211回 国土交通委員会

2023-05-23

○矢倉克夫君

公明党の矢倉克夫です。
三人の参考人の先生方、大変貴重な御意見、誠にありがとうございます。
早速ちょっとお伺いしたいと思うんですけど、まず近藤参考人にお伺いしたいと思うんですが、永久有料化、そしてサブスク、非常に興味深いお考えかと思います。それを現実化というところの課題を整理するという意味でちょっとお伺いしたいと思うんですけど。
12ページ目、先生の資料で、こちらで、有料化すれば料金半額ということ、これは半分の償還金が払わなくても済むという。私の理解ですと、この償還金というのは要は機構が民間の金融機関から借り入れたものに対する償還だと思っておりまして、利息は返すということですから、これは元本を民間の金融機関から借りたものを返さないということの理解だと思うんですけど、そこ辺りについての、正しいかどうかと併せて、どうやって金融機関から理解を得るかという話。
あと、もう一つ。定額制ですと当然、400円として、一部の人は値下げになるけど値上げになる方も走行距離によってはいるかもしれませんが、そういう方々に対しての理解を得るというところで御示唆がいただければと思いますので、よろしくお願いします。

○参考人(近藤宙時君)

一点目の御質問でございますが、先生御理解のとおり、これはちょっと乱暴ではありますけれども、銀行さんの方に一切元本は返さないと、永久に返さないという前提で利息だけはお支払いするという考えで徹底すれば半額になるのではないかという考え方でございます。ただ、90年後に返してほしがっているのかというのもちょっと分かりませんので、銀行に、返さないけど利息はきっちり払うよと。むしろ、今、年利4%で計算されておりますので実効金利の三倍ぐらいかと思いますが、普通の利息の二倍払うから永久有料でいかがかと一度銀行の方に聞いていただいた方が良いのかなというふうに思います。
二点目でございますね、安くなる人が多くなるけど高くなるんではないかという話でございますけれども、400円といいますと、まず150円のゲート通行料といいますか、定額料金がございますので、走行距離に対しては250円でございます。走行距離250円を普通車の24.6円で割りますと10キロちょいです。先ほど申しましたように、高速道路のインターからインターまでというのが、首都高以外、首都高は高速道路ではございませんので一般高速道路でいいますと、10十キロに一か所といいますと、一区間しか乗らない金額がちょうど400円でございます。これより安い料金を払っているという方がいらっしゃるのかどうか分かりませんけれども、おおむねの方には御理解いただけるのかと。若干上がるとしても、それは妥協していただける部分かなと思いますし。
また、そういった僅か十キロ払う人のための道路なのかと、元々そういうつもりで造った道路なのかと。言ってみれば、新幹線、東京から新横浜までしか利用しない人をどうするかという問題と同じだと思います。むしろ、名古屋や大阪へ行く人の方を優先するということを考えるのが必要かなと思います。

○矢倉克夫君

観光需要という点では意味もあるかと思います。ちょっと課題整理というところであえてお伺いもさせていただきました。
根本参考人にちょっとお伺いしたいと思うんですが。
先生の資料の立て、三のところですが、これ、私の理解がまだ足りていないところがあってちょっと概念の整理なんですけど、更新債務と更新工事というふうにおっしゃっている、これは違うものという前提ですけど、改めて教えていただきたいのと、この先生の御試算でも2115年度まででこれは払い終えるという前提で理解もしております。
となると、この2115年以降のここで言う更新工事というのは料金を引き当てにしたものはないという前提だというふうに理解もしたんですが、それで正しいのかと、もしそういうふうに御試算されたのであれば、その根拠等がもしあれば教えていただければと思います。

○参考人(根本敏則君)

私のシミュレーションでは、2115五年と、これもう相当先ですから、そこまで料金を取りますという意味を永久有料という言葉で実は呼んだんです。その先どうなるかはここではちょっと、この論文では問いませんと。2115五年まで更新工事をする、そのための投資が必要で、それを料金収入で返していきますということを申し上げたんです。
今、国会で問題となっているのは、どちらかというと、2115年のところで無料化するのかその先有料化するかということが議論になっているようですけれども、私の永久有料の定義は、2115年まで料金を取り続けるぞというのが私のこの論文の中での永久有料という言葉の意味だったんですね。それで少し御理解いただけたでしょうか。
あと、ついでにちょっと申し上げると、私は、その2115年でも多分更新工事があるからその先も料金は取るだろうと思います。それはシミュレーションとは関係ないことですけれども。
ただ、申し上げたいのは、政府の計画で一番長い計画というのは何でしょうか。国土形成計画でしょうか。それは計画期間十年ですね。地方自治体の基本構想も20年程度ですよね。ですから、100年後にどうするかということを議論するということの意味はどれくらいあるのかということは少し気になります。要するに、それによって民間企業が投資の仕方を変えるのかと。2100年に無料化しますというか、それでも多分有料になるでしょうというのは、世の中の民間企業の人には余り関係ないことかもしれないなとは思っているんですね。個人的には永久有料だとは思っていますけど。
以上です。

○矢倉克夫君

永久有料のお言葉の意味もお伺いしたいと思いましたが、今教えていただいたので。
ちょっと改めてなんですけど、その更新債務と更新工事というものの簡単な違いをちょっと教えていただきたいのと、そうすると、先生の想定だと、今先生が想定されている更新債務、更新工事、現状想定されているものは2115年までのものでよいという理解でよろしいんでしょうか。(発言する者あり)

○委員長(蓮舫君)

根本参考人。

○参考人(根本敏則君)

あっ、ごめんなさい。
我々は本当に単純に、これまでの経緯を考えまして、年間800億円という更新工事が2115年まで必要だろうというふうに割り切って計算したわけですけれども、この更新工事に伴って債務が発生しますよね。それがここで言うところの更新の債務という、上の方に書いている図ですけれども、そういうふうな言葉の使い方をしております。

○矢倉克夫君

分かりました。ありがとうございます。
もう一つちょっと根本参考人に、今のちょっと高速道路に関係するところではあるんですけど、今回の法案、サービスエリア等の機能強化というところもあるわけですけど、ちょっとそれに関係するというか、先生が去年の十二月に「道路」という雑誌でインタビューを書かれているのを拝見して思ったんですけど、今、貨物トラックのドライバーとかの長距離運送が非常に問題になっていて、それ、解決として、中継輸送、そのためには中継拠点が必要であるという文脈の中で、サービスエリアとパーキングエリアはこの機能を果たすべきだと。これ全くそのとおりだなと私は思いまして、それに加えて、例えば民間の高速道路直結型の物流施設、これ埼玉などでもあったりするんですが、こういったものが同じような中継地点の拠点としても役割を果たしていく。
先生のインタビューの中では、民間の立場としてそこまでインターチェンジとかに近くに造る必要はないということでお書きになっていますけど、もし仮にそういう制度があれば、設備があればそういうものは必要だというふうに、中継拠点としては重要だと私は思っているんですけど、先生の御所見をお伺いできればと思います。

○参考人(根本敏則君)

中継エリア、乗り継ぎエリア、いろんな言い方あっていいと思うんですけれども、要するに高速道路に直結するような形で乗り継ぎ輸送とか、ダブル連結を後ろと前で共同輸送するとか、あるいは自動運転のトラックをそこまでマニュアルで持っていって自動で走らせるとか、そういうトラックに関係するようなターミナルというのはもう絶対必要だと思うんですね。十年後に自動運転トラックが新東名上り千台、下り千台走るようになったときには、相当大きなターミナルが必要になると思うんです。そのターミナルは、多分僕は公共ターミナルとしての色彩が強くなると思っているんです。いろんな事業者が使う必要があります。
ですから、今御質問にあったのは、民間が直結型でそこの施設を造るというふうにおっしゃったんですけれども、民間企業は在庫だとか仕分けだとかそういうふうなことをやるのは直結していなくていいんですね。直結しなきゃいけないのは、あくまでもそういう高速道路にすぐ乗り入れるための自動運転トラックのためとか、あるいは上りと下りで運転手が替わるためなんで、その直結のためには民間である必要はないし、むしろ民間はそこまで僕は投資できないんじゃないかというのが僕の考えなんですね。そういう意味で、国とかNEXCOの役割は大きくなってくるんじゃないかと思っています。
以上です。

○矢倉克夫君

済みません、改めて、その上で、当然、まず公共がやるべき話ですけど、そういう部分で民間が協力するという民間があれば、それは当然いいということで。(発言する者あり)
じゃ、改めて、もうちょっと一問だけ長谷川参考人にお伺いをしたいと思うんですが、この道路の重要性ということで、渋滞の部分を生じさせないための道路というところもあると思いますけど、もう一個、例えば防災のときなども、例えば一つの、いざというときの緊急物資を運ぶための道路という重要性はやはり必要になってきて、その上で、一つの道路が仮に通行として使えなくなった場合にもう一つあれば有益であるという議論も、そういったいろんな道路の多機能化というところから高速道路も更に造っていくべきだというような議論も当然あったりするわけですけど、それについての御所見等、もしありましたらいただければと思います。

○参考人(長谷川茂雄君)

ありがとうございます。
東日本大震災以降、防災のために道路が必要だということが盛んに喧伝されてきております。
防災ということで、私たちというか私個人が考えるのは、やはり災害対策基本法の目的にもありますように、国民の命と財産を守るというのが防災・減災の第一目的ではないかというふうに思います。
国土交通省さんが、例えば、東日本大震災の後に、くしの歯作戦で道路が非常に役立ったということを宣伝されていますけれども、それは災害が起きた後に物資を輸送することで一定程度効果を果たしたということなんだろうと思います。
阪神大震災の後に、近畿地方整備局が、どのような教訓があったのかということをレポート出していますけれども、七割以上は住宅の圧死で亡くなったと、なので、命を助けるにはいち早く助けることが大事であるという、そういうレポートを発表していますので、確かに物資を運ぶためにはそういった道路の整備も必要という議論もあろうかと思いますけれども、どちらを優先するのかという視点でいうと、まず命を守るために税金をどこに使うのかという視点で考えますと、私個人は、やはり住宅の耐震化とか建物の補強などにまず税金を使っていただいて、それでまず圧死をなくすと、そのことで国民のまず命をより多く守って、で、その後、災害そのものは人の力では防げませんので、災害が起きた後に最低限その物資輸送に使えるような、まあ代替路線を含めた道路の整備などを考えていただきたいというのが私個人の意見と希望であります。
ありがとうございます。

○矢倉克夫君

三人の参考人の先生方、大変に貴重な御意見ありがとうございました。引き続きの委員会質疑でしっかりと先生方の御意見を踏まえて議論をしてまいりたいと思います。
ありがとうございました。以上でございます。

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