18歳選挙権法が成立

2015-06-18 ニュース

公明新聞:2015年6月18日(木)付

北側一雄副代表

来夏の参院選から適用へ
公明、45年にわたり訴え実現
北側一雄副代表に聞く

選挙権年齢を現在の「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる改正公職選挙法(自民、公明、民主など与野党6党が共同提出)が、17日の参院本会議で全会一致で可決、成立した。来年夏の参院選から「18歳選挙権」が実現する見通し。法改正のポイントについて、法案提出者の1人である公明党の北側一雄副代表に聞いた。

若者の声を政治に反映

―18歳選挙権が実現する意義は。

北側一雄副代表 一番大きいのは、若者の声を政治に反映させるということです。日本が抱える政治課題は若者の未来と直結しています。今の若者世代も国の借金を支払っていくわけですから、将来の政策も彼らの声に耳を傾け決めなければなりません。議員や政党も、これまで以上に若者のための政治を心掛けるようになります。

公明党が45年以上前から国会質問で取り上げ、国政選挙の重点政策に掲げるなど、18歳選挙権の実現を一貫して推進してきたのは、こうした目的からです。

―無責任な投票を懸念する声もあるが。

北側 国立国会図書館が昨年2月、世界各国の選挙権年齢を調べたところ、調査可能だった191カ国・地域のうち、9割以上の国が18歳選挙権を導入しています。昨年9月のスコットランド独立の賛否を問う国民投票では、16歳から投票権が与えられていました。18歳と19歳、特に高校生の一部に選挙権を持つ人が出ることの心配は要らないと思います。その上で、社会や地域の課題を自分の問題と捉えて主体的に関わるようにする「主権者教育」は重要です。学校教育の一つの柱と位置付けるべきと考えます。

―選挙運動、政治活動もできるようになる。

北側 18歳選挙権を認める以上は、選挙運動や政治活動も基本的に自由です。ただし、学校は大切な教育の場所です。その目的に反しないように一定のルールが必要だと思います。法律による規制よりも、各地域の教育委員会でガイドライン(指針)を作成し、それに基づいて学校が自主的に規制する方が良いでしょう。

旧文部省(現在の文部科学省)が1969年に出した高校での政治活動を制限する通知については、高校生の一部が有権者に加わったことを踏まえ、抜本的に見直す必要があると考えます。

―民法の成年年齢は20歳、少年法の適用年齢は20歳未満のままだ。

北側 法律には、それぞれの目的に合った年齢条項が定められています。民法は、すでに法制審議会(法相の諮問機関)が成年年齢を「18歳に引き下げるのが適当」と答申を出していますが、少年法の適用年齢をめぐる議論は、法制審議会でも始まっていません。一方、公明党内では「民法・少年法等成年年齢の検討に関するプロジェクトチーム」で積極的に議論を進めているところです。

成立した改正公選法では、少年法が罪を犯した少年の更生を目的としている点を踏まえ、公明党の主張で、買収などの重大な選挙違反でなければ、20歳未満の少年にはそのまま少年法を適用することにしました。

―現行法では、選挙権があっても投票できないケースが生まれている。

北側 選挙権年齢に達した直後に引っ越した人が、新住所地に転入して3カ月未満で国政選挙を迎えた場合、選挙人名簿に登録されないため、旧住所地でも新住所地でも投票ができません。18歳選挙権が来年夏の参院選から適用されると、高校を卒業して進学や就職で引っ越す時期と名簿登録の時期が重なり、こうしたケースが増えるとみられます。

公明党は、引っ越し前の住所地で、選挙権年齢に達する前も含めて3カ月以上住んでいれば、その住所地で投票ができるようにする公選法改正案を自民党などと今国会に共同提出しました(17日に成立した改正公選法とは別の法案)。ぜひ今国会で成立させ、18歳選挙権の実現と同時に適用させたいと考えています。

政治参加 10代の手で広げたい

祝う会で高校生ら

祝う会で高校生ら

「リビジョン」の会合で高校生らに報告する北側副代表=17日 衆院第2議員会館

10代の手で政治参加を広げたい―。17日の改正公選法の成立を受け、衆院第2議員会館で、18歳選挙権実現に取り組んできたNPO法人Rights(高橋亮平代表理事)と、一般社団法人リビジョン(斎木陽平代表理事)の会合がそれぞれ開催され、公明党の北側一雄副代表も出席して成立を喜び合った。

高橋代表理事は「選挙権拡大は70年ぶりの快挙」と強調。リビジョンが立ち上げたティーンズ・ライツ・ムーブメントの百瀬蒼海代表(高校3年生)は「10代が選挙に関心を持つ企画で盛り上げたい」と語った。

米国の研究者と交流

2015-06-17 ニュース

公明新聞:2015年6月17日(水)付

米国の研究者と意見交換する党国際委のメンバーら=15日 衆院第1議員会館

米国の研究者と意見交換する党国際委のメンバーら=15日 衆院第1議員会館

党国際委

公明党国際委員会(上田勇委員長=衆院議員)は15日、衆院第1議員会館で、「日米次世代パブリックインテレクチュアル・ネットワーク」プログラムの第3期メンバー14人の表敬を受け、懇談した。

同プログラムは、米国のマンスフィールド財団が、国際交流基金日米センターの支援を得て、日本に関心を持つ米国の若手・中堅研究者をサポートする取り組み。

公明党側は上田委員長と、党国際局次長の岡本三成衆院議員、平木大作、矢倉克夫の両参院議員が参加。同ネットワークからは、エズラ・ヴォーゲル氏ら3人の諮問委員も同席した。

席上、米研究者側が日本の諸課題に関して質問。このうち「平和安全法制」について上田委員長は「武力行使は日本防衛のために限るとする『専守防衛』の理念は堅持する」と答えた。

参院選挙制度で公明が改革案

2015-06-16 ニュース

公明新聞:2015年6月16日(火)付

参院選挙制度改革に関する公明案を発表する魚住参院会長=15日 国会内

参院選挙制度改革に関する公明案を発表する魚住参院会長(奥右)=15日 国会内

10合区で格差2倍未満
記者会見で魚住会長 合意形成に向け議論の糧に

参院公明党の魚住裕一郎会長は15日午後、国会内で記者会見し、参院選挙区の「1票の格差」を是正する選挙制度改革に関して、隣接する20選挙区を「合区」して10選挙区に再編し、格差を2倍未満とする公明案を公表した。西田実仁参院幹事長が同席した。

公明案は、2013年参院選で4.77倍だった最大格差を1.953倍に縮小。総定数242を維持し、選挙区146、比例代表96の配分も変えない。

席上、魚住会長は、公明案について「現時点で(最高裁から)『違憲状態』と指弾されている状態を回避するにはベストな案と考えている」と強調。その上で、「国会会期も迫っているから、基本的な案を示して(合意形成に向けた)議論に資するという位置付けで考えている」と語り、今後の対応について各会派に公明案を示していく方針を示した。

合区対象とする選挙区に関しては、10年国勢調査による人口確定値に基づき、「人口の少ない県から順次(合区し)、2倍以内になるよう検討してきた」として、合区となる選挙区をそれぞれ紹介。併せて、合区によって議員定数が減った分を、格差が大きい選挙区から順番に振り分けたと述べた。

【合区される選挙区と定数】秋田・山形(2人)、富山・岐阜(4人)、石川・福井(2人)、山梨・長野(4人)、奈良・和歌山(4人)、鳥取・島根(2人)、徳島・高知(2人)、香川・愛媛(4人)、佐賀・長崎(2人)、大分・宮崎(4人)

【格差是正のため定数が増える選挙区】北海道(6人)、埼玉(8人)、東京(12人)、愛知(8人)、兵庫(6人)、福岡(6人)

※3年ごとの通常選挙で定数の半数を改選

新3要件は憲法の枠内

2015-06-12 ニュース

公明新聞:2015年6月12日(金)付

意見表明する北側副代表=11日 

衆院憲法審査会意見表明する北側副代表=11日 衆院憲法審査会

3学者の「違憲表明」に反論
衆院審査会で北側副代表ら

衆院憲法審査会は11日、4日の参考人質疑で憲法学者3人が「平和安全法制」の関連法案をこれまでの政府の憲法9条解釈からは説明できず「憲法違反」と主張したことなどについて各会派からの意見表明を行い、公明党の北側一雄副代表が他国防衛を認めない政府解釈の論理の根幹は変わっておらず違憲ではないと主張した【要旨はこちら】。その後の自由討議では、公明党の国重徹、濱地雅一の両氏も見解を述べた。

他国防衛は認められず

初めに北側副代表は、「平和安全法制」の必要性について、例えば日米安全保障条約に基づいて日本防衛のために日本近海の公海上で警戒監視活動を行っている米艦船への武力攻撃を自衛隊が排除できるようにすることが「日米防衛協力体制の抑止力を向上させる」と強調。その上で、「(日米安保によって)紛争を未然に防止していく以外の現実的な選択肢はない」と主張した。

次に、関連法案の策定までに憲法9条の下で許容される自衛の措置(武力行使)の限界について、与党協議で議論を尽くしたことを紹介。「(憲法)学界で、自衛隊や日米安保条約が違憲かどうかという議論はあっても、わが国の安全保障環境を踏まえつつ、9条と自衛の措置の限界について突き詰めた議論がなされたということを私は知らない」と述べた。

さらに、北側副代表は自衛の措置について、他国防衛の集団的自衛権の行使は許されないとした1972年(昭和47年)の政府見解に言及。今回の関連法案は他国防衛を認めない自衛の措置の新3要件に基づいているとして、「新3要件は、従来の政府見解の基本的な論理を維持し、かつ、それを現在の安全保障環境に当てはめて導き出されたものであり、(憲法審査会で憲法学者が述べた)『従来の政府見解の基本的な論理の枠内では説明がつかない』などの批判は全く当たらない」と強調した。

その上で「私たち国政に携わる者は、まず現下の安全保障環境をどう認識するのか。その上で、国と国民を守るため、どのような安保法制を整備する必要があるのか。憲法との適合性をどう図るのか。こうした論議をしなければならない」と訴えた。

国重氏
国重氏も、「昨年7月の閣議決定でも、他国の防衛それ自体を目的とするいわゆる集団的自衛権の行使は認められない」「1972年の政府見解の基本的論理は新3要件にしっかりと維持されており、従来の憲法解釈との論理的整合性はある」ことを確認した。

濱地氏

濱地氏は席上、野党議員から出た公海上での米艦船の防護が周辺事態法で対応できるとの意見に対して「周辺事態法は後方支援しかできないため米艦等を防護することはできない」と反論。

さらに、4日の憲法審査会で参考人が、自衛隊の後方支援活動は「外国軍隊の武力行使と一体化する恐れが極めて強い」と述べたことについて、濱地氏は戦闘を行っていない現場での補給や輸送の活動は他国の武力行使と一体化せず、さらに「自衛隊の活動区域は安全かつ円滑に活動できる場所を指定する新しい規定を作った」と強調した

危険ドラッグなどの薬物

2015-06-11 ニュース

公明新聞:2015年6月11日(木)付

薬物依存症の治療プログラムを模擬体験する新妻、矢倉の両氏=10日 都内

薬物依存症の治療プログラムを模擬体験する新妻(左端)、矢倉(左から5人目)の両氏=10日 都内

依存脱却へ治療強化
プログラム継続で7割が改善
党青年委が都内の研究センター視察

公明党青年委員会(石川博崇委員長)は10日、東京都小平市の国立精神・神経医療研究センター(樋口輝彦理事長・総長)を訪れ、覚せい剤や危険ドラッグなど薬物依存症の治療プログラム「SMARPP」(スマープ)を視察した。新妻秀規青年政策ワーキングチーム座長(参院議員)、矢倉克夫青年局次長(同)が参加した。

「SMARPP」は、同センター精神保健研究所の松本俊彦・薬物依存研究部長が2006年に開発したプログラムで、薬物依存症患者が「次も来たい」と思うような雰囲気づくりに治療の主眼が置かれている。松本部長によると、薬物依存症患者の治療意欲は絶えず揺らぎ移ろいやすいため、治療プログラムは継続性が重要という。

一行は、同センターのスタッフらの協力を得て「SMARPP」を模擬体験。気軽な雰囲気の中で患者同士がワークブックを用いながら、薬物を使用したくなる状況や場所などを語り合い、自分自身を客観的に分析する治療方法の理解を深めた。

松本部長は、同プログラムに継続的に参加できた患者の約7割が改善につながっていると説明する一方、「薬物依存症は“治療の貯金”ができない病気。各地域で治療プログラムを継続できる体制構築や、プログラムを運営できるスタッフの育成が課題」と述べた。

視察後、新妻座長は、「青年委員会が近く政府に提出する『青年政策アクションプラン』(昨年8月発表)の改訂版に反映したい」と語った。

温泉利用健康施設の要件緩和求める

2015-06-10 ニュース

公明新聞:2015年6月10日(水)付

NPOと桝屋氏ら

NPOと桝屋氏ら

NPO法人・健康と温泉フォーラムの三友紀男会長らは9日、厚生労働省で塩崎恭久厚労相に対し、温泉利用型健康増進施設の認定要件緩和を要望した。これには、公明党活気ある温かな地域づくり推進本部の桝屋敬悟本部長(衆院議員)らが同席した。

同施設は、各種の入浴設備とプールなどの運動設備が総合的に整備されており、一定要件の下で温泉療養を行えば、利用料金や交通費が所得税の医療費控除の対象となる。三友会長らは席上、地域内の複数施設を連携させて同施設とする場合についても、地方創生のために「認定を可能としてほしい」と訴えた。塩崎厚労相は前向きな検討を約した。

地方創生公明の手で

2015-06-07 ニュース

公明新聞:2015年6月7日(日)付

あいさつする山口代表

あいさつする山口代表

決意新たに全国県代表協議会
日常活動を強化、議員力磨く
山口代表が強調

公明党は6日、東京都新宿区の公明会館で全国県代表協議会を開いた。山口那津男代表は、4月の統一地方選の大勝利を受け、「公明党の新時代を築く本格的な建設が始まった。新しい陣列の下、新しい支持者の開拓、さらなる党勢拡大に果敢に挑戦しよう」と力説。統一選で訴えた「地方創生」への取り組みを加速させていくとともに、7~11月にかけて実施される岩手、宮城、福島の被災3県の県市町村議選の全員当選、来年夏の参院選勝利へスタートを切ろうと呼び掛けた。【山口代表あいさつ要旨】

「被災3県」、参院選勝利へ

山口代表は冒頭、1589人が当選した統一選の大勝利に関して、全国の党員、支持者と議員の戦いに心からの謝意を表明。その上で、4年前の東日本大震災の影響で選挙日程が繰り下がっている岩手、宮城、福島の県市町村議選について「被災3県の勝利なくして統一選の本当の勝利はない、との気概で全員当選を勝ち取ろう」と呼び掛けた。

地方創生の加速とともに、被災3県などでの地方議員選と参院選の勝利を誓い合った全国県代表協議会=6日 公明会館

また、統一選の教訓として「あらためて確認したいのが、選挙結果は、議員の日常活動で決まるという一点だ」と強調。来年夏の参院選に向け、「議員の日常活動を一段と強化し、徹底して地域に入り、自らが支持を広げていきたい」と述べ、議員力をさらに磨き発揮していこうと語った。

統一選で訴えた「地方創生」では、公明党がネットワークの力を発揮し担っていくことに期待が寄せられていると力説。各自治体の地方人口ビジョンや地方版総合戦略の策定に「積極的に関わり、キャッチした現場の視点を盛り込ませ、『ひと』が主役の将来像を描いていきたい」と述べた。

重要政治課題では、東日本大震災の復興加速に関して「被災者や地域の課題が多様化し、きめ細かな支援の重要性が増している。だからこそ公明党の存在意義は大きい」と強調。引き続き担当国会議員が被災地に密着し、地方議員とのネットワークの力を駆使しながら取り組む方針を示した。

「平和安全法制」については今国会で成立を期す考えを示した上で、国民の理解を深めていくため、政府に対し「国会審議で丁寧な答弁に努めるとともに、真摯かつ謙虚な姿勢で臨んでもらいたい」と指摘した。

参院選挙制度改革については、格差是正に向けて党の具体案を作成した上で、「今国会での制度改革の実現へ、合意形成の努力をしていく」と力説した。

派遣法改正案 ここがポイント<下>

2015-05-28 ニュース

公明新聞:2015年5月28日(木)付

労働者守る義務の実効性は?

事業を許可制にして厳格運用

Q 同じ職場で働ける期間の上限3年に達する派遣労働者に派遣元(派遣会社)が次の就労先を確保するなどの雇用安定措置や、キャリア形成支援が新たに義務化されますが、実効性がなければ意味がありません。

A 現在は4分の3以上が届け出制の派遣事業を全て許可制にします。その上で、キャリア形成支援制度があることを許可・更新の要件に追加。教育訓練の実施に関する事業報告も求めます。義務違反に対しては、許可の取り消しも含めて行政が厳しく指導します。

Q 派遣元が雇用安定措置の義務を避けるために、契約を3年未満にする恐れがあります。

A 厚生労働省は、悪質なケースがあれば重点的な指導監督の対象とする方針を示しています。なお、派遣労働者が同じ職場で1年以上働いていれば、派遣元には雇用安定措置を講じる努力義務が課されます。

Q 派遣労働者の正社員化に向けて、派遣先への具体的な支援も必要です。

A 今年度予算で「キャリアアップ助成金」が拡充されました。ケースごとに支給額は異なりますが、派遣先が中小企業で、有期雇用の派遣労働者を正規雇用した場合は、1人当たりの支給額が60万円から80万円に引き上げられています。

待遇改善は進むの?

賃金などで具体的配慮求める

Q 法改正で派遣労働者の待遇改善は進みますか。

A 派遣元に対し、派遣労働者の賃金などで、派遣先の労働者とのバランスが取れた待遇が確保されているかどうかについて、本人の求めに応じて説明する義務を新設します。

一方、派遣先には▽自社の労働者の賃金などに関する情報の派遣元への提供▽業務に関連した教育訓練の派遣労働者への実施▽休憩室などの福利厚生施設の利用―について、具体的な配慮を義務付けます。

Q 雇用形態にかかわらず、同一の労働に対し同一の賃金を保障する「均等待遇」を推進するべきでは。

A 現在の日本は、仕事内容に応じた賃金を支払う「職務給」ではなく、仕事で培った能力や勤続年数などの経験に応じた賃金を支払う「職能給」が慣行となっています。このため政府は、正社員と派遣労働者の仕事や責任の違いを考慮し、バランスの取れた待遇を確保する「均衡待遇」をまずは進めるとしています。

その上で、改正案には公明党の要請で、付則に「均等・均衡待遇のあり方を検討するため、調査研究などの措置を講じる」との規定が盛り込まれました。付則を踏まえ、政府は諸外国の均等待遇の制度や運用状況などを調べる方針です。

派遣法改正案 ここがポイント<中>

2015-05-27 ニュース

公明新聞:2015年5月27日(水)付

事実上、期間制限の撤廃では?

延長には労使の話し合い必要

Q 派遣労働者が有期雇用の場合、派遣先の事業所の派遣受け入れ期間が原則3年に制限されます。目的は何ですか。

A 改正案では、業務ごとに期間制限がある現行制度を改め、1人の派遣労働者が同じ職場で働ける期間を全ての業務で上限3年とする制限を新設します。しかし、これだけでは、3年ごとに人を替えて同じ仕事を派遣労働者に任せ続けることができてしまうため、派遣先にも期間制限を設けることにしました。

派遣先が受け入れを延長したい場合は、3年ごとに労働組合などの意見を聞かなければなりません。

Q 意見を聞くだけで延長できるので、「事実上の制限撤廃であり、正社員との置き換えが進む」と言われていますが。

A 意見聴取の義務は、派遣の延長を一律に規制するのではなく、現場をよく知る労使が実情に応じた判断をできるようにするためです。組合から反対意見が出れば、派遣先には延長理由などを説明する義務が生じます。聴取記録の保存・周知など、手続きの適正性・透明性を担保する仕組みも設けられます。

重要なことは、こうした仕組みを通じて、労使が実質的な話し合いを十分に行えるようにすることです。

“生涯ハケン”になる?
正社員化へ教育訓練など実施

Q 期間の定めのない無期雇用として派遣元(派遣会社)に雇われている派遣労働者は、期間制限に関係なく派遣で働けるようになりますが、なぜですか。

A 有期雇用よりも雇用が安定していることに加えて、派遣のままで働きたい人も相当数いるため、期間制限の対象外としました。なお、2012年時点では、派遣労働者全体の約17%が無期雇用です。

Q 正社員希望の派遣労働者が無期雇用になれば、そのまま派遣労働が固定化して“生涯ハケン”になると指摘されています。

A 正社員をめざす場合でも、まずは不安定な有期雇用を抜け出す必要があります。その意味からも無期雇用への転換は重要です。

その上で改正案は、派遣元による計画的な教育訓練や、希望者へのキャリア形成に関する相談の実施を義務化。派遣先にも自社の正社員募集情報の提供を義務付けます。こうした施策を通じて、正社員化を望む派遣労働者を支援します。

Q 無期雇用でも、派遣先の仕事がなければ解雇されるのでは。

A 厚生労働省は、派遣先との派遣契約の終了のみを理由とした解雇の防止について、派遣事業の許可条件に盛り込むなどの方針を示しています。

国会質問_法務委員会

2015-05-27 ニュース

公明新聞:2015年5月27日(水)付

裁判員裁判の「長期審理」除外で質問

矢倉氏

矢倉氏=26日 参院法務委

参院法務委員会は26日、初公判から判決まで極めて長い期間を要する裁判について、国民が参加する裁判員裁判の対象外とし、裁判官のみで審理できるようにする裁判員法改正案について審議し、公明党の矢倉克夫氏が質問に立った。

矢倉氏は、裁判員裁判の対象外とする決定をどう判断するのかと質問した。上川陽子法相は「当分の間は個々の状況をしっかりと考慮した上で判断すると想定している」と答えた。

派遣法改正案 ここがポイント<上>

2015-05-26 ニュース

公明新聞:2015年5月26日(火)付

衆院で審議中の労働者派遣法改正案について、ポイントをQ&A形式で紹介します。

法改正で何が変わる?

労働者を支援、ルールも明確に

Q 改正のポイントは。

A 正社員化を望む派遣労働者にはその道を開き、派遣として働くことを希望する人には待遇の改善を進めます。業務ごとに派遣労働者が働ける期間が異なる現行制度も改め、全ての業務に一律の期間制限を設けることで、派遣元(派遣会社)、派遣先、派遣労働者の全てにとって分かりやすいルールにします。

Q 現在の課題は。

A 能力開発の機会に乏しく、雇用が不安定になりがちな派遣労働者への支援が不十分です。

また、派遣労働者が期間の制限なく働ける「専門26業務」(パソコン操作、秘書など)には「該当する業務が分かりにくい」「時代によって専門性が変わるので制度が不安定」などの指摘があります。

Q 法案提出の経緯は。

A 民主党政権時代の2012年に成立した改正派遣法に、民主、自民、公明の3党共同提案で「26業務」の早急な見直しを求める付帯決議が盛り込まれました。今回の法改正は、この付帯決議を踏まえたものです。

その上で、今国会提出の法案は公明党の要請による修正で、派遣労働が臨時的な働き方であるとの原則や、派遣労働者を保護する趣旨が鮮明になりました。

なぜ同じ職場に3年まで?
不安定な働き方の固定化防ぐ

Q 改正案では、派遣元に有期雇用されている派遣労働者の場合、派遣先の同じ職場で働ける期間が、全ての業務で上限3年となります。狙いは何ですか。

A 短い契約期間の有期雇用を繰り返す派遣労働者が、不安定な状態のまま同じ職場に同じ仕事で固定されないようにすることです。3年ごとの職場変更は、キャリアアップの機会を確保することにもなります。

Q 現在、「26業務」以外の一般事務などの業務は、派遣労働者の働ける期間が原則1年、最長3年です。改正で何が変わりますか。

A 業務とは会社の「係」に当たるため、現在は係を変えるだけで派遣労働者を同じ職場に固定できてしまいます。一方、職場は「課」に当たります。改正案では、同じ派遣先で働き続ける場合でも、3年で仕事内容が異なる課に移る必要があるため、今よりも経験を積めるようになります。

Q 「26業務」も期間制限の対象になりますが、雇用が不安定になりませんか。

A 期間制限を迎える全ての業務の派遣労働者に対し、派遣元が▽派遣先への直接雇用の依頼▽新たな派遣先の提供―などを講じる「雇用安定措置」が、新たに義務化されます。

解説ワイド 平和安全法制

2015-05-20 ニュース

公明新聞:2015年5月20日(水)付

どのような事態にどう対処するのか

政府が今国会に提出した「平和安全法制」の関連法案は、存立危機事態などさまざまな事態ごとに自衛隊の活動を規定している。国民の命と平和な暮らしを守るため、「自衛隊はどのような事態にどう対処するのか」を解説する。

法制整備の概要

「平和安全法制」の関連法案は、新規立法(新法)の「国際平和支援法案」と、自衛隊法改正案など10の法律の一部改正案を一つにまとめた「平和安全法制整備法案」の2法案からなる。内容別に整理すると、「日本の平和及び安全の確保」「国際社会の平和及び安全の確保」の2分野になる。

【日本の平和及び安全の確保】 グレーゾーンから重要影響事態、存立危機事態、武力攻撃事態まで、自衛隊が事態の深刻度に応じた対処ができるように隙間のない体制を構築した。武力攻撃事態に限られた自衛隊の武力行使を、日本への直接の武力攻撃ではない存立危機事態でも認めるため、他国防衛にならないよう新3要件を定めた。

【国際社会の平和及び安全の確保】 国連決議の下で活動中の外国軍隊に対し、自衛隊が後方支援をすることに関し、特措法で実施したこれまでの方式から、一般法の国際平和支援法案に基づく方式に変える。

PKOでは、日本の20年以上にわたる参加経験を踏まえ、保護を必要とする住民を守るための駆け付け警護を自衛隊に認める。

「平和安全法制」の関連法案

存立危機事態と武力攻撃事態

認められない他国防衛

「自衛の措置」は日本防衛に限定

平和憲法の下で自衛隊に許される武力行使は、日本防衛のための「自衛の措置」に限られる。これが、これまでの政府の憲法9条解釈の根幹となる考え方だ。

今回の「平和安全法制」の関連法案も、この政府解釈に基づいて策定された。そのため「自衛の措置」はどこまでも日本防衛であり、もっぱら他国防衛を目的とするいわゆる集団的自衛権の行使は認められない。

「自衛の措置」は、日本への武力攻撃が発生した場合(武力攻撃事態)に発動できるが、今回、自衛隊法改正などで新設される存立危機事態でも発動を可能にする。

存立危機事態は「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」(自衛隊法改正案)と定義された。

この「明白な危険」について政府は、国民に対して日本が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況と説明している。

このように存立危機事態は「わが国の存立」が脅かされるほどの深刻な事態であり、日本防衛の範囲内である。

ただし、武力攻撃事態と違い、いまだ日本への直接の武力攻撃が発生していない段階であるため、「自衛の措置」として武力行使を発動するための判断は厳格にする必要がある。

そのため公明党は、「自衛の措置」発動の新たな判断基準として新3要件【別掲】を定めるよう主張。その結果、新3要件は法案に過不足なく盛り込まれた。新3要件は「自衛の措置」が日本防衛に限られることを明確にし、他国防衛にならないための厳格な歯止めとなっている。

新3要件

重要影響事態

武力行使は許されず

周辺事態法改正案によって同法の名称は重要影響事態法案に変更される。これまでの周辺事態と重要影響事態との違いは何か。

周辺事態は「そのまま放置すればわが国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等わが国周辺の地域におけるわが国の平和と安全に重要な影響を与える事態」である。重要影響事態はこれから「わが国周辺の地域における」を削除した。

その理由は、近年の国際情勢の変化により、日本の平和に重要な影響を与える事態の発生地域をあらかじめ特定することが困難となったためだ。しかし、周辺事態も重要影響事態も日本の平和と安全に関わる事態であり、考え方の本質は変わらない。

重要影響事態で自衛隊が実施できる活動は、日米安保条約の目的達成に寄与する活動を行う米軍と、国連憲章の目的達成に寄与する活動を行う外国軍隊への後方支援(補給や輸送など)に限られる。武力行使や外国軍隊の武力行使と一体化する活動は許されない。

国際平和共同対処事態

国連決議があれば参加

国会承認は例外なく「事前」

国際平和共同対処事態は、新法の国際平和支援法案の中で新たに定められた。

支援法の目的は、国連決議の下で国際社会の平和と安全のために活動する外国軍隊(多国籍軍など)に対し、自衛隊による後方支援(補給や輸送など)を可能にすることだ。外国軍隊の活動が国際平和共同対処事態に当たれば、自衛隊による支援を認める。

国際平和共同対処事態を認定するためには、(1)国際社会の平和と安全を脅かす事態が発生している(2)その脅威を除去するため国際社会が国連憲章の目的に従って共同して対処している(3)日本が国際社会の一員として主体的・積極的に寄与する必要がある―ことが必要。

自衛隊派遣は公明党の主張で法案に盛り込まれた、自衛隊の海外派遣の3原則【別掲】の下で実施される。派遣の正当性確保のため、外国軍隊の活動を認める国連決議が絶対条件であり、国会の「例外なき事前承認」も必要だ。当然のことだが、憲法9条は海外での武力行使を禁じているため、自衛隊は武力行使や外国軍隊の武力行使と一体化する活動はできない。

国連決議の下で活動する外国軍隊を自衛隊が支援した例として、2001年の9.11米国同時多発テロを契機としたテロ対策支援がある。

当時、こうした活動をする外国軍隊への自衛隊派遣を認める法律がなく、テロ対策特別措置法(特措法)を制定して外国軍艦への洋上給油などを実施した。

事態が発生した後に特措法で対応するこれまでの方式から、今回、一般法(恒久法)の国際平和支援法案によって対応する方式に変更する。

一般法にすることで、自衛隊は日頃から訓練や準備ができるだけでなく、国際平和共同対処事態が発生した場合、国連や各国との調整、現地調査などが可能になり、自衛隊にふさわしい役割、任務を適切に選ぶことが可能になる。

 

海外派遣の3原則
(1)国際法上の正当性の確保
(2)国民の理解と国会関与など民主的統制
(3)自衛隊員の安全確保

その他の体制整備

PKO協力

国連平和維持活動(PKO)協力法を改正し、保護を必要とする住民やNGO職員などを守るための駆け付け警護を認める。そのため、原則として要員の生命防護のために認められた武器使用に加え、任務遂行型の武器使用も可能にする。ただし、正当防衛と緊急避難を除いて、人に危害を加えてはならないため、自衛隊が武装集団の掃討作戦をすることはできない。

また、国連が設置したPKOではなく、国際社会(例えば欧州連合)が実施するPKO類似の活動についても、PKO参加5原則【別掲】の下で参加する。

グレーゾーン

国籍不明の武装集団による離島への不法上陸や、公海上での日本の民間船舶に対する攻撃など、日本に対する武力攻撃とは言えないまでも、警察や海上保安庁では手に余る侵害(グレーゾーン事態)が想定される。

この場合、警察や海保を応援するため、自衛隊の海上警備行動などが迅速に発令できるよう、電話による閣議決定を可能にする。法改正ではなく運用の改善で対応する。

 

PKO参加5原則
(1)紛争当事者間の停戦合意の成立
(2)紛争当事者のPKO派遣への同意
(3)PKOの中立性の確保
(4)(1)~(3)のいずれかが満たされない場合には、部隊を撤収
(5)武器の使用は、要員の生命防護のための必要最小限度のものを基本

平和安全法制Q&A

2015-05-17 ニュース

公明新聞:2015年5月17日(日)付

国民を守るための隙間のない防衛体制を整備すると共に、国際社会の平和と安全のための貢献を進めることを目的とする「平和安全法制」の関連法案が14日、閣議決定されました。日本防衛、国際平和協力の各分野について公明党の主張を紹介します。

Q.なぜ法整備が必要なのか?

A.国民を守る隙間のない体制を構築するため
核兵器や弾道ミサイルなど大量破壊兵器の脅威があり、しかもそれが拡散しています。また、軍事技術も著しく高主な法整備とその概要度化しています。わが国の近隣でも弾道ミサイルの発射実験を繰り返し、核開発疑惑を否定できない国があります。国際テロやサイバーテロの脅威も深刻です。

こうした中で、国と国民を守ることは政治の最も大事な仕事であり、どのような状況であっても対応できる隙間のない安全保障体制を構築し、紛争を未然に防止する「抑止力」を強化する必要があります。

一方で、国際社会の平和と安全に対する貢献も重要です。日本の平和と繁栄も国際の平和と安全の上に成り立っています。あくまで海外での武力行使を禁じた憲法9条の下で、どのような貢献ができるかを示すことも大切です。

Q.日本の防衛のあり方は?

A.憲法9条の下、「専守防衛」の理念を堅持
日本は憲法9条の下、武力行使は日本防衛のために限るとする「専守防衛」を堅持してきました。今回の「平和安全法制」の関連法案においても、この「専守防衛」の理念はいささかも変わっていません。

これまでの政府の憲法9条解釈の根幹となっている考え方は、1972年(昭和47年)の政府見解です。すなわち「自衛の措置は、あくまで外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫、不正の事態に対処し、国民のこれらの権利を守るためのやむを得ない措置としてはじめて容認されるものであり、そのための必要最小限度の『武力行使』は許される」と示しています。

安倍晋三首相は14日の会見で、「自衛隊が、かつての湾岸戦争、イラク戦争のような戦闘に参加することは今後とも決してない」と述べ、専守防衛が揺るぎないことを示しました。

Q.「自衛の措置」の限界は?

A.他国防衛を目的とする集団的自衛権の行使は認めず
昨年7月の閣議決定では、公明党が政府のこれまでの憲法9条解釈の根幹を守るよう強く主張した結果、「自衛の措置」発動は自国防衛のためであることを明らかにした新3要件【=下記参照】が定められました。

新3要件
①わが国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合
②これを排除し、わが国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないとき
③必要最小限度の実力を行使

新3要件は、日本への武力攻撃が発生した場合に加え、(1)日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合に、これにより日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある場合(2)国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときに(3)必要最小限度の実力を行使することが認められるとの厳格な要件を課すことで、他国防衛にならないための厳しい歯止めを掛けました。

横畠裕介内閣法制局長官も国会答弁で、閣議決定が「(他国防衛の権利として)観念される、いわゆる集団的自衛権の行使を認めるものではない」と明言しています。

公明党の主張により、厳格な新3要件は法文にすべて明記されました。

Q.国際貢献のあり方は?

A.国連決議など国際法上の正当性と国会承認の下で参加
今回、国連決議に基づき国際社会の平和と安全のために活動する外国軍隊への後方支援を実施するため、新たに一般法(恒久法)として「国際平和支援法」を整備します。

これまでこうした外国軍隊への協力は、2001年のテロ対策や03年のイラク復興支援など、その都度、特別措置法(特措法)をつくり自衛隊を派遣してきました。

一般法の制定により、国連などから派遣要請を受けた場合、速やかに自衛隊の能力にふさわしい役割や地域を調整し、隊員の安全を確保しつつ得意分野での貢献が可能となります。

公明党は「平和安全法制」の整備に当たり、「自衛隊の海外派遣の3原則」【3原則=下記参照】を強く主張し、これを踏まえ各法制に明記するよう求めてきました。特に、国際平和支援法では、外国軍隊への後方支援は慎重を期す必要があるため、国会の関与の重要性を一貫して主張。その結果、「例外なき国会の事前承認」が義務付けられました。「国際法上の正当性」に関しては、これまでの特措法と同様、国連決議または関連する国連決議があることを絶対条件にしました。

3原則
①国際法上の正当性の確保
②国民の理解と国会関与など民主的統制
③自衛隊員の安全確保

一方で国連平和維持活動(PKO)協力法も改正し、国連PKOでなくても、一定の国際機関の要請等によるPKO類似の活動についても、停戦合意や紛争当事者の派遣同意など従来のPKO参加5原則と全く同様の厳格な基準のもとで参加を可能にします。

平和安全法制と公明党

2015-05-16 ニュース

公明新聞:2015年5月16日(土)付

北側一雄副代表

9条の下で国民守る
与党協議会座長代理 北側一雄副代表に聞く

5月15日、「平和安全法制」の関連法案が国会に提出されました。法制整備の意義と公明党の主張について公明党の北側一雄副代表に聞きました。

なぜ今、安保法制の整備を進める必要があるのですか?

安全保障環境が厳しさを増す中、国民を守る隙間のない体制を構築するとともに、国際社会の平和にも貢献するため。
―日本に対し、どのような脅威がありますか。

北側一雄副代表 核兵器や弾道ミサイルなど大量破壊兵器の脅威があり、しかもそれが拡散しています。また、軍事技術も著しく高度化しています。わが国の近隣でも弾道ミサイルの発射実験を繰り返し、核開発疑惑を否定できない国があります。国際テロやサイバーテロの脅威も深刻です。

こうした中で、国と国民を守ることは政治の最も大事な仕事であり、どのような状況であっても対応できる隙間のない安全保障体制を構築するとともに、抑止力を強化する必要があります。一方で、国際社会の平和と安全に対する貢献も重要です。与党はこれらの視点から安全保障法制整備の議論を重ねてきました【図参照】。

政府が整備する主な法制の全体像

―与党の議論は拙速との声もありますが。

北側 安保法制の与党協議は昨年5月に始まり、丸1年をかけ25回を数えます。資料もその都度、公表してきました。公明党の党内論議もそれ以上行っており、決して拙速だとは思いません。

国会に法案が提出されましたので、今後、衆参両院で活発な論議がなされ、国民の皆さまの理解を得られるように努めてまいります。

政府は他国防衛のための集団的自衛権を認めたのですか?
「専守防衛」を堅持します。憲法第9条が禁じる他国防衛を目的とした集団的自衛権は、新3要件によって行使できません。
北側 憲法第9条の下では、これまで通り、もっぱら他国防衛のための集団的自衛権の行使は一切認められません。

政府の憲法第9条解釈は、長年にわたる国会との議論の中で形成されてきました。その中で一番の根幹になっているのが1972年(昭和47年)の政府見解です。すなわち「自衛の措置は、あくまで外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫、不正の事態に対処し、国民のこれらの権利を守るためのやむを得ない措置としてはじめて容認されるものであり、そのための必要最小限度の『武力行使』は許される」という考え方です。

この考え方に立ち、日本を取り巻く安保環境が厳しさを増す中で、国民を守るためには「自衛の措置がどこまで認められるのか」「その限界はどこにあるのか」を突き詰めて議論した結果が、昨年7月の閣議決定だったわけです。この閣議決定では、憲法第9条の下で許される「自衛の措置」発動の新3要件【表参照】が定められ、法案に全て明記されました。

憲法第9条の下で許容される自衛の措置 新3要件

―新3要件の意義は。

北側 「自衛の措置」の限界を明確にしたことです。新3要件では、日本への武力攻撃が発生した場合だけでなく、日本と密接な関係にある他国に対する攻撃が発生した場合でも、これにより日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される「明白な危険」がある場合に限って「自衛の措置」をとることができる、と見直しました。「明白な危険」とは、国民に、日本が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況をいいます。

しかも、自衛権の発動に当たっては、国の存立を全うし国民を守るために、他に適当な手段のない場合にのみ許されます。あくまで「専守防衛」「自国防衛」に限って許されるという厳しい条件が付いているのです。

従って海外での武力行使を禁じた憲法第9条の解釈の根幹は変えていませんし、国連憲章第51条にあるような、もっぱら他国防衛を目的とした集団的自衛権の行使は認めていません。

なぜ、外国軍隊の後方支援をする必要があるのですか?
一つは日本の防衛のため。もう一つは国際の平和と安全に貢献するため。ともに武力行使はしません。
―後方支援とは、どのような活動をいいますか。

北側 外国軍隊に対し、その武力攻撃と一体化しない範囲で輸送や補給などの支援をすることです。(1)日本の平和と安全に重要な影響を与える事態に日本の平和と安全を守るため(2)国際社会の平和と安全を脅かす事態に国際社会の平和と安全に貢献するため―に実施します。

(1)については周辺事態法がありますが、名称を「重要影響事態法」に変更して対応します。(2)は、これまで特別措置法(特措法)で対応してきました。9.11米国同時多発テロを契機としたテロ特措法などの例があります。今回新たに一般法(恒久法)として「国際平和支援法」を制定します。

二つの活動の目的は大きく異なるため、公明党は別々の法律として立て分けるべきと主張しました。

―日本の防衛のための後方支援であっても、まだ有事ではないので、「武力の行使」や「他国の武力行使と一体化」する活動は許されないのでは。

北側 その通りです。憲法第9条の下では、武力行使は認められません。特に「一体化」を防ぐために、外国が「現に戦闘行為を行っている現場」でない場所で行う支援活動に限って認めました。また「一体化」を避けるため、戦闘行為が行われることが予測される場合などの活動休止や中断の仕組みも設けました。

―国際社会の平和と安全のために実施する後方支援の法制を、なぜ一般法に変えるのですか。

北側 一般法にすることで、自衛隊が日頃から訓練や準備をし、さらに、国際社会の平和と安全の脅威になるような事態が起こった時、国連や各国との調整、現地調査なども迅速にできるため、自衛隊にふさわしい役割、任務を適切に選ぶことが可能になります。

―一般法では自衛隊の海外派遣が政府の自由になり無制限な派遣になりませんか?

北側 公明党は、自衛隊の「海外派遣の3原則」【別掲】を提起し、歯止めをかけました。

特に一般法は「国際法上の正当性」に関し、国連決議または関連する国連決議があることを絶対条件にしました。過去の特措法は国連決議を根拠に制定されており、こうした点を重視した公明党の考えが反映されました。

「国民の理解と国会関与など民主的統制」についても公明党の強い主張を踏まえ、自衛隊の海外派遣には国会の「例外なき事前承認」を義務付け、さらに派遣が2年を超える場合にも国会の再承認を必要としました。

さらに「隊員の安全確保」のため、国会承認の前提となる基本計画の段階で安全性が確保されているかなどもチェックできるようにしました。

海外派遣の3原則
(1)国際法上の正当性の確保
(2)国民の理解と国会関与など民主的統制
(3)自衛隊員の安全確保

PKO法の改正で自衛隊が治安維持までやるのですか?
本来、現地国の警察が担う治安維持をPKOとして活動する自衛隊が担うことはあり得ません。
―自衛隊に治安維持をさせ、武器使用の範囲も広げるのですか?

北側 治安維持活動一般は、現地の警察がやるべき任務であり、それを自衛隊が肩代わりすることはありません。

今回の国連平和維持活動(PKO)法改正で自衛隊が実施する安全確保業務は、防護を必要とする住民を守り、特定の区域を巡回するなどの内容です。これは多くのPKO参加国がこれまでもやってきたことです。

安全確保業務を行う以上、自衛隊員に自己を守るだけでなく任務遂行型の武器使用も認めますが、正当防衛と緊急避難以外は人に危害を加えてはいけないとの原則は変えません。

―国連が統括しないPKO類似の活動もPKO参加5原則【別掲】で実施するのですか?

北側 国連安全保障理事会の決議で設置されたPKOではなく、国際社会が実施するPKOに類似した平和安全活動についても、国連決議や一定の国際機関の要請、国連の主要機関の支持といった国際法上の正当性が確保される場合には、日本も参加できるようにしました。ただし、PKO参加5原則と全く同様の厳格な条件の下でしか参加はできません。

PKO参加5原則
(1)紛争当事者間の停戦合意の成立
(2)紛争当事者のPKO派遣への同意
(3)PKOの中立性の確保
(4)(1)~(3)のいずれかが満たされない場合には、部隊を撤収
(5)武器の使用は、要員の生命防護のための必要最小限度のものを基本

批判に答えるQ&A
問い 「戦争立法」との批判があるが?
答え 武力行使は日本防衛に限定し、専守防衛を堅持
日本を海外で戦争できる国にする「戦争立法だ」という批判は、全く根拠のない言い掛かりです。

昨年7月1日の閣議決定では、海外での武力の行使を禁じた憲法第9条の解釈は変えていませんし、平和憲法の要である専守防衛の理念も堅持されています。

閣議決定は、日本を守るための「自衛の措置」の限界を明らかにするため、新3要件を定めました。

自衛隊が武力行使を許されるのは、どこまでも日本が武力攻撃を受けたと同様な深刻、重大な被害が及ぶ場合に限られます。

他国を守ることそれ自体を目的とした集団的自衛権の行使は、今後も認められません。

1992年成立の国連平和維持活動(PKO)法の時も「戦争に巻き込まれる」など、実態に基づかない一方的な批判が起こりましたが、こうした“批判のための批判”は長続きせず、現在、PKOは国民の大半の支持を受けています。

問い 世界のどこでも米軍を支援できるのか?
答え 「国際法上の正当性」と「国会承認」が歯止め
「世界のどこへでも自衛隊を派遣し、米軍を支援する」などの批判は、支援の目的、趣旨や、厳格に定められた要件、手続きなどを全く無視した極めて短絡的な主張と言わざるを得ません。米軍等に対する支援は、重要影響事態法によるものと、一般法として制定する国際平和支援法によるものの2種類があります。

重要影響事態法は、日本の防衛のため活動をしている米軍等への支援であり、あくまで日本の平和と安全のためです。一方、国際平和支援法は、国際の平和と安全のために活動をしている外国軍隊への支援です。米国のための支援ではなく、国連決議によって国際法上の正当性が確保されたものに限られます。日本が主体的に行う国際貢献としての支援です。

しかも、両方とも自衛隊が実施するのは後方支援に限られ、武力行使は許されません。また自衛隊の派遣には国会の承認が不可欠です。米軍のためにどこまでも一緒に行くなどという批判は全く当たりません。

青少年雇用促進法案 今国会での成立めざす

2015-05-12 ニュース

公明新聞:2015年5月12日(火)付

青少年雇用促進法案 今国会での成立めざす

“ブラック企業”対策
就活学生へ情報提供
党青年委の提言、数多く反映

一平 1日に発表された労働力調査では、今年3月現在の若い世代の完全失業率は15~24歳で5.1%、25~34歳で4.4%。改善されてはいるけれど、全体の失業率3.4%に比べるとまだまだ高い水準だ。

京子 若者の雇用を取り巻く情勢は厳しいのね。公明党青年委員会(石川博崇委員長=参院議員)が実現を訴えていた若者雇用促進法(仮称)は今、どうなっているのかしら。

支局長 3月17日に青少年雇用促進法案(形式的には1965年に制定された勤労青少年福祉法のタイトルと内容を大幅に変えることなどを内容とする改正案)として参議院に提出され、4月17日に与野党の賛成多数により可決して衆議院に送られました。これから衆議院でも審議が始まる見込みです。

京子 どんな内容なの?

一平 最大のポイントは、就活する学生に対し、求人企業にきちんと情報提供させる仕組みづくりだ。ハローワークを通じての求人の場合、離職者数や残業時間の実態、職業能力開発のための研修などをちゃんとやっているかどうかについて、幅広く就活学生やハローワークに対し情報提供を行うことが努力義務として求められている。また就活学生などが求めれば、必ず情報提供をしなければならない。

京子 いわゆる“ブラック企業”対策も強調されていたわ。

一平 現行法上、求人内容が違法である場合を除き、全ての求人申し込みをハローワークは受理しなければならないとされているんだ。でも法案では、労働関連の法令違反が繰り返し認められるなどの“ブラック企業”からの求人票は受理しないことが可能だ。

支局長 そのほかにも、ジョブカードの活用などを通じ非正規労働者のキャリアアップへの支援を行うとともに、労働者の待遇改善などに力を入れている中小企業への優良認定も行うとしています。「わかものハローワーク」のキャリアコンサルティング機能を強化するとともに、ニートやひきこもりの人への相談をはじめとする就職支援なども充実。学校教育の段階からの法令の知識と具体的な利用など労働教育にも取り組むとしています。

京子 なるほど、そうしたさまざまな対策を通じて、働く若い人をしっかり支援するんですね。

一平 党青年委員会は、若者の雇用問題を最重要課題とし、若者の雇用を取り巻く状況や課題について、全国で若者の声に耳を傾けたんだ。その声を基に昨年の5月7日、「若者が生き生きと働ける社会の実現に向けて」と題した提言を党雇用・労働問題対策本部(桝屋敬悟本部長=衆院議員)と共同で当時の田村憲久厚生労働相に申し入れた。法案の内容には、その提言が数多く盛り込まれている。

昨年3月に石川委員長が国会質問で若者雇用の対策法実現を訴え、昨年8月の青年政策アクションプランの大きな柱にもなった。

京子 法案成立が待ち遠しいわ。

支局長 昨年の衆院選を経て、党青年委員会所属の国会議員は公明党の全国会議員55人中15人(約27%)になっています。統一地方選でも、新人を含めた多くの若手公明党議員が議会の場に送り出されました。

一平 公明党はまさに、若者の心を一番よく分かり、若者のために一番働く党なんですね。

京子 これからも私たち若者と一緒に、一番苦しんでいる人、一番困っている人のために、闘い続けてほしいわ。

学び直し支援さらに

2015-05-10 ニュース

公明新聞:2015年5月10日(日)付

学習支援の様子を視察する西田氏ら=8日 埼玉・川口市

学習支援の様子を視察する西田氏(左から2人目)ら=8日 埼玉・川口市

自主夜間中学を視察
埼玉・川口市で西田氏

公明党の西田実仁参院幹事長は8日、埼玉県川口市でボランティアが開く「川口自主夜間中学」を視察し、金子和夫代表らと意見交換した。萩原一寿県議、江袋正敬、芦田芳枝の両川口市議が同行した。

金子代表らは市内の公民館などで週2回、不登校で中学校へ通えなかった人の学び直しや、外国人の日本語学習などを支援している。現在は60人ほどが通い、外国人が多いという。

学費は無料で、元教師らが学習をサポート。教材は利用者が学びたいドリルなどを持ち込んでいる。利用者からは「埼玉県にも公立夜間中学の設置を」との要望が寄せられた。

西田氏は、2015年度予算に各県1校の公立夜間中学設置をめざし、調査研究費が盛り込まれたことを紹介。「埼玉県にも設置に向けた機運が高まっている。超党派で学び直しの機会をつくりたい」と強調した。

注目集める技術融合

2015-05-09 ニュース

公明新聞:2015年5月9日(土)付

複合材料の加工や組み立てを行う設備を視察する矢倉、伊藤、伊佐の各氏ら=8日 石川・白山市

複合材料の加工や組み立てを行う設備を視察する(前列左から)矢倉、伊藤、伊佐の各氏ら=8日 石川・白山市

党科学技術委
金沢工大を視察

公明党科学技術委員会の伊藤渉委員長(衆院議員)と伊佐進一衆院議員、矢倉克夫参院議員は8日、石川県野々市市の金沢工業大学、白山市の同大学革新複合材料研究開発センター(ICC)などを視察した。これには、金沢、能美両市の市議が同行した。

同センターは炭素繊維複合材を用いた大型部材の製造技術と製造装置の開発などを行う施設として注目されている。特に産官学の連携により異分野・異業種の技術融合を図り、研究や製品開発に取り組んでいる。

一行は、複合材料の加工や組み立てを行う設備などを見て回った。

視察を終え、伊藤委員長は「日本の高度な技術の融合を促進し、イノベーション(技術革新)につなげていきたい」と語った。

憲法記念日アピール

2015-05-03 ニュース

公明新聞:2015年5月3日(日)付

憲法3原則堅持し、「核のない世界」「人間の復興」めざす
公明党

風薫る5月3日、わが国の平和と繁栄を支えてきた日本国憲法が施行から68年を迎えました。現憲法の骨格をなす恒久平和主義、基本的人権の尊重、国民主権主義の3原則は、人類の英知というべき普遍の原理です。公明党は、この平和・人権・民主の憲法精神を日本社会と国民生活の隅々まで広く深く定着させ開花させるため渾身の努力を重ねてまいります。

特に今年は、「戦後70年」「広島・長崎に原爆が投下されて70年」という大きな節目の年です。恒久平和を実現するために国際社会が「核のない世界」の実現に向けて懸命な取り組みを続けている中で、公明党は、唯一の被爆国としての日本の使命を果たすべく、先頭に立って核廃絶への闘いを推進してまいります。また、発災から4年余が経過した東日本大震災について、公明党は、憲法13条の幸福追求権や25条の生存権の理念に基づき「人間の復興」をめざして全力を尽くしていくことをお誓いいたします。

憲法を取り巻く状況は、国会で与野党8党の幅広い合意で昨年6月、改正国民投票法が成立・施行され、これにより憲法改正手続きとしての国民投票を実施する法的環境が整いました。さらに、今国会に提出されている「18歳選挙権法案」が成立すると、国民投票権年齢も同時に引き下げられます。国会で3分の2の賛成があれば憲法改正の発議ができる環境が整ったわけですが、もとより、憲法は「国のかたち」を規定する最高規範です。従って今最も大事なことは、憲法の何を守り、何を改正すべきなのか、国会の衆参憲法審査会で各党会派が真摯な論議を深めていくことであります。

憲法改正について公明党は、現憲法は優れた憲法であり、平和・人権・民主の憲法3原則を堅持しつつ、時代の進展に伴い提起されている新たな理念を加えて補強する「加憲」が国民の理解を得られる最も現実的で妥当なものであると考え、何を「加憲」の対象とすべきか、具体的な検討を進めています。

「改正ありき」や「改正の期限ありき」ではなく、国民的議論の高まりの中で各党が丁寧に議論を尽くし慎重に合意形成を図っていく。このことが重要であり、公明党は、あるべき国の将来像を探る視点に立って国民の皆さまとともに成熟した憲法論議を進めてまいります。

2015年5月3日
公明党

国会承認は例外なく「事前」

2015-04-22 ニュース

公明新聞:2015年4月22日(水)付

「例外なき国会の事前承認」を明記する案が示された与党安保協=21日 衆院第2議員会館

「例外なき国会の事前承認」を明記する案が示された与党安保協=21日 衆院第2議員会館

「国際平和支援法」(仮称)で合意へ

自民、公明両党は21日午前、衆院第2議員会館で「安全保障法制整備に関する与党協議会」(座長・高村正彦自民党副総裁)を開催した。公明党から北側一雄副代表(座長代理)らが出席した。

協議会では、新法として制定予定の一般法「国際平和支援法」(仮称)に関し、自衛隊を海外に派遣する際の国会承認のあり方について、例外なく事前承認とする案が高村座長と北側座長代理から提示された。

国際平和支援法は、国際の平和と安全のために活動中の外国の軍隊に対して自衛隊が行う後方支援を定めている。座長・座長代理案では、自衛隊を派遣する際の国会承認について、公明党の主張通り、国会の「事前承認には例外を設けないこと」が明記された。

国会の事前承認をめぐっては、例外的に事後承認を認めるべきとする政府と、例外ない事前承認を主張する公明党で意見が分かれていたが、派遣の緊急性について政府が十分な説明をすることができなかったため、民主的統制を重視する公明党の見解が採用された。

また、首相から承認要請を受けた際は速やかに議決をするよう、国連平和維持活動(PKO)協力法の規定を参考に、衆参両院それぞれが「7日以内に議決するよう努めなければならない」との努力義務を置くことも示された。

一方、自衛隊の派遣が2年を超えて継続する場合は、現行のPKO協力法と同様、(1)原則2年ごとに国会承認を求める(2)国会閉会中または衆院解散時は例外として事後承認を認める―とした。

自民、公明両党は同案を党内に持ち帰り、24日に行われる与党協議会での合意をめざす。

協議会では、日米両政府が見直し作業を進める防衛協力の指針(ガイドライン)の検討状況についても政府から説明を受けた。

与党協議会を受けて公明党は21日午後、衆院第2議員会館で「安全保障法制に関する検討委員会」(北側一雄委員長)を開催し、座長・座長代理案について了承した。

後方支援目的の自衛隊派遣 公明が厳格な歯止め

「例外なき国会事前承認」で国民の理解と民主的統制を確保

21日の安全保障法制整備に関する与党協議会で、高村正彦座長(自民党副総裁)と北側一雄座長代理(公明党副代表)は、新たに定める「国際平和支援法」(仮称)に基づく外国軍隊の後方支援を目的とした自衛隊の海外派遣に関し、国会の事前承認を例外なく義務付ける方針を示しました。

公明党は、自衛隊の海外派遣について、(1)国際法上の正当性(2)国民の理解と民主的統制(3)隊員の安全確保―の厳格な3原則を守るよう一貫して主張。特に「国際平和支援法」については、より厳格な民主的な統制を求めてきました。それが国会の事前承認です。

同法は、2001年に成立したテロ対策特措法に基づく活動のように、国際の平和と安全のために活動している外国軍隊に対し、自衛隊による後方支援を可能にする内容です。外国軍への後方支援は国連平和維持活動(PKO)や災害派遣とは大きく違った活動であるため、慎重さが求められます。

特措法は国会の審議を経るため慎重な議論が行われ、それ自体が「国会の事前承認」に当たります。一方、「国際平和支援法」では自衛隊の海外派遣は政府が決め、その可否を国会に諮ります。派遣をした後に事後で国会承認を求めるのではなく、事前に例外なく国会の承認を得るべきというのが公明の主張です。

自衛隊の後方支援の必要性や活動の内容を記した基本計画を国会に提出させ、派遣の是非を議論することで、国際法上の正当性や隊員の安全確保が明確にされ、国民の理解も広がります。何よりも政府の恣意的な派遣に対する厳しい歯止めになります。

北側副代表は21日の記者会見で、国会での事前承認によって「民主的統制は十分取れる」と強調しています。「戦争立法」などとの一部批判は全くの的外れです。

15年度予算案 参院で委嘱審査

2015-04-08 ニュース

公明新聞:2015年4月8日(水)付

参院は6、7の両日、各常任・特別委員会で2015年度予算案に関する委嘱審査を行い、公明党議員が論戦を展開した。

沖縄鉄道検討すべき
河野氏

6日の参院沖縄・北方特別委員会で河野義博氏は、沖縄県への鉄道導入について、地元から強い要望の声があるとした上で、国と県が連携を強化して導入に向けた検討を進める必要があると強調した。このほか、経済や金融の活性化を図る特区制度の周知徹底も求めた。

廃棄物保管支援せよ
新妻氏

6日の参院東日本大震災復興特別委員会で新妻秀規氏は、東京電力福島第1原発事故で発生した放射性物質を含む指定廃棄物の一時保管が追い付いていないことから、事業主体に技術的な助言を行うなどの支援が必要だと強調。環境省側は負担軽減に努めると述べた。

効果的なODAに
杉氏

6日の参院政府開発援助(ODA)特別委員会で杉久武氏は、途上国に対する環境分野での支援について、「厳しい財政状況の中、一貫性を確保した戦略的、効果的、効率的な支援を行うべきだ」と訴えた。岸田文雄外相は、杉氏の指摘に同意した。

難民認定制を改善
矢倉氏

7日の参院法務委員会で矢倉克夫氏は、難民認定申請の乱用抑制によって真に保護されるべき人が保護されない事態は避けるべきだと指摘し、制度の改善を求めた。上川陽子法相は「庇護すべき人を庇護するための対策を(制度)見直しも含めて検討したい」と述べた。

テロ対策訓練必要
横山氏

7日の参院総務委員会で横山信一氏は、大規模建築物に自衛消防組織の設置や防災管理者の選任を義務付けた制度の見直しに当たり、核や生物、化学物質によるテロなどの特殊災害に備えるための「防災訓練が必要」と訴えた。髙尾和彦消防庁次長は「実践的な訓練を実施したい」と答えた。

地方に創生支援策
若松氏

7日の参院内閣委員会で若松謙維氏は、地方創生の支援策で政府の見解をただした。石破茂地方創生担当相は、公明党が推進する「地域しごと支援センター」の整備などに言及し、「地域の人を生かすことに力点を置き、公明党の主張も踏まえ取り組む」と述べた。

保険規制の影響注視
西田氏

7日の参院財政金融委員会で西田実仁氏は、保険代理店による雇用関係のない人への販売の再委託が禁止された規制に触れ、地域に根差す代理店の負担増で「地域経済に与える影響を把握し、フォローを」と強調。麻生太郎金融担当相は、代理店へのモニタリングを続けると答えた。

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