196回 経済産業委員会

2018-05-22

○矢倉克夫君
 公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いします。
私も、今回の法案、非常に評価をしておるところであります。先ほど井原先生からもお話もあったんですが、ソサエティー五・〇に向けて今経済構造をどういうふうにしていくのか、日本も大きな岐路に立っているし、ここで勝つか負けるかが大事なところだと思いますが、特に肝になるのが、やはりデータの取扱い、処理をどうするかというところであるかと思います。その肝の部分を今回規定された意味でも非常に大きな観点があるかなというふうに思います。
私からは、まず大臣に、特に不正競争防止法関係でその狙いをお伺いしたいというふうに思っております。特に、コネクテッドインダストリーズ、大臣が提唱されている、そちらとの関係で、どういう御趣旨で狙いを持ってこのような改正に至られたのか。
先日の四月十九日の私の質問に対して大臣から、コネクテッドインダストリーズとは何か、非常に簡潔にして要を得た答弁をいただきました。一つは、日本にとってのコネクテッドインダストリーズは、大臣がそういう提唱をされたのは、まず、強みはバーチャルではなくリアルデータ、現場にあるリアルデータであると。そして、ドイツのように、ITも、企業内のIT化だけじゃなくて企業間のITも含めて、少数のIT企業も含めた形で独占されているものと違って、日本の場合は、現場個々の、個々にあるデータがあるが、それをつなげていけるかどうかというところが日本のこれからのソサエティー五・〇にとっては重要であるし、そういう方向性を示したのがコネクテッドインダストリーズだとお伺いして、本当に日本の強みを御理解した上でのこの構想なんだなということを改めて実感もしたところであります。
大臣から、改めてでありますが、このコネクテッドインダストリーズというものの実現に向けて今回の不正競争防止法の改正の狙いをどのように捉えていらっしゃるか、御説明いただければと思います。

○国務大臣(世耕弘成君)
 やはり今、データというものが産業の競争力の大きな生命線になっているわけでありますね。残念ながら、前も答弁させていただきましたが、BツーCのバーチャルのデータはいわゆるGAFAと言われる巨大IT企業に全部押さえられてしまっている。じゃ、日本が勝ち筋がないのかというときに、最後、BツーB、プロ同士がやり取りをしているまさにリアルデータ、それは製造業の現場ですとかサービス産業の現場で生み出てくるリアルのデータ、これについてはまだきちっとしたプラットフォームもないわけであります。また、日本は、中小企業も含めてかなり機械化、IT化が進んでいて、中小企業の現場にもいいリアルデータがたくさん存在をしているわけであります。
今後は、やはりこのコネクテッドインダストリーズのコンセプトの下で、中小企業も含めた多様な産業が集まって、協調領域のデータの相互利用を通じてビッグデータとして活用していくことでみんなが成長していくということが、今後、第四次産業革命の日本の対応の本筋だというふうに思っています。このため、既にこの委員会でも御審議いただいて五月十六日に成立した生産性向上特措法においては、複数の民間事業者などが協力をしてデータ活用を行う取組を減税措置などで支援する制度を手当てをしたところであります。
ただ、一方で、このデータというのは、コピーが簡単にできますし、転送もできますし、これ、一旦不正に取得、利用をされてしまうとその行き先はもう分からなくなってしまうというぐらい、非常にこの影響を、甚大な被害を受ける可能性がありますので、みんなでデータを持ち寄ってというときに、やはりその持ち寄ったデータがきちっと保護される仕組み、不正取得とか不正利用ができないような対抗手段がないと安心してデータが提供できないという懸念があったわけであります。
今回のこの不正競争防止法になってくるわけでありますけれども、産構審で、不正競争防止小委員会で御議論をいただいて、新たにデータの不正な取得や使用などの不正な行為に対する差止めなどの民事措置を設ける不正競争防止法の改正案を提出をさせていただいたわけであります。
この制度の下で、そして生産性向上特措法と両方併せて両輪として、物づくりを中心とした日本の強みである現場力を生かしたリアルデータの活用によってコネクテッドインダストリーズが進んで、そして第四次産業革命の下でも日本が世界の産業を引っ張っていくような状況をつくり上げていきたいと考えています。

○矢倉克夫君
 この委員会でもう既に成立した法案も含めた一連の流れのものであることも確認させていただきましたし、やはり小さな中小企業というところに現にあるデータをどうやってつなげていくかという発想であるかなというふうにも確認しました。特に後段の点については後ほどまた政務官にもお伺いもしたいなというふうに思います。
その上で、先ほど井原先生からもお話もありましたが、今回のようなこの日本のアプローチというのは非常に先進的なものであるかなというふうに思っております。各国も、オープンにするかクローズにするか、そこで今悩んでいるわけでありますが、そのような中で、今回の法案のアプローチというのは先進的でもありますし、WIPOの事務局長なども、日本の取組は、産業財産権に近い形で保護を強めようとしつつビッグデータに関するルール作りを、作ることではこれ先駆者だというふうにもおっしゃっているところであります。
この取組をやはり海外にもしっかり伝えていかなければいけない。このデータの使い方が違うことになれば、海外、国境を通じたデータの共有にもやはり支障もあるわけでありますから、そういう点も踏まえて、この日本の取組を国際的なルールという形にしていくべく積極的に今後も動いていかなければいけないというふうに思いますが、この辺りについての取組をお伺いしたいというふうに思います。

○政府参考人(糟谷敏秀君)
 不正競争防止法に規定されております不正競争行為、これ、多くは、国際条約、国際合意に基づいてそれを国内で履行するためのものというのが多いわけでありますが、今回の新たな保護対象にしますものは日本が先駆的に取り組むものでございます。この分野、データの不正取得について国際的に統一されたルールというのは現時点で存在しないわけであります。
EUでは、創作性のないデータベースにも排他的な権利を付与されて差止めが可能となっている反面、対象はデータベースに限定をされておるわけであります。また、アメリカでは、懲罰的な損害賠償が不正使用などへの抑止力として機能をしているということで、それ以上の具体的なルールがあるわけではないということで、まだまだこの分野、そのルール化というのがこれからという状況であります。その中で、我が国が先駆的にルール化を図るというのが今回の改正法案でございます。
この観点から、我々といたしましては、今回の規制は必要最小限のものにとどめるということにしつつ、今回の内容について、米国やEU、さらにはアジア諸国も含めて、新しい制度の趣旨や内容について機会を捉えて情報発信を行ってまいりたい、それによって国際的にルールがハーモナイズされる方向に議論が行くように、我々の考え方でありますとか運用状況でありますとか、そういうことを情報発信をしていきたいというふうに考えておるところでございます。

○矢倉克夫君
 是非、関係諸国の御理解を更に広めるべく努力をお願いしたいなというふうに思います。国境を越えた経済をつくる上では非常に重要な価値もあるかというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
その後また政務官にちょっとお尋ねしたいというふうに思うんですが、先ほども大臣から、この法案について、データの取扱いについては日本のコネクテッドインダストリーズという概念を基礎にしたものであると、現場の中小企業から生まれたデータ、それをどうやってつなげていくのかという発想が、日本らしい発想があるというふうにもお伺いもしたところであります。
その観点からも、この法案によってデータの利活用を更に推進していく、その主体としては中小企業も重要であるというふうに思いますが、やはり何といっても、中小企業にとって、これ、制度の周知を図る意味合いでは、制度についての分かりやすいガイドライン、ガイドラインが余りに複雑になり過ぎると、またそれに対応し得るような専門家の方がなかなか少ない中小企業にとっては取り扱いにくくなって、いい制度も使われなくなるわけでもあります。こういった形での分かりやすいガイドラインが必要かなというふうに思います。
また、もう御案内のとおりですけど、この動きというのは本当に速い、一年たてば全然違う状態になっていく、それをどうやって追っていくかという話であります。技術進展やビジネスモデルの変化が速いため、もう制度自体やガイドラインを作って終わりというわけではなくて、やはり将来は経済社会情勢に応じた見直しということも見据えて今から御準備をされる必要があるかというふうに思いますが、その辺りについては、経済産業省の御見解、政務官からいただければというふうに思います。

○大臣政務官(平木大作君)
 経済産業省といたしましては、中小企業も含めた多くの企業の皆様に新たな制度、有効に御活用いただくために、まずは、改正法の施行までに、そもそもどのような行為が不正競争行為に該当するのかなどの事項につきまして分かりやすい実践的なガイドラインを策定、公表する予定でございます。また、INPIT、独立行政法人工業所有権情報・研修館や関係団体との連携の下で、全国各地での説明会の開催、相談体制の整備などを通じまして、きめ細かい周知広報活動を展開し、制度全体の理解促進に努めてまいる決意でございます。
また、今委員御指摘のとおり、データの取引実態が急速に積み上がりまして、データやIoT関連技術が日進月歩で発展することが想定されますことから、改正法の施行後におきましても、技術革新や経済社会状況に応じまして制度やガイドラインの不断の見直しは必要と考えております。
そこで、中小企業も含む産業界や有識者の皆様の御意見を集めながら、データの取引実態や技術の進展、また改正法施行後の侵害の実例などを把握し、諸外国の動向なども踏まえまして、必要に応じ、適切な見直し、行ってまいる決意でございます。

○矢倉克夫君
 ありがとうございます。是非、中小企業が使いやすいような形でお願いします。
これは意見ですけど、また他方で、こういうデータの取扱いについての契約実務というものもまた向上していく必要もあるかなというふうに思います。その辺りも含めて並行的にまた議論をいただければというふうに思います。それは御意見として申し上げたいというふうに思います。
じゃ、次に、JIS法の関連についてお伺いしたいというふうに思います。私、これ、非常に重要な分野であるかなというふうに思います。
このJISに関係してですけど、よくオープン・アンド・クローズド戦略というふうに言われています。日本は、本当に物づくり、優れた技術を持っている、独創的な技術を開発される企業が非常に多い。その反映もあってか、特許という形で排他的にまず権利を囲い込んでその上で利益をしっかり図るという、この戦略、クローズド戦略というのは非常に活発にやられているというふうに思います。
私、その点は非常に重要だと思うんですが、他方で、クローズドばかりですと、今まさにコネクテッドの世界で、市場自体が縮まって、対応する市場がやはり縮まっていって最後はガラパゴスというようなこともやはりあるわけであります。クローズしつついかにオープンしていって、共同し合って、共有、共栄の経済構造、それに対応するような製品を作っていくのかというオープン戦略というのは、やはり重要かなというふうに思います。オープンということでいえば、やはり標準化であるかなと。
先日、中国へ行って改めて思ったんですが、短い時間、ずっといろいろ市を回ったら、何度も言っているキャッシュレス化がありますけど、あれはもうQRコードを使ってやっているわけでありますよね。QRコードは、日本のとある有名な会社が作られたものであります。もうこれは本当に成功事例かなというふうに思っています。特許の内容、これライセンス無償にして、その上で、規格化した上でオープンにして、QRというものは。その上で、全体を市場を拡大してQRコードを使っている人たちをばあっと広げた上で、最後は読み取りの技術を売るという戦略を使って利益を図っていった。どこをクローズにしてどこをオープンにするかという、この切り分けの戦略が非常によくできた成功事例かなというふうに思います。
こういうオープンの戦略をまた今後考えなければいけないなと。実感としては、まだ特に経営陣の皆様に、標準というかオープンにしていく戦略というものの周知も含めて、まだまだこれから必要な部分もあるのかもしれないなというふうに思っているんですが、政府として、今とりわけ、経営陣と言ってしまいましたけれども、そこに特出しはせずに、政府としてどのように企業へのオープン戦略というものの啓発、さらには標準化活動へのサポートというものをこれ実施されるのか、まず御説明いただきたいというふうに思います。

○政府参考人(佐藤文一君)
 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、QRコードのように、標準化によって市場の拡大を図りつつ、その市場の中で知財を活用しながら利益を上げるいわゆるオープン・クローズ戦略、これが重要だということは私どもも認識しておるところでございます。
ところが、日本では、知財については企業の認識、取組が進んでいる一方で、標準についてはまだ公のルールを決める国の活動という意識が強いかと思っております。標準化戦略担当の役員を置いている企業が現在のところ七十社程度しかないということなどを見ても、事業戦略と直結して捉えている企業は一部にとどまっているということが現状かと思います。
こうした企業の認識不足を変えるために、経済産業省では、標準の戦略的活用に関して企業や業界向けの講演を年百回程度実施しておりますし、また経営大学院などにおける講義を十八の大学において実施しておるところでございます。また、若手人材に対する国際標準化交渉のトレーニング研修を年二回実施するなどの取組をこれまでも進めてきたところでございます。
これに加えて、今回の法改正で新たに認定機関制度を導入して民間主導で迅速にJISを制定できる、こういうことが環境が整うわけでございますので、これを推進していくとともに、予算の面でも、国際的なルール形成の動向に関する情報収集と産業界への提供、企業の国際標準化活動への支援強化などの措置を講ずることを予定しております。
これら全体を通じて、産業界の標準化体制を強化してまいりたいと考えてございます。

○矢倉克夫君
 ありがとうございます。
今、公のものだという理解があったという、そこをまず突破することはやはり重要であるかなというふうに思います。
国際ルールという話も今あったので、その関係も含めて、これは大臣にお伺いしたいなというふうに思うんですが、標準化というのは、先ほども井原先生からトイレットペーパーのお話もあって、互換性というところ、そこからコストを下げるという標準という部分もあるんですが、その上で、まず企業ではそれが企業戦略に生かされるものだという理解も必要だし、そしてもう一つ必要なのは、やはり自社のこの標準を、互換性がある標準をやはり各国の規則などにも従わせるような、ルール化というような観点というのも非常に必要かなというふうに思っております。
いろんな今までそういうのに成功した例があるというふうにはお伺いしているんですが、例えば、今後はまた自動車とかも、自動車もエコカーとかそういうものがいろいろとこれからも議論されると思うんですけど、こういうものについて、いろんな自動車業界がそれぞれの規格に応じたものを造るんですが、最後はそれを世界的に、エコカーとはこうあるものだというような理解も含めてルールの中で規定をする、その部分のルール交渉も含めた上での標準化というのはやはり重要であるかなというふうに思っております。
こういう中で、標準化というものがやはり、何度も繰り返しますけど、各国の規制や政府や民間の調達などに活用されて初めて効力を発揮して市場獲得の道具となっていくわけでありますが、こういう標準をそれぞれの規制とか調達などに活用して市場獲得を図っていく、こういう国際ルールの形成という観点が重要かと思うんですが、この辺りについて日本としてどのように進むべきか、大臣の御所見をいただければと思います。

○国務大臣(世耕弘成君)
 ヨーロッパなんかは、やはりこの国際標準をうまく取ってそして主導していくというのが非常に上手だと思いますし、最後は国際機関での投票になると、ヨーロッパは突然、二十八票ですかね、持っていることになるわけでありまして、非常にその辺をうまくやっているというふうに思います。
日本の場合は、過去私の勤務していた電話会社も含めて、いい技術、いいものは作っているんだけど、気が付いたら国際標準は別のものになっていると。この辺取れないと、今御指摘のように、例えば各国の政府調達はこれWTOの政府調達協定に従って行われることになりますので、せっかく日本の技術なのに、日本政府、あるいはJRといったようなその政府調達の対象になっているような機関も調達できないというような問題が起こってきているわけであります。特に、今御指摘のように、これから自動走行とか第四次産業革命に代表される分野においては、これは製品やサービスが市場に出る前からこの標準化を獲得する競争が行われるようになっていますので、日本としても、国際的な動向を踏まえた戦略を立てることが喫緊の課題だというふうに思っています。
こういった問題意識から、内閣官房を中心に関係省庁や経済団体が連携して、国際標準獲得に向けた官民連携会議というのを設立をしています。日本として市場獲得を目指すべき分野ですとか、あるいは日本が苦手としている社会システム分野といったところの国際標準化のための戦略ですとか推進体制、国際規格の活用による諸外国の規制への働きかけなどについて議論をさせていただいています。
経産省としても、関連予算を拡充をして、世界の規制や標準化の動向に関する情報収集を強化するとともに、ISO、これは国際標準化機構、あるいはIEC、国際電気標準会議といったこの標準化機関において日本による国際標準提案や委員会の幹事引受けの数を増やすなど、今後とも、関係省庁と連携しながらしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

○矢倉克夫君
 ありがとうございます。
今大臣、政府調達の関係もおっしゃっていただきましたが、まさに、例えばTBT協定などでも、国際標準であれば各国の強制規格がそれを採用しなければいけないというような規定もあるわけであります。それぞれの国際交渉の場でいかに国際標準として認められるかというこのアプローチがあって初めて各国企業のいろんな動きも世界展開できる下地ができるかなというふうに思っております。
その理解の前提で、もう一つだけちょっと端的にお伺いしたいなというふうに思うんですが、今回のJIS法の改正です。今の国際標準化のために、例えばISOであったりとかそういうところで議論をしなければいけないという文脈はあるわけですが、そのような動きにとってこのJIS法の改正というのがどういうふうに役立つのか、御答弁いただければと思います。

○政府参考人(佐藤文一君)
 お答えいたします。
御指摘のとおり、国際標準の方が世界市場獲得に有効に働くというのは御指摘のとおりなんですが、一方で、国内標準の制定によって国際標準化が円滑に進むケースが多いということもあります。国際標準の制定に関しては、ISOなどの国際標準化機関において、既存の国内標準があれば、その根拠になった試験データや利害関係者間の議論の蓄積を有することが評価されますので、このためJISの制定が円滑な国際標準の制定にも大きく貢献した、そのような事例がございます。
また、JISを経てから国際標準へ提案することは、通常必要な審議プロセスを経ずにすぐに加盟国の投票に掛けることができるなどの仕組みもあり、二〇一七年には七件をこの仕組みを活用して国際標準を制定しておるところでございます。
このように、JISの制定を迅速化することは、日本が国際標準に関する取組を強化していく上でも大変重要だと思います。
もう一点だけ加えまして、国際標準の対象範囲がマネジメント分野やデータ分野、データを含むシステム分野に拡大しておりますので、こうした分野の標準化体制を国内的に構築するためにも今回のJISの対象を拡大することは大変重要でございまして、いずれにしても、官民で連携して、今後もJIS制度を活用しながら国際標準化に積極的に取り組んでいきたいと考えてございます。

○矢倉克夫君
 是非、JISを利用した国際標準という動きも加速していただきたいなと。先ほど、幹事国としての、ISOの中での、増えたというような話もありましたが、これは意見だけ。そういう動きを更に加速していっていただいて、また新興国の方でもそういう競争も今後激しくなってくると思います。そういったこと等の中で、やはり最後は官民一体となってやっていくという体制をこれつくることが非常に重要かというふうに思います。そういったISOの舞台であったりIECであったり、そういうところとの動きの加速化も是非また進めていただきたいと、これは御要望だけさせていただきたいというふうに思います。
ちょっと残り時間少なくなったんですけど、最後、特許法についてちょっとお伺いしたいと思います。
地元である企業を回っておりましたら、階段昇降機などを造っていた企業なんですけど、今後海外展開をしたいと。そういうときに、今回の改正で国際出願の関連手数料を半減するという話をしたら、大変に喜んでおりました。もう本当に、そういう点でも地元にもしっかりと喜ばれる、企業に喜ばれる非常にすばらしい改正であるかなというふうに私は思っております。
とりわけ、あと、その上で、手数料の引下げだけではなくて、出願後の制度運用も含めて、やはりワンストップ、中小企業の支援というところではここも非常に重要かと思うんですが、特許庁としてはこの辺りについてどのように取組をされるのか、御答弁いただければと思います。

○政府参考人(宗像直子君)
 特許庁は、海外に出ていく際の情報を収集する段階から、権利を取ったり、あるいは侵害対策といった各段階での御支援を、全国四十七都道府県の知財総合支援窓口、それと中小企業庁の下で運営しているよろず支援拠点、これが連携をしましてワンストップで提供しております。
中身としては、情報収集につきましては、弁理士、弁護士などが無料で相談を受け付ける、あるいは、海外でどんなリスクがあるか、出願手続はどうなっているかといった情報や助言を提供しております。それから、外国出願の際は、翻訳や代理人の費用などの半分を補助しております。それから、海外で知財を侵害された場合に、例えば模倣品が出回ってしまった場合に、それを作ったり売ったりしている人に警告状を送るための調査費用であるとか、それから、自社ブランドを先取りされてしまった場合には、それを取り消すための審判請求の費用であるとか、こういったものの一部を補助しております。外国で訴えられた場合の弁護士費用を賄う保険の加入費用の一部なども補助しております。
これらの情報が、パンフレット、ウエブサイトなどでも提供しているんですけれども、日頃から中小企業と接点のある中小企業支援機関や地域金融機関の方々に周知をして、身近に情報が得られるようにしていきたいと思っております。

○矢倉克夫君
 非常に今、広範に取組をされていることを改めて議事録に残る形でもお話しいただいたわけでありますが、しっかりまた周知をお願いしたいというふうに思います。私も行ったところは、自前でふうふう言いながら頑張っていらっしゃったところもあったので、是非よろしくお願いします。
あと一点だけ、また長官に引き続きお伺いしたいんですけれども、さっき答弁の中でおっしゃっていた模倣品の対策、これだけ一つ、私もちょっと関わっていた時期もあったこともありますので、答弁をいただければというふうに思います。どのような審議をされているのか。

○政府参考人(宗像直子君)
 具体的には、ジェトロなどの海外事務所に知財の専門家を配置しまして、現地の知財制度に関する情報提供や模倣品被害に遭った場合の対策マニュアルなどを提供しております。それから、現地の機関に働きかけもしておりますし、御相談に対する対応も行っております。
特に中小企業の皆様に対しましては、先ほど申し上げたような侵害品の調査であるとか警告状の作成、行政摘発の申請などに費用の三分の二を助成しております。
それから、各国の警察や税関などの取締り機関に対しまして、正規品を見分ける真贋判定のポイントなどの情報を提供するとともに、中国との間では、政府間の定期協議の場を通じて模倣品取締りの強化をお願いしております。
こういったことを積み重ねてまいりたいと思っております。

○矢倉克夫君
 ありがとうございます。
二〇一三年時点では海賊版も含めて五十兆円ぐらい被害があったというふうにもデータもあるぐらいでありますので、また引き続きこの辺りは対応をいただきたいなというふうに思います。
最後、大臣にお伺いしたいというふうに思います。
今回の改正で一つまた特色があるのが、弁理士さんの活動をこれまでの部分とはまた更に広げて、標準であったりデータの利活用を通じた部分まで広げられているというところも大きいかなというふうに思います。
特許というところでよくやられている、申請という話でよく今まで動かれているんですけど、当然、弁理士さんも、特許を権利化するだけではなくて、やはりその後の権利行使というところも含めて申請もされる、そうする観点からは、ほかの、特許申請をしようとしているクライアントの技術以外のものもしっかり理解した上で申請されるのが通常の実務であると思いますし、そういう点では、データ取扱いも、情報とかそういう製品の技術だとか、そういうのも含めたスペシャリストであるかなというふうに思います。
そういう、弁理士さんが今後コンサルティング機能を発揮していくというのも非常に重要であるかなというふうに思うんですが、弁理士さんが期待されているこうした役回りを果たしていけるように政府としてどのように取り組まれるのか、最後、大臣から答弁いただければと思います。

○国務大臣(世耕弘成君)
 中小企業というのは、なかなか社内に専門的な人材抱えるというのが難しいわけですから、弁理士の先生方が標準化とかデータの利活用についても一体的にコンサルティング機能を発揮していくことに期待を持ちたいというふうに思うわけですが、御指摘のように、弁理士さんというのは、特許とか商標とかそういったところの手続の専門家というところもありまして、やはりこの標準化、データということについては少し自己研さんも図っていただく、そしてアップデートしていただく必要があるのかなというふうに思っています。
政府としても、日本弁理士会と協力をして、弁理士に対する研修の充実などに取り組んでいきたいというふうに思っています。また、中小企業が、この弁理士さん、こういう能力を持っていますよということをやはりしっかり分かるようにしなければいけませんので、日本弁理士会が運営する、弁理士をインターネット上で手軽に検索できる弁理士ナビをより使いやすくするため、日本弁理士会と改善について議論をしてまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君
 是非、引き続き、弁理士さんともまた協力もしながら、いい形での法運用をお願いできればと思います。
以上です。ありがとうございます。

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