2020-04-06
○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いいたします。
まず、私からも冒頭、新型コロナウイルス、この新型コロナウイルスに感染いたしましてお亡くなりになられた方の御冥福をお祈り申し上げるとともに、御遺族の方に心からお悔やみを申し上げます。また、今感染されて闘っていらっしゃる方にお見舞いを申し上げます。そして、共に、医療従事者の方々、一生懸命頑張っていらっしゃる方々と同じ思いでこの感染に立ち向かって、必ず打ちかたなければいけないという思いをまず伝えたいというふうに思います。
この新型コロナウイルスに打ちかつために大事な現金給付について、まず麻生大臣にお伺いをいたしたいと思います。
趣旨や必要性、私は、この現金給付の趣旨、必要性は、やはり何といっても必要なポイントというのは、迅速で公平で、そして納得感であるというふうに思っております。まず迅速性、こちら、今回、実体経済が急停止して、あしたの命をもうつなげられるかどうかというような瀬戸際にある方がたくさんいらっしゃるわけでありますので、もう数か月先とかそういう迅速であっては全くいけないと、これは拙速であるというふうに思います。
あわせて、私、肝に銘じなければいけないのは、この今私たち闘っているのは、国民全てに広がっている、これがいつまで続くかという不安感、これを打ち破るものでないといけないなと思っています。山口代表も、この現金給付に関しては、受け取った方が、ああ、助かったと、こう実感できるようなものでなければいけないと。
あわせて、今回のこの経済の悪化というのは、これは政府が自粛を求めたからであります。もちろん国民の命を守るための自粛でありますわけでありますけど、国民に痛みを求めた以上は、国民がやはり同じ思いを共有して、一体感を持って最後まで行くというような姿勢、これが必要であるというふうに思います。例えば、今回の現金給付で、一部の国民の皆様に、あそこがあって何でうちはないのかとか、そういうような不公平感みたいなものが残ってしまうと、この難局は私は乗り越えられないというふうに思います。
そういう意味でも、迅速性と公平性、そして納得感というもの、これは私は大事だというふうに思いますが、大臣のそれに対する所信とともに、財政出動の決意を伺いたいというふうに思います。
○国務大臣(麻生太郎君)
今週決定をする予定にしております経済対策においては、先般の総理の指示を踏まえて、このウイルスの影響によりいわゆる仕事が減るとか収入が減少するとか生活に困窮を来しているという世帯に対して、いわゆる生計を維持していかれるために必要な資金というものをなるべく迅速に交付するという、この給付金の仕組みを創設することといたしております。
こうした方針を踏まえまして、これは国民全体に対して一律というようなものではなくて、生活に困っておられる世帯に対して可能な限り速やかな生活維持のためのいわゆる必要な資金を交付できると、これが順番の一番大切なところで、どれぐらいになるのかと、ちょっと正直、これ、私どもとして、どれくらいの方が要請をされるのか、私どもとしてはなかなか測り難いところでありますけれども、私どもとしてはこれに対して財政出動をもって対応せにゃならぬということだけははっきりしていると思っておりますので、その方向で事を進めたいと思っております。
○矢倉克夫君
今おっしゃっていただいた生活に困っている方々、どれぐらいいるか、今回の措置でそれを漏れなくしっかりと対応できるかという、この切り分けが事前にできるかというところがまず問題点だと思います。
その上で、今大臣から財政出動ということをしっかりとお答えいただいたことは大変有り難いなと、最後までそういう方をしっかり漏れなく対応するという部分のお話であるというふうに思います。
今大臣からも御紹介ありました。総理も、この件に関しては、現在生活に困難を来している方に対してということでおっしゃっておりました。今まさにこの瞬間に生活に困難を来している方がどういう方々なのかということ、これを迅速に公平に把握をするというにはどういう知恵があるのか、これについてはまずお尋ねをしたいというふうに思います。
○政府参考人(角田隆君)
お答え申し上げます。
非常に重要な論点なんですが、足下の収入の状況というものを昨年の収入と比べなければいけないというのが今回の難しさでございまして、そういう方向で整理したいと思っておりますけれども、政府の方では各世帯の足下の収入状況をあらかじめ把握してはございませんので、給付金の受給に当たりまして、要件に該当する方々からむしろ申請を行っていただくという形で対応を考えておるところでございます。
○矢倉克夫君
今、現実の収入を確保するためということで、申請ということがありました。
それでは、この自己申請についてどういう課題があるのかもお伺いもしたいと思うんですが、結局、申請をするといっても、そもそも全ての人に申請をさせて選別するのか、それとも、ある程度こちらで基準を決めて、その基準に合う方に申請書を送るのか、いろいろやり方もあると思いますけど、後者であればどういう基準なのかということもこれ事前に決めなければいけない、それだけの手配も非常に大変だというふうに思います。時間がそれだけ掛かると。
あと、申告できる人をどこまで確定できるのかというのもこれは難しい、どうやって確定するのか。収入減少だとしても、例えば新たに就業を始めた人、その前まで収入はなかったわけですから、そういうような方で今現在苦しんでいる方が果たして拾えるのかというのもありますし、収入額だけで考えたら、年収が、規模が、前年幾らか否かによっては収入減のインパクトが全然違ったりとかもします。収入割合といっても、いつからの収入割合で減ったのかというのもこれ分からない。
まず、何よりも、申告をしていただくとなると、今このコロナウイルスで大変な環境の中、自治体の方に来ていただかなければいけないというような可能性もあります。山口代表も、安全な形でのお届けする方法ということを言っているわけでありますが、これら、この自己申告の時間が掛かるものということについて切り分けの基準の問題、そして感染防止というところについてはどういうような御認識があって対応されるのかということをお答えをいただければというふうに思います。
○政府参考人(角田隆君)
お答え申し上げます。
そこもよく検討していかなければいけないことだと思いますけど、まず、客観的な収入要件のようなものについては明確なものをお示しすることがまず大事だと思っております。また、できるだけ非接触の形で処理をしていくという方法を考えていかなければいけないんだろうと思います。いろいろ工夫、できる工夫はしっかりとさせていただきたいと考えておるところでございます。
○矢倉克夫君
いろいろとこれ工夫はしていただきたいと思いますし、ただ、先ほど冒頭申し上げたように、迅速にやらなければいけない、すぐに制度をしっかり決めて、そして混乱がないようにしていただかなければいけないとともに、何度も申し上げますけど、感染拡大になってしまうようなやり方には絶対ならないように是非知恵を出していただきたいなというふうに思います。
この制度がこれから方針にされるという前提で今お話もさせていただいているところでありますけど、やはりその上ででもどうしてもやはり懸念なのは、公平にしっかりと行き届くか、そういうようなことであるかというふうに思います。
収入減ということが報道ベースなどからも想定はされているわけではありますけど、私、いろいろな面でも例えば気にしているのは、収入減少だけで本当に今苦しんでいる方をしっかりと拾い切れるか。例えば、今、学校が休業したりとかして、収入としては変わっていないかもしれないけど、いろんな支出が増えていらっしゃる方もいらっしゃるわけなんです。
あと、私、今冒頭申し上げた医療従事者の方々、こういう方々は、収入という面では減っているわけではないのかもしれないですけど、そういった方々に対して、冒頭申し上げたように、一体感を持って、国と政府、政府と国民で一体となって頑張っていこうというような、こういう趣旨の下の現金給付が届かないというようなことがあるとどうなのか。
そして、麻生大臣も先ほどから子育て世帯というふうにおっしゃってくださっておりますが、報道ベースでいうと、世帯で一定の金額ということでありますけど、世帯ごとによると、お子さんが多い世帯、いろいろ費用が掛かる世帯であればあるほど、もうそれぞれの金額が均一だと、まあ不公平という言葉が正しいかどうか分からないけど、そういう感覚を持ち得る可能性もあるというようなところがあります。
こういったもろもろのことをしっかりと認識して、理解をした上で、大臣が冒頭おっしゃってくださった、現に待っている方に対しての財政出動ということをしっかりとやるような体制というのを私考えなければいけないと思いますが、その辺りについての認識と、またお考えをお伺いできればというふうに思います。
○政府参考人(角田隆君)
今回の給付金の趣旨ということをしっかりと御説明をすることが一番最初大事だと思っておりまして、三月二十八日の総理指示では、新型コロナウイルスの影響を受け、休業等により収入が減少し、生活に困っている世帯に対し、生活維持のために必要な資金を迅速に交付する新しい給付金制度を創設するんだということでございました。
御指摘のとおり、世帯の状況、様々でございます。現金給付についてどうすれば公平感のある仕組みになるかというのは非常に悩まなきゃいけない重大な問題だというふうに、重要な問題だと考えております。
今回の対策におきましては、先ほど申し上げましたように、感染拡大の防止に最優先に取り組む中で、様々な活動の自粛、インバウンドの落ち込みなどに伴いまして、飲食業ですとか観光業といったところを中心として、休業等により収入が減少して生活に困難を来している方々がたくさんいらっしゃると。その状況を踏まえて、こうした特に厳しい状況に置かれた世帯を対象とした集中的な、思い切った支援を行うということにいたしておるところでございます。
現金給付につきまして、国民の皆様に様々御意見があるということは承知しております。今後制度の詳細を調整する上で留意してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○矢倉克夫君
冒頭申し上げたとおり、この緊急事態でありますから、政府と国民が一体となって、この一体感をつくる上で、それを持続する上ではやっぱり不公平感というものがあってはいけないと。まずは重点的にということでありますが、そういった方々を二の矢、三の矢でもしっかりと拾っていくというような思いは是非共有をしていただきたいなというふうに思います。
麻生大臣、ちょっと通告していないんですけど、例えば今申し上げた子育て世帯であったりとか、子育ての世帯であったりとか、今後、今回の措置で対応が入らない方にあっても公平感というのをしっかり持っていただくための追加の政策とか、そういうようなこともまた今後は考える余地は出てくるかというふうに思いますが、その辺りについての御所見というのをお願いしたいというふうに思います。
○国務大臣(麻生太郎君)
うまくいかない前提にした仮定の質問ではちょっとお答えのしようがないんで、私どもはうまくいくというつもりでやるわけですから、うまくいかなかったらどうするというんだったらちょっと仮定の質問にはお答えできませんとしか言いようがないんですが、私どもとしては、やっぱり今回の話についてもこれはいろいろな御意見がありますので、その中で私どもとしてはこれがいいという案を選ばせてやらせていただきました。
ただ、これに対しましては、地方自治体でこれは申請したりなんかすることになりますので、地方自治のところでうまく対応できる自治体とそうじゃない自治体があるかもしれませんよ。そこのところは、いろいろ差が出てくることは考えたり、いろんな意味で総務省としても目配りをせないかぬというところだと思っております。
○矢倉克夫君
是非うまくいくように我々もしっかりと連携協力はしていきたいなというふうに思います。
申し上げたいことは、やはり困っている方、まさに困っている方をどうやってしっかりと漏れがなく拾っていくかという、このきめの細やかさだというふうに思います。
私、そういう意味では、一律にお配りをして、この事前のところで切り分けるのではなくて、一律にお配りをした後、事後的に、例えば年末調整のときであったり確定申告のときであったり、そういうときの税の方で調整をするとか、また、若しくは、ある程度の方々に対して返還を誘導するようなそういうような仕組み、あるいは寄附を誘導するような仕組み、こういうようなことも、今回、また今回も含めて、今後もまた考えることはあるかというふうに思います。
そういう意味でも、私としては一律給付の後、事後的に調整というような考えもあり得る、あり得たというふうに思いますけど、なぜそれが難しかったのかとともに、今申し上げたような事後的に調整するような仕組みの研究というものも是非今後御検討をいただきたいというふうに思うんですが、大臣から答弁をいただければと思います。
○国務大臣(麻生太郎君)
これは申すまでもなく、家庭に対するとか家計の支援というのは、これ様々な方法があると、もうこれははっきりしておると思っておりますが。
他方、給付を行う段階において、支援を要する人かどうかというのを審査した上で必要な範囲だけの給付を行う仕組みの方が、今言われたように、事後的に調整する仕組みということを言っておられるんですけれども、支給された現金などを安心して生活に充てられるということができるという利点というのは私すごく大きくて、後でまた取り返されるというのではちょいといかがなものかと思いますので。
いずれにしても、家計の支援につきましては、これはいろいろな政策趣旨というのはあろうと思いますので、そういうのを踏まえて私どもは適切な政策手段というものを選択することが重要なんではないかと、これは完璧な答えなんかあろうと思いませんけれども、少なくともこれが、比較対照すればより公平、より迅速という話にならざるを得ぬところだと思っております。
○矢倉克夫君
再度何か課税をするという方法もあるのかもしれませんけど、一旦一律に給付した後に、例えばそういう、本来自分としてはこれはほかの方に使ってもらいたいというような方の善意とかをしっかり誘導するような、そういうような仕組みも私は今後は必要であろうというふうに思います。それはまた別の機会で議論ができればというふうに思うんですが。
この件についてはもう一点だけ、大臣、冒頭で、現に困っている方々に対しての財政出動ということをおっしゃってくださいました、決意として。事前にこのようにこの方々という形で切ること、それが完璧であればいいんですが、私、仮に、まだまだ、更にこれから私たちの闘いはいつまで続くか分からない不安ですから、今現に困っていらっしゃる方じゃなかったとしても、今後困る可能性もあるわけであります。そういうような方々に対してはしっかりとこの現金給付の趣旨に応じて対応していくということだけ、最後、一言、この件また大臣からいただければと思います。
○国務大臣(麻生太郎君)
これはどれぐらい長く続くかというところが一番難しいところなものですから、私どもとしても、すぐ終わるなら十万でもよかったじゃないかと、いろんな御意見はありましたのは確かです。しかし、現実問題として、最初に出た頃の話はもう大体春になりゃ終わっているという話だったのが、何となくちょいとそんなわけにはいかなくなってきたんじゃないのかなというのは外国です。ほかの国は、明らかに対応は、イタリアは見るまでもなく、スペイン等々、ドイツまでえらいことになってきていますので。
そういったところを見ると、これは日本だけきちんと対応できてもほかの国の対応がうまくいかないと、経済というのは今かなり複雑に絡まっておりますので、そういったものから考えると、なかなか日本だけ景気が浮揚していくというのはあり得ぬなということなので、少々時間が掛かることはあるというのは覚悟せにゃいかぬという感じには、私自身はそう思っておりますので。そういった意味で今回三十というような話が出てきた、話が出てきているのがその背景なんだと、私はそう理解しているんですけれども。
いずれにいたしましても、そういった意味で、どれくらい時間が掛かるかというのに立って、その段階でまた改めて考えないかぬ事態というのが起きる、その点には備えておかないかぬという話をしておられるんでしょうけれども、当然だと思います。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。
このいつまで続くか分からない、しかも、日本の側の問題だけじゃなくて世界的な問題について、それぞれの状況に応じて、今は大丈夫でも今後というような不安を抱えている方々お一人お一人にしっかりときめ細やかに対応していただきたいということを改めて、今大臣からそういう強い趣旨の御決意があったというふうに思いますので、どうぞ引き続きよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。
引き続いて、また新型コロナウイルス関係、緊急融資に関係してですけど、特に中小企業について、政府も本当に様々御努力をいただいて、セーフティーネット保証の四号とか五号であるとか、そういった保証の拡大等もされているわけでありますけど、それでもやはり審査の方が非常に時間が掛かって、待っていらっしゃる方もいる。要件も、例えば四号などは売上高が前年同月比二〇%以上減少と、こういうような形になっております。やはり、この延び、審査が延びているというのは、やはり要件を厳しくどうしてもせざるを得ないようなところに対して、これをもうちょっと緩めなければ審査がどうしても長引いてしまうという可能性はあるんじゃないかなというふうに思います。
私としては、この先どれだけ損が出るかというような不安感と闘っている以上、既に損したことを証明した人だけというわけではなくて、寄り添う意味でも、売上高が前年同月比二〇%以上減少等と言っている以上、売上げ減少のおそれ程度で融資を拡大できるぐらい大胆に柔軟に対応すべきではないかというふうに思いますが、これについての御所見をいただければと思います。
○政府参考人(鎌田篤君)
お答えいたします。
セーフティーネット保証につきましては、経営の安定に支障が生じている中小企業・小規模事業者につきまして、一般の信用保証とは別枠で資金調達を可能とするものでございます。
このため、対象となる事業者につきましては、経営の安定に支障が生じていることを外形的な基準で認定を受ける必要がございます。手続的には、事業者は市区町村に認定申請書と併せまして売上高の実績を確認できる資料を提出し、認定を受けることとされているところでございます。
この点につきまして、御指摘のセーフティーネット保証四号につきましては、直近一か月の売上高が前年同月比二〇%以上減少していること、これに加えまして、今後二か月の売上高が減少する見込みであるということを要件としておりまして、見込みを含めたものとなっているところでございます。
また、手続の簡素化という観点では、自治体の窓口業務におきまして時間が掛かるというケースもあると聞かれること、それから、様々な事業者の皆様から寄せられた声を踏まえまして、提出書類につきましては、決算書など作成に時間を要するものである必要はなく、日頃から売上管理している資料などでの対応を認めるなど、柔軟な確認を行っているところでございます。
以上の点も含めまして、市区町村の認定の発行事務につきましては、必要最小限の申請書類で認定申請を受けるように配慮要請を行っているところでございます。
引き続きまして、手続や審査書類の簡素化を含めて迅速に対応できるように資金繰り支援に万全を期してまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
○矢倉克夫君
いろいろ現場で御工夫されているところ、感謝申し上げます。引き続き柔軟に対応いただければ、より更に柔軟に対応いただければというふうに思います。
あわせて、日本政策金融公庫さんが、今、事業性あるフリーランスの皆様も含め実施している無利子無担保特別融資であります。非常に柔軟に対応していただいているところでありますが、一部ですけど、返済能力を厳しく吟味されて拒絶をされているというようなお声もお伺いもしたところであります。急場をしのげない人を助けるための融資でありますので、その趣旨に従って、お一人お一人に寄り添った対応で是非この融資拡大をお願いしたいというふうに思いますが、御答弁いただければと思います。
○参考人(田中一穂君)
先生から御指摘いただいたとおりだと考えておりまして、現在の状況を踏まえて、非常に多くの申込みをいただいております。公庫の全力を挙げて対応していきたいと思っております。
御指摘のように、過去の、例えば貸出条件を変更したとか、あるいは赤字であるとか債務超過であるとか、様々な融資の審査に当たっての要素があるんですけれども、同じ赤字であってもその大きさとか、債務超過も大きさとか、条件変更もその頻度とかいろいろあるわけでございますので、個別の個々の事象が形式的にあったというだけでお断りすることをしないということで全力で対応してまいりたいと考えております。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。
そのようなお言葉を是非周知していただいて、窓口にもしっかり対応をお願いしたいというふうに思います。
また、今後、金融機関、民間金融機関の方にもお願いをして同種制度が展開されるかというふうに思います。窓口によって対応が変わらないような周知徹底ということも、これは大臣の方に御要望だけさせていただいて、お願いをさせていただきたいというふうに思います。
続きましてですが、またこれはお金の流れについて最後御質問させていただきたいというふうに思います。
この新型コロナを含めた社会課題に向けた民間のお金の流れをしっかりとつくっていくということであります。もう人類は今この持続可能性を問われているような事態に非常に置かれている。こういう保健衛生の面だけではなくて、貧困であったり気候変動であったり、様々な事項に対してどうしてもこれ資金が必要になるわけでありますけど、官のお金だけではなかなか対応できない、民間のお金をどうやって活用していくのかというような話になります。キーワードはSDGsとインパクト投資という形になります。
SDGsの達成は、国連の調査によれば年間五から七兆ドル必要だと言われております。もう圧倒的な資金が必要になるわけですけど、こういった流れで、今、世界の投資家は、純粋な金融リターンを目指した伝統的な投資だけではなくて、ESGファクターに配慮した投資に加えて、更に進んで、社会課題解決のインパクトを評価してこれを生み出す事業へ投資をするといういわゆるインパクト投資、今、市場としては五十五兆円ですかね、それぐらいには今上っているというような。
G20の大阪会議でも、安倍総理がこれについて、社会的インパクト投資、休眠預金を含む多様で革新的な資金調達の在り方を検討し、国際的議論の先頭に立つと力強くおっしゃってくださいました。他方で、この我が国のインパクト投資市場というのは依然三千四百四十億円だけという、世界の潮流から見ているとまだまだ小さいし、もっと拡大しなければいけない。むしろここにいろんなニーズがあるし、ビジネスチャンスもあるんじゃないかというふうに思っております。
是非、副総理としての麻生大臣に、このインパクト投資拡大に向けた決意をお伺いするとともに、取組のリーダーたるべき金融庁をしっかりと引っ張っていくというようなお言葉をいただければというふうに思います。
○国務大臣(麻生太郎君)
今これは御指摘がありましたとおり、まだこれ日本では始まったばっかりみたいなものですから、それでも今三千四百と言われましたけど、その前の年は七百億ですからね。それでいけば、伸び方としては五倍、六倍伸びているわけなんで、伸び方としては銀行投資にしてはかなりよく伸びていると思いますけれども。
いずれにしても、こうした傾向というのは望ましいものだと思っておりますので、いずれにしても、このインパクト投資に役立つ枠組みとして、例えば今年の三月のスチュワードシップ・コードを改正させていただいたり、また、機関投資家が投資先のいわゆる、何ですかね、中長期的な企業価値というものの向上というものを検討してもらうというときには、社会問題とか環境問題とか、そういったような問題に与える影響とか、投資先の企業というもののそういったことを含んだ持続可能性というものを考慮することを盛り込んでやってもらわないかぬという話を、スチュワードシップ・コード等々やらせていただいているんですが。
いずれにしても、関係省庁と連絡をしながら、これ民間の取組なんですけれども、こういったようなものが積極的に促してまいりたいというように考えておりまして、それは結果として、大きくは地球温暖化になってみたり、いろんなものに影響が出てくる可能性が高いということだと思っております。
○矢倉克夫君
今、麻生大臣おっしゃっていただいたもうリーダーシップで、どんどん今広がっておりますが、それを更に爆発的に拡大していく、それはまた民間のニーズにも合ったものになるかなというふうに思います。
そこで、整理したいところは、金融機関の受託者責任と、あと開示というところなんですけど、金融リターンを得ることだけが金融受託者としての金融機関の責務というような考えは今なかなかなくて、むしろそこに、受託者たるべき立場としては社会課題について投資をしなければいけないというような思想が欧米を中心に今広がっております。こういう受託者責任についての社会課題を意識した柔軟な解釈というものを、これも日本も同じような議論をしっかりとしていかなければいけない。それがよりインパクト投資拡大に向けてかじを切るべきものになるんじゃないかと。
金融庁が先頭に立って民間有識者との議論を開始する、推進するためのロードマップというものも、是非、具体的な行動を開始していただきたいと思うとともに、あわせて、開示につきましても、このインパクト投資拡大に向けて有価証券報告書の充実を図るなど、また、統合報告書を通じて投資先の企業が取り組む社会課題解決のインパクトの評価を含めた非財務情報開示の充実等を企業が自主的に進める、このようなインセンティブになるガイドラインも必要になるというふうに思いますが、金融庁の取組をお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(森田宗男君)
お答え申し上げます。
金融庁では、中長期的な企業価値の向上と企業の持続的成長を通じ、顧客、受益者の中長期的な投資リターンの拡大を図るための機関投資家の行動原則であるスチュワードシップ・コードを公表しているところでございます。
繰り返しになりますけれども、本年三月に当該コードを改訂し、機関投資家が運用を行うに当たってのサステーナビリティーの考慮についても盛り込んだところでございます。この改訂も契機となりまして、先生御指摘の社会課題を含むサステーナビリティーに関する課題について投資家と企業との間で対話がより活発に行われるようになることを期待しているところでございます。
次に、開示の充実についてでございますけれども、民間企業におきましては有価証券報告書のほか、統合報告書等におきましてサステーナビリティーに関する任意の開示を進めている企業も多いものというふうに認識してございます。
例えば、気候変動対応に関する自らの事業のリスクと機会の把握、開示を求めますTCFD、気候関連財務情報開示タスクフォースでございますけれども、の提言の趣旨に賛同する企業、機関数は日本が世界一であることと承知しておりまして、こうした民間主体の任意の開示の取組が増えていくことは望ましいことというふうに金融庁としても考えてございます。
今後とも、関係省庁と連携しながら企業の自主的な開示の取組を促してまいりたいというふうに考えてございます。
○矢倉克夫君
是非、この持続可能な社会をつくる、社会課題解決というのを企業の事業計画のストーリーの中でしっかりと位置付けられるような開示の在り方というのを私はしっかり考えていただきたいなと、こういうことをやっているということを羅列するだけではなくて、投資家にも分かるように数値化されて、しっかり見えるような開示の在り方というのが今後必要じゃないかなというふうに思っております。
その上で、最後、インパクト投資ということ、更なる拡大という部分で私、必要だと思うのは、これ社会的な課題、元々、国とか自治体が主体的に取り組むべき課題であります。政府、自治体とか、政府機関が必要最小限の公的資金を効率的に使うことで民間資金の呼び水となるようなインパクト投資を増やしていくことが必要であるというふうに思います。要は、官民のブレンディングファイナンスと言われているわけであります、こういう官民連携によるインパクト投資、この推進、この典型の一つが私も何度か取り上げているソーシャル・インパクト・ボンドであります。
今日は資料もお配りもさせていただいておりますけど、行政が成果連動契約を設計して、民と契約をして、その上で、目的として成果見合いで行政コストを削減していって一単位の行政コストのバリュー・フォー・マネーを上げるというのが、これSIB、ソーシャル・インパクト・ボンドのこれ特徴になります。
これにつきまして改めてお伺いをしたいというふうに思いますが、特に注目をしているのが再犯防止の関係のインパクト投資になります。この再犯防止という点では、特に国がしっかりと関わった上でやられるということ、今回、政府決定によって成果連動型民間委託契約方式の推進に係るアクションプランに再犯防止におけるSIBの推進が盛り込まれたわけでありますけど、森法務大臣に今後の取組をお伺いしたいというふうに思います。
○国務大臣(森まさこ君)
平成二十九年十二月に閣議決定された再犯防止推進計画においては、民間協力者による再犯防止活動を促進するため民間資金を活用した支援の在り方について検討を行うこととされておりますが、それを踏まえて法務省では、官民連携で実施する成果連動型の社会的インパクト投資手法の一つであるSIB、ソーシャル・インパクト・ボンドについて、再犯防止分野での事業化を検討するため、昨年度、調査研究を実施いたしました。
この調査研究では、SIBの方式を用いる具体的な事業の案についても検討され、その成果として、非行少年を対象に、少年院在院中から出院後を始め継続的な学習支援を実施する事業であるとか、ギャンブル等依存のある受刑者を対象に、出所後も含めた一貫した支援等を実施する事業の二つの事業案が示されたところでございます。
法務省としては、今後、この調査研究で示された事業案を参考としつつ、再犯防止分野におけるSIB事業の実現に向け、主体的にしっかりと取り組んでまいります。
○矢倉克夫君
こういう官民連携のブレンディングファイナンスというかインパクト投資に必要な財源も含めて、ある意味、注目できるのは休眠口座であるかというふうに思います。
休眠口座、関係の法律、これ議員立法でも成立がされたわけでありますけど、法律上は助成だけでなくて出資や貸付けのいずれにも休眠口座活用できる制度になっております。現状は助成のものが多くあるわけですけど、投資や貸付けなど、今後もルールをつくっていくというようなことは事前に金融庁、内閣府からも話もいただいたところであります。
最後、ちょっと麻生大臣、一つお伺いをしたいというふうに思います。
今、官民連携の、ちょっと通告していなくて申し訳ありません、官民連携の取組について一つ話があり、休眠口座の話もあったわけでありますけど、私、四年前に麻生大臣にこの決算委員会で、もうまさに再犯防止をテーマにしてこのソーシャル・インパクト・ボンドの必要性というのをお訴えをさせていただいたとき、大臣からは、第三者による評価の重要性などもおっしゃっていただきながら、こういう取組、まさに法務省でいろいろと考えられるところであるかというふうに思いますが、法務省に限った話ではなくて、しっかりといろんなところでも使えるお話だというような御答弁もあったところであります。
例えば、総理も、冒頭申し上げたとおり、休眠預金を含む多様で革新的な資金調達の在り方について、国際的議論の先頭に立つとおっしゃっていただいているわけであります。
最後、麻生大臣に、こういう官民連携のインパクト投資というものをしっかりと拡大をしていく制度上の取組というのを更に促進させていくということについての御所見をお伺いをしたいというふうに思います。
○国務大臣(麻生太郎君)
まず、全然この話は通じないでしょう、日本じゃ、この話しても。誰も分からないと思いますよ。あなた一人だけが分かって質問しておられるんだと思いますので。御趣味だと思いますので。
これは四年前に話したんだけど、あれ以後、ほとんど広まっていませんもんね、この話はね、日本において。日本においてですよ。少なくとも、これ、債券というより融資ですものね、これは簡単に言えば。そういう感じでしょう、この話は。だから、そういった意味では、そういったことをちゃんとやってくれたところだけ返済がありますという感じの話ですから。
これ、各種行政サービスの提供というものを考えたときは、今の厳しい財政状況を考えますと、こういったようなものは、私は、民間の資金とかノウハウとかいうようなものをうまく活用して、そうですね、行政の効率化とか、プライベート・ファンド・イニシアティブ、PFIも同じようなものかもしれませんけれども、こういった公費負担というものの抑制につながるというようなことで、これは大事な考えなんだと。
私は、これは結構うまくいけばうまくいくんだなというのはよく分かるんですけれども、このボンドそのものが一つの方法になり得るというのは確かだと思いますけど、これがなかなか、今の状況で普及していくかといえば、銀行がこれだけ金余りの、世界中、金余りの状態になっていましたんで、そういった意味では、これは一つの投資先として、まあ預かり金利じゃとても飯は食えない、貸付金利でも飯は食えないということになってくると、こういったようなものは一つの銀行の投資先としてはうまく回ればあり得るものだと思ってはいる、いたというのが正確なところですけど、今はちょっとコロナの騒ぎでそれどころではなくなっているような状況にあると思いますけれども。
これ、長い目で、かなり時間の掛かる話で、アメリカよりはヨーロッパの方でこれはうまく少しずつ転がり始めているかなと思ってはいたんですけれども。いずれにしても、なかなかこの話は、そうですね、ソーシャル・インパクト・ボンド、SIBといえば、ヨーロッパの金融のプロなら通じるけど、普通の企業者じゃ通じませんもんね、この言葉は、去年辺りまでは。
したがって、そういった意味では、まだまだもうちょっと時間が掛かるのかなと思わないでもありませんけど、いずれにしても、方向としてはこういったのはうまく回れば十分に効率は高くなり得る可能性があるとは思っております。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。
大臣から可能性あるというふうにおっしゃっていただいたので、しっかり趣味の世界、追求していきたいというふうに思います。どうもありがとうございます。