2020-01-30
○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いします。
先ほど山本香苗議員からもお話がありましたが、今回の補正予算の軸の一つは、近年多発する災害からの復旧であります。
私からも、改めて、犠牲になられた方に心からお悔やみを申し上げるとともに、被害に遭われた方に心からお見舞いを申し上げます。
再びの災害に備えるための必要な施設、ハード面をまず御質問をいたします。
パネルでございます。(資料提示)
こちら、台風十九号で決壊した荒川上中流域における入間川水系、埼玉県の都幾川、越辺川の決壊時写真と、一部ではございますが、決壊場所の地図。このほか、東北や、また長野県などで甚大な被害が起きました。全国的に見ても、上中流域の決壊が多かった。埼玉でも、荒川中流域の川越や東松山、坂戸などの住宅や田畑が大変大きな被害を受けました。
時間当たりの雨量の増加や、十九号のように長時間滞在する台風も増えてきた。そして、田畑が住宅化されることで水がなかなかたまりにくくなってしまっている。上中流域の危険度というのは増しているというのが実感であります。
国土交通大臣にお尋ねをいたします。
治水は、上流、下流のバランスから、下流からというのが原則ではありますが、待っていられないというのが地元の本音でございます。今議論をしている補正予算を皮切りにして、入間川水系など、上中流域対策を含めた治水対策を全国的に進めていきたいというふうに思いますが、御見解をいただければと思います。
○国務大臣(赤羽一嘉君)
今委員お話ございましたように、台風十九号というのは、国直轄で七河川十二か所、また全国では県管轄の河川も含めると百四十か所の堤防が決壊するという大変大きな未曽有の災害でありました。
私も、台風十九号上陸の翌日に荒川水系の入間川の支川の越辺川と都幾川の被災現場を視察いたしまして、委員御指摘のとおり、被害の大変大きなことを痛感したわけでございます。
改めて、今回の台風十九号で被災をされました皆様方に心からお見舞い申し上げたいと思います。
治水対策は、今、矢倉さん言われているように、上流、下流のバランスを取って流域全体、水系全体の治水対策を取るというのが大変大事だと。往々にして、やはり、堤防の強化というのをやみくもにやると、堤防が強化されたところは大丈夫だけれども、その周辺にやっぱり水の圧力が当たって決壊をするということが数多く見られたわけでございます。
しかし、この入間川につきましては、入間川を含む荒川水系全体を見ますと、この下流は首都東京を貫流しておりまして、治水上はもう極めて重要な水系でございます。このため、下流はもとより、上流部の入間川を含め、流域全体の治水安全度を高めることが大変重要だというふうに考えておりまして、また、再度災害を防止するという観点からも、今回、国交省として緊急治水対策プロジェクトということを取りまとめを行うことにして、この地域もその一つとして、国、県、市、町が連携して取り組むこととしておるところでございます。
具体的には、この緊急治水対策プロジェクトの荒川水系では、入間川流域の下流部やまた更に下流の荒川本川にできるだけ水を流さないようにするために、具体的には、入間川流域に新たに二つの遊水地を整備するということとしております。また、入間川流域の河道掘削、堤防の整備によりまして、入間川自体の流域全体の治水安全度を高めることとしておるところでございます。
国交省としては、こうした気候変動による災害の激甚化、甚大化に対応できるしっかりとしたハード対策を取るとともに、ハード、ソフト、また自助、共助、公助、総合的な対策を講じて、防災・減災が主流となる安全、安心な社会づくりに全力を傾けてまいりたいと、こう考えております。
○矢倉克夫君
現場主義の赤羽大臣のリーダーシップに御期待を申し上げたいというふうに思います。
大臣からも一部お話がありました水をためるという機能も非常に重要であるというふうに思っております。
今回の台風十九号では、多くのインフラが被害拡大を防いだのも一方でございました。特に、過去に整備をした首都圏の治水設備がどのような効果を果たしたのか、御答弁をいただければと思います。
○政府参考人(五道仁実君)
お答え申し上げます。
台風十九号において、これまでに整備をしてきた治水施設がどのような効果を発揮したかということでございますけれども、例えば、利根川では、試験湛水を行っていた八ツ場ダムを含め、上流ダム群が約一億四千五百万立方メートルの水を貯留し、これらによる利根川本川の水位低下量は、群馬県伊勢崎市にある八斗島地点において約一メートルと推定しているところでございます。また、荒川においても、荒川本川の上流ダム群で約四千五百万立方メートル、荒川第一調節池で約三千五百万立方メートルを貯留することにより、被害軽減に寄与したところでございます。
○矢倉克夫君
御説明ありました、利根川などの上流ダム群で推計ですと大体東京ドーム百二十杯、一億四千万立方メートルという話がありました。あと、利根川は一メートル水位が下がったということであります。
総理にお尋ねします。
この命を守る公共事業というのを、これをしっかりと増やさなければいけない、それが政治の根幹であると思います。パネルにありますが、しかしながら、この絵が示しますとおり、自公政権では一部しっかりと持ち直しはしたんですが、依然、公共事業費はピーク時の半分であります。
政府は、パネルの赤字部分にありますように、三か年の緊急対策、公共事業費増額していただきましたが、それも令和二年度当初予算で終了する予定であります。この三か年計画が終了する以降も、臨時的な経済対策という文脈とは別に、これとは関係なく、もっと真正面から、命を守る、そして、政策としてリーダーシップを発揮していただいて継続的な政策を貫いていただきたい。事前防災の予算であります以上、当初予算でしっかりと確実に計画的に進めていただきたいと思いますが、総理の御見解をいただければと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君)
異次元の災害が相次いでいる中において、三か年緊急対策を策定するなど、国土強靱化、国民の命と財産を守るために抜本的に強化していく、災害に屈しない国土づくりを進めているところであります。
それに加えまして、昨年の台風十五号、十九号などの被害を踏まえて、河道掘削や堤防強化などの水害対策を中心に更に国土強靱化の取組をパワーアップさせ、平成元年度補正予算案では一兆円を超える予算を確保いたしました。これらの予算を活用するとともに、防災・減災をソフト面から進めるための法案を今国会に提出するなど、ハード、ソフトを組み合わせた対策を総動員できる体制を整えてまいります。
その上で、令和三年度以降もですね、以降も必要な予算を確保し、オールジャパンで防災・減災、国土強靱化を進め、国家百年の大計として災害に強いふるさとづくりを進めてまいりたいと、このように考えております。
○矢倉克夫君
総理、ありがとうございます。
令和三年以降もオールジャパンで、そして、国家百年の大計をしっかり見据えてという力強いお言葉をいただきました。
財務大臣にお伺いをいたしたいというふうに思います。
防災・減災インフラへの投資というのは、国家百年の大計というお言葉も総理からありましたが、長期的に財政負担を軽減することにもこれはつながるものであります。こちら、パネル、土木学会作成による、災害がどのような波及被害を生むかについてのフローチャートであります。このとおり、災害が一たび起きますと、設備毀損など直接被害だけではなくて、様々な経路を経て、世帯所得消費の縮小や企業収益の縮小などが起きてしまう、国力全体が下りてしまうわけであります。ただ、防災・減災のインフラをしっかり整備すれば、このような将来負担から次世代を守ることができる。
もう一つパネルをお願いいたします。
こちらは同じく土木学会がこれ作成したものであります。巨大災害の被害推計と減災額を一覧にしております。阪神・淡路大震災などの被害状況をこちら二十年実証的に踏まえまして、長期間の経済減速効果というのをシミュレートしたものであります。こちらの原本はもう八十ページ以上報告書があるわけでありますが、そちらの一部になります。
これによりますと、例えば南海トラフ地震、被害額は千二百兆円を超えるわけでありますが、一定の三十八兆円のこの対策を打てば五百九兆円の被害が減額をされる、減災率は四〇%以上。また、首都直下型地震では十兆円の対策で二百四十七兆円の減額、減災率も三四%。また、高潮など、今回の台風十九号も、例えば午後四時頃に来ていれば東京も高潮で被害が起きていた可能性も非常にあるわけでありますが、これについても〇・二兆円の対策で二十七兆から三十五兆といった非常に大きな減災額があるわけであります。
こういう命を守るインフラ建設というのは、投資額以上にしっかりと効果を生むと言えるものであります。ただ、災害が起きない限り、その効果はなかなか見えない。ですから、短絡的に無駄の象徴のように言われた時期も一時期あったわけでありますが、こういうことこそ政治がしっかりと進めなければいけないと思います。
そのためにも、今後の公共事業を査定するに当たっては、この命を守る価値、また将来負担を軽減する価値というものを、BバイC、費用便益分析に当たっても便益としてしっかりとこれは考えるべきだと思いますが、御所見をいただければと思います。
○国務大臣(麻生太郎君)
今、矢倉先生の言われた公共事業というものの個別の評価に、事業評価につきましては、これは国土交通省等々、事業を所管する省庁でこれはやっておられるところなんですが、よく使われるので例えば人命保護とか、そうですね、その便益、交通事故等々を減少させる便益を含めまして、いわゆる費用便益分析、ベネフィット・アンド・コスト、何というか、BバイCと言うんですかね、今は、それを分析を行っておりますけれども、今回の補正予算案でもそうですけれども、いわゆる災害の危険度や過去の災害の発生状況等々を考えて、様々な視点から総合的に評価をした上で対応、政策を判断しているものだと、私どもはそう思っているんですが。
その上で、御指摘の防災・減災、国土強靱化につきましては、これは近年、災害が相次いでいる、よく言われる地球温暖化によって台風の発生する場所がインドネシア沖からフィリピン沖に上昇して上がってきておりますんで、その分だけ台風が真っすぐ、九州とか本州の手前ぐらいから東に曲がらず真っすぐ上に上がってきた。去年は千葉等々、被害が、先ほど写真で一ページ目出たところなんですけれども、こういったものが起きてきているのが、この近年というのは非常に大きな流れだと思いますので、そういった意味では、いわゆる三か年緊急対策というものを考えて、来年が三年目になりますけれども、やらせていただいておるんで、この補正予算案におきましても、昨年の十五、十九等々の被害を踏まえまして、災害対策を中心に、国土強靱化関係で一兆一千五百億か、一兆一千五百二十億というものをこれにやらせていただいているんですけれども、いずれにいたしましても、こういったものに対しましての強化というのは、この二、三年極めて顕著に変えてきていると思っております。
○国務大臣(赤羽一嘉君)
済みません、国土交通大臣として、今、災害対応というお話、御答弁ありましたが、それに加えて、それよりもというか、社会インフラの大半が高度成長期に集中的に整備をされております。それから、ですから五十年ぐらいたって大変老朽化しているインフラが加速度的に増えていると。こうしたことの維持管理、更新をどうしていくかというのは大変大きな問題となっております。
我々も、この維持管理、更新費を様々な推計をしているところでございますが、予防保全をした場合と、そのまま事後保全、壊れてからの対策をした場合と、今、矢倉委員の質問に当たるかと思いますが、そうした場合、三十年後を比較したとすると、その維持管理費用、更新費用、予防保全の場合は事後保全に比べて約五割減少するといったことがデータとして出ております。
様々な委員会でも御質問がありますが、道路の橋なんかも、もう既に早急な対策が必要だと言われているのは約七万の橋があるというようなことも出ておりますので、こうした今インフラの長寿命化とか修繕、老朽化対策というのをしっかりと進めていかなければいけないと思いますので、しっかり国土交通省としては財政当局にそうしたものを予算計上できるように頑張っていきたいと思っております。
○矢倉克夫君
今、麻生大臣から様々な観点ということもお話もあって、それを今、赤羽大臣からも補足いただいたような形になりましたが、まさに予防保全というのが非常に重要、そのためには財源も必要であり、私は、やはり建設国債、しっかりと発行していくことも重要であると思います。
まず、赤字国債と建設国債の違いについて答弁をいただければと思います。
○政府参考人(太田充君)
お尋ねいただきました件は、戦後すぐ、昭和二十二年に制定をされた財政法の規定に関わるものだというふうに承知をしております。
財政法の第四条第一項におきまして、国の歳出は公債又は借入金以外の財源によって賄うと、要すれば、借金はしないという原則になっておりまして、その上で、ただし書において、公共事業費、出資金、貸付金の財源については公債の発行が認められている、これをいわゆる建設国債と称しているものでございます。これは、先ほど申し上げました財政法の制定以降二十年近くたって昭和四十一年度当初予算から発行し、それ以来五十数年ずっと発行し続けているというものでございます。
この考え方は、今申し上げた公共事業費、出資金、貸付金という財源で賄う支出については資産性があるという考え方に基づくというものでございまして、平均的な資産価値の期間である約六十年ということを踏まえて、毎年度、残高の一・六%を一般会計から国債整理基金に繰り入れて償還をするということによって裏打ちをしているというものでございます。
一方で、それ以外の財源ということについては、財政法上、公債の発行は認められておりませんので、別途特別の法律を作って、そこで公債の発行を許容していただいておりまして、それを特例公債あるいは赤字国債といっているということでございます。
○矢倉克夫君
建設国債は、まさに未来に資産を残す投資でもあるという観点の御説明でもありました。
防災・減災対策における迅速性という確保の上でも非常に重要でありまして、例えば小規模に予算を二十年掛けて事業をやったとしても十八年目に災害が起きてしまって一からやり直しというようなことが起きないように、やはり資金をさっと調達して短時間で終わらせるというような部分もあり、その点でも建設国債による起債というのも非常に重要に、発行というのも重要になってまいります。老朽化対策もまさにそうであります。
財務大臣に、必要な事業には必要な財源をしっかり確保する、そのためにも建設国債増加ということもいとわずにしっかり頑張るという努力を更に求めたいというふうに思いますが、大臣の御見解をいただければと思います。
○国務大臣(麻生太郎君)
御存じのように、国の歳出というものは租税をもって賄うことが基本なんですけれども、社会資本を整備する、いたします公共事業というものは支出の見合いが国の資産となりますので、後ほど、後で、したがって、長期にわたって国民全体が利益を享受することができるために、財政法というもので、第四条においていわゆる建設公債というのが発行が認められておる、今、太田の説明したとおりであります。
令和元年度のこの補正予算におきましては、今般の一連のいわゆる台風被害等々を踏まえて、防災・減災、国土強靱化等々の予算につきましては水害対策を中心に約一兆一千五百億円というものを確保させていただいておりますが、その財源としては建設公債というものを追加発行をさせていただくことにいたしております。
したがいまして、今後とも、公共事業につきましては、厳しさを増す財政事情というものを踏まえながらも、建設公債を適切に利用しながら、国民の命と暮らしを守る防災・減災等々、対策への重点化というものは引き続き推進してまいりたいと考えております。
○矢倉克夫君
是非よろしくお願いします。
単年度での入りと出という部分だけが財政均衡というふうに言われがちですけど、やはり建設国債でちゃんとストックを残していく、それは長期的に見れば財政負担を減らすというようなところ、そういう長期的な観点というのも非常に重要であると思います。そういう部分も含めて適切にというふうにおっしゃったので、是非引き続きよろしくお願いを申し上げます。
続きまして、先ほども麻生大臣からもお話がありました最近の災害、こちらは気候変動が原因であり、また地球温暖化が原因であるという声が非常に多くなっております。
その温暖化対策を議論したCOP25でありますが、今、世界から日本の石炭火力に向けられる厳しい批判というのがございます。なぜなら、日本が長期的にこの石炭火力どうするかということについての強い意思を発信できなかったと。
経済産業大臣にお尋ねをしたいと思います。
パリ協定は、NDCという国別の削減目標、この履行促進が基本でありますが、日本を含め、各国はこの達成をエネルギー統計で基本測っております。ですので、達成にはエネルギーを所管される経済産業省のお役立ちが非常に重要なわけでありますが、政府は既に長期目標で、パリ協定の長期目標と整合的に火力発電からのCO2排出削減に取り組むと明記をされております。その政府方針に基づいて経済産業省としてどう国際社会に発信をされていくのか、大臣の御決意をいただきたいと思います。
○国務大臣(梶山弘志君)
単一の完璧なエネルギー源がない現状において、資源の乏しい我が国において、再生可能エネルギーの主力電源化を図りつつ、多様なエネルギー源をバランスよく活用することが重要なことであるとまずは考えております。その中で、国内の石炭火力発電については、高効率化、次世代化を推進しながら、よりクリーンなガス利用へのシフトと非効率石炭のフェードアウトに取り組むことが基本的な方針となっております。
さらに、火力発電のCO2排出削減を図るために、昨年六月に閣議決定した、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略に基づいて、CO2を資源として再利用するカーボンリサイクルの研究開発や広島県大崎上島での実証研究拠点の整備等を推進し、社会への普及を進めていく方針であります。
こうした取組を国際的にも加速させるためにも、カーボンリサイクル産学官国際会議に加え、昨日、米欧等、G20研究機関を集めたゼロエミッション国際共同研究センターを立ち上げたところであります。センター長には昨年ノーベル化学賞を受賞された吉野彰先生に御就任をいただきました。
産業革命以来増加を続けてきたCO2を減少させるビヨンド・ゼロを実現すべく、我が国が主導して世界の英知を結集してまいりたいと考えております。
○矢倉克夫君
非効率なものについてはフェードアウトと、このフェードアウトをしていく、そして全体としてもフェードアウトしていくというところも引き続き発信いただきたいと思うとともに、やはり、イノベーション、イノベーションを起こしてゼロエミッションというところをしっかりやっていくというその取組は是非進めていただきたいと思うとともに、あらゆる文脈でこの長期戦略に基づいてしっかりとやっていくということを石炭火力についても是非発信をいただきたいと思います。
他方、この国境を越えた課題解決のためには、国単独の取組だけでなくて、国と国の共同行為も重要であります。取組の一つが市場メカニズムでありまして、日本は二国間クレジット、これを推進しています。概要を、また意義と、途上国にどういう技術を提供しているのか、特色を含めて御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(近藤智洋君)
申し上げます。
二国間クレジット制度は、JCMと称しますが、お示しいただきましたパネルにございますとおり、JCMのパートナー国に対しまして優れた脱炭素、低炭素技術の導入を支援することでパートナー国の温室効果ガスの排出削減を可能にし、実現するとともに、その削減分の一部を我が国の削減目標の達成に活用するというものでございます。
JCMは、パリ協定六条に規定いたします市場メカニズムの先駆的な取組として二〇一三年から実施しております。現在、十七のパートナー国との間で百六十件を超えますプロジェクトを進めておりまして、再生可能エネルギー、省エネ、廃棄物発電などの脱炭素、低炭素技術の普及や展開を世界規模で進めております。
例えば、モンゴルでは、農場への太陽光発電導入プロジェクトを実施いたしております。本件では、温室効果ガスの削減はもちろんのこと、売電収入による現地の雇用安定化や日本の高い農業技術の導入、移転にも貢献しており、SDGsの達成にも貢献しているものと考えております。
○矢倉克夫君
日本は、他国に削減を可能にする方策を示して、現実にこれ地球規模で温室効果ガスを減らしている、成果を出しているということであります。この姿勢はもっと評価されてもよいかなと思います。
環境大臣にお伺いをいたします。
COPの残る議論というのは、この市場メカニズムであります。他国のために技術やノウハウなどをしっかりと提供をして、地球規模の温室効果ガス削減をこれ実現している。日本のこの活動がより評価されるルール、そして土壌をつくっていただきたい。あわせて、それを通じて、国と国はこの地球的課題に対処する共同体であり、必要な知恵を出し合う仲間であるという理念、当然の理念ですけど、これを是非訴えてもらいたいと思います。ややもすると国同士が競争し合うだけの相手になってしまう、それではなかなか進展はしないというところであります。
今後の交渉に向けた大臣の決意をお願いいたします。
○国務大臣(小泉進次郎君)
今、矢倉議員から、COPの残された課題ということで市場メカニズムのお話がありました。
今年はパリ協定は既にスタートをしていますが、実はパリ協定は完成をしておりません。完成をしていない最後の宿題は何かというと、まさに今日、先生が御指摘をされた市場メカニズム、これはパリ協定の中でいうと六条という課題ですが、この六条の交渉において、先日のマドリードでのCOP25で、間違いなく日本はプレゼンスを高めたと私も思っています。
特に、これ利害が相当真っ正面からぶつかり合うものですから、EU、そしてまた、その思いとは違うブラジル、そういった中でいかに思いを合わせることができるかということで、日本の誇る交渉団の持っているデータ、そして様々な計算、こういったものが、その交渉がデッドロックに陥りかけたときに一つのブレークスルーになったことは間違いありません。あれがなければ、COP史上最長の延長である二日間の延長ということは私はあり得なかったと。現場に、最前線に立った者として、関係の交渉団の全ての省庁のチームに心から私は誇りに思っています。
残念ながらこの六条の妥結には至りませんでしたが、今年の十一月に開催予定のグラスゴーでのCOP26に向けて、早速環境省の幹部をヨーロッパにも派遣をしました。そして、イギリスとも様々な、最新の状況の共有も含めて、このCOP26で25の議論の積み上げというものが必ず生きるように、十一月のCOP26を目掛けて、バックキャストで様々な外交も含めた交渉を進めていきたいと考えております。
そして、あわせて、今、後段の方で御指摘のありました、ややもすると各国が競争し合うようなところから気候変動へ向けて各国が協力をし合う、そういった訴えが大事ではないかということについては、まさにそのぶつかり合うところに、間に立ったのが日本でありますから、そういう役割をこれからも引き続き発揮、強化をしていく、そんな決意で臨みたいと思います。
なお、先生からも石炭火力の話を触れていただきました。この前、本会議では、公明党の斉藤鉄夫幹事長からも新規の増設を禁止をというようなお話もありましたが、まさに日本の前向きな取組を世界に正確に届けていくためには、より脱炭素に向けて前向きな方向性に踏み出すということも含めて、引き続き、関係省庁、そして様々な議員の皆さんとの議論が国会でもなされることを私としても期待をしています。
○矢倉克夫君
日本がつなぎ役となって全体でこの地球規模の課題をしっかり解決する、この姿勢は、それが必要である。とともに、今、火力の発電の話がまたありました。二〇五〇年には八割削減ということが目的になっております。そのためには、石炭火力、一度稼働すれば三十年、四十年と掛かるものを、どうやってこれとの整合性を取るのかという部分も含めて、これはよく関係省庁と連携をしながらしっかりと進めていっていただきたいと思います。我が党は、新増設は禁止ということを代表質問でも質問させていただいたところであります。
総理にお尋ねします。
日本は異常気象の被害国であります。この被害を受けている国として、世界のリーダーシップを是非取っていただきたい。特に、世界の二酸化炭素の四割はアメリカと中国が排出をしております。アメリカは今回のG7のホスト国でありますが、そこの場において、是非トランプ大統領にこのパリ協定についてしっかりとお訴えをいただきたいと思います。
また、中国、中国も二〇三〇年までの目標を掲げておりますが、こちらはまだ排出増加を見込む目標でありまして、足並みというのがそろっているわけでもなく、この中国がより脱炭素化に向けてしっかり動くということは、世界に向けてのインパクトが非常に大きいわけであります。
習近平国家主席、来日されます。そういう折も含めて、総理から是非この米中に対しての働きかけをお願いしたいと思いますが、御所見をいただければと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君)
気候変動の問題は、まさに世界全体で取り組んでいかなければいけないグローバルな課題であろうと思います。そこで、とりわけ、今、矢倉議員が御指摘になられたように、世界第一位の温室効果ガス排出国である中国と第二位の排出国である米国の参画が極めて重要なんだろうと、こう考えています。
それぞれの国の考え方にこれは違いはありますが、対立を強調するのではなく、共通点を見出すのが日本のアプローチでございまして、昨年のG20のサミットにおきましては、この気候問題では欧州と米国が厳しく対立をしたのでございますが、環境と成長の好循環というコンセプトを提唱し、G20の研究機関など世界の英知を結集し、イノベーションを起こしていくべきといった点で、米国、中国を含めた二十か国全体で合意を得ることができたわけでございます。具体的な気候変動対策について二十か国全体の合意を得ることができたのは、杭州のG20以来三年ぶりのことであります。こうした中で、昨日、米国の研究機関も参加をし、ゼロエミッション国際研究センターを設立をしました。今後とも、あらゆる機会を通じて、米国、中国などへ働きかけを行っていきたい。
パリ協定に対するアメリカのトランプ大統領の姿勢について、イタリアにおけるサミットにおいても、私も中心的にトランプ大統領に働きかけを行いました。ずっと長時間にわたって話をしたんですが、トランプ大統領も耳を傾けてはいたんですが、残念ながら姿勢を変えるには至らなかった。今後とも働きかけを続けていきたいと思いますし、そして、四月の習近平主席の国賓訪問というのは、まさに日本と中国が負っている地域や世界に対する大きな責任を果たすという意思を示していく機会でございますから、こうした地球規模的な課題について中国も責任を果たすという決意を、意思を示していくことになることを期待しているところでございます。
○矢倉克夫君
トランプ大統領とも長時間話す人間関係、そういうものも含めた総理のお力を是非この外交に生かしていただきたいと思います。
この環境問題、世界の若者が、この世界、地球を持続可能なものとするために声を上げているのも特徴的であります。今日、私、SDGsバッジ付けさせていただいておりますが、昨年SDGs実施指針も改定をされた際に、公明党の声を受けまして、メーンプレーヤーとして次世代を加えて、この次世代の声、発言をしっかりと文書の中にも盛り込まれたわけであります。私、公明党の青年委員会の委員長もさせていただいておりますが、公明党としては、この若い人たち、少人数、十人以下の方とのユーストークミーティングというものも出して、膝詰めで対話運動もこれから行って、政府方針にその声をしっかり盛り込むためにも動きをさせていただく決意でございます。
まず、総理に、SDGs達成のためにこの次世代の声を具体的にどういうふうにプロセスとして上げていかれる決意かを伺いたいというところとともに、その上で、改定されたSDGs実施指針では、公明党の声も受けて達成度合いの検証プロセスというものも入れさせていただきました。達成に必要なのはこういう地球課題、省庁を超えた取組の体制であり、あと、データに基づく検証であります。この二〇三〇年に向けたSDGs達成に向けて、政府一丸となった体制づくりとデータによる検証、こちらについても総理の御所見をいただければと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君)
本年は、二〇三〇年までのSDGs実現に向けた行動の十年のスタートに当たる年であります。次世代の若者や女性のエンパワーメントは日本のSDGsモデルの三本柱の一つでありまして、かかる観点から、御紹介のあった公明党のユーストークミーティングの活動は有意義であると考えています。
SDGsを着実に推進していくためには、SDGsの達成度を的確に把握をし、そして進捗状況を国内外に適切な形で公表するなど、進捗評価体制の充実と透明性の向上を図ることが重要と考えています。
SDGsが目指す誰一人取り残さない社会を実現していく上において、地方自治体、民間企業、NGOといった様々な担い手がそれぞれの地域や立場において垣根を越えて連携をしていくことがとても大切なんだろうと、こう思っています。
政府としては、あらゆるステークホルダーの取組を後押しをして、オールジャパンでSDGsの実現に向けて力強く進めていく考えでございます。
○矢倉克夫君
総理も言及してくださいました、この誰一人取り残さないというSDGsの理念、我が党の大衆とともにという結党精神とも等しくするものであります。是非、若い人たちの声を受ける、次世代のためにという思いを、総理、追求していただきたいというふうに思います。
本年は、様々、通商交渉なども様々ございます。それぞれの文脈においても誰一人取り残さない経済構造をつくる、例えば農家の方の声もしっかり受け止める、こういうようなことも引き続き私から御期待を申し上げて、そしてお願いを申し上げまして、質問にさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。