208回 予算委員会

2022-03-04

○矢倉克夫君
質問の機会を与えていただき、委員長、理事各位始め皆様に感謝申し上げます。
お手元の資料一、内閣府の資料によりますと、二十五歳から三十四歳までの若者の中での格差が広がっていることが労働所得のジニ係数の推移などからうかがえます。末冨芳先生など有識者は、この一番の原因は非正規労働、正社員となれない方が多い、仕事が短期で長く続けられないこととされております。私が委員長を務める公明党青年委員会が全国各地で進める若者との対談、ユーストークミーティングでも、正社員として長く働く場所がないというのは常に相談をされることであります。
若者の安心を確保するため大事なことは雇用保障であります。正社員として長く働ける環境確保に向けた施策をもっと本腰を入れるべきと思いますが、政府の方針を伺います。

○国務大臣(山際大志郎君)
先生と思いは同じでございまして、やはりこの二〇〇〇年代のデータを見ますと、男性の非正規雇用比率が、非正規雇用の比率の高まり、あるいは労働時間の減少等々でジニ係数が上がっているという分析がございます。こういうのを見ますと、より一層しっかりと、不本意ながら非正規雇用になる方々に対して支援をしていかなくてはいけないという思いをしているところでございます。
先生御案内のように、わかものハローワーク等々を通じ、担当者制での安定就労に向けた就職支援や、あるいは就職後の職場定着への支援を行うとともに、キャリアアップ助成金の活用等による正規雇用への転換等の支援などに取り組んでおりますが、これで十分だとは思っておりません。岸田内閣においても、三年間で四千億のパッケージ等々も準備しながら、より一層人への投資ということを加速させなくてはいけないと思っております。

○矢倉克夫君
決意の言葉、ありがとうございます。
正社員として長く働く場所がないという一方、若い人材が集まらないことを嘆く中小企業の経営者も多いんです。先週二十四日公表の帝国データバンクの調査によりますと、今年一月時点で企業の四七・八%が正社員不足であると。水準はコロナ以前に戻っております。
新しい資本主義の柱である人への投資で大事なことは、まず中小企業の賃上げ原資確保でありますが、それに加えまして、新たな人の採用、特に中小企業の採用促進について力を入れるべきではないかと思っておりますが、経産大臣の見解を求めます。

○国務大臣(萩生田光一君)
中小企業における人手不足の解消は、活力ある中小企業の事業活動を支援する観点から非常に重要であります。
このため、令和二年三月に中小企業における人手不足の解消に向けて、中小企業・小規模事業者人手不足ガイドラインを策定し、経営課題の見詰め直しとこれを解決するための方策の検討、求人像や人材像などの明確化、人材の活躍や定着に向けた考え方などを整理したところであり、現在はその考え方の普及や経営への取組を促すことを通じて中小企業の人手不足解消の実現に取り組んでおります。
具体的には、同ガイドラインに基づく取組事例である中小企業・小規模事業者の人手不足対応事例集を公表し、中小企業の経営者の意識啓発に取り組んでいるほか、各地域の経済産業局においてはセミナーやマッチングイベントを年間約八百回程度実施しているところです。
引き続き、このような取組を通じて中小企業における人手不足の解消にしっかり取り組んでまいりたいと思います。

○矢倉克夫君
人手不足解消という観点からの答弁でありましたが、特に中途採用についてちょっとお伺いしたいんです。
先日、竹谷とし子議員が中間就労支援に言及されておりました。中途採用を進める方策でも大事なことが、例えば社会人インターン制度の更なる活用、例えば有償の長期インターンシップを実施する企業に助成金を支払うことで、非正規雇用などなかなかスキルを磨く機会がなかった方でも職務経験を積みながら技能を習得できる、そして、そのインターンシップ経験者を採用した企業、これはインターンを実施した企業には限りませんが、採用した企業に採用奨励一時金を支給するといった制度をつくれば、企業にとっても技能ある人をより採用しやすくなるというふうに思っております。
そういった制度の検討ができないか、こちらも答弁を求めたいと思います。

○国務大臣(萩生田光一君)
インターンシップ制度は、企業の魅力を発信するとともに、業務内容を理解し職場の雰囲気を感じてもらう機会となるため、中小企業にとっても人手不足を解消するための有効な手段の一つであると承知しております。
このため、経産省では、中小企業の魅力発信につながるようなインターンプログラムの作成支援ですとか企業とインターン希望者とのマッチング事業を行っているほか、地方の中小企業が行うデジタルツールを活用したインターンシップなどの採用活動を支援するなど様々な施策に取り組んでおります。
また、職務経験を積みながら自分に合った仕事を見付けることができる環境を整備するため、経産省としてはリカレント教育を推進しているところであり、例えばITなど今後成長が見込まれる分野における高度な専門性を身に付けてキャリアアップを図るための講座を認定するなどの取組を行っているところです。
こうした取組は委員御指摘の中途採用を促進することにもつながるものと考えており、引き続きこれらの施策をしっかりと進めることにより、中小企業がインターンシップや中途採用を行いやすい環境を整備してまいりたいと思います。

○矢倉克夫君
座学でいろいろ勉強された後、キャリアアップで勉強された後も、やはり、すぐに就労に結び付く前に、中間就労という観点も。その部分でもインターンシップはやはり必要かなと。そこでスキルを磨いた方であれば企業もまた雇いやすくなってきて、人手不足にとっても非常に重要であるなというふうに思っております。
是非、山際大臣、先ほど三年間四千億円のこの人への投資の施策パッケージおっしゃっていただいたわけでありますが、こちら要望のみで。先月、その内容についてのパブコメもなされたというふうに伺っておりますが、今ほどの提案も含めて是非御検討をお願いしたいと、こちらは要望だけしておきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
次に、キャリアある仕事に就いていたが、結婚や出産で数年で辞めてしまわれると。元のスキルを生かした仕事に就くことがなかなかできずにパートなどでお仕事をされていらっしゃる場合も、これ特に女性に多いわけであります。
持っているスキルを生かせる仕事を元の職場に限らず幅広くもっと見付けやすくするために必要な施策は何と考えておりますか。厚労大臣の御答弁を求めます。

○国務大臣(後藤茂之君)
出産、結婚、出産で離職された子育て中の女性や、これから子育てと仕事を両立したい女性に対する就職支援を強化するために、全国にマザーズハローワーク、マザーズコーナーを設置しているところでございます。
具体的には、委員から御指摘のあった、持っているスキルを生かせるように求職者一人一人の状況に応じた担当者制によるきめ細かな就職支援、そしてまた、仕事と子育てが両立しやすい求人の確保、提供、そして就職活動に向けた心構え、面接対策、パソコン講習等の再就職に資する各種セミナー等を実施しております。
令和四年度予算案におきましてはマザーズコーナーの設置箇所数の増加などの拡充を盛り込んでいるところでございまして、引き続き子育て中の女性の就職支援にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

○矢倉克夫君
マッチングのお話、ありがとうございます。
あと、私は一つ、ジョブ型雇用も一つありかなと。といってもですね、ただ、全ての労働者の方がジョブ型ということではなく、こういうスキルを持った方の中途の採用。これは、要するに働き方が複線的に、多様にというようなことも必要かというふうに思います。この点だけはお伝えをしておきたいと思います。
次に、新しい資本主義の柱の一つの中間層支援についてお伺いをいたします。
私たち公明党青年委員会、私が委員長を務めている青年委員会も、一昨年の八月に当時の安倍総理に提出を青年政策二〇二〇としていたしましたが、第一に訴えたのがこちらでありました。当時着目したのは、これ中間層を含めみんなが将来不安を感じていると。にもかかわらず、所得制限により支援対象から外れてしまう中間層も多くて、社会に不公平感、これは分断という部分にも出てくる可能性もある。
おとといもですね、全国で十人の三十代以下の若者とオンラインで二時間ユーストークミーティングを行ったんですが、この感覚は皆さん共有をしておりました。医療や介護、教育などを典型に、生きるために必要な支援における所得制限の緩和、無償化の範囲の拡大等を通じまして、みんなを受益者とする方向性、これを示して、みんながみんなで支え合っている実感を大事にするということが、人々のつながりを重視する新しい資本主義の目指す方向ではないかと思うんですが、山際大臣の御見解を求めます。

○国務大臣(山際大志郎君)
哲学は同じだと考えておりまして、それがありまして、岸田内閣においては全世代型社会保障制度、これをつくっていかなくてはいけないというふうに思っております。
具体的には、子供から子育て世代、お年寄りまで、全ての方が安心できる全世代型社会保障の構築に向けた取組を進めていくとしておりまして、男女が希望どおりに働ける社会を目指して、女性の就労の制約となっている制度の見直し、あるいは勤労者皆保険の実現、仕事と子育ての両立支援などに取り組むとともに、社会保障制度を支える人を増やし、能力に応じてみんなが支え合う持続的な社会保障制度の構築を進めてまいりたい、このように思っております。

○矢倉克夫君
哲学は同じということで、私たちは私たちで、また新しい資本主義の制度の提案をしていきたいと思います。
それでは、こちらで山際大臣と萩生田大臣と後藤大臣は、委員長、御退席をいただいて結構でございます。

○委員長(山本順三君)
山際大臣、萩生田大臣、後藤大臣、三大臣御退席いただいて結構でございます。

○矢倉克夫君
次に、ウクライナ情勢について大臣に、東アジアの秩序に関わる、これはいかに関わるのか、御見解をいただきたいと思います。

○国務大臣(林芳正君)
ロシアによるウクライナ侵略、これは欧州にとどまらず、アジアを含む国際社会全体の秩序の根幹を揺るがす深刻な事態であります。日本として、力による一方的な現状変更は断じて認められないとの立場の下で、今回の事態に対して引き続き毅然と対応してまいります。
特に今後、今回のような国際法違反あるいは国連憲章に反するような行為、これを抑止するためにも、アジアを含め世界のどこであっても力による一方的な現状変更は決して許されない、こうした意思を国際社会とともに強く発信していくことが重要であると考えます。

○矢倉克夫君
意思の発信ということで、東アジアの秩序に関わる以上、日本が、より主体性を持って動くべきであると考えております。特に、中国に対してロシア撤退に向けた関与の度合いを強めるべきだということを、日本はバイの関係でも強く求めていくべきではないかと思います。
今日、ロシアがウクライナの原発を攻撃したという報が入りました。先ほど、大臣から放射能レベルの上昇はないようだというような御報告もあったわけでありますが、一報を聞いて、もうそこまでやるのかと私も愕然とした思いであります。
このロシアを強く非難する世論を背景として、国際世論を背景として、力による現状変更は決して許されるものではないのだということを、日本が中国との関係でも確認することは、東アジアの安定にとっても十分に意味があることと考えますが、大臣の御見解を求めます。

○国務大臣(林芳正君)
今回のロシアによるウクライナへの侵略は、力による一方的な現状の変更の試みであり、欧州のみならずアジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす行為であります。明白な国際法違反であり、断じて許容できず、厳しく非難をいたします。
そして、今回のような力による一方的な現状変更、インド太平洋、とりわけ東アジアで許してはならないと考えるわけでございます。今こそ国際秩序の根幹、これを守り抜くために、中国を含む国際社会が結束して毅然と対応することが重要であり、日本としても引き続き関係国と連携して適切に対応してまいります。

○矢倉克夫君
国際連携とともに、日本としての自主的な意思発信をお願いします。
プーチン大統領による核発言をめぐりまして、正直痛感したのは、侵略を行う為政者心理というのは、異常さというか、それを目の当たりにしまして、私は、核兵器をお互い持っていればこの脅威から戦争は抑止されるという論理は余りに楽観的なのではないかと逆に思いました。世界に核兵器がある限りこの脅威は終わらない、核廃絶を発信し続けることこそが被爆者の思いが刻まれている日本の人類に対する責任であるというふうに思います。
お手元の資料に、賢人会議の議長レポートで、核抑止は世界の安全保障にとって危険な基盤であり、全ての国はより良い長期的な解決を追求する、また、最も困難な課題ではありますが、核抑止への依存を低減し、それを安全保障のための代替手段としていくという言及もあります。
日本はどこまでも核廃絶を追求し、抑止によらない安全保障の在り方を考えるべきだと思いますが、核保有国に対して積極的に廃絶へのロードマップを伝えるべき大臣の決意をお伺いします。

○委員長(山本順三君)
時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

○国務大臣(林芳正君)
我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界に向けて全力を尽くす決意でありまして、核軍縮の実質的な進展のために核兵器国を関与させるよう努力していかなければなりません。
その観点から、核兵器国、非核兵器国の双方が参加するNPTを国際的な核軍縮・不拡散体制の礎石として重視をしております。この維持強化に努めつつ、CTBTの早期発効やFMCTの即時開始、即時交渉開始といった効果的な核軍縮措置に向けた取組を積み重ねていく考えでございます。こうした考え、核兵器国を含めて、国際社会に対してしっかりと訴えてまいりたいと思います。

○矢倉克夫君
すみません、要望だけすみません。
資料三、ユース、十代、二十代の学校保護宣言、これも是非批准、賛同をお願いします。

○委員長(山本順三君)
矢倉君、時間が来ております。

○矢倉克夫君
以上で終わります。ありがとうございます。

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