203回 厚生労働委員会

2020-11-19

○矢倉克夫君
 公明党の矢倉克夫です。
 コロナで、非正規の方を含め、雇用が甚大な影響を受けております。一昨日、経産省や国交省や農水省などに各業界ごとの就業状況、影響を私も確認したんですけど、一部、雇用調整助成金で何とか持ちこたえているなという状況であります。冒頭、まず、この雇用調整助成金の特例、縮小なく更に継続することを強く要請をしたいというふうに思います。
 その上で、この委員会でもよく質問をされていらっしゃる在籍出向による雇用調整助成金の活用、これなかなか広がらない、在籍出向における、これを、課題を考えながら何点か提案をさせていただきたいというふうに思います。
 まず一つ目は、休業と比べて在籍出向の場合、助成率が非常に低い、また日額上限も低いというところがあります。そうなると、企業としては在籍出向よりは休業という形を当然取るわけでありますから、まず何よりも、これを早急に引き上げて出向元の負担を限りなくなくしてもらいたい、あわせて、出向先、こちらに対しても何らかのインセンティブを与えるべきであるというふうに思いますが、是非速やかに対応いただきたいと思います。答弁を求めます。

○政府参考人(達谷窟庸野君)
 お答え申し上げます。
 雇用調整助成金につきましては、事業主の皆様の雇用維持の努力を強力に支援するために、休業等につきましてはこれまでに前例のない特例措置を講じてきたところでございますが、出向に係る助成率等につきましては、先生御指摘のとおり、従前のとおりとしているところでございます。
 一方で、新型コロナ感染症の影響が長引く中、労働者の方々を単に休業させるだけではなく、一時的に他企業に在籍出向をしていただくなどして働く方々のモチベーションの維持を図ることも、維持をしつつ雇用の維持を図るという視点も大変重要だというふうに考えてございます。
 このような視点から、在籍出向の取組を広げていくべく、雇用調整助成金を含めた支援策の在り方について検討しているところでございまして、今先生の御指摘もしっかり踏まえてまいりたいというふうに考えてございます。

○矢倉克夫君
 是非しっかり踏まえて、よろしくお願いいたします。
 在籍出向、あと、一年以内というこれ要件もありますが、コロナの状況いかんによって、またここを更に緩和してもらいたいというお声もあります。事情に応じて一年以上も認めるべきではないでしょうか。答弁を求めます。

○政府参考人(達谷窟庸野君)
 雇用調整助成金の助成対象となる出向期間についてでございますが、通常は三か月以上一年以内としているところでございますが、新型コロナウイルス感染症に係る特例措置として、一か月以上一年以内としているところでございます。
 御指摘の点につきましては、出向の対象となった労働者の方々に過度の負担が生じないように当該要件を設定しているということも踏まえまして、どのような対応が可能か検討してまいりたいと考えてございます。

○矢倉克夫君
 労働者の方の利益をしっかり考え、その観点からも含めて今の要望をしっかり受け止めていただきたいというふうに思います。
 次に、例えば、私、埼玉川越なども、宿泊業など、GoToトラベルで土日、週末はかなり以前の水準に戻りつつあるというふうに聞いておりますが、平日がまだ厳しかったりとしております。
 例えば、平日に出向をして土日は働く、こういう場合も雇用調整助成金の活用ができるように是非検討をいただきたいと思いますが、これも答弁を求めたいと思います。

○政府参考人(達谷窟庸野君)
 お答え申し上げます。
 雇用調整助成金につきましては、現在、対象となる出向につきましては、一定期間内は専ら出向先で勤務するということを前提としているところでございます。
 一方で、新型コロナウイルス感染症の影響からの回復局面におきましては、例えば、出向期間中においても出向元において労働者を勤務させる必要性等が生ずることも考えられるところでございまして、こうした場合に、専ら出向先で勤務することという助成要件との関係が問題になるというふうに考えてございます。
 御指摘の点につきましては、出向の対象となった労働者に過度の負担が生じないように当該要件を設定しているということを踏まえつつ、コロナ禍の下での特別な事情をどのように考慮すべきか十分に検討した上で必要な対応を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

○矢倉克夫君
 コロナ禍の下での事情を検討をしつつということ、今のまさに事情を反映した上で、更にしっかり検討をいただいて実現をしていただきたいと思います。
 この関係でもう一つ。在籍出向、これが従業員の同意なく企業の都合だけで進められるようなことがないように、在籍出向についてルールはしっかりと定めていく必要はあります。その上で、さらにこれ、中小企業も今後活用をされることが多いと思います。
 その際、なかなか慣れない中小企業のためにも、在籍出向に当たっての雇用調整助成金を活用する場合のQアンドA、また、今回、雇用調整助成金を使う、そういう部分での負担の関係などもあるかもしれませんが、例えば出向元とか出向先の賃金負担割合とか出向期間など、様々な法的トラブルが起きないようにするための予防のための契約のひな形などもこれしっかり作る必要があるかと思います。その辺りについて、厚生労働省、答弁を求めたいと思います。

○政府参考人(達谷窟庸野君)
 出向についてでございますが、労働者が本来の事業主から離れて労働に従事することとなる出向におきましては、労働者の方々がいたずらに不安定な状態に置かれることがなく、また、労働者の方々の権利が守られるということが重要であるというふうに考えてございます。
 このため、雇用調整助成金におきましては、支給要件といたしまして、出向労働者の同意を得るということだけではなく、出向元における過半数労働者代表との出向に係る協定を締結し、それに基づき出向を行うということを求めているところでございます。
 また、雇用調整助成金の事業主の皆様向けのガイドブックにおきましても、出向元と出向先の出向契約書であらかじめお定めいただく事項につきまして御案内をしているところでございます。
 以上が現状でございますが、雇用調整助成金を活用した在籍出向につきまして、適切かつトラブルがない形で行われるよう、今後、QアンドAの充実や契約書のひな形の整備等の工夫につきまして検討してまいりたいと考えてございます。

○矢倉克夫君
 是非、検討して実現をしていただきたいと思います。引き続きこの点はフォローアップをしていきたいと思います。
 その上で、在籍出向を進める上で大事なのは、やはりマッチングとなります。産業雇用安定センター、この体制強化というのは必要不可欠なわけでありますが、ただ、今後のニーズが増えることもあり、さらには、都道府県を超えて、そして場合によっては業界内にとどまらず業界を超えたマッチングというのが必要な場合に、この産業雇用安定センターを軸としたものだけで足りるのか、より組織的な体制整備というのも必要であるかというふうにも考えております。
 企業の了解を得つつ、まずは国において、より大きな仕掛けとして求人求職マッチングのプラットフォームを構築して産業雇用安定センターにつなげていくというような仕組みづくりも必要かと思いますが、厚生労働省の見解を求めたいと思います。

○政府参考人(達谷窟庸野君)
 お答え申し上げます。
 厚生労働省といたしましても、労働局、ハローワークが産業雇用安定センターと協力して受入れ企業の開拓を行うなど、産業雇用安定センターにおける在籍出向のマッチングを促進するため、必要な支援を検討してまいりたいと考えてございます。
 また、在籍出向を促進するためには、関係機関との連携により産業雇用安定センターの取組の周知や情報共有を図ることが重要であると認識してございまして、各地域の実情に合わせて、関係機関の協力を得つつ、厚生労働省といたしましても必要な対応について検討してまいりたいと考えてございます。

○矢倉克夫君
 産業雇用安定センターを軸として、関係機関との連携ということであります。それであれば、更なる体制強化、人員の拡充も含めて是非必要だと思います。しっかりとノウハウの蓄積も含めてやっていただきたいと思います。
 その関連でもう一つだけ。このマッチングのためにやっぱり必要なのは、情報の集積とか分析、こういうのがなされているかどうか。
 例えば、雇用が余っている業種、余っているというか、雇用が余剰が生じてしまっているような業界がどの程度余剰が生じてしまっているのか、他方で不足している業界がどこかといったこういう情報に加えまして、ある業界で求められている資質や蓄積されたノウハウなどは別のこういう業界でも実は使え得るものだと、そういった情報は、マッチングする側にとっても業界を超えた雇用シェアリングにとっても重要でありますけど、その上で、各職業に必要なスキルやタスクが何なのかという分析は在籍出向をする労働者にとっても重要になってまいります。
 こういった、これらの情報のデータベースというものがあるのかどうか、確認をしたいと思います。

○政府参考人(達谷窟庸野君)
 業界を超えた技能の分析や情報の蓄積、データベースということでございますが、厚生労働省におきましては、約五百の職業につきまして重要となるスキルや知識等に関する数値データを保有し、職業間の比較ができる職業情報提供サイトを運用してございます。日本版O―NETと申しますが、こういうのを運用するほか、ホワイトカラーの職種について転職希望者等の職業診断を行う職業能力診断ツールというのも開発してございます。
 このような取組を進めているところでございまして、中長期的にはこれらの成果も活用して在籍出向のマッチングに役立てたいと考えておりますし、また、既に産業雇用安定センターでマッチングの事例とかもございますので、例えば稼働率が大幅に低下したホテルの従業員の方を食品スーパーが受け入れた事例など、様々な事例がございますので、そういう事例を、そういう出向に係る情報を収集するとともに、分かりやすく情報発信を行うこと等を検討してまいりたいというふうに考えてございます。

○矢倉克夫君
 是非、それぞれの、何にどういうスキルが必要かの情報マッチング等も含めて分析をお願いしたいと思います。
 最後に、大臣にお伺いをしたいと思います。その上で、コロナの影響を更に受けている学生たちのためにも。
 来春卒業予定の大学生が、十月一日時点の就職内定率が前年同期比七ポイント減の六九・八%という報道がございました。公明党の青年委員会、今年の五月に当時の菅内閣官房長官に提言を、第二の就職氷河期を生まないための支援として、人手不足産業への支援や求職者と企業のマッチング機能強化など提言をいたしました。私も就職氷河期ですけど、やっぱり生まれた時代がいつかによってその後の就労環境とか人生設計が決まってしまうというような環境は変えていかなければいけないと思っております。
 最後に、大臣から、この第二の就職氷河期を生まないための決意とともに、具体的な方策をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(田村憲久君)
 おっしゃられますとおり、就職氷河期の方々は大変今御苦労いただいて、この方々も何とか正規の雇用の場にということでいろんな支援もいたしておりますが、今まさにコロナで第二就職氷河期をつくらないということでいろんな対応をしていかなきゃならないと考えております。
 各省庁と連携して、新卒者の方々の採用でありますとか雇用等々しっかり結べるように促進をしていくためにいろんな支援策、今対応しているわけでありますが、月並みな言い方をしますと、若者応援ハローワークというものでしっかりときめの細かい支援をしたりでありますとか、それから、やはり全体として、就職の面接会みたいなものを各地域、中小企業なんかが、大企業が厳しい中において、新卒者の方々が、ふだんはなかなか入ってもらえないんだけれども、地元に帰ってそういう方々が興味を示していただいているというような話もあります。ですから、各都道府県での就職面接会等々もしっかりと厚生労働省、応援をいたしております。
 あわせて、この間、四大臣、私と一億総活躍大臣とそれから文科大臣、経産大臣は副大臣でありましたけど、四人で経済四団体とお会いいたしました。そこでしっかりと、とにかく新卒者の方々を就職に向かって採用いただきたいということをお願いをしてまいりました。
 今、就職できないことによって新卒じゃなくなっちゃうと、すると次の年、なかなか新卒の枠の中で入っていけないということがございますので、既卒三年に関しては、これは、実は指針でこういう方々を言うなれば新卒扱いしてくださいということは既にもうお願いしているんですが、まだ徹底できていない部分もございますので、再度四団体の皆様方に既卒三年の方は新卒という形で迎え入れていただきたいということもお願いいたしました。
 とにかく、今やらなきゃいけないことは、この四月に向かって就職される方々、その先を考えることも大事なんですが、そこに向かってまずは皆さん就職をいただくということが、これが一番でございますので、それに向かって全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。

○矢倉克夫君
 ありがとうございます。
 是非全力で、いわゆる新卒一括採用というのが限られ過ぎると、やはりこういう弊害も起きてくる。そのためには、先ほどもちょっと別の件で話があったスキルの見える化とか、求められるスキルの見える化等も通じて、全世代に開かれるような労働市場というのもやはり重要かと思います。その辺りはまた後日改めて御質問させていただきたいと思います。
 ありがとうございました。

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