203回 厚生労働委員会

2020-12-03

○矢倉克夫君
 公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いします。
 昨日成立しました改正予防接種法等法案、法律、今後の運用がまさに大事であります。それに当たっての参考として、先日、参考人として来ていただいた坂元参考人、大変御示唆に富むお言葉たくさんありました。
 その中での二つ。一つは、まず予防接種台帳の広域化に関連して各自治体のシステムが統一されていないということであります。現実、自治体はそれぞれのベンダーと契約、設計し、仕様等も違うという状況があるわけでありますが、やはりクラウド技術などを活用して自治体ごとのシステム標準化、統一化、これをすることが最終的には国民の健康にも資するということに対しての認識と、改めて、今デジタル庁の議論がある、そことの連携についてお伺いするとともに、あともう一つは、坂元参考人がおっしゃっていたことは、副反応に対する情報提供。これにつきましては、メーカーの市販直後調査と予防接種台帳、Vシステムのリンクによる副作用の、副反応の見える化という提案もありました。これについての厚生労働省の見解をお伺いしたいと思います。

○政府参考人(正林督章君)
 お答えします。
 地方自治体システムの標準化については、新経済・財政再生計画改革工程表二〇一九などで定められたスケジュールに沿って進めているところであり、予防接種なども含む健康管理分野についても、二〇二二年夏を目途に標準仕様を作成するために検討を進めているところであります。これにより、国、地方自治体等の相互の連携が確保され、健康分野においても住民サービスの向上が期待されると考えております。
 今後、システムを実際に利用する自治体の意見も丁寧に聞きながら、内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室や今後創設予定のデジタル庁とも連携し、クラウド技術などの活用も踏まえつつ進めていくつもりです。
 御指摘の提案に関して、ワクチンの副反応に関する情報収集については、現状、予防接種法等に基づき、接種後に副反応と疑われる症状についてPMDAが医師や製造販売業者等から報告された情報を取りまとめ、厚生労働省の審議会で評価し、必要な安全対策や情報提供を実施しており、新型コロナワクチンの接種に向け、PMDAの体制強化や報告の電子化に向け準備を進めています。
 また、ワクチン接種の記録については予防接種法に基づき市町村において保存され、ワクチン使用量についてはワクチン接種円滑化システム、いわゆるV―SYSと呼んでいますが、で把握されることになっており、それぞれのシステムから得られる情報を有効に組み合わせ、適切な情報収集に取り組んでいきたいと考えております。
 なお、ワクチンの安全性評価において、予防接種記録といわゆる予防接種台帳とのリンクですが、ごめんなさい、予防接種台帳、すなわち予防接種記録と保険診療データを連結することにより評価する、そのシステムの必要性についてかねてから御指摘いただいていますが、これについては、試行的に今市町村が有している予防接種情報と保険者が有している保険診療に関する情報を連結し分析する事業を昨年度から開始しています。
 いずれにしましても、それぞれのシステムから得られる情報を有効に組み合わせて、適切な情報収集に取り組んでいきたいと考えております。

○矢倉克夫君
 副反応の情報をしっかり提供していくことが、最終的には情報を知ることの安心感が接種にもつながると思います。是非よろしくお願いします。
 次に、コロナの中でやはり最前線で頑張っていらっしゃる介護、障害の関係の従事者の方、どんなときも利用を止めないで、また利用者のためでもあるし、親族にも会えない方々に代わって頑張っていらっしゃる方々に対してでありますけど、やはり今、例えば先日、財政制度等審議会、こちらが見解を出して、例えば介護報酬などはプラスとする事情が見出せないなどというような見解も出ていたというふうに伺っております。
 しかし、私は、例えば報酬単価にしましても、例えばコロナ以前から特別養護老人ホームの三四%強が赤字であったり、その七割が平成二十九年から赤字が継続している、こういった状況がある。このいろんなサービスがある中で、それを全部均一化して数値を出しているというようなことは非常におかしいかなというふうに思っております。
 あわせて、介護報酬、処遇改善の方なんですけど、先日も介護従事される方から話を聞いたんですが、皆さん、いや、もっともっとやはり処遇改善がないと将来が不安だと。介護人材の有効求人倍率は全職業の四倍。これだけ求人倍率高いのに人が来ないというのは、やはり今現状も依然として全産業平均との差が八・五万円の差がある。更なる処遇改善が必要だというふうに思っております。
 それに向けて、改めて厚生労働省として、介護報酬単価の引上げと処遇改善について御見解を求めたいと思います。

○政府参考人(土生栄二君)
 お答えいたします。
 新型コロナウイルス感染症が拡大する中、介護サービス等が利用者やその御家族の生活を継続する上で欠かせないものであることが再認識されたと考えております。
 厚労省といたしましても、これまで介護事業所に対しまして、感染症対策実施のための必要な掛かり増し費用の助成、あるいは施設の改修費用の助成等を行い、必要な支援を行ってきたところでございます。
 令和三年度介護報酬改定におきましては、地域包括ケアシステムの推進など従来からの課題に加えまして、感染症や災害への対応力を強化していく必要があると考えております。
 さらに、御指摘ございました介護人材の確保も引き続き重要な課題と考えておりまして、昨年十月に創設しました介護職員の更なる処遇改善のための加算の取得促進など、着実に実施していく必要があると考えております。
 こうした考え方に基づきまして、現在、社会保障審議会介護給付費分科会におきまして議論を進めていただいておりまして、予算等の対応も組み合わせながら、介護事業所の経営状況、地域において適切な介護サービスが安定的に提供される必要性、さらには保険料等の国民負担や介護保険財政に与える影響なども踏まえながら、必要な対応を予算編成過程でしっかりと検討してまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君
 是非しっかりと各予算確保をお願いしたいと思います。
 じゃ、大臣にちょっとお伺いしたいと思います。
 大臣所信に対する質疑のときに質疑できなかったものがありました。就職氷河期について質問をしたいと思っていたところでありましたので、大臣、所信で就職氷河期支援における社会機運ということをおっしゃってくださいました。私も、同世代である人たちと話を聞いて、ちょうどその時代にぶつかったことで不本意な就労関係に置かれていたという。その後、正社員になったとしても、ずうっと自己否定であったり、自分の能力ということに自分でおとしめて苦しんできたと、そういうようなことを泣きながら話をされてこられたとき、ただ時代がそういう時代だったというふうにあるときに言われて初めて自分の気持ちの中が軽くなったというような、泣きながら話されたことも記憶にあるところであります。
 是非、非正規雇用とかで働かざるを得なかったりしたことが自己や人生否定につながって苦しんできたという就職氷河期世代に対して、社会全体で励ます機運というものをつくっていただきたいと思いますが、この言葉に、大臣、込められたことをまずおっしゃっていただければと思います。

○国務大臣(田村憲久君)
 就職氷河期世代とよく言われ方しますけれども、本当に経済の状況、雇用環境が厳しくて就職ができなかった、本当にその状況の中で就職できなかったという方がたくさんおられるんですね。その方々が、今言われたように自己否定をされたり、いろんな形で悩まれて、事実、今も安定していない形で働かれていたりでありますとか、更に申し上げれば、働いておられない方々もおられる、場合によっては引きこもりというような形でなかなか社会へ参加できない方々もおられるということ、これ大変な問題というか大きな課題だと思っています。これ、御家族や御本人というか、社会的なやはり問題、課題として捉えていかなきゃならないと。
 そこで、産業界、それから労働界でありますとか、あと社会福祉の関係団体、もちろん家族団体でありますとか、御本人の、当事者の団体といいますか集まり、そういうところとプラットフォームみたいなものをつくって、そこで例えばどういうニード、ニーズ、要望があるのか、どういう課題があるのか、そういうこともしっかりとお聞きをさせていただき、みんなが共有をしながら、その上でいろんな支援につなげていこうというようなこと。
 そういう意味では、一つは、機運を高めるという意味では、例えばネットを通じていろんな情報発信をしていこうということで、サイトの方でそういうような方々の相談に乗るようないろんな場所のアクセスといいますか、そういうことを載せたりでありますとか、事例等々も載せさせていただいたりでありますとか、また、これもヤフーニュースでありますけれども、そういう方々を採用されておられる企業、こういうもののニュース、こういうものを載せさせていただいたりとか、いろんなことをやらせていただいております。
 改めて、やはりみんなでこの問題を解決していくために、就職氷河期世代の方々をしっかりと企業も雇っていただける、またそういう方々に対してもいろんな教育訓練等々いろんな場があるということも含めてお知らせをさせていただきながら、更に申し上げれば、これちょうど今、第二代、第二といいますか、就職氷河期の第二世代みたいなものが生まれるのではないかというような大変な御心配をいただいております、コロナ禍の下において。こういう心配もございますので、先般、四大臣で経済団体とお会いをさせていただきまして、是非ともこの今年度の就職、今やっておられるわけでありますけれども、もう就職氷河期をつくらないように採用いただきたい。
 あわせて、既卒三年、この方々、そもそも今までも指針等々で新卒扱いをしてくださいというお願いをさせてきていただいておるわけでありまして、そこも改めて、仮に今回、まずは全力でこの四月に向かって就職の応援をしてまいりますが、それがもしかなわなくても、その後、次のときに新卒として扱っていただいてしっかりと就職につなげていくように、今までの就職氷河期世代の方々の支援と同時に、またこういうことを繰り返さないような努力もしっかりと進めてまいりたいというふうに考えております。

○矢倉克夫君
 先日、NHKのテレビで「こもりびと」というドラマがありまして、松山ケンイチさんが主役されていて、自分の中でも外に出たい、そのために頑張っているんだけど、自分とか周囲が与える期待と現実とのギャップで出られなくなった、そういう中にあって、厳格だった親が最終的には、例えばおはようとか、存在を認めた上で話していく、そういうたわいのない言葉から雰囲気が変わっていったという。そういう部分もいろいろ示唆に富むようなドラマもありました。
 そういういろんな状況にある方に、一人一人に寄り添うような環境をつくっていく。その中で、山本副大臣にもちょっとお伺いしたいと思うんですが、所信で大臣が言及されていた、就職氷河期世代に働くことや社会参加への支援というふうに書かれておりました。これもこの社会参加に向けた支援というふうに、必要とされている方に対しての支援だと思いますが、これを今コロナの状況でなかなか会いにいけない環境でいかに寄り添う環境をつくっていくのか、御答弁いただければと思います。

○副大臣(山本博司君)
 就職氷河期世代の中、特に引きこもり状態にある方への支援につきましては、厚労省では従前から都道府県や指定都市、ひきこもり地域支援センターの設置を進めてきたほか、より身近な場所においても、市町村における相談窓口の明確化や居場所づくり、これを環境整備を進めてきたわけでございます。
 これに加えまして、先ほど大臣お話ししました就職氷河期世代支援プランに基づきまして、アウトリーチ機能の強化のための訪問相談を行う人を自立相談支援機関に配置したり、支援の核となる関係機関が連携した市町村プラットフォームを設置するなど、取組を更に加速化したわけでございます。また、コロナ感染症の影響を受けまして、地域の実践では、対面での支援に加えまして、ビデオ通話やSNS等の活用したオンラインでの居場所づくり、こうしたことで感染防止の、感染拡大防止に配慮した取組も行われております。
 厚労省では、これらの取組が更に広がるように、令和三年度の予算概算要求におきまして、引きこもり当事者等によるSNSや電話等のオンラインを活用した支援に必要な経費を計上している次第でございます。
 その上で、これらの取組を始め、引きこもり状態にある方やその家族への支援に当たっては、それぞれ異なる経緯や事情を抱えておられることにつきまして、社会全体の理解を深めることで支援を必要とする方が相談しやすい環境づくりを進めるとともに、生きづらさと孤立の中で日々葛藤していることに思いを寄せながら、時間を掛けて寄り添う必要があると考える次第でございます。ですので、就労だけを唯一のゴールとせず、コロナの状況の踏まえた様々な支援の選択肢を用意した上で、引き続き取り組んでまいります。

○矢倉克夫君
 ありがとうございます。
 最後に、大臣、済みません、質疑、ちょっと質問する予定でありましたが、時間も参りましたので、意見だけ最後申し上げさせていただきたいと思います。
 私、最初の、今回の国会の最初の質問で産後サポートの関係でお訴えしたことは、ある方から言われた言葉が、不妊治療の拡大とかで子供をつくりたいというその思いにまず寄り添う、それと同じぐらい大事なのが、実際子供いらっしゃる世帯が、子供がいて良かったと、そしてまた、また更に子供が増えればいいなと思うような思いを支えるという、そういう大事さがあるという話で、何としてもこの現役世代の子育て世代、今負担もどんどん増えておりますから、それをしっかり支えていくという姿勢を是非堅持をしていただきたいなと。
 その意味でも、少子化対策というメッセージがぶれない形でお願いしたいと思っており、待機児童の解消の財源として例えば児童手当の見直しというふうになるとメッセージがごっちゃになってしまうというような懸念もあります。是非、ほかのところから、政府全体で財源を取って、しっかりと子育て支援を国がやっているんだという姿勢を堅持していただきたい、これは要望を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございます。

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