2023-04-20
○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いします。
今回、改正法でありますけど、この地域公共交通活性化再生法、二〇〇七年に制定されてから十五年強になります。その間も人口減少やコロナなどで廃線は続いて、公共交通の需要減少も続いているわけでありますが、まず政府に、この現行の活性化再生法に基づくこれまでの取組の効果について国土交通省としてどのように評価をしているのか、また、その評価を本改正案においてどのように反映しているのかをお伺いしたいと思います。
○政府参考人(鶴田浩久君)
お答えします。
十五年前に制定されましたこの法律によりまして、協議会それから地域公共交通計画、これらが制度化をされまして、これまでに全国で七百余りの計画が作成されております。このように、地域における公共交通の将来像について自治体を中心に議論をして決定していくと、こういった動きが広まってきていると認識しております。
一方で、長期的な需要減に加えて新型コロナの影響もあって多くの事業者が大変厳しい状況にありますけれども、こういった状況は交通事業者の経営努力だけでは避けられないものでありますので、地域の関係者の共創によって、共創を強化することが必要と考えております。
このため、今般の改正法案におきまして、連携、協働について法律上の各種規定に明記をする、またローカル鉄道の再構築について連携、協働の仕組みを創設する、また自治体とバス事業者等が連携、協働するエリア一括協定運行事業を位置付けるなどを盛り込んでございます。
○矢倉克夫君
また個別には時間があれば議論したいと思いますけど。
交通全体の持続可能性の問題として、この地域公共交通に限らず、大事な担い手の問題についてお伺いしたいと思います。
特にバス、タクシーの自動車運転業は、全産業に比べても労働時間が長くて年間所得も低くなっており、若年層の就業が敬遠されております。バスも第二種大型自動車運転免許の保有者は十五年間で二四%減少、タクシーも十五年間で四〇%運転手も減少をしていて、高齢化も進んでいると。男性労働者の全産業平均が四十・八歳であるのに、タクシーは六十・九歳。
国土交通省として、まずバスやタクシーの運転手不足に対してどのように対処していくのかをお伺いしたいと思います。
○政府参考人(堀内丈太郎君)
お答え申し上げます。
バス・タクシー業界におきましては、若年層の雇用、そして低い賃金水準の改善、これが大きな課題であると認識をしております。
このため、国土交通省では、現在、多くのバス・タクシー事業者からいただいております運賃改定申請に対して迅速に対応し、早期の賃上げや安心で快適な職場環境の整備を促進するとともに、令和四年度補正予算において創設いたしました二種免許の取得に対する支援など、事業者による人材確保、行政の取組を支援、これを使っていただけるように促してまいります。引き続き、バス・タクシー業界における人材確保に向けてしっかりと取り組んでまいります。
○矢倉克夫君
地域のバス会社の方なども非常にこれは懸念をしております。是非しっかりやっていただきたいと。
その中で、声のある一つが外国人運転手の解禁ということであります。この運転手不足の改善、これは物流の二〇二四年問題にも関係をいたしますが、この外国人運転手を解禁するということも考えてもよいのではないか。
報道によりますと、外国人技能実習制度の中間報告のたたき台では、この制度の廃止、改善というのも議論されているというふうに聞いておりますが、この新制度に組み込むか、あるいは、現在のこの十二種ある特定技能に新たに運転手なども加えるということも考えられると思います。
大臣にお伺いしたいと思うんですが、今のこの外国人運転手の解禁、今、バス、タクシーに加えて、とりわけトラックドライバーについても二〇二四年問題を扱う閣僚会合で議論をしてもよいと思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(斉藤鉄夫君)
バス、タクシー、トラックの三つの業界団体においても、各団体の今年度の事業計画に外国人材の活用が盛り込まれたものと承知しております。これは、事業者としても人材確保に関して大きな危機感をお持ちであることの表れと受け止めております。
国土交通省としては、現時点で外国人材の活用に関して具体的な対応方針を決定しているわけではありませんが、委員の御指摘や業界の意向なども踏まえ、関係省庁と連携して検討を進めてまいりたいと思います。
これとは別に、トラックドライバーの確保対策については、物流の関係閣僚会議において六月上旬を目途に取りまとめる政策パッケージに実効性のある具体策を盛り込めるよう、スピード感を持って関係省庁と議論を深めてまいりたいと思います。
○矢倉克夫君
非常に問題もかなり複雑化して、深刻化しているところであります。関係省庁と連携は必要でありますが、まず国土交通省として、現場の声をしっかり聞いて、こういう課題解決も必要だということを積極的に対応していくことも必要だと思いますので、大臣のリーダーシップを是非よろしくお願いを申し上げたいと思います。
あわせて、ちょっと次の質問にまた移りたいと思いますが、先日の参考人質疑でもモーダルシフトという話がありました。これもまた大臣にお伺いしたいと思うんですけど、温室効果ガスの排出量を削減し、カーボンニュートラルを推進するため、トラック輸送からCO2の少ない大量輸送機関である鉄道輸送等への転換、いわゆるモーダルシフト、国交省としても進めており、桜井参考人なども積極的に評価をされておりました。
これは、環境負荷低減の面に加えまして、これも先日の参考人質疑でも出ておりましたが、全国的な物流ネットワークというのも、維持管理というのもこれ含めた意味合いもあると思いますし、緊急時の自衛隊の物資輸送等の安全保障の面、さらには物流の労働力不足への対応という面もあるなど、多面的な機能を有していると理解もしております。
これら多面的機能、まさにクロスセクター効果と言えると思いますが、これらを有する鉄道網については、例えば先日の参考人質疑でも森参考人が、こちら何度も今この委員会でも出ておりますけど、交通というのは公共財だと、まず思い切って公費投入をして、ポジティブに社会資本の質を上げるためという公費投入が必要だというふうにおっしゃっておりましたが、まず国の施策を進める上で必要な鉄道路線をこれを指定するなどして路線の維持のために国として支援をしていくべきではないかというふうに考えております。
この点について大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(斉藤鉄夫君)
この点についても午前中からいろいろ議論があったところでございます。
貨物鉄道は環境に優しい大量輸送機関であり、またドライバー不足が課題となっているトラック輸送の受皿としてもますます大きな役割を担っていくことが期待されます。
昨年、国土交通省に設置した地域モビリティ検討会では、貨物列車が現に走行している線区、災害時や有事において貨物列車が走行する蓋然性が高い線区については、我が国の基幹的鉄道ネットワークとして引き続き維持を図っていくことが強く期待されることが提言されています。
今後、こうした考え方を地域公共交通活性化再生法に基づく基本方針や新たな国土形成計画に盛り込み、貨物鉄道がその機能を十分に発揮できるよう、ネットワークの強靱化やトラック輸送との連携強化等に向け、国として必要な支援を行っていきたいと、このように思っております。
○矢倉克夫君
大臣から支援というお話がありました。地域公共交通を支援するためのこの財源についてまたお伺いもしたいと思います。
地方の財源としては、国の地域公共交通確保維持改善事業などもありますが、多くの地方自治体の財政状況も厳しい中、地域公共交通を長期的に支援していくための財源の確保というのが課題になっていると思います。
諸外国を見ますと、先日も桜井参考人が例に挙げていらっしゃったドイツでは、連邦からの補助金がある、これはエネルギー税が財源となっているということで、気候変動対策などとも多面的に考慮した上でだと思いますが、ほかにも、フランスなどは公共交通の特定財源として都市交通税があり、これが公共交通への投資の財源となっております。
国土交通省としても、まさに諸外国に学べというような先日の参考人のお言葉もあったわけでありますが、この地方への支援財源の確保についてどのように考えているのかをお伺いしたいと思います。
○政府参考人(鶴田浩久君)
お答えします。
まず、今般の予算におきまして、社会資本整備総合交付金などの新たな枠組みも含めて、財政支援を質、量共に大幅に拡充したところでございます。国土交通省としましては、まずはこれをしっかりと執行していくとともに、必要な予算の確保に努めてまいります。
その上で、本年二月の交通政策審議会の中間取りまとめにおきまして、更なる課題として安定的財源の確保が示されていることも踏まえまして、これについても中長期的な課題として幅広い観点から検討してまいりたいと考えております。
○矢倉克夫君
先ほどの午前の答弁にもあった中長期的な課題として検討していくというのは大事でありますので、是非引き続きやっていただきたいと思いますが、あわせて、関連してちょっとお伺いしたいんですけど、先日の森参考人がこれもおっしゃっていたんですけど、まさに公共交通維持の財源のため新しい歳入を得る方法について国の関与をもっと大きくすべきであるといった趣旨の御発言もされていらっしゃいました。
是非、森林環境税なども例として挙がっていたわけでありますが、総務省ともより実務レベルで積極的に議論すべきとも考えておりますが、これについての国土交通省の見解を伺いたいと思います。
○政府参考人(鶴田浩久君)
御指摘ありましたように、森参考人から、森林環境税を例に挙げて、地方の交通を維持するための財源について国の関与を大きくしてほしいという御発言ございました。
先ほど申し上げましたように、中長期的な課題として幅広い観点から検討を進めてまいりますが、その際には必要に応じて総務省も含めた財政当局ともよく協議してまいりたいと考えております。
○矢倉克夫君
是非実務レベルでも、その上で、合意形成という点で我々政治もしっかりと責任を果たしていきたいと思いますので、是非連携して、とにかく地域公共交通を支えるにはどうすればいいかということを、国民の理解を得るための具体的な政策をどんどん連携を進めていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
またもう一つ、参考人の御意見にも絡むところではあるんですが、また、現行法で道路運送高度化事業というのが規定をされております。それについては、例の一つとしてはBRT、これが挙げられているわけでありますが、参考人からもいろいろ御評価も、批判的な否定的な御評価も一部あった中で議論がされているところではありました。
まず、これについて、これまで導入されたBRT転換による事業の収支や利用者の増減等について国土交通省としては認識をどのように持っていらっしゃるのかをお伺いしたいと思います。
○政府参考人(堀内丈太郎君)
お答え申し上げます。
BRTは、連節バス、バス専用道、バスレーン、公共車両優先システムなどの幾つかを組み合わせることで、定時性の確保や速達性の向上、輸送能力の増大を可能とする機能を備えた輸送システムでございます。令和五年四月一日現在、全国二十九か所で導入をされておりまして、うち五か所が鉄道からの転換によるものとなっております。
BRTが導入されております各路線の収支につきましては運営を行っている事業者から公表されておりませんが、そのうちの一部の事業者が行った利用者アンケートによれば、運行本数、スピード、運行の安定性など、運行のサービスの水準については利用者から高い評価を得ているものと聞いております。
国土交通省といたしましては、BRT含め、地域のニーズに応じた交通システムの整備を積極的に支援することによって、地域公共交通の維持、活性化を図ってまいります。
○矢倉克夫君
是非、メリットやまたデメリットも含めて引き続きしっかり検証をしていただきたいと思います。
このBRTにも絡む議論として、午前中も、貨物によるネットワーク維持ということもあります。それも推進すべきであると思いますし、なかなか、他方で、全て貨物でということも難しい場合はBRTの選択肢というのも当然あり得るかと。
これも午前中、局長からお話があったように、これ単なる鉄道の代替ということではなく、また新たな交通経路も考えるなどして、是非地域の足を維持するためにもこの効果というものもしっかりと説明できるように検証をして更に推進をしていただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
次に、今の少し挙げた道路運送高度化事業ということでもう一つだけお伺いしたいんですが、今回の法改正でAIデマンド交通がこれ加わったと理解もしております。
資料今日お配りしておりますが、これはさいたま市の浦和美園という地区の、予算委員会などでも私も議論もさせていただいたものなんですけど。過疎地ではないです、都市部の中でありますが、この都市部の中であっても交通弱者というのは当然多いことを踏まえたいろいろ取組として、私も視察なども行かせていただいた、地域でしっかり一体となって頑張っている、交通を地域の暮らしと一体で捉えて民間事業者と行政が連携して取り組んでいる取組であるというふうに思っております。
先ほども話があった共創型、共に創る共創型交通のプロジェクトとしてしっかりこれも推進すべきものであるかというふうに思っておりますが、こちらのさいたま市の取組について国土交通省の評価をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(鶴田浩久君)
御指摘の浦和美園の取組は、商業施設や子育て支援施設など日常生活に必要な施設が分散立地をしていると、これらの施設を利用する際の移動手段が不足していると、こういう課題に対しましてAIオンデマンド交通を実証運行している事業でございます。子育て世代を含む女性の御利用が多いと承知しています。
本事業につきましては、まちづくり団体と商業施設運営者を含めまして、地域の関係者が連携して取り組んで、これらの事業者から協賛金を募ると、そういった仕組みを構築するなど、今般の改正法案に盛り込んだ共創の具体的な事例であると評価しております。
引き続き検討を続けていただいて、優良なモデルとなっていただくことを期待しております。
○矢倉克夫君
協賛金の仕組みと、また民間事業がビジネスモデルとして経営がしっかり成り立つようなことも考えられているので、是非いろいろ引き続き発信をしていただきたいと思います。
ちょっと最後に、法案の関係で、再構築協議会について通告していた質問を何問かまとめてちょっとお伺いをしたいと思いますが、こちらについて、まず、複数の自治体にまたがっている場合に一つの自治体だけで組織をすることが要請できるか。一部の地方自治体がこの再構築協議会、反対することに対して、そういう場合にどのように対応するのか。また、関係者相互の議論がなかなかかみ合わない状況が想定される場合、どのように国として対処をしていくのか。最後に、先ほども議論ありましたけど、昨年のモビリティ刷新検討会では三年と書いておりましたが、期間について、今回提出した改正案では期限の設定がないのはなぜなのかということを御答弁をいただければというふうに思います。
○政府参考人(上原淳君)
お答えいたします。
まず、国が再構築協議会を組織する場合、この要請は一つの自治体のみで行うことができますが、国は、協議会の設置に際しましては、ほかの沿線自治体からも意見を聴取することといたしております。
その結果、一部の自治体が反対している場合には、協議会の設置及び再構築方針の協議は事実上困難な状況となります。国としては、対策が必要と認めた場合には、協議会の設置に反対している自治体からその理由も聴取をしながら、広域行政組織である都道府県とも連携して粘り強く調整していきたいというふうに考えております。
また、それぞれの関係者の意見が対立している場合に、私どもとしましては、協議会の主宰者といたしまして、事業者にデータの開示を求め、調査事業、実証事業の結果を用いてデータとファクトに基づく議論を促し、またこれをできるだけ住民の皆さんにも情報共有をしていただく、そうしたことを通じまして、関係者の合意形成に向けてしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。
さらに、協議期間につきましてでございますが、モビリティ検討会の提言では、三年以内を一つの目安として合理的な期限内に対策を決定すべきとされたところでございます。これは、地域公共交通としての利便性と持続可能性を改善するということで、協議会での議論がいたずらに長引かないように一定の合理的な期限を設けるべきとの考えに立ったものと承知いたしております。
他方、三年という期限はあくまでも目安の一つでありますので、期限あるいは検討スケジュールは協議会の構成員の総意に基づき議論していくべき、個別に協議会ごとに議論していくべきものというふうに考えておりますので、法に基づく一律の基準とはせずに、地域公共交通活性化再生法に基づく基本方針にこの基本的な考え方を盛り込んでいきたいというふうに考えております。
○矢倉克夫君
先日、森参考人が、行間を読むと、いい計画がまとまれば国がしっかり支援すると、対立しているものも国が調整をして、財政的にも負担も国が一定程度関与する、そうでないと意味がないというふうに言い切っておられました。是非機能するように国の関与をよろしくお願い申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。