204回 内閣委員会、厚生労働委員会連合審査会

2021-02-03

○矢倉克夫君
 公明党の矢倉克夫です。
 私からも、まず、全世界で亡くなられた方の御冥福、そして今コロナで闘っていらっしゃる方の一日も早い御回復をお祈りするとともに、緊急事態宣言、延長となりました。国民の皆様に御不便をお掛けすることをおわび申し上げるとともに、更なるお願い、そして何よりも政治家自らがしっかりと範を示さなければいけないということの決意をまず冒頭申し上げたいというふうに思います。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 改正案、特に罰則が議論になっているところでありますので、私からはとりわけ感染症法に関する罰則について、まずはお伺いをしたいというふうに思います。
 当初、政府案で予定されていた罰則規定、こちら参考にされていた罰則があるというふうにもお伺いしておりますが、これが何であるかということと、あわせて、これらの罰則について過去警察等でどのように検挙をされていたのか、回数をまずはお伺いしたいと思います。

○政府参考人(正林督章君)
 お答えします。
 今般の改正案では、入院の措置について、正当な理由がなく入院措置に応じない場合、入院先から逃げた場合の罰則を創設することとしております。当初、政府が提出した法案による量刑は一年以上の懲役又は百万円以下の罰金としておりましたが、このように強制力のある措置と罰則を組み合わせている例としては、検疫法の隔離、停留の措置があり、量刑についても同等としていたところであります。
 また、疫学調査もでしょうか、疫学調査も。はい。
 疫学調査については、感染源の推定や濃厚接触者の把握を行うための重要な調査である一方で、調査に協力していただけない場合があることから、虚偽答弁や調査拒否等を行った場合の罰則を設けることとしております。当初、政府が提出した法案における量刑は五十万円以下の罰金としておりましたが、現下の感染症法においても、検体の収去、消毒等のために都道府県知事が行う関係者に対する立入調査を拒み、妨げ又は忌避した者について五十万円以下の罰金が科せられており、これを参照としたところであります。
 また、検疫法の罰則について、過去検挙された件数については、厚生労働省において確認した限りにおいては把握しておらず、また警察庁に照会を行いましたが、過去十年間で検挙の事例はなかったとのことでありました。

○矢倉克夫君
 今、検疫法の話がありました。把握もない、また過去十年間警察の方でも検挙はないということでありますが、これのような少ないのにもかかわらず今罰則規定が存続しているこの理由をまずお伺いしたいと思います。

○政府参考人(正林督章君)
 済みません、今の答弁で私、一年以上の懲役と申し上げましたが、一年以下の懲役の間違いでした。済みません。
 検疫法についてですけど、一般的に、罰則については違反行為に対して制裁を科すことで一種の抑止的効果が働くものと考えられており、法目的達成のための規制等の実効性を担保する必要に照らして、他法令における罰則との均衡等も考慮しつつ定められております。
 検疫法においては、国内に常在しない病原体が船舶等を介して国内に侵入することを防止するとともに、船舶又は航空機に関して感染症対策上必要な措置を講ずることを目的としており、隔離、停留から逃げた者に科される罰則のみならず、検疫法の措置に違反した場合に科されるその他の各種罰則の規定により検疫法上の措置の実効性を担保し、その目的の達成を図るものであり、必要な規定と考えております。

○矢倉克夫君
 抑止を目的として、検挙としては少ない、ないが、それでも存続する意義はあるというところ、こういった罰則を今回また参照して改正法に入れているという意味だったというふうに思います。
 今回の罰則も同様に、やはり罰則の存在を通じたより大きな害悪を防止するということが目的であり、当然ですけど、個人に対する応報感情、悪いことをした人が報いを受けなければいけないとか、そういう個人非難の類いのものでは当然ないというふうに理解はしております。
 それの改めての確認とともに、罰則である以上人権の制約があるわけでありますが、人権制約の根拠というのはあくまでほかの人の人権を衝突を調整して守るためにあると、これが憲法の通説でもあるという理解でありますが、今回の罰則はいかなる人権を守るためのものであって、そのために罰則が必要であるという合理的な根拠、立法事実をですね、コロナの特性などを通じて改めて答弁いただきたいと思います。

○政府参考人(正林督章君)
 お答えします。
 御指摘のとおり、感染症法の罰則は個人に対する非難として設けるものでは決してありません。
 新型コロナウイルス、これ感染力も強く、また多くの方が現在もお亡くなりになっております。これについては、国内外で急速な感染拡大が認められる中で、その感染拡大を防止するためには、感染者に対する入院勧告・措置は重要であり、個人の人権に配慮しながら実効性を高めるための措置を講じる必要があり、本人の御理解を得ながら入院していただくことが基本でありますが、自治体等からの協力要請に応じていただけない場合があることや、保健所を始め現場を所管する全国知事会から罰則の創設を求める緊急提言が出されていることなどを踏まえて罰則を創設することとしたものであります。
 いずれにせよ、法律の運用に際しては、本人の人権に配慮した適切な対応に努めてまいりたいと考えております。

○矢倉克夫君
 要は、ゼロか百かの議論ではなく、他の人権を守る、そのためには必要であり、それの不都合とのバランスがやはり重要だという、そういうことであるかというふうに思います。
 今日は、御提案者の方、お忙しい中来ていただきました。ありがとうございます。
 今回の感染症法上の罰則につきましては、当初案、刑事罰でありましたが、野党の皆様の御提案をいただいて行政罰というふうになったというふうに理解もしております。
 先ほど、都道府県の関与を通じた信頼関係という前提の下で、罰則そのものの必要ということは否定はされていなかったというふうに答弁からもうかがえたところでありますが、今回、封じ込めるべきウイルスというもののこの危険性というのは同じであるのに、検疫法などの類似罰則が刑事罰である一方で、本法案の修正案の方が行政罰となる、こういうふうにされた合理的な根拠、特に行政罰とすべきという御提案に至った趣旨を提案者より御説明いただきたいと思います。

○衆議院議員(今井雅人君)
 どうもありがとうございます。
 政府原案の感染症法の入院措置や積極的疫学調査における個人への刑事罰の導入ということに関しましては、立憲民主党を始めとした我々野党側としては、私権制限は最小限であるべきということで、刑事罰はもとより、本来、過料の導入すら慎重であるべきという立場でございました。特に、刑事罰は量刑均衡の観点から明らかに過重であるというふうに考えておりました。この点、政府・与党は、罰則を定めるに当たっては感染症法や検疫法の類型の罰則とのバランスを取るということが重要との立場でございました。詳しくは先ほど参考人が御説明されたとおりでございます。
 刑事罰を行政罰にすることにつきましては、野党の立場からは、行政罰であれば警察が関与することはなく、これまでと同様に、都道府県知事の下で対象となる方との信頼関係を構築していきながら行うというこれまでの運用ができること、これ今御指摘のとおりです。それから、行政罰では前科が付かないこと。また、与党側の立場からでは、刑事罰を行政罰に改めたとしても、金銭的な側面から違反行為を抑制するという機能は維持されるということで、政府・与党の考える新しいコロナ対策の実効性は十分に確保できるということから、与党間の協議において合意に至ったということでございます。
 立憲民主党を始めとする野党としましては、今般の緊急事態宣言の発令下の大変厳しい状況の中で、与野党の合意を得て新たな感染症対策を講じていくことこそ立法府たる国会の使命であると考え、その結論を受け入れたものでございます。
 ただし、感染症法の前文にうたわれておりますように、かつてハンセン病の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在し、こうした患者等が置いていかれた状況を踏まえ、感染症の患者等の人権の尊重を旨として現在の感染症法が制定されたという経緯に鑑みれば、過料の適用に当たっては、国民の自由と権利が不当に侵害されることのないように慎重に運用すべきであり、この点は衆議院の附帯決議でも明記をさせていただいたところでございます。
 以上です。

○矢倉克夫君
 様々御議論ある中、感染防止という目的に立って合意をされたということであります。
 人権侵害は最小限というのはもう全くおっしゃるとおりであるというふうに思います。その上で、公共の福祉のためにこれ以上の感染を防ぐやむを得ない措置として、罰則の存在を通じた人権制約というやむなき手段に至るところでありますが、であれば、その実効性をしっかりと図って、何としても感染拡大、これ止めなければいけないわけであります。
 修正の結果、行政罰になったということが軽視していいんだという逆のメッセージにならないように、そうではないということの趣旨を大臣から答弁をいただきたいと思います。

○国務大臣(田村憲久君)
 行政罰であっても、金銭面でこれに関して違反行為を抑制する効果があるというふうに認識いたしております。
 なお、提出に当たっては、先ほど来話がありましたとおり、検疫法三十五条との均衡を図って、刑事罰という形で提出させていただきました。しかしながら、このような形で衆議院で修正をいただいた、与野党で修正をいただいたということに関しましては、前文に関しましては私も肝に銘じておるつもりでございますので、心から感謝を申し上げます。

○矢倉克夫君
 こういう形で合意に至ったという意義を改めて我々もしっかり肝に銘じて、前文の部分を、おきたいと思います。
 あともう一点、感染症法の罰則の関係で、積極的疫学調査、こちらを拒否したことへの罰則について、こちら当初、直罰規定、要するに改善命令など行政処分を経ることなく罰則化されるという構成要件であったわけでありますが、今回、行政処分、命令なども組み込まれるような措置となりました。直罰規定のままですと、例えば裁判になったときに、そのときの立証の際などにも例えば現場の保健所の人が証言に立たなければいけなくなる可能性も多くなる、現場の負担が大きくなるということもあったわけでありますが、今回の修正でそういう負担軽減という部分も図られたことも大きな意義が私はあるというふうに思っております。
 それも含めてでありますが、改めて今回の修正の趣旨を提案者より御説明いただきたいと思います。

○衆議院議員(濱村進君)
 今委員御指摘のとおり、原案では、積極的疫学調査を拒否等したことへの罰則につきまして、検疫法や感染症法における類似の規定との罪刑均衡の観点から与党としては妥当と判断していたところでございますが、修正後の法律案では、行政罰の過料の前に命令を前置することといたしました。
 具体的には、過料に前置する手続として、新型インフルエンザ等感染症の患者等が積極的疫学調査に対して正当な理由がなく協力しない場合において、なお感染症の発生予防又は蔓延防止のため必要があると認めるときは、都道府県知事又は厚生労働大臣は、当該積極的疫学調査に応ずべき旨の命令を発することができる制度を設け、この命令に違反した場合に初めて過料の対象となることといたしました。この命令においては、必要な最小限度のものでなければならないことを明記するとともに、書面による通知に関する規定を設けることとしており、行政罰である過料といえども、慎重かつ謙抑的な姿勢でもって対処すべきことを明記しているところでございます。基本的人権の尊重をベースとして、一定の抑止効果が働く必要最小限の罰則になっているものと考えております。
 以上です。

○矢倉克夫君
 修正を経て、しっかりとバランス取れたものになったかというふうに理解もしております。改めて、対策の実効性を高めるための今回の罰則の存在でもあり、最終目標は新型コロナの終息であるということを強くまたお訴えし、強調もさせていただきたいというふうに思います。
 それでは、御提案者の皆様、こちらで御退席いただいて結構でございます。

○委員長(森屋宏君)
 提案者の皆様、御退席いただいて結構です。

○矢倉克夫君
 それでは、さて、やはり今のこの状況、緊急事態宣言が延長せざるを得ない、感染者の数は減ってきているかもしれないけど、何といっても重症者の数、それに対する対応をしっかりしなければ救える命も救えないという、この状況下をどうするかというところが重要で、その観点で病床の確保というのは重要であるかというふうに思います。
 まず、大臣に、医療崩壊というのはどういう状態で、政治はそれを食い止めるために何をすべきであるか、端的に御答弁いただければと思います。

○国務大臣(田村憲久君)
 厚生労働省として医療崩壊という言葉の定義をしているわけではありませんが、言うなれば、逼迫、崩壊等々いろんなことを言われているわけでありますけれども、通常受けられる医療が受けられなくなるような状況、こういう状況は避けなければならないというふうに認識いたしております。たしか日本医師会の会長もそのような表現をされていたというふうに思っております。

○矢倉克夫君
 今大臣からも、まさに通常受けられるような医療が受けられない状況、やはり私も患者が望む医療を適時適切に提供することというのが大事で、そこがなされないのが医療崩壊であるというふうに思っております。
 資料を二枚御準備しておりまして、これ新聞記事の方の資料になりますが、こちら、埼玉医科大学総合医療センターの岡秀昭教授が新聞記事でおっしゃっていたことであります。この中の下から三段目のところ、これについて、現状として、やはり、特に重症者の受入れについては医療崩壊状態であると。本来なら集中治療室に入るべき患者でも、本人や家族の了解を得た上で軽症、中等症向けの病床にとどまっているケースもあると。こういう状況下、本当に現場は大変な状況下であるというふうに思います。
 その中にあって、特措法で臨時の医療施設を対策本部が設置された段階から開設できることにした、また、そういうふうな点での法律を設けたことなどは、プレハブであっても病床を増やさなければ医療崩壊につながるという強い危機意識の表れというふうに私は理解をしております。
 その観点で、済みません、質問を一問飛ばして、大臣にお伺いもしたいと思うんですが、資料二を、資料二と申しますか、厚生労働省が公表した今回の更なる病床確保のための新型コロナ患者の入院受入れ医療機関への緊急支援の件、こちらの資料になります。一病床について加算も含めると最大千九百五十万円の支援をする、この施策の資料であります。
 これについて私問題意識を持っていたのが、この補助対象が二月二十八日の申請時点での即応病床。これ、要請あれば即座に受け入れられるような病床でなければいけないというふうになっていることであります。QアンドAも、十二月二十五日に発出されて一月二十五日に改定された厚生労働省のQアンドAでもその旨が明記をされておりました。で、私は、これはおかしいと厚生労働省の役員の方にも、役所の方にも数週間前からずっとお訴えをして、三月末まで、これは予備費が財源ですから、三月末までが執行である、必要だというのはこれは分かるんですが、それよりも一月早い二月末に即応病床としてなければいけないという合理的はないわけでありますし、そもそも、この支援、プレハブなども対象になる、大臣も昨年末のときに臨時の医療病床でも対象になり得るというような趣旨の話をされていらっしゃいました。
 プレハブ、仮設の病棟であっても建設には数か月掛かるわけであります。事実、埼玉県は医療は非常に逼迫しているわけでありますけど、現在、医療機関の敷地内に仮設の専用医療設備を整備して病床の確保を急いでいるわけでありますが、八施設のうち二施設は既に稼働しているんですが、残りの六施設、計百三十五床については、三月末までには即応病床としての患者の受入れは可能なんですが、十二月から建設始めて、どう考えても二月末までにはこれは間に合わない、そういう状況になっています。
 この実は稼働済みの二施設も含めて八施設全部、民間の医療病院がリスクを覚悟で引き受けてくださっているものなんです。元々こういう民間の病院というのは損得抜きに考えてくださる、覚悟を持ってやっていらっしゃるわけなんですけど、やはり政治、行政がこういう思いを持った方々にしっかりと、ちゃんと思いを受け止めて、こういう制度の対象にするというべきであるし、そうならないで何の政策かというような気持ちもしているところであります。
 早急に、三月末までに受入れが可能となる病床は補助対象とすべきと考えますが、大臣の御所見をいただきたいと思います。

○国務大臣(田村憲久君)
 事務手続、いろんなことがありますのでそういうことであったわけでありますが、委員から御要望いただきまして、確かにおっしゃられるとおりでございますので、三月中に簡易のその病室等々がこれが完成をする上で、都道府県から受入れですね、受入れの病床の割当て、こういうものが二月中、二月末までに確定している医療機関、そして、そのことを都道府県がしっかりと認識をしているというような場合に関しては、言われるとおりでございますので、対象というふうに考えさせていただきたいと思っております。

○矢倉克夫君
 ありがとうございました。
 しつこく私も申し上げたことで大臣が受け止めてくださって、財務省ともまた協議をしていただき、決断をしていただいたということであります。
 現場は本当にこの気持ちに対して非常に喜ばれると思うし、であるからこそ一緒にコロナを乗り越えようと。最初のときには、コロナの患者の方を受け入れた、それによって赤字になったというような病院もあったわけであります。やはりそういうことがあってはいけないと。本当に頑張ってリスクを負ってくださる方に不都合を生じさせるようなことはしないということが、やっぱり政治の決断であるというふうに思います。その上でも、改めて今の大臣の御決断に感謝を申し上げたいというふうに思います。
 しっかりとまた国民の皆様とともにコロナを乗り越える、この決意を申し上げて、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

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