ブラック企業見逃すな

2015-07-08 ニュース

公明新聞:2015年7月8日(水)付

東京労働局と意見交換する公明議員ら=7日 東京・千代田区

東京労働局(手前側)と意見交換する公明議員ら=7日 東京・千代田区

監督指導強化へ特別班
公明 東京労働局と意見交換

違法な長時間労働などで若者を使い捨てる“ブラック企業”への監督指導強化に向け、厚生労働省は今年度、積極的な対策に乗り出している。対策の現状と今後の展望を探るため、公明党の厚労部会(部会長=古屋範子副代表)と学生局(局長=中野洋昌衆院議員)は7日、東京都千代田区内の東京労働局を訪れ、西岸正人局長らと意見を交換した。

悪質な会社の公表も 雇用管理、自主改善促す
厚労省は今年4月、東京、大阪の両労働局に、過重労働の悪質事案に対応する「過重労働撲滅特別対策班」(通称「かとく」)を新たに設置した。今月2日には東京の「かとく」が、靴小売店「ABCマート」で違法な長時間労働が昨年あったとして、運営会社や同社の役員らを東京地検に書類送検。「かとく」による初の書類送検となった。

「かとく」は東京7人、大阪6人の計13人の労働基準監督官で構成。労働基準関係法令違反または違反の疑いがある事案のうち、(1)事実関係の確認調査が広範囲(2)司法事件で捜査対象が多岐にわたる(3)被疑事実の立証などに高度な捜査技術が必要―などのケースに対処する。

15年度から実施の主なブラック企業対策

厚労省は5月から、違法な長時間労働を繰り返す企業に対し、書類送検に至る前の是正勧告の段階で企業名を公表する取り組みも始めた。対象は複数の都道府県に事業所がある大企業(中小企業を除く)。過重労働が労働者の相当数に認められ、それが複数の事業所に及んでいれば、都道府県労働局長が経営トップを呼び出して指導し、その事実を公表するとしている。このほか、東京労働局では大学などでの労働法令に関する講義にも力を入れる方針を掲げている。

この日の意見交換では、古屋副代表が、公明党の提案でブラック企業対策などが盛り込まれた青少年雇用促進法案の「早期成立を期す」とあいさつ。また、西岸局長が同法案で創設される、若者の雇用管理状況が優良な中小企業の認定制度に触れ「認定制度は(若者応援宣言企業などの)今までの仕組みに加えて、さらに強いものができると期待している」と述べた。

一方、議員側は、同労働局の管轄が約52万事業所に上ることから、監督指導体制について質問。労働局側は、監督指導の強化や、企業、業界の自主的な改善に向けた法令の周知・啓発の重要性を訴えた。視察後、中野学生局長は「現場の声を学生局の提言に反映させたい」と語った。

ヘイトスピーチ 実態調査を早急に

2015-07-03 ニュース

公明新聞:2015年7月3日(金)付

菅官房長官(右から3人目)に要望書を手渡す党ヘイトスピーチ問題対策PT=2日 首相官邸

菅官房長官に要望書を手渡す党ヘイトスピーチ問題対策PT=2日 首相官邸

党プロジェクトチーム
官房長官と法相へ要望

公明党ヘイトスピーチ問題対策プロジェクトチーム(PT、遠山清彦座長=衆院議員)は2日、首相官邸で菅義偉官房長官に対し、在日韓国人などを差別するヘイトスピーチ(憎悪表現)問題の対策に関する要望書を手渡した。

席上、遠山座長は、昨年9月の党PT設置以来、ヘイトデモが行われた現場の視察や、被害者からのヒアリング、有識者らとの意見交換などを行い、対策の検討を重ねてきたと強調。「政府がヘイトスピーチを含む人種差別を許さないという断固たる姿勢を示すとともに、人権教育の強化や啓発活動を」と求めた。

その上で、「人種差別の撤廃に向けて実効性ある対策を行うためには各地の人種差別の実態調査を早急に行うべき」と主張。実態調査に当たっては、当事者に配慮した聞き取りや、政治的中立性の担保などが重要と指摘した。菅官房長官は早急な実態調査の実施に前向きな姿勢を示すとともに、遠山氏らと調査方法をめぐって意見交換した。

さらに遠山氏は、実態調査の結果を踏まえつつ、基本法などの整備を含む政策の策定も要望。ただし、表現の自由には留意が必要なため、ヘイトスピーチに対する新たな刑事規制には「慎重な検討を要する」と述べた。

この後、同PTは法務省を訪れ、上川陽子法相にも要望を行った。

地域が子どもを支える

2015-07-01 ニュース

公明新聞:2015年7月1日(水)付

図書室での地域住民による読み聞かせ活動について福田校長から説明を聞く浮島部会長ら=30日 東京・杉並区

図書室での地域住民による読み聞かせ活動について福田校長から説明を聞く浮島部会長ら=30日 東京・杉並区

東京・杉並区で党文科部会
学校運営協議会(コミュニティ・スクール)を調査

公明党文部科学部会(浮島智子部会長=衆院議員)は30日、東京都杉並区立天沼小学校(福田晴一校長)を訪れ、地域住民が学校運営に参加する「学校運営協議会」(コミュニティ・スクール=CS)の先進事例を調査した。

浮島部会長のほか佐藤英道、中野洋昌、吉田宣弘の各衆院議員、竹谷とし子、矢倉克夫の両参院議員、地元都議・区議が参加した。

CSは、学校の教職員と児童・生徒の保護者や地域住民などで構成され、教育の基本方針や教職員人事など学校運営に意見を反映させる権限がある。学校が抱える課題などに地域で対応することが期待されており、今年4月現在の設置数は全国2389校で、文科省は来年度、3000校に設置する目標を掲げている。

同小学校のCSは、2010年に発足。学校活動への理解を促す学校評価アンケートの実施などで保護者や地域住民と緊密に連携を取り、運営を円滑に進めている。また、地域住民からなる学校支援本部が、読書活動など教育活動に協力している点も特徴だ。

意見交換で福田校長は、「CSは学校の大応援団だ。CSや学校支援本部が学校のあり方を変えてくれている」と語った。議員らは、図書室での読書活動の状況やICT(情報通信技術)を活用した授業の様子などを視察。浮島部会長は、公明党が国や地方でCSの普及を後押ししてきたことを踏まえ、「地域と学校の連携をさらに進めていく」と述べた。

復興加速へ新たな決意

2015-06-30 ニュース

公明新聞:2015年6月30日(火)付

復興へ工事が進む町の現状を視察する樋口局長(左から2人目)ら=29日 宮城・女川町

復興へ工事が進む町の現状を視察する樋口局長(左から2人目)ら=29日 宮城・女川町

党青年委 宮城・石巻市、女川町を訪問

公明党青年委員会の樋口尚也青年局長(衆院議員)は29日、宮城県石巻市と女川町を視察した。同副委員長の真山祐一衆院議員、新妻秀規、矢倉克夫、佐々木さやかの各参院議員が同行した。

一行は、旧女川町立病院から、かさ上げ工事の現場を視察。さらに、津波到達点に立つ、同町立女川中学校の生徒たちが発案した「いのちの石碑」を訪れた。

樋口青年局長は「震災から間もなく4年4カ月を迎える。住民の声に真摯に耳を傾けながら、さらなる復興加速への決意を新たにした」と語った。

この後、仙台市の東北電力新仙台火力発電所(大野貞彦所長)3号系列の建設現場で地震・津波対策について説明を受けた。

多様な働き方を推進

2015-06-21 ニュース

公明新聞:2015年6月21日(日)付

サテライトオフィスを視察する党青年委=19日 東京・港区

サテライトオフィスを視察する党青年委=19日 東京・港区

仕事と生活の調和へ
党青年委が企業視察

公明党青年委員会の青年政策ワーキングチーム(WT、新妻秀規座長=参院議員)は19日、東京都港区にある日本IBM株式会社の品川サテライトオフィスを訪れ、同社のワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)に配慮した働き方の模様を視察した。

同社は2004年からパソコンなどのICT(情報通信技術)機器を活用し、時間や場所に縛られない働き方「モバイル・ワーク」を推進。モバイル・ワークの社員には固定席がなく、自宅や各地にある24時間開放のサテライトオフィスで仕事を行うことができる。

視察中、社員からは「(時差のある)海外と深夜の電話会議でも使える」「仕事の状況でオフィスの場所を毎日変えられる」などの声が寄せられた。

同社は、男女の育児休職取得の推進や事業所内保育所の設置など子育て世代の働き方改革も進めた結果、1998年から2014年の間で、特に女性社員の比率が8%上昇し、管理職に占める女性の割合は約8倍に。14年の女性社員の出産数は178人(5年前の1.8倍)となった。

視察後、新妻座長は、青年委員会が「青年政策アクションプラン」の改訂版を近く政府に提出することを踏まえ、「長時間労働の是正などワーク・ライフ・バランスの実現に取り組んでいく」と述べた。

18歳選挙権 世界のすう勢

2015-06-20 ニュース

公明新聞:2015年6月20日(土)付

18歳選挙権の意義を訴える山口代表ら=19日 東京・新宿区

18歳選挙権の意義を訴える山口代表(中央)ら=19日 東京・新宿区

山口代表 党青年委の街頭演説で訴え

公明党の山口那津男代表は19日、東京・新宿駅西口で党青年委員会(石川博崇委員長=参院議員)が行った「18歳選挙権」の実現を記念する街頭演説会に参加し、「日本の未来について長期的な視点で考えられる10代への選挙権拡大は極めて重要」と訴えた。

公明党の樋口尚也青年局長(衆院議員)と、青年副委員長の真山祐一衆院議員、矢倉克夫、佐々木さやか両参院議員も参加した。

山口代表は、「公明党は45年以上前から一貫して18歳選挙権を推進してきた」とし、「世界のすう勢を見ても、18歳と19歳に国や地域を担う社会人としての責任と権利を認めてしかるべきだ」と強調した。一方、18歳の誕生日を迎えた後に就職や進学などで住民票を移した場合、その3カ月以内に選挙があれば、旧住所地でも新住所地でも投票できない有権者が生じる問題を指摘。「公明党は旧住所で選挙権を行使できる法案を国会に提出した」と訴えた。

樋口局長は、奨学金の拡充や海外留学支援などに言及しながら「若者の活躍の舞台をつくるのが政治の使命」と力説。参院で可決し、衆院で審議中の青少年雇用促進法案の成立をめざすと語った。

18歳選挙権法が成立

2015-06-18 ニュース

公明新聞:2015年6月18日(木)付

北側一雄副代表

来夏の参院選から適用へ
公明、45年にわたり訴え実現
北側一雄副代表に聞く

選挙権年齢を現在の「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる改正公職選挙法(自民、公明、民主など与野党6党が共同提出)が、17日の参院本会議で全会一致で可決、成立した。来年夏の参院選から「18歳選挙権」が実現する見通し。法改正のポイントについて、法案提出者の1人である公明党の北側一雄副代表に聞いた。

若者の声を政治に反映

―18歳選挙権が実現する意義は。

北側一雄副代表 一番大きいのは、若者の声を政治に反映させるということです。日本が抱える政治課題は若者の未来と直結しています。今の若者世代も国の借金を支払っていくわけですから、将来の政策も彼らの声に耳を傾け決めなければなりません。議員や政党も、これまで以上に若者のための政治を心掛けるようになります。

公明党が45年以上前から国会質問で取り上げ、国政選挙の重点政策に掲げるなど、18歳選挙権の実現を一貫して推進してきたのは、こうした目的からです。

―無責任な投票を懸念する声もあるが。

北側 国立国会図書館が昨年2月、世界各国の選挙権年齢を調べたところ、調査可能だった191カ国・地域のうち、9割以上の国が18歳選挙権を導入しています。昨年9月のスコットランド独立の賛否を問う国民投票では、16歳から投票権が与えられていました。18歳と19歳、特に高校生の一部に選挙権を持つ人が出ることの心配は要らないと思います。その上で、社会や地域の課題を自分の問題と捉えて主体的に関わるようにする「主権者教育」は重要です。学校教育の一つの柱と位置付けるべきと考えます。

―選挙運動、政治活動もできるようになる。

北側 18歳選挙権を認める以上は、選挙運動や政治活動も基本的に自由です。ただし、学校は大切な教育の場所です。その目的に反しないように一定のルールが必要だと思います。法律による規制よりも、各地域の教育委員会でガイドライン(指針)を作成し、それに基づいて学校が自主的に規制する方が良いでしょう。

旧文部省(現在の文部科学省)が1969年に出した高校での政治活動を制限する通知については、高校生の一部が有権者に加わったことを踏まえ、抜本的に見直す必要があると考えます。

―民法の成年年齢は20歳、少年法の適用年齢は20歳未満のままだ。

北側 法律には、それぞれの目的に合った年齢条項が定められています。民法は、すでに法制審議会(法相の諮問機関)が成年年齢を「18歳に引き下げるのが適当」と答申を出していますが、少年法の適用年齢をめぐる議論は、法制審議会でも始まっていません。一方、公明党内では「民法・少年法等成年年齢の検討に関するプロジェクトチーム」で積極的に議論を進めているところです。

成立した改正公選法では、少年法が罪を犯した少年の更生を目的としている点を踏まえ、公明党の主張で、買収などの重大な選挙違反でなければ、20歳未満の少年にはそのまま少年法を適用することにしました。

―現行法では、選挙権があっても投票できないケースが生まれている。

北側 選挙権年齢に達した直後に引っ越した人が、新住所地に転入して3カ月未満で国政選挙を迎えた場合、選挙人名簿に登録されないため、旧住所地でも新住所地でも投票ができません。18歳選挙権が来年夏の参院選から適用されると、高校を卒業して進学や就職で引っ越す時期と名簿登録の時期が重なり、こうしたケースが増えるとみられます。

公明党は、引っ越し前の住所地で、選挙権年齢に達する前も含めて3カ月以上住んでいれば、その住所地で投票ができるようにする公選法改正案を自民党などと今国会に共同提出しました(17日に成立した改正公選法とは別の法案)。ぜひ今国会で成立させ、18歳選挙権の実現と同時に適用させたいと考えています。

政治参加 10代の手で広げたい

祝う会で高校生ら

祝う会で高校生ら

「リビジョン」の会合で高校生らに報告する北側副代表=17日 衆院第2議員会館

10代の手で政治参加を広げたい―。17日の改正公選法の成立を受け、衆院第2議員会館で、18歳選挙権実現に取り組んできたNPO法人Rights(高橋亮平代表理事)と、一般社団法人リビジョン(斎木陽平代表理事)の会合がそれぞれ開催され、公明党の北側一雄副代表も出席して成立を喜び合った。

高橋代表理事は「選挙権拡大は70年ぶりの快挙」と強調。リビジョンが立ち上げたティーンズ・ライツ・ムーブメントの百瀬蒼海代表(高校3年生)は「10代が選挙に関心を持つ企画で盛り上げたい」と語った。

米国の研究者と交流

2015-06-17 ニュース

公明新聞:2015年6月17日(水)付

米国の研究者と意見交換する党国際委のメンバーら=15日 衆院第1議員会館

米国の研究者と意見交換する党国際委のメンバーら=15日 衆院第1議員会館

党国際委

公明党国際委員会(上田勇委員長=衆院議員)は15日、衆院第1議員会館で、「日米次世代パブリックインテレクチュアル・ネットワーク」プログラムの第3期メンバー14人の表敬を受け、懇談した。

同プログラムは、米国のマンスフィールド財団が、国際交流基金日米センターの支援を得て、日本に関心を持つ米国の若手・中堅研究者をサポートする取り組み。

公明党側は上田委員長と、党国際局次長の岡本三成衆院議員、平木大作、矢倉克夫の両参院議員が参加。同ネットワークからは、エズラ・ヴォーゲル氏ら3人の諮問委員も同席した。

席上、米研究者側が日本の諸課題に関して質問。このうち「平和安全法制」について上田委員長は「武力行使は日本防衛のために限るとする『専守防衛』の理念は堅持する」と答えた。

参院選挙制度で公明が改革案

2015-06-16 ニュース

公明新聞:2015年6月16日(火)付

参院選挙制度改革に関する公明案を発表する魚住参院会長=15日 国会内

参院選挙制度改革に関する公明案を発表する魚住参院会長(奥右)=15日 国会内

10合区で格差2倍未満
記者会見で魚住会長 合意形成に向け議論の糧に

参院公明党の魚住裕一郎会長は15日午後、国会内で記者会見し、参院選挙区の「1票の格差」を是正する選挙制度改革に関して、隣接する20選挙区を「合区」して10選挙区に再編し、格差を2倍未満とする公明案を公表した。西田実仁参院幹事長が同席した。

公明案は、2013年参院選で4.77倍だった最大格差を1.953倍に縮小。総定数242を維持し、選挙区146、比例代表96の配分も変えない。

席上、魚住会長は、公明案について「現時点で(最高裁から)『違憲状態』と指弾されている状態を回避するにはベストな案と考えている」と強調。その上で、「国会会期も迫っているから、基本的な案を示して(合意形成に向けた)議論に資するという位置付けで考えている」と語り、今後の対応について各会派に公明案を示していく方針を示した。

合区対象とする選挙区に関しては、10年国勢調査による人口確定値に基づき、「人口の少ない県から順次(合区し)、2倍以内になるよう検討してきた」として、合区となる選挙区をそれぞれ紹介。併せて、合区によって議員定数が減った分を、格差が大きい選挙区から順番に振り分けたと述べた。

【合区される選挙区と定数】秋田・山形(2人)、富山・岐阜(4人)、石川・福井(2人)、山梨・長野(4人)、奈良・和歌山(4人)、鳥取・島根(2人)、徳島・高知(2人)、香川・愛媛(4人)、佐賀・長崎(2人)、大分・宮崎(4人)

【格差是正のため定数が増える選挙区】北海道(6人)、埼玉(8人)、東京(12人)、愛知(8人)、兵庫(6人)、福岡(6人)

※3年ごとの通常選挙で定数の半数を改選

新3要件は憲法の枠内

2015-06-12 ニュース

公明新聞:2015年6月12日(金)付

意見表明する北側副代表=11日 

衆院憲法審査会意見表明する北側副代表=11日 衆院憲法審査会

3学者の「違憲表明」に反論
衆院審査会で北側副代表ら

衆院憲法審査会は11日、4日の参考人質疑で憲法学者3人が「平和安全法制」の関連法案をこれまでの政府の憲法9条解釈からは説明できず「憲法違反」と主張したことなどについて各会派からの意見表明を行い、公明党の北側一雄副代表が他国防衛を認めない政府解釈の論理の根幹は変わっておらず違憲ではないと主張した【要旨はこちら】。その後の自由討議では、公明党の国重徹、濱地雅一の両氏も見解を述べた。

他国防衛は認められず

初めに北側副代表は、「平和安全法制」の必要性について、例えば日米安全保障条約に基づいて日本防衛のために日本近海の公海上で警戒監視活動を行っている米艦船への武力攻撃を自衛隊が排除できるようにすることが「日米防衛協力体制の抑止力を向上させる」と強調。その上で、「(日米安保によって)紛争を未然に防止していく以外の現実的な選択肢はない」と主張した。

次に、関連法案の策定までに憲法9条の下で許容される自衛の措置(武力行使)の限界について、与党協議で議論を尽くしたことを紹介。「(憲法)学界で、自衛隊や日米安保条約が違憲かどうかという議論はあっても、わが国の安全保障環境を踏まえつつ、9条と自衛の措置の限界について突き詰めた議論がなされたということを私は知らない」と述べた。

さらに、北側副代表は自衛の措置について、他国防衛の集団的自衛権の行使は許されないとした1972年(昭和47年)の政府見解に言及。今回の関連法案は他国防衛を認めない自衛の措置の新3要件に基づいているとして、「新3要件は、従来の政府見解の基本的な論理を維持し、かつ、それを現在の安全保障環境に当てはめて導き出されたものであり、(憲法審査会で憲法学者が述べた)『従来の政府見解の基本的な論理の枠内では説明がつかない』などの批判は全く当たらない」と強調した。

その上で「私たち国政に携わる者は、まず現下の安全保障環境をどう認識するのか。その上で、国と国民を守るため、どのような安保法制を整備する必要があるのか。憲法との適合性をどう図るのか。こうした論議をしなければならない」と訴えた。

国重氏
国重氏も、「昨年7月の閣議決定でも、他国の防衛それ自体を目的とするいわゆる集団的自衛権の行使は認められない」「1972年の政府見解の基本的論理は新3要件にしっかりと維持されており、従来の憲法解釈との論理的整合性はある」ことを確認した。

濱地氏

濱地氏は席上、野党議員から出た公海上での米艦船の防護が周辺事態法で対応できるとの意見に対して「周辺事態法は後方支援しかできないため米艦等を防護することはできない」と反論。

さらに、4日の憲法審査会で参考人が、自衛隊の後方支援活動は「外国軍隊の武力行使と一体化する恐れが極めて強い」と述べたことについて、濱地氏は戦闘を行っていない現場での補給や輸送の活動は他国の武力行使と一体化せず、さらに「自衛隊の活動区域は安全かつ円滑に活動できる場所を指定する新しい規定を作った」と強調した

危険ドラッグなどの薬物

2015-06-11 ニュース

公明新聞:2015年6月11日(木)付

薬物依存症の治療プログラムを模擬体験する新妻、矢倉の両氏=10日 都内

薬物依存症の治療プログラムを模擬体験する新妻(左端)、矢倉(左から5人目)の両氏=10日 都内

依存脱却へ治療強化
プログラム継続で7割が改善
党青年委が都内の研究センター視察

公明党青年委員会(石川博崇委員長)は10日、東京都小平市の国立精神・神経医療研究センター(樋口輝彦理事長・総長)を訪れ、覚せい剤や危険ドラッグなど薬物依存症の治療プログラム「SMARPP」(スマープ)を視察した。新妻秀規青年政策ワーキングチーム座長(参院議員)、矢倉克夫青年局次長(同)が参加した。

「SMARPP」は、同センター精神保健研究所の松本俊彦・薬物依存研究部長が2006年に開発したプログラムで、薬物依存症患者が「次も来たい」と思うような雰囲気づくりに治療の主眼が置かれている。松本部長によると、薬物依存症患者の治療意欲は絶えず揺らぎ移ろいやすいため、治療プログラムは継続性が重要という。

一行は、同センターのスタッフらの協力を得て「SMARPP」を模擬体験。気軽な雰囲気の中で患者同士がワークブックを用いながら、薬物を使用したくなる状況や場所などを語り合い、自分自身を客観的に分析する治療方法の理解を深めた。

松本部長は、同プログラムに継続的に参加できた患者の約7割が改善につながっていると説明する一方、「薬物依存症は“治療の貯金”ができない病気。各地域で治療プログラムを継続できる体制構築や、プログラムを運営できるスタッフの育成が課題」と述べた。

視察後、新妻座長は、「青年委員会が近く政府に提出する『青年政策アクションプラン』(昨年8月発表)の改訂版に反映したい」と語った。

温泉利用健康施設の要件緩和求める

2015-06-10 ニュース

公明新聞:2015年6月10日(水)付

NPOと桝屋氏ら

NPOと桝屋氏ら

NPO法人・健康と温泉フォーラムの三友紀男会長らは9日、厚生労働省で塩崎恭久厚労相に対し、温泉利用型健康増進施設の認定要件緩和を要望した。これには、公明党活気ある温かな地域づくり推進本部の桝屋敬悟本部長(衆院議員)らが同席した。

同施設は、各種の入浴設備とプールなどの運動設備が総合的に整備されており、一定要件の下で温泉療養を行えば、利用料金や交通費が所得税の医療費控除の対象となる。三友会長らは席上、地域内の複数施設を連携させて同施設とする場合についても、地方創生のために「認定を可能としてほしい」と訴えた。塩崎厚労相は前向きな検討を約した。

地方創生公明の手で

2015-06-07 ニュース

公明新聞:2015年6月7日(日)付

あいさつする山口代表

あいさつする山口代表

決意新たに全国県代表協議会
日常活動を強化、議員力磨く
山口代表が強調

公明党は6日、東京都新宿区の公明会館で全国県代表協議会を開いた。山口那津男代表は、4月の統一地方選の大勝利を受け、「公明党の新時代を築く本格的な建設が始まった。新しい陣列の下、新しい支持者の開拓、さらなる党勢拡大に果敢に挑戦しよう」と力説。統一選で訴えた「地方創生」への取り組みを加速させていくとともに、7~11月にかけて実施される岩手、宮城、福島の被災3県の県市町村議選の全員当選、来年夏の参院選勝利へスタートを切ろうと呼び掛けた。【山口代表あいさつ要旨】

「被災3県」、参院選勝利へ

山口代表は冒頭、1589人が当選した統一選の大勝利に関して、全国の党員、支持者と議員の戦いに心からの謝意を表明。その上で、4年前の東日本大震災の影響で選挙日程が繰り下がっている岩手、宮城、福島の県市町村議選について「被災3県の勝利なくして統一選の本当の勝利はない、との気概で全員当選を勝ち取ろう」と呼び掛けた。

地方創生の加速とともに、被災3県などでの地方議員選と参院選の勝利を誓い合った全国県代表協議会=6日 公明会館

また、統一選の教訓として「あらためて確認したいのが、選挙結果は、議員の日常活動で決まるという一点だ」と強調。来年夏の参院選に向け、「議員の日常活動を一段と強化し、徹底して地域に入り、自らが支持を広げていきたい」と述べ、議員力をさらに磨き発揮していこうと語った。

統一選で訴えた「地方創生」では、公明党がネットワークの力を発揮し担っていくことに期待が寄せられていると力説。各自治体の地方人口ビジョンや地方版総合戦略の策定に「積極的に関わり、キャッチした現場の視点を盛り込ませ、『ひと』が主役の将来像を描いていきたい」と述べた。

重要政治課題では、東日本大震災の復興加速に関して「被災者や地域の課題が多様化し、きめ細かな支援の重要性が増している。だからこそ公明党の存在意義は大きい」と強調。引き続き担当国会議員が被災地に密着し、地方議員とのネットワークの力を駆使しながら取り組む方針を示した。

「平和安全法制」については今国会で成立を期す考えを示した上で、国民の理解を深めていくため、政府に対し「国会審議で丁寧な答弁に努めるとともに、真摯かつ謙虚な姿勢で臨んでもらいたい」と指摘した。

参院選挙制度改革については、格差是正に向けて党の具体案を作成した上で、「今国会での制度改革の実現へ、合意形成の努力をしていく」と力説した。

派遣法改正案 ここがポイント<下>

2015-05-28 ニュース

公明新聞:2015年5月28日(木)付

労働者守る義務の実効性は?

事業を許可制にして厳格運用

Q 同じ職場で働ける期間の上限3年に達する派遣労働者に派遣元(派遣会社)が次の就労先を確保するなどの雇用安定措置や、キャリア形成支援が新たに義務化されますが、実効性がなければ意味がありません。

A 現在は4分の3以上が届け出制の派遣事業を全て許可制にします。その上で、キャリア形成支援制度があることを許可・更新の要件に追加。教育訓練の実施に関する事業報告も求めます。義務違反に対しては、許可の取り消しも含めて行政が厳しく指導します。

Q 派遣元が雇用安定措置の義務を避けるために、契約を3年未満にする恐れがあります。

A 厚生労働省は、悪質なケースがあれば重点的な指導監督の対象とする方針を示しています。なお、派遣労働者が同じ職場で1年以上働いていれば、派遣元には雇用安定措置を講じる努力義務が課されます。

Q 派遣労働者の正社員化に向けて、派遣先への具体的な支援も必要です。

A 今年度予算で「キャリアアップ助成金」が拡充されました。ケースごとに支給額は異なりますが、派遣先が中小企業で、有期雇用の派遣労働者を正規雇用した場合は、1人当たりの支給額が60万円から80万円に引き上げられています。

待遇改善は進むの?

賃金などで具体的配慮求める

Q 法改正で派遣労働者の待遇改善は進みますか。

A 派遣元に対し、派遣労働者の賃金などで、派遣先の労働者とのバランスが取れた待遇が確保されているかどうかについて、本人の求めに応じて説明する義務を新設します。

一方、派遣先には▽自社の労働者の賃金などに関する情報の派遣元への提供▽業務に関連した教育訓練の派遣労働者への実施▽休憩室などの福利厚生施設の利用―について、具体的な配慮を義務付けます。

Q 雇用形態にかかわらず、同一の労働に対し同一の賃金を保障する「均等待遇」を推進するべきでは。

A 現在の日本は、仕事内容に応じた賃金を支払う「職務給」ではなく、仕事で培った能力や勤続年数などの経験に応じた賃金を支払う「職能給」が慣行となっています。このため政府は、正社員と派遣労働者の仕事や責任の違いを考慮し、バランスの取れた待遇を確保する「均衡待遇」をまずは進めるとしています。

その上で、改正案には公明党の要請で、付則に「均等・均衡待遇のあり方を検討するため、調査研究などの措置を講じる」との規定が盛り込まれました。付則を踏まえ、政府は諸外国の均等待遇の制度や運用状況などを調べる方針です。

派遣法改正案 ここがポイント<中>

2015-05-27 ニュース

公明新聞:2015年5月27日(水)付

事実上、期間制限の撤廃では?

延長には労使の話し合い必要

Q 派遣労働者が有期雇用の場合、派遣先の事業所の派遣受け入れ期間が原則3年に制限されます。目的は何ですか。

A 改正案では、業務ごとに期間制限がある現行制度を改め、1人の派遣労働者が同じ職場で働ける期間を全ての業務で上限3年とする制限を新設します。しかし、これだけでは、3年ごとに人を替えて同じ仕事を派遣労働者に任せ続けることができてしまうため、派遣先にも期間制限を設けることにしました。

派遣先が受け入れを延長したい場合は、3年ごとに労働組合などの意見を聞かなければなりません。

Q 意見を聞くだけで延長できるので、「事実上の制限撤廃であり、正社員との置き換えが進む」と言われていますが。

A 意見聴取の義務は、派遣の延長を一律に規制するのではなく、現場をよく知る労使が実情に応じた判断をできるようにするためです。組合から反対意見が出れば、派遣先には延長理由などを説明する義務が生じます。聴取記録の保存・周知など、手続きの適正性・透明性を担保する仕組みも設けられます。

重要なことは、こうした仕組みを通じて、労使が実質的な話し合いを十分に行えるようにすることです。

“生涯ハケン”になる?
正社員化へ教育訓練など実施

Q 期間の定めのない無期雇用として派遣元(派遣会社)に雇われている派遣労働者は、期間制限に関係なく派遣で働けるようになりますが、なぜですか。

A 有期雇用よりも雇用が安定していることに加えて、派遣のままで働きたい人も相当数いるため、期間制限の対象外としました。なお、2012年時点では、派遣労働者全体の約17%が無期雇用です。

Q 正社員希望の派遣労働者が無期雇用になれば、そのまま派遣労働が固定化して“生涯ハケン”になると指摘されています。

A 正社員をめざす場合でも、まずは不安定な有期雇用を抜け出す必要があります。その意味からも無期雇用への転換は重要です。

その上で改正案は、派遣元による計画的な教育訓練や、希望者へのキャリア形成に関する相談の実施を義務化。派遣先にも自社の正社員募集情報の提供を義務付けます。こうした施策を通じて、正社員化を望む派遣労働者を支援します。

Q 無期雇用でも、派遣先の仕事がなければ解雇されるのでは。

A 厚生労働省は、派遣先との派遣契約の終了のみを理由とした解雇の防止について、派遣事業の許可条件に盛り込むなどの方針を示しています。

国会質問_法務委員会

2015-05-27 ニュース

公明新聞:2015年5月27日(水)付

裁判員裁判の「長期審理」除外で質問

矢倉氏

矢倉氏=26日 参院法務委

参院法務委員会は26日、初公判から判決まで極めて長い期間を要する裁判について、国民が参加する裁判員裁判の対象外とし、裁判官のみで審理できるようにする裁判員法改正案について審議し、公明党の矢倉克夫氏が質問に立った。

矢倉氏は、裁判員裁判の対象外とする決定をどう判断するのかと質問した。上川陽子法相は「当分の間は個々の状況をしっかりと考慮した上で判断すると想定している」と答えた。

派遣法改正案 ここがポイント<上>

2015-05-26 ニュース

公明新聞:2015年5月26日(火)付

衆院で審議中の労働者派遣法改正案について、ポイントをQ&A形式で紹介します。

法改正で何が変わる?

労働者を支援、ルールも明確に

Q 改正のポイントは。

A 正社員化を望む派遣労働者にはその道を開き、派遣として働くことを希望する人には待遇の改善を進めます。業務ごとに派遣労働者が働ける期間が異なる現行制度も改め、全ての業務に一律の期間制限を設けることで、派遣元(派遣会社)、派遣先、派遣労働者の全てにとって分かりやすいルールにします。

Q 現在の課題は。

A 能力開発の機会に乏しく、雇用が不安定になりがちな派遣労働者への支援が不十分です。

また、派遣労働者が期間の制限なく働ける「専門26業務」(パソコン操作、秘書など)には「該当する業務が分かりにくい」「時代によって専門性が変わるので制度が不安定」などの指摘があります。

Q 法案提出の経緯は。

A 民主党政権時代の2012年に成立した改正派遣法に、民主、自民、公明の3党共同提案で「26業務」の早急な見直しを求める付帯決議が盛り込まれました。今回の法改正は、この付帯決議を踏まえたものです。

その上で、今国会提出の法案は公明党の要請による修正で、派遣労働が臨時的な働き方であるとの原則や、派遣労働者を保護する趣旨が鮮明になりました。

なぜ同じ職場に3年まで?
不安定な働き方の固定化防ぐ

Q 改正案では、派遣元に有期雇用されている派遣労働者の場合、派遣先の同じ職場で働ける期間が、全ての業務で上限3年となります。狙いは何ですか。

A 短い契約期間の有期雇用を繰り返す派遣労働者が、不安定な状態のまま同じ職場に同じ仕事で固定されないようにすることです。3年ごとの職場変更は、キャリアアップの機会を確保することにもなります。

Q 現在、「26業務」以外の一般事務などの業務は、派遣労働者の働ける期間が原則1年、最長3年です。改正で何が変わりますか。

A 業務とは会社の「係」に当たるため、現在は係を変えるだけで派遣労働者を同じ職場に固定できてしまいます。一方、職場は「課」に当たります。改正案では、同じ派遣先で働き続ける場合でも、3年で仕事内容が異なる課に移る必要があるため、今よりも経験を積めるようになります。

Q 「26業務」も期間制限の対象になりますが、雇用が不安定になりませんか。

A 期間制限を迎える全ての業務の派遣労働者に対し、派遣元が▽派遣先への直接雇用の依頼▽新たな派遣先の提供―などを講じる「雇用安定措置」が、新たに義務化されます。

解説ワイド 平和安全法制

2015-05-20 ニュース

公明新聞:2015年5月20日(水)付

どのような事態にどう対処するのか

政府が今国会に提出した「平和安全法制」の関連法案は、存立危機事態などさまざまな事態ごとに自衛隊の活動を規定している。国民の命と平和な暮らしを守るため、「自衛隊はどのような事態にどう対処するのか」を解説する。

法制整備の概要

「平和安全法制」の関連法案は、新規立法(新法)の「国際平和支援法案」と、自衛隊法改正案など10の法律の一部改正案を一つにまとめた「平和安全法制整備法案」の2法案からなる。内容別に整理すると、「日本の平和及び安全の確保」「国際社会の平和及び安全の確保」の2分野になる。

【日本の平和及び安全の確保】 グレーゾーンから重要影響事態、存立危機事態、武力攻撃事態まで、自衛隊が事態の深刻度に応じた対処ができるように隙間のない体制を構築した。武力攻撃事態に限られた自衛隊の武力行使を、日本への直接の武力攻撃ではない存立危機事態でも認めるため、他国防衛にならないよう新3要件を定めた。

【国際社会の平和及び安全の確保】 国連決議の下で活動中の外国軍隊に対し、自衛隊が後方支援をすることに関し、特措法で実施したこれまでの方式から、一般法の国際平和支援法案に基づく方式に変える。

PKOでは、日本の20年以上にわたる参加経験を踏まえ、保護を必要とする住民を守るための駆け付け警護を自衛隊に認める。

「平和安全法制」の関連法案

存立危機事態と武力攻撃事態

認められない他国防衛

「自衛の措置」は日本防衛に限定

平和憲法の下で自衛隊に許される武力行使は、日本防衛のための「自衛の措置」に限られる。これが、これまでの政府の憲法9条解釈の根幹となる考え方だ。

今回の「平和安全法制」の関連法案も、この政府解釈に基づいて策定された。そのため「自衛の措置」はどこまでも日本防衛であり、もっぱら他国防衛を目的とするいわゆる集団的自衛権の行使は認められない。

「自衛の措置」は、日本への武力攻撃が発生した場合(武力攻撃事態)に発動できるが、今回、自衛隊法改正などで新設される存立危機事態でも発動を可能にする。

存立危機事態は「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」(自衛隊法改正案)と定義された。

この「明白な危険」について政府は、国民に対して日本が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況と説明している。

このように存立危機事態は「わが国の存立」が脅かされるほどの深刻な事態であり、日本防衛の範囲内である。

ただし、武力攻撃事態と違い、いまだ日本への直接の武力攻撃が発生していない段階であるため、「自衛の措置」として武力行使を発動するための判断は厳格にする必要がある。

そのため公明党は、「自衛の措置」発動の新たな判断基準として新3要件【別掲】を定めるよう主張。その結果、新3要件は法案に過不足なく盛り込まれた。新3要件は「自衛の措置」が日本防衛に限られることを明確にし、他国防衛にならないための厳格な歯止めとなっている。

新3要件

重要影響事態

武力行使は許されず

周辺事態法改正案によって同法の名称は重要影響事態法案に変更される。これまでの周辺事態と重要影響事態との違いは何か。

周辺事態は「そのまま放置すればわが国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等わが国周辺の地域におけるわが国の平和と安全に重要な影響を与える事態」である。重要影響事態はこれから「わが国周辺の地域における」を削除した。

その理由は、近年の国際情勢の変化により、日本の平和に重要な影響を与える事態の発生地域をあらかじめ特定することが困難となったためだ。しかし、周辺事態も重要影響事態も日本の平和と安全に関わる事態であり、考え方の本質は変わらない。

重要影響事態で自衛隊が実施できる活動は、日米安保条約の目的達成に寄与する活動を行う米軍と、国連憲章の目的達成に寄与する活動を行う外国軍隊への後方支援(補給や輸送など)に限られる。武力行使や外国軍隊の武力行使と一体化する活動は許されない。

国際平和共同対処事態

国連決議があれば参加

国会承認は例外なく「事前」

国際平和共同対処事態は、新法の国際平和支援法案の中で新たに定められた。

支援法の目的は、国連決議の下で国際社会の平和と安全のために活動する外国軍隊(多国籍軍など)に対し、自衛隊による後方支援(補給や輸送など)を可能にすることだ。外国軍隊の活動が国際平和共同対処事態に当たれば、自衛隊による支援を認める。

国際平和共同対処事態を認定するためには、(1)国際社会の平和と安全を脅かす事態が発生している(2)その脅威を除去するため国際社会が国連憲章の目的に従って共同して対処している(3)日本が国際社会の一員として主体的・積極的に寄与する必要がある―ことが必要。

自衛隊派遣は公明党の主張で法案に盛り込まれた、自衛隊の海外派遣の3原則【別掲】の下で実施される。派遣の正当性確保のため、外国軍隊の活動を認める国連決議が絶対条件であり、国会の「例外なき事前承認」も必要だ。当然のことだが、憲法9条は海外での武力行使を禁じているため、自衛隊は武力行使や外国軍隊の武力行使と一体化する活動はできない。

国連決議の下で活動する外国軍隊を自衛隊が支援した例として、2001年の9.11米国同時多発テロを契機としたテロ対策支援がある。

当時、こうした活動をする外国軍隊への自衛隊派遣を認める法律がなく、テロ対策特別措置法(特措法)を制定して外国軍艦への洋上給油などを実施した。

事態が発生した後に特措法で対応するこれまでの方式から、今回、一般法(恒久法)の国際平和支援法案によって対応する方式に変更する。

一般法にすることで、自衛隊は日頃から訓練や準備ができるだけでなく、国際平和共同対処事態が発生した場合、国連や各国との調整、現地調査などが可能になり、自衛隊にふさわしい役割、任務を適切に選ぶことが可能になる。

 

海外派遣の3原則
(1)国際法上の正当性の確保
(2)国民の理解と国会関与など民主的統制
(3)自衛隊員の安全確保

その他の体制整備

PKO協力

国連平和維持活動(PKO)協力法を改正し、保護を必要とする住民やNGO職員などを守るための駆け付け警護を認める。そのため、原則として要員の生命防護のために認められた武器使用に加え、任務遂行型の武器使用も可能にする。ただし、正当防衛と緊急避難を除いて、人に危害を加えてはならないため、自衛隊が武装集団の掃討作戦をすることはできない。

また、国連が設置したPKOではなく、国際社会(例えば欧州連合)が実施するPKO類似の活動についても、PKO参加5原則【別掲】の下で参加する。

グレーゾーン

国籍不明の武装集団による離島への不法上陸や、公海上での日本の民間船舶に対する攻撃など、日本に対する武力攻撃とは言えないまでも、警察や海上保安庁では手に余る侵害(グレーゾーン事態)が想定される。

この場合、警察や海保を応援するため、自衛隊の海上警備行動などが迅速に発令できるよう、電話による閣議決定を可能にする。法改正ではなく運用の改善で対応する。

 

PKO参加5原則
(1)紛争当事者間の停戦合意の成立
(2)紛争当事者のPKO派遣への同意
(3)PKOの中立性の確保
(4)(1)~(3)のいずれかが満たされない場合には、部隊を撤収
(5)武器の使用は、要員の生命防護のための必要最小限度のものを基本

平和安全法制Q&A

2015-05-17 ニュース

公明新聞:2015年5月17日(日)付

国民を守るための隙間のない防衛体制を整備すると共に、国際社会の平和と安全のための貢献を進めることを目的とする「平和安全法制」の関連法案が14日、閣議決定されました。日本防衛、国際平和協力の各分野について公明党の主張を紹介します。

Q.なぜ法整備が必要なのか?

A.国民を守る隙間のない体制を構築するため
核兵器や弾道ミサイルなど大量破壊兵器の脅威があり、しかもそれが拡散しています。また、軍事技術も著しく高主な法整備とその概要度化しています。わが国の近隣でも弾道ミサイルの発射実験を繰り返し、核開発疑惑を否定できない国があります。国際テロやサイバーテロの脅威も深刻です。

こうした中で、国と国民を守ることは政治の最も大事な仕事であり、どのような状況であっても対応できる隙間のない安全保障体制を構築し、紛争を未然に防止する「抑止力」を強化する必要があります。

一方で、国際社会の平和と安全に対する貢献も重要です。日本の平和と繁栄も国際の平和と安全の上に成り立っています。あくまで海外での武力行使を禁じた憲法9条の下で、どのような貢献ができるかを示すことも大切です。

Q.日本の防衛のあり方は?

A.憲法9条の下、「専守防衛」の理念を堅持
日本は憲法9条の下、武力行使は日本防衛のために限るとする「専守防衛」を堅持してきました。今回の「平和安全法制」の関連法案においても、この「専守防衛」の理念はいささかも変わっていません。

これまでの政府の憲法9条解釈の根幹となっている考え方は、1972年(昭和47年)の政府見解です。すなわち「自衛の措置は、あくまで外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫、不正の事態に対処し、国民のこれらの権利を守るためのやむを得ない措置としてはじめて容認されるものであり、そのための必要最小限度の『武力行使』は許される」と示しています。

安倍晋三首相は14日の会見で、「自衛隊が、かつての湾岸戦争、イラク戦争のような戦闘に参加することは今後とも決してない」と述べ、専守防衛が揺るぎないことを示しました。

Q.「自衛の措置」の限界は?

A.他国防衛を目的とする集団的自衛権の行使は認めず
昨年7月の閣議決定では、公明党が政府のこれまでの憲法9条解釈の根幹を守るよう強く主張した結果、「自衛の措置」発動は自国防衛のためであることを明らかにした新3要件【=下記参照】が定められました。

新3要件
①わが国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合
②これを排除し、わが国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないとき
③必要最小限度の実力を行使

新3要件は、日本への武力攻撃が発生した場合に加え、(1)日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合に、これにより日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある場合(2)国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときに(3)必要最小限度の実力を行使することが認められるとの厳格な要件を課すことで、他国防衛にならないための厳しい歯止めを掛けました。

横畠裕介内閣法制局長官も国会答弁で、閣議決定が「(他国防衛の権利として)観念される、いわゆる集団的自衛権の行使を認めるものではない」と明言しています。

公明党の主張により、厳格な新3要件は法文にすべて明記されました。

Q.国際貢献のあり方は?

A.国連決議など国際法上の正当性と国会承認の下で参加
今回、国連決議に基づき国際社会の平和と安全のために活動する外国軍隊への後方支援を実施するため、新たに一般法(恒久法)として「国際平和支援法」を整備します。

これまでこうした外国軍隊への協力は、2001年のテロ対策や03年のイラク復興支援など、その都度、特別措置法(特措法)をつくり自衛隊を派遣してきました。

一般法の制定により、国連などから派遣要請を受けた場合、速やかに自衛隊の能力にふさわしい役割や地域を調整し、隊員の安全を確保しつつ得意分野での貢献が可能となります。

公明党は「平和安全法制」の整備に当たり、「自衛隊の海外派遣の3原則」【3原則=下記参照】を強く主張し、これを踏まえ各法制に明記するよう求めてきました。特に、国際平和支援法では、外国軍隊への後方支援は慎重を期す必要があるため、国会の関与の重要性を一貫して主張。その結果、「例外なき国会の事前承認」が義務付けられました。「国際法上の正当性」に関しては、これまでの特措法と同様、国連決議または関連する国連決議があることを絶対条件にしました。

3原則
①国際法上の正当性の確保
②国民の理解と国会関与など民主的統制
③自衛隊員の安全確保

一方で国連平和維持活動(PKO)協力法も改正し、国連PKOでなくても、一定の国際機関の要請等によるPKO類似の活動についても、停戦合意や紛争当事者の派遣同意など従来のPKO参加5原則と全く同様の厳格な基準のもとで参加を可能にします。

平和安全法制と公明党

2015-05-16 ニュース

公明新聞:2015年5月16日(土)付

北側一雄副代表

9条の下で国民守る
与党協議会座長代理 北側一雄副代表に聞く

5月15日、「平和安全法制」の関連法案が国会に提出されました。法制整備の意義と公明党の主張について公明党の北側一雄副代表に聞きました。

なぜ今、安保法制の整備を進める必要があるのですか?

安全保障環境が厳しさを増す中、国民を守る隙間のない体制を構築するとともに、国際社会の平和にも貢献するため。
―日本に対し、どのような脅威がありますか。

北側一雄副代表 核兵器や弾道ミサイルなど大量破壊兵器の脅威があり、しかもそれが拡散しています。また、軍事技術も著しく高度化しています。わが国の近隣でも弾道ミサイルの発射実験を繰り返し、核開発疑惑を否定できない国があります。国際テロやサイバーテロの脅威も深刻です。

こうした中で、国と国民を守ることは政治の最も大事な仕事であり、どのような状況であっても対応できる隙間のない安全保障体制を構築するとともに、抑止力を強化する必要があります。一方で、国際社会の平和と安全に対する貢献も重要です。与党はこれらの視点から安全保障法制整備の議論を重ねてきました【図参照】。

政府が整備する主な法制の全体像

―与党の議論は拙速との声もありますが。

北側 安保法制の与党協議は昨年5月に始まり、丸1年をかけ25回を数えます。資料もその都度、公表してきました。公明党の党内論議もそれ以上行っており、決して拙速だとは思いません。

国会に法案が提出されましたので、今後、衆参両院で活発な論議がなされ、国民の皆さまの理解を得られるように努めてまいります。

政府は他国防衛のための集団的自衛権を認めたのですか?
「専守防衛」を堅持します。憲法第9条が禁じる他国防衛を目的とした集団的自衛権は、新3要件によって行使できません。
北側 憲法第9条の下では、これまで通り、もっぱら他国防衛のための集団的自衛権の行使は一切認められません。

政府の憲法第9条解釈は、長年にわたる国会との議論の中で形成されてきました。その中で一番の根幹になっているのが1972年(昭和47年)の政府見解です。すなわち「自衛の措置は、あくまで外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫、不正の事態に対処し、国民のこれらの権利を守るためのやむを得ない措置としてはじめて容認されるものであり、そのための必要最小限度の『武力行使』は許される」という考え方です。

この考え方に立ち、日本を取り巻く安保環境が厳しさを増す中で、国民を守るためには「自衛の措置がどこまで認められるのか」「その限界はどこにあるのか」を突き詰めて議論した結果が、昨年7月の閣議決定だったわけです。この閣議決定では、憲法第9条の下で許される「自衛の措置」発動の新3要件【表参照】が定められ、法案に全て明記されました。

憲法第9条の下で許容される自衛の措置 新3要件

―新3要件の意義は。

北側 「自衛の措置」の限界を明確にしたことです。新3要件では、日本への武力攻撃が発生した場合だけでなく、日本と密接な関係にある他国に対する攻撃が発生した場合でも、これにより日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される「明白な危険」がある場合に限って「自衛の措置」をとることができる、と見直しました。「明白な危険」とは、国民に、日本が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況をいいます。

しかも、自衛権の発動に当たっては、国の存立を全うし国民を守るために、他に適当な手段のない場合にのみ許されます。あくまで「専守防衛」「自国防衛」に限って許されるという厳しい条件が付いているのです。

従って海外での武力行使を禁じた憲法第9条の解釈の根幹は変えていませんし、国連憲章第51条にあるような、もっぱら他国防衛を目的とした集団的自衛権の行使は認めていません。

なぜ、外国軍隊の後方支援をする必要があるのですか?
一つは日本の防衛のため。もう一つは国際の平和と安全に貢献するため。ともに武力行使はしません。
―後方支援とは、どのような活動をいいますか。

北側 外国軍隊に対し、その武力攻撃と一体化しない範囲で輸送や補給などの支援をすることです。(1)日本の平和と安全に重要な影響を与える事態に日本の平和と安全を守るため(2)国際社会の平和と安全を脅かす事態に国際社会の平和と安全に貢献するため―に実施します。

(1)については周辺事態法がありますが、名称を「重要影響事態法」に変更して対応します。(2)は、これまで特別措置法(特措法)で対応してきました。9.11米国同時多発テロを契機としたテロ特措法などの例があります。今回新たに一般法(恒久法)として「国際平和支援法」を制定します。

二つの活動の目的は大きく異なるため、公明党は別々の法律として立て分けるべきと主張しました。

―日本の防衛のための後方支援であっても、まだ有事ではないので、「武力の行使」や「他国の武力行使と一体化」する活動は許されないのでは。

北側 その通りです。憲法第9条の下では、武力行使は認められません。特に「一体化」を防ぐために、外国が「現に戦闘行為を行っている現場」でない場所で行う支援活動に限って認めました。また「一体化」を避けるため、戦闘行為が行われることが予測される場合などの活動休止や中断の仕組みも設けました。

―国際社会の平和と安全のために実施する後方支援の法制を、なぜ一般法に変えるのですか。

北側 一般法にすることで、自衛隊が日頃から訓練や準備をし、さらに、国際社会の平和と安全の脅威になるような事態が起こった時、国連や各国との調整、現地調査なども迅速にできるため、自衛隊にふさわしい役割、任務を適切に選ぶことが可能になります。

―一般法では自衛隊の海外派遣が政府の自由になり無制限な派遣になりませんか?

北側 公明党は、自衛隊の「海外派遣の3原則」【別掲】を提起し、歯止めをかけました。

特に一般法は「国際法上の正当性」に関し、国連決議または関連する国連決議があることを絶対条件にしました。過去の特措法は国連決議を根拠に制定されており、こうした点を重視した公明党の考えが反映されました。

「国民の理解と国会関与など民主的統制」についても公明党の強い主張を踏まえ、自衛隊の海外派遣には国会の「例外なき事前承認」を義務付け、さらに派遣が2年を超える場合にも国会の再承認を必要としました。

さらに「隊員の安全確保」のため、国会承認の前提となる基本計画の段階で安全性が確保されているかなどもチェックできるようにしました。

海外派遣の3原則
(1)国際法上の正当性の確保
(2)国民の理解と国会関与など民主的統制
(3)自衛隊員の安全確保

PKO法の改正で自衛隊が治安維持までやるのですか?
本来、現地国の警察が担う治安維持をPKOとして活動する自衛隊が担うことはあり得ません。
―自衛隊に治安維持をさせ、武器使用の範囲も広げるのですか?

北側 治安維持活動一般は、現地の警察がやるべき任務であり、それを自衛隊が肩代わりすることはありません。

今回の国連平和維持活動(PKO)法改正で自衛隊が実施する安全確保業務は、防護を必要とする住民を守り、特定の区域を巡回するなどの内容です。これは多くのPKO参加国がこれまでもやってきたことです。

安全確保業務を行う以上、自衛隊員に自己を守るだけでなく任務遂行型の武器使用も認めますが、正当防衛と緊急避難以外は人に危害を加えてはいけないとの原則は変えません。

―国連が統括しないPKO類似の活動もPKO参加5原則【別掲】で実施するのですか?

北側 国連安全保障理事会の決議で設置されたPKOではなく、国際社会が実施するPKOに類似した平和安全活動についても、国連決議や一定の国際機関の要請、国連の主要機関の支持といった国際法上の正当性が確保される場合には、日本も参加できるようにしました。ただし、PKO参加5原則と全く同様の厳格な条件の下でしか参加はできません。

PKO参加5原則
(1)紛争当事者間の停戦合意の成立
(2)紛争当事者のPKO派遣への同意
(3)PKOの中立性の確保
(4)(1)~(3)のいずれかが満たされない場合には、部隊を撤収
(5)武器の使用は、要員の生命防護のための必要最小限度のものを基本

批判に答えるQ&A
問い 「戦争立法」との批判があるが?
答え 武力行使は日本防衛に限定し、専守防衛を堅持
日本を海外で戦争できる国にする「戦争立法だ」という批判は、全く根拠のない言い掛かりです。

昨年7月1日の閣議決定では、海外での武力の行使を禁じた憲法第9条の解釈は変えていませんし、平和憲法の要である専守防衛の理念も堅持されています。

閣議決定は、日本を守るための「自衛の措置」の限界を明らかにするため、新3要件を定めました。

自衛隊が武力行使を許されるのは、どこまでも日本が武力攻撃を受けたと同様な深刻、重大な被害が及ぶ場合に限られます。

他国を守ることそれ自体を目的とした集団的自衛権の行使は、今後も認められません。

1992年成立の国連平和維持活動(PKO)法の時も「戦争に巻き込まれる」など、実態に基づかない一方的な批判が起こりましたが、こうした“批判のための批判”は長続きせず、現在、PKOは国民の大半の支持を受けています。

問い 世界のどこでも米軍を支援できるのか?
答え 「国際法上の正当性」と「国会承認」が歯止め
「世界のどこへでも自衛隊を派遣し、米軍を支援する」などの批判は、支援の目的、趣旨や、厳格に定められた要件、手続きなどを全く無視した極めて短絡的な主張と言わざるを得ません。米軍等に対する支援は、重要影響事態法によるものと、一般法として制定する国際平和支援法によるものの2種類があります。

重要影響事態法は、日本の防衛のため活動をしている米軍等への支援であり、あくまで日本の平和と安全のためです。一方、国際平和支援法は、国際の平和と安全のために活動をしている外国軍隊への支援です。米国のための支援ではなく、国連決議によって国際法上の正当性が確保されたものに限られます。日本が主体的に行う国際貢献としての支援です。

しかも、両方とも自衛隊が実施するのは後方支援に限られ、武力行使は許されません。また自衛隊の派遣には国会の承認が不可欠です。米軍のためにどこまでも一緒に行くなどという批判は全く当たりません。