2019-11-14
○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いします。
質問に入る前に、先ほど小野田委員から御質問いただきましたヘイトスピーチ解消法、私、発議者でもあり答弁もさせていただいているので、その立場から申し上げますと、同法は、二条の定義、反対解釈して、書かれていないものに対しての行為が許されるというようなものでは断じてないということはまず申し上げたいというふうに思います。
その上で、質問入らせていただきます。再犯防止についてまずお伺いします。
議員立法である再犯防止推進法、こちら私自身も関わらせていただきました、山下元大臣などとも。私も党のPTの事務局長をしておりましたので、与野党調整などもしたところであります。
それに基づいて、平成二十九年十二月に再犯防止推進計画、初めて取りまとめられました。その中で特に注目すべきなのは、七つの項目のうちの一つとして、地方公共団体との連携強化が挙げられていることであります。
犯罪をした人が地域社会に戻った後も立ち直れる、このきっかけをつくるためには、やはり自治体による継続的なサービスが必要であると。私も、議論をしている過程で、党の方でもお会いした東久留米市長の野崎さん、元市長の野崎さん、保護司もされていた方なんですが、多摩地区で保護観察協会というのを組織して、人口一人七円のお金を募って保護司会の財政基盤を支えていた、こういうすばらしい自治体の取組も聞いたところであります。
こういう自治体の動きをしっかり推進していく、この地方公共団体による再犯防止の取組を推進していくということが大事であると考えますが、まずは法務省の具体的な取組をお伺いいたします。
○政府参考人(西山卓爾君)
まず、国と地方公共団体の連携の土台となる体制の整備が重要でありまして、法務省におきましては、昨年度から、再犯防止に取り組む市町村の首長等を集めた市町村再犯防止等推進会議を開催して、国及び市町村間で再犯防止に係るネットワークの構築を進めているところでございます。また、本年八月には、地方公共団体が地方再犯防止推進計画を策定する際の参考となるよう、関係省庁の協力も得て、地方再犯防止推進計画策定の手引を作成し、全国に周知するなどしております。
さらに、法務省におきましては、国と地方公共団体の協働による地域における効果的な再犯防止対策の在り方について調査するため、昨年度から、地域再犯防止推進モデル事業、これを実施しておりまして、昨年度は事業期間を三年間として合計三十の地方公共団体に、また本年度は事業期間を二年間といたしまして合計七の地方公共団体にそれぞれ委託し、現在、委託先団体において、高齢者や障害者に対する支援や就労支援など、地域の実情に応じた取組が実施されているところであります。その上で、法務省としては、モデル事業を通じて得られた知見や効果的な取組について、今後、全国の地方公共団体に共有することとしております。
今後も、法務省としては、このような取組を通じ、地方公共団体が国と連携して効果的な再犯防止施策を実施できるよう、引き続きしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。再犯防止推進法は、やはり四条、地方自治体の責務も規定したことも一つ大きな肝であるというふうに思っております。
自治体ごとのやはり取扱いも均一化されていないというところも議論の中で問題がありました。そういう中にあって、今、地域再犯防止推進モデル事業を挙げていただきました。これ非常に重要な取組、地方公共団体による効果的な取組を普及、推進する上では、極めて重要な取組であるというふうに思っております。
大臣にお伺いしたいと思うんですが、このモデル事業、しかしながら令和二年度をもって終了する予定であると聞いております。モデル事業という形ではないにいたしましても、地方公共団体が今後再犯防止の取組を推進するために、この取組を行う地方公共団体に対しまして国としても継続的に財政的な支援をする、このようなことも必要性があるというふうに思いますが、大臣のお考えをお伺いいたします。
○国務大臣(森まさこ君)
矢倉委員にお答えをいたします。
犯罪をした者等の立ち直りのためには、地域社会に戻ったときに必要な支援を継続して受けられるようにするということ、委員の御指摘のとおりであると思います。住民に身近な各種サービスを提供している地方公共団体だからこそ、その役割は極めて重要であると考えております。
こうしたことも踏まえ、再犯防止推進法では、国のみならず地方公共団体も再犯防止施策の実施主体として位置付けておりまして、再犯防止推進計画においても地方公共団体との連携強化の取組を重点課題の一つとして掲げております。法務省においては、先ほど事務方が答弁したとおり、平成三十年度からモデル事業を実施しておりまして、委託先の地方公共団体に対しては委託費を措置しているところでございます。
もっとも、委員御指摘のとおり、このモデル事業については令和二年度をもって終了予定でございます。モデル事業終了後の国による支援の在り方については、委員の今ほどの御指摘も踏まえて、モデル事業の成果や地方公共団体からの要望等を踏まえつつ、関係省庁とともにしっかりと検討してまいりたいと思います。
○矢倉克夫君
関係省庁と検討をされるというお言葉もいただきました。推進法の方の九条の方にも、政府の責務としまして、法律の目的を達するために財政上又は税制上の措置又はその他を講じなければならないと書いてあります。この趣旨にのっとって、是非引き続きよろしくお願いを申し上げます。
それでは、次の質問に入らせていただきます。被害者支援制度についてであります、ちょっと話題を変えまして。
こちらについて、特に犯罪被害給付制度ございます。今日は警察庁にも来ていただいているわけでありますが、こちらの御案内の中で、犯罪被害者と加害者との関係、金銭関係や男女間のトラブル、その他の事情から見て給付金を支給することが社会常識に照らし適切でないと認められるときは適用しないという規定がございました。
私、先日、ある娘さんが元交際相手に殺されたお母様からお手紙をいただきまして、今日このコピーも持ってきているんですが、私の方でお電話をしていろいろお話もお伺いもしたところであります。本当に悔しいと、どうしてあんなすばらしい娘がというような、泣きながらのお声とともにおっしゃっていただいたのがこの犯罪被害者支援制度であります。先ほどの条項から考えて、一律とまでは申し上げませんけど、男女間の関係ということで除外をされてしまうということでありました。しかし、娘さんはしつこく付きまとわれた後で殺されてしまったと、それが何でほかの人と区別をされなければいけないのか、娘の人生はそういうものだったんですかというようなお声でありました。
今申し上げましたが、当初恋愛関係にあったとしても、その後の男女関係の感情のもつれから相手方がいわゆるストーカー行為、今ストーカー規制法も強化をする方向にも来ておりますが、こういうストーカー行為に走ったり、あるいは一方的に被害者となり得ることもあるわけでありますので、この男女関係のトラブルということで除外をするということ、どこに根拠があるのか、それは正しいのかというふうに思っております。
この辺りについて、警察庁の見解を求めたいというふうに思います。
○政府参考人(山田知裕君)
お答え申し上げます。
犯罪被害者等給付金につきましては、都道府県公安委員会が、申請に基づき、犯罪被害者と加害者の関係や犯罪被害者の帰責事由の有無などを調査いたしまして、その支給の可否及び額を裁定しております。犯罪被害者等給付金の全部又は一部が支給されないことがあり得るところでございます。
原則といたしまして、犯罪被害者と加害者との間に事実婚を含めまして婚姻関係があったときは犯罪被害者等給付金は支給されませんが、加害者に対して配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律に基づく保護命令が発せられていたなど婚姻関係が破綻していたと認められる事情がある場合には犯罪被害者等給付金は支給されることとなります。
また、原則といたしまして、犯罪被害者と加害者との間に交際関係などの密接な関係があったときには犯罪被害者等給付金の一部が減額されることとなりますが、犯行が加害者の一方的な事由によるものであるなど、減額されることが社会通念上適切でないと認められる特段の事情がある場合には全額が支給されることとなります。
いずれにいたしましても、都道府県公安委員会におきまして、個別の事案に応じ、犯罪被害者と加害者との関係や犯罪被害者の帰責事由の有無などを含め所要の事項を調査し、適切に裁定することとしているところでございます。
○矢倉克夫君
個別の事案によるということでありましたが、要するに、そういう運用自体もやはり現場には徹底されていないと。先ほどの案内だけを見ると一律に除外されるかのような記載にもなっておりますし、そういうふうになっている事情もございます。そこはしっかりと現場をやはり調査をいただいて、お一人お一人の思いにしっかり寄り添うような、私自身は、男女関係の問題だからということで除外されるということ、そもそもがやはり理由はないというふうに思っております。
その上で、これはまた引き続きしっかりと協議もしていきたいというふうに思いますが、適切な運用を含め、一人一人の保護のために全力で当たっていただきたいことをお願いを申し上げたいというふうに思います。
時間もありませんので、次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。先日できなかった児童虐待の関係の話、質問であります。
今月は児童虐待防止推進月間であります。この件に関係しまして、平成二十七年に調査をしたある調査によりますと、こういうふうに出ておりました。少年院に在院する人の六割から七割が虐待を受けた経験があると。特に、年齢層によるんですが、女性のある一定の年齢層は八割ぐらいが虐待を受けているというふうにも言っていたということであります。この人数というのの母数は、調査に同意をした、親も含めて同意をした数を母数にしてやったものですから、同意をしていない方の数は入っていない、だから、実際虐待を受けている人はもっと多いかもしれないということであります。虐待というものは、その人の人生、ずうっとその後の人生の在り方についてもいろいろと深い傷を残していく、大変罪深いものだということの一つのデータで証左というふうに思います。
法務省として、お尋ねしたいのは、やはりその傷を癒やすために何ができるとお考えになっているのか、まずはお尋ねをしたいというふうに思います。
○政府参考人(名執雅子君)
少年院における取組についてお答えいたします。
少年院入院後一定期間を経過して、職員との信頼関係がある程度築かれた時点で被虐待経験を申し出る在院者もいるところでございます。委員御指摘の平成二十七年に実施された外部研究者による調査の結果については今委員からその状況を御指摘いただいたとおりでございますけれども、女子少年が被虐待体験に関してより深刻であるということがその中で指摘されております。
そこで、矯正局では、女子少年の被虐待経験の割合が高いことから、平成二十五年度から女子少年院在院者の特性に配慮した処遇プログラムの開発を進め、女子少年院全庁で実施しているところです。
このプログラムにおきましては、被害体験によるトラウマが自己イメージの悪さ、内面の不安定さにつながっているとの知見に基づき、自他を尊重する心を育み、より良い人間関係を築くことを目指すアサーショントレーニングと、呼吸の観察などを通じて衝動性の低減や自己統制力の向上を目指すマインドフルネスから成る基本プログラムを実施するとともに、個々の問題性に応じて、自傷、摂食障害、性問題行動など、特に自己を害する問題行動について改善を目指す特別プログラムを実施しております。
また、保護者との関係や被虐待体験への向き合い方といった在院者個々の事情の違いを踏まえつつ、日常的に個別担任による面接指導や課題作文等を中心とした慎重かつ極めてきめ細かい働きかけを行っているところでございます。
○矢倉克夫君
児童虐待はまさに生き方に影響を及ぼす、そういうことであり、取組をしっかりまた進めていきたいというふうに思います。
その上で、この児童虐待というのは親によるものというふうに言われておりまして、今も区別されておりますが、広く、親以外による虐待、社会全体による虐待とも言ってもいいものとして、私は、一つは児童ポルノがあるというふうに思っております。
度重なる改正をしてまいりました。しかし、二〇一四年の改正の以降更にまた増えている。この状況は、やはり諸外国と比べていろいろ言われているところは、いろんな見る側のプライバシーなどとの利益調整の下で日本は規制を考える、外国とはまた違う部分があって、しかしそれではなくて、やはり児童、そしてその大きくなっていく人生にとって大きな影響を与える虐待というこの重大性に感じて、子供の保護という観点から規制の在り方というものもやはり考えなければいけないのではないか、こういうふうに思いますが、最後、森大臣に御意見をいただければというふうに思います。
○委員長(竹谷とし子君)
お時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。
○国務大臣(森まさこ君)
児童ポルノは、児童の権利を著しく侵害し、その心身に将来にわたって傷を負わせるものであって、それを放置していくことは決して許されるべきではないと思っております。
児童ポルノに関する規制については、平成十一年、議員立法により児童買春・児童ポルノ禁止法が制定され、その後も必要に応じて改正がされてまいりました。更なる規制の在り方についても様々な御意見がございまして、現在国会議員の先生方においても議論が行われているものと承知しております。
法務省としては、今後もその推移を注視するとともに、適切に対応してまいりたいと思います。
○矢倉克夫君
子供の保護という観点から、是非引き続きよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。