211回 憲法審査会

2023-05-17

○矢倉克夫君

公明党の矢倉克夫です。
先月二十六日の当審査会において、四名の方、参考人の御出席いただいて、参議院の合区問題、御意見を承ったわけでありますけど、実際に投票率の低下や無効票の増加といった問題が生じていて、合区を解消すべきであると。
おっしゃっていただいたとおり、国政には多様な民意が反映される必要があって、地方の声がないがしろになってはいけないというのは私も強く同意をするところであります。合区をやむを得ないということで消極的に許容をしている御意見はあるかもしれませんけど、積極的に推進しようという意見は特段ないと私も理解しておりますし、で、合区解消のためにどうするかということを各党が知恵を持ち寄ると。
公明党は、先ほど佐々木議員から話があったとおり、全国の十一のブロック単位にした個人名投票の大選挙区制をこれ提唱はしているところであります。あえて繰り返しはいたしませんが。
その上に加えて、参議院が地域代表的性格を有すること、これを認める意義とともに、投票価値がこれ唯一、絶対の基準ではないということも私も同意をするところであります。
その上で、また先ほどの佐々木議員の議論との繰り返しにも一部なるかもしれませんが、この合区問題の抜本的解決のために参議院を都道府県選出の地方代表の議院として位置付けるということ、これについてはやはり慎重に考えざるを得ないなというふうに思っております。憲法上許容される範囲で、法律上、選挙制度上、参議院を地域代表的性格を持たせる形にしていく、都道府県を単位とすることも含めてでありますけど。これはあり得る話なのかもしれませんが、憲法でこれを位置付けるというとやはり意味合いが違ってくる。
なぜなら、まず第一に、参議院が、現行憲法が参議院に付与している様々な権能の正統性、これに大きな影響を及ぼしてしまうと。
地方代表の議院であると強調し過ぎると、憲法が予定している参議院の権能そのものを自ら否定してしまうおそれもあるというふうに思っています。
何度も議論をしている緊急集会、こちら、衆議院の不在時に参議院が国会の機能を代行するという制度でありますが、これの意義付けと矛盾するという話もそうでありますけど、例えば、参議院では決算や行政監視に力を入れておりますが、地方代表の議院と位置付けられると、従来と同様に中央政府の決算や行政監視に力を発揮できるかということは議論が出てきてしまうというふうに思います。
加えて、もう一つ懸念しているのは、憲法の定める代表制の根本に影響してしまうかというところ。
憲法は四十三条で、全国民の代表という形で規定をしており、これは、理解としては、全国民の代表というのは、特定の地域や選挙区の住民による命令委任を否定して、全国民の共通利益に基づいて審議、決定することを求める意味であるというふうに理解もしております。もし合区解消を目的に憲法に参議院の地域代表制を書き込むとなると、規定ぶりによっては、国会議員が選出母体である地方の指令の枠内でのみ代表権を持つにすぎないという形になってしまう、こういう議論もこれまでの学説を延長で考えるとやはり生じてしまい得るかもしれないと。
あと、あわせて、現実的に、参議院には今、比例代表選出の議員の方がいらっしゃる、こことの整合性という問題もあるわけであります。
このような議論、当然これは護憲か加憲かというような単純な区分けから発している発言ではなくて、参議院の独自性、我が国の二院制の機能発揮という国の統治の在り方をどうすべきかという観点からの意見であるということをあえて付言をさせていただきたいというふうに思います。今後も、立法府としては、二院制を採用した趣旨や参議院の独自性といった本質に立ち返った検討をしていくことが必要であると申し上げたいと思います。
あと、もう一つ付言をすれば、選挙制度の在り方を考えるときに、この地域の声を拾い上げるという声とともに、やはり若い人の声を拾い上げていくという、多様的な意見を拾い上げるということもまた考えなければいけないと。こういう観点も含めて今後の参議院の在り方ということもしっかり考えていくことを個人の意見として申し上げて、私からの意見とさせていただきたいと思います。
以上です。

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