臣が新事業等実証計画の認定を判断する際、法律では革新的事業活動評価委員会の意見を聴くとなっておりまして、委員会は経済全般に及ぼす効果に関する評価を行って、主務大臣はこの評価委員会の意見を聴いて判断するとなっております。
主務大臣は、この評価委員会の意見を聴き、そしてそれを尊重する義務はありますけれども、申請内容が規制法令に違反しているかという判断する場合においては、第十一条四項の認定要件を満たしていないものとして当該計画を認定しない旨最終決定を行う権限を持っておりまして、最終的には主務大臣の御判断ということになります。

○矢倉克夫君
 ありがとうございます。
今お話がありましたとおり、最終的にはこの十一条四項、先ほど、冒頭申し上げました十一条四項、「新技術等関係規定に違反するものでないこと。」という認定要件に基づいて主務大臣が決定をし、そしてそれが最終判断となるということであります。そういう部分での主務大臣の権限というのは侵されない制度であるということを今確認をさせていただきました。ライドシェアの問題についても、その制度の前提で適切に是非運用をいただきたいことを改めて御要望を申し上げたいというふうに思います。
質問はこれで終わりにしたいというふうに思いますが、残りの時間を使って一つだけ。
他方で、やはりこの制度の有用性というのは非常に重要でありまして、私、この前まで中国に少し行かせていただきましたが、改めて向こうのモバイル決済の進展の早さというのは実感もいたしました。いろいろお話を聞いている限りでは、一年間であのような形で進展をしたという話も聞きました。
大使館の職員の方にもいろいろ聞いたんですが、二〇一六年段階ではこういうモバイル決済に対応するような形を取っていたのが百人中三人ぐらいだったのが、その後の一年間でもうこれ対応するような形での動きをしない限り社会で生きていけないような形になり、結局、大使館の方の百人中百人がみんなモバイル決済で対応するような仕組みを自分としてもつくらなければいけないというようなことになった、それぐらい社会が動いていくと。
こういう社会のすごいスピードの中で、中国とは法体系がやはり違う我が国としては、社会への実装をどうやって安全にやっていってこの経済競争を勝っていくかという悩みはやはりあるかなというふうに思います。そういった悩みの中でこの制度が是非しっかりと運用されて、経済発展にもしっかりつながることをまずは御期待を申し上げたいというふうに思います。
最後、あともう一点だけなんですが、固定資産税ゼロの特例についてでありますが、御案内のとおり、これ市町村が議会で条例を作らなければいけないものであります。私が把握した限りですと、議会が、地方自治体のうち大体半数以上はもう六月一日から六月八日までが開会日となっている。すぐに開会をしてその六月議会の間に条例を作らなければいけないというようなスケジュール感で、それが運用されて初めてこの法律がしっかり津々浦々に、日本全国に広がっていくものになっていき、中小企業の事業者の利便性にもつながっていくということであります。
こういうスケジュール感もにらみながら、是非しっかりと、その後の運用の在り方等も経済産業省にしっかり御検討いただくことをお願いを申し上げまして、この点についてはまた次回、必要であれば御質問することも改めて申し上げまして、私からの質問にしたいというふうに思います。
ありがとうございました。

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