【矢倉かつお】厚生労働委員会(医療法等改正案参考人質疑)2021/4/27

2021-04-27 矢倉かつおチャンネル

204回 厚生労働委員会

2021-04-27 国会質問議事録

○矢倉克夫君
 公明党の矢倉克夫です。
 五人の参考人の先生方、貴重な御意見、大変にありがとうございます。
 私からは、まず上家参考人にお伺いをしたいと思います。
 資料の方でも、例えば妊娠を報告したときの周りの無理解ということ、本当にこういう状況になった御当人の心はつらいなというふうに改めて思いました。
   〔委員長退席、理事石田昌宏君着席〕
 私も、例えば育休取れない理由とか幅広く若い人に聞いたら、やっぱり職場との気兼ねというか、周りの人に負担が掛かるということが大きな理由だったというのは結構アンケートからも分かっているんですが、その上で、特にこの医師が置かれている環境、これ男女かかわらずだと思いますが、の状況を分析して、こういう観点から医師はより周りとの関係で育休だったり取りにくいとか、そういう事実があれば教えていただければなと思います。

○参考人(上家和子君)
 例えば、診療科によっては一人でその科を担当しているという科がたくさんあります。それから、地域によっては、特に地方、田舎に行くと、小さな病院でその先生しかいない、その先生しか内科系がいないとか外科系がいないとかいうふうに、専門領域が一人であるというようなところへ派遣された場合、とても代わりが来るまでは自分がいなければどうにもならないというような状況をたくさん経験すると思います。そういった医師の中でのマイノリティーに陥ると取りにくいのではないかなということが調査等からは見えてまいりました。
 それから、例えば大学病院であってもスペシャリティーが、大学病院になれば細分化された専門性があります。そのために、やはり専門性が、その分野の先生は一人だけというようなことが大きな、都心の大きな病院であってもあるというふうに、かけがえのない人材だからこそ取りにくいという実態があるのではないかと思います。

○矢倉克夫君
 なかなか難しい課題なんですけど、もしそこについて一歩一歩解決する方策があるとしたらどのようなものがあるのか、教えていただければ。

○参考人(上家和子君)
 臨床研修病院の診療科長からのコメントたくさん寄せられたものでいいますと、代替医師の派遣制度を公的に、若しくは大きな、大学を超えた大きな組織としてつくってもらえないかと。例えば、学校の先生、義務教育課程の学校の先生の場合には育休の先生の代わりの先生が自動的に来るようなシステムがあるわけですが、そんなふうに派遣される仕組みが欲しいという声がかなりあったのは印象に残っております。

○矢倉克夫君
 ありがとうございました。
 じゃ、続きまして、猪口参考人と山本参考人に、ちょっと同じ問いになるんですが二点お伺いしたいと思いまして、よりコロナの対応をどうするかという観点も含めての形なんですが、一つ目は、今も少しお話があった派遣というものにも絡むんですけど、やっぱりコロナ対応している方の、今医師の方の状況というのが非常に大変だ、それは一部の方が集中して関わっているという環境もやはりあって、そのために病院の役割分担という話があるわけですけど、そこを妨げている一つがやはり感染症を専門にしている医師の方が少ないということもあり、その前提の下で、例えば埼玉県などは、一部の感染の専門の方がこれまで感染症対応してきていなかった病院にある意味派遣されて、そこで研修みたいなものを行うみたいな制度を公的にも支援しているんですけど。
 まず、そういう感染症専門の方の派遣ということに対して公的に支援することについての御意見をまずいただきたいのと、もう一つは、ちょっと違う観点で、またコロナ対応、この状況を、危機の状況をどう対応していくのかという点で、やっぱり、まあ平時からの対応という言葉は違うかもしれませんけど、次の感染症が来たときの対応のノウハウを蓄積するということも非常に重要かなと思っておりまして、そのとき、現状を見ると、病院間の情報共有というのがなかなかないなと。
 どの病院がどういう患者さんを今受け入れていて、それに対してどういう症例が起きてどういう治療をしたのかとか、そういった情報共有をもっとし合えるような環境をよりつくることが将来の備えという意味合いでも、また現状の対応という意味合いでも必要だと思うんですが、現場の御感覚から、それをより促進するにはどのような施策が必要なのかということをもし御教示いただけることがあれば、二点、恐縮ですけどよろしくお願い申し上げます。

○参考人(猪口雄二君)
 まず、専門家の派遣のことですけれども、実は今、日本医師会と四病院団体協議会、それから全国自治体病院協議会、これで実は、病床がやっぱり逼迫したときにそれを、病床を確保するための委員会をつくっております。そこで様々な症例を集めたり、それから、各やはり現場としては都道府県若しくは地区が中心になりますので、そこの状況をいろいろお聞きしたりというようなことを行っております。
 その中の一つで、やっぱりその派遣機能を是非持っていただきたいなと思っております。これはなかなか全国レベルでやってくださいといってもやっぱり地域地域の実情がいっぱいありますので、やっぱり地域で是非そういうお話合いをしていただきたいということになるわけですけれども、例えば、コロナ対応をしている、入院をしている病院、そこで医師がそこに大勢必要になったときにほかの一般の診療がおろそかになる、そうすると、そこに対して医師を派遣するということが地域レベルでできないかというようなことも生ずると思います。
 あと、専門家の派遣で最近非常に重要だと思っておりますのが介護施設のクラスターなんですね。介護施設でクラスターが起きますと、大人数になると、それまとめてどこか入院というのがなかなかもうできない状況ですので、やっぱり現場で治療なりやらなければいけない。そうすると、介護施設の中のゾーニングをどうすればいいのか、介護の方たちにそのPPEを着たりすることの指導をする、それから、治療というのはどこまでができて、どういう場合に入院しなきゃならないかと、こういうようなことにおいても、やはり感染症のインフェクション・コントロール・チーム、こういうものをやっぱり派遣する必要があるだろうというふうに思っております。これも都道府県によっていろいろとまだ差があるんですけれども、県によってはそういうチームをかなりつくっているというようなことも聞いております。
 また、日本医師会としては、そういう場合の派遣に対する、やはりこれは危険なところに行きますので、また、感染してしまうということもございますので、それに対する保険制度等の充実も図っているところです。そういうことで、派遣についてはよろしいでしょうか。
 あと、その平時と今後の連携。今後といいましても、実はまだ第四波というんですかね、それが大阪はとても大変な状況ですし、東京もこれから二週間、ゴールデンウイークにかけて果たしてどのようなことになるか、極めて危険な状態で、毎日その状況を見守っているところです。
 ですから、今どんどんそのベッドを増やすということもありますけど、私は、いろんな医療機関、例えば急性期の大きな医療機関がコロナを受けていただける、若しくは大学病院がICU、CCUで重症の方を受けていただけて本当に、これは本当に助かっていると思っております。
 ただ、そのほかに、例えば中小病院でもできることはないか。小さいところでも、今、急性期を脱したけれども退院できない方の入院、後方連携といいますけれども、それをどんどん受け入れることによってその急性期を受ける病院のベッドを少しでも空けると、こういうようなことが各地でやられております。これが連携だと思うんですね。
 それから、入院し切れなくなったときに、今度は自宅待機の方が増えます。ですから、自宅待機の方が増えたときも、今までは保健所が中心でしたけど、これを医師会とか地域の医療機関の中で支えていくと、健康フォローアップを行うと。こういうようなことで、何とか医療崩壊を起こさないように様々な面で協力し合わなければいけないと思っております。
 それから、あとは、今ワクチンがなかなか潤沢に進んでいないというようなこともあるんですけれども、これもそれぞれの医療機関が頑張って、例えば、集合接種もありますけれども、個別接種とか、サテライト型の中小医療機関、病院なんかがどんどん受けることによってワクチンの接種率が上がっていくと思うんですね。また、これも大きい意味でのコロナ対応の一つですので、その辺ではもう医療機関は一丸となってこれに対応していこうというふうに考えているところであります。
 以上です。

○参考人(山本修一君)
 まず、感染症専門医の件でございますが、これは圧倒的に絶対数が足らないということがございます。
 私、医師になって四十年近くなりますが、この四十年の経験でこれほど感染症がクローズアップされたことはなかったというふうに思います。やはり我々も、はやり、はやりを追うと言うと言葉は悪いですけど、やはり感染症、クローズアップされないとなかなかそこへのなり手がいないということで、感染症の専門医をこれまで育ててこなかったツケがやはり一気に出ているんじゃないかなと思います。
 千葉大学病院も感染症の専門医三名おりますけれども、日頃は何をしているかというと、院内感染の防止対策、それが主眼であります。あるいは、時々来る結核の患者さんとかあるいは重症の感染症の患者さんのケアが重点でありまして、今回のように、本当にもう二十四時間寝る暇もなく働くということは珍しかったのではないかと思います。やはり次の備えという点からも、この感染症専門医の育成というのは、国として、あるいは社会として次に備えてしっかり考えるべきではないかなというふうに思います。
 それから、病院間の情報共有という点におきましては、これは先生御指摘のとおりでございまして、特に第一波から第二波にかけては、どこの病院がどれくらいベッドを出しているのか、あるいは、どこにどれくらい患者が入っているのかということが隣の病院ですらよく分からないということがございました。これは何が起こるかというと、疑心暗鬼になって、うちだけいっぱい病床を出すと損するんじゃないかとかいうようなことが出てまいりました。
 私、三月まで千葉県庁の対策本部の専門部会の取りまとめをしておりましたが、これはもう県庁に強く申して、もうとにかく私、県内の全部の確保病床と実際に何人入っているかリアルタイムで出してくれということをやりましたらかなり、さすがに一覧で出てくると、あっ、うちこんな少なかったんだとか、隣、何だ、ひどいなこれはとかということが出てまいりますので、かなりその辺では情報共有も出てまいりました。それから、情報共有の効果が出てきたというふうに考えます。自分だけが頑張っているんじゃない、みんなも頑張っているんだなというところが重要だと思います。
 それから、今、猪口参考人もお話しになりましたように、後方病院との連携という点でも、後方病院の一覧が出て、それぞれが各地域でどこがどういう、特に大学病院などに入っている患者さんは、人工呼吸器が付いていたり、あるいはECMOに乗っていたりと、コロナの感染そのものは収まっても、全身の状態が極めて重篤であるというような形で後方病院にお願いしなければいけなくなると、やはり受けていただける病院も限られてまいります。この辺も一覧にして、どれくらいの患者さんが実際に行っているかというようなことを把握する。
 なおかつ、ウエブで、後方病院の先生方と我々重点医療機関の急性、一番難しいところを扱っている人間同士がウエブ上で意見交換をすることで、それぞれが皆安心し、安心というのは言葉変ですが、余り過度な心配をせずに医療に当たるというようなことは進めてまいりました。ただ、これはほかの自治体の話を伺うと必ずしも皆さんそうではないというようにも承っておりますので、ここはしっかりとした体制整備が必要ではないかなというふうに考えます。
 以上でございます。

○矢倉克夫君
 ありがとうございます。
 お二人の、今を乗り切るために必要な非常に貴重な御意見でした。ありがとうございました。
 最後になると思いますが、中原参考人にお伺いしたいと思います。
 もう本当に、御家族の苦しみ、そして御自身受けた苦しみを乗り越えてもう力強く活動されているお姿に心から敬意を表して、しっかり我々も頑張りたいなというふうに思います。
 それで、説明のところ、最後の、やはりどうしたら過労死しない仕組みをつくるのかというその思いというのは非常に重要かなと思いまして、レジュメの方でも過労死をなくすためにという、これは後ろから四枚目のところに書いてある中で、先ほどの上家参考人のお話とも絡むのかもしれませんが、やっぱり一人一人の声がなかなか届かない環境をどうやってみんなで一緒になって声を上げていくような環境を、これは医師のような専門家の方にもつくっていくべきかというところはやはり非常に重要かなと思います。
 その上で、労働組合の組織力アップということも書かれているわけでありますが、こういう連携をしていく、今現状なぜそういうのが低いのかということに対しての御意見と、そこを改善していってみんなで声を上げていくという環境をつくるにはどうすればいいのか、御所見ありましたら教えていただければと思います。

○参考人(中原のり子君)
 私自身、自分が被災するまでなかなか労働組合の方たちと何か一緒に協力し合うとかいうことは考えたことなかったんですけれども、やっぱり自分が本当に弱い立場になったときにそういう周りの方たちの支援が有り難いということを、私はそれを知ったので、こういうことを、まあ、労働組合とかそういう支援とかそういったことが大切だというふうに思うんですが、やはり基本的に医者は、うちの夫もそうだったんですけれども、なかなか自分が労働者という意識がなくて、幾らでもがむしゃらに若いときは働けるみたいな、そういった自負もあったでしょう。ただ、やっぱりそれだけだと長続きはしないので、やっぱり医者も人間だということで、やっぱりこの労働法というか、労働法整備、これを是非整えていただきたいと思います。
 今、とってもハラスメントが多いです。医者だけではなくて、全体の労働者の被災した方たちのハラスメントがとても多いです。コロナとかそういった影響もあるでしょうし、あと成果主義とかいろいろ様々な要因はあるかと思いますけれども、やはり自分だけとかいうことで閉じこもらず、何かあったら誰かに相談するとか、そういう相談体制の整備など、それからやはり労働時間の管理、上限時間の管理ですね、そういったことを義務化していただけたらというふうに思います。
 以上です。

○矢倉克夫君
 大変ありがとうございました。
 福井参考人にもお伺いしたかったんですが、時間で、申し訳ありませんでした。
 どうもありがとうございました。

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