198回 国土交通委員会

2019-05-21

○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いします。
前回に引き続き、部品商や自動車整備工場等に対する自動車部品の供給制限についてお伺いをしたいというふうに思います。
前回もお配りをした新聞記事、今日も資料をお配りもしております。昨年一月十三日付けと二月七日付けの日刊自動車の記事によりますと、外車インポーター二社が部品卸売販売会社に対しての純正部品の供給を昨年一月止めたということです。輸入車整備を手掛ける一般整備工場に広く部品を供給していた部品商ルートがシャットダウンされたということで、ディーラーからしか購入できない状況に追い込まれる。その結果、一般整備工場は価格面や流通面で不利、不便になってしまうと。事実上、これはディーラーでしか整備ができなくなり得る状況になってしまう可能性もある。
こういう状況であるとともに、やはり看過できないのは、ディーラー網が少ない地方とかで純正部品を使っていた一般整備工場での輸入車整備が十分行き届かなくなる可能性があり、最後は消費者、自動車ユーザーに対しての不利益になってしまうということであります。
このような事態は好ましくないと考えておりますが、まず国土交通省の見解をお伺いするとともに、そして公正取引委員会からも事実を把握していたかお伺いをしたいと思います。

○政府参考人(奥田哲也君)
お答え申し上げます。
先生御指摘の記事につきましては国土交通省においても承知をいたしておりまして、昨年一月、これらの輸入代理店に対しましてそれぞれヒアリングを行ったところでございます。
国土交通省といたしましては、補修用部品の流通や価格につきましては、原則、民間の商取引に基づくものと認識いたしておりますが、整備工場が必要な補修用部品を入手できず、自動車を保安基準に適合させるために必要な整備を行えない場合、その使用者が保守管理義務を果たすことに困難が生じる可能性があることから、そのような問題が生じないよう引き続き状況を注視し、必要に応じて適切に対応したいというふうに考えております。

○政府参考人(東出浩一君)
御指摘の報道につきましては、そういう報道がされているということは承知をしておりますけれども、個別の事案に係ることでございますので、それ以上のことは差し控えをさせていただきます。

○矢倉克夫君
個別の事案だということであります。ただ、個別の事案から見えてくる一般的な課題をしっかり把握するのが公正取引委員会であるというふうにまずは申し上げたいというふうに思います。
今、国土交通省から、まさにこの安全、保安に関わるこの整備がし得なくなる状態があり得るというような問題意識はお示しをいただいたところであります。
ちょっとここからは公正取引委員会にお伺いもしたいというふうに思いますが、公正取引委員会は、先日の御答弁では、違反となり得る事実として市場からの排除や公正な競争秩序に悪影響を与えるなどを挙げていただきました。この判断のための参考事情、どういう事情があるかということをちょっとお伺いしたいと思うんですけど、例えば具体的には以下のような事情がその判断における参考事情となるかお尋ねしたいというふうに思います。ならない場合は、その根拠も求めたいというふうに思います。
まず、供給制限の対象となった部品が代替性に乏しい部品であることです。特に自動車部品、この傾向が強いと思います。また、自動運転というふうにも言われている中にあって更にこの傾向は強まると思いますが、この部品取得に支障を来すことは市場活動における大きな妨げとなるのではないか。
まずその点と、じゃ、次に、あわせて競争者の経営に与える影響の甚大性ですね。特に、私が現場で聞いた限りでは、一般自動車整備工場は売上げの半分ぐらいがもう部品代金であると。そういう中にあって部品取得に支障を来すということは、これ一月十三日付けの記事にも書いてあるんですけど、整備工場の利益がほぼ出ない状況にもなり得ると。そういうような場合にあって、市場活動に大きな妨げになるのではないか。
この二点について、参考事情となるか、お伺いをいたします。

○政府参考人(東出浩一君)
個別の問題につきましてはお答えは差し控えさせていただきますけれども、一般論として申し上げますと、自動車メーカーですとか正規輸入車代理店が自動車の修理に必要な補修部品を系列ディーラーのみに販売するということにつきましては、それは修理後の自動車の安全性の確保等、正当な目的のために行われる場合もありますので、それ自体が独占禁止法上問題ということにはございません。
ただ、そうした行為が独占禁止法上問題となるか否かにつきましては、個別の事案ごとに判断する必要がございますけれども、対象商品の代替性がどうか、それから自動車メーカーですとか正規輸入車代理店というのが整備業者と競争関係に立っているかどうか、それから、競争者、この場合は整備業者になるかと思いますけれども、それに与える影響がどういうものか、それから補修部品の供給元である自動車メーカーですとか正規輸入車代理店の市場における地位、それから整備業者が代替的な取引先を確保することができるかどうかというようなことを総合的に判断することとなるというふうに整理をされております。

○矢倉克夫君
長く、今もうお話もありました、こういう状態が放置されるというのは非常に問題でもあります。
それで、今、改めて確認するんですけど、違反かどうかというより、まず参考事情として、しっかりこのような事情が大事だと公正取引委員会として理解をしているか、そこを改めて確認をしたいと思います。

○政府参考人(東出浩一君)
繰り返しで恐縮ですが、個別の事案についてはちょっとお答えを差し控えさせていただきますけれども、一般論として申し上げまして、御指摘のような自動車メーカーですとか正規輸入車代理店が自動車の修理に必要な補修部品を系列ディーラーのみに販売するようになるということにつきまして独占禁止法上問題になるかどうかというのは、個別の事案ごとにいろんな事情を判断する必要があるということでございます。
公正取引委員会といたしましては、独禁法に違反する事実に接した場合には厳正に対処することとしておりますので、そういうことを通じて一般消費者の利益の確保ということに努めてまいりたいというふうに考えております。

○矢倉克夫君
個別事情だというのは、じゃ、その苦しんでいる人たちが訴訟を起こして、それで結果が見えなければ何もやらないというような言葉にも聞こえるんですが、申し上げているのは、参考事情としてこれが大事な情報かどうかということを改めて先ほどから、いろいろちょっとごまかしたような答弁されますけど、先ほどの答弁からは、まず少なくとも部品の代替性というのは考慮する事情だということは聞こえましたし、そして、経営者に与える影響が、それも判断し得る事情だということは答弁からも考慮はされているというような私は理解をさせていただいております。
これはその観点で今御答弁をいただいたということで、ちょっと次に質問をさせていただきたいというふうに思います。
二月七日の記事にありましたが、補修部品業界では、これ輸入車の修理先を選べる権利をアピールしようとしている動きが出始めております。欧米では既に法制化されている、前回もお配りしたこのEU規則、これ、この観点からも作られているという一部意見もあるんですが、ハードコアな制限行為として、選択的流通系統の事業者による、自動車の修理、維持に利用する独立系修理事業者に対する自動車のスペア部品の販売を制限する行為、これを挙げていらっしゃいます。こういうEU規則の趣旨、これはもうハードコアですから、こういう事実があれば違反となり得る、当然というか、違反となり得る可能性が相当高い、蓋然性が高いということを類型化しているわけですけど、このような規則を制定した背景をどのように捉えているのか、公正取引委員会の見解を求めたいと思います。

○政府参考人(諏訪園貞明君)
お答え申し上げます。
今御案内のありましたEU競争法制におきましては、自動車の流通とサービスに係る協定につきましては、一括してEU機能条約第百一条第一項の競争制限的協定の禁止の適用を免除する規則が定められております。これはEU規則第四六一/二〇一〇号でございます。
他方で、この同規則におきましては、自動車のスペア部品や修理、保守のサービス等のアフターマーケット取引における一定の類型の行為につきましては、これは一括適用免除の対象にならないと、こういうふうにされております。また、議員御指摘のような、選択的流通系統の事業者による、自動車の修理、維持に利用する独立系修理事業者に対する自動車のスペア部品の販売を制限するといった行為につきましては、これは一括適用免除の対象になりません。原則として、競争制限的協定を規定するEU競争法第百一条第一項、この対象になるものと承知しているところでございます。
このように、一定の類型の行為が原則として一括適用免除の対象にならないというのは、独立系の修理保守事業者や部品メーカー等がディーラー系の事業者との間で有効な競争を行えるようにするためのものであるというふうに承知しているところでございます。

○矢倉克夫君
済みません、一括的なところ、これ競争を促進するというところの趣旨から規定されているということで理解はよろしいでしょうか。

○政府参考人(諏訪園貞明君)
お答え申し上げます。
議員御指摘のような形で、原則として一括適用免除の対象にならないのは、独立系の修理保守事業者や部品メーカー等がディーラー系の事業者との間で有効な競争を行えるというようにするためのものであるというふうな趣旨であるというふうに承知しているところでございます。

○矢倉克夫君
その有効な競争をしっかり確保する必要があるわけであります。
その趣旨からして、今、先ほど申し上げたような事実が本当に有効な競争になっているのかどうかというところは、また公正取引委員会としてはしっかり考えていかなければいけない、底流として考えていかなければいけない理由であるというふうに思いますし、その趣旨は、最後はそれがないと一般消費者、自動車ユーザーに不利益があるということになるというふうに思います。
その点から、また次にもちょっとお伺いしたいんですが、前回の御答弁では、やはり民間同士の契約自由ということが強調されていらっしゃいましたが、健全な競争を通じた消費者の選べる権利、消費者利益の保護という観点からその契約自由を制限すべきときもある、それが競争法の根底の原理だと思いますし、それを番人として動いていらっしゃるのが公正取引委員会であるというふうに私は思っております。
今日はお配りいたしましたが、公正取引委員会のホームページに、「私たちの暮らしと独占禁止法の関わり」には、私たちは、たくさんの商品の中から欲しいものを選択し、多くのお店から自分の好きなお店を選んで、その商品を買っています、これは、たくさんの企業が商品を作って販売しているからであり、この企業間で様々な競争をしているからなのである。
これは、この競争、しっかりした公正な競争をするというのは当然ですけど、サービスとしての自動車修理にもこれは当てはまる、理解しております。
ただ、やはり先日の御答弁だけではこの、今の御答弁もそうでしたけど、個別事情には立ち入らない、そして、まずは民間の自由だから問題ないというところから話も進められる。その御姿勢だと、明確に違反でない限り一切関わらないというようなふうにも私は聞こえてしまったと。番人としての使命からはどうかと。現場で起きている事柄、何か常に心を配る必要が私はあると思うんです。
そこをもうちょっと考慮した上で考えていただきたいというふうに思うんですが、改めて、公正取引委員会、この独禁法も含めた、この底流にある思想というのは競争を通じた消費者利益の保護でありますし増大であるというふうに理解もしておりますが、先ほど述べたような部品供給における状況は、適切な競争環境の保持、何よりも消費者利益の確保というところでは問題となり得るのではないか、逆行し得るのではないかと思いますが、公正取引委員会の見解を求めたいと思います。

○政府参考人(東出浩一君)
御指摘の状況ですけれども、どうしても個別の事情ということに関わることになりますのでこの場でのお答えは差し控えますけれども、一般論として申し上げますと、公正取引委員会といたしましては、様々な状況を勘案いたしまして、公正かつ自由な競争に悪影響を与えるかどうかということについては見ていくということでございます。そして、独占禁止法に違反する事実というのに接した場合には厳正に対処してまいるということでやっております。

○矢倉克夫君
個別の事情を聞いているんじゃないんです。この個々に現れた現象からこういう競争法的な問題があり得るんじゃないか、一般的に考えて。で、その考える、この社会の中にある課題で対処するに当たっては公正取引委員会としてはどういう理念で動くのかという、その姿勢、根本の行動原理をお伺いしているんです。それがない限りは、事案ごとに行き当たりばったりの対応をしますと言っているようにしか聞こえなくなるんですよね。そこをお伺いしているということはちょっと改めてお伝えをしたいというふうに思います。
もう一回だけ、先ほどちょっとお伺いをした、じゃ、参考事情として、先ほど申し上げました部品の代替性であったりとか経営に与える影響、こういうものは参考事情、大事な事情として考えるかということをまたお伺いしたいと思います。

○政府参考人(東出浩一君)
これも一般論になりますけれども、先ほど申し上げましたような事案、事実関係といいますか、そういう想定の下におきまして、部品の代替性がどうかですとか、事業者に与える影響ですとかというのを、その他の事情も含めまして総合的に勘案していくということになるということでございます。

○矢倉克夫君
事実としてしっかり確認をして、大事だという理解で進むということでありますので、そこを含めしっかりこれからもちゃんと対応していただきたいというふうに思います。
その上で、これは本当に、競争関係というのは、これ、今、部品業界も話にもありましたけど、いろんなところで個々に現実的には不公正な競争になっているけど、個々の事実が訴訟で争われるとかそういう事態でなければ放置されるというようなことがいろんな分野でも起きているところだと思うんです。だから、そういうところにどうやって対処していくのかということを、公正取引委員会としてもよく現場を見て動いていただきたいということは要望させていただきたいというふうに思います。
それで、もう一つ、まず、EU規則のように、独占禁止法の思想に基づいて、こういう行為というものについては注視をします、ブラックリストとまでは言いませんけど、そういうものを明記するようなガイドラインということを作るお考えはあるのか、公正取引委員会にお聞きしたいと思います。

○政府参考人(東出浩一君)
委員御指摘のEUの規則でございますけれども、先ほどの繰り返しになりますけれども、これはEUの方で、自動車の流通とサービスに係る協定につきましては、一括してEUの独占禁止法に当たる法律でありますEU機能条約第百一条第一項の適用を免除するというのがありますので、それに対して一定の行為が一括適用免除の対象とならない、すなわち、原則のEU機能条約第百一条第一項の適用対象になるということを明らかにしたものという規則でございます。
他方、我が国では、自動車の流通とサービスに係る協定について、EUのように一括して適用を免除するとか除外をするとかということをしておりませんので、通常のように、そういう適用除外の対象にはなりませんよという行為をリストアップする必要はございませんで、原則どおり独占禁止法を適用していくということになります。
独占禁止法にどういうものが違反するかとかしないのかとかいうことにつきましては、流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針というような、いわゆるガイドラインというのを作成しておりまして、その中でどういうようなことが問題となり得るかということを明らかにしておりますので、そういうことに基づきまして適切に対応していきたいというふうに考えております。

○矢倉克夫君
EUは、一般的には適用のないものを、適用除外の例外ということでリスト化しているということでありますが、そういうそのリスト化されたということ自体は、その行為がある程度の競争阻害だというところを理解しているという趣旨でありますので、その上で、ガイドラインの話もありましたが、ガイドラインも含めて、ただ、この事態がどういう事態かということを、ガイドラインの運用もまた改めて別個ガイドラインを作ることも含めて検討していただく上で、やはり公正取引委員会にこの補修部品業界の実態調査、これをしていただきたいというふうに思っております。
最近も十年間で十一回のいろんな実態調査をされているわけであります、各分野においてもですね。こういう事態が起きていて、それが競争法の理念上どういう影響を及ぼすのか、こういうこともしっかりと把握する上で実態調査していただきたいというふうに思いますが、公正取引委員会の見解を求めます。

○政府参考人(東出浩一君)
公正取引委員会は、従来から、幾つかの業界を選びまして、各種商品の流通構造ですとか取引慣行ですとかというふうな実態を調べております。それで、競争政策上問題になるおそれのある取引慣行が見られた場合には、その旨を指摘いたしまして、自主的な改善を促すというようなことの取組を行ってきております。
御指摘の補修部品業界の実態調査につきましても、そのような全体の取組の中で検討していきたいというふうに考えております。

○矢倉克夫君
時間ですのでこれで終わりますが、現場の感覚をしっかり持っていただいて、しっかりと公正な競争の番人としての使命を果たしていただきたい、これを御要望して、質問を終わります。