204回 厚生労働委員会

2021-04-20

○矢倉克夫君
 公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いします。
 まず、ヤングケアラー支援について私の方からお伺いします。
 ヤングケアラー、いわゆる本来、大人が担うと想定されている家事や家族の世話を日常的に行っている児童や生徒でありますが、厚労省は四月の九日に、このヤングケアラーの実態に対する調査、公表をされました。公立中学校二年生の五・七%、約十七人に一人、一クラスに大体二人ぐらいですよね。あと、公立の全日制高校の二年生の四・一%ですね、二十四人に一人。これぐらい多くの人が世話をしている家族がいると回答をしていて、世話に割く時間は、中学二年生で一日平均四時間、高校二年生で一日平均三・八時間、本当に学業とか健康にも悪影響が懸念されている状態であります。
 我が党の伊藤孝江参議院議員が三月八日の予算委員会でこの件、質問を取り上げました。それを受けて、厚労省と今文科省と共同で、ヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・教育の連携プロジェクトチーム、設置をされて、今後検討を進められるというふうに理解もしているところであります。
 このヤングケアラーが、方々がここまで増加をした背景は何と考えて、政治はこのような方々に対して、社会としてどのような支える仕組みを考えるべきか、その議論の方向性と、大事と考えるこの視点について、共同座長である山本博司副大臣から答弁をいただきたいと思います。

○副大臣(山本博司君)
 ヤングケアラーの背景でございますけれども、少子高齢化や核家族化の進展、共働き世帯の増加、また家庭の経済状況の変化といった様々な要因があるものと考えておる次第でございます。こうした中で、親の介護、障害、貧困といった複合的な要因に適切に対応することが必要でございまして、本年三月、私と丹羽文部科学副大臣を共同議長とするプロジェクトチームを設置したところでございます。
 この本プロジェクトチームにおきましては、関係団体、有識者等からのヒアリングを行っておりますけれども、先日のプロジェクトチームにおきまして、主な論点、課題といたしましては、一つにはヤングケアラーの早期発見、把握という点、また支援策の充実ということ、さらには社会的認知度の向上、こういった点をお示ししたところでございます。
 今後、こうした点につきまして、プロジェクトチームで議論を重ね、五月中に報告書を取りまとめ、当事者に寄り添った支援につながるようしっかりと取り組んでまいります。

○矢倉克夫君
 五月中に方向性取りまとめるということであります。その後、骨太の方針なども策定ある、そこにしっかりと入れ込んで、結果を予算などに反映できるように我々もしっかりサポートをしたいというふうに思います。
 このヤングケアラー、改めてですけど、埼玉県議会の方でも、どこよりも早く、実は昨年の三月に、家族を無償で介護している人全般を支援することを定めたヤングケアラー、ケアラー支援条例、これ全会一致で可決をいたしまして、十八歳未満の介護者の方、ヤングケアラーと定義して、健やかな成長と自立が図られるよう支援をしなければならないと定めたところであります。
 実は、この条例制定を契機として、昨年の七月から九月に、県内の高校二年生五万五千七百七十二人、これ、国の調査よりも多い人数になるんですけど、こういう方々を対象とした実態調査を行いました。四万以上、四万八千以上の方から回答があったわけなんですけど、やはり二千人近く、四%がヤングケアラーに該当していた。その上で、この調査で特筆すべきなのは、ケアによる生活への影響で一番多い一九・一%の人が、ケアについて話せる人がいなくて孤独を感じているということを悩み事として挙げていたことであります。
 貧困問題、これについては、ケースワーカーの方が自宅訪問をしたり、そこでこういう事態があるということが分かるわけが、事態としてはあるんですけど、このヤングケアラー問題というのは、周囲の大人がなかなか能動的に察知をして発覚するケースは比較的少ないというふうに言われているところであります。介護者である子供が周囲に悩みを打ち明けられるような環境整備をするということが非常に重要。
 イギリスなんかは、特にイギリスの学校なんかでは、放課後にヤングケアラー同士が集まって情報交換など交流を図るプログラムというのが設けられておりまして、NPOなどの支援団体や担当教員とか地域ボランティア、こういった大人が参加をしてヤングケアラーたちをサポートしている体制があります。
 同じような境遇の仲間を見付けることで勇気付けられて、自分自身がヤングケアラーであるということに誇りを持てるような土壌づくり、こういうのを目指しているというところ、これは非常に参考になる部分はあるのかなというふうに私自身は思っているところであります。
 政府には、改めてですけど、ヤングケアラーを孤独にさせない、このヤングケアラー同士の交流やサポート体制の整備などが必要と考えておりますが、この点についての政府の所見をお伺いしたいと思います。

○政府参考人(渡辺由美子君)
 御指摘のございましたヤングケアラーにつきましては、このケアラー御本人自身もその支援の必要性ということの認識がなかなかないというケースもありまして、支援が必要であっても表面化しにくい構造となっているというふうに考えております。今回の実態調査でも、世話をしている家族がいると回答した中高生のうち六割近くが相談した経験がないというような回答もございます。
 このため、ヤングケアラー自身を孤立化させない、あるいはピアサポートによってエンパワーしていくということは非常に重要であるというふうに認識しておりまして、今イギリスの例も御紹介いただきましたが、副大臣の下でのプロジェクトチームで文科省とも協力しながらしっかりと議論をしていきたいと思っております。

○矢倉克夫君
 是非、支え合いの仕組みをつくって、こちらから行って察知してあげるという体制づくりを是非よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 次は、いわゆる高齢者施設などでの垂直避難、この関係についてお伺いをしたいと思います。
 皆さん御記憶に新しい一昨年の十月、この台風十九号ですね、令和元年東日本台風、死者百人以上という大きな災害があったわけであります。千曲川なども氾濫をした。埼玉県でも、越辺川という川のこの堤防が決壊をいたしまして、川越の高齢者施設であるキングス・ガーデン、こちらも浸水をした。テレビなどでも自衛隊の方々がボートで入所者の方を救援するその姿がよく映っておりましたので、記憶されている方も多いかというふうに思います。
 また、高齢者施設ではないんですけど、その近くにありました障害者施設けやきの郷というところもこれ浸水をしまして、甚大な被害が出ました。私と元総務の政務官だった輿水前衆議院議員も視察をしたわけでありますけど、発生当時一番大変だったというのは、やはり歩行が困難な方々の垂直避難をどういうふうにするかということが非常に困難であったというような感想もいただいたところであります。
 最近の災害状況をこれ見ますと、高齢施設や障害者施設などでの避難体制、これが非常に重要であるというふうに考えます。特に、施設利用者の身体状態とか職員数の問題などにもよって施設外への避難というのはなかなか難しいのが現実問題としてはある。
 そういう中に、施設内で垂直避難というのを第一避難、第一に考えていくというふうに考えているところではありますが、この辺りの垂直避難の重要性についての厚労省の認識をまずお伺いをしたいと思います。

○政府参考人(土生栄二君)
 お答えいたします。
 先生から御紹介ございましたが、令和元年十月の障害者支援施設けやきの郷、あるいは令和二年七月豪雨の特別養護老人ホーム千寿園、様々な水害被害、激甚化、頻発している状況でございます。
 御指摘ございましたとおり、高齢者施設等におきまして十分な水害対策が講じられ、実効性のある避難確保を、措置を確保していく必要があると認識しております。こうした認識の下、まず、令和二年七月には、新たに介護施設等における水害対策支援メニューを創設いたしまして、広域型を含めた既存施設における水害対策として、垂直避難用のエレベーター、スロープ、避難スペースの確保等の改修工事等に対する補助を実施しているところでございます。
 また、厚生労働省、それから国土交通省合同で、本年三月に、令和二年七月豪雨災害を踏まえた高齢者福祉施設の避難確保に関する検討会、これを取りまとめさせていただきましたけれども、その中でも、施設の上の階、垂直避難先を確保することなど、多重的に避難先を確保することが必要であると指摘されているところでございまして、御指摘ございましたとおり、施設内における垂直避難は災害対策として重要であると考えております。

○矢倉克夫君
 改修工事等への補助もあり、また厚労省としてもよく現場のことを理解されて、垂直避難の重要性、認識をされているということは今理解もできました。
 他方で、やはりこの垂直避難の推進というところに当たっては、私はまだ政府の足並みというのは必ずしもそろっているものではないなというふうに理解もしております。
 例えば、避難器具、この避難器具の設置義務を定めた消防法施行令の第四款二十五条というのがあるんですが、これを見ていると、挙げられている避難器具というのは、この高齢者施設が設置を検討すべき避難器具として挙げられているところは、例えば避難用滑り台であったり、あとは緩降機など、要は火災のときに上から下の方に降りるための防火避難具というものが挙げられているんですが、今問題とされている浸水被害のときなど、やはり一階から二階、三階の方に上がっていく垂直避難をするための避難器具というのは、その検討対象とすら規定はされていないわけなんですね。
 今日は資料も用意をさせていただきましたが、こちらは公益財団法人テクノエイド協会さんというところが作成されているパンフレットの中からこれ抜き出したものでありますけど、可搬型階段昇降機というふうに書いております。こういった資料、メーカーさんによっては福祉用階段昇降機とか非常用避難車、こういった言葉も使われているようでありますが、車椅子に乗ったまま自動で階段を上ることができるものであったり、あとは歩行が困難な方が直接座った状態で下から上に、あるいはまた上から下に、こういうふうに移動できるもの、こういったものがあります。実は、国会議事堂の中にも同じようなものをこれは設置をされているわけでありますが、また欧米などではこういったものが避難具としてかなり一般的になっているところです。
 そういった有益なものであっても、まだこの施設に対する設置としては検討対象としてすら規定はされていない。
 それで、理由を総務省の消防庁の方に私、確認して聞いてみたら、消防庁、こういうふうに回答があって、消防庁は、火災については分かるんだけど、浸水被害時の垂直避難器具については知見がないというような回答がありました。知見がないんなら研究しろよというふうにも私、率直に思ったんですけど。他方で、あと国土交通省も、これは水害対策を規定する水防法を所管する国交省もですけど、実際の避難の在り方については、水防法というものでありますが、規定をするという意識は必ずしも高くはないかなという率直な印象でありました。
 ただ、やはり先ほども厚労省からお話がありましたけど、高齢者施設とか障害者施設の現場の感覚からすると、知見がないとかそういう理由で済ませられるような問題ではもう当然ないわけでありまして、現場の肌感覚が分かる厚労省としては、是非、この高齢者施設とか障害者施設など歩行が困難な方々が入所されているところでの水害避難、水害回避、避難のためのインフラとか設備の在り方について、より真剣に消防庁や国交省など他省との協議をしていただきたいというふうに考えております。
 改めてですけど、障害者支援などにもこれまで力を尽くしてくださった山本博司副大臣から御答弁を、この辺りについての決意をいただきたいというふうに思います。

○副大臣(山本博司君)
 委員御指摘のとおり、障害者支援施設、さらには高齢者支援施設等の現場の実態を踏まえた水害対策を講じられることが避難の実効性を確保するために大変重要であると考えている次第でございます。
 具体的には、今ありました施設内の垂直避難先の確保のほか、他の施設と連携した立ち退き避難先の確保や、地域や利用者の家族と連携した避難支援要員の確保、さらには職員への防災知識の普及と職員の防災スキルの向上などでございます。
 昨年十二月に閣議決定されました防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策におきましても、社会福祉施設等の災害対策を加速化する取組といたしましてこの水害対策強化等が盛り込まれているところでございます。
 高齢者施設等を所管する厚生労働省といたしましても、現場の実態等につきまして情報共有を行うなど関係省庁に強く働きかけながら、現場の実態に即した対策が図られるようにしっかりと取り組んでまいります。

○矢倉克夫君
 しっかり取り組むということであります。今、情報共有という話がありましたが、こういうのが現場だということをしっかり情報共有していただいて、そのためにはどういう設備が必要なのかということ、また他省しっかり連携しながら、是非副大臣の力強いリーダーシップでお願いをしたいというふうに思います。
 これについては改めて私も関係省庁とまた連携をして、また機会いただければ、この場で関係省庁にも来ていただきながら、そして連携した形での政府の見解というものもしっかり答弁いただけるように引き続きまたお訴えをさせていただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 では、この件についてはまずはこのタイミングぐらいにさせていただきまして、次にまた別の機会で質問するとして、また次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。
 新型コロナの関係になりますが、ワクチン接種の関係であります。
 こちらも、これは、ある大学の看護科に通う大学三年生のお嬢さんがいるお父様からの御意見で、これ我が党の方にもメールで寄せられたものでもあるんですけど、大学からそのお嬢さんに、臨地実習に入るためにコロナワクチン接種するようにというふうに連絡があったんですけれども、あくまで自己判断とされていたところです。このお嬢さんから相談を受けた父親は、もう恐らく不安な思いもあったかと思うので、今回は見送るようにというふうにお伝えしたということでありました。
 ただ、その後、大学の教授からこのお父様に電話があって、要するにこういうふうに言ったと。このワクチンは有効で将来的なリスクも少ないと、臨地実習はワクチン接種をしていないと受入れが難しい、PCR検査キットも品不足なので検査もなかなか困難で実習できないということであると、そうなると留年も、留年も覚悟しなければならないと、私はそのような学生を説得して接種させようと思うというふうに、こう言われたということでありました。
 そのお父様からまた連絡が来たのが、この通達が大学から来て、接種の意思確認までは大体五日間ぐらいで接種まで十日間ぐらい、こういう短期間で十分な説明もなく不安なまま接種を受けなくてはならない、これはまさに同調圧力ではないか、同じ悩みを抱えている学生も少なからずいるということを知りました、国の強制はないという方針と現場での違いは何なのかという強い憤りの声をいただいたところであります。
 今御紹介したケースのように、留年をちらつかせて同調圧力を掛けるというのは好ましいものでは当然ないわけでありまして、ワクチン接種はあくまでも個人の判断であって、医療従事者の方であっても業務従事の条件とはならないはずでありますし、接種するかしないかというのが差別の原因とか将来的にはハンディとなってしまうようなことは非常に懸念もしているところであります。
 それで、田村大臣にお伺いしたいんですけど、是非文部科学省と協力をして、ワクチンの役割を含め、医科系や看護系の大学にまでしっかりと、ワクチン接種は個人の判断であって、それをもって種々の前提条件としてはならないという旨の広報を行っていただきたいと考えますが、大臣のお考えをお伺いいたします。

○国務大臣(田村憲久君)
 もう度々申し上げておりますけれども、このワクチン接種、コロナワクチンの接種でありますけれども、この有効性、安全性というものをしっかりと国民の皆様方に我々は情報発信しなきゃなりませんが、それに基づいて、御本人の判断でこれは打つか打たないかをお決めをいただくという、そういう類いのものであります。
 今委員がおっしゃられました、そのワクチンを打たなければ卒業できない等々、ほかにもいろんなことがあるのかも分かりません。そういうようなことが起こっておるとすれば、これは我々がそもそも国民の皆様方に今までお示しをしてきた方向性とは違うわけでございます。
 もちろん、これ、大学ですかね、のことですから、大学のことですから厚生労働省が所管ではないわけでありますけれども、文科省の方にそのような事案があったということはお伝えを、今日委員がこのような御質問されたということはお伝えをさせていただき、しっかりとこの考え方、趣旨にのっとって各教育機関、大学等々が対応いただけるような、そういう文科省としての対応をお願いをしてまいりたいというふうに思っております。

○矢倉克夫君
 是非、学生にとってはその後のハンディを迫られるような形でというのは本意じゃないところも当然あると思います。その辺り、しっかりと文科省と連携をしながら是非お願いをしたいというふうに思います。
 引き続いて、この状況下における体制の整備について、特に在宅療養者の方々への医療供給体制の整備について、改めての部分もありますが、お伺いもさせていただきたいと思います。
 変異株が非常に猛威を振るっていて既に第四波というふうにも言われているわけでありますが、第三波のピーク時もどうだったかというと、やはり新型コロナウイルスの感染症の蔓延によって病院での医療が逼迫をしていく中で、自宅やホテルで陽性患者の方の容体が急変して死亡されたということが急増していたことがありました。
 ああいうふうになってはいけないという前提の下でお伺いするんですけど、あのときなぜそういうことがあったかというと、やはり実際に容体が急変した陽性者の方は、御自身の呼吸の悪化に気付かないというケースや血液の塊が突然血管に詰まるといったケースも多くあって、電話等の聞き取りだけではなかなか病状把握は困難だったということもあったかというふうに思います。
 そこで、容体の急変も抑えながら在宅療養者の命を守るために、リモートでの検査と診断による投薬等の仕組みを構築するということが、改めてですが、必要と考えております。このことは、当然ですけど、在宅の療養者の方々の安心と安全を守るとともに、陽性者の重症化を抑制することにつながりまして、救急隊や病院の負担も軽減できるというふうにも考えます。
 具体的には、地域のあらゆる診療科の診療所の医師が協力をして、リモートでの検査や検診結果を受けて在宅療養者に対して迅速に治療介入する体制、これを整えることも検討すべきであると考えますが、政府の現状の対策、まずはお伺いをしたいと思います。

○政府参考人(正林督章君)
 お答えします。
 自宅や宿泊療養されている患者については、症状の変化があった場合は速やかにこれを把握し、医療機関につなぐことが重要であります。このため、保健所で定期的に健康観察を行い、症状が変化した場合等に備えて患者からの連絡や相談体制を構築しているところです。
 その際、都道府県が緊急包括支援交付金を活用して症状の変化を速やかに把握できるようパルスオキシメーターを購入することや、往診や御指摘のオンライン診療などの新型コロナウイルス感染症に係る医療費を支援することなどが可能となっております。
 引き続き、こうした手段も活用しつつ、宿泊・自宅療養者の健康確保のための体制をしっかりと構築していきたいと考えています。

○矢倉克夫君
 大事なことは、医師の方からも定期的にモニタリングする取組であったりとかというふうに私は理解もしております。
 今、一部お取組の説明あったわけですけど、従来、例えば訪問診療というと基本は患者の求めに応じた往診だったわけでありますが、やはりコロナの状況下では患者さんが求めるときだけでは、先ほど言った症状もありますから、やはり対応できないのではないかなというふうに私自身としては理解もしておって、であれば、やはりお医者さんの方から定期的にモニタリングをしていく取組、こういうのを広い意味でも訪問診療という形で更に促進をさせていく必要あるんじゃないかなというふうに思いますが、その辺りについて、インセンティブとなるような取組として政府はどのように考えていらっしゃるか、改めてお伺いをしたいと思います。

○政府参考人(正林督章君)
 まず、インセンティブとして一番大きなインセンティブは診療報酬かと思います。診療報酬については、自宅・宿泊療養者の求めに応じて保険医療機関の医師が往診を実施した場合には往診料を、それから、本人の同意を得て継続的に訪問して診察を行った場合には訪問診療料をそれぞれ算定できることになっています。往診等の対象は通院が困難な者であることとされているところですが、これに自宅・宿泊療養者が含まれていることを令和三年二月二十六日に明確化したところです。
 また、令和三年度予算における特例的な対応として、医療機関において行われる感染症対策を評価し、在宅医療の際にも、令和三年九月までの間、一定の加算を算定できることとしております。
 引き続き、こうした手段も活用しつつ、宿泊・自宅療養者の健康確保のための体制をしっかりと構築していきたいと考えております。

○矢倉克夫君
 是非、その診療報酬の話もありました、より厚くしていくということも含めてまた検討いただきたいというふうに思います。
 ちょっと一問飛ばしていただきまして、病床確保の関係をちょっとお伺いしたいというふうに思いますが、第四波とされている中、先日、奈良県の方でも感染症法に基づいて病床確保要請行われたわけであります。
 まず、政府参考人にお伺いしたいと思いますが、特に関西圏では病床の逼迫がこれ顕著であって、厚生労働省、従来の病床確保計画を見直すように、既に三月二十四日、各都道府県に通知を発しております。まず、その通知の概要をお答えいただきたいと思います。
 都道府県に、四月中に新たな計画を策定して厚労省に報告をすることを求めるとともに、五月中に体制の整備を済ませるよう求めるというふうに理解しておりますが、特に、現場は何を求められていて何が報告として上げなきゃいけないようなものなのか、そこが分かるようにまずは詳しめに報告をいただきたいというふうに思います。

○政府参考人(迫井正深君)
 御答弁申し上げます。
 昨年末の感染拡大の経験を踏まえた病床・宿泊療養施設確保計画の見直しをお願いした、これは議員御指摘の三月二十四日の発出の事務連絡でございますけれども、これまず、確実に機能する医療提供体制を構築するために、まず医療機関との間で、既に確保しているコロナ病床、これが確実に機能する病床であるかの点検、それから、即応病床という呼び名で呼んでいるわけでありますが、この即応病床とは、医療従事者、設備の確保やゾーニングなどのコロナ患者受入れに必要な準備が完了しておって、すぐさまコロナ患者を受け入れることが可能な病床であることといった認識をまず共有してくださいと。あるいは、重症者は高度な医療機関で、中等症等の患者は地域の中核的な医療機関で対応するなど、地域における医療機関の役割分担及び連携の徹底などの取組によりまして、これを五月中までに病床確保計画を見直しをしまして、地域で最大のコロナ病床を確保していただくようにお願いをしております。
 同時に、この事務連絡では、議員御指摘の二点目でありますけれども、感染者が短期間で急増する場合でも適切に対応できるように、まず緊急的な病床確保方策の策定、それから健康管理を強化した宿泊療養施設の稼働、それから自宅等で療養とならざるを得ない方への健康観察体制の確保、そして最後は、保健所、都道府県の調整本部における入院、療養調整業務に係る更なる応援体制の整備といった緊急的な患者対応を行う体制についても検討していただきまして、四月中に対応方針を定めていただくことをお願いしております。
 また、こうした検討を厚生労働省としても支援するために、都道府県等の担当者とのオンライン説明会を既に複数回開催して、現場の課題を共有しながら一丸となって取り組んでいるところでございまして、今後とも、都道府県と緊密に連携しながら、確実に機能する医療提供体制の構築に努めてまいる所存でございます。

○矢倉克夫君
 既に各都道府県、病床確保計画ということで、埼玉の場合だとフェーズ1からフェーズ4までそれぞれの段階についての病床計画。まず、今のお話だと、それを更に上回る形での計画を五月中にということで、あわせて、そういうフェーズごとというよりは、そことはまた違う意味で、一気に上がったときの体制の整備の在り方そのものをしっかりどのように取るかということを報告を求めているというふうに理解もしたところであります。
 その上で、最後、大臣にちょっとお伺いしたいと思うんですが、今のお話ですと、五月中までの報告の病床確保の方の話だと思うんですけど、三月二十三日の大臣御会見で、今おっしゃった、確保病床については前回の確保病床を更に上乗せする必要があるというふうに述べておられました。
 埼玉県とかは、私が理解している限り、聞いた限り、いろんな情報を集めた限りですと、療養者数、これまでのピークは本年の一月の半ばぐらいで、大体五千七百人ぐらいの方が療養されていて、その際の入院者の方は八百九十人ぐらいで、病床としては当時千三百ぐらい確保していたわけでありますが、やはり全て受入れということには、回すことはできなくて、一方で四千人以上が自宅療養をされていたということでありました。
 やはり病床としてカウントしていても受入れできなかったものが少なからずあるということは推測されるわけでありますし、実際、聞いた限り、病床として報告はしていたけど、いよいよ受入れというときに、難しいです、不可ですというふうに断られた例もあったというふうに聞いているところであります。
 まず、前回確保済みと報告があった病床でなぜ受入れができなかったのか、その原因を検証して、それを妨げていた事情を改善することがやはり大事であると思っています。私は、医療機関と都道府県の連携不足だったり、あとそれに起因する数だけの報告になっていたり、あとはやはり、実際の受入れの場面で感染症対策をしっかり熟知した医療人材が不足していた点もこれは背景にあるんじゃないかなというふうに思っております。
 改めて、こういったことも踏まえながら、大臣おっしゃっていただいた、前回の確保病床から上乗せというふうにおっしゃっている今後の確保の方策と、どの程度の感染者数に対応できるようにしたいとお考えなのか、答弁を求めたいというふうに思います。

○国務大臣(田村憲久君)
 前回、年末から年始にかけて本当にいろいろと反省しなきゃいけない、学ぶべき部分が多いわけでありまして、特に今この変異株等々が感染拡大、スピードが速いという話がありましたが、年末年始も非常に速いスピードで感染拡大いたしました。結果的に、今からいろいろと分析しますと、やはり、例えば病床、病床といいますか入院、それから自宅、さらには療養施設等々の調整、ここが一つやはり大きな目詰まりを起こした。ここがスムーズにいくように体制を整備しなきゃいけないと。元々は都道府県に調整本部のようなものをつくってくださいという話はしてきたんですけれども、当時から。しかし、結果的にやはり保健所に大変な負荷が掛かったという部分があります。
 それから、病床等々に関して言うと、確保はしていたんだけれどもすぐにそれが空かなかった。これはやはり、感染拡大のスピードが速いと、すぐにはやはり、今入っておられる患者の方々もおられますので、そういう方々を転院しなきゃいけないと。そこが間に合わない中で、無理ですというようなお話もあったと思いますし、様々な課題があったというふうに思いますので、また委員には事細かく御説明をさせていただきます。

○矢倉克夫君
 終わります。ありがとうございました。

メールマガジン
メールマガジン
矢倉かつおNEWS
矢倉かつおNEWS
国会議事録
私の国会質問
矢倉かつおCHANNEL
矢倉かつおCHANNEL