2025-03-13
○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。
大臣始め各位お疲れさまです。ありがとうございます。また委員各位の皆様もありがとうございます。
今日は所信に対する質疑でございますので、大臣所信にのっとって質疑をしていきたいと思います。
まず、大臣、所信伺って、出入国及び外国人の方々の在留ということについて、公正な管理、こちらを安定感を持ってというふうに冒頭でおっしゃっておりました。じゃ、この安定感というもののためには、どういう体制で、どういうまた今後の運用の改善等も含めて必要なのかという点で幾つか伺いたいんですが、まず、事実関係として、この外国人の入国者数及び在留外国人数、これを十五年前である二〇一〇年、平成二十二年と比較した場合の増加率、どれぐらいになっているのか、伺いたいと思います。
○政府参考人(杉山徳明君)
最新の公表数値で申し上げますと、外国人の入国者数については、平成二十二年は九百四十四万三千六百九十六人であるのに対し、令和六年は速報値で三千六百七十七万九千九百七十六人となっておりまして、増加率は二八九・五%、約三・九倍となっております。
また、在留外国人数につきましては、平成二十二年末時点で二百八万七千二百六十一人であるのに対し、令和六年六月末現在で三百五十八万八千九百五十六人でありまして、増加率は七一・九%、約一・七倍となっております。
○矢倉克夫君
それだけ増えていると。それに合わせてですが、じゃ、例えば入管の職員の方が今どれくらい増えているのか、これについては、私も改めて事前に聞いておりましたけれども、二〇一〇年のときに比べると、今、令和六年では大体一・七倍ぐらいしか増えていない。入国警備官はほとんど増えていない。入国審査官の方も倍ぐらいしか増えていないという形になる。今の、いろいろ業務が相当、特に入国の管理等も含めて相当増えている中で、やはりかなり増えている業務が、という状況に関する改善というのはやはり必要だというふうに思います。
前回の質疑のときにも、財務大臣政務官も来ていただいて、この法務行政というのは国の根幹を担う大事な重要な部分であるという認識の下でのしっかりした対策も取るということも答弁もいただいたわけでありますので、まず、要望として改めて、大臣、この入管に関する職員の増加ということは、今後も引き続き強く働きかけをしていきたいというふうに思います。よろしくお願いを申し上げます。
その上で、今難民の入国審査官が二倍ぐらいになっているというふうに伺ったところですけど、じゃ、一方で、難民申請数が、今言った二〇一〇年と比較した場合、今どれくらいになっているのかを伺いたいと思います。
○政府参考人(杉山徳明君)
最新の公表数値であります令和五年の難民認定審査数は一万三千八百二十三人であり、平成二十二年の千二百二人から約十一倍に増加しているところでございます。
○矢倉克夫君
もう十一倍ということで、職員数、全体の職員数は一・七倍しか増えていない、入管の管理官も二倍しか増えていないのに職員数はそれだけ増えていると、あっ、申請数はそれだけ増えているということになります。
今、十五年前の、平成十年のときとの比較をあえてしたわけでありますが、なぜこの平成十年かと申し上げると、このとき、失礼、平成二十二年というふうに申し上げると、このときに難民認定申請から六か月経過後に一律に就労を認める運用がこれ開始をされて、激増したわけですよね、難民申請が。その後、平成二十九年、三十年という形で運用を改めて、若干減りはしているわけでありますが、当時、二〇一〇年のときには申請が千人台であったのが、今は、今もおっしゃっていただいたように一万、多いときには二万近くになっていたということになります。
これについて、やはり安定的な難民の受入れのためにはどうすればいいか。当然、審査期間が、今も、前回の質疑のときにも出たように、二〇一五年のときには審査期間が大体七・三月だったものが、一次審査の場合、昨年は二十六・六月だというふうに聞いております。この状態を放置したままですと、どんどんどんどん審査期間も延びてしまう。やはり、より難民として保護されるべき人を保護すべきための難民申請の対処というのができなくなる。
どうすればいいかといえば、やはりまずは人数を増やす、また、申請数そのものを何とか絞るということもあるかもしれませんが、やはり申請に対しての審査を効率化、合理化もしていくというようなことも重要であると思います。
そのためにどういうやり方もあるかというところでありますけど、今日は資料もお配りもしております。今、一枚目、二枚目の方で、事前にこの審査の、強弱というわけではありませんけど、しっかりした情報を仕入れた上で、やはり区分けをしていくということは大事だと思うんですよね。その区分けの在り方として、AからDまで分けている。Aが難民である可能性が高いと思われる案件云々、Bは難民条約上の迫害に明らかに該当しない事情を主張している案件、Cは再申請、Dそれ以外ということです。
一つ気になったのが一枚目の、一枚目、これは令和五年ですけど、令和五年の方だと、B案件というのが総数に占める割合は〇・八だったんですが、二枚目の方は、これ平成三十年になります、資料としては三十一年ですけど、そのときはB案件というのは一七・四%。当時あれだけ該当しないというふうに思われていたものがこれだけ急に減るということは、これは私の意見ですけど、例えばいろんな関係の機関なども入っていって、この難民申請が通りやすいというか、本来の申請の意図とは違う形で、申請の仕方も変えていき、B案件を下げるような案件というのもやはり増えてきたのではないかというふうに推測もするところであります。
一つの区分けの仕方として、より合理的に本来難民として受け入れられる人をしっかりしたその審査に集中するためには、この区分けの在り方というのも更に精度を上げていく必要はあるかというふうに思います。
こういう観点から、どのように入管庁としても対応をしていくのか、答弁をいただきたいと思います。
○政府参考人(杉山徳明君)
委員御指摘いただきましたとおり、我が国の難民認定制度におきましては、難民である可能性が高い申請者等の迅速な保護及び濫用、誤用的な申請の抑制を目的といたしまして、申請の段階で案件の振り分けを行い、振り分け結果に応じて迅速処理の対象とする等の措置をとっているところでございます。
もっとも、振り分けは個々の申請書の記載内容等を踏まえて行った結果でございまして、濫用、誤用的な申請を含め、案件の適切な振り分けを行うことが重要であると考えております。そのためには、申請書の記載内容に加えまして、申請者の国籍に応じた出身国情報を踏まえて判断する必要があり、出身国情報の充実に努めながら適切に振り分けを行っており、またこれを行ってまいりたいと考えているところでございます。
○矢倉克夫君
この難民申請を受け入れるに当たっては、当然、受け入れるべき者はしっかり受け入れつつ、他方で、例えばその国の出身国、そこで対応することが可能な申請者の方に対しては、やはりこの出身国がしっかり対応するというのも一つの原則であるというふうに思います。
要は、その出身国が本当に対応できるような状況にあるのか。紛争が起きているところとかであれば当然難民として受け入れる可能性は高くなる。そういうところはしっかりと選別するとともに、そうでない国、その国の統治機構がしっかりとある意味機能している、本来、いろいろ課題もある中ではあるけど、その課題はその国でしっかりと対応することができる国であれば、そこはまた区分けのところで配慮する必要はあるというふうに思います。
その上で、じゃ、大事なのは、申請をしている人のその出身国がそういう状況にあるのか、その申請をしている人の属性が、出身国としては問題ないけど、申請をしている人の属性がその出身国の内部事情の中で何か特段の事情があるのか、そういうことも含めた出身国情報がより精度が上がっていけばいくほど、今申し上げたA、B、C、Dのこの区分けというのはよりやりやすくなる。この精度を上げていくことが、やはり最終的な、最終的なこの審査期間の延長というか、長くなっていくという事情をなくしていって、本当に難民として受け入れる人をしっかりと受け入れるための在り方として必要だと思います。
改めて、この出身国情報、COIというふうに言われているというように理解しておりますけど、これの精度を上げていくにはどういうふうにすればいいのかということを入管庁からまた伺いたいと思います。
○政府参考人(杉山徳明君)
御指摘いただきましたとおり、適切に振り分けを行うためには出身国情報の充実が重要であると考えております。
入管庁におきましては、これまでも、外務省、UNHCR等の関係機関と適切に連携しながら、最新の情報を積極的に収集しております。さらに、難民を多数受け入れている諸外国の当局と出身国情報に関する情報交換等を積極的に行うなどの取組を通じて、出身国情報の一層の充実を図ることとしております。
その他、この点に関する人員体制の整備も重要であると考えており、令和六年度予算において、出身国情報の収集等を担当する課長補佐級ポスト二つが増設されたほか、当該業務に専従する職員七人が増員されているところでございます。
今後も、必要な体制整備に努めつつ、出身国情報の充実を図ってまいりたいと考えております。
○矢倉克夫君
今、人員の話もあったけど、やっぱりもっとこれ増やさなきゃいけないと思います。
あと、例えば外務省からもこの関係との情報を、より連携もいただきながらしっかり受ける、また、諸外国との様々な情報機関も含めたいろんな連携なども必要、こういう部分を、予算をしっかり増やしていくことで対応を強化していきたいというふうに思いますので、この点も大臣、よろしくお願いします。これは意見であります。
その上で、もう一つ、前回の、この外国人との共生という点でやはり大臣にお伺いしたいと思うんですが、申し上げた点は、やはり今、日本各地でいろんなあつれきというか、対立みたいのが起きて残念な状況になっております。差別感情が助長しないような国にするという意味合いで私申し上げたのは、やはり日本人と外国人が相互に信頼するためにはルールを守り合うということは非常に重要だと思っています。
今回、大臣も所信の方ではルールを守るということをおっしゃっていた。まあそれについて念頭に置かれているのは今言った入管法のような法規的なルールだと思いますが、一方で、今、一つまた課題になっているのは、私も今埼玉県ですけど、例えばいろんな地域の中でこの外国人の方がコミュニティーになってしまっている。そこで、騒音の問題であるとか、またトラックが非常に速いスピードで動いていく、危険だ、危ないと、たまにこうぶつかったりとかすることもある、壁とかに。そういうことに対してのコミュニケーションがなかなか取れない。
こういうような、その法規とはまた別、まあ法規にも関わるところもあるかもしれませんけど、地域で共生し合うために、お互い守り合うようなものは守り合うということの理解増進というものがないと、結局、双方が差別意識を持って対立し合うという形になり、本当の共生というのはやっぱり生まれないと思うんですよね。
これは、法務大臣、まさに共生社会の所管をされるという法務省の大臣としての決意、また政府の一員としての決意でありますが、これは入管庁も今頑張っています。いろんな共生するためにはこういう情報をという情報提供のところはあるんですけど、それ以上に、いろんな全省的な支援の枠組みも含めてでありますけど、お互いがルールを守り合うために外国人にもどうやって働きかけるかということも、もっとほかの省庁も巻き込んでやり取らなきゃいけないと思います。
こういう部分について、大臣としてどういうふうに進められるのかということを決意も含めて伺い申したいと思います。
○国務大臣(鈴木馨祐君)
今先生おっしゃいましたような外国人との共生をどう図っていくのか、実は、やっぱり、今、G7、日本以外の国では、かなりこの外国人の問題というのがまさに政治のトップイシューになっている状況があります。
私は、やはり日本は自由で開かれた社会であるべきだと、そう思っていますけれども、そういうことであるためにも、やはり厳しいところは厳しいことをしっかりやっていかないといけない。特に、受入れ側の日本のコミュニティー、社会というところとの摩擦というのはこれ極めて大きな問題になりかねませんから、そこはしっかりと対応していく必要があると思っています。
その意味では、ルールを守らない者については、国から出ていっていただく、そのルールというのは、当然これは法的なことであります。ただ、同時に、今おっしゃいましたように、共生していくためのルール、これはいろいろあると思います。それは、先ほどお触れになられましたけれども、例えばマナーであったりとかそういったことも含めてそうだと思いますし、例えば、私もよく耳にするのがごみ出しの問題とか、そういったところも含めて、やはりいろんな摩擦の原因になっています。
そういったことをどうしっかり分かってもらうのか、それはやはり共生していくためにも、回り回ってその方々がその地域の中で生きていくためにもこれ極めて大事な話ですから、そこをどうしっかりほかの関係省庁とも連携してやっていくのか、私どもとしても、こうしたガイドブックであったり、あるいはオリエンテーション動画といった形で今アプローチはしていますけれども、やはりまだまだ足りない。恐らくこれからもっとそういった問題は出てくると思います。
なので、そういったことをしっかり未然に防いでいくためにも、そこは、当然、これは市区町村ということもあると思いますし、ほかの様々な行政機関もあると思います。きちんとここは連携を図っていけるように、私としても努力をしていきたいと思っています。
○矢倉克夫君
今大臣おっしゃっていただいたような思い、全く共感するところでありますし、それを市区町村も巻き込んだ方針として、より徹底いただくような施策の在り方というのも是非、政府一体となって考えていただきたいというふうに思います。場合によっては、市区町村を支えながらということで。
では、ちょっと次の議題に行かせていただきたいと思います。
次に、大臣、所信の中でおっしゃった、先ほども議論になっていた別姓の関係です、夫婦別姓の関係。夫婦の氏について情報提供が重要というふうにありました。
これ、法制審が案を出して三十年近いんですね。この中の議論、長くいろいろ議論をしていたけど、いまだに混乱したような議論の論点になっている、これは法務省ももっと情報提供をしていただくべきだったというところあります。是非、これはしっかりやっていただきたいということも含めて、ちょっと整理の思いも込めて行きたいと思うんです。
情報提供の例えば例として、よく選択的夫婦別姓になると戸籍が壊れるということが議論としてあります。じゃ、そこで想定されている選択的夫婦別姓がなることでどういう戸籍になるのかというイメージが人ごとにばらばらであったりとかしています。そもそも戸籍制度というのはどういうものなのかということが国民の中で御理解をいただく努力はもっと必要だと思います。
その観点から、まずこの戸籍制度というのは何なのか、その特色などを含め、また、よくそのときに議論出るのは個人ごとの戸籍だというふうに言われています、韓国などが念頭に置かれていると思うんですが。その辺りの簡単な概略などをまずお伺いしたいと思います。
○政府参考人(竹内努君)
お答えいたします。
現行の戸籍は、一組の夫婦及びこれと氏を同じくする子が編製単位とされておりまして、日本国民の出生、婚姻、死亡等の親族的身分関係を登録、公証する唯一の公簿であり、真正な身分変動を登録し、公証する機能を有しております。また、入籍や除籍があるごとに戸籍を相互に関連付けるということによって、当該戸籍に記載されている各人の過去の身分関係の来歴を明らかにすることができるという特色がありまして、このような特色は本籍あるいは筆頭者によって戸籍を特定することによって発揮することができるようになっております。
委員御指摘の韓国でございますが、韓国におきましては、日本の戸籍制度に類似するような戸籍制度が実施をされていたのですが、二〇〇八年、平成二十年ですが、これを改めまして、個人別に身分登録情報を編製するという家族関係登録制度というものに移行しているものと承知をしております。この登録簿は、出生簿や婚姻簿、死亡簿が統合されたものでありまして、出生や婚姻、死亡等の身分関係の変動に加えて、家族関係の情報も登録、管理されているものと承知をしております。
○矢倉克夫君
私、この日本の戸籍制度というのは、非常に身分関係の一覧性も機能としてよくできている。この一つの戸籍の中で身分が、これ一体、一つの、身分とか全部、家族が全体が入っているわけなんですね。親と子という代で、それが一つの形の中に入っている非常に優れた制度であるというふうに思っております。ですので、これはしっかり守らなければいけない。
一方で、何か別姓の議論をすると、これが必ず壊れるみたいな議論になっているんですが、政治としては、そういう守るべき戸籍制度もしっかり守りながら、じゃ、別姓を選択される人のこの選択をどうやって尊重するか、これをどうやって両立するかということを悩む必要があると思うんです。今、そういう悩みを持ってみんなで議論できているか、いや、もっと議論をしなければいけないなと思います。
その上で、一つ、その悩みの解として、私、よくできているなと思っているのが実は法制審の案でして、法制審の案ですと、もう、資料四の方だと、当時の、今も法制審の方も、法制審、平成八年のときの案で、なると、戸籍がこうなりますみたいなことを書いております。
ちょっとこれなども参考にしながら、改めて法制審の案というのを参考にすると、じゃ、家族ごとの戸籍制度とこの別姓というのは両立し得るのかということをまずちょっと答弁いただきたいと思います。
○政府参考人(竹内努君)
お答えいたします。
平成八年の法制審議会の答申に基づく選択的夫婦別氏制度を導入した場合の戸籍の編製基準につきましては、一つの夫婦及びその双方又は一方と氏を同じくする子ごとにこれを編製するものとされております。また、婚姻の際に子供が称する氏として定めた氏を称する者を筆頭者にすることとされております。
したがいまして、平成八年答申を前提といたしますと、一組の夫婦及びその子が編製単位となるという点及び筆頭者の記載が維持される点において基本的な編製の在り方に変更はありませんで、戸籍の親族的身分関係を登録、公証し、その来歴を明らかにすることができるという機能が変わるものでないと考えております。
○矢倉克夫君
今おっしゃっていただいたように、戸籍、今、日本の戸籍というのは、筆頭者が決まって、この筆頭者がインデックス代わりになって、それが家族単位ごとで統合されるというのが家族ごとの戸籍の特色であると思います。
今御説明あったとおり、法制審の案、別姓を選択でき得る制度にしても、筆頭者というのは決まり、それの下で戸籍はしっかりと維持されるという、こういう制度設計に基づいていかに両立するかというのは非常に重要だと思います。
もう一つ、よく別姓で言われることは、子供の氏が決まらないことがあるんじゃないかというようなことは言われます。これは、改めてですけど、もう御案内のとおりの話かもしれませんが、資料三の方で法制審の案も記載もしております。婚姻時に夫婦どちらかの姓を子供の氏とするというふうに統一化するという話であります。
これをやることで子供の氏が決まらないという事態はないのではないかと思うんですけど、これも答弁いただきたいと思います。
○政府参考人(竹内努君)
お答えいたします。
平成八年の法制審議会の答申では、別氏夫婦の間に生まれた子は、夫婦が婚姻の際に子が称する氏として定めた父又は母の氏を称することとされております。
したがいまして、平成八年答申を前提といたしますと、別氏を選択した夫婦が子をもうけた場合に子の氏が直ちには決まらないといった事態が生じることはないと認識をしております。
○矢倉克夫君
この部分でも決まらないままということも、また、場合によったら決まらなければ裁判所ということもあったけど、裁判所が判断できるかというような問題もありました。こういう問題も解決できると。もうこれら一つ一つをしっかり解決していき、いかに選択肢を広げていくかということだと思います。
その上で、今、この別姓の議論で対立の一つに、対立軸ではないと私は思っているんですけど、通称の利用というところもあります。これは例えば、二者択一じゃないと思うんですよね、仮に別姓を選択して、同姓のままでいる方もいたら、通称も利用していくという選択肢も当然あり得る話だと思います。じゃ、通称利用を拡大したら別姓は一切駄目なのかというところは、またいろいろ論点整理をしなきゃいけないと思っています。
その上で、じゃ、日本におけるこの通称というのは、現行法制度における通称というのは、個人を特定する法律上担保のあるものとして認められているのかを答弁をいただきたいと思います。
○政府参考人(竹内努君)
お答えいたします。
現行の民事基本法制におきまして、現在通称として使用されている旧姓は、民法の氏、民法上の氏とは異なるものであると考えております。
○矢倉克夫君
ごめんなさい。民法上の氏とは異なるということですかね。
戸籍上の氏とはどうですか。
○政府参考人(竹内努君)
現在使用されている通称は、社会的に通用している呼称ということでございますので、民法上の氏、まあ氏ではないということになります。
○矢倉克夫君
氏ではないとなると、例えば、法的な、一番個人を特定する法的な担保があるものということでは、戸籍の名称というのが民法上の氏、また戸籍上の氏ということで一致する場合もあると思うんですけど、そこが戸籍上の氏ということでいいという理解でよろしいですか。
○政府参考人(竹内努君)
お答えいたします。
現在使用されている通称につきましては、法律上の根拠として特にあるものではございませんので、その意味で氏とは異なるという御説明になるかと思います。
○矢倉克夫君
分かりました。その法律上の氏ではない、法律上の根拠があるということではない、氏ではないということの理解でよろしいわけですよね。
それをどういう根拠を持たせていくかという議論はまたあり得る話だと思うんですけど、じゃ、その法律上の根拠、今、例えば、じゃ、公的に一番証明するに当たっての呼称というのは戸籍名という形になるという理解でよろしいわけですか。法的に一番担保されているもの。
○政府参考人(竹内努君)
個人の氏名を登録、公証するものとして日本にございますのは戸籍ということになるかと思います。
○矢倉克夫君
ですから、その戸籍、例えばパスポートは今ICチップには戸籍しか入れられなかったりする、また税とか、いろいろ支援金、支給金を受ける、またいろんな手続もまだ戸籍名のみしかできないという話にやっぱりなっていくと思います。
これについて、じゃ、どういうふうにこの呼称をしっかりと位置付けるかということは、この戸籍との関係性というのも整理しなければいけないところも論点としては出てくると思うんですけど、これはその理解でよろしいわけですか。これは民事局長にまた聞きたいと思います。
○政府参考人(竹内努君)
お答えいたします。
現在使われている通称を日本の法制の中でどう位置付けるかと、あるいは戸籍との関係をどう整理するかというところは問題点になろうかとは思います。
○矢倉克夫君
戸籍との関係をどう維持、まあ関係する、例えば、今、通称でも併記される場合もあります、今、戸籍上の正式な名称に併記をされている場合もある。また、場合によっては戸籍上の名称とはまた別の形で法的担保をという形になる。併記という形になると、やっぱり正式なものは戸籍名であったりしますから、その通称、併記されている、ある意味戸籍名に付けられている通称がどういう意味合いを持ってくるのか、ある意味副次的な意味合いで、全ての生活に戸籍と代替できるような機能を果たし得るのかというところは一つ問題になってくると思います。
じゃ、戸籍とまた別のもう一個の法的な名称として通称というのを使えるようになると、じゃ、戸籍との関係どうなるのか、世間一般で言われているダブルネームになってしまうのではないか、諸外国から見て、どちらが正しいものなのかということも分からなくなる、国内だけでも分からなくなる。
じゃ、こういう課題に対してどういうふうに対応していくのかということがはっきり見えていき、最終的に別姓というものをなくなっても大丈夫だという理解であれば別姓の選択肢は必要ないかもしれませんが、まだそこら辺、私よく見えないところは正直あります。それであれば、本来の旧姓を同じように手続変更なく戸籍姓にするということでいろんな課題に対処していくという必要もあるんじゃないかな。ここはいろんな議論があるというのは大臣おっしゃるとおりですけど、それはまた情報提供をいただきながら、しっかり論点整理をして議論をしていきたい。
ただ、何度も申し上げますけど、もう法制審の案が出て三十年近いんですね。やっぱりその間、今いろんな方がおっしゃっていて、議論が、じゃ、その間なかったか、議論はずっとしていたわけなんです。だけど、今言ったようないろんな複雑な部分の理解をもっと広めていただいて、世論喚起をもっとしていく必要がある。
あと、併せてもう一個言うと、やはりこれは多くの方にとっては、今もう関心としては低いというふうに言われる方もいるかもしれませんけど、これからの社会の在り方という面も含めて、婚姻の在り方もいろんな選択肢を広げていく、当然同姓のままで行く婚姻の在り方もそうですし、また、そうじゃない違う形の家族の在り方というのもつくっていく、選択肢をやっぱり広げていくということも、選択肢を広げていく問題だということで国民にもっと喚起をしていかなきゃいけないと思います。
じゃ、最後、ちょっと時間最後になってしまいましたけど、そういう選択肢を広げていく社会をいかにつくるかという議論であるということも世論に喚起しつつ、そのための国民議論を熟度を高めていく上では、私は、もっと今言ったような制度のところとかもちゃんと法務省も力を入れて、我々も力入れますけど、戸籍とは何なのかとか、通称とはどういうものなのか、諸外国のミドルネームと比べてどういう違いがあるのかとか、そういうことも含めて、より積極的に情報提供はしていかなきゃいけないと思います。
大臣、今回、情報提供とおっしゃったので、より国民の皆様に関心を持っていただく、その趣旨を込めて、ちゃんとした発信をもっとしていただきたいと思うんですけど、最後、大臣に答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(鈴木馨祐君)
極めて大事な議論の中で、例えば選択的夫婦別氏といったときに、恐らくそれが法制審案というのは一つ大きな案ではありますけれども、ほかにも幾つかあるのも事実で、そういったそのそれぞれの、これは通称の法制化ということもそうですよね。なので、やっぱりそういったところでいろんなそれぞれのまず課題の整理はしていかなくてはいけないんだろうと思います。
その上で、先ほど、この戸籍への影響というところで、法制審案の答申に基づいたこのサンプルというものがありましたけれども、こういったものもそうですし、あるいは、例えば、やはりパスポートの問題というのはかなりこれはクリティカルな問題として残るんだろうと思います。そこを解決できるような単記のリーガルネームというのは果たしてあり得るのか、起こし得るのか、しかも、ICAOであったり、あるいはテロを警戒しているような国がそれを受け入れるのか、そういったことも含めて、これふわっとした議論ではなくて、かちっとしたその制度論の議論もしていかなくては私はいけない時期だと思っています。
その観点から、国会での御議論をいただく、あるいは国民の間での御議論をいただくためにも、そうした情報提供を分かりやすく、しっかりと伝えていく。これ、理念ではなくて、やはりその具体の話としてどうしたら伝わりやすいようになるのか、そこのところは私どもとしてもしっかり検討をしていきたいと思いますし、そういった意味での情報提供をしっかりと進めていきたいと思います。
○委員長(若松謙維君)
時間過ぎております。
○矢倉克夫君
今、単記のリーガルネームはあり得るのかというお話、要はこの通称の拡大で今ある不都合を回避し得るのかというところ、これは、うちの党も今、私も今PTの座長をやらせていただいております、党でも議論もして、議論を深めているところです。これまで何回も議論もしておりました。
そういうことも踏まえた上で、じゃ、別姓の選択等、また、今まで守るべき戸籍とか、そういうのをちゃんと両立できる案としても、法制審の案というのは非常に参考になるというふうに思います。党としてもそれを参考にしつつ、今大臣にいろいろと発信をしてくれと申しましたけど、当然、我々の党としても議論を深めて、国民に対してしっかり訴えていき、結論としては選択肢がしっかり広がるような社会、これ全ての党派を超えた合意が形成できるような合意形成を図るためにも頑張りたいというふうに思います。
その点だけ申し上げて、質疑を終わります。ありがとうございます。