2014-09-16
矢倉かつおです。
秋の風を感じます。虫の音が涼やか、そして夜空に浮かぶ月がひときわ美しい季節です。
お月さまといえば、幼いころの私にとって不思議な存在でした。私が歩くと一緒に歩き、止まると一緒に止まります。常に見守られている気分になりました。
月に限らず、宇宙は不思議な存在です。夜空に輝く星々の光も、あるものは100年前のもの、またあるものは1800年前のものなど、様々です。人間が確認できる最も遠い星は地球から150億光年離れていると言われます。そこから届く星の光は150億年前のもの、なんと地球誕生前の光です。地球誕生前の光を地球にいる我々が確認する、そう考えると、星のまたたき一つ一つが時空を超えた不思議な存在に思えます。
そんな宇宙へのロマンを更に広げることがありました。若田光一さんにお会いする機会に恵まれたのです。
公明党の宇宙の開発・利用委員会と文部科学部会が合同で開催した会合に、若田さんが講師としてお見えになりました。短時間でしたが、貴重なお話を伺いました。
特に感動的だったのは、宇宙から見た地球、とりわけ日本の姿を画面に映し出しながら、若田さんが、「東北の光が増えています。それがうれしい。」と満面の笑顔で語られていたことです。後日、福島を訪れた際、この若田さんの言葉を伝えました。「復興を祈る日本全体の思いの象徴ですね。」皆様、喜んでくださいました。
その若田さんが、冒頭、我々に質問されました。「今回の宇宙滞在にあたり、私(若田さん)は、地球上のどこから飛び立ち、どこに戻ったでしょうか?」
答えは、「アメリカではなく、ロシアの宇宙船に乗ってカザフスタン」というものでした。冒頭、このことに触れながら、ウクライナでの紛争を念頭に、宇宙ではどの国に関わらず、皆が協力していることに触れられておりました。示唆に富んだお話でした。宇宙を実際に見た若田さんの言葉だからこそ、深く胸に刺さりました。
宇宙をいかに使うか、これは宇宙が人類に突きつけている課題であると思います。戦争利用に宇宙を使うことも出来ます。しかし、戦争のない世界をつくるためにこそ、宇宙は利用されるべきです。
若田さんの言葉を聞きながら、強く思ったことは、この宇宙の広がりを通じ、地球人としての自覚を子ども達に教えていけるような教育環境をつくりたい、という点でした。その思いを若田さんにお伝えしたところ、強く共感してくださいました。
宇宙開発分野はロマンの世界から、科学的知見を得る世界に、そして、産業面からも重要な成果を得る分野に成長を遂げています。宇宙での実験を通じ、筋ジストロフィーの進行を遅らせるタンパク質の発見などがなされています。また、最近の異常気象への対応のため、宇宙からの情報が重要です。
宇宙を人類全体、そして持続可能な地球環境の改善に役立てることこそ重要である。そんな思いを、秋の夜空を見上げながら強くしました。