2014-06-05
矢倉かつおです。
猛暑のあとの雨模様、いよいよ関東も梅雨入りでしょうか。
通常国会は終盤を迎えております。慌ただしい日々ですが、非常に充実しています。
5月27日の参議院文教科学委員会にて、「地方教育行政法」の改正案について審議が行われました。この「地方教育行政法」は教育委員会の権限などを定める法律です。私が質疑で取り上げた議題は「教育委員会の活性化」でした。
福岡県に春日市という人口11万人弱の都市があります。この春日市の教育委員は、夏休み期間中などを利用し市内の全小中学校をまわって全教職員と意見交換するなど、「現場に入る」姿勢が有名です。これは「出張トーク」などといわれ、新聞報道でも幾度か取り上げられました。
私のほうからは、この春日市や、東京の立川市、また教育委員を公募する大阪の箕生市(教育委員6名のうち4名が、経験豊富な30代から40代の女性です)などの実例を示しながら、教育委員会が「地域の幅広い民意を吸い上げる」という本来の役割を果たすために必要な提案を、いくつか具体的にいたしました。西川文部科学副大臣からは「教育委員が自ら現場に出向いて地域住民と意見交換を行う、あるいは地域住民の意見を聞く機会を設ける。大変重要なことだと考えております。」との積極的な答弁を引き出しました。
http://youtu.be/orZQmWEsJfU
※ 質疑の動画となります。「教育委員会活性化」について詳細は、動画の17分あたりからです(動画視聴には別途料金がかかることもあります。ご注意ください)
実は、この「地方教育行政法」の改正をめぐっては、当初、「教育委員会を廃止するべきだ」との議論が与党内でも優勢でした。理由は、大津市でのいじめ事件における教育委員会の対応の悪さでした。「大事なときに、教育委員会は動かないじゃないか、むしろ問題を隠している。」こういった批判の声が廃止論に行き着いたのです。
しかし、教育委員会を廃止することは、首長の教育に対する関与を強めることを意味します。特に幼少期にどのような教育を受けたかは、子どもの思想や人格に影響します。仮に教育が選挙結果により短期的に左右されるようなことが起きたとき、子どもの将来に誰も責任が持てません。「教育は子どもの幸福のため」この観点から公明党は拙速な教育委員会廃止論をおさえました。ここにも激しい与党内調整がありました。
今回の改正案は、教育委員会を執行機関として残したうえで、教育予算を預かる首長と、教育委員会の連携を蜜にするための新たな制度を導入しました。「多数決という民意」を体現する首長と、「多様な民意、地域の声を吸い上げる」教育委員会が良い意味で緊張関係を保つことは大事です。その理想通りに制度が動くために必要なこと、それが、形骸化の叫ばれている「教育委員会を活性化」させることです。
全国には、良い取組みをしている教育委員会も多く存在します。今回は取り上げませんでしたが、たとえば、埼玉県の鶴ヶ島市なども、その一例です。各地の先進的な取組みをいかに全国展開するか。この点も引き続き、議論して参ります。