2013-11-22
○矢倉克夫君
公明党の矢倉克夫です。
昨日、春原先生、落合先生、西山先生、参考人として御来院されまして、本法案についての貴重な御意見を賜りました。参考人の皆様がおっしゃっていた共通の部分というのは、特にこの日本の力、発信力を弱めている縦割りを打破する意味で、この法案が与える意義というのは非常に大きいという点。西山参考人も、十全に機能すればすばらしいというふうにおっしゃっておりました。
私も、自身の経産省に出向をした弁護士としての経験から、国際通商を様々担当して、例えばUSTRの人から日本の顔は経産省なのか外務省なのかどちらかとか聞かれたこともある。国際通商の分野においても縦割りというのが今まであったのが事実であり、特に外交、防衛については更にそれをしっかりと打破していく必要あると思いますし、この法案は非常に意義があるものだと実感をしております。
他方、昨日の参考人の、特に春原先生がおっしゃっていた点というのは、このNSCもやはり運用が大事であり、やりようによっては暴走もする、これはアメリカのNSCの例を挙げておっしゃっていたことではありますが、暴走という意味もあると。やはり、どういう運用の在り方を考えるのが非常に重要であるかなというふうに私改めて感じをいたしました。
それで、通告と順序が若干違うんですが、まず、総理補佐官と国家安全保障局長のすみ分けについて改めてお伺いをしたいと思います。
今までの御答弁、総理補佐官の役割というのは総理直属のアドバイザー、また、国家安全保障局長というのは事務局でもあり、また外交、防衛については各国のNSCの長とのカウンターパートでもあるというふうにお伺いもしております。他方、補佐官、第一次安倍内閣のそのときのNSC法案の有識者会合の中での議論などでも、補佐官が当時役割を担うと想定されていたのは、各国の代表との交渉なども考えられていた。今回の法案のときの有識者会議ではそういう文言は入ってなかったという認識はしておりますが、ただ、役職として、やはり補佐官と国家安全保障局長というのが両頭でいることで、非常に重複した権限もあり、場合によっては、補佐官が職務がはっきりしない分だけ権限がぶれてしまって、お互いがかち合ってしまうんじゃないかというような懸念もやっぱりございます。
今、官房長官も、これまで兼任をすることもあり得るんだという御答弁もいただいておりました。であれば、なおさら一層、常置の機関として、法定の機関として補佐官を置くのはどういう意味があるのかなという疑問が湧いてくるわけですが、この点、特にこの総理補佐官、役回りとしてどういうのを想定されているのか、御答弁いただければと思います。
○国務大臣(菅義偉君)
総理補佐官は総理直属のスタッフ職であります。総理補佐官の中から一人、この安全担当を総理が指名することになります。そして、国家安全保障局長というのは、今言われましたように、まさにこのラインの中で政策の企画立案、総合調整を行う。
前回の安倍内閣の国家安全保障局というのは事務局でありました。今回は内閣官房の中に入れて総合調整まで含めました。総理補佐官は、総理の命において臨機応変に動くことのできるという立場であります。例えば、政府・与党、そうした中で与党の政務の皆さんのところに様々な考え方を説明に行くとか、総理の特命を受けてということも私は出てくるだろうというふうに思います。
ですから、国家安全保障局という長はまさにその六十人の責任者であって、そして総理大臣の補佐官は総理直属のスタッフでありますから、直接この国家安全保障局にかかわることはないわけでありまして、国家安全保障会議には出席をしますけれども、局の責任者は局長と。そして、総理の特命を受けて、これは政府・与党とかの政務もあるでしょうし、あるいは海外においても総理の特命の中で行動することが可能だというふうに考えます。
○矢倉克夫君
昨日の春原先生の、アメリカのNSCの理解を通した上で、一時期、アメリカのNSCの補佐官ですので日本とはまた違う部分はあるんですが、やはり暴走した経緯もあり、それに対しての反省という部分も含まれていた。
懸念としては、補佐官として直属の総理の意向を受けてということですけど、それぞれが別々に、局長が動く部分と補佐官が動く部分というのがやっぱりずれてしまう可能性もひょっとしたらあり得るんじゃないかなと。もうちょっとこの補佐官というのを、どういう役回りを持っているのか、運用の中で更に明確化していくというような必要はあるのではないかなということで御質問をさせていただきました。
次に、これも昨日、春原参考人とのお話の中で出てきた情報と政策の分離の関係でございます。
今までも御答弁されていらっしゃいましたとおり、やはり情報と政策というのはしっかり分離をしなければいけない。その上で、国家安全保障局の役回りというのは、政策立案の上での情報の発注者、カスタマーである、要求者であって消費者であり、他方、独自に情報を集める機関ということではないという理解でおります。
そういう点では、しっかり分離はされている部分もあるんですが、やはり情報の発注の仕方によって、情報を集める側もやっぱりいろんなプレッシャーを掛けて、集める情報自体がゆがめられるというような危険性もあるかと思います。この点は今後もしっかり運用で検討していく必要あるかと思いますが、御答弁いただければと思います。
○国務大臣(菅義偉君)
委員言われましたように、政策と情報というのは今回の法案の中では完全に分離をさせていただく形になっています。まさに内調を中心とする情報あるいはそれぞれの役所の情報、そうした情報を国家安全保障局で集約をして、そこである意味で消費をするわけであります。
そういう中で、やはり集約した情報を総合的に分析をして政策に反映していくという、そこは、そういう意味において、国家安全保障局と内閣情報室を中心とする情報コミュニティーというのは完全にこれ分離しているというふうに考えています。
○矢倉克夫君
ありがとうございます。
最後、ちょっと法案とは少し離れるんですが、私、経産省にいたとき、特にWTOの紛争なども関与させていただいたりとかしました。レアアースの件、中国に提訴したときなども手続に関与させていただいたんですが、個人の思いとしても、これから非常にグローバル経済どんどんいく中、今、TPPの問題もEPAもFTAも、様々な国際ルールの中でのグローバル経済をしっかりどうやって生きていくのかというのが非常に重要になってくるなと。この国際通商の分野での訴訟戦略というのも、どこの国と手を結んでどこを訴えるか、そういうような高度な判断も必要となると思いますし、先ほどのレアアースの件なども、外交、防衛という点での戦略物資という部分のかかわり合いも出てくる訴訟というのも出てくると思います。
今回、私の拙い経験で、やはりそういう部分でも日本は縦割りが残っているところがあって、意思決定がなかなか即座にいかなかったりとかする部分もひょっとしたらあるのかもしれないなと。この法案は、国防、外交という点ではありますが、やはりそういう国際通商の分野においても今後しっかりと政治主導といいますか、迅速な意思決定なされるための努力が更に必要であると思いますが、その点、御見解を賜れば幸いです。
○国務大臣(菅義偉君)
今委員から発言がありましたように、まさに我が国はこの縦割り社会の中で、迅速に、そして機動的に基本方針を設定をして、安全保障、外交、防衛の司令塔の役割という形でこの安全保障会議を設定をさせていただいているわけであります。
そういう中で、今通商問題の話もありました。通商の中でも事安全保障にかかわる部分については当然ここで扱う形になろうというふうには思いますけれども、そこは総理の判断によるわけでありますけれども、いずれにしろ、この国家安全保障会議でそうしたものを行う行わないは別にして、通商政策についても、やはりオールジャパンというんですか、そういう形の中で縦割り行政の弊害をなくして行っていくことが極めて大事だというふうに思っています。
現在、TPPにおいては、甘利大臣を中心に、それぞれ外務省も経産省も農水省も一つになって今通商問題に当たっているということであります。
○矢倉克夫君
私の方でお伺いしたいことはこれで以上でございますので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。