211回 予算委員会公聴会

2023-03-09

○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。
お二人の公述人の先生方、貴重なお話、大変にありがとうございました。
早速、私からは、まず大日向先生にお伺いをしたいというふうに思います。
先生、先ほどおっしゃった、女性の自分らしくという心の叫び、これはまさに他者の存在を大切にするという前提として重要だというお話は、もうそのとおりだなというふうに思っております。
改めて確認の意味も込めてなんですが、先生は学長としても多くの学生の方からもお話も聞かれているかというふうに思います。この学生たちの声から見える自分らしさということのイメージ、それとともに、それを支えるために必要な子育て支援のサービスであったり、また、その担い手の具体像というのをどういうものだというふうにお考えかを、まず改めて教えていただければと思います。

○公述人(大日向雅美君)
御質問ありがとうございます。
女性たちが求める自分らしい生き方ということでございますが、実に多様なんです。女性といっても様々で、一言でくくれない。個性も潜在力も実に多様です。
ただ、一つ言えることは、自分の力をどこにどう生かしたらよいか分からない、どういう活躍ができるのかというイメージが示されていないということだと思います。女性の生き方についてこれまで示されてきたイメージが余りにも画一的過ぎた。二〇二〇・三〇運動、残念ながら未達ですが、そこで示された画一的なイメージではないもっと多様なイメージを私は社会が示していくことだと思います。
そのためには、SDGs、これは、今こそ高校生、大学生に自分事として考えてもらうことが大切だと思います。世界には、社会にはこんなに問題があるんだ、それのどこに自分が一番尽くしたいのかと、そのためにどういう学びが必要でどういう資格が必要か、そういうことをまず私どもは大事にしたいと思っています。
それから、もう一つ大切なことは、自分らしい生き方とか自分が本当にやりたいことというのは社会に出てから見付かることが多いんです。三十代になって気が付いて、そこから学び直し、やり直せることです。子供がいるからできないではなくて、子供がいるからこそ見えてきたこと、そこをどうやって社会が応援するかです。普通のお母さんってそんなことしないわよ、子育てに専念すべきでしょというような子育て観はどうか一刻も早く払拭していただきたいと思います。
そして、子育てをしながらでも自分らしい多様な生き方を求めることができるためには、先ほど申し上げた、理由を問わない一時保育、様々な学び直しの機会、そうしたことを社会挙げて取り組んでいただけたらと思っております。
以上でございます。

○矢倉克夫君
まさにコーヒーを一杯飲むためだけの時間、それすらないその環境、そこに対しての支援ということも含めた意味合いもすごく重要だなというふうに改めて思わせていただきました。
もう一つ、大日向先生にちょっとお伺いしたいんですが、まさに今、女性像も画一的、そこを変えなきゃいけないと。男性とかも、この子育てというものに対する考え方も画一的だったところがあるかというふうに思います。それを、今まさに子育てに対する男性とか企業の意識改革というのもやっぱり非常に重要かなと。
今までは、子育てというのは、仮に関わるとしても自分は助ける側だという男性が非常に多くて、助けてやっているぐらいの感じになっているかもしれない。けど、そうすると、例えば育休取っても、実際、育休で育児をやるわけではなく、ただの休みになってしまってお母様方の負担になったり、企業も、育休を取らせる側は男が関わることに対しても意識もないものだから、結局育休取得というものは進まないと。本当に根本的に意識改革をしなければいけないと思うんです。
ですから、そういう点では、改めてこの子育てに対する男性とか企業の意識改革をどのように施策として進めていくべきかという点と、あわせて、先生が先ほど御紹介いただいた、あい・ぽーとステーションで、シニア世代の男性、これを通じて喜びと癒やしを得たというふうにお話がありましたけど、この方々が担い手として参画する意義を、今の文脈から改めて先生のお言葉でいただきたいと思います。

○公述人(大日向雅美君)
お答えさせていただきます。
男性の意識ということに関しては、私、以前、育児休業を取った男性のインタビューで忘れられない声を聞いたことがございます。どうしてあなたは育児休業をお取りになったんですかと伺ったときに、自分はパートナーと結婚するときにこういう約束をした、結婚して子供ができたときに、喜びはお互い倍にしよう、失うものがないようにしようと。それなのに、子供が生まれて、自分は子供が生まれてうれしい、父親になってうれしい、仕事も続けられる、でも、パートナーである妻が仕事を失う、これでは約束違反だと。
こういう男性の意識というのは本当に貴重だと思います。男性の育児参加は女性との人生の分かち合いだということを、社会挙げて、特に教育の場でも徹底していただけたらと思います。
もう一つお尋ねいただきましたシニア男性のことでございますが、今関わっておりますシニア男性たち、本当に優しいです。あっ、シニア男性みんなが優しいと申し上げているわけじゃなくて、中には優しくない方もおられるとも思いますけれども、いろいろ地域のこと、子供のこと、御自分の経験しなかったことを学んでくださって、本当に人としての喜びを味わっていらっしゃいます。現役時代は、うまく仕事ができると昇進した、昇給できた、よくやったと褒められる。でも、今地域で活動すると、ありがとうと言われる。人の役に立つ喜び、これはどの人生、どの世代でも必要だと思います。
こうしたミドル、シニア世代、老若男女問わずですね、その方々が地域を支えてくださる、あるいは、本田先生がずっとおっしゃっていらっしゃる教育現場の厳しさ、ここも担っていただける可能性は非常にあると思います。子育ての現場、教育の現場を地域に開いていただくことが本当に大切なときを迎えていると思っております。
以上でございます。

○矢倉克夫君
ありがとうございました。
先ほど、大日向先生からも、自分らしさということは、自分の、女性の皆様がお一人お一人のこの生きる選択肢とともに、社会に与える影響の多様性というのをいかに発揮していただくかというような趣旨の話もあったかというふうに思います。
お二人の先生にちょっとお伺いしたいんですが、女性活躍というと、今まで弱い立場にいた女性を何とか支えて活躍というような、ある意味、そういうニュアンスがどうしても出てくるんですけど、私は、やっぱりこれから女性の力が発揮できるような社会をつくることが全ての人の幸せにつながっていくと。やっぱり女性というのは、そういう社会の、今の社会を救っていく大きな力がある、だからみんなのために女性に活躍していただかなきゃいけないという、そういう理念だと思っているんです。
ちょっと、改めてお二人に、その辺りの女性活躍の意味合いについて教えていただければと思いますが。

○公述人(大日向雅美君)
お答えいたします。
本当にうれしいお言葉をいただきました。
女性の力というのは、これからニューノーマル時代、いろんな変動が起きるときにピンチをチャンスに変える力だと私は思っております。これまで、必ずしも一直線に生きてこれなかった、こう生きたいと思っても様々なライフイベントで変更しなくてはいけなかった、都度、女性たちはしなやかに、したたかに生きてきた。その力をニューノーマル時代、人口減社会には、まさに先生がおっしゃるように、女性に活躍の場を与えていただきたい。その潜在力をいかに引き出すか、そこに働き方改革、地域の、地域挙げての支援を発揮していただきたいと思っております。
以上でございます。

○公述人(本田由紀君)
これまで日本で事実として女性活躍という言葉で推進されてきた事柄は、中身をよく見ますと、子供を産め、ちゃんと育てろと、老人は介護しろと、外でも働けと、経済的にも役に立てという、社会の様々な諸課題を女性に、ごみ箱のように放り込むような事柄を女性活躍と呼んできたように思います。
実際に、これもやはり様々なデータで見ると、あらゆる公的な場所で、日本の女性は極めて存在感が薄いというか、人が少ないですね。管理職も教員もそうですし、医師もそうですし、議員もそうですし、どのような職種や立場を取っても日本の女性が少ないことは確かですから、そういう意味では、そこにもっと女性に出ていっていただくということは、これは不可欠ですが、それを女性活躍という言葉で呼ぶことに対しては、私は実のところやや疑問を持っています。それも、これまでごみ箱のように女性に何でもかんでもやらせてきたことの延長で女性活躍という言葉を使い続けるのであれば、そんなことは大間違いだと思っています。
私は、むしろ日本社会の異常さというのは男性側にあると。女性に何か改善すべき点があるから、そこにもっとてこ入れをして云々といったようなことは大間違いだと思っています。女性の進出を阻む男性側の在り方、企業も国会もそうですけれども、そのように男性が独占している状況そのものが問題です。異常なのは男性側。女性をいじってもっとやらせようという、その方針そのものが日本の女性を追い込んできているのではないかと。
そういう意味では、女性活躍という言葉をこれまでのニュアンスで使い続けることに対しては、私は大きな疑問があります。
以上です。

○矢倉克夫君
ありがとうございました。
最後、本田先生に住居の関係をお伺いしようと思ったんですが、ちょっと時間の関係もありますので。こちらは、私個人の思いとしては、先生のおっしゃった、この若者世代の住居支援というのも非常に重要だと、少子化対策という意味合いでも。例でも、住居が狭いから子供がなかなか、希望するような子供を育てられないという声も多かったという声もありました。この関係は、また政治の課題として、先生のお言葉も承ってしっかり頑張っていきたいというふうに思っております。
私からは以上でございます。改めて、ありがとうございました。

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