派遣法改正案 ここがポイント<中>

2015-05-27

公明新聞:2015年5月27日(水)付

事実上、期間制限の撤廃では?

延長には労使の話し合い必要

Q 派遣労働者が有期雇用の場合、派遣先の事業所の派遣受け入れ期間が原則3年に制限されます。目的は何ですか。

A 改正案では、業務ごとに期間制限がある現行制度を改め、1人の派遣労働者が同じ職場で働ける期間を全ての業務で上限3年とする制限を新設します。しかし、これだけでは、3年ごとに人を替えて同じ仕事を派遣労働者に任せ続けることができてしまうため、派遣先にも期間制限を設けることにしました。

派遣先が受け入れを延長したい場合は、3年ごとに労働組合などの意見を聞かなければなりません。

Q 意見を聞くだけで延長できるので、「事実上の制限撤廃であり、正社員との置き換えが進む」と言われていますが。

A 意見聴取の義務は、派遣の延長を一律に規制するのではなく、現場をよく知る労使が実情に応じた判断をできるようにするためです。組合から反対意見が出れば、派遣先には延長理由などを説明する義務が生じます。聴取記録の保存・周知など、手続きの適正性・透明性を担保する仕組みも設けられます。

重要なことは、こうした仕組みを通じて、労使が実質的な話し合いを十分に行えるようにすることです。

“生涯ハケン”になる?
正社員化へ教育訓練など実施

Q 期間の定めのない無期雇用として派遣元(派遣会社)に雇われている派遣労働者は、期間制限に関係なく派遣で働けるようになりますが、なぜですか。

A 有期雇用よりも雇用が安定していることに加えて、派遣のままで働きたい人も相当数いるため、期間制限の対象外としました。なお、2012年時点では、派遣労働者全体の約17%が無期雇用です。

Q 正社員希望の派遣労働者が無期雇用になれば、そのまま派遣労働が固定化して“生涯ハケン”になると指摘されています。

A 正社員をめざす場合でも、まずは不安定な有期雇用を抜け出す必要があります。その意味からも無期雇用への転換は重要です。

その上で改正案は、派遣元による計画的な教育訓練や、希望者へのキャリア形成に関する相談の実施を義務化。派遣先にも自社の正社員募集情報の提供を義務付けます。こうした施策を通じて、正社員化を望む派遣労働者を支援します。

Q 無期雇用でも、派遣先の仕事がなければ解雇されるのでは。

A 厚生労働省は、派遣先との派遣契約の終了のみを理由とした解雇の防止について、派遣事業の許可条件に盛り込むなどの方針を示しています。

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